(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記のような問題を解決するためのものであり、小さい粒子サイズでも高い比誘電率を有し、温度に対する誘電率の変化幅が狭く、高周波数領域においても高い比誘電率と低い誘電損失を有する非強誘電性高誘電体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記技術的課題を解決するために、本発明は、チタン酸化合物及び前記チタン酸化合物の融点未満の値を有する強誘電体を得るステップ、前記強誘電体物質を前記チタン酸化合物に添加して混合物を得るステップ、及び前記混合物を前記強誘電体物質の融点以上の温度で焼結するステップを含む粒界絶縁型誘電体の製造方法であることを特徴とする。
【0012】
また、前記チタン酸化合物はSrTiO
3であることを特徴とする。
【0013】
なお、前記チタン酸化合物は(Sr
xA
y)Ti
zO
3であることを特徴とする(ここで、Aは原子価が3価以上の元素であり、0.95≦x≦0.99、0.01≦y≦0.05、1.00≦z≦1.01であり、x+y=1である。)。
【0014】
また、前記チタン酸化合物は(Sr
xLa
y)Ti
zO
3であることを特徴とする(ここで、0.95≦x≦0.99、0.01≦y≦0.05、1.00≦z≦1.01であり、x+y=1である。)。
【0015】
なお、前記焼結ステップは還元雰囲気の焼結及び酸化雰囲気の後続熱処理からなり、前記酸化雰囲気の後続熱処理は常圧で行われることを特徴とする。
【0016】
また、前記チタン酸化合物はBaTiO
3であることを特徴とする。
【0017】
なお、前記チタン酸化合物は(Ba
xA
y)Ti
zO
3であることを特徴とする(ここで、Aは原子価が3価以上の元素であり、0.95≦x≦0.99、0.01≦y≦0.05、1.00≦z≦1.01であり、x+y=1である。)。
【0018】
また、前記チタン酸化合物は(Ba
xLa
y)Ti
zO
3であることを特徴とする(ここで、0.95≦x≦0.99、0.01≦y≦0.05、1.00≦z≦1.01であり、x+y=1である。)。
【0019】
なお、前記チタン酸化合物と強誘電体の混合物にTEOS(tetraethyl orthosilicate)を添加するステップをさらに含むことを特徴とする。
【0020】
また、前記焼結ステップ前に前記混合物を事前熱処理(prefiring)するステップをさらに含むことを特徴とする。
【0021】
なお、前記焼結ステップは還元雰囲気の焼結及び酸化雰囲気の後続熱処理からなり、前記酸化雰囲気の後続熱処理はN
2雰囲気または常圧で行われることを特徴とする。
【0022】
また、前記強誘電体の添加比率は、前記チタン酸化合物に対比して2〜20mol%であることを特徴とする。
【0023】
なお、前記強誘電体物質はペロブスカイト構造のABO
3であることを特徴とする(ここで、AはK、Na及びK
0.5Na
0.5のいずれか一つであり、BはNb及びTaのいずれか一つである。)。
【0024】
また、チタン酸ストロンチウム化合物である(Sr
xLa
y)Ti
zO
3にABO
3構造を有する強誘電体が前記チタン酸ストロンチウム化合物粒界に分布されることを特徴とする(ここで、0.95≦x≦0.99、0.01≦y≦0.05、1.00≦z≦1.01、x+y=1であり、AはK、Na及びK
0.5Na
0.5のいずれか一つであり、BはNb及びTaのいずれか一つである。)。
【0025】
なお、前記粒界絶縁型誘電体は、平均粒子サイズが0.3μm〜1μmであることを特徴とする。
【0026】
また、前記強誘電体がK
0.5Na
0.5NbO
3である場合、前記粒界絶縁型誘電体は、比誘電率が1MHz以上の周波数領域で4500〜6000であり、誘電損失が2〜5%であることを特徴とする。
【0027】
なお、前記強誘電体がKNbO
3である場合、前記粒界絶縁型誘電体は、周波数領域に関係なく比誘電率変化幅が0〜10に維持され、誘電損失変化幅が0〜5%に維持されることを特徴とする。
【0028】
また、チタン酸バリウム化合物である(Ba
xLa
y)Ti
zO
3にABO
3構造を有する強誘電体が前記チタン酸バリウム化合物粒界に分布されることを特徴とする(ここで、0.95≦x≦0.99、0.01≦y≦0.05、1.00≦z≦1.01、x+y=1であり、AはK、Na及びK
0.5Na
0.5のいずれか一つであり、BはNb及びTaのいずれか一つである。)。
【0029】
なお、前記粒界絶縁型誘電体は、平均粒子サイズが0.2μm〜1μmであることを特徴とする。
【0030】
また、前記粒界絶縁型誘電体は、比誘電率が1MHz以上の周波数領域で1400〜3200であり、誘電損失が10〜20%であることを特徴とする。
【0031】
なお、前記粒界絶縁型誘電体は、周波数領域に関係なく比誘電率変化幅が0〜20に維持されて、誘電損失変化幅が0〜2%に維持されることを特徴とする。
【0032】
また、前記粒界絶縁型誘電体における強誘電体の比率は、前記チタン酸化合物に対比して2〜20mol%であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、1μm未満のチタン酸化合物系粒子及び強誘電体粒界からなる粒界絶縁型誘電体であって、チタン酸ストロンチウム化合物に基づいた誘電体の場合、小さい粒子サイズにもかかわらず、高い比誘電率と低い誘電損失を示し、温度変化に応じた低い誘電率の変化幅を有する。したがって、高容量キャパシタに好適であり、電子部品の大きさを減らすことができる。
【0034】
チタン酸バリウム化合物に基づいた誘電体の場合、N
2で後続熱処理を行った場合、1MHzの高い周波数領域で1400以上の高い比誘電率を有し、20%以下の誘電損失を有する。その反面、常圧(air)で後続熱処理を行った場合、周波数とほぼ関係なく一定した比誘電率を有し、誘電損失も低く維持される。
【0035】
また、環境及び人体に無害な強誘電体材料(K
0.5Na
0.5NbO
3、KNbO
3、NaNbO
3)を用いるため、従来の誘電体より環境に優しい。
【0036】
なお、本発明の実施例による非強誘電性高誘電体及びその製造方法が達成できる効果は以上で言及したものに制限されず、言及していないまた他の効果は下記の記載によって本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明らかに理解できるものである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は通常または辞典的な意味に限定して解釈してはならず、発明者は自身の発明を最も最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に立ち、本発明の技術的思想に符合する意味と概念として解釈しなければならない。したがって、本明細書に記載された実施例と図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないため、本出願時点においてこれらを代替できる様々な均等物と変形例がありうることを理解しなければならない。以下では、添付された図面を参照して本発明の実施例による非強誘電性高誘電体及びその製造方法を詳細に説明することにする。
【0039】
図1は本発明の実施例による粒界絶縁型誘電体の製造方法を説明するフローチャートであり、
図2は本発明の実施例による粒界絶縁型誘電体の焼結過程を示す模式図である。
【0040】
図1を参照して粒界絶縁型誘電体の製造方法を説明する。本発明に係る粒界絶縁型誘電体は、チタン酸化合物及び前記チタン酸化合物の融点未満の値を有する強誘電体を得るステップ(S100)、前記強誘電体物質を前記チタン酸化合物に添加して混合物を得るステップ(S110)、及び前記混合物を前記強誘電体物質の融点以上の温度で焼結するステップ(S120)を含むことを特徴とする。
【0041】
S100ステップについて説明する。チタン酸化合物(粉末)は、原料粉末を湿式ミル、乾燥、粉砕及びふるい分けをし、か焼して製造する。強誘電体物質はABO
3の化学式を有するペロブスカイト構造を有し、これを合成するために、A、B元素を含む原料粉末を一定のモル比率で前記チタン酸化合物と同様の方法によりミル(milling)、乾燥、粉砕及びふるい分けをし、か焼して製造する。ここで、前記強誘電体の融点は、前記チタン酸化合物の融点より低くなければならない。
【0042】
S110ステップは、製造されたチタン酸化合物と強誘電体を混合するステップである。混合時、強誘電体200は全体的にチタン酸化合物100の間に均一に分布されているため、誘電体の製造時、強誘電体がチタン酸化合物粒界を液相として浸透して粒界を形成するようにすることによって膨大な大きさを有する誘電体の製造が可能となる。
【0043】
S120ステップは、前記チタン酸化合物と強誘電体の混合物を前記強誘電体物質の融点以上の温度で焼結するステップである。
図2(c)は、S110ステップで製造された混合物を強誘電体物質の融点以上の温度で焼結した状態を示すものである。強誘電体の融点以上の温度で焼結する時、強誘電体が融解して、チタン酸化合物100粒子の間に均一に分布するようになる。好ましくは、焼結温度はチタン酸化合物の融点の70〜90%程度の温度が好適であるが、それに制限されるものではない。
【0044】
図2を参照して本発明によるS120ステップを具体的に説明する。
【0045】
焼結ステップ(S120)は、前記チタン酸化合物100と強誘電体200の混合物に還元雰囲気の焼結過程と酸化雰囲気の後続熱処理過程を行ってなされる。
【0046】
図2(a)は、S110ステップによってチタン酸化合物100と強誘電体200が混合された形態を示すものである。強誘電体200が全体的にチタン酸化合物100の間に均一に分布しているのを確認することができる。
【0047】
図2(b)は、前記チタン酸化合物100と強誘電体200の混合物に還元雰囲気の焼結を行うことにおいて、熱処理温度が強誘電体200の融点に達する前の構造を示したものである。還元雰囲気の焼結を行う場合、チタン酸化合物(例えば、ST、BT)の粒成長(grain growth)及び緻密化(densification)が起こる。
図2(a)に比べてチタン酸化合物の粒子が固まって形態が変化するが、まだ完全に緻密化された形態ではないため、チタン酸化合物の粒子間に空いた空間が存在するのを確認することができる。強誘電体200は前記空いた空間に存在する。緻密化が起こって空いた空間が埋まり始める。
【0048】
図2(c)は、還元雰囲気の焼結温度が強誘電体200の融点に達した後の構造を示したものである。
【0049】
熱処理温度が強誘電体の融点を過ぎることによって強誘電体の相が固相から液相になり、粒界(grain boundary)に流入する。この時、チタン酸化合物(例えば、ST、BT)の粒成長(grain growth)と緻密化(densification)が活発になると同時に粒界(grain boundary)には液相状態の強誘電体200が存在するようになる。
【0050】
図2(d)は、還元雰囲気の焼結が終了した後の構造を示したものである。熱処理が終了することによって温度が低くなると、すなわち、強誘電体200の融点以下に温度が落ちると、粒界に存在していた液相状態の強誘電体200が固相に変わる。
【0051】
図2(e)は、酸化雰囲気での後続熱処理を行った後の構造を示したものである。粒界(grain boundary)において以下で言及する欠陥化学式3〜4の反応が起こって、粒界(grain boundary)の絶縁性が強化される。
【0052】
一方、前記熱処理ステップは、還元雰囲気の焼結後に試片を常温状態に下げ、その後、常温で後続熱処理の酸化雰囲気に雰囲気を作った後、後続熱処理温度まで温度を上げて行われる。しかし、還元雰囲気の焼結後、温度を常温状態でない後続熱処理温度に下げ、雰囲気を酸化雰囲気に変えて後続熱処理を行ってもよい。前者の場合は、液相の強誘電体は還元雰囲気の焼結終了後に常温に温度を下げる時に固相に変わり、後者の場合は、還元雰囲気の焼結後に後続熱処理温度に温度を下げる時に固相に変わるようになる。
【0053】
後続熱処理は強誘電体の融点以下で行われることができ、仮に融点以上で後続熱処理を行う場合、粒界の強誘電体は、後続熱処理時にも液相に存在し、後続熱処理の終了後に常温に温度を落とす時に固相に変わるようになる。
【0054】
このように、本発明によるチタン酸固溶体は、粉末成形体の焼結、酸化物の塗布及び熱処理を経る従来の方法とは異なり、還元雰囲気及び酸化雰囲気の2ステップの熱処理工程を行うため、工程、過程が比較的に簡単である。
【0055】
前記還元雰囲気の焼結ステップ及び酸化雰囲気の後続熱処理によって粒界絶縁型誘電体が形成される原理について、チタン酸ストロンチウム化合物を例に挙げて具体的に説明する。本発明で記述されるドナー(donor)は添加されるサイトの元素より原子価が大きい物質であり、ドナーの添加はストロンチウム(Sr)サイトをランタン(La)に置換するかまたはそれに相応する原子価が3価以上の元素に置換させて行われることができる。
【0056】
原子価の大きいドナーが本来の原子位置を置換するようになると陽電荷が形成される。この時、侵入型酸素イオン、陽イオン空孔または電子がさらに形成されて陽電荷を相殺し、電気的に中性が維持される。
【0057】
イオンサイズの大きい酸素イオンが格子の間に入ることは難しいため、侵入型酸素イオンはほぼ形成されず、酸素分圧の高い常圧で熱処理をする時には陽イオン空孔が形成され、酸素分圧が低くなるほど、陽イオン空孔よりは電子が形成されて電気的に中性を維持する。
【0058】
ドナーを添加した場合、酸素分圧に応じて3つの領域に区分される。酸素分圧が非常に低い場合、低い場合、高い場合を各々欠陥化学式1−3にKroger−Vink表示方法に基づいて示した。Vは空孔(vacancy)を、下付き文字と上付き文字は各々置換するサイトに本来位置していた原子と有効電荷を示し、・は正の有効電荷を、‘は負の有効電荷を示す。
【0059】
欠陥化学式1はH
2雰囲気のように酸素分圧が非常に低い場合であり、電気伝導度は添加したドナー濃度とほぼ関係なく、酸素分圧が増加するほど電気伝導度は減少する。
【0061】
95N
2−5H
2または窒素(N
2)雰囲気等、酸素分圧が低い場合、電気伝導度は酸素分圧にほぼ関係なく、ドナー添加物が欠陥化学式2により自由電子を形成させるため、添加物の濃度によって電気伝導度が増加する。
【0063】
酸化雰囲気、すなわち、酸素分圧(Po
2)が大きい時には、欠陥化学式3によりストロンチウムイオン空孔が生成され、自由電子が形成されず、イオンによって電荷が補償されて電気的に中性をなすため、電気伝導度が減少する。
【0065】
酸素分圧が増加すれば、大気中の酸素が焼結体内に拡散して酸素空孔及び電子と会う右側方向への反応が起こり、酸素の拡散は粒内より粒界で速く起こるため、酸化雰囲気で熱処理をする時、粒界にのみ酸化層が生じ、抵抗が大きくなる。ドナーを添加した後、還元雰囲気での焼結によって半導性の焼結体を得た後(欠陥化学式1〜2)、酸化雰囲気での短い後続熱処理によって粒界にのみ酸化層を形成させて絶縁性の粒界を作る(欠陥化学式3〜4)。このような還元雰囲気の焼結と酸化雰囲気の後続熱処理工程によって半導性の粒子と絶縁性の粒界とからなる粒界絶縁型キャパシタを製造することができる。以下では、例示によって各ステップの実行過程を細部的に説明する。
【0066】
図3は、本発明の実施例による(Sr
0.95La
0.05)Ti
1.01O
3化合物及び原料粉末の粒子サイズを示す走査電子顕微鏡イメージである。
【0067】
SrCO
3、La
2O
3、TiO
2とKCO
3、NaCO
3、Nb
2O
5原料粉末を各々か焼してチタン酸化合物(粉末)と強誘電体粉末を製造する。
図3に示すように、(Sr
0.95La
0.05)Ti
1.01O
3の場合、La
2O
3、TiO
2粉末をか焼して製造することができる。以下では、(Sr
0.95La
0.05)Ti
1.01O
3はSTに、(Ba
0.95La
0.05)Ti
1.01O
3はBTに、(K
0.5Na
0.5)NbO
3はKNNに、KNbO
3はKNに表示する。
【0068】
前記チタン酸化合物がチタン酸ストロンチウム化合物である場合を例示にした高誘電体の製造方法について具体的に説明する。
【0069】
チタン酸ストロンチウム化合物からなる高誘電体は、ドナー(donor)添加物をドナーとして作用するサイトの1〜5mol%添加し、ストロンチウム(Sr)サイトに対比してチタニウム(Ti)サイトを1.00〜1.01のモル比率で含有する。融点が本化合物の焼結温度以下である強誘電体をチタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)固溶体に対比して2〜20mol%添加し、チタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)固溶体を混合して還元雰囲気で1〜2時間焼結した後、酸化雰囲気で30分間〜1時間後続熱処理を行う。
【0070】
ドナー(donor)はストロンチウム(Sr)サイトにランタン(La)またはチタニウム(Ti)サイトにニオブ(Nb)を添加し、添加される位置に対比して1〜5mol%添加する。添加濃度が1mol%未満であれば、還元雰囲気の焼結時に半導性粒子が形成されず、5mol%超過であれば、ドナーとして添加された元素が粒界に析出されるため、1〜5mol%が好適である。
【0071】
融点が本化合物の焼結温度以下である強誘電体は、化合物の焼結過程で融解して粒子の間に入る。焼結後、冷却時に強誘電体物質はそのまま粒界に残るようになって、粒界絶縁型キャパシタモデルにおいて絶縁体として作用して粒界の見かけ誘電定数を増加させる。
【0072】
融点が本化合物の焼結温度以下である強誘電体はABO
3であって、A
+=K、Na、K
0.5Na
0.5あるいはこれらの混合、B
5+=Nb、Taである。KNbO
3、KTaO
3、NaNbO
3、NbTaO
3及びK
0.5Na
0.5NbO
3それぞれの融点は、各々、1039、1370、1412、1780、1140〜1420℃である[F.S.Galasso、「Perovskite and high Tc Superconductors」p.176 Gordon and Breach Science Publishers、New York(1986);B.Jaffe、「Piezoelectric Ceramics」;Academic Press:London、UK(1971)]。したがって、チタン酸ストロンチウム系固溶体に添加する強誘電体は、KNbO
3、KTaO
3、NaTaO
3、K
0.5Na
0.5NbO
3が好ましい。
【0073】
前記強誘電体をストロンチウム系固溶体と混合する時、ストロンチウム系固溶体に対比して2mol%未満であれば、焼結時に全ての粒界に均一に存在し難く、20mol%以上添加される場合には、粒界の厚さd
gbが厚くなることによって見かけ誘電定数ε
appがかえって減少する。したがって、添加する強誘電体は、チタン酸ストロンチウム系固溶体に対比して2〜20mol%が好適である。
【0074】
図4は、本発明の一実施例による粒界絶縁型誘電体において、チタン酸化合物がチタン酸バリウム化合物である場合の製造方法を示すフローチャートである。
【0075】
前記チタン酸化合物がチタン酸バリウム化合物(BaTiO
3)である場合の高誘電体の製造方法(S200、S210、S240)は、前述したチタン酸ストロンチウム化合物の製造方法と類似している。
【0076】
但し、
図4に示すように、チタン酸バリウム化合物に基づいた高誘電体の場合、強誘電体物質とチタン酸化合物にTEOSを添加するステップ(S220)、前記TEOSが添加された混合物に事前熱処理(prefiring)するステップ(S230)がさらに行われることができる。一方、チタン酸バリウムは、チタン酸ストロンチウムと同様にドナーの添加において、バリウム(Ba)サイトをランタン(La)に置換するか、またはそれに相応する原子価が3価以上の元素に置換させて行われることができる。
【0077】
両者の細部的な工程条件上の差異点は以下に記載された実施例を通じて説明する。
【0078】
本発明を下記の実施例を通じて具体的に説明する。但し、下記の実施例は例示的なものであって、本発明の技術的範囲を限定するためのものではない。
【0079】
<実施例1>
本発明による実施例1においては、(100−x)(Sr
0.95La
0.05)Ti
1.01O
3−xKN(x=2、5、10、15、20)を組成とする誘電体を製造した。
【0080】
これらを製造するために用いられた原料粉末はSrCO
3、La
2O
3、TiO
2、KCO
3、Nb
2O
5である。TiO
2は数十ナノの粉末を用いて、全ての工程が完了した後に数百ナノの平均粒子サイズを有するようにした。La
2O
3はドナー(donor)添加物として用いられ、KCO
3及びNb
2O
5は別途に合成して、ドナー添加されたチタン酸ストロンチウムの焼結過程で粒界に位置するようにした。
【0081】
先ず、ランタン(La)がドナーとして作用するSrサイトに位置させ、Tiを若干超過(excess)させるためにSr:La:Tiを0.95:0.05:1.01のモル比率でポリエチレン(polyethylene)瓶に入れ、アルコール溶媒を用いてZrO
2ボールと共に24時間湿式ミル(milling)を行った。ホットプレート(hot plate)でスラリー(slurry)状態まで乾燥した後、80℃のオーブンで完全に乾燥してメノウ乳鉢で粉砕した後にふるい分けした。
【0082】
融点がチタン酸ストロンチウム化合物より低く、ペロブスカイト構造を有する強誘電体KNbO
3を合成するために、K:Nbを1:1のモル比率で上記と同様の方法によりミル、乾燥、粉砕及びふるい分けをした。
【0083】
ランタン(La)添加されたチタン酸ストロンチウム原料混合粉末とKNbO
3原料混合粉末を各々1300℃で4時間、850℃で4時間、ボックス形態の電気炉を利用してか焼した。好ましくは、前記チタン酸ストロンチウムの原料混合物のか焼は1250〜1300℃で行われ、KNbO
3原料混合粉末は800〜900℃で行われることができる。
【0084】
合成されたチタン酸ストロンチウム系粉末にKNbO
3を0、5、10、15、20モル比率で添加してポリエチレン(polyethylene)瓶に入れ、アルコール溶媒を用いてジルコニア(ZrO
2)ボールと共に24時間湿式ミルを行った。上記と同様の方法によりミル、乾燥、粉砕及びふるい分けをした。粒界絶縁型キャパシタの製作のために、直径12mmの金属モールドに合成した粉末を注入して一次的に成形し、200MPaで5分(好ましくは5〜10分)間静水圧成形した。
【0085】
準備された成形体を垂直管状炉で1450℃、窒素雰囲気、2時間焼結して高密度の半導性の粒子を製造した。その後、垂直管状炉で1200℃、常圧、30分の条件で後続熱処理をして粒界を酸化させて粒界絶縁型キャパシタを製造した。好ましくは、前記還元雰囲気の熱処理は1300〜1500℃で行われ、酸化雰囲気の熱処理は1100〜1200℃で行われることができる。
【0086】
<実施例2>
本発明による実施例2においては、(100−x)ST−xKNN(x=2、5、10、15、20)を組成とする誘電体を製造した。
【0087】
これらを製造するために用いられた原料粉末はSrCO
3、La
2O
3、TiO
2、KCO
3、NaCO
3、Nb
2O
5であり、TiO
2は数十ナノの粉末を用いて全ての工程が完了した後に数百ナノの平均粒子サイズを有するようにした。
【0088】
先ず、Sr:La:Tiを0.95:0.05:1.01のモル比率でポリエチレン(polyethylene)瓶に入れ、アルコール溶媒を用いてジルコニア(ZrO
2)ボールと共に24時間湿式ミル(milling)を行った。ホットプレート(hot plate)でスラリー(slurry)状態まで乾燥した後、80℃のオーブンで完全に乾燥してメノウ乳鉢で粉砕した後にふるい分けした。K
0.5Na
0.5NbO
3を合成するために、K:Nbを1:1のモル比率で同様の方法によりミル、乾燥、粉砕及びふるい分けをした。
【0089】
ランタン(La)添加されたチタン酸ストロンチウム原料混合粉末とK
0.5Na
0.5NbO
3原料混合粉末は各々1300℃で4時間、900℃で4時間、ボックス形態の電気炉を利用してか焼した。好ましくは、前記チタン酸ストロンチウムの原料混合物のか焼は1250〜1300℃で行われ、K
0.5Na
0.5NbO
3原料混合粉末は800〜900℃で行われることができる。
【0090】
合成されたチタン酸ストロンチウム系粉末にK
0.5Na
0.5NbO
3を0、5、10、15、20モル比率で添加してポリエチレン(polyethylene)瓶に入れ、アルコール溶媒を用いてZrO
2ボールと共に24時間湿式ミルを行った。上記と同様の方法によりミル、乾燥、粉砕及びふるい分けをした。粒界絶縁型キャパシタの製作のために、直径12mmの金属モールドに合成した粉末を注入して一次的に成形し、200MPaで5分間静水圧成形した。
【0091】
準備された成形体を垂直管状炉で1450℃、窒素雰囲気、2時間焼結して高密度の半導性の粒子を製造した。その後、垂直管状炉で1200℃、常圧、30分間の後続熱処理によって粒界を酸化させて粒界絶縁型キャパシタを製造した。好ましくは、前記還元雰囲気の熱処理は1300〜1500℃で行われ、酸化雰囲気の熱処理は1100〜1200℃で行われることができる。
【0092】
図5は、本発明の実施例による(100−x)ST−xKNNの試片の微細組織を示す走査電子顕微鏡イメージである。両方とも還元雰囲気の焼結は1450℃、N
2、2時間の条件で、酸化雰囲気の後続熱処理は1200℃、常圧(air)、30分の条件で行った。
【0093】
<実施例3>
本発明による実施例3においては、(100−x)(Ba
0.95La
0.05)Ti
1.01O
3−xK
0.5Na
0.5NbO
3(x=2、5、10、15、20)を組成とする誘電体を製造した。
【0094】
これらを製造するために用いられた原料粉末はBaCO
3、La
2O
3、TiO
2、KCO
3、NaCO
3、Nb
2O
5であり、TiO
2は数十ナノの粉末を用いて全ての工程が完了した後に数百ナノの平均粒子サイズを有するようにした。
【0095】
先ず、Ba:La:Tiを0.95:0.05:1.01のモル比率でポリエチレン(polyethylene)瓶に入れ、アルコール溶媒を用いてジルコニア(ZrO
2)ボールと共に24時間湿式ミル(milling)を行った。ホットプレートでスラリー(slurry)状態まで乾燥した後、80℃のオーブンで完全に乾燥してメノウ乳鉢で粉砕した後にふるい分けした。K
0.5Na
0.5NbO
3を合成するために、K:Nbを1:1のモル比率で同様の方法によりミル、乾燥、粉砕及びふるい分けをした。
【0096】
ランタン(La)添加されたチタン酸バリウム原料混合粉末とK
0.5Na
0.5NbO
3原料混合粉末は各々1100℃で4時間、900℃で4時間ボックス形態の電気炉を利用してか焼した。
【0097】
合成されたチタン酸ストロンチウム系粉末にK
0.5Na
0.5NbO
3を0、5、10、15、20モル比率で添加、TEOS(tetra−ethyl ortho silicate)を0〜8wt%添加してポリエチレン(polyethylene)瓶に入れ、アルコール溶媒を用いてZrO
2ボールと共に24時間湿式ミルをし、前記と同様の方法によりミル、乾燥、粉砕及びふるい分けをした。TEOSが0.5〜8wt%添加される場合に誘電特性が向上できる。粒界絶縁型キャパシタの製作のために、直径12mmの金属モールドに合成した粉末を注入して一次的に成形し、200MPaで5分間静水圧成形した。
【0098】
焼結ステップ前に準備された成形体を垂直管状炉で900に5H
2−95N
2雰囲気(還元雰囲気)で、5時間維持させる事前熱処理(prefiring)過程を行った。焼結ステップ前に事前熱処理(prefiring)を行って高誘電体の密度を高めることができ、周波数に応じた誘電定数の変化がさらに少なく起こるようにすることができる。事前熱処理(prefiring)の熱処理雰囲気は5H
2−95N
2雰囲気で行われ、還元雰囲気の焼結と同様の雰囲気で行われることができる。前記事前熱処理(prefiring)によって粉末を製造する過程で流入した不純物を除去することができる。
【0099】
事前熱処理(prefiring)後、1200〜1280℃、5H
2−95N
2雰囲気(還元雰囲気)で、2時間焼結して密度の高い半導性の粒子を製造した。その後、垂直管状炉で1000〜1100℃、N
2または常圧(両者とも酸化雰囲気)、30分間の後続熱処理によって粒界を酸化させてキャパシタを製造した。熱処理温度と雰囲気において、前記温度範囲外では所望の反応が起こらないため、製造された誘電体は誘電特性及び機械的特性が顕著に落ちるのを実験的に確認した。
【0100】
(Ba
0.95La
0.05)Ti
1.01O
3の場合、N
2と常圧すべて酸化雰囲気であるが、酸化程度の差のために誘電特性の差が現れた。N
2で行った場合は高誘電率(高い比誘電率または高い誘電定数)を示す反面、常圧で行った場合は100Hz−1MHzの広い周波数領域で安定した誘電率と低い誘電損失(loss tangent、tanδ)を示した。
【0101】
図6は本発明の実施例によるか焼過程によって製造された(Ba
0.95La
0.05)Ti
1.01O
3粉末の走査電子顕微鏡イメージであり、
図7は90(Ba
0.95La
0.05)Ti
1.01O
3−10KNNにおいて、TEOSの含量に応じた微細組織の変化を示す走査電子顕微鏡イメージである。還元雰囲気の焼結は1200℃、5H
2−95N
2、2時間の条件で、酸化雰囲気の後続熱処理は1100℃、常圧(air)、30分の条件で行った。
【0102】
<分析例>
前記実施例1により製造されたチタン酸ストロンチウム化合物の断面を切った後、6、3、1μmのダイヤモンドサスペンションを用いて順次研磨した。その後、垂直管状炉で1000〜1100℃、1分間加熱エッチング(thermal etching)した後に空気でクエンチング(quenching)し、電子を走査する時に電子が試片の表面に積もる現象を防止するためにオスミウム(Os)で表面をコーティングして走査電子顕微鏡(Scanning Electronic Microscopy)で観察した。
【0103】
固溶体の上面、下面を30μmに研磨した後、シルバーペースト(Ag paste)をシルクスクリーン技法により一面に塗り、120℃のオーブンで30分間乾燥してペースト(paste)に含まれた有機物を除去した。反対側の面も同一過程を繰り返し行った。0.5V、100Hz〜5.5MHzで比誘電率及び誘電損失を測定した。SEMによって求めた平均粒子サイズ、XRD分析、1MHzでの比誘電率及び誘電損失を測定した。
【0104】
図8(a)は本発明による(100−x)(Sr
0.95La
0.05)Ti
1.01O
3−xKNNにおいて測定した周波数に応じた比誘電率値の変化を示すものであり、(b)は誘電損失値の変化を示すグラフである。
【0105】
図8(a)、(b)、表1を参照すれば、チタン酸ストロンチウム化合物に基づいた誘電体の場合、小さい粒子サイズにもかかわらず、高周波数領域で高い比誘電率と低い誘電損失を示すのを確認することができる。下記の表1は、チタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)に基づいた誘電体の比誘電率(dielectric constant)及び誘電損失(dielectric loss)を示すものである。
【0107】
本発明によるチタン酸ストロンチウム化合物に基づいた誘電体は、粒子サイズ0.3μm〜1μmにおいて1MHzの高周波数領域で比誘電率4600以上の高い比誘電率数値を示し、誘電損失も5%未満の数値を示した。
【0108】
図9(a)は(100−x)(Sr
0.95La
0.05)Ti
1.01O
3−xKNにおいて測定した周波数に応じた比誘電率値の変化を示すものであり、(b)は誘電損失値の変化を示すグラフである。
【0109】
図9を参照すれば、周波数領域に関係なく比誘電率及び誘電損失の数値が大きな変化なしに一定に維持されるのを確認することができる。数値的に比誘電率は約0〜10の変化幅内に、誘電損失は約0〜5%の変化幅内に維持されるのを確認した。一方、誘電体の粒子サイズは0.5μm以下の値を示した。
【0110】
下記の表2は、(100−x)(Sr
0.95La
0.05)Ti
1.01O
3−xKN誘電体の比誘電率(dielectric constant)及び誘電損失(dielectric loss)等を示すものである。
【0112】
図10(a)は(100−x)BT−xKNNにおいて、後続熱処理過程の酸化雰囲気がN
2酸化雰囲気からなる(100−x)BT−xKNNにおいて測定した周波数に応じた比誘電率値の変化を示すものであり、(b)は誘電損失値の変化を示すグラフである。
【0113】
還元雰囲気の焼結は1200℃、5H
2−95N
2、2時間の条件で行われ、酸化雰囲気の後続熱処理は1050または1100℃、N
2、30分の条件で、90BT−10KNN、80BT−20KNNにおいて行った。
【0114】
実験により、粒子サイズ0.2μm〜1μmにおいて1MHzの高周波数領域で1400〜3000の比誘電率を示し、誘電損失は10〜20%数値を示すのを確認した。
【0115】
図11(a)は(100−x)BT−xKNNにおいて、後続熱処理過程の酸化雰囲気がN
2酸化雰囲気からなる90BT−10KNNにおいてTEOSの添加に応じた比誘電率値の変化を示すものであり、(b)は誘電損失値の変化を示すグラフである。
【0116】
90BT−10KNNにおいて還元雰囲気の焼結は1200℃、5H
2−95N
2、2時間で、酸化雰囲気後続熱処理は1100℃、N
2、30分で行われ、TEOS(tetraethyl orthosilicate)の含量は0、0.5、2wt%にして測定した。
図10(a)、(b)と比較する時、一定量のTEOSが添加される場合、1MHz周波数領域で1900〜3200の比誘電率を、10〜18%の誘電損失を示した。
【0117】
図12(a)は(100−x)BT−xKNNにおいて、後続熱処理過程の酸化雰囲気がN
2酸化雰囲気からなる90BT−10KNNにおいて焼結の前ステップとして事前熱処理(prefiring)ステップを経る場合、比誘電率値の変化を示すものであり、(b)は誘電損失値の変化を示すグラフである。
【0118】
図11で説明した条件と同様の条件にして、焼結前に事前熱処理(prefiring)工程を行った時の、比誘電率と誘電損失を測定した。事前熱処理(prefiring)は900℃、5H
2−95N
2、5時間の条件で行った。
【0119】
一例として、
図11(a)の青色グラフ(2wt%のTEOSを添加した比誘電率)と
図11(a)の黒色グラフ(2wt%のTEOSを添加した比誘電率)を比較してみれば、焼結前に事前熱処理(prefiring)を行った時、誘電定数の変化幅がさらに少ないことを、すなわち、周波数領域に関係なく誘電定数が比較的に一定に維持されることが分かる。
【0120】
図13(a)は(100−x)BT−xKNNにおいて、後続熱処理過程がN
2酸化雰囲気で行われた時、還元雰囲気で行う焼結温度に応じた90BT−10KNNの比誘電率値の変化を示すものであり、(b)は誘電損失値の変化を示すグラフである。
【0121】
還元雰囲気の温度は1200、1250、1280℃で各々行った。
【0122】
下記の表3は
図10〜
図13のデータを整理したものである。
【0124】
図14(a)は(100−x)BT−xKNNにおいて、後続熱処理過程の酸化雰囲気が常圧(air)酸化雰囲気からなる(100−x)BT−xKNNにおいて測定した周波数に応じた比誘電率値の変化を示すものであり、(b)は誘電損失値の変化を示すグラフである。
【0125】
還元雰囲気の焼結は1200℃、5H
2−95N
2、2時間の条件で行われ、酸化雰囲気の後続熱処理は1050または1100℃、常圧(air)、30分の条件で、90BT−10KNN、80BT−20KNNにおいて行った。
【0126】
図14を参照すれば、周波数領域に関係なく比誘電率及び誘電損失の数値が大きな変化なしに一定に維持されるのを確認することができる。数値的に粒子サイズ0.2μm〜1μmにおいて比誘電率は約0〜20の変化幅内に、誘電損失は約0〜2%の変化幅内に維持されるのを確認した。
【0127】
図15(a)は(100−x)BT−xKNNにおいて、後続熱処理過程の酸化雰囲気が常圧(air)酸化雰囲気からなる90BT−10KNNにおいてTEOSの添加に応じた比誘電率値の変化を示すものであり、(b)は誘電損失値の変化を示すグラフである。
【0128】
90BT−10KNNにおいて還元雰囲気の焼結は1200℃、5H
2−95N
2、2時間で、酸化雰囲気の熱処理は1100℃、常圧(air)、30分で行われ、TEOS(tetraethyl orthosilicate)の含量は0、0.5、2wt%にして測定した。
図14(a)、(b)と比較する時、一定量のTEOSが添加される場合、1MHz周波数領域で比誘電率と誘電損失が高い範囲でさらに少ない変化幅に維持されるのを確認することができる。
【0129】
図16(a)は(100−x)BT−xKNNにおいて、後続熱処理過程の酸化雰囲気が常圧(air)酸化雰囲気からなる90BT−10KNNにおいて焼結の前ステップとして事前熱処理(prefiring)ステップを経る場合、比誘電率値の変化を示すものであり、(b)は誘電損失値の変化を示すグラフである。
【0130】
図15で説明した条件と同様の条件により、焼結前に事前熱処理(prefiring)工程を行った時の、比誘電率と誘電損失を測定した。事前熱処理(prefiring)は900℃、5H
2−95N
2、5時間の条件で行った。
【0131】
図15と比較する時、焼結前に事前熱処理(prefiring)を行った時、比誘電率と誘電損失が高い範囲でさらに少ない変化幅に維持されるのを確認することができる。
【0132】
図17(a)は(100−x)BT−xKNNにおいて、後続熱処理過程が常圧(air)酸化雰囲気で行われた時、還元雰囲気の焼結温度に応じた90BT−10KNNの比誘電率値の変化を示すものであり、(b)は誘電損失値の変化を示すグラフである。
【0133】
還元雰囲気の温度は1200、1250、1280℃で各々行った。
【0134】
下記の表4は
図14〜
図17のデータを整理したものである。
【表4】
【0135】
以上で本発明の代表的な実施例を詳細に説明したが、本発明に属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、上述した実施例に対して本発明の範疇を逸脱しない限度内で様々な変形が可能であることを理解するものであろう。したがって、本発明の権利範囲は説明された実施例に限定して定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、該特許請求の範囲と均等なものによって定められなければらない。