特許第6541885号(P6541885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 深▲せん▼市華星光電技術有限公司の特許一覧

<>
  • 特許6541885-表示パネルの作製方法及び液晶表示装置 図000002
  • 特許6541885-表示パネルの作製方法及び液晶表示装置 図000003
  • 特許6541885-表示パネルの作製方法及び液晶表示装置 図000004
  • 特許6541885-表示パネルの作製方法及び液晶表示装置 図000005
  • 特許6541885-表示パネルの作製方法及び液晶表示装置 図000006
  • 特許6541885-表示パネルの作製方法及び液晶表示装置 図000007
  • 特許6541885-表示パネルの作製方法及び液晶表示装置 図000008
  • 特許6541885-表示パネルの作製方法及び液晶表示装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6541885
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】表示パネルの作製方法及び液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20190628BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   G02F1/1337 505
   G02F1/1337 520
   G02F1/13 101
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-529032(P2018-529032)
(86)(22)【出願日】2016年2月22日
(65)【公表番号】特表2018-537717(P2018-537717A)
(43)【公表日】2018年12月20日
(86)【国際出願番号】CN2016074213
(87)【国際公開番号】WO2017124595
(87)【国際公開日】20170727
【審査請求日】2018年6月4日
(31)【優先権主張番号】201610041414.8
(32)【優先日】2016年1月21日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516010618
【氏名又は名称】深▲せん▼市華星光電技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN CHINA STAR OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】▲はお▼ 思坤
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−133430(JP,A)
【文献】 特開2006−072324(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104062812(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0325453(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0201432(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第1818763(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第105116621(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104238194(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第102087440(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/109764(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルの作製方法であって、
対向して設置される第1電極板、第2電極板、及び前記第1電極板と前記第2電極板との間に設置されて第1透明電極と第1配向膜とを少なくとも含むアレイ基板を提供する工程と、
電界方向が前記アレイ基板と垂直になって交流電界または直流電界である第1電界を、前記第1電極板と前記第2電極板との間に印加するとともに、偏光方向が前記アレイ基板と平行になる紫外光を用いて前記第1配向膜に第1光配向を行う工程と、
対向して設置される第3電極板及びカラーフィルム基板を提供する工程であって、前記カラーフィルム基板が第2透明電極及び第2配向膜を少なくとも含み、前記第2配向膜が前記第3電極板と前記第2透明電極との間に位置する工程と、
電界方向が前記カラーフィルム基板と垂直になる第2電界を、前記第3電極板と前記第2透明電極との間に印加するとともに、偏光方向が前記カラーフィルム基板と平行になる紫外光を用いて前記第2配向膜に第2光配向を行う工程と、
前記アレイ基板及び前記カラーフィルム基板に液晶セルの配向処理を施して表示パネルを形成する工程と、を含むことを特徴とする表示パネルの作製方法。
【請求項2】
前記第1電極板及び前記第2電極板は、複数の帯状電極を含み、
前記第1電極板の各帯状電極と前記第2電極板の各帯状電極とは、1対1で対応して複数の帯状電極群を形成し、
前記第1電極板と前記第2電極板との間に第1電界を印加するとともに、前記第1配向膜に第1光配向を行う前記工程は、各前記帯状電極群の間に電界を印加するとともに、前記第1配向膜に第3光配向を行う工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
隣り合う2つの前記帯状電極群に印加される電界の大きさは異なることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
隣り合う2つの前記帯状電極に対応する前記第1配向膜の2つの領域において、前記第3光配向を行う場合、光照射方向と前記アレイ基板とのなす角度が異なることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
対向して設置される第3電極板及びカラーフィルム基板を提供する前記工程は、対向して設置される第4電極板、第5電極板、及び前記第4電極板と前記第5電極板との間に設置されて第3配向膜を少なくとも含む前記カラーフィルム基板を提供する工程を含み、
前記第3電極板と前記第2透明電極との間に第2電界を印加するとともに、前記第2配向膜に第2光配向を行う前記工程は、前記第4電極板と前記第5電極板との間に第3電界を印加するとともに、前記第3配向膜に第4光配向を行う工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第4電極板及び前記第5電極板は、複数の帯状電極を含み、
前記第4電極板の各帯状電極と前記第5電極板の各帯状電極とは、1対1で対応して複数の帯状電極群を形成し、
前記第4電極板と前記第5電極板との間に第3電界を印加するとともに、前記第3配向膜に第4光配向を行う前記工程は、各前記帯状電極群の間に電界を印加するとともに、前記第3配向膜に第5光配向を行う工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1電極板、第2電極板、第3電極板、第4電極板及び第5電極板は、いずれも透明基板と、前記透明基板上に設置される透明電極層とを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
表示パネルの作製方法であって、
対向して設置される第1電極板、第2電極板、及び前記第1電極板と前記第2電極板との間に設置されて第1透明電極と第1配向膜とを少なくとも含むアレイ基板を提供する工程と、
前記第1電極板と前記第2電極板との間に第1電界を印加するとともに、前記第1配向膜に第1光配向を行う工程と、
対向して設置される第3電極板及びカラーフィルム基板を提供する工程であって、前記カラーフィルム基板が第2透明電極及び第2配向膜を少なくとも含み、前記第2配向膜が前記第3電極板と前記第2透明電極との間に位置する工程と、
前記第3電極板と前記第2透明電極との間に第2電界を印加するとともに、前記第2配向膜に第2光配向を行う工程と、
前記アレイ基板及び前記カラーフィルム基板に液晶セルの配向処理を施して表示パネルを形成する工程と、を含むことを特徴とする表示パネルの作製方法。
【請求項9】
前記第1電界及び前記第2電界は、交流電界または直流電界であり、
前記第1電界の方向は、前記アレイ基板と垂直になり、
前記第2電界の方向は、前記カラーフィルム基板と垂直になることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1光配向で用いられる光照射は、偏光方向が前記アレイ基板と平行になる紫外光であり、
前記第2光配向で用いられる光照射は、偏光方向が前記カラーフィルム基板と平行になる紫外光であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1電極板及び前記第2電極板は、複数の帯状電極を含み、
前記第1電極板の各帯状電極と前記第2電極板の各帯状電極とは、1対1で対応して複数の帯状電極群を形成し、
前記第1電極板と前記第2電極板との間に第1電界を印加するとともに、前記第1配向膜に第1光配向を行う前記工程は、各前記帯状電極群の間に電界を印加するとともに、前記第1配向膜に第3光配向を行う工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
隣り合う2つの前記帯状電極群に印加される電界の大きさは異なることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
隣り合う2つの前記帯状電極に対応する前記第1配向膜の2つの領域において、前記第3光配向を行う場合、光照射方向と前記アレイ基板とのなす角度が異なることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
対向して設置される第3電極板及びカラーフィルム基板を提供する前記工程は、対向して設置される第4電極板、第5電極板、及び前記第4電極板と前記第5電極板との間に設置されて第3配向膜を少なくとも含む前記カラーフィルム基板を提供する工程を含み、
前記第3電極板と前記第2透明電極との間に第2電界を印加するとともに、前記第2配向膜に第2光配向を行う前記工程は、前記第4電極板と前記第5電極板との間に第3電界を印加するとともに、前記第3配向膜に第4光配向を行う工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記第4電極板及び前記第5電極板は、複数の帯状電極を含み、
前記第4電極板の各帯状電極と前記第5電極板の各帯状電極とは、1対1で対応して複数の帯状電極群を形成し、
前記第4電極板と前記第5電極板との間に第3電界を印加するとともに、前記第3配向膜に第4光配向を行う前記工程は、各前記帯状電極群の間に電界を印加するとともに、前記第3配向膜に第5光配向を行う工程を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1電極板、第2電極板、第3電極板、第4電極板及び第5電極板は、いずれも透明基板と、前記透明基板上に設置される透明電極層とを含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
向して設置される第1電極板、第2電極板、及び前記第1電極板と前記第2電極板との間に設置されて第1透明電極と第1配向膜とを少なくとも含むアレイ基板を提供する工程と、
前記第1電極板と前記第2電極板との間に第1電界を印加するとともに、前記第1配向膜に第1光配向を行う工程と、
対向して設置される第3電極板及びカラーフィルム基板を提供する工程であって、前記カラーフィルム基板が第2透明電極及び第2配向膜を少なくとも含み、前記第2配向膜が前記第3電極板と前記第2透明電極との間に位置する工程と、
前記第3電極板と前記第2透明電極との間に第2電界を印加するとともに、前記第2配向膜に第2光配向を行う工程と、
前記アレイ基板及び前記カラーフィルム基板に液晶セルの配向処理を施して表示パネルを形成する工程と、
前記表示パネル及びバックライトにより液晶表示装置を形成する工程と
を含むことを特徴とする液晶表示装置の作製方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示技術分野に関し、特に、表示パネルの作製方法及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、テレビ用液晶パネル(LCD−TV)の表示モードとしては、主に垂直配向(Vertical Alignment;VA)技術や横電界(In Plane Switching;IPS)技術が用いられる。なお、VA技術は、マルチドメイン垂直配向(Multi−domain Vertical Alignment;MVA)技術やパターン垂直配向(Pattern Vertical Alignment;PVA)技術などを含む。これらの技術では、突起や隙間などのドメイン境界の存在により、開口率が低く、コントラストが低下し、応答速度が遅く、プロセスが複雑になるなどの問題を引き起こす。
【0003】
光配向技術では、主に紫外光を用いて、光感度が高くて安定性が優れた配向材に光配向を行う。このように作製された液晶パネルは、ドメイン境界が不要となり、高開口率、高コントラスト、高速応答などの特性を有し、従来のモードによって解消できない問題点を解消することができ、液晶業界において盛んに研究されつつある。
【0004】
液晶表示装置の配向膜は、配向処理が施されないと、液晶分子の並びを効果的に制御することができない。配向技術は、主にラビング(Rubbing)法及びノンーラビング(Non−Rubbing)法である二種類の方法に分けられる。ラビング配向処理では、高分子PIの表面を起毛布ローラで接触式かつ一方向に機械的にラビングし、高分子の表面をラビングして生じるエネルギーで高分子の主鎖を延伸して一方向に並べることで、液晶の配向を制御する。このような方法のメリットとしては、常温で操作可能であり、ラビング時間が短くて量産性に優れることである。一方、そのデメリットとしては、PI材料が高極性、高吸水性を有するため、収容や搬送時に変質して配向の不均一を招きやすいほか、ラビングによるダスト粒子や静電気の付着、ブラッシングマークなどの問題によって、プロセスの歩留まりが低下しやすくなることである。光配向技術は、ノンーラビング配向法に属する。光配向技術の原理としては、紫外光を用いて感光性ポリマー単体材料を光化学反応させることで異方性を生じさせ、液晶分子と配向膜の表面分子を相互に作用させ、エネルギー最小の定常状態に達するため、光配向によって定義された、最も力のかかる方向に沿って液晶分子を並べ、光配向製品全体の性能を向上させることである。なお、ノンーラビング配向処理は、機械的ラビングによる配向膜への悪影響を防止することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が主に解決しようとする技術的課題は、垂直方向における液晶分子のプレチルト角を改善し、液晶表示装置のコントラストを向上可能な表示パネルの作製方法及び液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した問題を解決するために、本発明が採用する技術方案は表示パネルの作製方法を提供することである。この方法は、対向して設置される第1電極板、第2電極板、及び第1電極板と第2電極板との間に設置されて第1透明電極と第1配向膜とを少なくとも含むアレイ基板を提供する工程と、電界方向がアレイ基板と垂直になって交流電界または直流電界である第1電界を、第1電極板と第2電極板との間に印加するとともに、偏光方向がアレイ基板と平行になる紫外光を用いて第1配向膜に第1光配向を行う工程と、対向して設置される第3電極板及びカラーフィルム基板を提供する工程であって、カラーフィルム基板が第2透明電極及び第2配向膜を少なくとも含み、第2配向膜が第3電極板と第2透明電極との間に位置する工程と、電界方向がカラーフィルム基板と垂直になる第2電界を、第3電極板と第2透明電極との間に印加するとともに、偏光方向がカラーフィルム基板と平行になる紫外光を用いて第2配向膜に第2光配向を行う工程と、アレイ基板及びカラーフィルム基板に液晶セルの配向処理を施して表示パネルを形成する工程と、を含む。
【0007】
第1電極板及び第2電極板は、複数の帯状電極を含む。第1電極板の各帯状電極と第2電極板の各帯状電極とは、1対1で対応して複数の帯状電極群を形成する。第1電極板と第2電極板との間に第1電界を印加するとともに、第1配向膜に第1光配向を行う工程は、各帯状電極群の間に電界を印加するとともに、第1配向膜に第3光配向を行う工程を含む。
【0008】
隣り合う2つの帯状電極群に印加される電界の大きさは異なる。
【0009】
隣り合う2つの帯状電極に対応する第1配向膜の2つの領域において、第3光配向を行う場合、光照射方向とアレイ基板とのなす角度が異なる。
【0010】
対向して設置される第3電極板及びカラーフィルム基板を提供する工程は、対向して設置される第4電極板、第5電極板、及び第4電極板と第5電極板との間に設置されて第3配向膜を少なくとも含むカラーフィルム基板を提供する工程を含む。第3電極板と第2透明電極との間に第2電界を印加するとともに、第2配向膜に第2光配向を行う工程は、第4電極板と第5電極板との間に第3電界を印加するとともに、第3配向膜に第4光配向を行う工程を含む。
【0011】
第4電極板及び第5電極板は、複数の帯状電極を含む。第4電極板の各帯状電極と第5電極板の各帯状電極とは、1対1で対応して複数の帯状電極群を形成する。第4電極板と第5電極板との間に第3電界を印加するとともに、第3配向膜に第4光配向を行う工程は、各帯状電極群の間に電界を印加するとともに、第3配向膜に第5光配向を行う工程を含む。
【0012】
第1電極板、第2電極板、第3電極板、第4電極板及び第5電極板は、いずれも透明基板と、透明基板上に設置される透明電極層とを含む。
【0013】
上述した問題を解決するために、本発明が採用する他の技術方案は表示パネルの作製方法を提供することである。この方法は、対向して設置される第1電極板、第2電極板、及び第1電極板と第2電極板との間に設置されて第1透明電極と第1配向膜とを少なくとも含むアレイ基板を提供する工程と、第1電極板と第2電極板との間に第1電界を印加するとともに、第1配向膜に第1光配向を行う工程と、対向して設置される第3電極板及びカラーフィルム基板を提供する工程であって、カラーフィルム基板が第2透明電極及び第2配向膜を少なくとも含み、第2配向膜が第3電極板と第2透明電極との間に位置する工程と、第3電極板と第2透明電極との間に第2電界を印加するとともに、第2配向膜に第2光配向を行う工程と、アレイ基板及びカラーフィルム基板に液晶セルの配向処理を施して表示パネルを形成する工程と、を含む。
【0014】
第1電界及び第2電界は、交流電界または直流電界である。第1電界の方向は、アレイ基板と垂直になる。第2電界の方向は、カラーフィルム基板と垂直になる。
【0015】
第1光配向で用いられる光照射は、偏光方向がアレイ基板と平行になる紫外光である。第2光配向で用いられる光照射は、偏光方向がカラーフィルム基板と平行になる紫外光である。
【0016】
第1電極板及び第2電極板は、複数の帯状電極を含む。第1電極板の各帯状電極と第2電極板の各帯状電極とは、1対1で対応して複数の帯状電極群を形成する。第1電極板と第2電極板との間に第1電界を印加するとともに、第1配向膜に第1光配向を行う工程は、各帯状電極群の間に電界を印加するとともに、第1配向膜に第3光配向を行う工程を含む。
【0017】
隣り合う2つの帯状電極群に印加される電界の大きさは異なる。
【0018】
隣り合う2つの帯状電極に対応する第1配向膜の2つの領域において、第3光配向を行う場合、光照射方向とアレイ基板とのなす角度が異なる。
【0019】
対向して設置される第3電極板及びカラーフィルム基板を提供する工程は、対向して設置される第4電極板、第5電極板、及び第4電極板と第5電極板との間に設置されて第3配向膜を少なくとも含むカラーフィルム基板を提供する工程を含む。第3電極板と第2透明電極との間に第2電界を印加するとともに、第2配向膜に第2光配向を行う工程は、第4電極板と第5電極板との間に第3電界を印加するとともに、第3配向膜に第4光配向を行う工程を含む。
【0020】
第4電極板及び第5電極板は、複数の帯状電極を含む。第4電極板の各帯状電極と第5電極板の各帯状電極とは、1対1で対応して複数の帯状電極群を形成する。第4電極板と第5電極板との間に第3電界を印加するとともに、第3配向膜に第4光配向を行う工程は、各帯状電極群の間に電界を印加するとともに、第3配向膜に第5光配向を行う工程を含む。
【0021】
第1電極板、第2電極板、第3電極板、第4電極板及び第5電極板は、いずれも透明基板と、透明基板上に設置される透明電極層とを含む。
【0022】
上述した問題を解決するために、本発明が採用するもう1つの技術方案は液晶表示装置を提供することである。この液晶表示装置は、バックライト及び表示パネルを含む。当該表示パネルの作製方法は、対向して設置される第1電極板、第2電極板、及び第1電極板と第2電極板との間に設置されて第1透明電極と第1配向膜とを少なくとも含むアレイ基板を提供する工程と、第1電極板と第2電極板との間に第1電界を印加するとともに、第1配向膜に第1光配向を行う工程と、対向して設置される第3電極板及びカラーフィルム基板を提供する工程であって、カラーフィルム基板が第2透明電極及び第2配向膜を少なくとも含み、第2配向膜が第3電極板と第2透明電極との間に位置する工程と、第3電極板と第2透明電極との間に第2電界を印加するとともに、第2配向膜に第2光配向を行う工程と、アレイ基板及びカラーフィルム基板に液晶セルの配向処理を施して表示パネルを形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0023】
従来技術に比べて、本発明では、アレイ基板及びカラーフィルム基板の光配向の作製中に、光照射を行いつつ配向膜の垂直方向において電界を印加する。こうすることで、配向膜は、光配向における光照射で水平方向における液晶分子のプレチルト角を改善することができるとともに、垂直方向の電界で垂直方向における液晶分子のプレチルト角を改善することができる。上記形態により、液晶表示装置のコントラストを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る表示パネルの作製方法の第1実施形態を示すフローチャートである。
図2】本発明に係る表示パネルの作製方法の第1実施形態のアレイ基板の光配向を示す図である。
図3】本発明に係る表示パネルの作製方法の第1実施形態のカラーフィルム基板の光配向を示す図である。
図4】本発明に係る表示パネルの作製方法の第1実施形態の表示パネルの構成を示す図である。
図5】本発明に係る表示パネルの作製方法の第2実施形態を示すフローチャートである。
図6】本発明に係る表示パネルの作製方法の第2実施形態のアレイ基板の光配向を示す図である。
図7】本発明に係る表示パネルの作製方法の第2実施形態のカラーフィルム基板の光配向を示す図である。
図8】本発明に係る液晶表示装置の一実施形態の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明に係る表示パネルの作製方法の第1実施形態を示すフローチャートである。図1に示すように、この方法は以下のステップを含む。
S11:対向して設置される第1電極板、第2電極板、及び第1電極板と第2電極板との間に設置されるアレイ基板を提供する。なお、アレイ基板は、少なくとも、第1透明電極及び第1配向膜を含む。
【0026】
S12:第1電極板と第2電極板との間に第1電界を印加するとともに、第1配向膜に第1光配向を行う。
【0027】
図2は、本発明に係る表示パネルの作製方法の第1実施形態のアレイ基板の光配向を示す図である。以下、図2を参照しながら、本実施形態について説明を行う。
なお、第1電極板21は、透明基板211及び第1透明電極層212を含み、第2電極板22は、透明基板221及び第2透明電極層222を含む。
【0028】
好ましくは、透明基板211及び透明基板221は、透明のガラス基板または透明のプラスチック基板であり、第1透明電極層212及び第2透明電極層222は、透明の金属酸化物、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)であり、第1透明電極層212及び第2透明電極層222は、物理的気相成長法または化学的気相成長法によって透明基板上に形成される。
【0029】
なお、アレイ基板23は、透明基板231、絶縁層232、第1透明電極233、及び第1透明電極233を覆う第1配向膜234を含む。
【0030】
好ましくは、透明基板231と絶縁層232との間には、薄膜トランジスタや平坦層、共通電極などのほかの層がさらに設けられてもよい。本実施形態では、上記構成の作製工程について説明を省略するため、上記構成が図面に示されていない。
【0031】
好ましくは、第1透明電極233は、画素電極である。
【0032】
好ましくは、前記配向膜層は、一般的に、PI液を用いて形成される。PI液の主な成分としては、紫外線感光性基を有するポリイミド及び溶剤が用いられる。PI液は、LCD配向膜を作製するための化学液体であり、導電性ガラスに印刷されて焼成された後に配向膜を形成し、液晶分子に1つのプレチルト角を付与し、液晶分子の回転方向の一致性を向上させる。
【0033】
作製過程において、電源24の両極を第1透明電極層212及び第2透明電極層222にそれぞれ接続することで、電界方向がアレイ基板23と垂直になる第1電界を第1透明電極層212と第2透明電極層222との間に形成させる。その後、第1光照射により第1配向膜234に第1光配向処理を施す。
【0034】
好ましくは、前記第1電界は、交流電界または直流電界であり、電界方向がアレイ基板23と垂直になる。なお、交流電界よりも直流電界を印加するメリットとしては、電界が安定し、時間によって変化することなく、配向膜による配向に有利になることである。一方、そのデメリットとしては、電荷を容易に生じて配向膜による配向に影響を与えることである。
【0035】
好ましくは、前記第1光照射は、偏光紫外光であり、その入射方向がアレイ基板23と垂直になり、その偏光方向がアレイ基板23と平行になる。
【0036】
上記形態では、紫外光の光配向処理により、水平方向における液晶分子のプレチルト角を改善するとともに、垂直方向において電界によって第1配向膜の配向を制御することで、垂直方向における液晶分子のプレチルト角を改善する。
【0037】
S13:対向して設置される第3電極板及びカラーフィルム基板を提供する。なお、カラーフィルム基板は、少なくとも、第2透明電極及び第2配向膜を含む。第2配向膜は、第3電極板と第2透明電極との間に位置する。
【0038】
S14:第3電極板と第2透明電極との間に第2電界を印加するとともに、第2配向膜に第2光配向を行う。
【0039】
図3は、本発明に係る表示パネルの作製方法の第1実施形態のカラーフィルム基板の光配向を示す図である。以下、図3を参照しながら、本実施形態について説明を行う。
なお、第3電極板31は、透明基板311及び第3透明電極層312を含む。
【0040】
好ましくは、透明基板311は、透明のガラス基板または透明のプラスチック基板であり、第3透明電極層312は、透明の金属酸化物、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)であり、物理的気相成長法または化学的気相成長法によって透明基板上に形成される。
【0041】
なお、カラーフィルム基板32は、透明基板321と、透明基板321の一方側に設置される第2透明電極322と、透明基板321の他方側に設置される第2配向膜323とを含む。
【0042】
好ましくは、カラーフィルム基板32は、カラー光学フィルタをさらに含んでもよい。
【0043】
好ましくは、第2透明電極322は、共通電極である。
【0044】
作製過程において、電源33の両極を第3透明電極層312及び第2透明電極322にそれぞれ接続することで、電界方向がカラーフィルム基板32と垂直になる第2電界を第3透明電極層312と第2透明電極322との間に形成させる。その後、第2光照射により第2配向膜323に第2光配向処理を施す。
【0045】
好ましくは、前記第2電界は、交流電界または直流電界であり、この電界の方向がカラーフィルム基板32と垂直になる。
【0046】
好ましくは、前記第2光照射は、偏光紫外光であり、その入射方向がカラーフィルム基板32と垂直になり、その偏光方向がカラーフィルム基板32と平行になる。
【0047】
上記形態では、紫外光の光配向処理により、水平方向における液晶分子のプレチルト角を改善するとともに、垂直方向において電界によって第2配向膜の配向を制御することで、垂直方向における液晶分子のプレチルト角を改善する。
【0048】
S15:アレイ基板及びカラーフィルム基板に液晶セルの配向処理を施して表示パネルを形成する。
【0049】
図4は、本発明に係る表示パネルの作製方法の第1実施形態の表示パネルの構成を示す図である。図2及び図3を合わせて参照しながら、本実施形態について説明を行う。
【0050】
アレイ基板23及びカラーフィルム基板32に液晶セルの配向処理を施して表示パネルを形成する。なお、アレイ基板23の第1配向膜234及びカラーフィルム基板32の第2配向膜323により、液晶分子の水平方向及び垂直方向におけるプレチルト角を改善することができる。
【0051】
従来技術に比べて、本実施形態では、アレイ基板及びカラーフィルム基板の光配向の作製中に、光照射を行いつつ配向膜の垂直方向において電界を印加する。こうすることで、配向膜は、光配向における光照射で水平方向における液晶分子のプレチルト角を改善することができるとともに、垂直方向の電界で垂直方向における液晶分子のプレチルト角を改善することができる。上記形態により、液晶表示装置のコントラストを向上させることができる。
【0052】
図5は、本発明に係る表示パネルの作製方法の第2実施形態を示すフローチャートである。図5に示すように、この方法は以下のステップを含む。
S51:対向して設置される第1電極板、第2電極板、及び第1電極板と第2電極板との間に設置されるアレイ基板を提供する。
図6に示すように、アレイ基板63は、少なくとも、第1透明電極633及び第1配向膜634を含む。
【0053】
第1電極板61は、透明基板611と、その上面に設置される複数の帯状電極612とを含む。第2電極板62は、透明基板621と、その上面に設置される複数の帯状電極622とを含む。第1電極板61の各帯状電極612と第2電極板62の各帯状電極622とは、1対1で対応して複数の帯状電極群を形成する。
【0054】
S52:各帯状電極群の間に電界を印加するとともに、第1配向膜に第3光配向を行う。
【0055】
S53:対向して設置される第4電極板、第5電極板、及び第4電極板と第5電極板との間に設置されるカラーフィルム基板を提供する。
カラーフィルム基板73は、少なくとも第3配向膜733を含む。
【0056】
第4電極板71は、透明基板711と、その上面に設置される複数の帯状電極712とを含む。第5電極板72は、透明基板721と、その上面に設置される複数の帯状電極722とを含む。第4電極板71の各帯状電極712と第5電極板72の各帯状電極722とは、1対1で対応して複数の帯状電極群を形成する。
【0057】
S54:各帯状電極群の間に電界を印加するとともに、第3配向膜に第5光配向を行う。
【0058】
S55:アレイ基板及びカラーフィルム基板に液晶セルの配向処理を施して表示パネルを形成する。
【0059】
好ましくは、隣り合う2つの帯状電極群に印加される電界の大きさは異なり、隣り合う2つの帯状電極に対応する第1配向膜の2つの領域において、第3光配向を行う場合、光照射方向とアレイ基板とのなす角度が異なる。すなわち、隣り合う2つの領域の電界が異なり、光照射方向も異なる。
【0060】
好ましくは、各帯状電極群に印加される電界の大きさは同じであり、隣り合う2つの帯状電極に対応する第1配向膜の2つの領域において、第3光配向を行う場合、光照射方向とアレイ基板との角度が異なる。すなわち、隣り合う2つの領域の電界が同じであるが、光照射方向が異なる。
【0061】
上記形態では、帯状電極によって異なる電界を印加したり、配向膜の異なる領域に対して異なる角度で光照射を行ったりすることで、配向膜によって液晶分子のプレチルト角を改善する場合、異なる領域の液晶分子のプレチルト角が異なり、表示時に液晶表示装置の表示角度をより広くすることができる。
【0062】
前記第2実施形態は、上記第1実施形態と類似するが、電極板の形状及び電界強度の分布で第1実施形態と異なり、その詳細な説明を省略する。
【0063】
図8は、本発明に係る液晶表示装置の一実施形態の構成を示す図である。前記液晶表示装置は、表示パネル81及びバックライト82を含む。表示パネル81は、アレイ基板811、カラーフィルム基板812、及びアレイ基板811とカラーフィルム基板812との間に設置される液晶層813を含む。
【0064】
なお、表示パネル81は、上記第1実施形態または第2実施形態の方法を用いて作製された表示パネルであり、その実施形態が上記実施形態と類似するため、詳細な説明を省略する。
【0065】
上述したのは、本発明の実施形態に過ぎず、これによって本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。本発明の明細書及び図面の内容を用いて行われた同等の構造または同等のプロセスの変換、または他の関連技術領域に直接または間接的に適用することは、いずれも本発明の特許請求の保護範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8