(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6541888
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】しわを改善した機能性化粧品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20190628BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20190628BHJP
A61K 8/98 20060101ALI20190628BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20190628BHJP
A61K 8/9755 20170101ALI20190628BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20190628BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20190628BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/25
A61K8/98
A61K8/92
A61K8/9755
A61K8/60
A61K8/19
A61Q19/00
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-534452(P2018-534452)
(86)(22)【出願日】2016年10月12日
(65)【公表番号】特表2018-527414(P2018-527414A)
(43)【公表日】2018年9月20日
(86)【国際出願番号】KR2016011407
(87)【国際公開番号】WO2017065488
(87)【国際公開日】20170420
【審査請求日】2018年3月20日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0142209
(32)【優先日】2015年10月12日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518095862
【氏名又は名称】リ チュンシク
【氏名又は名称原語表記】LEE, Chung Sik
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】リ チュンシク
【審査官】
松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−538824(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/103475(WO,A1)
【文献】
韓国公開特許第10−2012−0033377(KR,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2010−0022137(KR,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2011−0046619(KR,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2011−0112231(KR,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2015−0025320(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/9789
A61K 8/19
A61K 8/25
A61K 8/60
A61K 8/92
A61K 8/9755
A61K 8/98
A61Q 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
漢方素材である当帰、地黄、芍薬、薄荷、ビャクシ、玄参、大黄、地楡及び肉桂をそれぞれ横と縦0.5cm〜1.0cmのサイズに切断する第1段階;
前記切断された漢方素材及び天然鉱物であるタルク及び真珠パウダーを海洋深層水と共に抽出器に入れて100℃〜110℃の温度で50分〜70分間殺菌し、37℃〜43℃の温度で69時間〜75時間にわたって混合乳酸菌株で発酵した後、熱水抽出して固形化する第2段階;
前記第2段階の抽出固形物を−115℃〜−125℃の冷凍状態で3日〜5日間凍結乾燥して粉末(ATM−1)化する第3段階;及び
62℃〜68℃の温度で加熱した黄蝋、エゴマ油、オリーブ油、ヒマワリ種子油及び34℃〜40℃の温度の扁柏水にATM−1、アデノシン、及び硼砂をそれぞれ溶解して混合する第4段階;を含むことを特徴とする機能性化粧品の製造方法。
【請求項2】
当帰抽出物0.15重量%、地黄抽出物0.15重量%、芍薬抽出物0.15重量%、薄荷抽出物0.15重量%、ビャクシ抽出物0.15重量%、玄参抽出物0.15重量%、大黄抽出物0.15重量%、地楡抽出物0.3重量%、肉桂抽出物0.15重量%、アデノシン0.04重量%、硼砂0.76重量%、真珠パウダー0.15重量%、タルク1.45重量%、黄蝋14.0重量%、オリーブ油25.0重量%、エゴマ油20.0重量%、ヒマワリ種子油10.0重量%、扁柏水残量の比率であることを特徴とする、請求項1に記載の機能性化粧品の製造方法。
【請求項3】
漢方素材である当帰、地黄、芍薬、薄荷、ビャクシ、玄参、大黄、地楡及び肉桂をそれぞれ横と縦0.5cm〜1.0cmのサイズに切断する第1段階;
前記切断された漢方素材及び天然鉱物であるタルク及び真珠パウダーを海洋深層水と共に抽出器に入れて100℃〜110℃の温度で50分〜70分間殺菌し、37℃〜43℃の温度で69時間〜75時間にわたって混合乳酸菌株で発酵し、102℃〜107℃の温度で20分間殺菌した後、熱水抽出して固形化する第2段階;
前記第2段階の抽出固形物を−115℃〜−125℃の冷凍状態で2日〜4日間凍結乾燥して粉末(ATM−1)化する第3段階;及び
34℃〜40℃の温度の扁柏水にATM−1、アデノシン、及び硼砂をそれぞれ溶解して混合する第4段階;を含むことを特徴とする機能性化粧品の製造方法。
【請求項4】
当帰抽出物0.15重量%、地黄抽出物0.15重量%、芍薬抽出物0.15重量%、薄荷抽出物0.15重量%、ビャクシ抽出物0.15重量%、玄参抽出物0.15重量%、大黄抽出物0.15重量%、地楡抽出物0.3重量%、肉桂抽出物0.15重量%、真珠パウダー0.15重量%、タルク1.45重量%、硼砂0.76重量%、アデノシン0.04重量%、扁柏水残量の比率であることを特徴とする、請求項3に記載の機能性化粧品の製造方法。
【請求項5】
当帰抽出物0.2重量%、地黄抽出物0.2重量%、芍薬抽出物0.2重量%、薄荷抽出物0.2重量%、ビャクシ抽出物0.2重量%、玄参抽出物0.2重量%、大黄抽出物0.2重量%、地楡抽出物0.4重量%、肉桂抽出物0.2重量%、真珠パウダー0.15重量%、タルク1.45重量%、アデノシン0.04重量%、硼砂0.76重量%、扁柏水残量の比率であることを特徴とする、請求項3に記載の機能性化粧品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性化粧品の製造方法に関し、より詳細には、漢方素材から抽出物を獲得し、これに天然鉱物を混合した後、これを混合乳酸菌株発酵で低分子化し、皮膚への浸透を促進させることによって、皮膚への刺激を減少させながらも吸収を円滑にし、かゆみなどのアレルギー反応を減少できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、化粧品は、クリーム及びローションなどの化粧に使用するものを通称するが、薬事法による化粧品法第2条によると、次の[表1]のように定義されている。
【0003】
【表1】
【0004】
このように、機能性化粧品は、薬事法による化粧品の中で、美白、しわ改善及び皮膚の保護を促進させる製品であると特定される。そこで、特許文献1〜特許文献4には、多様な材質及び機能を得るための機能性化粧品に関する技術が開示されている。
【0005】
特許文献1は、アマダイ(Branchiostegus japonicus)の鱗の酵素的加水分解物を含む化粧品組成物に関し、前記成分を有効成分として含む抗酸化、しわ改善及び美白効果を有する機能性化粧品組成物に関する。有効成分であるアマダイの鱗の酵素的加水分解物は、抗酸化活性、しわ改善及び美白に優れた効果を示し、天然材料として人体に無害であり、機能性化粧品組成物の用途に使用するのに適している。
【0006】
特許文献2は、しわ改善又は美白原料化合物−親水系スメクタイト粘土鉱物複合体及びその製造方法、並びにしわ改善又は美白原料化合物−親水系スメクタイト粘土鉱物複合体を含む機能性化粧品に関し、インターカレーション反応を用いて親水系スメクタイト粘土鉱物の層間にしわ改善又は美白原料が置換された機能性複合体を製造することによって、光−熱安定性が低いしわ改善又は美白原料の変性を遮断し、機能性原料の特性を長く維持させ、安定性を強化させることができる。また、前記しわ改善又は美白原料化合物−親水系スメクタイト粘土鉱物複合体を含んで機能性化粧品を製造するとき、光源に照射してから48時間経過した後の色差値(△E)が1.0以下を満足する光−熱安定性に優れた機能性化粧品を製造することができる。
【0007】
特許文献3は、発酵組成物を含有する化粧品に関し、桑の葉、蓮の葉、杜沖及び芍薬を発酵させた発酵組成物、バシケン抽出物、ハーブ抽出物及び紅参抽出物を含有する皮膚抗酸化機能性化粧品に関する。そこで、化粧品は、桑の葉、蓮の葉、杜沖及び芍薬を麹菌(Aspergillus、Rhizopus)、黄麹菌(Aspergillus oryzae)、白麹菌(Aspergillus kawachii)、納豆菌(黄穀菌/黄菌/Nattobacillus)、枯草菌(Bacillus)、乳酸菌(Lactic Acid Bacteria)、酵母菌(Yeast)及び放線菌からなる群から選ばれた1種以上の菌株による1次発酵及び2次発酵で製造した発酵組成物を含有することを特徴とする。
【0008】
特許文献4は、二重機能性物質の安定性が改善されたパウダー化粧品の製造方法に関し、二重機能性物質であるエチルヘキシルメトキシシンナメート(ethylhexyl methoxycinnamate)及びナイアシンアミド(niacinamide)を使用して美白及びしわに対する機能性を同時に具現しながら、分散工程を通じて二重機能性物質の安定性が改善されたパウダー化粧品の製造方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2014−0130596号
【特許文献2】韓国公開特許第10−2014−0145675号
【特許文献3】韓国登録特許第1532003号
【特許文献4】韓国公開特許第10−2015−0071080号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、既存の機能性化粧品においては、天然材料を使用して発酵したり、合成材料を使用したりして機能性化粧品を製造していたが、機能性化粧品の固有機能が大きく向上せず、特に、機能性化粧品が皮膚に円滑に吸収されないだけでなく、皮膚に吸収されたとしてもアレルギーなどの副作用を起こすおそれがある。
【0011】
本発明は、漢方素材から得た抽出物に天然鉱物を混合し、この混合物を混合乳酸菌株で発酵した後で機能性化粧品を製造することによって、漢方素材及び天然鉱物の効能及び効果を高めるようにした機能性化粧品の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
特に、本発明は、このように自然発酵過程を通じて各素材成分を低分子化し、皮膚への浸透を円滑にしながらも、皮膚保湿因子と類似するアミノ酸及び無機質成分からなるようにし、皮膚への刺激が少なく、保湿効果に優れ、かゆみ症状などを予防できるようにした機能性化粧品の製造方法を提供することを他の目的とする。
【0013】
また、本発明は、海洋深層水で漢方素材から抽出物を抽出するので、酸化作用を減少させ、皮膚に十分な水分及び栄養を供給させることによって皮膚活力を回復させ、化粧機能を高めるようにした機能性化粧品の製造方法を提供することを更に他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するための本発明の実施例1に係る機能性化粧品の製造方法は、当帰、地黄、芍薬、薄荷、ビャクシ、玄参、大黄、地楡及び肉桂などの漢方素材をそれぞれ横と縦0.5cm〜1.0cmのサイズに切断する第1段階;切断された漢方素材及び天然鉱物であるタルク及び真珠パウダーを海洋深層水と共に抽出器に入れて100℃〜110℃の温度で50分〜70分間殺菌し、37℃〜43℃の温度で69時間〜75時間にわたって混合乳酸菌株で発酵した後、熱水抽出して固形化する第2段階;前記第2段階の抽出固形物を−115℃〜−125℃の冷凍状態で3日〜5日間凍結乾燥して粉末(ATM−1)化する第3段階;及び62℃〜68℃の温度で加熱した黄蝋、エゴマ油、オリーブ油、ヒマワリ種子油及び34℃〜40℃の温度の扁柏水にATM−1、アデノシン、及び硼砂をそれぞれ溶解して高速混合する第4段階;を含むことを特徴とする。
【0015】
特に、前記機能性化粧品は、当帰抽出物0.15重量%、地黄抽出物0.15重量%、芍薬抽出物0.15重量%、薄荷抽出物0.15重量%、ビャクシ抽出物0.15重量%、玄参抽出物0.15重量%、大黄抽出物0.15重量%、地楡抽出物0.3重量%、肉桂抽出物0.15重量%、アデノシン0.04重量%、硼砂0.76重量%、真珠パウダー0.15重量%、タルク1.45重量%、黄蝋14.0重量%、オリーブ油25.0重量%、エゴマ油20.0重量%、ヒマワリ種子油10.0重量%、扁柏水残量の比率であることを特徴とする。
【0016】
一方、本発明の実施例2に係る機能性化粧品の製造方法は、当帰、地黄、芍薬、薄荷、ビャクシ、玄参、大黄、地楡及び肉桂などの漢方素材をそれぞれ横と縦0.5cm〜1.0cmのサイズに切断する第1段階;切断された漢方素材及び天然鉱物であるタルク及び真珠パウダーを海洋深層水と共に抽出器に入れて100℃〜110℃の温度で50分〜70分間殺菌し、37℃〜43℃の温度で69時間〜75時間にわたって混合乳酸菌株で発酵し、102℃〜107℃の温度で20分間殺菌した後、熱水抽出して固形化する第2段階;前記第2段階の抽出固形物を−115℃〜−125℃の冷凍状態で2日〜4日間凍結乾燥して粉末(ATM−1)化する第3段階;及び34℃〜40℃の温度の扁柏水にATM−1、アデノシン、及び硼砂をそれぞれ溶解して高速混合する第4段階;を含むことを特徴とする。
【0017】
このとき、前記機能性化粧品は、当帰抽出物0.15重量%、地黄抽出物0.15重量%、芍薬抽出物0.15重量%、薄荷抽出物0.15重量%、ビャクシ抽出物0.15重量%、玄参抽出物0.15重量%、大黄抽出物0.15重量%、地楡抽出物0.3重量%、肉桂抽出物0.15重量%、真珠パウダー0.15重量%、タルク1.45重量%、硼砂0.76重量%、アデノシン0.04重量%、扁柏水残量の比率であることを特徴とする。
【0018】
最後に、前記機能性化粧品は、当帰抽出物0.2重量%、地黄抽出物0.2重量%、芍薬抽出物0.2重量%、薄荷抽出物0.2重量%、ビャクシ抽出物0.2重量%、玄参抽出物0.2重量%、大黄抽出物0.2重量%、地楡抽出物0.4重量%、肉桂抽出物0.2重量%、真珠パウダー0.15重量%、タルク1.45重量%、アデノシン0.04重量%、硼砂0.76重量%、扁柏水残量の比率であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る機能性化粧品の製造方法は、次のような効果を有する。
【0020】
(1)漢方素材及び天然鉱物を原料として使用するので、副作用が生じるおそれが少ない。
【0021】
(2)漢方素材から抽出するときに海洋深層水を用いるので、本発明に係る機能性化粧品を長い間使用する場合にも保存期間を自然に維持し、抗酸化作用を得ることができる。
【0022】
(3)特に、本発明に係る機能性化粧品は、漢方素材及び天然鉱物を混合乳酸菌株で発酵することによってその構成を低分子化し、皮膚への刺激を減少させながらも皮膚を介して吸収されやすくなり得るので、化粧効果を高めることができる。
【0023】
(4)また、漢方素材及び天然鉱物の自然発酵は、皮膚アレルギー反応及びかゆみ誘発を減少させることができ、アレルギー及びかゆみの症状を有する利用者等も安心して使用することができる。
【0024】
(5)このように低分子形態からなる成分は、天然保湿因子と類似するアミノ酸及び無機質成分であるので、皮膚への刺激が少なく、保湿効果に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係る実施例1のクリームを塗る前の状態を示す写真である。
【
図2】本発明に係る実施例1のクリームを1ヵ月間塗った後の状態を示す写真である。
【
図3】本発明に係る実施例1のクリームを塗る前の状態を示す写真である。
【
図4】本発明に係る実施例1のクリームを1ヵ月間塗った後の状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施例をより詳細に説明する。その前に、本明細書及び特許請求の範囲に使用された用語や単語は、通常的又は辞典的な意味に限定して解釈してはならず、発明者は、自身の発明を最高の方法で説明するために用語の概念を適宜定義できるという原則に従って本発明の技術的思想に符合する意味及び概念で解釈しなければならない。
【0027】
したがって、本明細書に記載の実施例及び図面に示した構成は、本発明の最も好ましい一つ実施例に過ぎなく、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないので、本出願時点でこれらに取って代わる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0028】
[実施例1]
本発明の実施例1に係る機能性化粧品は、漢方素材及び天然原料を用いて、特に、海洋深層水を用いて抽出することによって抗酸化特性を高めると共に、混合乳酸菌株による発酵過程を通じて高分子を低分化し、皮膚への刺激がないと共に皮膚に擦り込ませやすくし、保湿及び化粧効果を高めるようにしたものである。このような機能性化粧品の製造方法は、次のように4段階にわたって行われ、以下では、各段階を詳細に説明する。
【0029】
ここで、本発明の漢方素材及び天然原料に関する資料としては、次の参考文献を参考にした。
【0030】
イ.本草学、1999、全国漢医科大学本草学教授共編著、永林社
【0031】
ロ.東医宝監、2001、許浚著、ウォン・テヒ他訳、図書出版HANMI医学
【0034】
第1段階は、漢方素材を切断する段階である。このときの漢方素材は、当帰、地黄、芍薬、薄荷、ビャクシ、玄参、大黄、地楡及び肉桂であって、それぞれ0.5cm〜1.0cmのサイズに切断して抽出を容易にする。
【0035】
ここで、当帰は、皮膚コンディショニング剤であって、補血作用及び活血効果を有しており、損傷した皮膚を回復すると共に、皮膚の消腫及び止痛の効果を有する。地黄は、皮膚コンディショニング剤であって、各種出血を停止させ、熱を下げ、小便の排出を円滑にし、淤血をなくす作用をし、当帰と共に使用すると、互いの長所を生かすと共に短所を補完することによって効能を高める。芍薬は、皮膚ゲル化剤であって、損傷した皮膚及び淤血が停滞した皮膚を回復させ、血を補充し、鎮痛及び止血作用をし、血液循環を良好にし、月経不順を防止する。薄荷は、その主成分がメントールであって、皮膚への透疹効果及び凉しさを与え、塗布剤、鎮痛剤、興奮剤、健胃剤、駆虫剤などに薬用したり、歯磨き、ジャム、キャンディー、化粧品、タバコなどに清凉剤や香料として使用される。ビャクシは、皮膚コンディショニング剤として使用され、芳香燥熱の性質を有し、風湿を鎮め、かゆみ及び痛みを減少させる。大黄は、清熱写火の作用で熱を冷まし、炎症を鎮め、長引いた淤血及び新しく生じた淤血のいずれにも効果を有する。地楡は、皮膚の損傷を回復させ、湿疹に効果を有し、清熱収斂の効果を有する。肉桂は、皮膚保湿剤及び柔軟化剤として使用され、皮膚を暖めることによって痛みを緩和し、傷部位を回復させ、体内を暖める温裏薬草として広く知られている。
【0036】
特に、漢方素材の抽出物をそれぞれ使用することによっても効果を奏するが、これらを混合・抽出して発酵すると、互いの長所を生かすと共に短所を補完するので、効果をさらに向上させることができる。
【0037】
このような漢方素材は、上述したように、横と縦をそれぞれ0.5cm〜1.0cmのサイズに切断する。このサイズは、漢方素材を第2段階で熱水抽出するとき、抽出を容易にするためのサイズである。
【0038】
第2段階は、上述した漢方素材及び海洋深層水を共に入れて混合乳酸菌株で発酵し、熱水抽出して固形化する段階である。ここで、海洋深層水は、皮膚に十分な水分及び栄養を供給することによって皮膚活力を回復させ、フェイスラインに緊張感を与えることによって鮮明な童顔に作り上げるものと知られている。
【0039】
そして、天然鉱物としてはタルク及び真珠パウダーを用いる。タルクは、皮膚保護及び吸収性に優れ、皮膚を滑らかにし、汗などの水分除去に多く用いられる。真珠パウダーは、多くの種類のミネラル及び各種生理活性物質を含有しており、皮膚に着色した色素を薄くすることによって皮膚トーンを明るくするだけでなく、皮膚にも良く、角質除去にも優れるものと知られている。
【0040】
また、熱水抽出(Hot Water Extraction)は、高温の熱水を用いて可溶性物質を分離する方法であって、水溶性物質の抽出に最も広く使用される通常の抽出方法を称する。本発明の好ましい実施例において、第2段階で実施する発酵過程及び熱水抽出は、熱水抽出物が固形化されるまで、好ましくは37℃〜43℃の温度で、最も好ましくは40℃の温度で72時間行われる。
【0041】
第3段階は、前記第2段階で得た抽出固形物を凍結乾燥する段階である。凍結乾燥は、−115℃〜−125℃の冷凍状態で3日〜5日間凍結し、水分蒸発や昇華を通じて乾燥する方法を称する。
【0042】
本発明の好ましい実施例において、凍結乾燥は、粉末(ATM−1)形態で凍結乾燥が容易に行われるように、−115℃〜−125℃の冷凍状態で3日〜5日間、最も好ましくは−120℃で4日間行われる。
【0043】
第4段階は、62℃〜68℃の温度で加熱した黄蝋、エゴマ油、オリーブ油、ヒマワリ種子油及び34℃〜40℃の温度の扁柏水にATM−1(乾燥粉末)、アデノシン、及び硼砂をそれぞれ溶解して高速混合する段階である。
【0044】
このとき、ハンドクリームなどのクリーム類の機能性化粧品を得るために、黄蝋、エゴマ油、オリーブ油及びヒマワリ種子油を混合する。
【0045】
ここで、黄蝋は、蜂の巣から蜂蜜を絞り出し、残留物を沸かして作った油塊であって、力をつけ、傷部位の治療を速くし、解毒及び痛み制御効能を有する薬剤として知られている。エゴマ油は、皮膚老化防止、栄養供給、損傷した皮膚再生と共に、抗酸化作用に効果を有するものと知られている。ヒマワリ種子油は、免疫力を増進させ、半乾性油で荒れた皮膚を滑らかにし、血液循環及び動脈硬化に効果を有する。オリーブ油は、ポリフェノールなどの抗酸化成分を多く含んでおり、細胞膜を介して円滑に吸収され、化学物質が細胞内に伝達されやすくなるように促進させるものとして知られている。
【0046】
一方、これらの混合物質は脂肪酸であるので、上述した乾燥粉末との混合が容易に行われるように所定の温度で加熱・混合することが好ましい。このために、前記黄蝋を所定の温度、例えば、62℃〜68℃の温度で、最も好ましくは65℃の温度で加熱した後、これにエゴマ油、オリーブ油及びヒマワリ種子油を入れて維持しなければならない。
【0047】
一方、第4段階でも、34℃〜40℃の温度の扁柏水にATM−1、アデノシン、及び硼砂を溶解するが、最も好ましくは37℃の温度で溶解する。
【0048】
以上のように構成された本発明の製造方法による機能性化粧品は、ハンドクリームなどのクリーム類の機能性化粧品であって、その成分が当帰抽出物0.15重量%、地黄抽出物0.15重量%、芍薬抽出物0.15重量%、薄荷抽出物0.15重量%、ビャクシ抽出物0.15重量%、玄参抽出物0.15重量%、大黄抽出物0.15重量%、地楡抽出物0.3重量%、肉桂抽出物0.15重量%、アデノシン0.04重量%、硼砂0.76重量%、真珠パウダー0.15重量%、タルク1.45重量%、黄蝋14.0重量%、オリーブ油25.0重量%、エゴマ油20.0重量%、ヒマワリ種子油10.0重量%、扁柏水残量の比率であることが好ましい。
【0049】
このように構成された本発明に係るハンドクリーム類の機能性化粧品を8月2日から9月1日まで使用した結果、[
図1]〜[
図4]のように、かゆみ緩和、上皮角質除去、保湿及び乾燥緩和の効果を示した。すなわち、クリーム使用前の[
図1]及び[
図3]とクリーム使用後の[
図2]及び[
図4]とを比較すると、クリーム使用前には手に赤く見える部分があったが、クリーム使用後には、この赤く見える部分が多く消え、手の甲全体の角質などが除去されてきれいになった感じを与える。また、クリーム使用前にはかゆみなどで手が荒れていたが、クリーム使用後には手が滑らかになった感じを与える。
【0050】
[実施例2]
本発明の実施例2に係る機能性化粧品の製造方法は、実施例1のハンドクリームなどのクリーム類と異なり、スキンローションなどの噴射形態又は液状で使用できるようにするためのものである。
【0051】
そこで、ここでは、上述した実施例1との相違点に関してのみ説明する。すなわち、実施例1と実施例2で使用された漢方素材及び天然鉱物が同一であるので、これらの成分に関しては簡単に説明し、その相違点に関してのみ説明する。
【0052】
実施例2において、漢方素材を切断する第1段階、切断した漢方素材を熱水抽出して固形化する第2段階、及び抽出固形物を凍結乾燥して粉末(ATM−1)化する第3段階は、上述した実施例1と同じである。そのため、ここでは、それに対する詳細な説明は省略する。
【0053】
最後に、実施例2において、第4段階は、34℃〜40℃の温度の扁柏水にATM−1(乾燥粉末)、アデノシン、及び硼砂を混合する段階である。このとき、実施例1と実施例2とを比較すると、実施例1では黄蝋及び油類(エゴマ油、オリーブ油、ヒマワリ種子油)を混合したが、実施例2では噴射形態又は液状で利用できるように扁柏水を用いるという点において相違点がある。
【0054】
このように構成される実施例2の製造方法に係る機能性化粧品は、スキンローションなどの噴射形態又は液状で使用できるように製造される。
【0055】
そこで、本発明の好ましい実施例2の製造方法に係る機能性化粧品は、当帰抽出物0.15重量%、地黄抽出物0.15重量%、芍薬抽出物0.15重量%、薄荷抽出物0.15重量%、ビャクシ抽出物0.15重量%、玄参抽出物0.15重量%、大黄抽出物0.15重量%、地楡抽出物0.3重量%、肉桂抽出物0.15重量%、真珠パウダー0.15重量%、タルク1.45重量%、硼砂0.76重量%、アデノシン0.04重量%、扁柏水残量の比率であることを特徴とする。
【0056】
したがって、本発明は、薬草抽出物、天然鉱物及び海洋深層水の相互作用で天然化粧品の変性を抑制し、混合乳酸菌株による発酵熟成を通じて栄養成分を低分子化し、皮膚への刺激を減少させながら吸収を容易にし、アレルギー反応及びかゆみを減少させ、上皮及び真皮の厚さを減少させ、亜細胞の成長を促進させる機能性化粧品を製造することができる。
【0057】
[実施例3]
本発明の実施例3に係る機能性化粧品の製造方法は、実施例2と比較すると、同じ方法であるが、その組成において相違点を有する。そこで、ここでは、その組成に関してのみ説明する。
【0058】
実施例3は、実施例2と比較すると、当帰抽出物0.2重量%、地黄抽出物0.2重量%、芍薬抽出物0.2重量%、薄荷抽出物0.2重量%、ビャクシ抽出物0.2重量%、玄参抽出物0.2重量%、大黄抽出物0.2重量%、地楡抽出物0.4重量%、肉桂抽出物0.2重量%、真珠パウダー0.15重量%、タルク1.45重量%、アデノシン0.04重量%、硼砂0.76重量%、扁柏水残量の比率を与えたものである。