(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6541906
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】蓄熱式ガス処理装置における蓄熱体の加熱状態検知装置
(51)【国際特許分類】
F23G 7/06 20060101AFI20190628BHJP
F23N 5/08 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
F23G7/06 103
F23N5/08 ZZAB
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-439(P2019-439)
(22)【出願日】2019年1月7日
(62)【分割の表示】特願2018-126287(P2018-126287)の分割
【原出願日】2018年7月2日
【審査請求日】2019年1月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】行岡 俊明
(72)【発明者】
【氏名】松本 拓馬
【審査官】
岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−172338(JP,A)
【文献】
特開2001−304531(JP,A)
【文献】
特開平10−238742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 7/06
F23N 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄熱体を収容させた蓄熱室が2室以上設けられた蓄熱式ガス処理装置における各蓄熱室の上部側の燃焼室に、複数のバーナーが面状に配列された面状配列バーナーを設け、前記の面状配列バーナーにより各蓄熱室に収容された各蓄熱体を加熱させるにあたり、各蓄熱体の上面部の温度を検知する放射温度計を設けると共に、前記の放射温度計により検知された各蓄熱体の上面部の温度に対応させて、面状に配列された各バーナーの燃焼を制御する燃焼制御装置を設けたことを特徴とする蓄熱式ガス処理装置における蓄熱体の加熱状態検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄熱体を収容させた蓄熱室が2室以上設けられた蓄熱式ガス処理装置における各蓄熱体の上部側を複数のバーナーが面状に配列された面状配列バーナーにより加熱させ、加熱された各蓄熱体の温度を検知するようにした蓄熱式ガス処理装置における蓄熱体の加熱状態検知装置に関するものである。特に、蓄熱体を収容させた蓄熱室が2室以上設けられた蓄熱式ガス処理装置における各蓄熱体の上部側を、複数のバーナーが面状に配列された面状配列バーナーにより加熱させた場合に、蓄熱式ガス処理装置における各蓄熱体の上部側の各位置における温度を適切に検知して、各蓄熱体の上部側の各部分における温度を適切に制御できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示されるように、蓄熱体を収容させた蓄熱室を2室以上設け、各蓄熱室の上部側に燃焼装置のバーナーが設けられた燃焼室を連通して設ける一方、各蓄熱室の下部側にそれぞれ切換弁を介して、供給ダクトと排気ダクトとを連通するように設け、送風ファンにより前記の供給ダクトを通して導かれた原料処理気体を、前記の切換弁により一部の蓄熱室における蓄熱体を通して前記の燃焼室内に導き、この燃焼室内において原料処理気体を燃焼処理させる一方、処理された処理済気体を他の蓄熱室に導いて、処理済気体の熱をこの蓄熱室に収容された蓄熱体に蓄熱させた後、この処理済気体を前記の切換弁により排気ダクトから排出させ、前記の切換弁を切り換えて、前記の操作を行う蓄熱室を順々に切り換えるようにした蓄熱式ガス処理装置が知られている。
【0003】
ここで、このような蓄熱式ガス処理装置において、前記のような操作を行って気体処理を行うようにした場合、それぞれの蓄熱室に収容された蓄熱体の温度にむらが生じることがあり、このように蓄熱室に収容された蓄熱体の温度にむらが生じた状態で処理を続けた場合、蓄熱室に収容された蓄熱体が損傷したり、蓄熱式ガス処理装置における気体処理の効率が低下したりするという問題が生じた。
【0004】
このため、各蓄熱室の上部側に設けた燃焼室の適当な位置に熱電対を用いてそれぞれの位置における温度を検知することが考えられるが、各蓄熱室における蓄熱体の温度を適切に検知することは困難であると共に、前記のように燃焼室に設けた燃焼装置のバーナーだけで、各蓄熱室に収容された各蓄熱体を一定した温度になるように均一に制御することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5350978号公報(特開2011−94862号公報)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、蓄熱式ガス処理装置におけるそれぞれの蓄熱室に収容された蓄熱体を加熱させる場合における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0007】
特に、前記のような蓄熱式ガス処理装置における各蓄熱室に収容された各蓄熱体を加熱させる場合に、各蓄熱体の各部分における温度を適切に検知して、各蓄熱室に収容された各蓄熱体の上部側の各部分の温度を一定の温度に制御できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る蓄熱式ガス処理装置における蓄熱体の加熱状態検知装置においては、前記のような課題を解決するため、蓄熱体を収容させた蓄熱室が2室以上設けられた蓄熱式ガス処理装置における各蓄熱室の上部側の燃焼室に、複数のバーナーが面状に配列された面状配列バーナーを設け、前記の面状配列バーナーにより各蓄熱室に収容された各蓄熱体を加熱させるにあたり、各蓄熱体の上面部の温度を検知する放射温度計を設け
ると共に、前記の放射温度計により検知された各蓄熱体の上面部の温度に対応させて、面状に配列された各バーナーの燃焼を制御する燃焼制御装置を設けた。
【0009】
このように、蓄熱式ガス処理装置における各蓄熱室の上部側の燃焼室に設けた面状配列バーナーによって加熱された各蓄熱室に収容された各蓄熱体の上面部における温度をそれぞれ放射温度計によって検知すると、放射温度計によって検知された各蓄熱体の各上面部における温度分布画像の色彩に基づいて、各蓄熱体の上面部全体の温度を適切に検知できるようになる。
【0010】
そして、前記の蓄熱式ガス処理装置における蓄熱体の加熱状態検知装置において、前記の
ように放射温度計により検知された各蓄熱体の上面部全体の温度に対応させて、面状に配列された各バーナーの燃焼を制御する燃焼制御装置を設けるようにすると、この燃焼制御装置により各バーナーの燃焼を制御させて、各蓄熱体の上面部全体を一定の温度に加熱させることができ、各蓄熱室に収容された各蓄熱体の温度にむらが生じるのを抑制し、蓄熱式ガス処理装置による気体処理時に蓄熱体が損傷したり、蓄熱式ガス処理装置における気体処理の効率が低下したりするのを防止できるようになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る蓄熱式ガス処理装置における蓄熱体の加熱状態検知装置のように、各蓄熱室の上部側の燃焼室に設けた面状配列バーナーによって各蓄熱室に収容された各蓄熱体を加熱し、このように加熱された各蓄熱室における蓄熱体の部分における温度をそれぞれ放射温度計によって検知し、各放射温度計によって検知された各蓄熱体の上面部全体の温度に対応させて、面状に配列された各バーナーの燃焼を燃焼制御装置により制御させると、各蓄熱体の上面部全体を一定の温度に加熱させることができ、各蓄熱室に収容された各蓄熱体の温度にむらが生じるのを抑制して、蓄熱式ガス処理装置による気体処理時に蓄熱体が損傷したり、蓄熱式ガス処理装置における気体処理の効率が低下したりするのを防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る蓄熱式ガス処理装置における蓄熱体の加熱状態検知装置において、各蓄熱室の上部側の燃焼室に設けた面状配列バーナーによって加熱された各蓄熱室における各蓄熱体の上面部における温度を放射温度計によって検知し、これ基づいて、各バーナーの燃焼を燃焼制御装置により制御させる状態を示した上部側部分の概略断面説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る蓄熱式ガス処理装置における蓄熱体の加熱状態検知装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る蓄熱式ガス処理装置における蓄熱体の加熱状態検知装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0014】
ここで、本発明の実施形態に係る蓄熱式ガス処理装置における蓄熱体の加熱状態検知装置において、
図1に示すものにおいては、蓄熱体31aを収容させた蓄熱室31が2室以上(なお、
図1では2つの蓄熱室31が設けられた部分の状態だけを示している。)設けられた蓄熱式ガス処理装置30における各蓄熱室31の上部側にこれらを連通するようにして燃焼室32が設けられている。
【0015】
そして、この実施形態においては、各蓄熱室31の上部における前記の燃焼室32の天井部32aに、面状配列バーナーとして、燃料と燃焼用空気とを混合させて燃焼させる複数のバーナー33を各蓄熱室31に対応させて面状に配列させるように設けると共に、各バーナー33による燃料の燃焼を燃焼制御装置34によって制御するようにしている。
【0016】
また、この実施形態においては、前記のように複数のバーナー33が設けられた各蓄熱室31の上部における燃焼室32の天井部32aにおけるそれぞれの中央部に放射温度計35を設け、このように設けた各放射温度計35により前記の各バーナー33によって加熱された各蓄熱室31における各蓄熱体31aの上面部の温度分布画像の色彩を調べて、各蓄熱室31における各蓄熱体31aの上面部における温度を検知し、このように各放射温度計35によって検知された各蓄熱室31における各蓄熱体31aの上面部の温度を前記の燃焼制御装置34に出力するようにしている。
【0017】
ここで、前記のように各蓄熱室31の上部側における燃焼室32の天井部32aに設けた各放射温度計35により、前記のように面状に配列された各バーナー33によって加熱された各蓄熱室31における各蓄熱体31aの上面部の温度分布画像の色彩を調べ、各蓄熱室31に収容された各蓄熱体31aの部分における温度をそれぞれ検知すると、各放射温度計35によって各蓄熱体31aの上面部全体の温度を適切に検知できるようになる。
【0018】
そして、前記のように各放射温度計35により検知された各蓄熱体31aの上面部全体の温度に対応させて、面状に配列された各バーナー33の燃焼を燃焼制御装置34によって燃焼を制御させると、各蓄熱体31aの上面部全体を一定の温度に加熱させることができ、各蓄熱室31に収容された各蓄熱体31aの温度にむらが生じるのを抑制することができ、各蓄熱体31aが損傷したり、蓄熱式ガス処理装置30における気体処理の効率が低下したりするのを防止できるようになる。
【0019】
なお、これらの加熱状態検知装置は、加熱状態検知装置を用いた面状配列バーナーとその制御装置とも、加熱状態検知装置と制御装置を用いた面状配列バーナーとも言える。
【符号の説明】
【0020】
30 :蓄熱式ガス処理装置
31 :蓄熱室
31a :蓄熱体
32 :燃焼室
32a :天井部
33 :バーナー
34 :燃焼制御装置
35 :放射温度計
【要約】
【課題】 蓄熱式ガス処理装置における各蓄熱室に収容された各蓄熱体を加熱させる場合に、各蓄熱体の各部分における温度を適切に検知して、各蓄熱室に収容された各蓄熱体の上部側の各部分の温度を一定の温度に制御できるようにする。
【解決手段】 蓄熱体31aを収容させた蓄熱室31を2室以上設けた蓄熱式ガス処理装置30の上部側の燃焼室32に、複数のバーナー33が面状に配列された面状配列バーナーを設け、面状配列バーナーにより各蓄熱室に収容された各蓄熱体を加熱させるにあたり、各蓄熱体の上面部の温度を検知する放射温度計35を設けると共に、放射温度計により検知された各蓄熱体の上面部の温度に対応させて、燃焼制御装置34により各バーナーの燃焼を制御して、各蓄熱体の上面部の温度を調整する。
【選択図】
図1