特許第6541966号(P6541966)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6541966自動包装機及びそれを用いた自動包装方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6541966
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】自動包装機及びそれを用いた自動包装方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 49/00 20060101AFI20190628BHJP
【FI】
   B65B49/00
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-262716(P2014-262716)
(22)【出願日】2014年12月25日
(65)【公開番号】特開2016-120960(P2016-120960A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2017年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】312017444
【氏名又は名称】ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】近藤 崇
(72)【発明者】
【氏名】池谷 真彦
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−301229(JP,A)
【文献】 特開2008−296956(JP,A)
【文献】 特開2010−163185(JP,A)
【文献】 特開2010−030626(JP,A)
【文献】 特開平05−112301(JP,A)
【文献】 特開平06−345008(JP,A)
【文献】 米国特許第5863380(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 1/00−49/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランクシートを折り曲げた形成途中の包装箱又は折り曲げ前の包装箱の内側に被包装物を配してから包装するための自動包装機において、
前記ブランクシートは、搬送方向の下流側を覆う下流側板と、該下流側板に連続して前記被包装物の上側を覆う上板と、前記下流側板に連続して被包装物の下側を覆う底板と、該底板に連続して、前記被包装物の上流側を覆う上流側板とを少なくとも有し、
前記上流側板には、前記底板とは反対側の端部に、折り込み後に前記上板の裏面と接着されるシーム片が連設されており、
前記シーム片の折り込みは、折り込み位置にある包装箱の上方において、往復回動可能に支持される折り込み装置により行われ、
該折り込み装置は、搬送方向の上流側から下流側へシーム片を押し込みながら折り込み、折り込み完了時に、搬送方向における垂直断面が、搬送方向の下流側に下方へ傾斜して、シーム片の上面と線状に接する折り込み部を有することを特徴とする自動包装機。
【請求項2】
前記折り込み部は、板状構造を有する請求項1に記載の自動包装機。
【請求項3】
前記折り込み部は、複数の棒状構造を有する請求項1に記載の自動包装機。
【請求項4】
前記折り込み部の傾斜角度(θ)は、搬送方向に対し、折り込み完了時に、折り込み部又はシーム片の下端が被包装物に接触しない状態になる傾斜角度以上且つ0°未満である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の自動包装機。
【請求項5】
ブランクシートを折り曲げた形成途中の包装箱又は折り曲げ前の包装箱の内側に被包装物を配してから包装するための自動包装機を用いた自動包装方法において、
前記ブランクシートは、搬送方向の下流側を覆う下流側板と、該下流側板に連続して前記被包装物の上側を覆う上板と、前記下流側板に連続して被包装物の下側を覆う底板と、該底板に連続して、前記被包装物の上流側を覆う上流側板とを少なくとも有し、
前記上流側板には、前記底板とは反対側の端部に、折り込み後に前記上板の裏面と接着されるシーム片が連設されており、
前記シーム片は、折り込み位置にある包装箱の上方において、往復回動可能に支持される折り込み装置の折り込み部が、回動しながら搬送方向の上流側から下流側へシーム片を押し込むことにより折り込まれ、
前記折り込み部は、折り込み完了時に、搬送方向における垂直断面が、搬送方向の下流側に下方へ傾斜して、シーム片の上面と線状に接することを特徴とする自動包装機を用いた自動包装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーム片を確実に折り畳むことができる自動包装機及びそれを用いた自動包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に被包装物、例えば缶やペットボトル等の飲料製品、インスタント食品等のカップ製品を複数並べて、段ボール等の包装箱の内部に包装するための自動包装機が知られている。自動包装機は、まず搬送される被包装物を、ブランクシートを折り曲げた形成途中の包装箱又は折り曲げ前の包装箱の内側に配してから、包装箱の開口部を閉鎖することにより、被包装物を包装する。
【0003】
ブランクシートとして、例えば搬送方向の下流側を覆う下流側板と、該下流側板に連続して被包装物の上側を覆う上板と、下流側板に連続して被包装物の下側を覆う底板と、該底板に連続して、被包装物の上流側を覆う上流側板とを少なくとも有し、組み立て完了時に四角箱状となるシートが知られている。通常、上流側板には、底板とは反対側の端部に、包装箱の形成工程において包装箱の内側に折り込まれ、上板の裏面と接着されるシーム片が連設されている。
【0004】
従来より、包装箱の形成工程において、シーム片を折り込むための折り込み装置を有する自動包装機として、特許文献1,2に開示の構成が知られている。特許文献1は、形成途中の包装箱の上方において、往復回動可能に支持される折り込み装置について開示する。その折り込み装置は、包装箱のシーム片としての糊付フラップを搬送方向に押し込み、折り曲げる断面円弧状の折り曲げ部材を有している。特許文献2は、往復回動可能に支持される断面L字状の折り込み棒がシーム面を搬送方向に押し込む構成について開示する。折り込み棒は、シーム面を押し込んで折り込み完了した時、シーム面との接触部分が、搬送方向と平行になるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平3−46861号公報
【特許文献2】特開2005−225496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に開示の折り込み装置は、形状が断面円弧状であり、糊付フラップとの接触部分が点接触のため、押込力を十分にフラップに与えることができないという問題があった。特許文献2も同様に、上板を折り込んだ際、シーム片の反発戻りにより包装箱の内側にシーム片が折り込まれない折り込み不良が発生する場合があるという問題があった。その一方、シーム片において、ブランクシート形成時に切り込みや強い折り目を形成すると、包装箱の強度の低下を招くおそれがあった。
【0007】
本発明の目的とするところは、シーム片をより確実に折り込むことができる自動包装機及びそれを用いた自動包装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様では、ブランクシートを折り曲げた形成途中の包装箱又は折り曲げ前の包装箱の内側に被包装物を配してから包装するための自動包装機において、前記ブランクシートは、搬送方向の下流側を覆う下流側板と、該下流側板に連続して前記被包装物の上側を覆う上板と、前記下流側板に連続して被包装物の下側を覆う底板と、該底板に連続して、前記被包装物の上流側を覆う上流側板とを少なくとも有し、前記上流側板には、前記底板とは反対側の端部に、折り込み後に前記上板の裏面と接着されるシーム片が連設されており、前記シーム片の折り込みは、折り込み位置にある包装箱の上方において、往復回動可能に支持される折り込み装置により行われ、該折り込み装置は、搬送方向の上流側から下流側へシーム片を押し込みながら折り込み、折り込み完了時に、搬送方向における垂直断面が、搬送方向の下流側に下方へ傾斜して、シーム片の上面と線状に接する折り込み部を有することを特徴とする自動包装機が提供される。
【0009】
前記折り込み部は、板状構造を有してもよい。前記折り込み部は、複数の棒状構造を有してもよい。前記折り込み部の傾斜角度(θ)は、搬送方向に対し、折り込み完了時に、折り込み部又はシーム片の下端が被包装物に接触しない状態になる傾斜角度以上且つ0°未満であってもよい。
【0010】
本発明の別の態様では、ブランクシートを折り曲げた形成途中の包装箱又は折り曲げ前の包装箱の内側に被包装物を配してから包装するための自動包装機を用いた自動包装方法において、前記ブランクシートは、搬送方向の下流側を覆う下流側板と、該下流側板に連続して前記被包装物の上側を覆う上板と、前記下流側板に連続して被包装物の下側を覆う底板と、該底板に連続して、前記被包装物の上流側を覆う上流側板とを少なくとも有し、前記上流側板には、前記底板とは反対側の端部に、折り込み後に前記上板の裏面と接着されるシーム片が連設されており、前記シーム片は、折り込み位置にある包装箱の上方において、往復回動可能に支持される折り込み装置の折り込み部が、回動しながら搬送方向の上流側から下流側へシーム片を押し込むことにより折り込まれ、前記折り込み部は、折り込み完了時に、搬送方向における垂直断面が、搬送方向の下流側に下方へ傾斜して、シーム片の上面と線状に接することを特徴とする自動包装機を用いた自動包装方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シーム片をより確実に折り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の自動包装機であって、包装箱が折り込み装置の下へ搬送されている状態の自動包装機の側面図。
図2】本実施形態の自動包装機であって、包装箱が折り込み装置の下へ搬送された状態の自動包装機の側面図。
図3】(a)本実施形態の自動包装機であって、シーム片が折り込み装置により折り込まれた状態の自動包装機の側面図。(b)シーム片の部分拡大図。
図4】本実施形態の自動包装機であって、上板折り込み装置により上板が折り込まれた状態の自動包装機の側面図。
図5】本実施形態の自動包装機であって、シーム片と上板が折り込まれた包装箱が次工程に搬送されている状態の自動包装機の側面図。
図6】本実施形態の自動包装機であって、シーム片と上板が折り込まれた包装箱が次工程に搬送されている状態の自動包装機の正面図。
図7】別例における自動包装機。(a)非折り込み状態の位置にある折り込み装置部分の側面図。(b)非折り込み状態の位置にある折り込み装置部分の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の自動包装機を具体化した一実施形態を図1図6に従って説明する。
図1に示すように、自動包装機10の搬送装置11は、複数の被包装物13を内部に配した組み立て途中の包装箱12を把持手段14により把持しながら、折り込み装置15及び上板折り込み装置16の下の折り込み位置Aまで搬送する。搬送装置11は、複数の包装箱12を順番に組み立てながら連続的に包装箱12を搬送する。
【0014】
包装箱12は、段ボール等から成形される1枚のブランクシートから組み立てられる。包装箱12は、搬送方向の下流側を覆う下流側板12aと、下流側板12aに折罫線を介し連続して被包装物13の上側を覆う上板12bと、下流側板12aに折罫線を介し連続して被包装物13の下側を覆う底板12cと、底板12cに折罫線を介し連続して、被包装物13の上流側を覆う上流側板12dとを少なくとも有する。上流側板12dには、底板12cとは反対側の端部に、折り込み後に上板12bの端部と接着されるシーム片12eが折罫線12fを介し連設されている。図5に示すように、折り込まれたシーム片12eの上面に位置する外側面12gは、上板12bが閉鎖された際、上板12bの裏面12hの搬送方向の上流側端部と接する。図6に示すように、上板12bの左右方向の両端には、包装箱12が折り畳まれた後、包装箱12の左右両側面を形成する上方側板12iがそれぞれ折罫線を介し連接されている。同様に、底板12cの左右両端にも、包装箱12が折り畳まれた後、包装箱12の左右両側面を形成する下方側板12jがそれぞれ折罫線を介し連接されている。
【0015】
図1,6に示すように、搬送装置11の把持手段14は、組み立て途中の包装箱12の下流側板12a及び上流側板12d側のそれぞれにおいて左右1対ずつ配され、包装箱12を把持している。
【0016】
図1,6に示すように、自動包装機10の折り込み装置15は、搬送装置11の折り込み位置Aの上方に設けられ、図示しない自動包装機10の本体に回動可能に支持されている軸17、その軸17の両端にそれぞれ固定されている長板状の支持板18、該左右の両支持板18に固定されている折り込み部19から構成されている。
【0017】
軸17は、搬送方向に対し左右方向において包装箱12の幅よりも長く延設して自動包装機10本体に回動可能に支持されている。軸17は、シーム片12eの折り込みをスムーズに行うために、折罫線12fよりも搬送方向下流側に配されることが好ましい。また、同様の理由により、軸17は、軸17の中心軸と、折罫線12fとを結ぶ平面は、軸17の中心軸を通る垂直面に対し、45°以下の角度で傾斜していることが好ましい。軸17両端には、それぞれ長板状の支持板18の上端が固定されている。支持板18は、包装箱12の搬送時、つまり、非折り込み状態において、搬送方向の上流側斜め下方に傾斜する位置に保持されている。左右の両支持板18の下端には、断面L字状の板状構造を有する折り込み部19が左右方向に延設されている。折り込み部19は、下面側にシーム片12eの外側面12gと当接する平面状の折り込み面19aが形成されている。図3に示すように、折り込み装置15は、シーム片12eの折り込み時に、折り込み部19が折り込み状態の位置となるまで下方へ回動する。折り込み装置15は、軸17を中心として、非折り込み状態の位置と折り込み状態の位置の間を往復回動する。
【0018】
図1に示すように、自動包装機10の上板折り込み装置16は、搬送装置11の折り込み位置Aと折り込み装置15の中間の高さ位置に設けられる。図1,6に示すように、上板折り込み装置16は、図示しない自動包装機10の本体に固定されている油圧シリンダ20、搬送方向の上流側に向けられ、油圧シリンダ20に往復運動可能に支持されるピストン21、該ピストン21に連結フレーム23を介して固定されるL字状の上板折り込みフレーム22から構成される。上板折り込みフレーム22は、搬送方向の上流側に位置する垂直部22aと、垂直部22aと円弧部22bを介して連結され、搬送方向と平行に配される水平部22cから構成される。上板折り込みフレーム22は、水平部22cの下面22dが、上板12bが閉鎖された包装箱12の上面に接する高さ位置において、包装箱12の正面側左右両端の位置に一対設けられている。一対の上板折り込みフレーム22は、平板状の連結フレーム23により連結されている。
【0019】
次に、本実施形態の自動包装機10の使用方法について記載する。
図1に示すように、まず、搬送装置11上にブランクシートを折り曲げて形成途中の包装箱12が、内部に被包装物13を収容した状態で、把持手段14に把持されて、折り込み位置Aに搬送される。その際、包装箱12は、上板12bが搬送方向の上流側に開けられた状態であり、またシーム片12eは内側に折り込まれていない。
【0020】
包装箱12は、折り込み位置Aに搬送されたところで搬送が停止する。上板12bは、折り込み位置Aに搬送される間、折り込み部19に当接しながら、移動するため、閉口方向に回動する。図2に示すように、上板12bは、折り込み位置Aに搬送が完了した時、ピストン21が収縮した位置において上板折り込みフレーム22の円弧部22bと当接する。上板12bは、折り込み位置Aにおいて、閉口方向に回動した状態で円弧部22bとの当接している。その際、上板12bの上端部の高さ位置は、シーム片12eの折り曲げ可能位置、つまりシーム片12eの上端よりも高い位置にあることが必要である。
【0021】
図3(a)に示すように、包装箱12が折り込み位置Aにおいて保持された状態で、折り込み装置15が非折り込み状態の位置から折り込み状態の位置に回動する。そして、折り込み部19の折り込み面19aがシーム片12eの外側面12gに当接しながら、シーム片12eは、折罫線12fを軸にして包装箱12の内側に折り曲げられる。図3(b)に示すように、折り込み装置15が折り込み状態の位置において、折り込み面19aは、シーム片12eの外側面12gと当接する。その際、折り込み面19aは、搬送方向における垂直断面が、搬送方向の下流側に下方へ傾斜してシーム片12eの上面、つまり外側面12gと線状に接する。尚、図3(b)中において、折り込み面19aと外側面12gは、実際は当接しているものとする。
【0022】
折り込み状態の位置において、搬送方向(0°)、つまり下流側板12aと上板12bとの間の折罫線と、折罫線12fとを結ぶ仮想面12kに対する折り込み面19aの傾斜角度(θ)は、特に限定されるものではない。かかる傾斜角度(θ)の下限は、生産性の観点から、折り込み完了時に、折り込み部19又はシーム片12eの一端(下端)が被包装物13に接触しない状態になる傾斜角度以上であることが好ましい。より具体的には、傾斜角度(θ)の下限は、搬送方向(0°)に対し、例えば−15°以上が好ましく、より好ましくは−10°、さらに好ましくは−5°以上である。傾斜角度(θ)を−15°以上とすることにより、被包装物13との接触をより回避することができる。また、傾斜角度(θ)の上限は、好ましくは0°未満、より好ましくは−1°以下、さらに好ましくは−2°以下である。傾斜角度(θ)を0°未満とすることにより、シーム片12eの折り込みをより確実に行うことができる。
【0023】
図4に示すように、折り込み面19aがシーム片12eの外側面12gに当接した状態で、ピストン21が油圧シリンダ20から押し出され、上板折り込みフレーム22が搬送方向の上流側に移動する。上板折り込みフレーム22の下面22dが、上板12bの上面の搬送方向の下流側から中央付近までスライドして、包装箱12の上面は閉口される。
【0024】
折り込み装置15によるシーム片12eの折り込み及び上板折り込み装置16による上板12bの閉鎖が完了した後、折り込み装置15は、非折り込み状態の位置に戻る。その際、折罫線12fを軸にしてシーム片12eが上板12bの裏面12hを持ち上げる反発戻りは、搬送方向における垂直断面において、搬送方向(0°)に対し、1°以上且つ45°以下となることが好ましく、より好ましくは5°以上且つ30°以下となることがより好ましい。1°以上とすることにより、シーム片12eの外側面12gと上板12bの裏面12hの間に隙間が生じるため、そこに図示しない噴射ガン等の噴射手段を用いて搬送方向の下流側に向けて接着剤を噴射することができる。そして、後工程において、上板12bを上から抑え込んだ時、シーム片12eの外側面12gと、上板12bの裏面12hとを接触及び接着させることができる。一方、45°以下とすることにより、上板12bが抑え込まれたとき、シーム片12eの折り込み不良をより低減させることができる。
【0025】
図5に示すように、折り込み装置15は、非折り込み状態の位置に戻り、上板12bが閉口された包装箱12は、把持手段14に把持された状態で、搬送装置11により搬送方向の下流側に搬送される。そして、上板折り込みフレーム22の下面22dが、さらに上板12bの上面の中央付近から搬送方向の上流側までスライドして、上板12bはさらに押圧され、閉鎖される。それと同時に、ピストン21が収縮位置に戻る。その後、上板12bが閉鎖された包装箱12は、図示しない上板12bの上面押圧手段により押圧され、上板12bの裏面12hとシーム片12eの外側面12gとの接着をより強固にする。最終的に、上方側板12i及び下方側板12jもそれぞれ図示しない装置により閉鎖され、被包装物13の包装箱12内への包装が完了する。
【0026】
次に、本実施形態の自動包装機10の作用について説明する。
自動包装機10では、折り込み装置15によるシーム片12eの折り込み完了時、折り込み面19aは、搬送方向における垂直断面が、搬送方向の下流側に下方へ傾斜してシーム片12eの外側面12gと線状に接する。したがって、シーム片12eにおける上板12bの裏面12hを持ち上げる反発戻りをより低減させることができる。それにより、上板12bを上から押さえつける工程において、シーム片12eの内側への折り込みをより確実にして、シーム片12eの折り込み不良をより低減させる。
【0027】
本実施形態の自動包装機10によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の自動包装機10では、折り込み装置15によるシーム片12eの折り込み完了時、折り込み面19aは、シーム片12eの外側面12gと当接する。その際、折り込み面19aは、搬送方向における垂直断面が、搬送方向の下流側に下方へ傾斜してシーム片12eの外側面12gと線状に接する。したがって、シーム片12eをより確実に折り込むことができる。
【0028】
(2)また、シーム片12eをより確実に折り込むことができるため、ブランクシートに切り込みや必要以上に強い折り目を形成する必要がなく、包装箱12の強度の低下を防ぐことができる。
【0029】
(3)また、折り込み面19aがシーム片12eの外側面12gと線状に接するため、押し込み力を十分にシーム片12eに与えることができる。
(4)本実施形態において、折り込み部19は折り込み面19aを有する板状構造として構成される。したがって、押し込み力をより十分にシーム片12eに与えることができる。
【0030】
(5)本実施形態において、上板折り込みフレーム22は、包装箱12の正面側左右両端の位置に一対設けられている。したがって、上板12bの上面に、例えば印刷面、展示又は開封用の切り込み線等が形成されている場合、上板12bの封鎖時に、上板折り込みフレーム22により、それらを傷つけるおそれがない。
【0031】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、折罫線12fは、公知の方法を用いて形成することができる。例えば、折れ曲がる内側に1本の罫線を入れ、外側には内側の罫線位置を中心に、5〜10mm程度の間隔で2本の罫線が入れることにより形成することができる。
【0032】
・上記実施形態において、包装箱12を構成する材料は、特に限定されず、公知の包装材を使用することができ、好ましくは軽量で取り扱い性に優れる段ボールシートが用いられる。段ボールシートの材質は、特に限定されず、例えば紙、プラスチック、各種ラミネート材等が挙げられる。
【0033】
・上記実施形態において、被包装物13の種類や大きさは特に限定されず、包装箱で梱包する必要のある物であればいずれも適用することができる。
・上記実施形態において、包装箱12の内側への被包装物13の配置方法は特に限定されない。ブランクシートを折り曲げた形成途中の包装箱の開口部から、被包装物を挿入し、包装箱の内側に被包装物を配してもよい。折り曲げる前のブランクシートの内側に被包装物を配し、後で折り曲げることにより、包装箱の内側に被包装物を配してもよい。
【0034】
・上記実施形態において、上流側板12dと下流側板12aのそれぞれの左右両側に内フラップを連接し、内側に折り込んで、包装箱12の両側面を形成してもよい。かかる構成より、包装箱12の強度の一層の向上、及び被包装物の一層の保護を図ることができる。
【0035】
尚、上流側板12dと下流側板12aのそれぞれに形成される内フラップの上端縁は、折り畳まれた際、仮想面12kよりも低位置に形成されることが好ましい。また、内フラップが折り畳まれた後、折り込み装置15により、シーム片12eが折り込まれる場合、折り込み部19と内フラップの上端縁が当接しないように、折り込み面19aを傾斜させたり、内フラップの上端縁を形成することが好ましい。尚、折り込み部19の長さを包装箱12の幅よりも短くすることにより、内フラップの上端縁と折り込み面19aとの当接を回避することもできる。
【0036】
・上記実施形態において、折り込み部19は、搬送方向の上流側から下流側へシーム片12eを押し込みながら折り込み、折り込み完了時に、搬送方向における垂直断面が、搬送方向の下流側に下方へ傾斜して、シーム片12eの外側面12g、つまり上面と線状に接するよう構成されていればよい。したがって、シーム片12eを押し込む構成として、折り込み面19aの代わりに、搬送方向における垂直断面が折り込み部19と同様となる断面L字状の棒状構造を複数設けることにより構成してもよい。
【0037】
図7(a)(b)に示すように、棒状構造を有する折り込み装置24としては、例えば、複数の断面L字状の棒状部材25が支持フレーム26に固定され、支持フレーム26が支持板18の下端に固定される構成であってもよい。かかる構成とすることにより、特にシーム片12eの外側面12gが棒状部材25と接しない部分において、接着剤等の塗布がより容易となる。
【0038】
・折り込み部19は、断面L字状の構造以外の形状でもよい。つまり、搬送方向における垂直断面が、搬送方向の下流側に下方へ傾斜して、シーム片12eの外側面12g、つまり上面と全体として線状に接するよう構成されていれば如何なる形状でもよい。例えば、所々穴の開いた形状、網状の構造等であってもよい。かかる構成においても、依然として本実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0039】
・上記実施形態において、折り込み部19の搬送方向における垂直断面が、折り込み完了時に、シーム片12eの上面の全面が折り込み面19aと線状に接するように構成した。しかしながら、本発明の効果を阻害しない範囲内において、折り込み完了時に、シーム片12eの上面の一部に折り込み面19aと接していない部分が存在していてもよい。
【0040】
・上記実施形態において、上板12bの裏面12hとシーム片12eの外側面12gの接着は、噴射手段を用いて搬送方向の下流側に向けて接着剤を噴射することにより行うことができる。接着剤の種類は特に限定されず、公知の接着剤、例えばアクリル系接着剤、オレフィン系接着剤、ウレタン系接着剤、熱接着剤、圧着剤等を使用することができる。また、接着方法は、接着剤以外の方法、例えば接着テープ、ホッチキス、ステープル等を使用してもよい。
【0041】
・上記実施形態において、折り込み装置15を用いたシーム片12eの折り込み動作時、包装箱12の移動は、停止しているが、本発明の効果を阻害しない範囲内において動いていてもよい。
【0042】
・上記実施形態において、搬送装置11の構成は特に限定されず、例えばベルト、ローラ等を用いたコンベアが適用される。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0043】
(a)前記折り込み装置による折り込みが完了し、折り込み部が非折り込み状態の位置に戻った後、前記シーム部における反発戻りが、搬送方向における垂直断面において、搬送方向(0°)に対し、0°以上且つ45°以下となることを特徴とする前記自動包装機。従って、この(a)に記載の発明によれば、上板を閉じた際、より確実にシーム片を包装箱の内側に折り込むことができるため、折り込み不良をより減少させることができる。また、シーム片と上板との接着をより確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0044】
10…自動包装機、11…搬送装置、12…包装箱、12a…下流側板、12b…上板、12c…底板、12d…上流側板、12e…シーム片、12g…シーム片の外側面、12h…上板12bの裏面、13…被包装物、15,24…折り込み装置、19…折り込み部、19a…折り込み面、θ…折り込み面19aの傾斜角、25…棒状部材、A…折り込み位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7