(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6541985
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】日本酒入りアイスクリーム状冷凍菓子
(51)【国際特許分類】
A23G 9/04 20060101AFI20190628BHJP
A23G 9/32 20060101ALI20190628BHJP
A23G 9/38 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
A23G9/04
A23G9/32
A23G9/38
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-24000(P2015-24000)
(22)【出願日】2015年2月10日
(65)【公開番号】特開2016-146763(P2016-146763A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2018年2月9日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項適用、平成26年8月12日一般財団法人日本食品分析センターにおいて行われた日本酒入りアイスクリーム状氷菓の成分分析試験で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項適用、平成26年9月10日ホームページhttp://www.notasalmon.jp/tonight/536/で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項適用、平成26年9月11日株式会社シンポフーズ本社において行われた試食品配布で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項適用、平成26年9月18日ぐるなび商品展示会for飲食店(セルリアンタワー東急ホテルB2Fボールルーム)において行われた試食品配布で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項適用、平成26年9月24日株式会社AZパートナー主催秋季経営者の集い(ホテルガーデンパレス2階天空の間)において行われた試食品配布で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項適用、平成26年9月27日福島フェス2014(六本木ヒルズアリーナ)において行われた試食品配布で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項適用、平成26年10月4日水風戦茅ヶ崎の陣withアロハス(茅ヶ崎市中央公園)において行われた試食品配布で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項適用、平成26年10月12日水風戦グランドファイナル2014いわきの陣withパークフェス(いわき芸術文化交流館アリオス前芝生広場パークフェス)において行われた試食品配布で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項適用、平成26年11月8日二子玉川ライズマルシェ(二子玉川ライズガレリア)において行われた試食品配布で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項適用、平成26年11月25日稀少肉試食会(クリエートJビル3F食のショールーム・パルス)において行われた試食品配布で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項適用、平成26年11月26日ピーロート・ジャパン株式会社試飲会(代官山T−SITE)において行われた試食品配布で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項適用、平成26年11月29日パークコート麻布十番オーガニックマルシェ(パークコート麻布十番)において行われた試食品配布で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項適用、平成26年12月1日ホームページhttp://ovo.kyodo.co.jp/news/gourmet/a−533249で発表
(73)【特許権者】
【識別番号】515037988
【氏名又は名称】株式会社酒々の実
(74)【代理人】
【識別番号】100147865
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 美和子
(74)【代理人】
【識別番号】100147142
【弁理士】
【氏名又は名称】石森 昭慶
(74)【代理人】
【識別番号】100194272
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 健太
(72)【発明者】
【氏名】村田 千絵
(72)【発明者】
【氏名】北川 哲也
【審査官】
鳥居 敬司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−283172(JP,A)
【文献】
特開2013−212076(JP,A)
【文献】
特開2002−136266(JP,A)
【文献】
特開平06−343397(JP,A)
【文献】
特開昭62−294040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 9/00−9/52
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
WPIDS/WPIX(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
日本酒3〜35質量%と豆腐15〜47質量%とを含有する、日本酒入りアイスクリーム状冷凍菓子。
【請求項2】
植物由来の原材料を用いたアイスクリーム状冷凍菓子であり、日本酒3〜35質量%と、豆腐15〜47質量%とを含有する、日本酒入りアイスクリーム状冷凍菓子。
【請求項3】
イヌリンを含有する、請求項1又は2に記載の日本酒入りアイスクリーム状冷凍菓子。
【請求項4】
ライスドリンクを含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の日本酒入りアイスクリーム状冷凍菓子。
【請求項5】
酒粕を含有する、請求項1〜4のいずれか1項記載の日本酒入りアイスクリーム状冷凍菓子。
【請求項6】
(a)日本酒3〜35質量%と豆腐15〜47質量%とを含むアイスクリーム状冷凍菓子の原材料を混合する工程、
(b)得られた混合物を加熱・冷却してアイスクリーム状冷凍菓子を得る工程
を含む、日本酒入りアイスクリーム状冷凍菓子の製造方法。
【請求項7】
工程(a)を行う前に、日本酒をフランベする工程を含む、請求項6に記載の日本酒入りアイスクリーム状冷凍菓子の製造方法。
【請求項8】
工程(a)を行う前に、豆腐を日本酒に浸す工程を含む、請求項6又は7に記載の日本酒入りアイスクリーム状冷凍菓子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日本酒入りアイスクリーム状冷凍菓子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、日本酒、焼酎、リキュール、ウイスキー、ブランデー、ワイン等の酒を添加した冷凍菓子やゼリー等の菓子類が開発されている。
例えば、特許文献1には、アルコール分を含むシャーベット状の氷菓が開示されている。
また、特許文献2には、砂糖、牛乳、卵、生クリーム、脱脂粉乳、ブドウ糖、安定剤を混合し加熱殺菌したアイスクリームベースに10%の酒粕を加え冷却して成る日本酒アイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−130号公報
【特許文献2】特開平6−343397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のアルコール含有シャーベット状冷凍菓子は、シャリシャリとした食感を有すものであり、アイスクリームのような口当たりやなめらかさ、保形性等を有するものではない。
【0005】
また、特許文献2に記載の日本酒アイスは、牛乳、卵、生クリーム、脱脂粉乳等の動物性蛋白質を含む。動物性の原材料が含まれると、それらに対してアレルギーを有する者は、特許文献2に記載の日本酒アイスを食することができない。また、農耕民族である日本人には、動物性の食物は消化の際の体への負担が大きい。
しかし、動物由来の原材料を使用せず、植物性材料のみを用いて十分な保形性・賞味に耐える口当たりの滑らかさを備えたアイスクリーム状冷凍菓子を製造することは困難であった。
【0006】
更に、アイスクリーム等を含む菓子類には、乳化剤や安定剤等の食品添加物が含まれることが多い。前記冷凍菓子には食品添加物等が含まれ、添加物の体への危険性や影響に敏感な者や女性が安心して食べられるものではない。
しかしながら、日本酒を含むアイスクリームの原料を、乳化剤や乳化安定剤を用いず均質に混合することは困難であった。
【0007】
本願発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、豆腐を原材料に用いることにより、アイスクリーム状の日本酒入り冷凍菓子を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、日本酒3〜37質量%と豆腐とを含有する、日本酒入りアイスクリーム状冷凍菓子である。
豆腐の含有量は13〜47質量%にすることが好ましい。
また、本発明のアイスクリーム状冷凍菓子には、イヌリン、ライスドリンク、酒粕等を含有してもよい。
また、本発明のアイスクリーム状冷凍菓子は、植物由来の原材料を用いて製造することができ、食品添加物を用いずに製造することができる。
本発明のアイスクリーム状冷凍菓子は、
(a)日本酒と豆腐とを含むアイスクリーム状冷凍菓子の原材料を混合する工程、
(b)得られた混合物を加熱・冷却してアイスクリーム状冷凍菓子を得る工程
を含む製造方法で作ることができる。
また、工程(a)を行う前に、日本酒をフランベする工程及び/又は豆腐を日本酒に浸す工程を含めてもよい。
なお、本明細書において、「冷凍菓子」には、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓等を含む。また、「アイスクリーム状」とは、アイスクリームらしいなめらかさを持つ状態をいう。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、日本酒と豆腐とを含有するアイスクリーム状の日本酒入り冷凍菓子を提供することができる。日本酒の含有量を多くしつつ、アイスクリーム状の外観・保形性を有し、日本酒の風味を生かした冷凍菓子を提供することができる。また、アイスクリームのようななめらかさ、こく、まろやかさを付与できる。
豆腐を乳化剤や乳化安定剤の代わりに用いることにより、原料の混合を均一にすることができ、冷凍菓子の保形性、溶けにくさも向上させることができる。
更に、本発明によれば、植物由来の原材料を用いた、化学合成添加物を含まない冷凍菓子を提供することができる。従って、動物性原料を含まずに冷凍菓子を製造できるので、乳アレルギー等により動物由来の食品を忌避する者でも食することができ、食品添加物を忌避する者でも安心して食することができ、さらにカロリーも低くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0011】
1.原材料
(1)日本酒
本明細書において、日本酒とは、米、米麹及び水を主原料として発酵させた醸造酒、それをこして得られた清酒、合成清酒、清酒に清酒かすを加えたもの、それをこして得られたもの、これらの日本酒に醸造アルコールやブドウ糖、アミノ酸塩等の副原料を添加したもの等が含まれる。また、原酒だけでなく、加水した酒、フランベした酒等、なんらかの加工を施したものも含まれる。市販されている日本酒であれば特に限定されないが、例えば、純米吟醸酒が好ましい。
また、日本酒のアルコール度数は特に限定されないが、例えば、13度以上22度以下であり、好ましくは15度から16度である。
【0012】
(2)豆腐
豆腐は、豆乳に、にがり等の凝固剤を加えて固めた食品である。豆腐には、木綿豆腐、ソフト豆腐、絹ごし豆腐、充填豆腐等があるが、本発明において特に限定されない。
豆腐には、20種類のアミノ酸が豊富に含まれている。また、ビタミンB群、ビタミンE、ビタミンK、カルシウム、鉄、亜鉛、カリウム、食物繊維等も含まれている。
本発明の原材料としての豆腐の使用は、冷凍菓子の保形性、口当たりのなめらかさ、味等に影響を与えると考えられる。
豆腐は、冷凍菓子の保形性・口当たりの滑らかさの達成に実質的に作用する材料であり、本発明において必須の原材料である。
【0013】
(3)イヌリン
イヌリンは、主に果糖の重合体であり、キク科の球根やリュウゼツラン科の根茎等に多く含まれる。イヌリンは、水溶性食物繊維の一種であり、砂糖や他の炭水化物よりもカロリーが低く、カルシウム等のミネラルの吸収を促進する。脂肪代替素材として用いることができる。本発明では特に限定されないが、アガベイヌリンが好ましい。
【0014】
(4)ライスドリンク
ライスドリンクは、ライスミルクともいい、水に浸した米及び/又は炊いた米と水とをミキサーで粉砕することにより製造できる。ライスドリンクの原料となる米として、玄米、発芽玄米、精白米等が挙げられるが、特に限定されない。ライスドリンクは市販されており、容易に入手できる。牛乳等の動物性ミルクよりもカロリーや脂肪が少なく、ベジタリアンや、大豆、乳、小麦アレルギー等の人でも摂取でき、健康食品として注目されている。
ライスドリンクは、米を原料としており、日本酒との味のなじみがよいと考えられる。
【0015】
(5)酒粕
酒粕は、日本酒等のもろみを圧搾した後に残る固形物である。酒粕のもととなるもろみの種類、例えば日本酒の銘柄等は、特に限定されない。酒粕には、アミノ酸、各種ビタミン、酵母、食物繊維等が含まれ、栄養素に富んでいる。酒粕は風味が豊かで香りも高く、日本酒の風味をより際立たせると考えられる。
【0016】
(6)糖分
本発明の冷凍菓子の甘味は、砂糖、シロップ等の、一般に菓子等で用いられる甘味料で付与することができる。一般的に、砂糖が好適であるが、本発明においては特に限定されない。
本発明において、後述の実施例等では果糖(粉末状の砂糖)を用いたが、メープルシロップ、アガベシロップ等を用いてもよい。特にアガベシロップは、砂糖よりもカロリーが低く、イヌリン等の食物繊維を含み、血糖値の上昇を抑える働きがあるとして、注目されている。
【0017】
(7)デンプン
デンプンとして、例えば、トウモロコシ由来、コムギ由来、コメ由来、マメ類由来、ジャガイモ由来、サツマイモ由来、キャッサバ由来等のものが挙げられる。本発明において用いるデンプンは特に限定されないが、例えば、タピオカ粉を好適に用いることができる。タピオカ粉は、キャッサバの根茎から作られたデンプンを粉状にしたものである。タンパク質をほとんど含まない。食品の増粘剤としてよく用いられ、本発明において食感等を調整することができる。
【0018】
(8)食用油脂
食用油脂として、綿実油、パーム油、ヤシ油、菜種油等が挙げられる。本発明で用いる油の種類は特に限定されないが、例えば、菜種油が好ましい。本発明の原料として植物由来の油脂を用いることにより、アレルギー等を有する人にも本発明の冷凍菓子を提供できる。
【0019】
(9)塩
塩は、本発明の味等の調整に用いられる。塩の種類として、海塩、岩塩等が挙げられる。本発明では、特に限定されないが、海塩が好ましい。
【0020】
(10)その他の原材料
その他の原材料として、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム等の安定剤、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤、バニラ、チョコレート、ストロベリー、抹茶、コーヒー等のフレーバー、色素等の添加物を挙げることができる。本発明において特に限定されるものではないが、化学合成添加物を使用しないことが好ましい。
【0021】
2.製造方法
本発明のアイスクリーム状冷凍菓子は、(a)日本酒と豆腐とを含むアイスクリーム状冷凍菓子の原材料を混合し、(b)得られた混合物を加熱・冷却してアイスクリーム状冷凍菓子を得る工程により、製造できる。
原材料は、前記(1)日本酒と(2)豆腐を必須原材料とし、適宜、前記(3)〜(10)を用いる。
日本酒の量は、下限で3質量%以上、好ましくは10質量%以上である。また、上限で37質量%以下、好ましくは30質量%以下である。日本酒の量が多いと凍結しにくく、得られた冷凍菓子が溶けやすくなるが、豆腐を加えることにより、それを補うことができる。
【0022】
日本酒は、他の原材料と混合する前にフランベしてもよい。フランベは、原材料となる日本酒全量に行ってもよいし、一部だけ分取して行ってもよい。フランベにより、日本酒の風味を更に増すことができる。
【0023】
豆腐の量は、下限で13質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは26質量%以上である。また、上限で47質量%以下、好ましくは35質量%以下である。豆腐の量が多ければ、保形性等が向上するが、豆腐の風味が強すぎた場合、日本酒の量、酒粕の量等で調節することができる。
【0024】
豆腐は、他の原材料と混合する前に、水気を切って、日本酒に漬けておいてもよい。漬ける日本酒は、原材料となる日本酒の一部を分取したものを用いてもよい。日本酒に漬けておくことにより、豆腐くささが緩和され、日本酒の風味や香りが効いた冷凍菓子を製造することができる。
日本酒に漬けた豆腐は裏ごししてから原材料と混合するとなめらかさが増す。
【0025】
日本酒と豆腐と、その他の原材料を直接混合してもよいが、日本酒と豆腐以外の原材料をライスドリンクに予め混合しておくことが好ましい。次に、日本酒と裏ごしした豆腐を加えることが好ましい。その後、原材料の混合物中の空気を抜くようにして、よく撹拌することが好ましい。
【0026】
その他の原材料は、任意で添加することができる。添加量は、例えば、ライスドリンク30〜50質量%、菜種油5〜15質量%、糖分(アガベシロップ)3〜15質量%、塩0.01〜0.5質量%、イヌリン0.1〜5質量%、タピオカ粉0.1〜5質量%、酒粕0.1〜10質量%である。
【0027】
前記混合物をジェラートマシン、アイスクリームマシンに投入して加熱・冷却し、本発明の日本酒入りアイスクリーム状冷凍菓子を得て、冷凍する。
【0028】
3.日本酒入りアイスクリーム状冷凍菓子の成分
前記のようにして得られた本発明の日本酒入りアイスクリーム状冷凍菓子の成分の一例を下記に示す。
成分 100mlあたり
水分 69.3g
タンパク質 2.0g
脂質 9.5g
灰分 0.4g
炭水化物 16.1g
エネルギー 177kcal
ナトリウム 86.2mg
アルコール分 2.7g (2.7%)
【実施例】
【0029】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0030】
1.日本酒と豆腐の量の検討
市販の純米吟醸「北の一番蔵」(北の誉酒造株式会社)、豆腐「きぬごし」(さとみや)、ライスドリンク「ビタリッツ」(有限会社サラダボウル)、菜種油「オーサワのなたねサラダ油」(オーサワジャパン株式会社)、砂糖「果糖」(三育ベジタス株式会社)、塩「赤穂の天塩」(株式会社天塩)を、下記表1に示した分量で混合し、ジェラートマシンブラボー社製「トリティコTR−18Mメカニック」(販売元:株式会社エヌワイビー)に投入し、日本酒入りアイスクリーム状冷凍菓子を得た。
得られた冷凍菓子について「溶けにくさ」、「舌触りのなめらかさ」、「日本酒の香り」について評価した。評価は、パネラー10名で5段階評価(5が良好、1が不良)してもらい、それを点数化し、簡易的にしたものを表1に示した。簡易的な表記は、◎、○、△、×で表した。
【0031】
【表1】
【0032】
表1に示すように、比較例3では豆腐を使用しておらず、シャーベット状で溶けやすい冷凍菓子が得られた。
「溶けにくさ」に関し、日本酒の量が実施例1の5質量%から実施例5の35質量%のときに、特に良好な結果が得られた。
また、「舌触りのなめらかさ」に関し、豆腐の量が実施例1の45質量%から実施例4の20質量%のときに、特に良好な結果が得られた。
さらに、「日本酒の香り」に関し、日本酒の量が多くなるほど良好な結果が得られた。
これらの評価を総合的に判断した結果、日本酒の量は3〜37質量%、豆腐の量は13〜47質量%にすると、好ましい日本酒入りアイスクリーム状冷凍菓子が得られると考えられた。
【0033】
2.原材料及び製造工程の検討
前記日本酒、豆腐、ライスドリンク、菜種油、果糖、塩と、イヌリン「有機アガベイヌリン(粉末)」(株式会社イデアプロモーション)、タピオカ粉「タピオカでんぷん」(株式会社クオカプランニング)、酒粕「酒粕」(若清水酒造株式会社)下記表2に示した分量で混合し、ジェラートマシン ブラボー社製「トリティコTR−18Mメカニック」(販売元:株式会社エヌワイビー)に投入し、日本酒入りアイスクリーム状冷凍菓子を得た。
製造例3では、ライスドリンクの代わりに豆乳を用いた。
製造例4では、日本酒450gのうち100gを分取して豆腐を浸し、その後、他の原材料と混合した。
製造例5では、原材料として酒粕を10g加えた。
製造例6では、日本酒450gのうち100gを分取して豆腐を浸し、その後、他の原材料(酒粕を10g含む)と混合した。
得られた冷凍菓子について「舌触りのなめらかさ」、「豆腐っぽさ」、「日本酒の香り(口に入れたときの広がり)」について評価した。評価は、パネラー10名で5段階評価(5が良好、1が不良、「豆腐っぽさ」のみ1が良好、5が不良)してもらい、それを点数化し、簡易的に表したものを表2に示した。簡易的な表記は、◎、○、△、×で表した。
なお、製造例1は、前記表1の実施例3と同じものである。
【0034】
【表2】
【0035】
製造例2〜6において、原材料にイヌリン及びタピオカ粉を加えたところ、舌触りのなめらかさについて、製造例1と比較して同等又はそれ以上であるとの評価が得られた。
【0036】
製造例3において、ライスドリンクを豆乳で置き換えたところ、豆腐っぽさについて、パネラー10名中9名が、製造例2と製造例3とを比べて同等か、製造例3の方がより強く感じたと評価した(データは示さず)。さらに、日本酒の香りについても、ライスドリンクを用いた場合の方が豆乳を用いた場合に比べ、良好な結果が得られた。
【0037】
製造例4において、豆腐を日本酒に浸す工程を加えたところ、日本酒の香りについて、製造例2よりも強く、良好であるとの評価が得られた。このことより、豆腐を日本酒に浸す工程を加えると、日本酒の香りがよい冷凍菓子が得られることがわかった。
【0038】
製造例5において、原材料に酒粕を加えたところ、日本酒の香りについて良好な結果が得られた。
【0039】
製造例6において、豆腐を日本酒に浸す工程を加え、かつ原材料に酒粕を加えたところ、日本酒の香りについて良好な結果が得られた。
【0040】
3.まとめ
以上の結果から、日本酒の含有量は3〜37質量%、豆腐の含有量は13〜47質量%が好ましく、イヌリン、ライスドリンク、酒粕等を原材料に用いることによって、日本酒の風味が豊かなアイスクリーム状冷凍菓子を得られることが示唆された。
また、製造方法において、予め豆腐を日本酒に浸す工程を加えると、より日本酒の風味が豊かなアイスクリーム状冷凍菓子を製造できることが示唆された。