(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記傾斜構造体は、前記構造領域の前記一方の表面側から5μm地点における径が、0.5μm以上2.0μm未満であり、前記構造領域の前記他方の表面側から5μm地点における径が、2.0μm〜5.0μmであることを特徴とする、請求項1に記載の異方性光学フィルム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る異方性光学フィルム及びその製造方法に関して説明するが、本発明は本形態に限定されるものではない。
【0019】
≪異方性光学フィルムの構造≫
<全体構造>
本形態に係る異方性光学フィルムは、異方性拡散層を少なくとも有する。
【0020】
〔異方性拡散層〕
本形態に係る異方性拡散層の概要について、従来技術に係る異方性拡散層と対比しながら説明する。
【0021】
本形態に係る異方性光学フィルムは、異方性拡散層(連続的な一層)として光硬化性樹脂組成物からなる層(光硬化性樹脂組成物層)を有する。光硬化性樹脂組成物層は、光(例えば紫外線)により硬化した光硬化性樹脂組成物からなる層である。そして、当該光硬化性樹脂組成物層には、その層を貫く方向に配向した複数(無数)の
傾斜構造体である柱状領
域が平面方向に亘って形成されている。更に、異方性拡散層中において、このような柱状領域が存在する層(異方性拡散層を、層に平行な断面で見たときに、当該断面上に柱状領域が存在する領域)を構造領域とし、このような柱状領域が存在しない層(異方性拡散層を、層に平行な断面で見たときに、当該断面上に柱状領域が存在しない領域)を無構造領域とする。尚、「柱状領域」とは、屈折率が周辺領域と僅かに異なる微小な棒状の光硬化性樹脂組成物領域を指す。また、このような「柱状領域」以外の異方性拡散層中の光硬化性樹脂組成物領域を、マトリックス領域とする。このように、柱状領域の屈折率は、マトリックス領域の屈折率と異なっていればよいが、屈折率がどの程度異なるかは特に限定されず、相対的なものである。マトリックス領域の屈折率が柱状領域の屈折率よりも低い場合、マトリックス領域は低屈折率領域となる。逆に、マトリックス領域の屈折率が柱状領域の屈折率よりも高い場合、マトリックス領域は高屈折率領域となる。
【0022】
ここで、特に本発明における構造領域とは、異方性拡散層の最外部(例えば、後述する光照射側)の基準線(粗さ曲線の平均線)に対して略平行となる平行線を引いた際、柱状領域の全個数に対しての、当該平行線に接触している柱状体領域の個数の割合が、50%超となる領域である。
【0023】
次に、
図1を参照しながら、本形態に係る異方性拡散層の構造の特徴を説明する。
【0024】
図1は、本形態に係る異方性拡散層及び従来技術に係る異方性拡散層に係る、概念図である。当該図に示されるように光硬化性樹脂組成物層の層断面に着目すると、当該層断面には、その層を貫く方向に配向した複数(無数)の傾斜構造体である柱状領域が形成された、構造領域が形成されている。
【0025】
ここで、
図1(a)に示す本形態に係る異方性拡散層によれば、柱状領域が、異方性拡散層の一方の表面側(図面における上方側)近傍から他方の表面側(図面における下方側)近傍に向かって拡径していく形状を有する傾斜構造体となっている。他方、
図1(b)に示す従来技術に係る異方性拡散層は、本形態に係る異方性拡散層と同様に、マトリックス領域と、柱状領域と、を含むものであるが、柱状領域の形態が、
複数の傾斜構造体となっていない{異方性拡散層の一方の表面側(図面における上方側)近傍の径と、他方の表面側(図面における下方側)近傍の径と、構造体中の径がほぼ等しくなっている}。
【0026】
このように、本形態に係る異方性光学フィルムによれば、柱状領域の形態を
複数の傾斜構造体とすることで、より多くの入射角の光を屈折可能となるため、拡散性に優れたものとすることができる。
【0027】
(柱状領域)
本形態に係る異方性拡散層に含まれる柱状領域の具体的な構造としては、前述の通り、傾斜構造体となっている。ここで、傾斜構造体とは、単純な柱や棒(合同な二つの平面図形を底面及び上面として持つような構造)とは異なり、錐体に代表されるように、一方の側から他方の側に向かってその径が拡がりながら延存する形状を有する構成である。
【0028】
(形状
)
傾斜構造体の形状としては特に限定されないが、
図2(a)に示すように、表面側近傍における形状が台状でなくとも、本発明に係る効果を奏するが、錐台状であることが好ましく、円錐台状であることがより好ましい。特に円錐台状とした場合には、円による光の拡散が発生し、ギラツキが少なくなる効果がある。
【0029】
また、傾斜構造体としては、
図2(b)に示すように、その中心軸が傾斜した構造体(軸傾斜構造
体)であってもよい。
【0030】
ここで、傾斜構造体は、
図2(c)に示すように、その一部が、異方性拡散層の一方の表面側近傍から他方の表面側近傍に向かって縮径し、更に拡径していく構造を有していてもよい。また、
図2(d)に示すように、
図2(c)に示す、縮径
及び拡径構造を有する傾斜構造体において、その中心軸が傾斜した軸傾斜構造としてもよい。更に、
図2(e)に示すよう
に、異方性拡散層の一方の表面側近傍から縮径していく縮径構造部の中心軸と、異方性拡散層の他方の表面側近傍に向かって拡径していく拡径構造部の中心軸と、が一致しないように構成してもよい。
【0031】
更に、本発明に係る異方性光学フィルムは、
図2(f)に示すように、無構造領域を有するものであってもよい。
【0032】
(径
)
傾斜構造体は、前述のように、構造領域の一方の表面側近傍における径が、構造領域の他方の表面側近傍における径よりも
小さく、表面側から
他方の表面に向かって拡径していく形状を有するよう構成されている。尚、「一方の表面側近傍」及び「他方の表面側近傍」とは、異方性拡散層の断面において、基準となる表面から、深さ5μmの位置を示す。ここで、基準となる表面とは、構造領域の最外部となる面である(例えば、無構造領域を有する場合には構造領域と無構造領域との境界面であり、構造領域が基材又はその他の部材と接合されている場合にはその境界面である)。
【0033】
ここで、構造領域の一方の表面側近傍における径は、0.5μm以上2.0μm未満であることが好適であり、0.5μm以上1.5μ未満であることがより好適である。0.5μm未満では透過性が低下しやすく、2.0μm以上では拡散性が低下しやすい。
【0034】
合わせて、構造領域の他方の表面側近傍における径は、2.0μm以上5.0μm以下であることが好適であり、3.0μm以上5.0μm以
下であることがより好適である。
2.0μm未満では透過性が低下しやすく、5.0μm超では光拡散性が低下しやすい。
【0035】
また、一方の表面側近傍における径:他方の表面側近傍における
径は、1:1.5〜1:4.0であることが好適であり、1:1.5〜1:3.0であることがより好適であり、1:1.5〜1:2.0であることが更に好適である。この比率を下回ると、拡散性の向上効果が得られ難くなり、この比率を上回ると、拡散性が低下する。
【0036】
傾斜構造体の傾斜は、後述の製造工程における光拡散媒体に添加するフィラーの添加量、形状、大きさにより適宜調整
可能である。
【0037】
(厚み)
本形態に係る異方性拡散層の厚みとしては、特に限定されないが、好適には20〜100μmであり、より好適には25〜55μmである。20μm未満であると光拡散性が低下し、100μmを超えると過剰となる。
【0038】
〔その他の層〕
異方性拡散層の一方の面に他の層を設けた異方性光学フィルムとしてもよい。他の層としては、例えば、粘着層、偏光層、光拡散層、低反射層、防汚層、帯電防止層、紫外線・近赤外線(NIR)吸収層、ネオンカット層、電磁波シールド層などを挙げることができる。他の層を順次積層してもよい。異方性拡散層の両方の面に、他の層を積層してもよい。両方の面に積層される他の層は、同一の機能を有する層であってもよいし、別の機能を有する層であってもよい。
【0039】
≪異方性光学フィルムの製造方法≫
本形態に係る異方性光学フィルムは
、反射性基材や等方性拡散媒体上に直接塗工等により設けることも可能であるが、通常の加工技術により粘着剤や接着剤を介して貼り合せることも出来る。また、例えば、本形態に係る異方性光学フィルムと屈曲性支持体やボードとの貼り合せを行う場合等も粘着剤や接着剤を使用することが好ましい。屈曲性支持体やボード自体が反射性を有する場合は、その反射面に直接異方性光学フィルムを積層することが出来るのは言うまでもないことである。以下、まず異方性拡散層の原料を説明し、次いでその製造工程を説明する。
【0040】
<異方性拡散層の原料>
〔光硬化性樹脂組成物〕
本形態の異方性拡散層を形成するのに必須な材料である光硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性又はカチオン重合性の官能基を有するポリマー、オリゴマー、モノマーから選択される光重合性化合物と光開始剤とから構成され、紫外線及び/又は可視光線を照射することにより重合・固化する材料である。
【0041】
(光重合性化合物)
ラジカル重合性化合物は、主に分子中に1個以上の不飽和二重結合を含有するもので、具体的にはエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、シリコーンアクリレート等の名称で呼ばれるアクリルオリゴマーと、2―エチルヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソノルボルニルアクリレート、2―ヒドロキシエチルアクリレート、2―ヒドロキシプロピルアクリレート、2―アクリロイロキシフタル酸、ジシクロペンテニルアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6―ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変成トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のアクリレートモノマーが挙げられる。また、これらの化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。尚、同様にメタクリレートも使用可能であるが、一般にはメタクリレートよりもアクリレートの方が光重合速度が速いので好ましい。
【0042】
カチオン重合性化合物としては、分子中にエポキシ基やビニルエーテル基、オキセタン基を1個以上有する化合物が使用出来る。エポキシ基を有する化合物としては、2―エチルヘキシルジグリコールグリシジルエーテル、ビフェニルのグリシジルエーテル、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラクロロビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類のジグリシジルエーテル類、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ブロム化フェノールノボラック、オルトクレゾールノボラック等のノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル類、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,6―ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、1,4―シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのEO付加物、ビスフェノールAのPO付加物等のアルキレングリコール類のジグリシジルエーテル類、ヘキサヒドロフタル酸のグリシジルエステルやダイマー酸のジグリシジルエステル等のグリシジルエステル類が挙げられる。
【0043】
更に、3,4―エポキシシクロヘキシルメチル―3’,4’―エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2―(3,4―エポキシシクロヘキシル―5,5―スピロ―3,4―エポキシ)シクロヘキサン―メタ―ジオキサン、ジ(3,4―エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジ(3,4―エポキシ―6―メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4―エポキシ―6―メチルシクロヘキシル―3’,4’―エポキシ―6’―メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4―エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキシド、エチレングリコールのジ(3,4―エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4―エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ラクトン変性3,4―エポキシシクロヘキシルメチル―3’,4’―エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、テトラ(3,4―エポキシシクロヘキシルメチル)ブタンテトラカルボキシレート、ジ(3,4―エポキシシクロヘキシルメチル)―4,5―エポキシテトラヒドロフタレート等の脂環式エポキシ化合物も挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
ビニルエーテル基を有する化合物としては、例えばジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロペニルエーテルプロピレンカーボネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。尚ビニルエーテル化合物は、一般にはカチオン重合性であるが、アクリレートと組み合わせることによりラジカル重合も可能である。
【0045】
またオキセタン基を有する化合物としては、1,4―ビス[(3―エチル―3―オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3―エチル―3―(ヒドロキシメチル)―オキセタン等が使用できる。
【0046】
尚、以上のカチオン重合性化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。上記光重合性化合物は、上述に限定されるものではない。また、十分な屈折率差を生じさせるべく、上記光重合性化合物には、低屈折率化を図るために、フッ素原子(F)を導入しても良く、高屈折率化を図るために、硫黄原子(S)、臭素原子(Br)、各種金属原子を導入しても良い。また、特表2005−514487に開示されるように、酸化チタン(TiO
2)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化錫(SnOx)等の高屈折率の金属酸化物からなる超微粒子の表面に、アクリル基やメタクリル基、エポキシ基等の光重合性官能基を導入した機能性超微粒子を上述の光重合性化合物に添加することも有効である。
【0047】
(光開始剤)
ラジカル重合性化合物を重合させることの出来る光開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、2―クロロチオキサントン、2,4―ジエチルチオキサントン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2―ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2―ジメトキシ―1,2―ジフェニルエタン―1―オン、2―ヒドロキシ―2―メチル―1―フェニルプロパン―1―オン、1―ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2―メチル―1―[4―(メチルチオ)フェニル]―2―モルフォリノプロパノン―1、1―[4―(2―ヒドロキシエトキシ)―フェニル]―2―ヒドロキシ―2―メチル―1―プロパン―1―オン、ビス(シクロペンタジエニル)―ビス(2,6―ジフルオロ―3―(ピル―1―イル)チタニウム、2―ベンジル―2―ジメチルアミノ―1―(4―モルフォリノフェニル)―ブタノン―1、2,4,6―トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。また、これらの化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。
【0048】
またカチオン重合性化合物の光開始剤は、光照射によって酸を発生し、この発生した酸により上述のカチオン重合性化合物を重合させることが出来る化合物であり、一般的には、オニウム塩、メタロセン錯体が好適に用いられる。オニウム塩としては、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩等が使用され、これらの対イオンには、BF
4−、PF
6−、AsF
6−、SbF
6−等のアニオンが用いられる。具体例としては、4―クロロベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、(4―フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4―フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス[4―(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド―ビス―ヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4―(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド―ビス―ヘキサフルオロホスフェート、(4―メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4―メトキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4―t―ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルセレニウムヘキサフルオロホスフェート、(η5―イソプロピルベンゼン)(η5―シクロペンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。
【0049】
(配合量、その他任意成分)
本形態において、前記光開始剤は、光重合性化合物100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜7重量部、より好ましくは0.1〜5重量部程度配合される。これは、0.01重量部未満では光硬化性が低下し、10重量部を超えて配合した場合には、表面だけが硬化して内部の硬化性が低下してしまう弊害、着色、柱状領域の形成の阻害を招くからである。これらの光開始剤は、通常粉体を光重合性化合物中に直接溶解して使用されるが、溶解性が悪い場合は光開始剤を予め極少量の溶剤に高濃度に溶解させたものを使用することも出来る。このような溶剤としては光重合性であることが更に好ましく、具体的には炭酸プロピレン、γ―ブチロラクトン等が挙げられる。また、光重合性を向上させるために公知の各種染料や増感剤を添加することも可能である。更に光重合性化合物を加熱により硬化させることの出来る熱硬化開始剤を光開始剤と共に併用することも出来る。この場合、光硬化の後に加熱することにより光重合性化合物の重合硬化を更に促進し完全なものにすることが期待できる。
【0050】
本形態では、上記の光硬化性樹脂組成物を単独で、又は複数を混合した組成物を硬化させて、異方性拡散層を形成することが出来る。また、光硬化性樹脂組成物と光硬化性を有しない高分子樹脂の混合物を用いてもよい。ここで使用できる高分子樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン―アクリル共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、セルロース系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩ビ―酢ビ共重合体、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。これらの高分子樹脂と光硬化性樹脂組成物は、光硬化前は十分な相溶性を有していることが必要であるが、この相溶性を確保するために各種有機溶剤や可塑剤等を使用することも可能である。尚、光硬化性樹脂組成物としてアクリレートを使用する場合は、高分子樹脂としてはアクリル樹脂から選択することが相溶性の点で好ましい。
【0051】
<工程>
異方性拡散層
(異方性光学フィルム)の製造方法としては、光硬化性樹脂組成物を適当な基材フィルム上に塗布し又はシート状に設け
、未硬化樹脂組成物層を形成し(塗布工程)、必要に応じ
、乾燥して溶剤を揮発させた上で、この
未硬化性樹脂組成物
層上に光照射マスクを設け(光照射マスク接合工程)、また光照射マスク上に光拡散媒体を配置し(光拡散媒体配置工程)、更に光拡散媒体上に光源を配置して
、光硬化性樹脂組成物に光を照射(硬化工程)することで、
異方性光拡散層(異方性光学フィルム
)を作製することが出来る。以下、各工程に関して詳述する。
【0052】
〔塗布工程〕
基材フィルム上に未硬化状態の光硬化性樹脂組成物を塗布又はシート状に設け、未硬化樹脂組成物層を形成する。
【0053】
ここで、光硬化性樹脂組成物を基材フィルム上に設ける手法としては、通常の塗工方式や印刷方式が適用される。具体的には、エアドクターコーティング、バーコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、リバースコーティング、トランスファロールコーティング、グラビアロールコーティング、キスコーティング、キャストコーティング、スプレーコーティング、スロットオリフィスコーティング、カレンダーコーティング、ダムコーティング、ディップコーティング、ダイコーティング等のコーティングや、グラビア印刷等の凹版印刷、スクリーン印刷等の孔版印刷等の印刷等が使用できる。また、光硬化性樹脂組成物が低粘度の場合は、例えば、異方性拡散層を形成したい縁部に沿ってディスペンサーを用いて硬化性の樹脂による隔壁を形成し、当該隔壁で囲まれた内部に未硬化状態の光硬化性樹脂組成物をキャストすればよい。
【0054】
ここで、基材フィルムとしては後述の硬化工程等において光硬化性樹脂組成物の硬化を阻害しないものを用いれば何ら限定されず、例えば、透明PETフィルム等のような適宜のフィルムを用いることが出来る。
【0055】
〔光照射マスク接合工程〕
次に、塗布工程で形成された未硬化樹脂組成物層上に、光照射マスクを接合(接触)させる。以下、本工程にて用いられる光照射マスクの性質等について詳述する。
【0056】
光照射マスクは、光硬化性樹脂組成物の
硬化や形成を促進させたり、硬化時の酸素阻害を防いだり、異方性拡散の強度をコントロールする等の目的で使用される。光照射マスクの材質としては、光線が透過する透明な可撓性を有するシートであれば特に限定されないが、柱状領域をより効率良く形成させるために、光吸収性フィラー(例えば、カーボン等)をポリマーマトリックス中に分散したもので、入射光の一部は光吸収性フィラーに吸収されるが、光吸収性フィラーの存在しない開光部は光が十分に透過できるようなマスクとすることが好ましい。
【0057】
ここで、光照射マスク接合工程としては、前述の通り、
乾燥して溶剤を揮発させた上で、この未硬化樹脂組成物層上に光照射マスクを接合(接触)させればよいため、例えば、前述の隔壁を設け、基材フィルムと、隔壁と、光照射マスクと、で形成される空間内に未硬化状態の光硬化性樹脂組成物を充填する、等により、前記塗布工程と光照射マスク接合工程とを同時に行う工程等であってもよい
。尚、前述のように、光照射マスクは各種の機能を奏するものであるが、光照射マスクを用いずとも異方性拡散層を製造可能であるため、光照射マスク接合工程は必須の工程ではない。
【0058】
〔光拡散媒体配置工程〕
次に、未硬化樹脂組成物層に照射される光に適当な特性を付与するために、光拡散媒体を配置する
{光拡散媒体は、未硬化樹脂組成物層の硬化用の光源と、未硬化樹脂組成物層と、の間に配置される部材である
(光照射マスクを有している場合には、光照射マスク上)}。
【0059】
(光拡散媒体)
光拡散媒体の光拡散特性は、
図3に示すように、変角光度計ゴニオフォトメータ(株式会社ジェネシア製)を用いて、光拡散媒体である測定サンプルに対し、光源の入射光が法線方向に対して0°となる角度に光源をセットし、受光部(検出器)は測定サンプルの法線方向に対して−90°〜+90°の範囲で可変させて拡散する光の強度を測定した際、拡散透過率(受光強度)の最大値から1/10の拡散透過率に当たる角度範囲の絶対値
が、2°超8°以下である。光拡散媒体における、入射光の拡散範囲の角度の絶対値がこのような数値範囲から外れる場合、所望の柱状領域が形成されない。尚、この数値は、後述の硬化工程において照射する光の波長に対して測定される数値である。
【0060】
このような性質を有する光拡散媒体としては特に限定されないが、例えば、フィラー(例えば、ポリスチレン粒子)の入った樹脂
板(例えば、アクリル板)等の拡散板を挙げることができる。この場合、フィラーの添加量、形状、大きさにより、光拡散媒体の性質を調整可能である。または、フィルムの表面にホログラムの干渉波面による微細な凹凸を転写し、その構造による屈折作用又は回折作用により、入射光を一定の角度に拡散させるレンズ拡散板(LSD、Luminit,LLC社製)等も適用できる。ここで、光拡散媒体は、前述のように、入射光に適当な特性を付与し、未硬化樹脂組成物層に照射するための部材である。従って、未硬化樹脂組成物層に対して前記適当な特性の光を照射可能な限り、光拡散媒体として、複数の拡散板等を組み合わせたものとしてもよい(その場合、光拡散媒体全体に対して前記の光拡散特性を測定すればよい)。また、レンチキュラーレンズを二つ組み合わせて用いる等によっても、同様の効果を奏し得る。
【0061】
このように、本形態に係る光拡散媒体を介して光を照射することにより、未硬化樹脂組成物層に照射される光が、樹脂層に入射される直前に全方向的に拡散されるため、当該拡散された方向に沿って硬化が進行し、上方側(光入射側)と下方側(基材フィルム側)とでその径が異なる形状(例えば、錐台状)となるのである。
【0062】
ここで、前述の通り、本発明に係る傾斜構造体としては、
図2(b)に示すように、その中心軸が傾斜した構造体(軸傾斜構造
体)であってもよい。
【0063】
(ヘイズ値
)
光拡散媒体のヘイズ値としては、5〜30%が好適であり、15〜30%がより好適である。ヘイズ値が小さすぎると、錐台状(円錐台状)の構造とし難くなり、ヘイズ値が大きすぎると、複数の傾斜構造体である柱状領域自体ができ難い。
【0064】
尚、光拡散媒体の配置箇所としては、光照射マスクの上に直接配置してもよいし、
光照射マスクの上に光照射マスクと離隔するように配置してもよい。また、光照射マスク接合工程を設けない(光照射マスクを使用しない)場合には、光拡散媒体を、未硬化樹脂組成物層の上に直接(未硬化樹脂組成物層と接触し得るように)、又は、
未硬化樹脂組成物層の上に未硬化樹脂組成物層と離隔するように配置すればよい。
【0065】
ここで、前述の通り、光照射マスク接合工程は必須の工程ではない。光照射マスク接合工程を行わない場合、光拡散媒体配置工程は、(1)光拡散媒体を未硬化樹脂組成物層と離隔するように配置する場合には、塗布工程に先んじて行うものであってもよいし、(2)光拡散媒体を未硬化樹脂組成物層の上に直接(未硬化樹脂組成物層と接触し得るように)配置する場合には、前述の隔壁を設け、基材フィルムと、隔壁と、光拡散媒体と、で形成される空間内に未硬化状態の光硬化性樹脂組成物を充填する、等により、前記塗布工程と光拡散媒体配置工程とを同時に行う工程等であってもよい。
【0066】
〔硬化工程〕
次に、未硬化樹脂組成物層に
、光拡散媒体を介して光を照射することにより、全方向に拡散する拡散光線である光が未硬化樹脂組成物層に照射され、未硬化樹脂組成物層が硬化し、複数の傾斜構造
体を有する柱状領域が形成された、異方性拡散層(光硬化性樹脂組成物層)を形成する。
【0067】
未硬化樹脂組成物層に光照射を行うための光源としては、用いる光硬化性樹脂組成物によって異なるが、紫外線硬化性の樹脂組成物を用いる場合には、通常はショートアークの紫外線発生光源が使用され、具体的には高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタハライドランプ、キセノンランプ等が使用可能である。
【0068】
未硬化樹脂組成物層に照射する光線は、当該未硬化樹脂組成物層を硬化可能な波長を含んでいることが必要で、紫外線硬化性の樹脂組成物を用いる場合には、通常は水銀灯の365nmを中心とする波長の光が利用される。この波長帯を使って本形態の異方性拡散層を作製する場合、照度としては0.01〜100mW/cm
2の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20mW/cm
2の範囲である。照度が0.01mW/cm
2未満であると硬化に長時間を要するため、生産効率が悪くなり、100mW/cm
2超であると光硬化性樹脂組成物の硬化が速
すぎて構造形成を生じず、目的の異方性拡散特性を発現できない場合があるからである。
【0069】
UVの照射時間は特に限定されないが、10〜180秒間、より好ましくは30〜120秒間である。その後、
光拡散媒体、光照射マスク
及び基材フィルムを剥離することで、本形態に係る異方性拡散層
(異方性光学フィルム)を得ることができる。
【0070】
本発明の異方性拡散層は、上述の如く光(低照度UV光)を比較的長時間照射することにより未硬化樹脂組成物層中に柱状領域が形成されることで得られるものである。そのため、このような光照射(UV照射)だけでは未反応のモノマー成分が残存して、べたつきを生じたりしてハンドリング性や耐久性に問題がある場合がある。そのような場合は、1000mW/cm
2以上の高照度の光(UV光)を追加照射して残存モノマーを重合させることが出来る。この時の光照射(UV照射)は
光拡散媒体側
とは逆側
(反対面)から行うのが好ましい。
【0071】
≪異方性光学フィルムの物性≫
次に、本発明に係る異方性光学フィルムの物性について説明する。
【0072】
<異方性光学フィルムの拡散性(ヘイズ値)>
本発明に係る異方性光学フィルムの拡散性(ヘイズ値)は、好ましくは75〜95%であり、より好ましくは85〜95%である。尚、異方性光学フィルムの拡散性(ヘイズ値)の測定方法は、後述の方法に従う。
【0073】
<異方性光学フィルムの拡散幅>
本発明に係る異方性光学フィルムの拡散幅は、好ましくは40〜70°であり、より好ましくは45〜60°である。異方性光学フィルムの拡散幅の測定方法は、後述の方法に従う。
【0074】
≪異方性光学フィルムの用途≫
本発明に係る異方性光学フィルムは、プロジェクタースクリーン、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)、表面電界ディスプレイ(SED)、電子ペーパーのような表示装置に適用することができる。特に好ましくは液晶表示装置(LCD)に用いられる。また、本形態に係る異方性光学フィルムは、接着層や粘着層を介して、所望の場所に貼り合わせて使用することもできる。更に、本形態に係る異方性光学フィルムを、透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に用いることもできる。また、本発明に係る異方性光学フィルムは、樹脂層として一体的に形成されているものであるため、安価に製造可能であるのみならず、その内部に水分、ゴミ、埃等が入り込み難い構造となっており、更に構造的な欠陥が少ないことから折り曲げ等への耐久性にも優れるものと考えられる。従って、幅広い環境及び種々の用途に対して適用可能である。
【実施例】
【0075】
以下の方法に従って、本発明の異方性光学フィルム及び比較例の異方性光学フィルムを製造した。
【0076】
[実施例1]
厚さ100μm、76×26mmサイズのPETフィルム(東洋紡株式会社製、商品名:A4100、ヘイズ=0.5%)を基材フィルムとして、その縁部全周に、ディスペンサーを使い硬化性樹脂で高さ100μmの隔壁を形成した。この隔壁の中に下記の光硬化性樹脂組成物を充填し、UV照射マスク(光照射マスク)としてヘイズが1.3%であるPVAフィルムでカバーした。
・シリコーン・ウレタン・アクリレート(屈折率:1.460、重量平均分子量:5,890)20重量部
(RAHN社製、商品名:00−225/TM18)
・ネオペンチルグリコールジアクリレート(屈折率:1.450) 30重量部
(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名Ebecryl145)
・ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート(屈折率:1.536) 15重量部
(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:Ebecyl150)
・フェノキシエチルアクリレート(屈折率:1.518) 40重量部
(共栄社化学株式会社製、商品名:ライトアクリレートPO−A)
・2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン 4重量部
(BASF社製、商品名:Irgacure651)
この両面をフィルムで挟まれた100μmの厚さの液膜を80℃に加熱したホットプレートに載せ、UV照射マスク側からUVスポット光源(浜松ホトニクス株式会社製、商品名:L2859−01)の落射用照射ユニットから出射される平行光線(波長365nmの紫外線)を、照射強度5mW/cm
2として、更に照射するUV光の光拡散媒体として平均粒径が1μmのポリスチレン粒子をアクリル樹脂に分散したヘイズが15%の拡散板を介して、1分間照射して、更に、基材フィルム側から照射強度20mW/cm
2のUV光を照射して、完全に硬化させた。そこから、基材フィルムおよびUV照射マスクを剥がして本発明の98μmの厚みの
図1(a)に示すような複数の傾斜構造体である柱状領域を有する実施例1の異方性光学フィルム
(異方性拡散層)を得た。
本実施例で用いた光拡散媒体の光拡散特性は4°であった。
【0077】
[実施例2]
隔壁の厚みを50μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、52μmの厚みの異方性光学フィルムを得た。
本実施例で用いた光拡散媒体の光拡散特性は実施例1と同様に4°であった。
【0078】
[実施例3]
隔壁の厚みを50μmとし、UV照射マスクとして、カーボンを分散して製膜したヘイズ19.8%のPVAフィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、49μmの厚みの異方性光学フィルムを得た。
本実施例で用いた光拡散媒体の光拡散特性は実施例1と同様に4°であった。
【0079】
[実施例4]
隔壁の厚みを50μmとし、UV照射マスクとしてカーボンを分散して製膜したヘイズ19.8%のPVAフィルムを用い、照射するUV光の光拡散媒体として平均粒径が1μmのポリスチレン粒子をアクリル樹脂に分散したヘイズが25%の拡散板を用いたこと以外は実施例1と同様にして、52μmの厚みの異方性光学フィルムを得た。
本実施例で用いた光拡散媒体の光拡散特性は7°であった。
【0080】
[実施例5]
隔壁の厚みを50μmとし、UV照射マスクとしてカーボンを分散して製膜したヘイズ19.8%のPVAフィルムを用い、照射するUV光の光拡散媒体として2枚のレンチキュラーレンズの拡散方向を直角になるように配置したヘイズが30%の拡散板を用いたこと以外は実施例1と同様にして、48μmの厚みの異方性光学フィルムを得た。
本実施例で用いた光拡散媒体の光拡散特性は8°であった。
[実施例6]
隔壁の厚みを30μmとし、UV照射マスクとして、カーボンを分散して製膜したヘイズ19.8%のPVAフィルムを用い、照射するUV光の光拡散媒体として2枚のレンチキュラーレンズの拡散方向を直角になるように配置したヘイズが30%の拡散板を用いたこと以外は実施例1と同様にして、29μmの厚みの異方性光学フィルムを得た。
本実施例で用いた光拡散媒体の光拡散特性は8°であった。
[実施例7]
隔壁の厚みを20μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、22μmの厚みの異方性光学フィルムを得た。
本実施例で用いた光拡散媒体の光拡散特性は実施例1と同様に4°であった。
【0081】
[比較例1]
光拡散媒体を用いないこと以外は実施例1と同様にして、101μmの厚みの異方性光学フィルムを得た。
照射したUV光の光拡散特性は、2°であった。
【0082】
[比較例2]
隔壁の厚みを50μmとし、UV照射マスクとして、カーボンを分散して製膜したヘイズ19.8%のPVAフィルムを用い、照射するUV光の光拡散媒体として平均粒径が5μmのシリカフィラーをアクリル樹脂に分散したヘイズ40%の拡散板を用いたこと以外は実施例1と同様にして、52μmの厚みの異方性光学フィルムを得た。
本比較例で用いた光拡散媒体の光拡散特性は、11°であった。
【0083】
<UV照射マスクおよび
光拡散媒体のヘイズの測定>
日本電色工業株式会社製のヘイズメーターNDH−2000を用いて、JIS K7136に準拠してヘイズを測定した。
【0084】
<光拡散媒体の光拡散特性の測定>
図3に示すように、光源の投光角、受光器の受光角を任意に可変できる変角光度計ゴニオフォトメータ(株式会社ジェネシア製)を用いて、実施例および比較例の光拡散媒体の評価を行った
。光拡散媒体である測定サンプルに対し、光源の入射光が法線方向に対して0°となる角度に光源をセットし、受光
器は測定サンプルの法線方向に対して、−90〜+90°の範囲で可変させて拡散する光の強度を測定した。光拡散媒体の光拡散特性は、受光強度(拡散透過率)の最大値から1/10の受光強度に当たる角度範囲とした。
【0085】
<異方性光学フィルムの拡散性(ヘイズ値)の測定>
日本電色社工業株式会社製のヘイズメーターNDH−2000を用いて、JIS K7136に準拠してヘイズ値を測定した。ヘイズ値が高いほど拡散性が高い異方性光学フィルムである。
【0086】
<異方性光学フィルムの拡散幅の測定>
光源の投光角、受光器の受光角を任意に可変できる変角光度計ゴニオフォトメータ(株式会社ジェネシア製)を用いて、実施例および比較例の異方性光学フィルムの評価を行った。光源からの直進光を受ける位置に受光部を固定し、その間のサンプルホルダーに実施例および比較例で得られた異方性光学フィルムをセットした。
図4に示すように回転軸(L)としてサンプルを回転させてそれぞれの入射角に対応する直線透過光量を測定した。この評価方法によって、どの角度の範囲で入射される光が拡散するかを評価することができる。この回転軸(L)は、
図5に示されるサンプルの構造におけるC−C軸と同じ軸である(尚、
図5においては、簡単のために通常のピラー構造としている)。直線透過光量の測定は、視感度フィルターを用いて可視光領域の波長(380nm〜780nm)を測定した
。「拡散幅」とは、最大直線透過率と最小直線透過率との中間値となる直線透過率に対する、入射光の拡散角度範囲である。
【0087】
<異方性光学フィルムのギラツキの評価>
異方性光学フィルムの干渉(虹)については、透過光をさまざまな角度から目視で観察し、ギラツキ(干渉虹)
の有無を評価した。
【0088】
<異方性光学フィルムの断面観察>
異方性光学フィルムの断面は、ミクロトームで薄く切片化した観察用サンプルを200倍の光学顕微鏡で観察した。観察した断面写真より、異方性光学フィルムの構造領域に対し、表面側(光照射側)から5μm地点及び基材側(基材フィルム貼付側)から5μm地点で、100個の傾斜構造体の幅を測定し、その平均値を傾斜構造体の外径とみなした。尚、前述の通り、構造領域は、異方性拡散層の最外
部の基準線(粗さ曲線の平均線)に対して略平行となる平行線を引いた際、全柱状領域の個数に対しての、当該平行線に接触している柱状体領域の個数の割合が、50%超となる領域とした。
【0089】
ここで、本実施例
1に係る複数の傾斜構造体を有する異方性光学フィルムの断面写真を
図6、従来技術に係る傾斜構造体を有しない異方性光学フィルムの断面写真を
図7、として各々示す。
【0090】
実施例および比較例における加工条件と得られた異方性光学フィルムの評価結果を表1および2に纏めた。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
表1ないし2に示すとおり、実施例の
異方性光学フィルムは、優れた拡散性と広い拡散幅とを有するのに対し、比較例の異方性光学フィルムは、狭い拡散幅を有した異方性光学フィルムとなり劣るものであった。特に実施例3の異方性光学フィルムは、ギラツキ(干渉虹)がなく、優れた拡散性と広い拡散幅とを有していた。また実施例5の異方性光学フィルムは、ギラツキはやや劣るものの、優れた拡散性と広い拡散幅とを有していた。更に実施例6の異方性光学フィルムにおいては、ギラツキはやや劣るものの、薄膜でありながら、優れた拡散性と広い拡散幅とを有していた。