特許第6542018号(P6542018)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6542018
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】シートユニット
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/07 20060101AFI20190628BHJP
   B60N 2/68 20060101ALI20190628BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20190628BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   B60N2/07
   B60N2/68
   B60N3/00 Z
   B60R7/04 C
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-82805(P2015-82805)
(22)【出願日】2015年4月14日
(65)【公開番号】特開2016-199229(P2016-199229A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2018年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】芳田 元
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−171727(JP,U)
【文献】 実開昭60−020430(JP,U)
【文献】 実開昭57−202353(JP,U)
【文献】 実開昭58−060547(JP,U)
【文献】 実開昭57−019134(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/06 − 2/07
B60N 2/68
B60N 3/00
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物の床に固定されたコンソールボックスと、当該コンソールボックスに左右方向で隣接し、前記床に対して前後方向に移動可能な乗物用シートと、を有するシートユニットであって、
前記乗物用シートは、
乗員が着座するためのシートクッションと、
左右方向に互いに離れて配置され、前記シートクッションを前後方向に移動可能に支持する第1スライダ機構および第2スライダ機構と、
前記第1スライダ機構に支持される第1サイドフレームと、
前記第2スライダ機構に支持される第2サイドフレームと、
前記第1サイドフレームおよび前記第2サイドフレームを連結する連結パイプと、を備え、
前記第1スライダ機構の少なくとも一部は、前記シートクッションよりも左右方向外側に位置して、前記コンソールボックスの下に配置され
前記第1スライダ機構は、前記第2スライダ機構よりも上に配置され、
前記連結パイプは、
前記第1サイドフレームに連結される一端部と、
前記第2サイドフレームに連結され、前記一端部よりも下に位置する他端部と、
前記一端部と前記他端部の間に配置される屈曲部と、を有することを特徴とするシートユニット。
【請求項2】
前記コンソールボックスと前記床との間には、前記コンソールボックスを前記床に取り付けるための取付部材が設けられ、
前記取付部材は、前記床に固定される第1壁と、前記第1壁の前記乗物用シート側の端部から上方に延びる第2壁と、前記第2壁の上端部から前記乗物用シートに向けて延び、前記コンソールボックスが取り付けられる第3壁とを有し、
前記第1スライダ機構は、前記第3壁の下に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のシートユニット。
【請求項3】
前記シートクッションの前記コンソールボックス側の側面の上部から突出して、前記コンソールボックスの一部を上から覆う突出部を備えたことを特徴とする請求項に記載のシートユニット。
【請求項4】
前記コンソールボックスは、
左右の側壁と、
前記側壁から前記乗物用シートに向けて延び、前記第3壁にネジで取り付けられる取付部と、を有し、
前記突出部は、前記取付部を上から覆うことを特徴とする請求項に記載のシートユニット。
【請求項5】
前記第1スライダ機構および前記第2スライダ機構は、前記床に対して固定されるロアレールと、前記シートクッションを支持する支持面を有し、前記ロアレールに移動可能に支持されるアッパーレールと、を有していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシートユニット。
【請求項6】
前記第1スライダ機構における前記支持面が、斜め上方に向いていることを特徴とする請求項に記載のシートユニット。
【請求項7】
前記第1サイドフレームは、上壁部と、前記上壁部の前記シートクッション側の端部から下方に延びる側壁部と、を有し、前記第2サイドフレームよりも上に位置することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のシートユニット。
【請求項8】
前記第1サイドフレームは、前記第2サイドフレームよりも厚いことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のシートユニット。
【請求項9】
前記連結パイプの前記一端部は、前記第1サイドフレームの左右方向内側の部分に連結され、
前記連結パイプの前記他端部は、前記第2サイドフレームの左右方向外側の部分に連結されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のシートユニット。
【請求項10】
前記連結パイプの前記一端部は、左右方向において、前記コンソールボックスの範囲内に位置することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のシートユニット。
【請求項11】
前記シートクッションは、
中央部と、
前記中央部の左右両側に配置され、前記中央部よりも上方に突出した側部と、を有し、
前記第1サイドフレームの左右方向内側の端面は、左右方向において、前記側部の範囲内に位置し、
前記第2サイドフレームの左右方向内側の端面は、左右方向において、前記中央部の範囲内に位置することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のシートユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンソールボックスと、当該コンソールボックスに左右方向で隣接する乗物用シートとを備えたシートユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートユニットとして、車両の床に固定されたコンソールボックスと、当該コンソールボックスに左右方向で隣接し、床に対して前後方向に移動可能な乗物用シートと、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。具体的に、この技術では、乗物用シートのシートクッションの下に、当該シートクッションを前後動可能に支持する左右一対のスライダ機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−6894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、シートクッションの下に左右一対のスライダ機構を配置するため、シートクッションの下の空間が狭くなり、当該空間に他の部材を配置できないといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、シートクッションの下の空間を広くすることができるシートユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するため、本発明に係るシートユニットは、乗物の床に固定されたコンソールボックスと、当該コンソールボックスに左右方向で隣接し、前記床に対して前後方向に移動可能な乗物用シートと、を有する。
前記乗物用シートは、乗員が着座するためのシートクッションと、左右方向に互いに離れて配置され、前記シートクッションを前後方向に移動可能に支持する第1スライダ機構および第2スライダ機構と、を備える。
前記第1スライダ機構の少なくとも一部は、前記シートクッションよりも左右方向外側に位置して、前記コンソールボックスの下に配置される。
【0007】
この構成によれば、第1スライダ機構の少なくとも一部が、シートクッションよりも左右方向外側に位置して、コンソールボックスの下に配置されるので、例えばシートクッションの下の空間に第1スライダ機構の全部が配置される構造に比べ、シートクッションの下の空間を広くすることができる。
【0008】
また、前記した構成において、前記第1スライダ機構の全部が、前記シートクッションよりも左右方向外側に位置して、前記コンソールボックスの下に配置されていてもよい。
【0009】
これによれば、シートクッションの下の空間をより広くすることができる。
【0010】
また、前記した構成において、前記コンソールボックスと前記床との間に、前記コンソールボックスを前記床に取り付けるための取付部材を設け、前記取付部材が、前記床に固定される第1壁と、前記第1壁の前記乗物用シート側の端部から上方に延びる第2壁と、前記第2壁の上端部から前記乗物用シートに向けて延び、前記コンソールボックスが取り付けられる第3壁とを有する場合には、前記第1スライダ機構は、前記第3壁の下に配置することができる。
【0011】
これによれば、コンソールボックスの下に第1スライダ機構を良好に配置することができる。
【0012】
また、前記した構成において、前記シートクッションの前記コンソールボックス側の側面の上部から突出して、前記コンソールボックスの一部を上から覆う突出部を備えていてもよい。
【0013】
これによれば、コンソールボックスの一部、例えば意匠面を構成しない部分を突出部によって隠すことができる。
【0014】
また、前記した構成において、前記コンソールボックスは、前記第3壁にネジで取り付けられる取付部を有し、前記突出部は、前記取付部を上から覆うように構成することができる。
【0015】
これによれば、突出部によって、取付部に取り付けられたネジを隠すことができる。
【0016】
また、前記した構成において、前記突出部は、前記シートクッションに一体に形成されていてもよい。
【0017】
これによれば、突出部を簡易に構成することができる。
【0018】
また、前記した構成において、前記第1スライダ機構は、前記第2スライダ機構よりも上に配置されていてもよい。
【0019】
これによれば、例えば乗物の床のうちコンソールボックスが配置される部分が上方に盛り上がるように形成されている場合であっても、第1スライダ機構と第2スライダ機構を床に良好に取り付けることができる。
【0020】
また、前記した構成において、前記第1スライダ機構および前記第2スライダ機構は、前記床に対して固定されるロアレールと、前記シートクッションを支持する支持面を有し、前記ロアレールに移動可能に支持されるアッパーレールと、を有していてもよい。
【0021】
これによれば、ロアレールとアッパーレールとによって、乗物用シートを良好に前後動させることができる。
【0022】
また、前記した構成において、前記第1スライダ機構における前記支持面が、上方に向いていてもよい。
【0023】
これによれば、上を向いた支持面によってシートクッションまたは当該シートクッションを支持するフレームを下から良好に支持することができる。
【0024】
また、前記した構成において、前記第1スライダ機構における前記支持面が、前記第2スライダ機構側に向いていてもよい。
【0025】
第1スライダ機構が第2スライダ機構よりも上方に配置されている構成において、例えば第1スライダ機構の支持面が上を向いている場合には、第1スライダ機構の支持面と第2スライダ機構の支持面とが上下に大きくずれるので、シートクッションを支持するシートクッションフレームの形状が複雑になる。これに対し、支持面を第2スライダ機構側に向けることで、シートクッションフレームの形状を簡易化することができる。
【0026】
また、前記した構成において、前記第1スライダ機構における前記支持面が、左右方向に直交していてもよい。
【0027】
これによれば、例えば第1スライダ機構の支持面が上を向いている場合に比べ、シートクッションフレームの形状を簡易化することができる。
【0028】
また、前記した構成において、前記第1スライダ機構における前記支持面が、斜め上方に向いていてもよい。
【0029】
これによれば、例えば第1スライダ機構の支持面が上を向いている場合に比べ、シートクッションフレームの形状を簡易化することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、第1スライダ機構の少なくとも一部が、シートクッションよりも左右方向外側に位置して、コンソールボックスの下に配置されるので、シートクッションの下の空間を広くすることができる。
【0031】
本発明によれば、第1スライダ機構の全部をコンソールボックスの下に配置することで、シートクッションの下の空間をより広くすることができる。
【0032】
本発明によれば、コンソールボックスと床との間に配置される取付部材を、第1壁、第2壁および第3壁を有する構成とすることで、取付部材の各壁で形成される空間を利用して、コンソールボックスの下に第1スライダ機構を良好に配置することができる。
【0033】
本発明によれば、コンソールボックスの一部を上から覆う突出部を設けることで、コンソールボックスの一部、例えば意匠面を構成しない部分を突出部によって隠すことができる。
【0034】
本発明によれば、コンソールボックスのうち第3壁にネジで取り付けられる取付部を突出部によって上から覆うように構成することで、突出部によって、取付部に取り付けられたネジを隠すことができる。
【0035】
本発明によれば、突出部をシートクッションに一体に形成することで、突出部を簡易に構成することができる。
【0036】
本発明によれば、第1スライダ機構を第2スライダ機構よりも上に配置することで、例えば乗物の床のうちコンソールボックスが配置される部分が上方に盛り上がるように形成されている場合であっても、第1スライダ機構と第2スライダ機構を床に良好に取り付けることができる。
【0037】
本発明によれば、各スライダ機構を、床に対して固定されるロアレールと、ロアレールに移動可能に支持されるアッパーレールとを有する構成とすることで、乗物用シートを良好に前後動させることができる。
【0038】
本発明によれば、第1スライダ機構における前記支持面を上方に向かせることで、支持面によってシートクッションフレームを下から良好に支持することができる。
【0039】
本発明によれば、第1スライダ機構における支持面を第2スライダ機構側に向かせることで、シートクッションフレームの形状を簡易化することができる。
【0040】
本発明によれば、第1スライダ機構における支持面を左右方向に直交させることで、例えば第1スライダ機構の支持面が上を向いている場合に比べ、シートクッションフレームの形状を簡易化することができる。
【0041】
本発明によれば、第1スライダ機構における支持面を斜め上方に向かせることで、例えば第1スライダ機構の支持面が上を向いている場合に比べ、シートクッションフレームの形状を簡易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の一実施形態に係るシートユニットを示す断面図である。
図2】左側の車両用シートの下側部分を拡大して示す断面図である。
図3】本発明の変形例1を示す断面図である。
図4】本発明の変形例2を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
図1に示すように、シートユニットSUは、乗物の床の一例としての自動車のフロアパネルFに固定されたコンソールボックス1と、当該コンソールボックス1に左右方向で隣接し、フロアパネルFに対して前後方向に移動可能な乗物用シートの一例としての車両用シート2と、を有している。シートユニットSUは、自動車の1列目シート、2列目シートまたは3列目シートを構成している。なお、本明細書において、前後、左右、上下は、車両用シート2に座る乗員を基準とする。特に、左右方向においては、車両用シート2の左右方向の中心を基準にした左右方向の外側・内側を、シート基準の左右方向外側・内側とも称し、自動車の左右方向の中心を基準にした左右方向の外側・内側を、車両基準の左右方向外側・内側とも称する。
【0044】
コンソールボックス1は、前後方向に長く延びる樹脂製の部材であり、物品を収納するための凹部や、凹部の開口を開閉するための蓋や、エアコンなどを操作するための各種スイッチ類などを有している。なお、コンソールボックス1は、前述した凹部や蓋などがない、単なる肘置きであってもよい。
【0045】
コンソールボックス1は、主に、上壁部11と、上壁部11の左右の両端部から下方に延びる左右一対の側壁部12と、各側壁部12の下端部から左右方向において互いに離れる方向に(左右の車両用シート2に向けて)延びる、取付部の一例としての取付用フランジ部13とを有している。各取付用フランジ部13は、コンソールボックス1とフロアパネルFとの間に配置された取付部材の一例としての取付用ブラケット3に複数のネジSによって取り付けられている。つまり、コンソールボックス1は、取付用ブラケット3を介してフロアパネルFに固定されており、これにより、フロアパネルFに対して前後左右上下のいずれの方向にも動かないようになっている。
【0046】
取付用ブラケット3は、コンソールボックス1をフロアパネルFに取り付けるための、前後方向に長く延びる金属製の部材であり、主に、フロアパネルFに固定される第1壁31と、第1壁31の左右両側の端部から上方に延びる第2壁32と、各第2壁32の上端部から左右方向において互いに離れる方向に延びる第3壁33とを有している。各第2壁32は、上端が下端に対して車両基準の左右方向外側にずれるように、上下方向に対して傾斜している。各第3壁33には、コンソールボックス1の各取付用フランジ部13が複数のネジSによって取り付けられている。
【0047】
フロアパネルFは、車両基準の左右方向における中央部F1が、車両基準の左右方向外側の各外側部F2に対して上方に膨出するように形成されている。そして、上方に膨出した中央部F1に、取付用ブラケット3の第1壁31が固定されている。
【0048】
車両用シート2は、コンソールボックス1の左右両側に一つずつ設けられており、主に、乗員が着座するためのシートクッション21と、シートクッション21を直接または他の部材を介して支持するシートクッションフレーム22と、シートクッションフレーム22を前後方向に移動可能に支持する第1スライダ機構4および第2スライダ機構5とを備えている。なお、左右の車両用シート2は、略左右対称な構造となっているため、以下の説明では、図2を参照して左側の車両用シート2の構造のみを説明することとする。
【0049】
図2に示すように、シートクッション21は、ウレタンフォームなどのクッション材からなるシートクッションパッド21Aに、合成皮革や布地などからなる表皮材21Bを被せることで構成されている。シートクッションパッド21Aは、乗員の臀部を下から支持する中央部A1と、中央部A1の左右両側に配置され、中央部A1よりも上方に突出して乗員の臀部を左右両側から支持可能な一対の側部A2とを有している。
【0050】
一対の側部A2のうちコンソールボックス1側の側部A2の下側には、側部A2のコンソールボックス1側の表面から中央部A1に向けて凹む凹部A3が形成されている。言い換えると、車両基準の左右方向中央側の側部A2の上部は、凹部A3の底面A31から突出する突出部A21となっており、この突出部A21は、シートクッションパッド21Aの前端から後端にかけて、シートクッションパッド21Aに一体に形成されている。
【0051】
コンソールボックス1の取付用フランジ部13は、凹部A3内に入り込んでおり、これにより、突出部A21が、取付用フランジ部13を上から覆うように配置されている。詳しくは、突出部A21は、取付用フランジ部13を締結するためのネジSよりもシート基準の左右方向外側に突出し、コンソールボックス1の側壁部12に対して若干の隙間を開けて近接している。また、凹部A3の内面は、ネジSおよび取付用フランジ部13に対して若干の隙間を開けて近接している。
【0052】
なお、ネジSは、前後方向に長い取付用フランジ部13に対して、前後方向に並ぶように複数設けられている。そして、車両用シート2が前後方向の任意の位置に位置するときに、複数のネジSの少なくとも一部が突出部A21によって上から覆われるように、各ネジSが配置されている。なお、好ましくは、車両用シート2が最も後側の位置に位置するときに、すべてのネジSが突出部A21によって上から覆われているのが望ましい。
【0053】
また、コンソールボックス1側の側部A2の下面A22は、シート基準における左右方向外側および上方に向けて傾斜している。
【0054】
シートクッションフレーム22は、主に、左右方向に間隔を空けて配置される第1サイドフレーム23および第2サイドフレーム24と、各サイドフレーム23,24を連結する連結パイプ25とを備えている。
【0055】
第1サイドフレーム23は、シートクッション21に対して、車両基準における左右方向内側に配置、詳しくは取付用ブラケット3の第2壁32とシートクッション21との間で、かつ、取付用ブラケット3の第3壁33の下に配置されている。第1サイドフレーム23は、前後方向に延びる板状の上壁部23Aと、上壁部23Aのシートクッション21側の端部から下方に延びる板状の側壁部23Bとを有している。
【0056】
第2サイドフレーム24は、シートクッション21の下方に配置、詳しくは、シートクッション21の下面のうち、車両基準の左右方向外側の部位に上下方向で対向するように配置されている。言い換えると、第2サイドフレーム24は、シート基準の左右方向において、シートクッション21の中心と左右方向外側の側面との間であって、中心と側面から離れた位置に配置されている。第2サイドフレーム24は、前後方向に延びる板状の下壁部24Aと、下壁部24Aの左右方向外側の端部から上方に延びる板状の側壁部24Bとを有している。
【0057】
連結パイプ25は、前後方向に間隔を空けて複数設けられ、それぞれ各サイドフレーム23,24に接合されている。連結パイプ25は、第2サイドフレーム24の側壁部24Bから車両基準の左右方向内側に延びる第1部位25Aと、第1部位25Aの左右方向内側の端部から左右方向内側および上方に向けて斜めに延びる第2部位25Bと、第2部位25Bの左右方向内側の端部から左右方向内側に延びる第3部位25Cとを有している。
【0058】
第1部位25Aは、シートクッション21の水平な下面に沿って形成され、第2サイドフレーム24側の端部が、第2サイドフレーム24の側壁部24Bに接合されている。第2部位25Bは、シートクッション21の傾斜した下面(シートクッションパッド21Aの側部A2の傾斜した下面A22)に沿って形成されている。第3部位25Cは、左右方向に沿って延びており、第1サイドフレーム23側の端部が、第1サイドフレーム23の側壁部23Bに接合されている。
【0059】
第2スライダ機構5は、第2サイドフレーム24の下に配置され、主に、フロアパネルFに対して固定されるロアレール51と、ロアレール51に移動可能に支持されるアッパーレール52とを有している。ロアレール51は、上方に開口する断面視略U形状に形成され、U形状を形成する各側壁部の先端部が、内部に向けて折り曲げられた形状となっている。そして、ロアレール51は、断面視L形状のブラケットBを介して、フロアパネルFの外側部F2に固定されている。
【0060】
アッパーレール52は、下方に開口する断面視略U形状に形成され、U形状を形成する各側壁部の先端部が互いに離れる方向に折り曲げられて、ロアレール51内に配置されている。なお、ロアレール51内に配置されたアッパーレール52の部位は、図示せぬ球体などを介してロアレール51に支持されており、これにより、アッパーレール52がロアレール51に対して前後方向に移動可能となっている。
【0061】
そして、アッパーレール52の上面は、ロアレール51の上面よりも上方の位置に配置されて、シートクッション21を支持する支持面52Aとなっている。詳しくは、支持面52Aは、上方に向いて配置され、第2サイドフレーム24の下壁部24Aに接合されることで、シートクッションフレーム22を介してシートクッション21を支持している。
【0062】
第1スライダ機構4は、第2スライダ機構5におけるロアレール51およびアッパーレール52と略同様の構造となる、ロアレール41およびアッパーレール42を有している。ロアレール41は、断面視L形状のブラケットBを介して、フロアパネルFの中央部F1に固定されている。アッパーレール42の支持面42Aは、上方に向いて配置され、第1サイドフレーム23の上壁部23Aに接合されることで、シートクッションフレーム22を介してシートクッション21を支持している。
【0063】
そして、第1スライダ機構4は、その全部が、シートクッション21よりもシート基準の左右方向外側に位置して、コンソールボックス1の上壁部11の下、詳しくは取付用ブラケット3の第3壁33の下に配置されている。また、第1スライダ機構4は、第2スライダ機構5に対して左右方向に離れた位置で、かつ、第2スライダ機構5よりも上の位置に配置されている。
【0064】
以上、本実施形態に係るシートユニットSUによれば、次の各効果を奏することができる。
第1スライダ機構4の全部が、シートクッション21よりもシート基準の左右方向外側に位置して、コンソールボックス1の下に配置されるので、例えばシートクッションの下の空間に第1スライダ機構の少なくとも一部が配置される構造に比べ、シートクッション21の下の空間を広くすることができる。
【0065】
コンソールボックス1とフロアパネルFとの間に配置される取付用ブラケット3を、第1壁31、第2壁32および第3壁33を有する構成としたので、取付用ブラケット3の各壁31〜33で形成される空間を利用して、コンソールボックス1の下に第1スライダ機構4を良好に配置することができる。
【0066】
コンソールボックス1の取付用フランジ部13を突出部A21によって上から覆うように構成したので、突出部A21によって、取付用フランジ部13に取り付けられたネジSを隠すことができる。
【0067】
突出部A21をシートクッションパッド21A(シートクッション21)に一体に形成したので、例えば突出部をシートクッションパッドとは別部材とする場合に比べ、突出部A21を簡易に構成することができる。
【0068】
第1スライダ機構4を第2スライダ機構5よりも上に配置したので、本実施形態のようにフロアパネルFのうちコンソールボックス1が配置される中央部F1が上方に盛り上がるように形成されている場合であっても、第1スライダ機構4と第2スライダ機構5をフロアパネルFに良好に取り付けることができる。
【0069】
各スライダ機構4,5を、フロアパネルFに対して固定されるロアレール41,51と、ロアレール41,51に移動可能に支持されるアッパーレール42,52とを有する構成としたので、車両用シート2を良好に前後動させることができる。
【0070】
第1スライダ機構4における支持面42Aを上方に向かせたので、支持面42Aによってシートクッションフレーム22を下から良好に支持することができる。
【0071】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以下の他の形態に示すように、適宜変形して実施することが可能である。以下の説明において、前記実施形態と略同様の構造となる部材には、同一の符号を付して、その説明は省略することとする。
【0072】
前記実施形態では、第1スライダ機構4における支持面42Aを上方に向かせたが、本発明はこれに限定されず、例えば、図3および図4に示すように、支持面42Aを、車両基準の左右方向外側、言い換えると第2スライダ機構5側に向けてもよい。
【0073】
ここで、前記実施形態のように、第1スライダ機構4が第2スライダ機構5よりも上方に配置されている構成において、第1スライダ機構4の支持面42Aが上を向いている場合には、第1スライダ機構4の支持面42Aと第2スライダ機構5の支持面52Aとが上下に大きくずれるので、各支持面42A,52Aに連結されるシートクッションフレーム22のコンソールボックス1側の部位を大きく上方に屈曲させる必要があり、その形状が複雑になる。これに対し、支持面42Aを第2スライダ機構5側に向けることで、シートクッションフレーム22のコンソールボックス1側の部位を大きく上方に屈曲させる必要がなくなり、その形状を簡易化することができる。
【0074】
詳しくは、図3の形態では、第1スライダ機構4における支持面42Aが、左右方向に直交している。この形態では、第1サイドフレーム123が左右方向に直交した板状に形成されるので、前記実施形態の第1サイドフレーム23よりも形状が簡易化される。なお、この形態における取付用ブラケット3の第2壁32は、左右方向に直交する向きで形成されている。
【0075】
また、図4の形態では、第1スライダ機構4における支持面42Aが、斜め上方に向いている。この形態では、連結パイプ225が折り曲げられずに左右に真っ直ぐ延びる形状に形成されている。そのため、この形態では、前記実施形態に比べ、連結パイプ225の形状が簡易化されている。なお、第1サイドフレーム223は、支持面42Aに沿って形成される上壁部223Aと、上壁部223Aのシートクッション21側の端部から下方に延びる側壁部223Bとを有しており、形状の複雑さは、前記実施形態と略同様となっている。
【0076】
また、この形態では、フロアパネルFの中央部F1の左右幅が、前記実施形態よりも小さくなっており、中央部F1と外側部F2とを繋ぐ傾斜部F3が前記実施形態よりも車両基準の左右方向内側に配置されている。そして、この傾斜部F3に第1スライダ機構4がブラケットBを介して固定されている。
【0077】
前記実施形態では、第1スライダ機構4の全部をシートクッション21よりもシート基準の左右方向外側に配置したが、本発明はこれに限定されず、第1スライダ機構の一部がシートクッションよりもシート基準の左右方向外側に配置されていてもよい。この場合であっても、例えば第1スライダ機構の全部がシートクッションの下に配置される構造と比べ、シートクッションの下の空間を広くすることができる。
【0078】
前記実施形態では、突出部A21をシートクッションパッド21Aに一体に形成したが、本発明はこれに限定されず、突出部をシートクッションパッドとは別体に構成してもよい。また、前記実施形態では、突出部A21でコンソールボックス1の取付用フランジ部13を覆うようにしたが、本発明はこれに限定されず、コンソールボックスの取付用フランジ部でない部分、例えば意匠面を構成しない部分を突出部で覆うようにしてもよい。この場合であっても、突出部によって、コンソールボックスの意匠面を構成しない部分を隠すことができる。
【0079】
前記実施形態では、自動車のシートユニットに本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、船舶や航空機などの自動車以外の乗物で使用されるシートユニットに適用することもできる。
【0080】
前記実施形態では、取付用フランジ部13に取り付けられるネジSとシートクッション21との間に部材を設けていないが、本発明はこれに限定されず、ネジとシートクッションの間に、ネジとシートクッションとの干渉を抑制するための部材を設けてもよい。この部材としては、例えば、シートクッションとシートクッションフレームとの間に配置され、シートクッションを支持するパンフレームや、シートクッション周りに設けられ、シートクッションの形状を保持するワイヤなどが挙げられる。
【符号の説明】
【0081】
1 コンソールボックス
2 車両用シート
4 第1スライダ機構
5 第2スライダ機構
21A シートクッションパッド
F フロアパネル
SU シートユニット
図1
図2
図3
図4