【実施例1】
【0016】
図1〜
図5に、本発明の溶接部材の拘束装置の一実施例を示す。
この溶接部材の拘束装置は、溶接部材を負圧吸引する吸引部11を形成した吸着盤1を備えるようにしたもので、吸着盤1の中央部に溝12を形成し、この溝12を挟んで溶接部材を負圧吸引する吸引部11を形成するとともに、溝12内に、アルゴン等のシールドガスを供給するガス供給機構2を備える。
【0017】
この場合において、吸引部11は、吸着盤1の表面の複数箇所に開口する空気出入口13と、この空気出入口13を中心としてその外周に配設した環状のシールリング14とで構成するようにしている。
これにより、吸引部11によって、溶接部材を確実に拘束することができる。
【0018】
また、吸引部11の空気出入口13に連なる流路15に、コンプレッサ3からの圧縮空気をエジェクタ式負圧発生器4に供給して負圧吸引力を生じさせるようにした配管51と、圧力計6に連なる配管52とを接続するようにしている。
これにより、圧力計6によって溶接部材の拘束状態を確認することができる。
【0019】
ところで、吸引部11の負圧吸引力は、コンプレッサ3からの圧縮空気のエジェクタ式負圧発生器4への供給を停止し、流路15をバルブ(図示省略)を介して大気に開放することで消滅し、溶接部材の拘束状態を解除することができる。
一方、必要に応じて、圧力計6に連なる配管52を介して、吸引部11の空気出入口13に連なる流路15に、コンプレッサ3からの圧縮空気を供給するようにすることができる。
これにより、負圧吸引力及び正圧開放力をコンプレッサ3からの圧縮空気により得るとともに、溶接部材の拘束状態の解除を確実に行うことができる。
【0020】
ガス供給機構2は、配管53を介して、吸着盤1の溝12内に配設した、多数の小孔を形成したシールドガス放出管16に接続し、吸着盤1の溝12内にアルゴン等のシールドガスを供給するようにしている。
【0021】
ところで、本実施例において、吸着盤1の吸着盤1には、溶接を行う溶接部材を支持する架台7を一体に設けるようにしている。
さらに、溶接を行う溶接部材の大きさに応じて、補助架台8を設けることができる。
【0022】
また、溶接を行う溶接部材の大きさに応じて、溶接部材が位置しない吸引部11の空気出入口13には、
図4(b)に示すように、ロックボルト18を取り付けて、空気出入口13を塞ぐようにする。
【0023】
また、本実施例において、吸着盤1はユニット化し、溶接を行う溶接部材の大きさに応じて、1〜複数個のユニットを、連結部17を介して、連結して用いるようにしている。
【0024】
この溶接部材の拘束装置は、
図5に示すように、吸着盤1の中央部の溝12上に、溶接部材W1、W2を突合せた溶接箇所が位置するように配置した後、コンプレッサ3からの圧縮空気をエジェクタ式負圧発生器4に供給して負圧吸引力を生じさせることにより、溶接部材W1、W2を吸引部11に負圧吸引して溶接部材W1、W2を拘束する。
このとき、圧力計6によって溶接部材W1、W2の拘束状態を確認することができる。
【0025】
そして、拘束した溶接部材W1、W2上に、プラズマアーク溶接機9のレール93を設置し、レール93に沿って台車91を走行させることによって、プラズマトーチ92を溶接部材W1、W2を突合せた溶接箇所上を移行させ、プラズマアーク溶接を行う。
この際、ガス供給機構2から、吸着盤1の溝12内にシールドガスを供給することによって、プラズマアーク溶接を行う際の溶接部材の裏面側のシールドを行うようにする。
また、溶接を行う溶接部材W1、W2の大きさに応じて、露出した吸着盤1の溝12の部分や、溶接前の溶接部材W1、W2を突合せた溶接箇所には、溝12内に供給したシールドガスの漏出を防ぐシールテープを貼着し、必要に応じて、貼着したシールテープを剥がしながらプラズマアーク溶接を行うことが望ましい。
【0026】
プラズマアーク溶接を行った後、コンプレッサ3からの圧縮空気のエジェクタ式負圧発生器4への供給を停止し、流路15をバルブ(図示省略)を介して大気に開放したり、圧力計6に連なる配管52を介して、吸引部11の空気出入口13に連なる流路15に、コンプレッサ3からの圧縮空気を供給することにより、溶接部材の拘束状態を解除する。
【0027】
この溶接部材の拘束装置によれば、吸着盤1の中央部に溝12を形成し、この溝12を挟んで溶接部材を負圧吸引する吸引部11を形成するとともに、溝12内にシールドガスを供給するガス供給機構2を備えるようにすることにより、吸着盤1はユニット化し、溶接を行う溶接部材の大きさに応じて、1〜複数個のユニットを、連結部17を介して、連結して用いるようにしたり、溶接部材の拘束装置とプラズマアーク溶接機9とを別体構造にしたことと相俟って、設備を小型化することができるとともに、プラズマアーク溶接を行う際の溶接部材の裏面側のシールドを可能にすることができる。
【0028】
以上、本発明の溶接部材の拘束装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。