(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6542214
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】セラミックシールガスケットを使用したろ過方法、装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
F16J 15/10 20060101AFI20190628BHJP
B01D 29/33 20060101ALI20190628BHJP
B01D 71/02 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
F16J15/10 N
B01D29/32 Z
B01D71/02
【請求項の数】27
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-532578(P2016-532578)
(86)(22)【出願日】2014年11月13日
(65)【公表番号】特表2016-538994(P2016-538994A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(86)【国際出願番号】IB2014003034
(87)【国際公開番号】WO2015075554
(87)【国際公開日】20150528
【審査請求日】2017年11月10日
(31)【優先権主張番号】14/084,493
(32)【優先日】2013年11月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317006661
【氏名又は名称】1934612 オンタリオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】バターズ,ブライアン,イー
(72)【発明者】
【氏名】パウエル,アンソニー,エル
(72)【発明者】
【氏名】ピアース,ジョン,ディー
【審査官】
中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭55−030196(JP,A)
【文献】
特表2004−531389(JP,A)
【文献】
特開2007−232317(JP,A)
【文献】
実開昭56−154805(JP,U)
【文献】
米国特許第06958120(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0240062(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/10
B01D 29/33
B01D 71/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ろ過シールガスケットであって、
中空の内部及び外側の概して双円錐形状の輪郭を規定するシールガスケット壁を有し、前記シールガスケット壁は、
中心長手方向軸、
内周面、
外周面、
リップを有する第一端、
前記リップによって規定される第一端開口部、
第二端、及び
前記第二端で前記内周面によって規定される第二端開口部、
を有し、
前記外周面は、少なくとも一つの中間周囲チャネル、前記第一端から前記中間周囲チャネルに向かって太くなる第一テーパ、及び前記第二端から前記中間周囲チャネルに向かって太くなる第二テーパ、を有する、
流体ろ過シールガスケット。
【請求項2】
前記外周面は、前記第一テーパと前記中間周囲チャネルとの間に第一中間隆起部を有する、請求項1に記載の流体ろ過シールガスケット。
【請求項3】
前記外周面は、前記第二テーパと前記中間周囲チャネルとの間に第二中間隆起部を有する、請求項2に記載の流体ろ過シールガスケット。
【請求項4】
前記第一中間隆起部、前記第二中間隆起部及び前記中間周囲チャネルは、互いに平行であり、前記中心長手方向軸に対して直角である、請求項3に記載の流体ろ過シールガスケット。
【請求項5】
前記内周面は、概して六角形の断面、概して円形の断面又は概して楕円形の断面を規定する、請求項1に記載の流体ろ過シールガスケット。
【請求項6】
当該流体ろ過シールガスケットは、疎水性材料、弾性体、エラストマー材料又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の流体ろ過シールガスケット。
【請求項7】
当該流体ろ過シールガスケットは、天然ゴム、合成ゴム、ネオプレン、パーフルオロエラストマー、エチレンアクリルエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、オレフィンブロック共重合体、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー、熱可塑性物質、プラストマー、臭素化イソブチレンパラメチル−スチレンターポリマー、シリコーン又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の流体ろ過シールガスケット。
【請求項8】
内周面断面を横切る最も長い寸法は、前記リップを除き、当該流体ろ過シールガスケットの長さに沿って一定である、請求項1に記載の流体ろ過シールガスケット。
【請求項9】
前記概して双円錐形状の輪郭は、バレル形状の輪郭を更に有する、請求項1に記載の流体ろ過シールガスケット。
【請求項10】
前記第一テーパの角度は、約1°から約30°であり、前記第二テーパの角度は、独立して、約1°から約30°である、請求項1に記載の流体ろ過シールガスケット。
【請求項11】
当該流体ろ過シールガスケットの長さは、約1cmから約30cmであり、外半径は、独立して、約1cmから約30cmである、請求項1に記載の流体ろ過シールガスケット。
【請求項12】
概して管形状又は概して円筒形状を有するろ過シールガスケットであり、当該ろ過シールガスケットは、
第一端の第一肥厚部であり、該第一肥厚部は半径方向内側に向けられており、リップを形成する、第一肥厚部、
半径方向外側に向けられ、前記第一端から当該ろ過シールガスケットの中央に向かって延びる第一テーパを形成する、第二肥厚部、
半径方向外側に向けられ、第一周囲隆起部を形成する、第三肥厚部、
半径方向外側に向けられ、前記第一周囲隆起部に対して遠位側の第二周囲隆起部を形成する、第四肥厚部、及び
半径方向外側に向けられ、第二端から当該ろ過シールガスケットの中央に向かって延びる第二テーパを形成する、第五肥厚部、
を有する、ろ過シールガスケット。
【請求項13】
前記第一テーパが第三肥厚部に向かって延び、前記第二テーパが第四肥厚部に向かって延び、又は、前記第一テーパが第三肥厚部に向かって延び且つ前記第二テーパが第四肥厚部に向かって延びる、請求項12に記載のろ過シールガスケット。
【請求項14】
中心空洞を規定する内側ガスケット表面を更に有する、請求項12に記載のろ過シールガスケット。
【請求項15】
前記中心空洞の連続的な断面は、前記リップを除き、当該ろ過シールガスケットの長さに沿って実質的に同じ形状及び寸法を有する、請求項14に記載のろ過シールガスケット。
【請求項16】
前記中心空洞の連続的な断面は、当該ろ過シールガスケットの長さに沿って実質的に同じ形状を有する、請求項14に記載のろ過シールガスケット。
【請求項17】
前記リップにおける前記中心空洞の断面の最大寸法は、前記中心空洞の長さの残りに沿った前記中心空洞の断面の最大寸法よりも小さい、請求項14に記載のろ過シールガスケット。
【請求項18】
当該ろ過シールガスケットはシームレスである、請求項12に記載のろ過シールガスケット。
【請求項19】
前記第三肥厚部と前記第四肥厚部との間に強化リングチャネルを更に有する、請求項12に記載のろ過シールガスケット。
【請求項20】
前記第一テーパの勾配は、前記第二テーパの勾配と同じでない、請求項12に記載のろ過シールガスケット。
【請求項21】
延長ガスケットであって、
シームレスな壁を有し、前記シームレスな壁は、
外側表面、
前記外側表面と反対側の、第二表面、
リップを有する第一エッジ、
前記第一エッジと反対側の、第二エッジ、
を有し、
前記壁は中心空洞を囲むように延び、前記第一エッジは前記中心空洞への第一開口部を規定し、前記第二エッジは前記中心空洞への第二開口部を規定し、前記外側表面は反対側に配置された第一テーパ及び第二テーパを規定し、前記第一テーパ及び前記第二テーパは、それぞれ前記第一エッジ及び前記第二エッジに隣接する各テーパの薄い領域を備えている、
延長ガスケット。
【請求項22】
前記中心空洞は、空洞中心長手方向軸を有する、請求項21に記載の延長ガスケット。
【請求項23】
前記リップは前記中心空洞に向けられている、請求項21に記載の延長ガスケット。
【請求項24】
前記外側表面は、前記テーパの間に一対の隆起部を更に規定する、請求項21に記載の延長ガスケット。
【請求項25】
クロスフロー流体ろ過アセンブリであって、
第一フィルタ端、第二フィルタ端、少なくとも一つのフィルタ側面、及びフィルタの長さにわたる少なくとも一つの内部チャネルを有する細長いセラミック膜フィルタ、
前記第一フィルタ端に固定され、前記第一フィルタ端との間に流体密封のシールを形成する、第一ろ過シールガスケット、及び
前記第二フィルタ端に固定され、前記第二フィルタ端との間に流体密封のシールを形成する、第二ろ過シールガスケット、
を有し、
各シールガスケットはシームレスな壁を有し、前記シームレスな壁は、外側ガスケット表面、前記外側ガスケット表面と反対側の第二ガスケット表面、リップを有する第一ガスケットエッジ、前記第一ガスケットエッジと反対側の第二ガスケットエッジ、を有し、
前記壁は中心空洞を囲むように延び、前記第一ガスケットエッジは前記中心空洞への第一開口部を規定し、前記第二ガスケットエッジは前記中心空洞への第二開口部を規定し、前記外側ガスケット表面は反対側に配置された第一テーパ及び第二テーパを規定し、前記第一テーパ及び前記第二テーパは、それぞれ前記第一ガスケットエッジ及び前記第二ガスケットエッジに隣接する各テーパの薄い領域を備えている、
クロスフロー流体ろ過アセンブリ。
【請求項26】
各リップは、各フィルタ端の一部分の上に突き出ている、請求項25に記載のクロスフロー流体ろ過アセンブリ。
【請求項27】
前記中心空洞及びフィルタ端は、互いに、流体密封のシールを間に形成するような大きさである、請求項25に記載のクロスフロー流体ろ過アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2013年11月19日に出願された米国出願第14/084,493号への優先権を主張する。当該米国出願は、その全体について参照により本明細書に取り込まれる。
【0002】
本開示は、いくつかの実施形態において、シールガスケットを有するセラミック膜を用いた流体ろ過(例えば、水)のためのシステム、装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ほとんど全ての生命が生存するために水を必要とするため、汚染除去システムにおける水質の改善は、典型的に、大きな関心の対象であり続けてきた。一つの結果として、汚染された流体から汚染物質を取り除くための処理システム及び技術が、これまでに発展してきた。アプローチは、様々な微生物、酵素及び微生物のための栄養を水中に加えることによる水処理を含む。他のアプローチは、供給物から汚染除去をするために、例えば塩素のような化学物質を汚染された流体内に置くことを伴う。しかしながら、これらの添加剤は、それらが解決するよりも多くの課題を生じさせ得る。いくつかのアプローチは、ろ過という方策を使用することによって、添加される化学物質又は微生物の使用を避ける。そのようなシステムは、失敗しているか又はそれらの潜在力を実現できていないかのいずれかであり、難しい課題が残されたままである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、改良された流体浄化の必要性が生まれている。例えば、改良されたフィルタバイパス性能を示す流体浄化システム、装置及び方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、いくつかの実施形態によれば、シールガスケットを有するセラミック膜を用いた流体ろ過(例えば、水)のためのシステム、装置及び方法に関する。例えば、シールガスケットは、中空の内部及び外側の概して双円錐形状(例えばバレル形状)の輪郭を規定するシールガスケット壁を有してもよい。シールガスケット壁は、中心長手方向軸、内周面(例えば、中心長手方向軸を取り囲むか又は取り巻き、所与の平面において中心軸の回りの内周を規定する、内側を向いた面)、外周面(例えば、中心長手方向軸を取り囲むか又は取り巻き、所与の平面において中心軸の回りの外周を規定する、外側を向いた面)、リップを有する第一端、リップによって規定される第一端開口部、第二端、及び/又は第二端で内周面によって規定される第二端開口部、を有してもよい。外周面は、少なくとも一つの中間周囲チャネル(例えば、中心軸に対して概して直角であり、中心軸を取り巻き、任意的に中心軸の長さの中央付近又は中央に配置される)、第一端から中間チャネルに向かって太くなる第一テーパ、及び第二端から中間チャネルに向かって太くなる第二テーパ、を有してもよい。外周面は、第一テーパと中間チャネルとの間に第一中間隆起部(first medial ridge)を有してもよく、且つ/或いは第二テーパと中間チャネルとの間に第二中間隆起部を有してもよい。第一中間隆起部、第二中間隆起部及び/又は中間チャネルは、互いに平行であってもよく、且つ/或いは、中心長手方向軸に対して直角であってもよい。いくつかの実施形態において、内周面は、概して六角形(例えば正六角形)の断面、概して円形(例えば円形)の断面又は概して楕円形(例えば楕円形)の断面を規定してもよい。
【0006】
シールガスケットは、いくつかの実施形態によれば、疎水性材料、弾性体、エラストマー材料又はそれらの組み合わせを含んでもよい。例えば、シールガスケットは、天然ゴム、合成ゴム、ネオプレン、パーフルオロエラストマー、エチレンアクリルエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、オレフィンブロック共重合体、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー、熱可塑性物質、プラストマー、臭素化イソブチレンパラメチル−スチレンターポリマー、シリコーン又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0007】
いくつかの実施形態において、内周面断面を横切る最も長い寸法は、リップを除き、ガスケットの長さに沿って一定である。第一テーパ及び第二テーパは、それぞれ独立して、中心軸と同一平面上の断面(又は中心軸に対して平行な平面への投影)から中心軸とテーパの表面との間で測定して、約1°から約30°の角度を有してもよい。シールガスケットは、独立して、約1cmから約30cmの長さ及び約1cmから約30cmの外径を有してもよい。
【0008】
ろ過シールガスケットは、いくつかの実施形態において、概して管形状(tubular shape)又は概して円筒形状を有してもよい。シールガスケットは、第一端の第一肥厚部(thickening)であり、第一肥厚部は半径方向内側に向けられており、リップを形成する、第一肥厚部、半径方向外側に向けられ、第一端からガスケットの中央に向かって延びる第一テーパを形成する、第二肥厚部、半径方向外側に向けられ、第一周囲隆起部を形成する、第三肥厚部、半径方向外側に向けられ、第一隆起部に対して遠位側の第二周囲隆起部を形成する、第四肥厚部、及び/又は 半径方向外側に向けられ、第二端からガスケットの中央に向かって延びる第二テーパを形成する、第五肥厚部、を有してもよい。第一テーパは第三肥厚部に向かって延びてもよく、第二テーパは第四肥厚部に向かって延びてもよく、又は、第一テーパが第三肥厚部に向かって延び且つ第二テーパが第四肥厚部に向かって延びてもよい。シールガスケットは、中心空洞を規定する内側ガスケット表面(inner gasket surface)を更に有してもよい。いくつかの実施形態において、中心空洞の複数の断面(例えば連続的な断面)は、リップを除き、ガスケットの長さに沿って実質的に同じ形状及び寸法を有する。リップにおける中心空洞の断面の最大寸法は、中心空洞の長さの残りに沿った中心空洞の断面の最大寸法よりも小さくてもよい。いくつかの実施形態において、(例えば、流体密封のシールの形成を改良するために、)シールガスケットはシームレスであってもよい。シールガスケットは、例えば第三肥厚部と第四肥厚部との間に配置された、強化リングチャネルを有してもよい。いくつかの実施形態において、第一テーパ及び第二テーパは同じであっても異なっていてもよい。例えば、第一テーパの勾配(pitch)は、第二テーパの勾配と異なっていてもよい。
【0009】
本開示は、いくつかの実施形態において、延長ガスケットに関する。延長ガスケットはシームレスな壁を有し、シームレスな壁は、外側表面、外側表面と反対側の第二表面、リップを有する第一エッジ、及び第一エッジと反対側の第二エッジ、を有する。延長ガスケットの壁は中心空洞を囲むように延びてもよく(例えば取り囲んでもよく)、第一エッジは空洞への第一開口部を規定してもよく、第二エッジは空洞への第二開口部を規定してもよく、外側表面は反対側に配置された第一テーパ及び第二テーパを規定し、第一テーパ及び第二テーパは、それぞれ第一エッジ及び第二エッジに隣接する各テーパの薄い領域を備えてもよい、中心空洞は、中心長手方向軸を有してもよい(例えば規定してもよい)。リップは中心空洞に向けられてもよい。外側表面は、テーパの間に、(例えば、互いに対して平行且つ/或いは中心軸に対して直角な)一対の隆起部を更に規定してもよい。
【0010】
本開示はまた、いくつかの実施形態において、(a)第一フィルタ端、第二フィルタ端、少なくとも一つのフィルタ側面、及びフィルタの長さにわたる少なくとも一つの内部チャネルを有する細長いセラミック膜フィルタ、(b)第一フィルタ端に固定され、第一フィルタ端との間に流体密封のシールを形成する、第一ろ過シールガスケット、及び(c)第二フィルタ端に固定され、第二フィルタ端との間に流体密封のシールを形成する、第二ろ過シールガスケット、を有する、クロスフロー流体ろ過アセンブリに関する。各シールガスケットは、本明細書において開示されるシールガスケットのいずれかから独立に選択されてもよい。例えば、シールガスケットはシームレスな壁を有してもよく、シームレスな壁は、外側ガスケット表面、外側ガスケット表面と反対側の第二ガスケット表面、リップを有する第一ガスケットエッジ、第一ガスケットエッジと反対側の第二ガスケットエッジ、を有し、壁は中心空洞を囲むように延び、第一ガスケットエッジは空洞への第一開口部を規定し、第二ガスケットエッジは空洞への第二開口部を規定し、外側ガスケット表面は反対側に配置された第一テーパ及び第二テーパを規定し、第一テーパ及び第二テーパは、それぞれ第一ガスケットエッジ及び第二ガスケットエッジに隣接する各テーパの薄い領域を備えている。いくつかの実施形態において、各シールガスケットの各リップは、各フィルタ端の一部分の上に突き出てもよい。ガスケット空洞及びフィルタ端は、互いに、流体密封のシール(fluid- tight seal)を間に形成するような大きさである。
【0011】
いくつかの実施形態において、本開示は、汚染媒体流入チャンバ(contaminated media inlet chamber)によって規定される流体経路、浸透チャンバ内に配置された流体ろ過アセンブリ、及び濃縮チャンバ、を有するクロスフロー流体ろ過モジュールに関する。例えば、ろ過モジュールは、(a)汚染媒体を受容するように構成された汚染媒体流入チャンバ、(b)(i)ろ過層によって裏打ちされた(lined with)中心チャネルを有するフィルタ、(ii)チャネルの流入チャンバ端の第一シールガスケット、及び(iii)反対側の端の第二シールガスケットを有し、チャネルは流入チャンバと流体連通する、ろ過アセンブリ、(c)ろ過アセンブリチャネルと流体連通する濃縮チャンバ、並びに(d)ろ過アセンブリからの浸透物(permeate)を受容するように構成され、また、第一シールガスケットによって流入チャンバから流体的に分離されて(fluidically isolated)おり、第二シールガスケットによって濃縮チャンバから分離されている、浸透チャンバ(permeate chamber)を有してもよい。いくつかの実施形態において、浸透チャンバは、三重シール(triple seal)によって流入チャンバ内の汚染媒体から分離されてもよい。例えば、三重シールは、シールガスケットの第一端と汚染媒体チャンバとの間の第一シール、シールガスケットの第二端と浸透チャンバとの間の第二シール、及びシールガスケットとフィルタとの間の第三シールを含んでもよい。三重シールは、汚染媒体チャンバと浸透チャンバとの間のOリングの使用を無くしてもよい。三重シールは、例えば第一シールと第二シールを非加圧区域で隔てることによって、フィルタバイパスの危険性を減らすように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、汚染媒体は加圧されてもよい。流体が第一シールを通って非加圧区域に漏れた場合でも、それは第二シールに進入するための如何なる駆動力も欠くであろう。
【0012】
本開示は、いくつかの実施形態において、三重シールろ過モジュールを使用して汚染媒体をろ過する方法及び三重シールろ過モジュールを製造する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示のいくつかの実施形態は、一つには、本開示及び添付の図面を参照することによって理解され得る。
【
図1A】本開示の一つの具体的、例示的な実施形態による膜シールガスケットの斜視図を示す。
【
図1B】
図1Aに示される膜シールガスケットの断面図を示す。
【
図2A】本開示の一つの具体的、例示的な実施形態によるセラミック膜の斜視図を示す。
【
図3A】本開示の一つの具体的、例示的な実施形態によるろ過アセンブリの斜視図を示す。
【
図4】本開示の一つの具体的、例示的な実施形態による浸透チャンバの斜視図を示す。
【
図5】本開示の一つの具体的、例示的な実施形態による、ろ過アセンブリがはめ込まれた浸透チャンバの斜視図を示す。
【
図6A】本開示の一つの具体的、例示的な実施形態によるろ過モジュールの斜視図を示す。
【
図7】本開示の一つの具体的、例示的な実施形態によるろ過システムの模式図を示す。以下の表1は、本出願において使用される参照番号を含む。千の位及び百の位はその項目が現れる図の番号に対応し、一方で、十の位及び一の位は指し示される特定の項目に対応する。同様な構造は、一致する十の位及び一の位を共有する。
【0014】
【表1】
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、いくつかの実施形態において、流体浄化(例えば、化学薬品を使用しない浄化)のためのシステム、装置及び方法に関する。いくつかの実施形態において、本開示は、流体ろ過(例えば水)のためのシステム、装置及び方法に関する。例えば、流体ろ過のためのシステムは、汚染媒体流路(stream)、ろ過モジュール、浸透流路、及びそれらの組み合わせを有してもよい。システムは、任意的に、濃縮流路、一つ又はそれ以上のポンプ、一つ又はそれ以上のバルブ、一つ又はそれ以上の圧縮ガス源、一つ又はそれ以上の貯蔵タンク、及びそれらの組み合わせを有してもよい。濃縮物は、例えば浸透物としての体積損失に起因して、対応する汚染媒体供給物よりも高い、一つ又はそれ以上の汚染物質の濃度を有してもよい。いくつかの実施形態において、浸透物は、最終生成物として集められてもよく、又は更なる浄化処置を受けてもよい。濃縮物は、最終廃棄物として集められてもよく、又は更なる浄化処置を受けてもよい。追加的な浄化処置は、例えば、酸化、紫外線照射、光触媒、ろ過及びそれらの組み合わせを含んでもよい。例えば、濃縮物は、同じフィルタ又は他のフィルタを使用して二回目のろ過をされてもよい。同じフィルタを通じて再循環されるべき濃縮物は、未処理の汚染媒体と混合されてもよく又は混合されなくてもよい。
【0016】
ろ過モジュール
本開示は、いくつかの実施形態において、ろ過モジュールに関する。例えば、ろ過モジュールは、汚染媒体を入れるための流入口及びエンドプレートを有し、エンドプレートは複数の円錐台形状の開口部を有する、汚染媒体チャンバ;円筒形状の本体及び各端のエンドプレートを有し、各エンドプレートは複数の円錐台形状の開口部を有する、浸透チャンバ、及び/又は汚染媒体チャンバ及び浸透チャンバの両方と流体連通するろ過アセンブリ、を有してもよい。ろ過モジュールは、いくつかの実施形態によれば、汚染媒体チャンバ、ろ過アセンブリ(例えば膜)、浸透チャンバ及び/又はそれらの組み合わせを有してもよい。例えば、汚染媒体チャンバは、内部空洞、内部空洞に汚染媒体を入れるための流入口及びろ過アセンブリ接合部(interface)を有してもよい。浸透チャンバは、ろ過アセンブリ接合部、内部浸透空洞、及び内部浸透空洞と流体連通した浸透物流出口を有してもよい。
【0017】
ろ過アセンブリは、汚染媒体チャンバ及び/又は浸透チャンバと流体連通していてもよい。いくつかの実施形態によれば、汚染媒体チャンバ(例えば汚染媒体チャンバ空洞)は、浸透チャンバ(例えば浸透チャンバ空洞)と流体連通していてもよい。いくつかの実施形態によれば、ろ過アセンブリは、汚染媒体チャンバ接合部及び/又は浸透チャンバ接合部と係合してもよい。
【0018】
汚染媒体チャンバ
汚染媒体チャンバは、いくつかの実施形態において、流入口及びいくつかの実施形態によるろ過アセンブリ接合部を有してもよい。汚染媒体チャンバは内部空洞を有してもよい。内部空洞は、如何なる望ましい大きさ及び否かる望ましい形状を有してもよい。例えば、空洞は、丸みを帯びた及び/又は概してドーム型の形状を有してもよい。汚染媒体チャンバは、外側境界及び/又は外周を有してもよい。いくつかの実施形態において、外側境界及び/又は外周は、汚染媒体チャンバフランジとして構成されてもよく且つ/或いは汚染媒体チャンバフランジを規定してもよい。フランジは、浸透チャンバ(例えば、同様の又は対になるフランジを有する浸透チャンバ)と係合するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、汚染媒体チャンバフランジは、ガスケット、Oリング又はその他のシールのためのチャネルを有してもよい。汚染媒体チャンバチャネルは、フランジ、及び/又は実質的に平行な外側境界及び/又は外周の一つの面に配置されてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、汚染媒体チャンバは、一つ若しくはそれ以上の流入口及び/又は一つ若しくはそれ以上の流出口を有してもよい。例えば、汚染媒体チャンバは、一つ又はそれ以上の流入口を有する、ろ過アセンブリ接合部を有してもよい。各流出口は、例えば実質的に流体密封のシールの状態で、ろ過アセンブリと係合するように構成してもよい。いくつかの実施形態において、流入口は、如何なる望ましい形状(例えば円筒形状、円錐形状、円錐台形状)を有してもよい。全ての汚染媒体チャンバ流入口は、接合部及び/又は汚染媒体チャンバチャネルの内側に配置されてもよい。
【0020】
濃縮チャンバは、汚染媒体チャンバに対応する構造を有してもよく、各ろ過アセンブリから流れ出る濃縮物を受容するように構成されてもよい。例えば、濃縮チャンバは、空洞、流入口、及び/又は少なくとも一つの開口部(例えば少なくとも一つの円錐台形状の開口部)を有するろ過アセンブリ接合部、を有してもよい。
【0021】
汚染媒体チャンバ及び/又は濃縮チャンバは、如何なる望ましい寸法を有してもよい。いくつかの実施形態によれば、汚染媒体チャンバ及び/又は濃縮チャンバは、約10cmから約150cm、約20cmから約100cm、約15cmから約75cm及び/又はそれらの組み合わせの長さを有してもよい。チャンバの長手方向軸に対して直角に取られた断面は、直径で約2cmから約30cm、直径で約2cmから約20cm、直径で約5cmから約20cm、直径で約5cmから約15cm及び/又はそれらの組み合わせの最大長さ寸法(例えば対角線又は直径)を有してもよい。フィルタは、一つ又はそれ以上の長手方向チャネルを有してもよい。汚染媒体チャンバ及び濃縮チャンバの形状及び/又は寸法は、同じであってもよく又は異なってもよい。
【0022】
浸透チャンバ
本開示は、いくつかの実施形態において、ろ過アセンブリ接合部、内部浸透空洞、及び内部浸透空洞と流体連通した浸透物流出口を有する浸透チャンバに関する。浸透チャンバは如何なる望ましい形状を有してもよい。いくつかの実施形態において、浸透チャンバは、中心長手方向軸及びその長さにわたる空洞を規定する概して円筒形の形状を有してもよい。例えば、最大で全ての、中心浸透チャンバ軸に対して直角な断面は、概して環形の形状を有してもよい。浸透チャンバは、いくつかの実施形態によれば、中空の、概して円筒形の形状の、第一端及び第二端を有してもよい。各端は、ろ過アセンブリ接合部を受容するような大きさ及び/又は形状の開口部を規定してもよい。
【0023】
浸透チャンバは、如何なる望ましい寸法を有してもよい。いくつかの実施形態によれば、浸透チャンバは、約10cmから約5mの長さ、約50cmから約5mの長さ、約1mから約3mの長さ及び/又はそれらの組み合わせであってもよい。長手方向軸に対して直角に取られた断面は、直径で約2cmから約30cm、直径で約2cmから約20cm、直径で約5cmから約20cm、直径で約5cmから約15cm及び/又はそれらの組み合わせの最大長さ寸法(例えば対角線又は直径)を有してもよい。フィルタは、一つ又はそれ以上の長手方向チャネルを有してもよい。
【0024】
ろ過アセンブリ
汚染媒体チャンバと浸透チャンバとの間の流体連通は、ろ過アセンブリによって介在されてもよい。例えば、少なくともいくらかの流体は、流入口を通って汚染媒体チャンバの中に流れ、汚染媒体チャンバ空洞を通ってろ過アセンブリの中に流れ、ろ過アセンブリを通って浸透チャンバの中に流れ、且つ/或いは浸透チャンバを通って流出口から流外してもよい。ろ過モジュールは、いくつかの実施形態によれば、フィルタ及び少なくとも一つのシールガスケットを有してもよい。シールガスケットは、フィルタは別としての汚染媒体チャンバと浸透チャンバとの間の流体の動きを制限するように構成されてもよい。例えば、ろ過アセンブリは、部分的に、実質的に完全に又は完全に流体バイパスを防いでもよい。
【0025】
ろ過アセンブリは、如何なる望ましい方法で機能するように構成されてもよい。例えば、ろ過アセンブリは、行き止まり型フィルタとして又はクロスフローフィルタとして機能するように構成されてもよい。細長い(elongate)膜は、いくつかの実施形態において、長手方向軸と共に内部チャネル規定してもよい。クロスフローろ過モジュールは、その長手方向軸が流体流れの方向に対して概して平行であるように構成された細長い膜を有するろ過アセンブリを含んでもよい。
【0026】
セラミック膜
ろ過アセンブリは、いくつかの実施形態によれば、如何なる望ましい大きさ、形状又は組成のフィルタを有してもよい。例えば、ろ過アセンブリは、概して管形状のフィルタ(例えばセラミックフィルタ)及び一端のシールガスケット又は両端のシールガスケットを有してもよい。ろ過アセンブリは、如何なる望ましいフィルタ又はフィルタ材料を含んでもよい。例えば、ろ過アセンブリは、一つ又はそれ以上の有機ポリマー及び/又は一つ又はそれ以上のセラミック材料を有するフィルタを有してもよい。フィルタ(例えばセラミック膜)の例は、精密ろ過フィルタ、限外ろ過フィルタ、抗菌性フィルタ、保守不要のフィルタ及びそれらの組み合わせを含んでもよい。フィルタは抗菌剤を有してもよい。例えば、セラミックフィルタは、銀(例えば、含浸された、非浸出性の銀)を含んでもよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、セラミックフィルタは耐久性が高くてもよい(例えば、有機ポリマーフィルタよりも耐久性が高い)。例えば、セラミックフィルタは、機械的損傷、溶剤及び/又は微生物に対して抵抗性であってもよい。性能及び/又は抵抗性の例示的な測定基準は、一つ又はそれ以上の汚染物質について提供されるろ過の程度、伝導性、使用可能な寿命及び/又はそれらの組み合わせであってもよい。望ましい性能及び/又は抵抗性は、他の膜に対して又は閾値若しくは目標値に対して、仕事(challenge)の存在下又は不在下で比較した割合(例えば、パーセンテージ)として表現されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、フィルタは、少なくとも一つの内部チャネルをもつ細長い管を規定する壁を有してもよい。フィルタは、いくつかの実施形態において、汚染媒体側に向いた面及び浸透物に向いた面を有してもよい。例えば、フィルタは、少なくとも一つの内部表面(例えば、汚染媒体側に向いた面)及び外部表面(例えば、浸透チャンバに向いた面)をもつ細長い管を規定してもよい。汚染流体は、一端において少なくとも一つの内部チャネルに入ってもよく、フィルタの長さを伝って流れてもよい。それがチャネルに沿って進む際に、いくらかの流体はフィルタ壁を横断して浸透物を形成する。
【0029】
セラミックフィルタは、いくつかの実施形態において、より小さな孔を有するろ過層(例えば膜)、及びより大きな孔を有する下層の基部を有してもよい。典型的なセラミックフィルタは、チャネルの内側のみのセラミック膜、及び端面をシールするエポキシ被覆を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、ろ過層は、代わりに、内部表面、端面及び/又は外部表面を覆ってもよい。例えば、ろ過層は、フィルタの汚染媒体に向いた面を、規定してもよく、同じ広がりを持ってもよく及び/又は覆ってもよい。基部は、浸透物に向いた面を、規定してもよく、同じ広がりを持ってもよく及び/又は覆ってもよい。セラミック膜(例えばろ過層)は、フィルタの両方の前面の周りに巻き付き、(各端で)外側に沿って包んでもよい。
【0030】
細長いセラミック膜は、如何なる望ましい規則的又は不規則な幾何学的形状の断面(例えば、中心長手方向軸に対して直角な断面)を有してもよい。例えば、膜断面は、概して円形、概して楕円形、概して多角形(例えば六角形)及び/又はそれらの組み合わせから選択される形状を有してもよい。細長い膜は、膜の長さに沿っており、軸に対して概して平行な一つ又はそれ以上のチャネルを備えた中心軸を有してもよい。
【0031】
フィルタは、如何なる望ましい寸法を有してもよい。いくつかの実施形態によれば、細長いフィルタは、約10cmから約5mの長さ、約50cmから約5mの長さ、約1mから約3mの長さ及び/又はそれらの組み合わせであってもよい。長手方向軸に対して直角に取られた断面(例えば、直径)は、直径で約2cmから約30cm、直径で約2cmから約20cm、直径で約5cmから約20cm、直径で約5cmから約15cm及び/又はそれらの組み合わせであってもよい。フィルタは、一つ又はそれ以上の長手方向チャネルを有してもよい。各チャネルは、独立して、如何なる望ましい形状及び/又は寸法を有してもよい。いくつかの実施形態において、チャネルは、約1mmから約15cm、約2mmから約10cm、約5mmから約5cm、約1cmから約5cm及び/又はそれらの組み合わせの半径をもつ、概して円形の形状を有してもよい。
【0032】
フィルタチャネル及び孔は、いくつかの実施形態によれば、大きさ、幾何学的形状及び/又は機能に基づいて区別されてもよい。例えば、孔は、一桁又はそれ以上の桁の規模で、チャネルよりも小さくてもよく(例えば、2−10桁小さい)、不規則な(例えば渦巻き型の)流路を規定してもよく、且つ/或いは閾値以下の分子のみを入れてもよい。チャネルは、一桁又はそれ以上の桁の規模で、孔よりも大きくてもよく、規則的な流路を規定してもよく、且つ/或いは汚染媒体内の全ての又は実質的に全ての分子を入れてもよい。
【0033】
シールガスケット
本開示は、いくつかの実施形態において、シールガスケットを有するセラミックフィルタを用いた流体ろ過(例えば水)のためのシステム、装置及び方法に関する。シールガスケットは、(例えば流体密封のシールを形成するように、)汚染媒体チャンバ上のろ過アセンブリ接合部及び/又は浸透チャンバ上のろ過アセンブリ接合部に係合するように構成されてもよい。例えば、シールガスケットは、係合したときに三重シールを形成するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、シールガスケットは、汚染媒体と浸透物との間の障壁(例えば、実質的な又は完全な障壁)を構成してもよい。シールガスケットは、いくつかの実施形態において、(例えば連続的又は半連続的な運転システムにおける)浸透物の品質管理試験がより低い頻度で行われることができるように、汚染媒体と浸透物との間の完全な障壁として機能するように構成されてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、セラミックフィルタの各端は、(例えばシールガスケットを用いて)密閉されてもよい。それは、フィルタバイパスの可能性を除去し得る。いくつかの実施形態によれば、もし水経路の汚染媒体側、濃縮物側又は浸透物側からの漏れが生じても、それはモジュールの外側で生じる。例えば、濃縮物は浸透物の中に漏れることができず、浸透物は濃縮物の中に漏れることができない。同じように、汚染媒体は浸透物の中に漏れることができず、浸透物は汚染媒体の中に漏れることができない。
【0035】
シールガスケットは、如何なる望ましい形状を有してもよい。いくつかの実施形態において、シールガスケットは、中心長手方向軸及びその長さにわたる空洞を規定する概して円筒形の且つ/或いは概してバレル形の形状を有してもよい。例えば、最大で全ての、中心シールガスケット軸に対して直角な断面は、概して環形の形状を有してもよい。シールガスケットは、いくつかの実施形態によれば、中空の、概して円筒形の形状の、第一端及び第二端を有してもよい。各端は開口部を規定してもよい。いくつかの実施形態において、シールガスケットは、内側半径を規定する内面、及び外側半径を規定する外面を有してもよい。空洞の断面は、シールガスケットの長さに沿って寸法が変化しなくてもよい。例えば、シールガスケット空洞の半径(例えば内側半径)は、シールガスケットの長さに沿って実質的に一定であってもよい。第一端における空洞の半径は、空洞の長さの残りの半径よりも小さくてもよい。例えば、第一端は、フィルタの端の少なくとも一部分の上に突き出るように構成されたリップを規定してもよい。リップは、いくつかの実施形態において、フィルタの端に接するような、且つ/或いは、(フィルタの端における)シールガスケットが予め設定された位置を過ぎてフィルタの長さに沿って差し込まれること及び/又は動くことを防ぐような、大きさ及び/又は比率であってもよい。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、シールガスケットの外面の半径は、必要に応じて変化してもよい。シール可能に接合部に係合するために、例えば、外面が先細り(例えば、端に向かってより小さな外側半径及び中央に向かってより大きな外側半径)であることが望ましいかも知れない。いくつかの実施形態において、シールガスケットは、一方又は両方の端にテーパを有してもよい。シールガスケットは、バンド又は強化リングを収容できるように構成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、バンドは、シールガスケットに半径方向の圧力を加えて、それをフィルタに固定してもよい。バンドは、シールガスケットの長さの中央付近又は中央に配置されてもよい。シールガスケットは、例えば、両端の間のおよそ中間且つ中心軸に対して直角であってもよい。いくつかの実施形態において、シールガスケットは、強化リング及び/又はバンドを受容するように構成された周囲チャネルを(例えばその外面上に)有してもよい。周囲チャネルの一方又は両方のエッジは、隆起部を有するように構成されてもよい。隆起部は、シールガスケットの長さに沿ったバンドの動きを減らす又は防ぐような比率であってもよい。隆起部は、いくつかの実施形態によれば、テーパの一端を規定してもよい。
【0037】
シールガスケットは、如何なる望ましい材料で形成されてもよい。いくつかの実施形態において、シールガスケットは、疎水性材料、弾性材料、エラストマー材料及び/又はそれらの組み合わせを含んでもよい。シールガスケットは、いくつかの実施形態によれば、疎水性、弾性、エラストマーの及び/又はそれらの組み合わせの材料を含んでもよい。例えば、シールガスケットは、天然ゴム、合成ゴム、ネオプレン、パーフルオロエラストマー(例えば、カルレッツ(登録商標)、バイトン(登録商標))エチレンアクリルエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、オレフィンブロック共重合体、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー、熱可塑性物質(thermoplastic)、プラストマー、臭素化イソブチレンパラメチル−スチレンターポリマー、シリコーン又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0038】
いくつかの実施形態において、各端においてテーパを有してもよく且つ/或いは円錐台形の形状を規定してもよい。各テーパの勾配は、約1°から約30°、約2°から約25°、約5°から約20°、約10°から約30°及び/又はそれらの組み合わせから、独立して選択されてもよい。各ろ過アセンブリ接合部の各開口部は、約1°から約30°、約2°から約25°、約5°から約20°、約10°から約30°及び/又はそれらの組み合わせから独立して選択された勾配を有する、テーパを有してもよく且つ/或いは円錐台形の形状を規定してもよい。テーパ角度は、中心長手方向軸と、テーパの表面に平行な同一平面上の線との間の角度であってもよい。
【0039】
シールガスケットは、如何なる望ましい寸法を有してもよい。いくつかの実施形態によれば、シールガスケットは、約1cmから約10cmの長さ、約1cmから約20cmの長さ、約1cmから約30cmの長さ、約5cmから約20cmの長さ、約10cmから約20cmの長さ及び/又はそれらの組み合わせであってもよい。シールガスケットは、いくつかの実施形態において、約1cmから約10cm、約1cmから約20cm、約1cmから約30cm、約5cmから約20cm、約10cmから約20cm及び/又はそれらの組み合わせの、内側半径及び/又は外側半径(例えば、平均、最小、最大)を有してもよい。いくつかの実施形態において、シールガスケットの長さはその直径よりも大きくてもよい。シールガスケットは、約5mmから約5cmの厚さ、約5mmから約10cmの厚さ、約5mmから約20cmの厚さ、約1cmから約10cmの厚さ、約2cmから約15cmの厚さ及び/又はそれらの組み合わせの、壁を有してもよい。
【0040】
セラミックフィルタシールガスケットは、いくつかの実施形態によれば、内周面、外周面、第一端、第一端開口部、第二端及び/又は第二端開口部を有する中空の円筒を規定する壁を有してもよい。いくつかの実施形態において、第一端の壁は半径方向内側に厚くなってリップを形成してもよい。壁は半径方向外側に厚くなり、第一端から半径(例えば厚さ)を大きくしながら第二端に向かって延びる長手方向の第一テーパを形成してもよい。壁は半径方向外側に厚くなり、第二端から半径(例えば厚さ)を大きくしながら第一端に向かって延びる長手方向の第にテーパを形成してもよい。且つ/或いは、壁は半径方向外側に厚くなり、第一中心周囲隆起部及び第二中心周囲隆起部を、第一及び第二の隆起部を隔てる周囲チャネルと共に形成してもよい。シールガスケットは、(例えば、基材上ではなく)主に膜上であってもよい。セラミックフィルタシールガスケットは、いくつかの実施形態によれば、単一の、一体的なユニットであってもよい。例えば、シールガスケットは、その周囲を囲む継ぎ目(シーム)が無くてもよく且つ/或いはその長さに沿った継ぎ目が無くてもよい。
【0041】
使用方法
本開示は、いくつかの実施形態によれば、ろ過システム及び/又は装置を使用するための方法に関する。例えば、浄化及び/又はろ過方法は、汚染流体をフィルタ(例えば、セラミックろ過膜)と接触させるステップ(contacting)を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、汚染流体をフィルタ(例えば、セラミックろ過膜)と接触させるステップは、浸透物(例えば、フィルタ孔を通過する流体)及び濃縮物(例えば、フィルタ孔を通過しない流体)を形成するステップを含んでもよい。
【0042】
いくつかの実施形態において、ろ過システム、装置及び/又は方法は、いくつかの実施形態に従って、連続的に、実質的に連続的に(例えば、短い保守作業を除いて連続的に)、半連続的に(一日当たり24時間より短く)、定期的に(例えば、規則的及び/又は不規則な間隔をおきながら)、要求に応じて、又はそれらの組み合わせで、作動するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、ろ過システム、装置及び/又は方法は、対象流体の精密ろ過、限外ろ過、及び/又はナノろ過を提供するように運転されてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、より少ない定期的試験(例えば、品質保証/品質管理(QA/QC)試験)で又は定期的試験無しで、ろ過が行われてもよい(例えば、ろ過モジュールが運転されてもよい)。例えば、既存の水ろ過システムは、膜の完全性及び漏れの無いろ過を評価及び/又は確保するために毎日試験されなければならないかも知れない。いくつかの実施形態によるろ過アセンブリの構成は、単独で、同じように頻繁に試験する必要なく、少なくとも同じ水準の確かさを提供し得る。
【0044】
方法は、いくつかの実施形態において、如何なる望ましいスループット(例えば、汚染媒体流入量、浸透物流出量、濃縮物流出量及び/又はそれらの組み合わせ)で流体ろ過システムを運転するステップを含んでもよい。例えば、方法は、膜要素の数を変化させること及び/又は使用されるモジュールの数を変化させることによって所望の処理量を達成するために、拡張可能であってもよい。
【0045】
製造方法
いくつかの実施形態によれば、フィルタシールガスケットを製造する方法は、管(tube)を形成するように弾性体、エラストマー材料及び/又は弾性材料を押出加工するステップ(extruding)を含んでもよい。フィルタシールガスケットを製造する一つの方法は、管を形成するように弾性体、エラストマー材料及び/又は弾性材料を型の中に注入するステップ(injecting)を含んでもよい。ガスケットが形成されるか又は形成後に素材(blank)に機械加工される場合は、如何なる望ましい表面形状でも含まれ得る。
【0046】
本開示は、いくつかの実施形態によれば、ろ過装置及び/又はシステムを製造する方法に関する。例えば、方法は、(例えばシールガスケットリップがフィルタの端に接触するまで)シールガスケットを浸透チャンバ内のセラミック膜フィルタの一端又は両端に押し付けるステップ(pushing)、浸透チャンバの各端において浸透チャンバろ過アセンブリ接合部を固定するステップ(securing)であり、各ろ過アセンブリ接合部は、(任意的に外側の面にOリングチャネルを有する)周囲フランジ、及びシールガスケットの第二テーパに係合するように構成された一つ又はそれ以上の先細りの開口部を有する、ステップ、(例えば浸透チャンバフランジに一致する汚染媒体チャンバフランジによって)浸透チャンバの各端にろ過接合部を有する汚染媒体チャンバを固定するステップ、及び/又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0047】
方法は、任意的に、汚染媒体チャンバフランジによって部分的に規定され、浸透チャンバフランジによって部分的に規定されるOリングチャネル内に、Oリングを組み込むステップ(installing)を含む。いくつかの実施形態において、しかしながら、Oリングは、必須でなく且つ/或いは求められなくてもよい。例えば、三重シールを有しないシステムは、汚染媒体チャンバと浸透チャンバとの間の接触を完全にするためにOリングシールを要求し得る。そのようなシステムの不利な点は、汚染媒体(例えば、浸透物よりも高い圧力の汚染媒体)が膜フィルタを迂回して(bypass)浸透物内に入ることであり得る。汚染媒体チャンバと浸透チャンバとの間の三重シールの存在は、Oリングの必要性を除去し及び/又は膜バイパスを実質的に防止してもよい。三重シールを備えたシステムは、いくつかの実施形態によれば、流体が膜を迂回する危険性が無いか又は危険性が極めて低いものであってもよい。例えば、三重シールシステムは、万一流体が漏れたとしてもそれがシステムから隙間に排出されるように、複数のチャンバ筐体の間に比較的低い圧力(例えば大気圧)の隙間を有してもよい。それは、重力の影響下で移動し、Oリングが無い場合は、フランジの低い部分から滴り落ち得る。三重シールシステムは大気圧よりも高い圧力で運転され得るため、(例えば漏れによって)システムから隙間に出る液体は、再びシステムに入ることが実質的にできないか又は完全に不可能になる。
【0048】
方法は、(例えば、汚染媒体チャンバ接合部及び/又は浸透チャンバ接合部がろ過アセンブリにぴったりと合わせられたときに、)膜ガスケットに対して、膜上に三重シールを形成するステップを更に含む。いくつかの実施形態によれば、方法は、両端での積極的なシールを確保するための永久的な圧縮を両方の先細りの部分で確立するように、ろ過アセンブリを汚染媒体チャンバ接合部及び浸透チャンバ接合部と接触させるステップ(contacting)を更に含んでもよい。方法は、いくつかの実施形態において、(例えば二つの周囲隆起部の間のバンドチャネル内に配置された)強化リング又はバンドを用いてシールガスケットをセラミック膜フィルタに固定するステップを含んでもよい。
【0049】
方法は、各端にろ過アセンブリ接合部を有する浸透チャンバ内に少なくとも一つの細長いフィルタを提供するステップ(providing)であり、各ろ過アセンブリ接合部は少なくとも一つの円錐台形状の開口部を有する、ステップ、各フィルタの各端に、シールガスケットリップ、近位側テーパ及び遠位側テーパを有するシールガスケットを、それが押し込まれるフィルタの端に各シールガスケットリップが接触し、各シールガスケットの遠位側テーパが円錐形状の開口部に係合するまで、押し込むステップ、及び/又は、浸透チャンバの各端に、少なくとも一つの円錐台形状の開口部を備えたろ過接合部を有する汚染媒体チャンバを、(例えば、浸透チャンバフランジに一致する汚染媒体チャンバフランジによって)固定するステップ、及び/又はそれらの組み合わせを含んでもよく、それにより三重シールが形成される。いくつかの実施形態において、方法は、汚染媒体チャンバを浸透チャンバに固定するステップ(fixing)を更に含んでもよい。例えば、浸透チャンバの各端は浸透チャンバに固定されたフランジを有してもよく、汚染媒体チャンバは浸透チャンバに固定されたフランジを有してもよく、フランジは互いに固定されてもよい。方法は、浸透チャンバの一端に濃縮流体チャンバを固定するステップを含んでもよい。
【0050】
具体的、例示的な実施形態
シールガスケットの具体的、例示的な実施形態が
図1A−
図1Bに示される。シールガスケット130は、内面140及び外面150を規定するシールガスケット壁131を有する。図示されるように、内面140は、近位側開口部141、空洞142及び遠位側開口部143を有する。空洞142の直径は、遠位側開口部143と同じか又は実質的に同じである。近位側開口部141は遠位側開口部143よりも小さい。近位側開口部141、空洞142及び遠位側開口部143は、中心軸を規定する。
【0051】
図示されるように、外面150は、リップ151、テーパ152、隆起部(ridge)153、チャネル154、隆起部155及びテーパ156を有する。リップ151は、シールガスケット131の近位側端において、(例えば、内面140に対して)半径方向内側の肥厚部(thickening)を構成する。テーパ152は、近位側開口部141から延びるシールガスケット壁131において(例えば、内面140に対して)半径方向外側の肥厚部を構成する。隆起部153はテーパ152の遠位側端を規定する。隆起部153及び隆起部155は、シール130を取り巻く壁131において肥厚部を構成する。隆起部153及び隆起部155はチャネル154のエッジを規定する。テーパ156は、遠位側開口部143から延びるシールガスケット壁131において(例えば、内面140に対して)半径方向外側の肥厚部を構成する。隆起部155はテーパ156の近位側端を規定する。
【0052】
中心軸に対して直角に取られたシールガスケット130の断面において、内面140は、概して六角形の形状を規定するが、概して円形状、概して六角形状及び/又は如何なる他の形状であってもよい。中心軸に対して直角に取られたシールガスケット130の断面において、外面150は、概して円形の形状を規定するが、概して六角形状、概して六角形状及び/又は如何なる他の形状であってもよい。空洞142及び遠位側開口部143は、フィルタ(例えばセラミックフィルタ)にぴったりとフィットするような大きさであってもよい。
【0053】
フィルタの具体的、例示的な実施形態が
図2A−
図2Bに示される。フィルタ270は、チャネル271、ろ過層272、基材(substrate)273、前面(face)274及び側面275を有する。図示されるように、フィルタ270は、概して六角形状の断面を有し、概して円形状の複数のチャネル271を備える。チャネル271は、フィルタ270を通ってその長さに沿って延びる。ろ過層272は、基材273の上に配置され、外側ろ過層272a、前面ろ過層272b及び内側ろ過層272cを有する。外側ろ過層272aは、前面274から側面275の一部分に沿って延びる。各チャネル271の内面は、内側ろ過層272cによって完全に覆われている。前面ろ過層272bは、前面274を覆い、外側ろ過層272a及び内側ろ過層272cと連続的(contiguous)である。ろ過層271は、両方の前面の周りに巻き付き、フィルタの各端に接する側面を部分的に覆ってもよい。
【0054】
ろ過アセンブリの具体的、例示的な実施形態が
図3A−
図3Bに示される。ろ過アセンブリ320は、シールガスケット330、バンド360及びフィルタ370を有する。図示されるように、シールガスケット330は、フィルタ370の端と係合し、少なくとも部分的に強化バンド360によって適切な位置に固定される。シールガスケット330を適切な位置に保持するための半径方向の力の一部分は、シールガスケット330を構成する材料の弾性に由来してもよい。内面340は側面375に接触し、リップ351は前面274に接触し、一緒に流体障壁を形成する。開口部341及び前面374は、可能な限り少ないチャネル372を塞ぎ、リップ351と共に流体障壁を形成することに寄与するような大きさである。
【0055】
浸透チャンバの具体的、例示的な実施形態が
図4に示される。浸透チャンバ410は、フランジ411、Oリングチャネル412、開口部413、開口部壁414、浸透チャンバ本体615、浸透チャンバ空洞616及び流出口617を有する。図示されるように、浸透チャンバ410は、概して円筒形状であり、各端のフランジ411、及び本体415から延びる流出口417を備える。フランジ411は、本体415と連続的であってもよく又は本体415に固定されてもよい。各フランジ411は、各フランジ411が本体415の上に突き出るように、本体415の直径よりも大きな直径をもつ概して円形状の円板である。各フランジ411は、その周囲に沿って突出部に複数の穴を有し、各穴は止具(例えばボルト)を受容する大きさである。フランジ411は、本体415から離れる方向を向いた面にOリングチャネル412を有する。フランジ411は、それぞれ円錐台形状の壁414を有する開口部413のために穿孔されている。フランジ411及び本体415は一緒に、浸透チャンバ空洞を規定する。
【0056】
ろ過アセンブリが差し込まれた浸透チャンバの具体的、例示的な実施形態が
図5に示される。図示されるように、複数のろ過アセンブリ520は、フランジ511の開口部に挿入されている。ろ過アセンブリ520は、各遠位側テーパが対応する開口部壁に接触し、遠位側隆起部がフランジ511に接触するように、押し込まれている。
【0057】
ろ過モジュールの具体的、例示的な実施形態が
図6A−
図6Cに示される。ろ過モジュール600は、汚染媒体チャンバ605、浸透チャンバ610、ろ過アセンブリ620及び濃縮チャンバ680を有する。図示されるように、汚染媒体チャンバ605及び浸透チャンバ610は、隙間602によって隔てられており、複数のボルト及びナットを用いて互いに固定されている。汚染媒体チャンバ605及びシールガスケット630の近位側端は、第一の流体密封のシールを共に形成する。浸透チャンバ610及びシールガスケット630の遠位側端は、第二の流体密封のシールを形成する。
【0058】
汚染媒体チャンバ605は、浸透チャンバ空洞616と空洞607との間のフィルタバイパスに対する三重シールを形成するために十分な力で浸透チャンバ610に固定されている。三重シールは、開口部609において汚染媒体チャンバ605に密着したシールガスケット630で構成される。シールガスケット630は、開口部613において浸透チャンバ610に密着している。また、シールガスケット630は、ろ過層672においてフィルタ670に密着している。濃縮チャンバ680は、同様に浸透チャンバ610の遠位側端に固定される。
【0059】
運転中に、形成された流体密封のシールは、汚染媒体が流入口606を通って空洞607内に移動し、クロスフローフィルタ670内へ及びクロスフローフィルタ670を通って流れることに結果する。もしも(例えばガスケットが古くなった際に)流体が、開口部609に密着しているシールガスケット630を迂回した場合は、それはフランジ608及びフランジ611によって規定される空間内に方向付けられる。任意的に、流体(例えば汚染媒体)の存在を検出するために、一つ又はそれ以上の水分センサ619がこの空間内に設置されてもよい。隙間602は大気に対して開いているため、漏出した流体は、もし有ったとしても、シールガスケット630と開口部613との間に形成されたシールに浸入するための駆動力を欠く。重力の影響下で、それは単に下方に流れ出るか又は滴り落ちることになる。フィルタ670に浸入せずに通過して濃縮物を形成する流体は、フィルタ670を出て濃縮チャンバ680に入る。流体は、濃縮チャンバ680からろ過モジュール600を出てもよい。
【0060】
ろ過システムの具体的、例示的な実施形態が
図7に示される。システム790は、汚染媒体791、供給物792、ろ過モジュール700、濃縮物794、バルブ795、ポンプ796、バルブ797及び濃縮物798を含む。汚染流体791(例えば汚染水)は、流体内の汚染物質をろ過して取り除くために、ポンプでろ過モジュール700内のクロスフローフィルタを通されてもよい。いくつかの実施形態において、クロスフローフィルタは、セラミック膜のような膜フィルタであってもよい。セラミック膜は、例えば、耐久性及び/又は非常に小さな汚染物質をろ過して除去する能力という利点を有し得る。図示されるように、汚染媒体791は、再循環された濃縮物798と混合されて供給物792を形成する。汚染媒体791及び濃縮物798の比率は、必要に応じて調整されてもよい。たとえば、供給物792は、約0%から約99%の濃縮物798、約1%から約50%の濃縮物798、約5%から約25%の濃縮物798及び/又はそれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態において、供給物792を形成するために混合される汚染媒体791及び濃縮物798の比率は、各々における固体及び/又は汚染物質の(現実の又は推定の)濃度に従って変化してもよい。この調節は、ろ過効率が調整される(例えば最適化される)ことを可能にしてもよく且つ/或いはフィルタを固体及び/又は汚染物質で覆ってしまうことを回避してもよい。
【0061】
供給物792は、ろ過モジュール700に入り浸透物793又は濃縮物794として出る。浸透物は、最終生成物として集められてもよく又は必要に応じて更なる処置を受けてもよい。残る流体は、浸透物としての体積損失に起因して目下汚染物質が濃く、濃縮物794を形成する。濃縮物794は、バルブ795によってポンプ796を向けられてもよい。濃縮物798は、ポンプ796からバルブ797を通って再循環させられ、未処理の汚染媒体791と混合される。バルブ795及び797は、遮断バルブとして運転されてもよく、又は、(例えば、廃棄、収集、更なる処理又は他の目的のために)代替的な流路へ流体の方向を変える(redirect)ように構成されてもよい。代替的な流路は、同じ点若しくは流路に沿った他の点でシステム790に再結合(rejoin)してもよく又はしなくてもよい。
【0062】
クロスフローフィルタとしてのろ過モジュール700の運転は、実質的に膜への付着物が無く且つ/或いはシステム700からの拒絶が無く、供給物792のろ過を提供してもよい。いくつかの実施形態において、システム700は、例えば汚染物質を壊すため及び/又はシステム内の固体及び/又は汚染物質の量が増加し続けることを別の方法で回避するための(例えば、全ての汚染物質が再生利用される)、追加的な浄化モジュールを有してもよい。
【0063】
本開示の利益を有する当業者によって理解されるように、流体ろ過のための他の同等の又は代替的な組成物、機器、方法及びシステムが、本明細書に含まれる記載から逸脱することなく想定され得る。したがって、図示及び説明されたような本開示を実施する方法は、単に例示的なものとして解釈されるべきである。
【0064】
当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、部品の形状、大きさ、数及び/又は配置における様々な変更を行い得る。例えば、流入口、開口部、フィルタ、ガスケット、バルブ、ポンプ、センサ及び/又は流出口の位置及び数を変化させ得る。いくつかの実施形態において、フィルタ、シールガスケット及び/又はろ過アセンブリは交換可能であってもよい。交換可能性は、汚染物質の大きさ及び/又は種類が、(例えば、孔の大きさ及び/又はフィルタの種類を変えること又は選択することによって)特別に調整されることを可能にし得る。加えて、機器及び/又はシステムの大きさは、実行者の需要及び/又は要望に合わせて、(例えば、高スループットの商業用又は地方自治体用流体ろ過の用途に使用されるために)スケールアップされてもよく、又は(例えば、低スループットの家庭又は研究の用途に使用されるために)スケールダウンされてもよい。それぞれの開示された方法及び方法のステップは、いくつかの実施形態によれば、任意の他の開示された方法又は方法ステップに関連して、任意の順序で実行されてもよい。動詞“てもよい/得る(may)”が現れる部分では、任意的及び/又は許容の状況を伝えることが意図されており、その使用は、特記しない限り、実施可能性の欠如を示唆するように意図されていない。当業者は、本開示の組成物、機器及び/又はシステムを準備又は使用する方法に様々な変更を行い得る。例えば、組成物、機器及び/又はシステムは、(例えば、衛生、感染性、安全性、毒性、生体認証及び他の考慮事項に関して)動物及び/又は人のために適切に準備及び/又は使用されてもよい。列挙されていない要素、組成物、機器、システム、方法及び方法のステップは、必要性又は要求に応じて、含められてもよく又は排除されてもよい。
【0065】
また、範囲が提供されている場合、開示された終点は、具体的な実施形態によって必要とされ又は要求されるのに応じて、正確なものとして及び/又は近似値として扱われてもよい。終点が近似値である場合、柔軟性は、範囲の大きさの程度に比例して変化してもよい。例えば、一方で、約5から約50の範囲の文脈における約50の範囲終点は、50.5を含んでもよいが、52.5又は55を含まない。他方で、約0.5から約50の範囲の文脈における約50の範囲終点は、55を含んでもよいが、60又は75を含まない。加えて、いくつかの実施形態において、範囲終点を様々に組み合せることが望ましいかも知れない。また、いくつかの実施形態において、(例えば、一つ又はそれ以上の実施例、表及び/又は図において)開示されたそれぞれの図表は、範囲及び/又は範囲終点の基礎を形成し得る(例えば、表示された値+/−約10%、表示された値+/−約50%、表示された値+/−約100%)。前者に関しては、実施例、表及び/又は図面に表示された50の値は、例えば、約45から約55、約25から約100及び/又は約0から約100の範囲の基礎を形成し得る。開示された百分率は、特に指定のない限り重量パーセントである。
【0066】
流体ろ過のための機器及び/又はシステムの全て又は一部分は、使い捨て可能、修理可能(serviceable)、交換可能及び/又は置換可能であるように構成及び配置されてもよい。これらの等価物及び代替物は、明らかな変更及び改良と共に、本開示の範囲内に含まれるように意図されている。したがって、上記の開示は、添付の特許請求の範囲によって示される本開示の範囲の例示として意図されており、限定的であるように意図されていない。
【0067】
発明の名称、要約、背景技術及び見出しは、規則の順守及び/又は読者の便宜のために設けられている。それらは、先行技術の範囲及び内容としての自認並びに全ての開示された実施形態に対して適用可能な限定を一切含まない。