特許第6542232号(P6542232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6542232複数又は位置調節可能撹拌機設計のバイオリアクタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6542232
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】複数又は位置調節可能撹拌機設計のバイオリアクタ
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/02 20060101AFI20190628BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   C12M1/02 A
   C12M1/00 D
【請求項の数】18
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-542855(P2016-542855)
(86)(22)【出願日】2014年9月15日
(65)【公表番号】特表2016-529918(P2016-529918A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】US2014055674
(87)【国際公開番号】WO2015039034
(87)【国際公開日】20150319
【審査請求日】2017年9月14日
(31)【優先権主張番号】61/878,516
(32)【優先日】2013年9月16日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マハジャン, エックタ
(72)【発明者】
【氏名】デント, ケルシー
(72)【発明者】
【氏名】チャン, エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ハドソン, テリー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル, ネリア
【審査官】 吉森 晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−005091(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0101982(US,A1)
【文献】 特開昭61−104780(JP,A)
【文献】 特表2012−521210(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0142827(US,A1)
【文献】 米国特許第05061079(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00―1/42
B01F 7/00―7/32
CAplus(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なった設計の容器を保持する構成とされ、頂部領域と底部領域を備えた支持構造と、
インペラと撹拌機モータを備えた撹拌機システムと
を具備し、
前記撹拌機システムと前記支持構造が、前記支持構造に保持される容器の設計に応じて前記支持構造に対して複数の位置に前記撹拌機モータを位置せしめる構成とされ、
前記複数の位置が、頂部取り付け撹拌機モータ位置と底部取り付け撹拌機モータ位置を含む、バイオリアクタであって、
前記撹拌機モータが前記複数の位置に選択的に取り付け可能であり、
前記異なった設計の容器は、頂部取り付け撹拌機モータ位置において前記撹拌機モータと使用される構成とされる容器、及び底部取り付け撹拌機モータ位置において前記撹拌機モータと使用される構成とされる容器を含む、バイオリアクタ。
【請求項2】
前記複数の位置が、前記頂部取り付け撹拌機モータ位置と前記底部取り付け撹拌機モータ位置の間に少なくとも一の中間位置を更に含む、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項3】
前記撹拌機モータが可変長シャフトに取り付けられた、請求項1または2に記載のバイオリアクタ。
【請求項4】
前記支持構造が、頂部領域と底部領域を備え、前記インペラが、前記支持構造の前記頂部領域と底部領域の間の中間位置の範囲で選択的に作動される構成とされた、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項5】
前記インペラが可変長シャフトに取り付けられた、請求項1または2に記載のバイオリアクタ。
【請求項6】
前記支持構造内に存在し前記撹拌機モータに連結される構成とされた容器を更に備え、該容器が折り畳み可能なバッグである、請求項1から5の何れか一項に記載のバイオリアクタ。
【請求項7】
前記折り畳み可能なバッグが、頂部取り付け撹拌機モータと共に使用される構成とされた、請求項6に記載のバイオリアクタ。
【請求項8】
前記折り畳み可能なバッグが、底部取り付け撹拌機モータと共に使用される構成とされた、請求項6に記載のバイオリアクタ。
【請求項9】
前記支持構造の底部に取り外し可能に位置せしめられる構成とされた、隆起支持面を持つスペーサを更に備えた、請求項1から8の何れか一項に記載のバイオリアクタ。
【請求項10】
前記支持構造が、頂部開口部と該頂部開口部を少なくとも部分的に覆う構成とされた取り外し可能な蓋部を具備する、請求項1から9の何れか一項に記載のバイオリアクタ。
【請求項11】
前記頂部開口部を覆うときと前記頂部開口部から取り外されるときに前記蓋部が前記支持構造に取り付けられる、請求項10に記載のバイオリアクタ。
【請求項12】
前記支持構造が、内部プローブと外部プローブの双方と共に使用される構成とされた、請求項1から11の何れか一項に記載のバイオリアクタ。
【請求項13】
支持構造と複数撹拌機モータシステムを備えたバイオリアクタを操作する方法であって、
頂部取り付け撹拌機バッグと底部取り付け撹拌機バッグからなる群からバイオリアクタバッグを選択し、
前記支持構造の頂部取り付け撹拌機モータと底部取り付け撹拌機モータから選択し、
前記選択されたバイオリアクタバッグを前記支持構造中に配し、
前記選択されたバイオリアクタバッグを前記選択された撹拌機モータと連結する
ことを含む、方法。
【請求項14】
前記バイオリアクタ内のスペーサの存在を確認することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記バイオリアクタ内に前記スペーサを配することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記バイオリアクタ内から前記スペーサを取り除くことを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
支持構造連結具にバッグ連結具を取り付けることを更に含む、請求項13から16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記頂部取り付け撹拌機モータの垂直位置を変えることを更に含む、請求項13から17の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願とのクロスリファレンス)
この出願は、出典明示によりその全体がここに援用される2013年9月16日出願の米国仮出願第61/878516号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
バイオリアクタは、制御された環境下での細胞、生物、培養物等の培養を通して、例えば、医薬品、ワクチン、抗体のような製品を製造するために使用できる。支持構造と、支持構造内に適合する構成とされた単回使用の容器を備えた単回使用のバイオリアクタがますます使用されている。このようなシステムの使用により、プロセス間でのバイオリアクタのより簡単な洗浄と殺菌が可能になる。単回使用バイオリアクタに対して多数の設計構造が存在するが、幾つかの状況では、特定の設計構造が望ましい場合がある−例えば、特定の材料製か又は特定の撹拌機システム設計構造を有する単回使用容器の使用が、特定の製品の製造に対して望ましい場合がある。単回使用バイオリアクタにおける使い捨て部品は、そのシステムに合わせられたポートや連結具の配置を伴った特定のバイオリアクタシステムと共に使用される構成とされている。
【発明の概要】
【0003】
場合によっては、異なる単回使用容器と共に異なる支持構造を使用する必要があることは、費用が嵩み、及び/又は非効率的な場合がある。代わりに、複数の単回使用容器設計構造を持つ単一の支持構造を使用できることが望ましい場合がある。ここに記載されるものは、異なった設計の容器と共に使用される構成とされたバイオリアクタ支持構造と、そのようなバイオリアクタを製作し使用する方法である。ここに記載の支持構造は、二以上の撹拌機モータ及び制御システム又は位置調節可能な撹拌機モータ、取り外し可能なスペーサ及び/又は蓋部、ポート及びプローブのための複数の構成、及び複数の排気フィルタ加熱ブランケットを有しうる。またここに記載されるのは、複数の撹拌機モータ及び/又は位置調節可能な撹拌機モータバイオリアクタの製作方法、並びに既存の支持構造と共に使用されるようには本来は設計されていない容器と共に使用されるように既存の支持構造を改造する方法である。またここに記載されるのはここに記載のバイオリアクタ支持構造を操作する方法である。
【0004】
特定の実施態様は、容器を保持する構成とされた支持構造と、インペラと撹拌機モータを備えた撹拌機システムとを具備し、前記撹拌機システムと前記支持構造が、前記撹拌機モータを前記支持構造に対して複数の位置に位置せしめる構成とされてなる、バイオリアクタを含む。前記支持構造は、頂部領域と底部領域を備えていてもよく、前記複数の位置は、頂部取り付け撹拌機モータ位置と底部取り付け撹拌機モータ位置を含みうる。前記複数の位置は、前記頂部取り付け撹拌機モータ位置と前記底部取り付け撹拌機モータ位置の間に少なくとも一の中間位置を更に含む。前記撹拌機モータは可変長シャフトに取り付けられていてもよい。前記撹拌機モータは、前記複数の位置に選択的に取り付け可能でありうる。前記支持構造は、頂部領域と底部領域を備えていてもよく、前記インペラは、前記支持構造の前記頂部領域と底部領域の間の中間位置の範囲で選択的に作動される構成とされていてもよい。前記インペラは、可変長シャフトに取り付けられていてもよい。前記バイオリアクタは、前記支持構造内に存在し前記撹拌機モータに連結される構成とされた容器を更に備えていてもよく、ここで、該容器は折り畳み可能なバッグである。前記折り畳み可能なバッグは、頂部取り付け撹拌機モータと共に使用される構成とされていてもよい。前記折り畳み可能なバッグは、底部取り付け撹拌機モータと共に使用される構成とされていてもよい。前記バイオリアクタは、前記支持構造の底部に取り外し可能に位置せしめられる構成とされた隆起支持面を持つスペーサを更に備えていてもよい。前記支持構造は、頂部開口部と該頂部開口部を少なくとも部分的に覆う構成とされた取り外し可能な蓋部を備えていてもよい。前記蓋部は、前記頂部開口部を覆うときと前記頂部開口部から取り外されるときに、前記支持構造に取り付けられうる。前記支持構造は、内部プローブと外部プローブの双方と共に使用される構成とされていてもよい。
【0005】
特定の実施態様は、内部に空洞を画成する側壁と基部を備え、該空洞が容器を収容する構成とされた支持構造と、前記支持構造に連結された頂部取り付け撹拌機モータと、前記支持構造に連結された底部取り付け撹拌機モータとを具備し、ここで、前記頂部及び底部撹拌機モータは前記容器の構成に基づいて選択的に使用される構成とされる。前記バイオリアクタは、前記容器を取り付ける構成とされた少なくとも一の連結具を、前記側壁と基部の少なくとも一方に更に備えうる。前記バイオリアクタは、前記空洞内に存在し前記頂部又は底部取り付け撹拌機モータに連結される構成とされた容器を更に備えていてもよく、ここで、該容器は折り畳み可能なバッグである。前記バイオリアクタは、前記支持構造の底部に取り外し可能に位置せしめられる構成とされた隆起支持面を持つスペーサを更に備えていてもよい。前記スペーサは、該スペーサが前記支持構造の底部にあるときに前記容器と前記底部取り付け撹拌機モータとを分離させる構成とされていてもよい。前記バイオリアクタは、前記頂部取り付け撹拌機モータを制御する構成とされた第一制御システムと、前記底部取り付け撹拌機モータを制御する構成とされた第二制御システムとを更に備えていてもよい。前記バイオリアクタは、前記第一制御システムと前記第二制御システムとの間を切り替えるセレクタを更に備えていてもよい。前記第一制御システムと前記第二制御システムは、デジタルユーザインターフェースを使用して選択的に用いられる構成とされていてもよい。前記第一制御システムと前記第二制御システムは可変周波数駆動装置を備えていてもよい。前記支持構造は、頂部開口部と該頂部開口部を少なくとも部分的に覆う構成とされた取り外し可能な蓋部を具備していてもよい。前記蓋部は、前記頂部開口部を覆うときと前記頂部開口部から取り外されるときに前記支持構造に取り付けられうる。前記バイオリアクタは、少なくとも二の排気フィルタ加熱ブランケットを更に備えていてもよい。前記少なくとも二の排気フィルタ加熱ブランケットは異なったサイズを有しうる。前記少なくとも二の排気フィルタ加熱ブランケットは、前記容器の構成に基づいて選択的に用いられる構成とされうる。前記少なくとも二の排気フィルタ加熱ブランケットは回転部材に取り付けられていてもよく、前記少なくとも二の排気フィルタ加熱ブランケットは該回転部材を回転させることにより選択的に用いられる構成とされていてもよい。前記支持構造は一又は複数のプローブアクセスポートを更に備えていてもよい。前記プローブアクセスポートの少なくとも一つは内部プローブを収容する構成とされていてもよい。前記側壁は本体とドアを備えていてもよく、ここで、前記一又は複数のプローブアクセスポートは前記側壁の該ドアに配される。前記側壁は本体とドアを備えていてもよく、ここで、前記頂部取り付け撹拌機モータは該ドアに取り付けられる。前記側壁は本体とドアを備えていてもよく、ここで、前記頂部取り付け撹拌機モータは該本体に取り付けられる。
【0006】
特定の実施態様は、バイオリアクタを改造する方法において、第一撹拌機モータを備えた支持構造に第二撹拌機モータを取り付ける工程と、前記支持構造にアクセス領域を加える工程とを含む方法を含む。前記第一撹拌機モータは底部取り付け撹拌機モータであり得、前記第二撹拌機モータは頂部取り付け撹拌機モータでありうる。前記第一撹拌機モータは、頂部取り付け撹拌機モータであり得、前記第二撹拌機モータは底部取り付け撹拌機モータでありうる。前記支持構造は側壁本体とドアを備えていてもよく、アクセス領域を加える工程は前記ドアにアクセスパネルを加えることを含みうる。前記支持構造は基部を備えていてもよく、前記方法は、前記支持構造の前記基部より上に位置せしめる構成とされた取り外し可能な嵌合スペーサを設ける工程を更に含みうる。前記支持構造は、頂部開口部と該頂部開口部の少なくとも一部を覆う蓋部を備えていてもよく、アクセス領域を加える工程は前記蓋部を改造して前記支持構造への内部アクセスを増大させることを含みうる。前記方法は、前記蓋部が前記支持構造の前記頂部開口部から取り外されたときに前記蓋部に取り付けられたまま残る可撓性部材を使用して前記蓋部を前記支持構造に取り付ける工程を更に含みうる。アクセス領域を加える工程は、前記バイオリアクタに一又は複数のプローブアクセスポートを加えることを含みうる。前記プローブアクセスポートは内部プローブを収容する構成とされていてもよい。前記バイオリアクタは原排気フィルタ加熱ブランケットを備えていてもよく、前記方法は、前記バイオリアクタに追加の排気フィルタ加熱ブランケットを加える工程を更に含みうる。前記追加の排気フィルタ加熱ブランケットは前記原排気フィルタ加熱ブランケットとは異なるサイズでありうる。前記原排気フィルタ加熱ブランケットと前記追加の排気フィルタ加熱ブランケットは選択的に用いられる構成とされうる。前記バイオリアクタに追加の排気フィルタ加熱ブランケットを加える工程は、前記支持構造に連結された回転部材に前記追加の排気フィルタ加熱ブランケットを取り付けることを含みうる。前記方法は、前記第二の撹拌機モータを制御する構成とされた制御システムを加えることを更に含みうる。前記方法は、原制御システムと追加制御システムを切り替えるセレクタを加えることを更に含みうる。前記原制御システムと追加制御システムは、デジタルユーザインターフェースを使用して選択的に用いられる構成とされうる。
【0007】
特定の実施態様は、支持構造と複数撹拌機モータシステムを備えたバイオリアクタを操作する方法であって、頂部取り付け撹拌機バッグと底部取り付け撹拌機バッグからなる群からバイオリアクタバッグを選択し、前記支持構造の頂部取り付け撹拌機モータと底部取り付け撹拌機モータから選択し、前記選択されたバイオリアクタバッグを前記支持構造中に配し、前記選択されたバイオリアクタバッグを前記選択された撹拌機モータと連結することを含む、方法を含む。前記方法は、前記バイオリアクタ内のスペーサの存在を確認することを更に含みうる。前記方法は、前記バイオリアクタ内に前記スペーサを配することを更に含みうる。前記方法は、前記バイオリアクタ内から前記スペーサを取り除くことを更に含みうる。前記方法は、支持構造連結具にバッグ連結具を取り付けることを更に含みうる。前記方法は、前記頂部取り付け撹拌機モータの垂直位置を変えることを更に含みうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1Aは、頂部及び底部取り付け撹拌機モータを有するここに記載のバイオリアクタの実施形態の側面図である。図1B−1Cは、それぞれ、そのドアを開放し、また閉じた図1Aのバイオリアクタ支持構造の斜視図である。
図2図2Aは、底部取り付け撹拌機モータと共に使用される構成とされたバッグの斜視図である。図2Bは、図2Aの剛性基部の斜視図である。図2Cは、頂部取り付け撹拌機モータと共に使用される構成とされたバッグの斜視図である。
図3図3A−3Bは、ここに記載のバイオリアクタの底部部分のそれぞれ上面及び側面斜視図であり、スペーサを示している。
図4図4A−4Cは、ここに記載のバイオリアクタの一実施形態の頂部部分を示し、移動可能な蓋部を示している。図4A−4Bは、蓋部が第一の位置にあるバイオリアクタのそれぞれ上部斜視図及び側面図である。図4Cは蓋部が第二の位置にあるバイオリアクタの側面図である。
図5図5Aは、複数のプローブ構成を持つ場合に使用される構成とされたここに記載のバイオリアクタの側面斜視図を示す。図5Bは、図5Aのバイオリアクタの下方部分の拡大図である。
図6図6は、複数の選択的に使用可能な排気フィルタ加熱ブランケットを有するここに記載のバイオリアクタの一実施形態の頂部部分の斜視図である。
図7図7A−7Bは、位置調節可能な撹拌機モータを有するここに記載のバイオリアクタの一実施形態の斜視図であり、図7Aは第一の位置、図7Bは第二の位置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
単回使用バイオリアクタは、容器と、該容器と該容器に連結された他の機材を支持するように構成された支持構造を一般に備える。典型的には、前記支持構造と容器は、一緒に使用されるように設計されており、これが別の設計の容器を既存の支持構造と共に使用することを困難にしている。しかしながら、異なった設計の容器を支持するために単一の支持構造を使用することが望ましい場合が時々ある。ここに記載されるものは、異なった設計の容器と共に使用される構成とされたバイオリアクタ支持構造と、そのようなバイオリアクタを使用する方法である。バイオリアクタは、典型的には頂部又は底部取り付け撹拌機モータの何れかを有しているとして分類されるが、ここに記載される支持構造は、二以上の撹拌機モータ及び制御システム及び/又は位置調節可能な撹拌機モータ、取り外し可能なスペーサ及び/又は蓋部、ポート及びプローブのための複数の構成、及び複数の排気フィルタ加熱ブランケットを有しうる。またここに記載されるのは、複数の撹拌機モータ及び/又は位置調節可能な撹拌機モータバイオリアクタの製作方法、並びに既存の支持構造と共に使用されるように本来は設計されていない容器と共に使用されるように既存の支持構造を改造する方法、及びそのようなバイオリアクタを使用する方法である。既存の支持構造を改造するこれらの方法は、既存の支持構造を改造し、一又は複数の追加の撹拌機モータを加えるか、又は撹拌機モータを調整可能であるように構成し、取り外し可能なスペーサ、ポート及びプローブのための追加の構成、及び排気フィルタ加熱ブランケットを追加し、及び/又は既存の蓋部を取り外すか又は改造することの幾つか又は全てを含みうる。またここに記載されるのは、ここに記載されたバイオリアクタ支持構造を操作し、ここに記載された改造方法の結果として製作されたバイオリアクタ支持構造を操作するための方法である。これらのバイオリアクタは、各容器構成での物質移動係数及び培養性能基準を尚も満たしながら、異なった構成の使い捨て又は単回使用容器を用いる製造プロセスに使用することができる。
【0010】
図1Aは、異なる構成を有する容器と共に使用される構成とされたここに記載のバイオリアクタ100の実施形態の側面図を示す。図示の如く、バイオリアクタ100は支持構造102と容器202を備えうる。図示の如く、支持構造102は、側壁104を備えていてもよい。図1A−1Cには、実質的に円筒状で、底部開口部116と頂部開口部118が形成されたものが示されているが、側壁104は、以下に更に詳細に説明される、容器を支持する構成とされた任意の適切な形状を有しうる。側壁104は、内方に面する縁部(リップ状部)120を頂部開口部118に備えていてもよい。側壁104は、容器を支持するのに適した任意の材料又は材料群、例えば金属(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム等)、ポリマー(例えば高密度ポリエチレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ナイロン、又は他のポリアミド、ポリエステル、フェノール系ポリマー)、ガラス、グラスファイバー等々から構成されうる。側壁104の底部開口部116は、図1Bに示されるように、基部106に取り付けられていてもよく、該基部は底部開口部116を部分的に(又は幾つかの変形例では完全に)覆いうる。幾つかの変形形態では、基部106は、側壁104と一体であってもよい。側壁104と協働して、基部106はチャンバ108をつくりうるが、図1Bに示されるように、チャンバ108はその底部が基部106によって完全には囲まれていなくてもよい。基部106は、例えば円錐状のような凹状の形状を有していてもよく、あるいは他の変形形態では、基部106は平坦な又は凸状の形状を有していてもよい。図1Bに示される変形形態では、基部106は、以下に更に詳細に記載されるように、底部取り付け撹拌機モータ302を容器と連係させることを可能にする構成とされた開口部140を有していてもよい。開口部140は、示される通り、円形であってもよく、あるいは任意の適切な形状を有していてもよい。基部106は、追加的に又は代替的に、開口部142を有していてもよく、これは、以下に詳細に説明されるように、ポート、プローブ、及びスパージャー等の部材のための基部106を通るアクセスを可能にする構成とされた任意の適切な形状を有していてもよい。図1Bの変形例では、開口部142は中央領域148と外側領域150を備えうる。チャンバ108の容積は、任意の所望の容積とすることができ、例えば限定されないが、約1L、3L、10L、20L、40L、60L、100L、150L、200L、400L、600L、1000L、2000L、4000L、又はそれ以上である。
【0011】
幾つかの変形形態では、側壁104の一部が一又は複数のドア112を備えていてもよい。図1A−1Cに示されるように、ドア112は側壁104の半径方向セグメントを構成しうる。ドア112はヒンジを介して側壁104の残りの部分に取り付けられうる。二枚の隣接するドア112a及び112bを有する変形形態では、二枚のドア112が外方に向けて互いに離れる方向に開くように、ヒンジがドア112a及び112bの反対側に配されていてもよい。ドア112はハンドル146を備えていてもよい。ドア112が開いているとき、これは、支持構造102内への容器の容易な配置を可能にしうる開口部を側壁104に形成しうる。ドア112は、図1A−1Cでは、側壁104の垂直方向の長さ全体にわたって延びているものとして示されているが、他の変形形態では、ドア112は側壁104の垂直方向長さの一部分だけ延びているものでもよいことが理解されなければならない。例えば、ドア112は、側壁104の頂部から側壁104の垂直方向長さに沿って下方に部分的に延びるものであってもよく、又は他の変形形態では、ドア112は、側壁104の長さ方向に沿って中間位置から側壁104の底部まで延びるものであってもよい。ドア112は場合によっては透明又は半透明な窓138を備えていてもよい。側壁104は図1A−1Cでは第一ドア112aと第二ドア112bを有しているものとして示されているが、他の変形形態では、側壁104は一つのドアのみを備えていてもよく、又は更に他の変形形態では、側壁104がドアを備えていない場合があることもまた理解されなければならない。
【0012】
幾つかの変形形態では、支持構造102は、バイオリアクタプロセス中において温度を調節するための温度調節システムを備えていてもよい。温度調節システムは、加熱と冷却の双方を可能にしうるジャケット136を備えていてもよい。ジャケット136は、側壁104内で、側壁104の内壁と外壁の間に配されうる。他の変形形態では、ジャケットは、チャンバ108内で側壁104の内側に配されうる。幾つかの変形形態では、温度調節システムは、電気加熱素子及び/又は循環流体システムを備えうる。温度調節システムが循環流体システムを備える変形形態では、ジャケット136内には一又は複数の流体チャネルが存在しうる。流体チャネルは、温度制御ユニットによって加熱又は冷却されうる流体(例えばプロピレングリコール、水等)がチャネルを通って循環してバイオリアクタの温度を調節することを可能にする一又は複数の入口及び出口を有しうる。
【0013】
幾つかの変形形態では、バイオリアクタ100は、場合によっては、図1Aに示されるような、追加の部材を備えていてもよい。例えば、支持構造102は、場合によっては支持アセンブリ126上に載置されていてもよく、これは、支持構造102の高さを地面から上に持ち上げ得、及び/又は支持構造102をより容易に移動させることを可能にしうる。例えば、支持構造102は、キャスタ又は車輪132が取り付けられていてもよいカート128上に載置されていてもよい。他の変形形態では、支持構造102は床上に又は他の表面上に載置されていてもよい。バイオリアクタ100は、例えば限定しないが、以下により詳細に記載される温度制御ユニット、ポンプ及びマスフロー制御器、培地及び緩衝液バッグ、及びコントローラなど、製造プロセス中において使用される部材を保持しうる一又は複数の制御カートを追加的に又は代替的に備えていてもよい。例えば、図1Aに示された変形形態では、制御カート144は、以下により詳細に記載される温度制御ユニット152及びコントローラ306及び308を保持しうる一方、第二のカート(図示せず)は、また以下により詳細に記載されるマスフローコントローラを保持しうる。これらの部材を有する他の変形形態では、それらは二以上のカートに異なった構成で保持されていてもよく、あるいは単一のカートによって保持されていてもよいことが理解されなければならない。
【0014】
支持構造102は、支持構造102のチャンバ108内に配される構成とされていてもよい容器202を支持し、囲み、及び/又は収容する構成とされていてもよい。容器202は、例えば限定しないが培地、反応物質、ガス、及び他の成分のような、バイオリアクタ100内でプロセスを実施するための内容物を保持するためのリザーバ204を画成しうる。幾つかの変形形態では、容器202は、ポート及びプローブ連結具(以下に記載)のような指定された点を通る場合を除いて、外部環境から実質的にシールされている構成とされうる。このようにして、容器202は内容物を支持構造102の全部又は一部と接触させられないで収容された状態に維持することができる。これは、容器202を単回使用又は使い捨てであるように設計することができるが、容器202がない場合に必要とされるものと同じ滅菌レベルを必要としないで(例えば、支持構造102から容器202を取り外し、それを新しい容器と置き換えることによって)複数のプロセスにおいて支持構造102を再使用することを可能にしうる。
【0015】
幾つかの変形形態では、容器202はバッグ206を含みうる。バッグ206は少なくとも部分的に折り畳み可能であってもよく、及び/又は少なくとも部分的に可撓性材料から構成されていてもよく、これは、バイオリアクタ100内で実施されるプロセス中でのリザーバ204の内容物との接触に適している場合があり、水不浸透性であってもよい。幾つかの変形形態では、バッグ206は、限定されないが、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ二塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン・酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ナイロン、及び/又は合成ゴム又はプラスチック等々など、一又は複数の材料から構成されていてもよい。バッグ206は、任意の適切な厚みを有していてよく、例えば限定しないが、約1mm未満、約1から3mm、又は約3から5mm、又はより厚くすることができる。幾つかの変形形態では、バッグ206は単層であってもよく、他の変形形態では多層であってもよい。一を越える層を有する変形形態では、各層は他の隣接層に対して同じポリマー配向を有していても異なるポリマー配向を有していてもよい。バッグ206はいろいろな方法でリザーバ204を形成しうる;例えば、幾つかの変形形態では、バッグはリザーバ204を作り出すためにその縁部が接合される二枚の材料シートから構成されうる。他の変形形態では、一枚の材料シートをその縁部で接合してリザーバ204を作り出すことができる。更に他の変形形態では、二枚より多くの材料シートをその縁部で接合してリザーバ204を作り出してもよく、例えば一枚のシートが円筒状部分を形成し、二枚のシートが頂部及び底部パネルを形成する。幾つかの変形形態では、容器の一部が、剛性材料、例えば剛性基部を備えていてもよい。幾つかの変形形態では、バッグ206は、予め滅菌され、シールされていてもよい。バッグ206は、以下により詳細に記載されるように、支持構造102にバッグ206を取り付けるための一又は複数の連結具、並びに一又は複数の入口及び/又は出口ポート、及び一又は複数のプローブ連結具を更に備えていてもよい。
【0016】
バッグ206のリザーバ204は、例えば限定されないが、1L、3L、10L、20L、40L、60L、100L、150L、200L、400L、600L、1000L、2000L、4000Lまで又はそれ以上の如く、任意の所望の容積を有しうる。単回使用バイオリアクタ支持構造は、ほぼ同一の寸法及び容積を有する容器と共に一般に使用されるが、そのような対応が必須ではないことは理解されるべきであり、実際、支持構造102は、支持構造102が支持構造102のチャンバ108とは異なった容積又は寸法を有するバッグ206と共に使用されうるように構成されていてもよい。例えば、一変形形態では、支持構造102のチャンバ108は約200Lの容積を有していてもよい一方、これを約250Lの容積を有するバッグと共に使用してもよい。他の変形形態では、チャンバ108は約200から250Lの容積を有していてもよい一方、これを約100Lの容積を有するバッグと共に使用してもよい。幾つかの変形形態では、支持構造102のチャンバ108は、約20から22インチの最大直径(つまり、長軸を横断する最大距離)を有していてもよい一方、これを約23から25インチの直径(つまり、長軸を横断する最大距離)を有するバッグと共に使用してもよく、あるいはこれを約16から18インチの直径(つまり、長軸を横断する最大距離)を有するバッグと共に使用してもよい。ある範囲の容積と寸法を有するチャンバを有する支持構造を、ここで提供される実施例に限定されないある範囲の容積と寸法を有するバッグと共に使用してもよいことが理解されるべきである。支持構造102の温度調節システムが側壁104の内側又は側壁104内の内壁と外壁の間に位置させられたジャケット136を備えた幾つかの例では、温度調節システムの性能に影響を及ぼす程度に、バッグ206の直径(つまり、長軸を横断する最大距離)が支持構造102の直径(つまり、長軸を横断する最大距離)より短いならば、ジャケット136とバッグ206間で熱を移動させる部品、例えばスペーサ又は温度調節を補助する他の構造を加えてもよいことがまた理解されなければならない。
【0017】
一般に、単回使用バイオリアクタは撹拌機システムを備え、これが容器の内容物の混合を容易にしうる。撹拌機は、インペラとインペラを回転させるように構成された撹拌機モータを具備しうる。インペラは、回転されると容器の内容物に係合するベーン(羽根)又はブレード(翼)を具備しうる。インペラは一般に容器内に位置せしめられうる一方、撹拌機モータは容器の外側に位置せしめられ、撹拌機モータとインペラ間の連結は、容器内の環境の無菌性が維持されうるように構成される。幾つかのバイオリアクタでは、連結は例えば磁気的でありうるが、他の例では、機械的でありうる。単回使用バイオリアクタは、それぞれ頂部取り付け撹拌機容器(つまり、頂部取り付け撹拌機モータによって回転させられるように構成されたインペラを有する容器)又は底部取り付け撹拌機容器(つまり、底部取り付け撹拌機モータによって回転させられるように構成されたインペラを有する容器)と共に使用されるように構成された、頂部取り付け撹拌機モータ又は底部取り付け撹拌機モータの何れかを有する支持構造を一般に備える。しかしながら、上述のように、頂部取り付け又は底部取り付け撹拌機容器の双方を含む、異なった設計の容器と共に単一の支持構造を使用することができることが望ましい。
【0018】
而して、一変形形態では、ここに記載のバイオリアクタ100は、底部取り付け撹拌機モータと頂部取り付け撹拌機モータの双方を備えた撹拌機システム300を具備しうる。従って、バイオリアクタ100は、底部及び頂部取り付け撹拌機モータ双方と共に使用するように構成されたものを含む、異なった設計の容器と共に使用されるように構成されていてもよい。図1Bに示されるように、バイオリアクタ100は、底部取り付け撹拌機モータ302を備えていてもよい。底部取り付け撹拌機モータ302は支持構造102の基部106の下に位置させられていてもよい。基部106は、以下により詳細に記載されるように、底部取り付け撹拌機モータ302を容器と連係させることを可能にするように構成された開口部140を備えていてもよい。開口部140は、示されるように円形であってもよく、あるいは任意の適切な形状であってもよい。
【0019】
図1A−1Cに示されるように、バイオリアクタ100はまた頂部取り付け撹拌機モータ304を備えていてもよい。頂部取り付け撹拌機モータ304は支持構造102に取り付けられうる。図1A−1Cに示される変形形態では、頂部取り付け撹拌機モータ304は側壁104のドア112の頂部114に取り付けられうる。他の変形形態では、頂部取り付け撹拌機モータ304は側壁104の縁部(リップ状部)120に取り付けられうる。例えば、幾つかの例では、頂部取り付け撹拌機モータ304を支持構造102の固定部品に取り付けることが望ましい場合がある。幾つかの例では、頂部取り付け撹拌機モータ304がジャケット136と干渉しないように、側壁104のジャケット136より上の部分に頂部取り付け撹拌機モータ304を取り付けることが望ましい場合がある。しかしながら、他の変形形態では、頂部取り付け撹拌機モータ304は側壁104のジャケット136を含む部分に取り付けられうる。更に他の変形形態では、頂部取り付け撹拌機モータ304は、側壁104とは別個の構造に取り付けられうる。例えば、頂部取り付け撹拌機モータ304はロッドに取り付けられてもよく、ロッドはついでカート144に取り付けられうる。あるいは、頂部取り付け撹拌機モータ304は独立した支持構造に取り付けられうる。頂部取り付け撹拌機モータ304は、例えば、頂部取り付け撹拌機モータ304を位置決めして溶接したり又は支持構造102に取付ブラケットを介して取り付けるなど、任意の適切な方法によって取り付けることができる。
【0020】
撹拌機モータ304は図1A−1Cでは固定位置を有しているものとして示されているが、他の変形形態では、頂部取り付け撹拌機モータ304は、調節可能な位置を有していてもよい。これらの変形形態の幾つかでは、頂部取り付け撹拌機モータは、支持構造102の側壁104に相対して移動させられうる。例えば、頂部取り付け撹拌機モータは、レール又はトラックに沿って摺動可能でありうる。そのような場合、レール又はトラックにより、頂部取り付け撹拌機をレール又はトラックに沿った一又は複数の離散位置に固定することが可能になる場合がある。例えば、レール又はトラックは、支持構造の側壁に相対する様々な垂直、水平、又は半径方向の位置に対応して、レール又はトラックに沿った様々な位置に頂部取り付け撹拌機モータを固定することを可能にしうるピンの開口部を備えていてもよい。他の変形形態では、レール又はトラックは、レール又はトラックに沿った任意の位置に頂部取り付け撹拌機を固定することを可能にしうる。別の例として、頂部取り付け撹拌機モータは、支持構造の側壁に対して様々な位置に位置させられた複数の取り付けブラケットの一つに取り外し可能に固定されうる。そして、頂部取り付け撹拌機モータは、所望の位置に(例えば、取り外し可能なピンを使用して)取り付けブラケットの一つに選択的に固定されうる。位置調節可能とすることにより、頂部取り付け撹拌機モータは、例えば、支持構造102の頂部領域と底部領域の間のある範囲の中間位置に位置させ、操作できる。垂直方向に可動な頂部取り付け撹拌機モータは、頂部取り付け撹拌機モータによって撹拌される支持構造のチャンバよりも低い高さを有する容器の使用が可能になる点で更なる適応性がもたらされること、又は容器がより少ない最小作動容積を有することを可能にすることなどの利点を有している場合がある。更に、位置調節可能な撹拌機モータは、作動容積が増加するにつれて、撹拌機の位置を、例えばプロセスの実施中に移動させることを可能にしうる。
【0021】
他の変形形態では、単一の支持構造を異なる設計の容器と共に使用することができるようにするために、ここに記載されるバイオリアクタは、調整可能な位置を有するただ一つの撹拌機モータを備えていてもよい。位置調節可能な頂部取り付け撹拌機モータを有する複数撹拌機モータ設計と同様に、位置調節可能な撹拌機モータを有する単一撹拌機モータ設計では、単一撹拌機モータは、支持構造に対して垂直方向に、水平方向に、及び/又は半径方向に移動させることができ、及び/又は支持構造に対して回転させることができる。位置を調節可能とすることにより、撹拌モータをある範囲の位置に位置決めし、作動させることができる。幾つかの変形形態では、これらの位置は、頂部取り付け撹拌機位置と底部取り付け撹拌機位置(つまり、頂部及び底部取り付け撹拌機それぞれと共に使用されるように構成された容器と共に撹拌機モータが使用されることを可能にする位置)を含みうる。他の変形形態では、これらの位置は、場合によっては、頂部及び底部位置の間の一又は複数の中間位置を更に含みうる。位置調節可能な撹拌機モータは、例えば限定されないが、頂部取り付け又は底部取り付け撹拌機容器の何れかのインペラを作動させるモータの使用を可能にし、支持構造のチャンバより高さが低い頂部取り付け撹拌機容器のインペラを回転させるモータの使用を可能にし、又は容器がより少ない最小作動容積を有することを可能にするなどの利点を有している場合がある。更に、位置調節可能な撹拌機モータは、プロセスの運転中に撹拌機の位置を移動させることを可能にしうる。
【0022】
位置調節可能な撹拌機モータの一例では、撹拌機モータは、頂部取り付け撹拌機モータに関して上述したものと同様にして、レール又はトラックに沿って摺動可能でありうる。幾つかの変形形態では、撹拌機モータを支持構造の周囲に沿って水平方向に調整可能であるようにするために、トラックは支持構造の周囲に沿って延びうる。他の変形形態では、撹拌機モータを支持構造に対して上下に垂直に調整可能であるようにするために、レール又はトラックは垂直方向に延びうる。他の変形形態では、トラックは、撹拌機モータが支持構造の中心に向けてかつ中心から離れる方向に半径方向に調整可能でありうるように構成されうる。また他の変形形態では、撹拌機モータの角度が調整されうる。幾つかの変形形態では、トラックは、撹拌機モータがこれらの次元の二以上に沿って調整可能でありうるように構成されうる。レール又はトラック及び撹拌機モータは、撹拌機モータがレール又はトラックに沿った離散位置に選択的に固定されうる構成とされ得、又はそれらは、撹拌機モータがレール又はトラックに沿った任意の点に選択的に固定されうる構成とされうる。撹拌機モータは、例えば限定されないが、取り外し可能なピン、ラック・アンド・ピニオン配置、クランプ等々のような機構を使用して固定されうる。例えば、撹拌機モータがピンを使用してレール又はトラックに固定される場合、レール又はトラックはピンを受け入れるように構成された一連の開口部を備えうる。撹拌機モータはマウントを介してレール又はトラックに摺動可能に取り付けられ得、マウント中の一又は複数の開口部がレール又はトラック中の一又は複数の開口部と一致するまでレール又はトラックに沿って押したり引いたりされうる。ついで、撹拌機モータを所望の位置に固定するために一又は複数のピンが一又は複数の開口部に挿入されうる。別の例として、撹拌機モータがクランプを使用してレール又はトラックに固定される場合、クランプが解除位置にあるとき撹拌機モータがレール又はトラックに沿って摺動可能でありうる。幾つかの変形形態では、撹拌機モータを所望の位置までレール又はトラックに沿って押し又は引くことができ、その箇所でクランプが締め付け位置に位置せしめられて、撹拌機モータを所定位置に保持する。他の変形形態では、撹拌機モータは、クランプが解除位置にあるとき、レール又はトラックから取り外し可能でありうる。撹拌機モータは、レール又はトラックに沿って所望の位置に位置せしめられ得、クランプを締め付け位置に位置せしめることにより固定されうる。幾つかの変形形態では、クランプとレール又はトラックは、撹拌機モータがレール又はトラックに対して二以上の角度で締結できるように構成されていてもよく、撹拌機モータを支持構造に対して二以上の角度で固定することが可能になる。撹拌機モータがレール又はトラックに沿って押し引きされる変形形態では、撹拌機モータは使用者によって直接押し引きされ得、あるいは例えば手動機構(例えばハンドクランク)を介して又は自動機構(例えばモータ及びユーザインターフェース又はスイッチ)を介して間接的に押し引きされうる。幾つかの変形形態では、レール又はトラックはバイオリアクタの支持構造に固定されていてもよく、他の変形形態では、レール又はトラックは追加的に又は代替的に別体構造に固定されていてもよい。例えば、レール又はトラックはバイオリアクタプロセス中に使用される他の部材を保持する(図1Aのカート144のような)カートに取り付けられていてもよく、又は独立型支持構造に取り付けられ又はその一部であってもよい。
【0023】
他の例として、撹拌機モータは、支持構造に対して調節可能であるシャフトに固定されることにより、位置調節可能とされていてもよい。つまり、撹拌機モータをシャフトに固定して取り付けてもよく、該シャフトが次に支持構造に調節可能に取り付けられる。上述の変形形態におけるように、シャフトは、撹拌機モータが水平方向に、垂直方向に、及び/又は支持構造に対して半径方向に移動できるように、及び/又は支持構造に対する撹拌機モータの角度が調節できるように、支持構造に対して調節可能であってもよい。シャフトは、任意の適切な機構を使用して、例えば限定されないが取り外し可能なピン、ラック・アンド・ピニオン配置、クランプ等々を介して支持構造に固定されて、支持構造に対して調節可能とされうる。例えば、シャフトは、レール又はトラックに沿って移動可能な撹拌機モータに対して上述したものと同様な方法で取り外し可能なピン又はクランプを使用して、支持構造に対して調節可能とされうる。他の変形形態では、シャフトはバイオリアクタの支持構造とは別体の構造に取り付けられてもよく、シャフトは該別体構造に対して調節可能とされうるか、又は該別体構造がバイオリアクタの支持構造に対して調節可能とされうる。更に他の例として、撹拌機モータは、調節可能な長さ(可変長)を有するシャフトに固定されることにより調節可能な位置を有するものとされうる。幾つかの変形形態では、シャフトは、長さ調節を可能にしうる伸縮セグメントを有するものとできる。追加的に又は代替的に、シャフトは、長さ調節を可能にするために追加され又は取り外されうるセグメントを有するものとしてもよい。上述のように、シャフトはバイオリアクタの支持構造に取りけられてもよく、あるいはシャフトは、別体構造、例えばバイオリアクタプロセス中に使用される他の部材を保持する(図1Aのカート144のような)カート又は独立型構造に取り付けられてもよい。
【0024】
更に他の例として、撹拌機モータは、支持構造の側壁に対して様々な位置に位置せしめられた複数の取り付けブラケットの一つに取り外し可能に固定されることによって位置調節可能とされてもよい。撹拌機モータは、所望の位置の取り付けブラケットの一つに(例えば取り外し可能なピンを使用して)選択的に固定されうる。幾つかの変形形態では、取り付けブラケットの一又は複数は、撹拌機モータが取り付けられうる複数の構成を有していてもよい(例えば、撹拌機モータは取り付けブラケットにある範囲の角度で、及び/又は取り付けブラケットの複数の位置の一つに固定されうる)。撹拌機モータが複数の取り付けブラケットの一つに取り外し可能に固定されうるバイオリアクタの例は、図7A−7Bに示されている。そこに示されるバイオリアクタ800では、位置調節可能な撹拌機モータ802は第一取り付けブラケット804又は第二取り付けブラケット806に取り外し可能に固定されうる。位置調節可能な撹拌機モータ802が第一取り付けブラケット804に取り外し可能に固定される場合、図7Aに示されるように、それは、頂部取り付け撹拌機モータと共に使用されるように構成された容器と共に撹拌機モータ802を使用することを可能にする位置に位置せしめられうる。撹拌機モータ802はピン808を介して第一取り付けブラケット804に固定されうる。位置調節可能な撹拌機モータ802が第二取り付けブラケット806に取り外し可能に固定される場合、図7Bに示されるように、それは、底部取り付け撹拌機モータと共に使用されるように構成された容器と共に撹拌機モータ802を使用することを可能にする位置に位置せしめられうる。撹拌機モータ802の配向を追加的に又は代替的に調節することができることが理解されなければならない;例えば容器の取り付け部位は撹拌機モータが第一取り付けブラケット804に固定されるときに実質的に下方に向いていてもよい一方、容器の取り付け部位は撹拌機モータが第二取り付けブラケット806に固定されるときに実質的に上方に向いていてもよい。図7A−7Bにおいて撹拌機モータが選択的に固定されうる取り付けブラケットはバイオリアクタ800の支持構造に取り付けられているが、他の変形形態では、取り付けブラケットを別体構造又はカート上に位置させてもよいことが理解されなければならない。
【0025】
図1Aに戻って、幾つかの変形形態では、バイオリアクタ100は、底部取り付け撹拌機モータ302を制御する構成とされた第一制御システム306と、頂部取り付け撹拌機モータ304を制御する構成とされた第二制御システム308とを備えていてもよい。幾つかの変形形態では、第一制御システム306及び/又は第二制御システム308は可変周波数駆動装置を備えていてもよい。第一制御システム306と第二制御システム308は、それぞれ底部取り付け撹拌機モータ302と頂部取り付け撹拌機モータ304を作動させるために選択的に用いられうる。幾つかの変形形態では、バイオリアクタ100は、第一制御システム306及び/又は第二制御システム308を選択的にオンオフするために使用されうる一又は複数の手動制御スイッチ、及び/又は第一制御システム306と第二制御システム308の使用を切り替えるセレクタ310を備えていてもよい。他の変形形態では、バイオリアクタ100は、第一制御システム306及び/又は第二制御システム308を選択的にオンオフするために使用されうるユーザインターフェースを追加的に又は代替的に備えていてもよい。幾つかの変形形態では、ユーザインターフェースはデジタルでありうる。幾つかの変形形態では、第一制御システム306と第二制御システム308の一方が、あるときに作動される一方、他の変形形態では、第一制御システム306と第二制御システム308の双方が同時に作動されうる。第一制御システム306と第二制御システム308は、底部取り付け撹拌機モータ302と頂部取り付け撹拌機モータ304のそれぞれがオン又はオフされるのに加えて、又はその代わりに、モータの回転速度をまた制御しうる。更に、幾つかの変形形態では、第一制御システム306及び/又は第二制御システム308は排気フィルタのための加熱ブランケットの温度をまた制御して、フィルタ及び/又は他のセンサの目詰まりを防止することができる。
【0026】
底部取り付け撹拌機モータ302と頂部取り付け撹拌機モータ304の双方を備えた変形形態において、その幾つかの変形形態では別個の制御システムで選択的に用いることができるが、バイオリアクタ100は、底部取り付け撹拌機モータ又は頂部取り付け撹拌機モータの何れかと共に使用されるように構成された容器と共に使用できる場合がある。同様に、一機の位置調節可能な撹拌機モータを持つ上述のバイオリアクタ800もまた底部又は頂部取り付け撹拌機モータの何れかと共に使用されるように構成された容器と共に使用できる場合がある。例えば、ここに記載のバイオリアクタは、底部取り付け撹拌機モータと共に使用される構成とされたバッグ208と共に使用できる場合があり、その一例は図2A−2Bに示される。バッグ208は、底部取り付け撹拌機モータ又は底部取り付け位置の調節可能な撹拌機モータと連係(インターフェース)するように構成されたバッグ208の下方部分212に位置せしめられた撹拌機ポート210を備えていてもよい。幾つかの変形形態では、撹拌機ポート210は、バッグ208の下方部分212に取り付けられた剛性基部226に位置せしめることができ、該基部は、図2Bに示されるように、例えば限定されないが低密度又は高密度ポリエチレンのような剛性又は半剛性材料からなりうる。他の変形形態では、撹拌機ポート210はバッグ208の可撓性部分に位置せしめられていてもよい。幾つかの変形形態では、インターフェース、よって撹拌機ポート210の位置は、支持構造102及び/又はバッグ208の中心からオフセットされていてもよい。例えば、インターフェースは、中心から約10−20度、中心から約20−30度、又は中心から約30−40度、又はそれ以上の位置に配されていてもよい。撹拌機ポート210は底部取り付け撹拌機モータ又は底部取り付け位置の調節可能な撹拌機モータと連係するように構成されうる。幾つかの変形形態では、支持構造102の基部106は、場合によっては、撹拌機ポート210を所定位置に保持するのに役立つ突起を備えていてもよい。撹拌機ポート210は、底部取り付け撹拌機モータ302がインペラ224を回転させるのを可能にしうる。底部取り付け撹拌機モータ302は、例えば限定されないが約ゼロから120rpm、約ゼロから150rpm、又は約ゼロから360rpmのような任意の適切な速度又は速度範囲でインペラ224を回転させるように構成されうる。インペラ224は如何なる適切な設計のものでもよい。幾つかの変形形態では、インペラ224は二枚、三枚、四枚又はそれ以上のブレードを備えていてもよく、該ブレードは10度未満、約10から20度、約20から30度、約30から40度、約40から50度又はそれ以上のピッチ角を有していてもよい。インペラ224は任意の適切な直径(又はその長軸を横断する最大距離)、例えば5cm未満、5から10cm、10から15cm、又はそれ以上を有しうる。インペラ224は図2Bでは撹拌機ポート210に近接しているものとして示されているが、他の変形形態では、インペラ224の垂直位置をバッグ208に対して調節可能としてもよいことが理解されるべきである。例えば、インペラは、調節可能な長さを有する撹拌機シャフトを介して撹拌機ポートとインターフェースしていてもよく、インペラは撹拌機シャフトに沿って調節可能であってもよく、又は撹拌機シャフトが撹拌機ポートに対して移動可能であってもよい。
【0027】
ここに記載のバイオリアクタはまた、図2Cに示されるように、頂部取り付け撹拌機モータ又は頂部取り付け位置の調節可能な撹拌機モータと共に使用される構成とされたバッグ214と共に使用できる場合がある。バッグ214は、バッグ214の頂部部分216に位置せしめられた撹拌機ポート218を備えていてもよい。バッグ214内では、撹拌機シャフト220が撹拌機ポート218に取り付けられ得、撹拌機シャフト220が次にインペラ222に取り付けられうる。撹拌機モータは、例えば限定されないが約ゼロから120rpm、約ゼロから150rpm、又は約ゼロから360rpmのような任意の適切な速度又は速度範囲で撹拌機シャフト220を介してインペラ222を回転させるように構成されうる。インペラ222は如何なる適切な設計のものでもよい。幾つかの変形形態では、インペラ222は二枚、三枚、四枚又はそれ以上のブレードを備えていてもよく、該ブレードは10度未満、約10から20度、約20から30度、約30から40度、約40から50度又はそれ以上のピッチ角を有していてもよい。インペラ222は任意の適切な直径(又はその長軸を横断する最大距離)、例えば5cm未満、5から10cm、10から15cm、又はそれ以上を有しうる。
【0028】
幾つかの変形形態では、インペラ222の垂直位置はバッグ214に対して調節可能とされうる。これらの変形形態では、撹拌機シャフト220は調節可能な長さを有し得、及び/又はインペラ222の位置は撹拌機シャフト22に対して移動可能でありうる。例えば、インペラ222は撹拌機シャフト220に固定されうる一方、撹拌機シャフト220は、撹拌機シャフト220の長さを調節できるように一又は複数の部分を有しうる。幾つかの変形形態では、撹拌機シャフト220は、長さ調節を可能にしうる伸縮セグメントを有するものとできる。追加的に又は代替的に、撹拌機シャフト220は、長さ調節を可能にするために追加され又は取り外されうるセグメントを有するものとできる。インペラ222が取り付けられた位置と撹拌機ポート218との間の撹拌機シャフト220の長さを調節することにより、インペラ222の垂直位置をプロセスの前又はプロセス中において調節することができる。他の例として、インペラ222の垂直位置は、一又は複数の取り外し可能なネジ又はピンを介して撹拌機シャフト220に取り付けられる構成とされることによってバッグ214に対して調節可能とされ得、該ネジ又はピンは撹拌機シャフト220に沿った様々な垂直位置にインペラ222を固定しうる。そのような一例では、インペラ222を水平プレートに取り付けることができ、水平プレートはついで一又は複数の取り外し可能なネジ又はピンを介して撹拌機シャフト220に取り付けられるように構成されうる。これは、プロセス前又はプロセス中において撹拌機シャフト220に対して容器内の所望の垂直位置にインペラ222を移動させることを可能にしうる。他の例として、インペラ222の垂直位置は、バッグの底部をインペラ位置に対して垂直方向に移動させることを可能にする移動可能な底部プレートを備えた支持構造によって、バッグ214に対して調節可能とされうる。底部プレートが支持構造に対して垂直方向上方に移動される場合、それはバッグの底部を上方に押し上げ得(バッグを折り畳み又は圧縮させうる)、よって、バッグの底部をインペラに向けて移動させる。これはバックの容積を効果的に減少させうる。幾つかの変形形態では、底部プレートは、以下により詳細に記載されるスペーサ400を備えていてもよく、ここで、スペーサは支持構造の側壁の内側の様々な垂直位置に(例えばタブ又はフックによって)連結されるように構成されている。上述の方法の一つ又は他の方法でインペラ222の垂直位置をバッグ214に対して調節可能とするのは、例えば限定されないがバッグ214が少ない最小作動容積を持つことを可能にするなど、ある利点を有しうる。更に、垂直方向に調節可能なインペラ222は、プロセスの実施中、例えば作動容積が増加するにつれて、インペラ222の位置を移動させることを可能にしうる。
【0029】
容器(例えばバッグ208又はバッグ214)及び/又は支持構造は、バイオリアクタ(例えばバイオリアクタ100又はバイオリアクタ800)の支持構造に容器を取り付けるための、及び/又は容器を(例えば引っ張って拡張形態にされた)特定の形態に保持するための、一又は複数の連結具を備えていてもよい。幾つかの変形形態では、容器に取り付けるために支持構造の側壁又は基部の何れかに位置させられた少なくとも一つの連結具が存在していてもよい。例えば、容器は、支持構造連結具に取り付けられる構成とされたバッグ連結具(例えばフック)を備えていてもよい。他の変形形態では、容器と支持構造は連結具を備えていなくてもよく、代わりに、容器は、上でより詳細に記載された撹拌機モータにアッタチメントを介して所定位置に保持されていてもよい。
【0030】
幾つかの変形形態では、ここに記載のバイオリアクタは、支持構造102の底部開口部116又は基部106の近くに嵌合されるように構成されたスペーサ400を備えていてもよい。より詳細には、スペーサ400は、図3A−3Bに示されるように、支持構造102の基部106上に支承され又は取り付けられうる。スペーサ400は、バイオリアクタが頂部取り付け撹拌機モータと共に使用される構成とされた容器(例えばバッグ214)と共に使用される場合、支持構造102内に配されるように構成されうる一方、スペーサ400は、バイオリアクタが底部取り付け撹拌機モータと共に使用される構成とされた容器(例えばバッグ208)と共に使用される場合、支持構造102から取り外されうる。スペーサ400が支持構造中にあるとき、スペーサ400の上面402は、容器の底部に対して隆起した支持表面を提供し、容器の底部に対して平滑な表面をつくり、及び/又は、底部取り付け撹拌機モータを有するバイオリアクタの変形例では容器の底部が底部取り付け撹拌機モータ302及び/又は底部取り付け撹拌機モータ302に付随する任意の構造(例えば突起)に接触することを防止しうる。例えば、バッグ208は円錐状底部部分を有していてもよい一方、バッグ214は平坦な底部部分を有していてもよく、よって、バッグ214に対して平坦な底部をつくりだすために、バッグ214が使用されるときにスペーサ400が支持構造102内に配されうる一方、バッグ208の円錐状底部部分を収容するために、バッグ208が使用されるときにスペーサ400が支持構造104から取り外されうる。
【0031】
スペーサ400は任意の適切な材料又は材料群から構成されうる。幾つかの変形形態では、スペーサ400は、スペーサ400を支持構造102の内部に及び/又は支持構造から外に容易に移動させうるように、低密度の材料で構成されうる。例えば、スペーサ400は、限定されないがポリオキシメチレン又は超高分子量ポリエチレンのようなポリマーで構成されうる。スペーサ400は支持構造内に嵌合するようなサイズと形状を有していてもよく、幾つかの変形形態では、支持構造及び/又は支持構造の基部と同じ(例えば長軸を横断する)断面形状を有していてもよい。スペーサ400は、限定されないが約1から2インチ、約2から4インチ、約4から8インチ又はそれ以上のような任意の適切な厚みを有していてもよい。幾つかの変形形態では、スペーサ400は可変の厚みを有していてもよい。
【0032】
幾つかの変形形態では、スペーサ400は場合によっては他の特徴を有しうる。例えば、スペーサ400は、上部表面402から底部表面406に延びるスロット(細孔)404を備えていてもよい。スペーサ400が容器の底部に取り付けられた管類を有している容器と共に使用される変形形態では、スロット404が、管類がスペーサ400を貫通することを可能にしうる。図3Aに示されるように、幾つかの変形形態では、スロット404は、実質的に円形の領域408と実質的に長方形の領域410とを備えていてもよく、前者は実質的に長方形の領域410の第一端部412に接続されうる。実質的に長方形の領域410の第二端部414はスペーサ400の外方縁416まで延びていてもよい。他の例として、スペーサ400は、窪み部418をスペーサ400の外方縁416に有していてもよい。スロット404と同様に、窪み部418は、容器から出る管類がスペーサ400を通り又はその周りを通ることを可能にしうる。幾つかの変形形態では、窪み部418はスロット404にほぼ半径方向に対向して位置せしめられうる。図3A−3Bでは円筒の一部の形状として示されているが、他の変形形態では、窪み部418が他の適切な形状を有していてもよいことが理解されなければならない。他の変形形態では、スペーサは、管類又は他の部品がスペーサ400を通り又はその周りを通ることを可能にするように構成されうる任意の構成のスロット、凹所、又は開口部を有していてもよく、スペーサは図3A−3Bに示された特定の構造を有している必要はないこともまた理解されなければならない。他の変形形態では、スペーサは如何なるスロット、凹所又は開口部も有していなくともよい。スペーサ400は、追加的に又は代替的に二つの凹部420を備えていてもよい。これらの凹部はハンドルをスペーサに取り付けることを可能にし、スペーサを支持構造からより簡単に取り除くことを可能にする。スペーサは、他の変形形態では、タブ又は付設ハンドルなどのその取り外しを補助する他の特徴を有していてもよく、あるいは更に他の変形形態では、スペーサはその取り外しを補助する如何なる特徴も有している必要はないことが理解されなければならない。複数の撹拌機モータを有するバイオリアクタ100に対してスペーサ400を上で説明したが、単一の位置調節可能な撹拌機モータを有するここに記載のバイオリアクタ800もまた同様の設計と特徴を有するスペーサを備えていてもよいことが理解されなければならない。
【0033】
図4A−4Cに示されるように、幾つかの変形形態では、バイオリアクタ100は蓋部500を備えていてもよい。ここに記載のバイオリアクタが底部取り付け撹拌機モータと共に使用されるように構成された容器(例えばバッグ208)と共に使用される場合、限定されないが、バイオリアクタに付随する管類の組織化の補助及び一又は複数のバッフルの支持等の目的のため、蓋部が望ましい場合がある。他方、バイオリアクタが頂部取り付け撹拌機モータと共に使用されるように構成された容器(例えばバッグ214)と共に使用される場合、支持構造の頂部開口部の近くに大きなヘッドスペースを有していることが望ましい場合がある。従って、蓋部500は第一の位置と第二の位置の間で移動可能であり得、ここで、第二の位置が支持構造の頂部開口部の近くにより大きなヘッドスペースをもたらし、及び/又は支持構造への内部アクセスを増加させる。よって、蓋部500は、バイオリアクタが底部取り付け撹拌機モータと共に使用される構成とされた容器(例えばバッグ208)と共に使用される場合に一般に第一の位置にありうる一方、蓋部500は、バイオリアクタが頂部取り付け撹拌機モータと共に使用される構成とされた容器(例えばバッグ208)と共に使用される場合に一般に第二の位置にありうる。
【0034】
バイオリアクタ100に関して示された幾つかの変形形態において、第一の位置では、蓋部500は側壁104の頂部開口部118に取り付けられているか又はそうでなければその近くに位置させられていてもよく、頂部開口部118を完全に又は部分的に覆っている。図4A−4Bに示されるように、第一の位置では、蓋部500は側壁104の縁部120に取り付けられていてもよい。取付は、縁部120から延びる一又は複数のボルト又はネジ122を介してなされてもよく、該ボルト又はネジは蓋部500から延びる一又は複数のタブ510と連結されるように構成されうる。ボルト又はネジ122とタブ510は、蓋部500を第一の位置に固定することを可能にしうる。図4A−4Cに示された変形形態は3対のボルト122とタブ510を備えているが、蓋部500と縁部120がより少ない又はより多い(例えば1、2、4、5、6又はそれ以上の)点で連結されていてもよいことが理解されなければならない。蓋部500は例えばクリップ又はスロットのような他の機構によって取り付けられてもよいこともまた理解されなければならない。
【0035】
第二の位置では、蓋部500は側壁104の頂部開口部118を覆っていなくともよい。幾つかの変形形態では、蓋部500は、第二の位置ではバイオリアクタ100に取り付けられておらず、他の場所に置くことができるように、バイオリアクタ100から完全に取り外し可能であってもよい。図4Cに示された変形形態のような他の変形形態では、蓋部500が第二の位置にあるとき、蓋部500が置き忘れられないように、バイオリアクタ100のある部分に蓋部を取り付けてもよい。例えば、蓋部500を可撓性部材又は係留綱518(例えばチェーン又はコード)に取り付けてもよく、これが次にバイオリアクタ100の他の部分(例えば側壁104の縁部120)に取り付けられ得、係留綱518が、バイオリアクタ100から蓋部500が完全に脱離するのを防ぐ。係留綱518を備えた幾つかの変形形態では、係留綱518は、蓋部500が第一の位置と第二の位置の双方をとりうる一方、係留綱518が蓋部500とバイオリアクタ100の他の部分の双方に取り付けられたままであるように、構成されうる。蓋部500は、追加的に又は代替的に、バイオリアクタ100のある部分に直接取り付けられるように構成されてもよい。例えば、支持構造102の側壁104は、蓋部500上のタブ510の一つに連結されるように構成されたボルト124を備えていてもよい。
【0036】
蓋部500は任意の適切な形状を有しうる。幾つかの変形形態では、蓋部の形状は、容器、何らかのバッフル、及び/又は容器から延びる管類を所定場所に保持するのに役立つように設計されうる。図4A−4Cの変形形態では、蓋部は、示されているように長方形であってもよい二つの切り欠き領域504及び506を有する円形状セグメント502を備えていてもよい。蓋部500は、場合によっては、蓋部500の移動を容易にしうるハンドル508を備えていてもよい。複数の撹拌機モータを有するバイオリアクタ100に対して蓋部500を上述したが、単一の位置調節可能な撹拌機モータを有するここに記載のバイオリアクタ800もまた同様の設計及び特徴を有する蓋部を備えていてもよいことが理解されなければならない。
【0037】
一般に、バイオリアクタは、容器の内外間において成分(例えば流体又はガス)の移動を可能にする一又は複数の入口ポートと一又は複数の出口ポートを備えていてもよい。入口ポートは、例えば培地及び細胞培養物のような成分を移送するための配管ラインに連結されうる。入口ポートは、バイオリアクタ内で実施されるプロセスに必要とされるガス、例えば限定されないが酸素、二酸化炭素、窒素等を移送するように構成されたスパージャをまた備えていてもよい。これらのポートを通過する流れは、マスフローコントローラによって制御されうる。例えば、幾つかの変形形態では、バイオリアクタは、空気、酸素、二酸化炭素、及び窒素に対する一連のマスフローコントローラを備えていてもよい。これらは実施されるプロセスによって必要とされる流量、例えばそれぞれ約20slpm、約20slpm、約5slpm、及び約10slpmを有しうる。出口ポートは、サンプルラインを備えていてもよい。バイオリアクタはまた一又は複数のプローブ用の場所を一般に有していてもよい。プローブは、温度、pH、溶存酸素、溶存二酸化炭素、圧力、混合速度、ガス流量等々を測定するように構成されうる。単回使用バイオリアクタが(例えば頂部又は底部取り付け撹拌機モータを有する)支持構造の構成が容器の使用を支持構造と共に使用されるものに一般に限定する撹拌機システムを有する支持構造を一般に有するのと全く同じように、単回使用バイオリアクタは同様にある種の容器だけがある種の支持構造と共に効果的に使用できるようなポート及びプローブ配置を通常有する。
【0038】
これに対して、ここに記載のバイオリアクタは、一を越える容器設計を支持構造と共に使用されうるように、ポート及びプローブに対して複数の配置を備えていてもよい。幾つかの変形形態では、ここに記載のバイオリアクタは、異なった構成の入口及び出口ポート及びスパージャとその付随の配管ラインを有する容器と共に使用されるように構成されうる。例えば、上に記載のスペーサ400は、支持構造102内に配してもよく、又は容器の底部に管類又はスパージャを収容するために必要に応じて支持構造102から取り除いてもよい;同様に、蓋部500は、上述の第一の位置に又は容器の頂部に管類を収容するために必要に応じて第二の位置に配してもよい。幾つかの変形形態では、ここに記載のバイオリアクタは、内部プローブ用に構成された容器と共に使用されるように、また外部プローブ用に構成された容器と共に使用されるように構成されうる。例えば、図5A−5Bの変形形態において、バイオリアクタ100は、内部プローブ612と共に使用されるように構成されたポート608に加えて、外部プローブ606と共に使用されるように構成された外部センサループ604(図5Aに示す)を備えていてもよい。外部センサループ604は、管類616を介して容器202に取り付けられ得、幾つかの変形形態では、外部pHプローブ606a及び外部溶存酸素プローブ606bを備えていてもよい。内部プローブ612と共に使用されるように構成されたポート608は、支持構造102の側壁104に開口部610を備えていてもよい。幾つかの変形形態では、図5Bに示されるように、開口部610はドア112に(例えば窓部138を通して)位置せしめられていてもよい。プローブ支持体614が、挿入された場合に内部プローブ612を支持するためにドア112の外側に場合によっては取り付けられてもよい。幾つかの変形形態では、開口部610は、二重の内部溶存酸素プローブ612a及び612bを挿入するように構成された二つの頂部開口部610a及び610bと、二重のpHプローブ612c及び612dを挿入するように構成された二つの底部開口部610c及び610dを備えていてもよい。開口部610は、温度プローブ612eを挿入するように構成された開口部610eを更に備えていてもよい。ドア112は管類620を介してサンプリングポートとして機能しうる開口部618をまた備えていてもよい。他の変形形態では、開口部は異なった構造を有し、異なったタイプのプローブと共に使用される構成とされていてもよく、ドアを備えていないバイオリアクタ100の変形形態などのような幾つかの変形形態では、内部プローブ612は、側壁104を貫通する開口部又は基部106内の貫通開口部など、支持構造102の他の開口部に嵌合するように構成されていてもよいことが理解されなければならない。支持構造102は、支持構造102を一を越える異なった内部ポート構造を有する容器と共に使用することを可能にするために内部プローブに対して一を越える組の開口部を備えていてもよい(例えば、支持構造102は2、3、4、又はそれ以上の異なった組の開口部を備えうる)ことがまた理解されなければならない。ポート及びプローブ構成を、複数の撹拌機モータを有するバイオリアクタ100に関して上述したが、単一の位置調節可能な撹拌機モータを有するここに記載のバイオリアクタ800もまた同様のポート及びプローブ構成を備えていてもよいことが理解されなければならない。
【0039】
バイオリアクタはまた一又は複数の排気フィルタを一般に備えていてもよい。排気フィルタは、管類を介して容器に連結され得、容器から外へのガスの通気を可能にし得、容器内の圧力の上昇を防止しうる。排気フィルタは、バイオリアクタの支持構造に通常取り付けられるか、さもなければ支持構造に支持され、バイオリアクタはフィルタ内の凝縮又はフィルタの目詰まりを防止しうる加熱ブランケットを一般に備えていてもよい。加熱ブランケットは一般に特定の排気フィルタに適合するサイズとされており、これは容器によって変わりうる。而して、加熱ブランケットは一般にバイオリアクタ支持構造と共に使用される容器と適合性がある必要がある。よって、上で検討された他の特徴と同様に、加熱ブランケットの設計は、一般に、支持構造の使用を適合性のある容器と共に使用される場合に限定する。しかしながら、異なった容器と共に支持構造を使用できることが望ましく、よって、バイオリアクタが、互換性があるか又は選択的に用いることができる加熱ブランケットを備えていることが望ましい。
【0040】
図6に示されるように、バイオリアクタ100は、よって、第一の設計の少なくとも一の第一の加熱ブランケット702と、第二の設計の少なくとも一の第二の加熱ブランケット704を備えていてもよい。第一の加熱ブランケット702と第二の加熱ブランケット704は、異なった排気フィルタ設計で使用されるように構成された容器と共に使用されるように構成され得、与えられたプロセスに使用されている容器構造に対応する排気フィルタに基づいて選択的に用いられうる。例えば、加熱ブランケット702と加熱ブランケット704は異なったサイズの排気フィルタを収容するように異なったサイズを有していてもよい。図6に示されるように、2つ(又はそれ以上、例えば3つ、4つ又はそれ以上)の加熱ブランケット704が存在しうる。追加的に又は代替的に、2つ(又はそれ以上、例えば3つ、4つ又はそれ以上)の加熱ブランケット702が存在しうる。他の変形形態では、バイオリアクタ100は二より多い異なった設計の加熱ブランケット(例えば、3、4、5、6又はそれ以上)を備えていてもよいことが理解されなければならない。
【0041】
幾つかの変形形態では、加熱ブランケット702及び/又は加熱ブランケット704は、それらを物理的に動かすことができるように取り付けられてもよい。これは、特定の設計の加熱ブランケットを容器のより近くに移動させることを可能にしうる。図6に示されるように、ロッド708が支持構造102から上方に垂直に延びていてもよい。加熱ブランケット702及び704はロッド708に取り付けられうる。幾つかの変形形態では、ロッド708は、支持構造102に対する加熱ブランケット702及び704の位置が調節可能でありうるように、その長軸の周りに回転可能であってもよい。例えば、図6に示されるように、加熱ブランケット702及び704は、加熱ブランケット702又は加熱ブランケット704の何れかを容器のより近くに移動させるためにロッド708がおよそ180度回転できるように、ロッド708の両側に位置せしめられうる。示される如く、ロッド708は、加熱ブランケット704が容器に近づくように回転させられ、排気フィルタ710を加熱ブランケット704内により簡単に取り付けることができる。他の変形形態では、加熱ブランケット702及び704は、およそ180度未満だけ離間させることができ、よって、ロッド708は、加熱ブランケット702又は704の何れかを容器に近づけるためにそれに応じて小さい角度だけ回転させることができる。更に他の変形形態では、ロッド708は、回転可能である代わりに又はそれに加えて、調節可能な長さ(可変長)を有していてもよい。これらの変形形態では、加熱ブランケット702及び704は支持構造102から異なった垂直距離の位置に位置せしめられ得(ロッド708の同じ側の何れか、ロッド708の両側、又は中間の半径方向距離だけ離間して)、ロッド708の長さは加熱ブランケット702又は704を容器に近づけるために調節されうる。他の変形形態では、加熱ブランケットを他の機構を介して支持構造に連結してもよく、又は加熱ブランケットを支持構造102よりむしろ代替構造、例えば別体のスタンド又はカートに取り付けてもよいことがまた理解されなければならない。加熱ブランケットを、複数の撹拌機モータを有するバイオリアクタ100に関して上述したが、単一の位置調節可能な撹拌機モータを有するここに記載のバイオリアクタ800もまた同様の設計及び特徴を有する加熱ブランケット構成を備えていてもよいことが理解されなければならない。
【0042】
またここに記載されるものは、既存の支持構造と共に使用されるように元々は構成されていない容器と共に使用されるように既存の支持構造を改造する方法である。幾つかの変形形態では、これは、既存の単一撹拌機モータ支持構造を複数撹拌機モータ支持構造に改造することを含みうる。例えば、上述の支持構造102の一般構造を有するが、単一の頂部又は底部取り付け撹拌機モータを有する支持構造を、改造した支持構造が頂部及び底部取り付け撹拌機モータ双方を有するように、第二の撹拌機モータを追加して改造することができる。元の支持構造が(上述の底部取り付け撹拌機モータ302のような)底部取り付け撹拌機モータを備えている場合、改造は、バイオリアクタ100の頂部取り付け撹拌機モータ304の取付に関して上述した構造の一つで、側壁の頂部の近くに(上述の頂部取り付け撹拌機モータ304のような)頂部取り付け撹拌機モータを取り付けることによって実施されうる。改造は、代替的に又は追加的に、バイオリアクタ100の頂部取り付け撹拌機モータ304に関して上述したように、頂部取り付け撹拌機を、それを垂直方向に調節可能にする方法で取り付けることによって実施されうる。頂部取り付け撹拌機モータが支持構造のドアに取り付けられている変形形態では、ドアヒンジを補強して、頂部取り付け撹拌機モータの更なる重量を支持するようにすることができる。頂部取り付け撹拌機モータが、温度調節のためのジャケットを含む側壁の一部に取り付けられている変形形態では、モータの取り付けができるようにジャケットを改造することができる。あるいは、元の支持構造が頂部取り付け撹拌機モータを備えている場合、改造は、支持構造の側壁の底部開口部の近くに底部取り付け撹拌機モータを取り付けることによって実施することができる。底部取り付け撹拌機モータの取付を含む幾つかのかかる方法では、支持構造の基部の全て又は一部を取り除いたり又はそうでなければ改造したりする必要はない場合がある。第二の撹拌機モータが支持構造に追加される場合、該方法は、バイオリアクタに、上述の制御システム306及び308のような制御システムを加えることを更に含んでもよく、該制御システムが、上述のように、第二の撹拌機モータを制御しうる。
【0043】
他の変形形態では、既存の支持構造と共に使用されるように元々は構成されていない容器と共に使用されるように既存の支持構造を改造する方法は、固定撹拌機モータを有する既存の単一撹拌機モータ支持構造を改造して、撹拌機モータを、バイオリアクタ800に関して上述した特徴を有する、調整可能な位置を有するようにすることを含みうる。例えば、既存の固定撹拌機モータを支持構造から取り除き、上述の単一撹拌機バイオリアクタの調節可能な撹拌機モータに関して記載されたように、垂直方向に、水平方向に、半径方向に、及び/又は回転方向に調節可能であるような形で取り付けることができる。既存の単一撹拌機モータが頂部取り付け撹拌機モータである幾つかのかかる方法では、支持構造の基部の全て又は一部を、撹拌機モータを底部位置に選択的に位置させることを可能にするために取り除くか又はそうでなければ改造する必要がある場合がある。
【0044】
元の支持構造が底部取り付け撹拌機モータを備えている場合、改造は、支持構造の底部近くに、上で詳細に記載したスペーサ400のようなスペーサを加えることを更に含みうる。スペーサは、上で詳細に検討されたスペーサ400に関して記載されたように、頂部取り付け撹拌機モータと共に使用されるように構成された容器に対して支持を提供し、及び/又はそのような容器のために円滑な表面を作り出し、それが底部取り付け撹拌機モータ又は付随する構造に接触するのを防止しうる。
【0045】
元の支持構造が底部取り付け撹拌機モータを備えている場合、改造は、支持構造上のあらゆる既存の蓋部を取り除くことを更に含みうる。これは、支持構造の頂部開口部の近くに更なるヘッドスペースを提供し得、及び/又は支持構造への内部アクセスを増加させうる。元の支持構造が支持構造の側壁と一体の蓋部を備えている変形形態では、蓋部はそれを取り除くために側壁から切り取られうる。該方法の幾つかの変形形態では、蓋部を支持構造の第一の位置と場合によっては第二の位置に再び取り付けることが可能になるように蓋部を更に改造することができ、ここで、第一の位置と第二の位置は蓋部500に関して上に記載した通りである。
【0046】
該方法は、元の入口ポート、出口ポート、及び/又はプローブ配置を、これら部材の一又は複数の異なった構造を有するバイオリアクタと共に使用される構成とされた容器と共に支持構造を使用することを可能にするために、改造することを追加的に又は代替的に含みうる。幾つかの変形形態では、これは、例えば高い質量流量を可能にするためにマスフローコントローラを改造し、又は改造ポートを制御するマスフローコントローラを追加することを含みうる。元の支持構造が(上述の外部センサループ604のような)外部センサループと共に使用される構成とされた変形形態では、該方法は、支持構造中に内部プローブを収容するポートを作製することを含み得、これは、上述した内部プローブ612に対するポート608に関して上述した構造の一又は複数でなされうる。該方法は、バイオリアクタに一又は複数の排気フィルタ加熱ブランケットを加えることを追加的に又は代替的に含み得、これは、排気フィルタ加熱ブランケット702及び704に関して上述した構造の一又は複数でなされうる。
【0047】
またここに記載されるものは、複数撹拌機モータ又は位置調節可能な撹拌機モータバイオリアクタを製作する方法である。幾つかの実施形態では、このようなバイオリアクタを製作するには、容器を支持し、囲み、及び/又は収容するように構成された側壁を備えた支持構造が、任意の適切な材料又は材料群、例えば金属(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム等々)、ポリマー(例えば高密度ポリエチレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ナイロン、又は他のポリアミド、ポリエステル、フェノール系ポリマー)、ガラス、グラスファイバー等々から製作されうる。該支持構造は支持構造102について上に詳細に記載した特徴を備えうる。幾つかの変形形態では、該製作方法は、頂部取り付け撹拌機モータと底部取り付け撹拌機モータを支持構造に取り付けることを含みうる。頂部及び底部取り付け撹拌機モータは、支持構造102について上に詳細に記載した構成の何れかで支持構造に取り付けられ得、頂部及び底部取り付け撹拌機モータは、頂部取り付け撹拌機モータ304及び底部取り付け撹拌機モータ302について上に詳細に記載した特徴を有しうる。該製作方法は、底部及び頂部取り付け撹拌機モータをそれぞれ制御するために第一及び第二制御システムを設置することを更に含みうる。該制御システムは、制御システム306及び308について上に詳細に記載した特徴を有しうる。他の変形形態では、該製作方法は、上述した構成の何れかで位置調節可能な撹拌機モータを支持構造に取り付けることを更に含みうる。幾つかの変形形態では、該製作方法は、支持構造に温度調節システムを設置することを含みうる。温度調節システムの設置は、バイオリアクタ100の温度調節システムに関してより詳細に上述したように、電気加熱素子及び/又は循環加熱流体システムを設置することを含みうる。
【0048】
前記製作方法は、限定されないが、上でより詳細に記載された支持アセンブリ126及びコントロールカート144のような支持アセンブリ及び/又はコントロールカートを含む、支持構造に付属する更なる部材を提供し又は製作することを場合によっては含みうる。該方法は、ポート及びプローブを収容するために支持構造に一又は複数の開口部を作製することをまた含み得、これは、支持構造102に関して上に詳細に記載した構成の一又は複数を有しうる。幾つかの変形形態では、該製作方法は、一又は複数の排気フィルタ加熱ブランケットを支持構造に取り付けることを追加的に又は代替的に含みうる。排気フィルタ加熱ブランケットは、加熱ブランケット702及び704に関して上に詳細に記載した特徴を有し得、上に詳細に記載した構成の一つで取り付けられうる。
【0049】
幾つかの変形形態では、前記製作方法は、支持構造の底部開口部の近くに嵌合されるように構成されたスペーサ、及び/又は支持構造の頂部開口部を部分的に又は完全に被覆するように構成された蓋部を製作することを含みうる。前記スペーサは、任意の適切な材料、例えば限定されないがポリオキシメチレン又は超高分子量ポリエチレンのようなポリマーから製作され得、スペーサ400に関して上に詳細に記載された特徴を有しうる。蓋部もまた任意の適切な材料、例えば支持構造の側壁を製作するために使用された材料又は材料群から製作され得、蓋部500に関して上に詳細に記載された特徴を有しうる。
【0050】
またここに記載されるものは、ここに記載のバイオリアクタと、ここに記載の改造方法の結果として製作されたバイオリアクタ支持構造を操作するための方法である。該方法は、頂部又は底部取り付け容器を使用するかどうかを決定し、又は頂部又は底部取り付け撹拌機モータを使用するかどうかを決定することを最初に含みうる。この決定は、例えばある種の製品の製造はある種の材料のバッグにおけるのが好ましい場合があり、これは次に頂部又は底部取り付け構造においてのみ利用可能でありうるなど、実施される特定のプロセスのような因子に基づく場合がある。別の例として、該プロセスは、プロセス中の作動容積のため(その結果、底部取り付け設計は同じバイオリアクタでの予備製造及び製造を可能にし得、コスト削減又は効率向上に至る)底部取り付け撹拌機モータを使用して好ましく実施されうるか、又は混合特性、産生される細胞又はタンパク質の感受性、又は効率向上のため頂部又は底部取り付け撹拌機モータの何れか、又は特定のバッグ設計を使用して好ましく実施されうる。
【0051】
よって、該方法は、バイオリアクタの支持構造(例えば支持構造102)と共に使用するための容器を選択することを含みうる。容器は、頂部取り付け容器(例えば、上で詳細に記載されたバッグ214)又は底部取り付け容器(例えば、上で詳細に記載されたバッグ208)でありうる。支持構造が複数撹拌機モータ設計であるとき、使用者は、選択された容器の構成に基づいて支持構造の頂部取り付け撹拌機モータと底部取り付け撹拌機モータとから選択することができる。あるいは、支持構造が位置調節可能な単一撹拌機モータ設計である場合、使用者は撹拌機モータの位置を適切な位置に調整することができる。該方法の他の変形形態では、該方法は、最初に支持構造の頂部取り付け撹拌機モータと底部取り付け撹拌機モータから選択し、又は位置調節可能な撹拌機モータの位置を選択し、ついで選択された撹拌機モータ又は位置に基づいて頂部取り付け容器と底部取り付け容器から選択することを含みうる。
【0052】
使用者はついでスペーサ(例えば上に記載されたスペーサ400)が支持構造内にあるかどうかを決定しうる。選択された容器が頂部取り付け容器である場合、使用者は、スペーサが支持構造内にないことを確認するか、又は(スペーサが支持構造内にない場合)支持構造内にスペーサを配置しうる。選択された容器が底部取り付け容器である場合、使用者は、スペーサが支持構造内にないことを確認するか、又は(スペーサが支持構造内にある場合)支持構造からスペーサを取り除きうる。
【0053】
ついで、容器は支持構造内に位置せしめられうる。支持構造が一又は複数のドア(例えばドア112)を備えている変形形態では、一又は複数のドアを開放して容器の配置を容易にすることができる。容器が一又は複数の連結具を有しているか、及び/又は支持構造が一又は複数の連結具を備えている変形形態では、容器は連結具を介して支持構造に連結されうる。幾つかの変形形態では、容器は支持構造内に配される前に完全に又は部分的に膨らませられてもよい。これは、容器が可撓性バッグである変形形態では、支持構造における設置中に容器の折り畳みを減少させうる。容器は、選択された撹拌機モータに連結されうる。撹拌機ポートを備えた変形形態では、撹拌機ポートは撹拌機モータに連結されうる。撹拌機モータが調整可能な位置を有している変形形態では、撹拌機モータの垂直位置は変えてもよい。例えば、支持構造より低い高さを有している頂部取り付け容器が選択される場合、位置調節可能な頂部取り付け撹拌機モータを下方に移動させてもよく、又は位置調節可能な撹拌機モータを適切な位置に移動させてもよい。インペラが可変長シャフトに取り付けられている変形形態では、インペラの垂直位置を変えてもよい。例えば、頂部取り付け容器が選択され、低作動容積での使用が意図されている場合、インペラを下方に移動させてもよい。
【0054】
バイオリアクタ100に関して上でより詳細に記載されたように、容器の入口及び/又は出口ポートは、適切な配管ラインに連結されうる。一又は複数のプローブがまたバイオリアクタに連結されてもよい。選択された容器が外部センサループ(例えば外部センサループ604)と共に使用される構成とされている場合、外部センサループが容器に連結されうる。選択された容器が内部プローブと共に使用される構成とされている場合、プローブはプローブポートを通して挿入されうる。支持構造の側壁に(例えばドアを有する支持構造の変形形態におけるドアに)プローブポートを有する支持構造の変形形態では、プローブは支持構造の側壁を通して挿入されうる。プローブ支持体を有する支持構造の変形形態では、外部プローブはそれを所定位置に保持するプローブ支持体に配されうる。適切な排気フィルタがまた管類を介して容器に取り付けられ、加熱ブランケット内に配されうる。排気フィルタ加熱ブランケットが、(例えばロッド708等の回転ロッドに取り付けられることによって)それらを容器に相対して物理的に移動させることができるように取り付けられているバイオリアクタの変形形態では、適切な加熱ブランケットの位置を調整して排気フィルタを容器のより近くに移動させることができる。
【0055】
使用者は、取り外し可能な蓋部(例えば上述の蓋部500)が支持構造の頂部開口部を完全に又は部分的に覆っているかどうかを更に決定しうる。選択された容器が底部取り付け容器である場合、使用者は、蓋部が支持構造の頂部開口部を部分的に又は完全に覆っていることを確認するか、又は(蓋部が支持構造の頂部開口部を部分的に又は完全に覆っていないならば)支持構造の頂部開口部上に蓋部を配しうる。選択された容器が頂部取り付け容器である場合、使用者は、蓋部が支持構造の頂部開口部を覆っていないことを確認するか、又は(蓋部が支持構造の頂部開口部を部分的に又は完全に覆っているならば)支持構造の頂部開口部から蓋部を取り外しうる。蓋部が頂部開口部から取り外されたときに支持構造に取り付けられたままである支持構造の変形形態では、使用者が蓋部を取り外した場合、使用者は場合によっては蓋部を支持構造の異なった部分(例えば、側壁の外側に蓋部を保持するためのボルト又は他の部材を有する変形形態では側壁の外側)に取り付けてもよい。
【0056】
ひとたび容器が支持構造内の所定位置に完全に位置せしめられ、適切に連結されたならば、バイオリアクタを所望のプロセスに使用することができる。それを行う際、適切な制御システムを使用して、撹拌機モータのスイッチのオンオフを行い、インペラの回転速度を制御し、及び/又は排気フィルタのために任意の加熱ブランケットの温度を制御することができる。複数撹拌機設計で撹拌機モータの一方又は双方に対して手動制御スイッチを有する変形形態では、手動制御スイッチを使用して適切な撹拌機モータを選択することができる。ユーザインターフェース(例えばデジタルユーザインターフェース)を有する変形形態では、ユーザインターフェースを、選択されたモータを制御するために使用することができる。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7A
図7B