(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水性媒体が、工程b)によって得られた前記媒体中に存在しているコポリマーの量を規準にして、8,000ppm以下の、イオン性もしくはノニオン性の界面活性剤、乳化剤、および抗凝集剤からなる群から選択される非LCST化合物であるノニオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載のプロセス。
前記水性媒体が、前記非LCST化合物として、多価金属イオンの塩であって、その金属含量に基づいて計算し、かつ、工程b)によって得られた前記媒体中に存在しているコポリマーの量を規準にして、70ppm以下の多価金属イオンの塩を含む、請求項1または2に記載のプロセス。
前記水性媒体が、工程b)によって得られた前記媒体中に存在しているコポリマーの量を規準に計算して、1〜2,000ppmの抗酸化剤を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロセス。
前記少なくとも1種のイソオレフィンが、4〜16個の炭素原子を有するイソオレフィンモノマーからなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロセス。
前記少なくとも1種のマルチオレフィンが、イソプレン、ブタジエン、2−メチルブタジエン、2,4−ジメチルブタジエン、ピペリリン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、2−ネオペンチルブタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、4−ブチル−1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2,3−ジブチル−1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,6−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、および1−ビニル−シクロヘキサジエンからなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプロセス。
少なくとも1種のさらなるモノマーが、β−ピネン、スチレン、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、o−、m−およびp−アルキルスチレンからなる群から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロセス。
工程a)において採用される前記モノマーが、採用されたモノマーすべての合計重量を規準にして、重量で80重量%〜99.5重量%の範囲の少なくとも1種のイソオレフィンモノマーと、重量で0.5重量%〜20重量%の範囲の少なくとも1種のマルチオレフィンモノマーとを含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明にはさらに、本明細書に開示された好ましい実施形態、範囲、パラメーターのあらゆる相互の組合せ、または開示された範囲またはパラメーターの最も広い範囲が包含される。
【0033】
別の実施形態においては、その水性媒体は、多価金属イオンの塩であって、その金属含量に基づいて計算し、かつ、工程b)によって得られた媒体中に存在しているコポリマーの量を規準にして、70ppm以下、好ましくは50ppm以下、より好ましくは30ppm以下、さらにより好ましくは20ppm以下、なおさらにより好ましくは10ppm以下の多価金属イオンの塩を含んでいる。
【0034】
さらに別の実施形態においては、その水性媒体は、多価金属イオンの塩であって、その金属含量に基づいて計算し、かつ、工程b)によって得られた媒体中に存在しているコポリマーの量を規準にして、25ppm以下、好ましくは10ppm以下、より好ましくは8ppm以下、さらにより好ましくは7ppm以下、なおさらにより好ましくは5ppm以下の多価金属イオンの塩を含んでいる。
【0035】
別の実施形態においては、その水性媒体は、多価金属イオンのカルボン酸塩であって、その金属含量に基づいて計算し、かつ、工程b)によって得られた媒体中に存在しているコポリマーの量を規準にして、550ppm以下、好ましくは400ppm以下、より好ましくは300ppm以下、さらにより好ましくは250ppm以下、なおさらにより好ましくは150ppm以下、および別のなおさらにより好ましい実施形態においては100ppm以下の多価金属イオンのカルボン酸塩を含み、カルボン酸は、6〜30個の炭素原子、好ましくは8〜24個の炭素原子、より好ましくは12〜18個の炭素原子を有するものから選択される。1つの実施形態においては、そのようなカルボン酸が、モノカルボン酸から選択される。別の実施形態においては、そのようなカルボン酸が、飽和モノカルボン酸、たとえば、ステアリン酸およびパルミチン酸から選択される。
【0036】
以下の例において、計算がどのように行われるかを示す。
【0037】
ステアリン酸カルシウム(C
36H
70CaO
4)の分子量は、607.04g/molである。カルシウム金属の原子量は、40.08g/molである。たとえば、10gのコポリマーを含む工程b)によって得られる媒体からスラリーを形成するのに十分な、その金属含量(カルシウム)かつ、工程b)によって得られた媒体中に存在しているコポリマーの量を規準にして、550ppmの多価金属イオンの塩(ステアリン酸カルシウム)を含む水性媒体1kgを得るためには、その水性媒体は、(607.04/40.08)×(10gの550ppm)=83mg、またはコポリマーを規準にして0.83重量%、または水性媒体を規準にして83ppmのステアリン酸カルシウムを含んでいなければならない。水性媒体の、工程b)によって得られた媒体中に存在しているコポリマーに対する重量比は、この場合、100:1となるであろう。
【0038】
さらに他の実施形態においては、その水性媒体は、多価金属イオンのカルボン酸塩であって、その金属含量に基づいて計算し、かつ、工程b)によって得られた媒体中に存在しているコポリマーの量を規準にして、70ppm以下、好ましくは50ppm以下、より好ましくは30ppm以下、さらにより好ましくは20ppm以下、なおさらにより好ましくは10ppm以下の多価金属イオンのカルボン酸塩を含み、カルボン酸は、6〜30個の炭素原子、好ましくは8〜24個の炭素原子、より好ましくは12〜18個の炭素原子を有するものから選択される。1つの実施形態においては、そのようなカルボン酸が、モノカルボン酸から選択される。別の実施形態においては、そのようなカルボン酸が、飽和モノカルボン酸、たとえば、パルミチン酸またはステアリン酸から選択される。
【0039】
さらに他の実施形態においては、その水性媒体は、多価金属イオンのカルボン酸塩であって、その金属含量に基づいて計算し、かつ、工程b)によって得られた媒体中に存在しているコポリマーの量を規準にして、25ppm以下、好ましくは10ppm以下、より好ましくは8ppm以下、さらにより好ましくは7ppm以下、なおさらにより好ましくは5ppm以下の多価金属イオンのカルボン酸塩を含み、カルボン酸は、6〜30個の炭素原子、好ましくは8〜24個の炭素原子、より好ましくは12〜18個の炭素原子を有するものから選択される。1つの実施形態においては、そのようなカルボン酸が、モノカルボン酸から選択される。別の実施形態においては、そのようなカルボン酸が、飽和モノカルボン酸、たとえば、ステアリン酸から選択される。
【0040】
1つの実施形態においては、その水性媒体が、多価金属イオンのカルボン酸塩を含まず、カルボン酸は、6〜30個の炭素原子、好ましくは8〜24個の炭素原子、より好ましくは12〜18個の炭素原子を有するものから選択される。1つの実施形態においては、そのようなカルボン酸が、モノカルボン酸から選択される。別の実施形態においては、そのようなカルボン酸が、飽和モノカルボン酸、たとえば、ステアリン酸から選択される。
【0041】
別の実施形態においては、その水性媒体は、一価金属イオンの塩であって、その金属含量に基づいて計算し、かつ、工程b)によって得られた媒体中に存在しているコポリマーの量を規準にして、100ppm以下、好ましくは50ppm以下、より好ましくは20ppm以下、さらにより好ましくは15ppm以下、なおさらにより好ましくは10ppm以下の一価金属イオンの塩を含んでいる。
【0042】
別の実施形態においては、水性媒体は、追加としてまたは代替えとして、一価金属イオンのカルボン酸塩、たとえばステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、およびオレイン酸ナトリウム、ならびにステアリン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、およびオレイン酸カリウムであって、その金属含量に基づいて計算し、かつ、工程b)によって得られた媒体中に存在しているコポリマーの量を規準にして、100ppm以下、好ましくは50ppm以下、より好ましくは30ppm以下、さらにより好ましくは20ppm以下、なおさらにより好ましくは10ppm以下、および別のなおさらにより好ましい実施形態においては5ppm以下の一価金属イオンのカルボン酸塩、たとえばステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、およびオレイン酸ナトリウム、ならびにステアリン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、およびオレイン酸カリウムを含み、カルボン酸は、6〜30個の炭素原子、好ましくは8〜24個の炭素原子、より好ましくは12〜18個の炭素原子を有するものから選択される。1つの実施形態においては、そのようなカルボン酸が、モノカルボン酸から選択される。別の実施形態においては、そのようなカルボン酸が、飽和モノカルボン酸、たとえば、ステアリン酸から選択される。カルボン酸の一価の塩の例としては、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、およびオレイン酸ナトリウム、さらにはステアリン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、およびオレイン酸カリウムが挙げられる。
【0043】
1つの実施形態においては、その水性媒体が、一価金属イオンのカルボン酸塩を含まず、カルボン酸は、6〜30個の炭素原子、好ましくは8〜24個の炭素原子、より好ましくは12〜18個の炭素原子を有するものから選択される。1つの実施形態においては、そのようなカルボン酸が、モノカルボン酸から選択される。別の実施形態においては、そのようなカルボン酸が、飽和モノカルボン酸、たとえば、パルミチン酸またはステアリン酸から選択される。
【0044】
別の実施形態においては、その水性媒体は、
・多価金属イオンの炭酸塩であって、その金属含量に基づいて計算し、かつ、工程b)によって得られた有機媒体中に存在しているコポリマーの量を規準にして、550ppm以下、好ましくは400ppm以下、より好ましくは300ppm以下、さらにより好ましくは250ppm以下、なおさらにより好ましくは150ppm以下、および別のなおさらにより好ましい実施形態においては100ppm以下の多価金属イオンの炭酸、または別の実施形態においては、
・炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムであって、その金属含量に基づいて計算し、かつ、工程b)によって得られた有機媒体中に存在しているコポリマーの量を規準にして、550ppm以下、好ましくは400ppm以下、より好ましくは300ppm以下、さらにより好ましくは250ppm以下、なおさらにより好ましくは150ppm以下、および別のなおさらにより好ましい実施形態においては100ppm以下の炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウム
を含んでいる。
【0045】
さらに別の実施形態においては、その水性媒体は、
・多価金属イオンの炭酸塩であって、その金属含量に基づいて計算し、かつ、工程b)によって得られた有機媒体中に存在しているコポリマーの量を規準にして、70ppm以下、好ましくは50ppm以下、より好ましくは30ppm以下、さらにより好ましくは20ppm以下、なおさらにより好ましくは10ppm以下の多価金属イオンの炭酸塩、または別の実施形態においては、
・炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムであって、その金属含量に基づいて計算し、かつ、工程b)によって得られた有機媒体中に存在しているコポリマーの量を規準にして、70ppm以下、好ましくは50ppm以下、より好ましくは30ppm以下、さらにより好ましくは20ppm以下、なおさらにより好ましくは10ppm以下の炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウム
を含んでいる。
【0046】
多価金属イオンの炭酸塩は、特には、炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムである。
【0047】
「多価金属イオン」という用語には、二価のアルカリ土類金属イオン、たとえばマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、およびバリウム、好ましくはマグネシウムおよびカルシウム、第13族の三価金属イオン、たとえば、アルミニウム、第3〜12族の多価金属イオン、特に亜鉛の二価金属イオンが包含される。
【0048】
「一価金属イオン」という用語には、特にアルカリ金属イオン、たとえばリチウム、ナトリウム、およびカリウムが包含される。
【0049】
別の実施形態においては、その水性媒体は、工程b)によって得られた媒体中に存在しているコポリマーの量を規準に計算して、500ppm以下、好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下、さらにより好ましくは50ppm以下、なおさらにより好ましくは20ppm以下、および別のなおさらにより好ましい実施形態においては0ppmの層状鉱物質、たとえばタルカムを含んでいる。
【0050】
別の実施形態においては、その水性媒体は、500ppm以下、好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下、さらにより好ましくは20ppm以下、なおさらにより好ましくは10ppm以下、および別のなおさらにより好ましい実施形態においては5ppm以下、なおさらにより好ましくは0ppmの、工程c)で定義されたLCST化合物以外の分散剤、乳化剤、または抗凝集剤を含んでいる。
【0051】
「複数の(plurality)」という用語は、少なくとも2、好ましくは少なくとも20、より好ましくは少なくとも100の整数を表している。
【0052】
1つの実施形態においては、「その中に懸濁させた複数のコポリマー粒子を含む水性スラリー」という表現は、少なくとも10個の離散粒子/リットル、好ましくは少なくとも20個の離散粒子/リットル、より好ましくは少なくとも50個の離散粒子/リットル、さらにより好ましくは少なくとも100個の離散粒子/リットルがその中に懸濁されている、スラリーを表している。
【0053】
「コポリマー粒子」という用語は、好ましい実施形態においては、0.05mm〜25mm、より好ましくは0.1〜20mmの粒径を有する、任意の形状および粘稠度の離散粒子を表している。
【0054】
1つの実施形態においては、そのゴム粒子の重量平均粒径が、0.3〜10.0mmである。
【0055】
当業者には自明であるように、本発明において形成されるコポリマー粒子は、有機希釈剤および/または残存モノマーを依然として含んでいる可能性があり、さらに、そのコポリマー粒子中に包み込まれた水を含んでいる可能性もある。1つの実施形態においては、そのコポリマー粒子には、有機希釈剤、モノマー、およびコポリマーの総合計を基に計算して、90重量%以上、好ましくは93重量%以上、より好ましくは94重量%以上、さらにより好ましくは96重量%以上のコポリマーを含んでいる。
【0056】
先に述べたように、コポリマー粒子は、文献においては、「クラム(crumb)」と呼ばれていることも多い。典型的には、コポリマー粒子すなわちクラムは、均一ではない形状および/または寸法を有している。
【0057】
「水性媒体」という用語は、80重量%以上の水、好ましくは90重量%以上の水、さらにより好ましくは95重量%以上の水、なおさらにより好ましくは99重量%以上の水を含む媒体を表している。
【0058】
100重量%までの残りにLCST化合物が含まれ、さらに、以下の群から選択される化合物をさらに含んでいてもよい:
・(先に定義された)非LCST化合物、
・(先に定義された)LCST化合物でも非LCST化合物でもない化合物および塩、
・(その水性媒体に溶解可能な程度までの)有機希釈剤、
・(製品寿命を延ばすことが望ましい場合は)抗酸化剤および/または安定剤。
【0059】
1つの実施形態においては、その水性媒体は、工程b)によって得られた媒体中に存在しているコポリマーの量を規準に計算して、1〜2,000ppm、好ましくは50〜1,000ppm、より好ましくは80〜500ppmの抗酸化剤を含んでいる。
【0060】
極めて高純度の製品を得ることが望ましい場合、水性媒体を調製するために採用する水を、イオン交換法、膜濾過技術、たとえば逆浸透などの標準的な手順によって脱イオン化する。
【0061】
典型的には、ドイツ水硬度(german degrees of hardness)(゜dH)で8.0゜dH以下、好ましくは6.0゜dH以下、より好ましくは3.75゜dH以下、さらにより好ましくは3.00゜dH以下の水を使用すれば十分である。
【0062】
1つの実施形態においては、水が少なくとも1種のLCST化合物と混合されて濃縮物(concentrate)が得られ、それは、スラリー、またはLCST−化合物を0.1〜2重量%、好ましくは0.5〜1重量%の濃度で含む溶液のいずれかの温度に依存する。次いでその濃縮物を、容器内に計量仕込みし、より大量の水で希釈して、その容器内で工程c)を実施して所望の濃度とする。
【0063】
その濃縮物が溶液であり、0〜35℃、好ましくは10〜30℃の温度を有する容器内に計量仕込みするのが好ましい。
【0064】
特に断らない限り、ppmは、重量ppmを指している。
【0065】
その水性媒体は、抗酸化剤および安定剤をさらに含んでいてもよい。
【0066】
抗酸化剤および安定剤としては、以下のものが挙げられる:2,6−ジ−tert.−ブチル−4−メチル−フェノール(BHT)およびペンタエリスリトール−テトラキス−[3−(3,5−ジ−tert.−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン酸(Irganox(登録商標)1010として知られている)、オクタデシル3,5−ジ(tert)−ブチル−4−ヒドロキシヒドロヒドロシンナメート(Irganox(登録商標)1076として知られている)、tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)、2−(1,1−ジメチル)−1,4−ベンゼンジオール(TBHQ)、トリス(2,4,−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート(Irgafos(登録商標)168)、ジオクチルジフェニルアミン(Stalite(登録商標)S)、p−クレゾールとジシクロペンタジエンとのブチル化反応物(Wingstay)、さらにはその他のフェノール性抗酸化剤およびヒンダードアミン光安定剤。
【0067】
好適な抗酸化剤としては、一般的に以下のものが挙げられる:2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、2,4,6−トリ−イソブチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,4−ジブチル−6−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルヒドロキシトルオール(BHT)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、4−tert−ブチル−2,6−ジメチルフェノール、4−tert−ブチル−2,6−ジシクロペンチルフェノール、4−tert−ブチル−2,6−ジイソプロピルフェノール、4,6−ジ−tert−ブチル−2−メチルフェノール、6−tert−ブチル−2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−3−メチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−フェニルフェノールおよび2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,2’−エチリデン−ビス[4,6−ジ−tert.−ブチルフェノール]、2,2’−エチリデン−ビス[6−tert.−ブチル−4−イソブチルフェノール]、2,2’−イソブチリデン−ビス[4,6−ジメチル−フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[4,6−ジ−tert.−ブチルフェノール]、2,2’−メチレン−ビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール]、2,2’−メチレン−ビス[4−メチル−6−ノニルフェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(α,α’−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−シクロヘキシル−4−メチルフェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−tert.−ブチル−4−エチルフェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−tert.−ブチル−4−メチルフェノール]、4,4’−ブチリデン−ビス[2−tert.−ブチル−5−メチルフェノール]、4,4’−メチレン−ビス[2,6−ジ−tert.−ブチルフェノール]、4,4’−メチレン−ビス[6−tert.−ブチル−2−メチルフェノール]、4,4’−イソプロピリデン−ジフェノール、4,4’−デシリデン−ビスフェノール、4,4’−ドデシリデン−ビスフェノール、4,4’−(1−メチルオクチリデン)ビスフェノール、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス(2−メチルフェノール)、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール、およびペンタエリスリトール−テトラキス−[3−(3,5−ジ−tert.−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン酸(Irganox(登録商標)1010として知られている)。
【0068】
1つの実施形態においては、そのコポリマーの重量平均分子量が、100〜1000kg/molの範囲、好ましくは250〜800kg/molの範囲、より好ましくは300〜650kg/molの範囲、さらにより好ましくは350〜600kg/molの範囲、なおより好ましくは375〜550kg/molの範囲、最も好ましくは400〜500kg/molの範囲である。特に断らない限り、分子量は、ポリスチレンの分子量標準を使用し、テトラヒドロフラン(THF)溶液中のゲル浸透クロマトグラフィーを使用して得たものである。
【0069】
1つの実施形態においては、本発明におけるコポリマーの多分散性が、ゲル浸透クロマトグラフィーで求めた重量平均分子量対数平均分子量の比によって測定して、1.8〜4.2の範囲である。
【0070】
コポリマーは、たとえば、および典型的には、少なくとも10(ML1+8@125℃、ASTM D1646)、好ましくは10〜80、より好ましくは20〜80、さらにより好ましくは25〜60(ML1+8@125℃、ASTM D1646)のムーニー粘度を有している。
【0071】
モノマー
工程a)において、有機希釈剤と、少なくとも2種のモノマーであって、少なくとも1種のモノマーがイソオレフィンであり、および少なくとも1種のモノマーがマルチオレフィンである、少なくとも2種のモノマーとを含む反応媒体を準備する。
【0072】
本明細書で使用するとき、「イソオレフィン」という用語は、1個の炭素−炭素−二重結合を含み、その二重結合の1個の炭素原子が、2個のアルキル基で置換され、他の炭素原子が、2個の水素原子で置換されているか、または1個の水素原子と1個のアルキル基で置換されている化合物を表している。
【0073】
好適なイソオレフィンとしては、4〜16個の炭素原子、好ましくは4〜7個の炭素原子を有するイソオレフィンモノマー、たとえばイソブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテンが挙げられる。好ましいイソレフィンは、イソブテンである。
【0074】
本明細書で使用するとき、「マルチオレフィン」という用語は、共役であっても非共役であってもよい、2個以上の炭素−炭素−二重結合を含む化合物を表している。
【0075】
好適なマルチオレフィンの例としては、以下のものが挙げられる:イソプレン、ブタジエン、2−メチルブタジエン、2,4−ジメチルブタジエン、ピペリリン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、2−ネオペンチルブタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、4−ブチル−1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2,3−ジブチル−1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,6−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、および1−ビニル−シクロヘキサジエン。
【0076】
好ましいマルチオレフィンは、イソプレンおよびブタジエンである。イソプレンが特に好ましい。
【0077】
それらのコポリマーには、イソオレフィンでもなく、マルチオレフィンでもないさらなるオレフィンがさらに含まれていてもよい。
【0078】
そのような好適なオレフィンとしては、β−ピネン、スチレン、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、o−、m−およびp−アルキルスチレン、たとえば、o−、m−およびp−メチル−スチレンなどが挙げられる。
【0079】
1つの実施形態においては、工程a)において採用されるモノマーは、採用されたモノマーすべての合計重量を規準にして、重量で80重量%〜99.5重量%、好ましくは85重量%〜98.0重量%、より好ましくは85重量%〜96.5重量%、さらにより好ましくは85重量%〜95.0重量%の範囲の少なくとも1種のイソオレフィンモノマーと、重量で0.5重量%〜20重量%、好ましくは2.0重量%〜15重量%、より好ましくは3.5重量%〜15重量%、なおさらにより好ましくは5.0重量%〜15重量%の範囲の少なくとも1種のマルチオレフィンモノマーとを含んでもよい。
【0080】
別の実施形態においては、そのモノマー混合物は、採用されたモノマーすべての合計重量を規準にして、90重量%〜95重量%の範囲の少なくとも1種のイソオレフィンモノマーと、重量で5重量%〜10重量%の範囲のマルチオレフィンモノマーとを含んでいる。さらにより好ましくは、そのモノマー混合物は、採用されたモノマーすべての合計重量を規準にして、92重量%〜94重量%の範囲の少なくとも1種のイソオレフィンモノマーと、重量で6重量%〜8重量%の範囲の少なくとも1種のマルチオレフィンモノマーとを含んでいる。イソオレフィンは、好ましくはイソブテンであり、マルチオレフィンは、好ましくはイソプレンである。
【0081】
本発明において製造されるコポリマーのマルチオレフィン含量は、特にイソブテンおよびイソプレンが採用される場合、典型的には0.1mol%以上、好ましくは0.1mol%〜15mol%、別の実施形態においては0.5mol%以上、好ましくは0.5mol%〜10mol%、別の実施形態においては0.7mol%以上、好ましくは0.7〜8.5mol%、特には0.8〜1.5、または1.5〜2.5mol%、または2.5〜4.5mol%、または4.5〜8.5mol%である。
【0082】
別の実施形態においては、本発明において製造されるコポリマーのマルチオレフィン含量は、特にイソブテンおよびイソプレンが採用される場合、0.001mol%以上、好ましくは0.001mol%〜3mol%である。
【0083】
反応媒体中にモノマーは、0.01重量%〜80重量%、好ましくは0.1重量%〜65重量%、より好ましくは10.0重量%〜65.0重量%、さらにより好ましくは25.0重量%〜65.0重量%、または別の実施形態においては10.0重量%〜40.0重量%の量で存在してもよい。
【0084】
1つの実施形態においては、モノマーは、特にそれらが工程d)からリサイクルされる場合、工程a)で使用する前に精製される。モノマーの精製は、適切なモレキュラーシーブまたはアルミナベースの吸着剤物質を含む吸着剤カラム内を通過させることによって実施することができる。重合反応への妨害を最小限にするために、反応に対して毒として作用する、水ならびにアルコールおよびその他の有機酸素化剤などの物質を合計した濃度を、重量ベースで約10ppm未満にまで下げるのが好ましい。
【0085】
有機希釈剤
「有機希釈剤(organic diluent)」という用語には、反応条件下では液体である、希釈性または溶解性の有機化学物質が包含される。モノマーまたは開始剤系の成分と全く反応しないか、または感知できるほどに反応しない任意の好適な有機希釈剤を使用することができる。
【0086】
しかしながら、当業者であれば、希釈剤と、モノマーまたは開始剤系の成分との間の相互作用を認識する。
【0087】
さらに、「有機希釈剤」という用語には、少なくとも2種の希釈剤の混合物も含まれる。
【0088】
有機希釈剤の例としては、ヒドロクロロカーボン、たとえば、塩化メチル、塩化メチレン、または塩化エチルが挙げられる。
【0089】
有機希釈剤のさらなる例としては、式:C
xH
yF
zで表されるヒドロフルオロカーボンが挙げられ、ここで、xは、1〜40、別の場合では1〜30、別の場合では1〜20、別の場合では1〜10、別の場合では1〜6、別の場合では2〜20、別の場合では3〜10、別の場合では3〜6、最も好ましくは1〜3の整数であり、yおよびzは整数であり、少なくとも1である。
【0090】
1つの実施形態においては、そのヒドロフルオロカーボンが、たとえば、以下のものからなる飽和ヒドロフルオロカーボンの群から選択される:フルオロメタン;ジフルオロメタン;トリフルオロメタン;フルオロエタン;1,1−ジフルオロエタン;1,2−ジフルオロエタン;1,1,1−トリフルオロエタン;1,1−,2−トリフルオロエタン;1,1,2,2−テトラフルオロエタン;1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン;1−フルオロプロパン;2−フルオロプロパン;1,1−ジフルオロプロパン;1,2−ジフルオロプロパン;1,3−ジフルオロプロパン;2,2−ジフルオロプロパン;1,1,1−トリフルオロプロパン;1,1,2−トリフルオロプロパン;1,1,3−トリフルオロプロパン;1,2,2−トリフルオロプロパン;1,2,3−トリフルオロプロパン;1,1,1,2−テトラフルオロプロパン;1,1,1,3−テトラフルオロプロパン;1,1,2,2−テトラフルオロプロパン;1,1,2,3−テトラフルオロプロパン;1,1,3,3−テトラフルオロプロパン;1,2,2,3−テトラフルオロプロパン;1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン;1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン;1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン;1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン;1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロパン;1,1,1,2,2,3−ヘキサフルオロプロパン;1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン;1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン;1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロプロパン;1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン;
1−フルオロブタン;2−フルオロブタン;1,1−ジフルオロブタン;1,2−ジフルオロブタン;1,3−ジフルオロブタン;1,4−ジフルオロブタン;2,2−ジフルオロブタン;2,3−ジフルオロブタン;1,1,1−トリフルオロブタン;1,1,2−トリフルオロブタン;1,1,3−トリフルオロブタン;1,1,4−トリフルオロブタン;1,2,2−トリフルオロブタン;1,2,3−トリフルオロブタン;1,3,3−トリフルオロブタン;2,2,3−トリフルオロブタン;1,1,1,2−テトラフルオロブタン;1,1,1,3−テトラフルオロブタン;1,1,1,4−テトラフルオロブタン;1,1,2,2−テトラフルオロブタン;1,1,2,3−テトラフルオロブタン;1,1,2,4−テトラフルオロブタン;1,1,3,3−テトラフルオロブタン;1,1,3,4−テトラフルオロブタン;1,1,4,4−テトラフルオロブタン;1,2,2,3−テトラフルオロブタン;1,2,2,4−テトラフルオロブタン;1,2,3,3−テトラフルオロブタン;1,2,3,4−テトラフルオロブタン;2,2,3,3−テトラフルオロブタン;1,1,1,2,2−ペンタフルオロブタン;1,1,1,2,3−ペンタフルオロブタン;1,1,1,2,4−ペンタフルオロブタン;1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン;1,1,1,3,4−ペンタフルオロブタン;1,1,1,4,4−ペンタフルオロブタン;1,1,2,2,3−ペンタフルオロブタン;1,1,2,2,4−ペンタフルオロブタン;1,1,2,3,3−ペンタフルオロブタン;1,1,2,4,4−ペンタフルオロブタン;1,1,3,3,4−ペンタフルオロブタン;1,2,2,3,3−ペンタフルオロブタン;1,2,2,3,4−ペンタフルオロブタン;1,1,1,2,2,3−ヘキサフルオロブタン;1,1,1,2,2,4−ヘキサフルオロブタン;1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロブタン、1,1,1,2,3,4−ヘキサフルオロブタン;1,1,1,2,4,4−ヘキサフルオロブタン;1,1,1,3,3,4−ヘキサフルオロブタン;1,1,1,3,4,4−ヘキサフルオロブタン;1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタン;1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロブタン;1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロブタン;1,1,2,2,4,4−ヘキサフルオロブタン;1,1,2,3,3,4−ヘキサフルオロブタン;1,1,2,3,4,4−ヘキサフルオロブタン;1,2,2,3,3,4−ヘキサフルオロブタン;1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロブタン;1,1,1,2,2,4,4−ヘプタフルオロブタン;1,1,1,2,2,3,4−ヘプタフルオロブタン;1,1,1,2,3,3,4−ヘプタフルオロブタン;1,1,1,2,3,4,4−ヘプタフルオロブタン;1,1,1,2,4,4,4−ヘプタフルオロブタン;1,1,1,3,3,4,4−ヘプタフルオロブタン;1,1,1,2,2,3,3,4−オクタフルオロブタン;1,1,1,2,2,3,4,4−オクタフルオロブタン;1,1,1,2,3,3,4,4−オクタフルオロブタン;1,1,1,2,2,4,4,4−オクタフルオロブタン;1,1,1,2,3,4,4,4−オクタフルオロブタン;1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロブタン;1,1,1,2,2,3,4,4,4−ノナフルオロブタン;1−フルオロ−2−メチルプロパン;1,1−ジフルオロ−2−メチルプロパン;1,3−ジフルオロ−2−メチルプロパン;1,1,1−トリフルオロ−2−メチルプロパン;1,1,3−トリフルオロ−2−メチルプロパン;1,3−ジフルオロ−2−(フルオロメチル)プロパン;1,1,1,3−テトラフルオロ−2−メチルプロパン;1,1,3,3−テトラフルオロ−2−メチルプロパン;1,1,3−トリフルオロ−2−(フルオロメチル)プロパン;1,1,1,3,3−ペンタフルオロ−2−メチルプロパン;1,1,3,3−テトラフルオロ−2−(フルオロメチル)プロパン;1,1,1,3−テトラフルオロ−2−(フルオロメチル)プロパン;フルオロシクロブタン;1,1−ジフルオロシクロブタン;1,2−ジフルオロシクロブタン;1,3−ジフルオロシクロブタン;1,1,2−トリフルオロシクロブタン;1,1,3−トリフルオロシクロブタン;1,2,3−トリフルオロシクロブタン;1,1,2,2−テトラフルオロシクロブタン;1,1,3,3−テトラフルオロシクロブタン;1,1,2,2,3−ペンタフルオロシクロブタン;1,1,2,3,3−ペンタフルオロシクロブタン;1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロシクロブタン;1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタン;1,1,2,3,3,4−ヘキサフルオロシクロブタン;1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロブタン。
【0091】
特に好ましいHFCとしては、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、フルオロメタン、および1,1,1,2−テトラフルオロエタンが挙げられる。
【0092】
1つのさらなる実施形態においては、そのヒドロフルオロカーボンが、たとえば、以下のものからなる不飽和ヒドロフルオロカーボンの群から選択される:フッ化ビニル;1,2−ジフルオロエテン;1,1,2−トリフルオロエテン;1−フルオロプロペン、1,1−ジフルオロプロペン;1,2−ジフルオロプロペン;1,3−ジフルオロプロペン;2,3−ジフルオロプロペン;3,3−ジフルオロプロペン;1,1,2−トリフルオロプロペン;1,1,3−トリフルオロプロペン;1,2,3−トリフルオロプロペン;1,3,3−トリフルオロプロペン;2,3,3−トリフルオロプロペン;3,3,3−トリフルオロプロペン;2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン;1−フルオロ−1−ブテン;2−フルオロ−1−ブテン;3−フルオロ−1−ブテン;4−フルオロ−1−ブテン;1,1−ジフルオロ−1−ブテン;1,2−ジフルオロ−1−ブテン;1,3−ジフルオロプロペン;1,4−ジフルオロ−1−ブテン;2,3−ジフルオロ−1−ブテン;2,4−ジフルオロ−1−ブテン;3,3−ジフルオロ−1−ブテン;3,4−ジフルオロ−1−ブテン;4,4−ジフルオロ−1−ブテン;1,1,2−トリフルオロ−1−ブテン;1,1,3−トリフルオロ−1−ブテン;1,1,4−トリフルオロ−1−ブテン;1,2,3−トリフルオロ−1−ブテン;1,2,4−トリフルオロ−1−ブテン;1,3,3−トリフルオロ−1−ブテン;1,3,4−トリフルオロ−1−ブテン;1,4,4−トリフルオロ−1−ブテン;2,3,3−トリフルオロ−1−ブテン;2,3,4−トリフルオロ−1−ブテン;2,4,4−トリフルオロ−1−ブテン;3,3,4−トリフルオロ−1−ブテン;3,4,4−トリフルオロ−1−ブテン;4,4,4−トリフルオロ−1−ブテン;1,1,2,3−テトラフルオロ−1−ブテン;1,1,2,4−テトラフルオロ−1−ブテン;1,1,3,3−テトラフルオロ−1−ブテン;1,1,3,4−テトラフルオロ−1−ブテン;1,1,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン;1,2,3,3−テトラフルオロ−1−ブテン;1,2,3,4−テトラフルオロ−1−ブテン;1,2,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン;1,3,3,4−テトラフルオロ−1−ブテン;1,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン;1,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン;2,3,3,4−テトラフルオロ−1−ブテン;2,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン;2,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン;3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン;3,4,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン;1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−1−ブテン;1,1,2,3,4−ペンタフルオロ−1−ブテン;1,1,2,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン;1,1,3,3,4−ペンタフルオロ−1−ブテン;1,1,3,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン;1,1,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン;1,2,3,3,4−ペンタフルオロ−1−ブテン;1,2,3,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン;1,2,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン;2,3,3,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン;2,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン;3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン;1,1,2,3,3,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン;1,1,2,3,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン;1,1,2,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン;1,2,3,3,4,4−へキサフルオロ−1−ブテン;1,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン;2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン;1,1,2,3,3,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブテン;1,1,2,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブテン;1,1,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブテン;1,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブテン;1−フルオロ−2−ブテン;2−フルオロ−2−ブテン;1,1−ジフルオロ−2−ブテン;1,2−ジフルオロ−2−ブテン;1,3−ジフルオロ−2−ブテン;1,4−ジフルオロ−2−ブテン;2,3−ジフルオロ−2−ブテン;1,1,1−トリフルオロ−2−ブテン;1,1,2−トリフルオロ−2−ブテン;1,1,3−トリフルオロ−2−ブテン;1,1,4−トリフルオロ−2−ブテン;1,2,3−トリフルオロ−2−ブテン;1,2,4−トリフルオロ−2−ブテン;1,1,1,2−テトラフルオロ−2−ブテン;1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテン;1,1,1,4−テトラフルオロ−2−ブテン;1,1,2,3−テトラフルオロ−2−ブテン;1,1,2,4−テトラフルオロ−2−ブテン;1,2,3,4−テトラフルオロ−2−ブテン;1,1,1,2,3−ペンタフルオロ−2−ブテン;1,1,1,2,4−ペンタフルオロ−2−ブテン;1,1,1,3,4−ペンタフルオロ−2−ブテン;1,1,1,4,4−ペンタフルオロ−2−ブテン;1,1,2,3,4−ペンタフルオロ−2−ブテン;1,1,2,4,4−ペンタフルオロ−2−ブテン;1,1,1,2,3,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン;1,1,1,2,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン;1,1,1,3,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン;1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン;1,1,2,3,4,4−ヘキサフィウオロ−2−ブテン;1,1,1,2,3,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテン;1,1,1,2,4,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテン;およびそれらの混合物。
【0093】
有機希釈剤のさらなる例としては、ヒドロクロロフルオロカーボンが挙げられる。
【0094】
有機希釈剤のさらなる例としては、炭化水素、好ましくはアルカンが挙げられ、さらなる好ましい実施形態は、以下のものからなる群から選択されたものである:プロパン、イソブタン、ペンタン、メチルシクロペンタン、イソヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2−メチルブタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3−エチルペンタン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、2−メチルヘプタン、3−エチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、2,2,4,−トリメチルペンタン、オクタン、ヘプタン、ブタン、エタン、メタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、1,1−ジメチルシクロペンタン、cis−1,2−ジメチルシクロペンタン、trans−1,2−ジメチルシクロペンタン、trans−1,3−ジメチル−シクロペンタン、エチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン。
【0095】
炭化水素希釈剤のさらなる例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、オルト−キシレン、パラ−キシレン、およびメタ−キシレンが挙げられる。
【0096】
好適な有機希釈剤としては、ヒドロクロロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、および炭化水素の群から選択される、少なくとも2種の化合物の混合物が挙げられる。特定の組合せとしては、ヒドロクロロカーボンとヒドロフルオロカーボンとの混合物、たとえば塩化メチルと1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物、特には40〜60容量%の塩化メチルと、40〜60容量%の1,1,1,2−テトラフルオロエタンとの混合物であり、前述の2種の希釈剤を合計したものが、全希釈剤の90〜100容量%、好ましくは95〜100容量%であり、100容量%までの残りとしては、他のハロゲン化炭化水素が含まれる。その他にも、塩化メチルと少なくとも1種のアルカンとの混合物、または複数のアルカンの混合物、たとえば、少なくとも90重量%、好ましくは95重量%の、1013hPaの圧力で−5℃〜100℃、または別の実施形態においては35℃〜85℃の沸点を有する複数のアルカンを含む混合物が挙げられる。別の実施形態においては、アルカンの少なくとも99,9重量%、好ましくは100重量%が、1013hPaの圧力で、100℃以下、好ましくは35〜100℃の範囲、より好ましくは90℃以下、さらにより好ましくは35〜90℃の範囲の沸点を有している。
【0097】
工程b)で意図している重合の性質に応じて有機希釈剤を選択して、スラリー重合または溶液重合を可能とする。
【0098】
開始剤系
工程b)において、その反応媒体中のモノマーを開始剤系の存在下で重合させて、コポリマー、有機希釈剤、および任意選択的に残存モノマーを含む媒体を形成する。
【0099】
開始剤系には、少なくとも1種のルイス酸および開始剤が含まれる。
【0100】
ルイス酸
好適なルイス酸としては、式MX
3で表される化合物が挙げられ、ここでMは、第13族の元素であり、Xはハロゲンである。そのような化合物の例としては、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三塩化ガリウム、および三フッ化インジウムが挙げられ、三塩化アルミニウムが好ましい。
【0101】
さらに好適なルイス酸としては、式M
(m)X
(3−m)で表される化合物が挙げられ、ここでMは、第13族の元素であり、Xはハロゲンであり、Rは、C
1〜C
12アルキル、C
6〜C
10アリール、C
7〜C
14アリールアルキル、およびC
7〜C
14アルキルアリール基からなる群から選択される一価の炭化水素基であり、およびmは、1または2である。Xはさらに、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、またはシアニドであってもよい。
【0102】
そのような化合物の例としては、以下のものが挙げられる:メチルアルミニウムジブロミド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミド、エチルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミド、ブチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムブロミド、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムブロミド、ジブチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムセスキブロミド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド、エチルアルミニウムセスキクロリド、およびそれらの任意の混合物。好ましいのは、ジエチルアルミニウムクロリド(Et
2AlCl、すなわちDEAC)、エチルアルミニウムセスキクロリド(Et
1.5AlCl
1.5、すなわちEASC)、エチルアルミニウムジクロリド(EtAlCl
2、すなわちEADC)、ジエチルアルミニウムブロミド(Et
2AlBr、すなわちDEAB)、エチルアルミニウムセスキブロミド(Et
1.5AlBr
1.5、すなわちEASB)、およびエチルアルミニウムジブロミド(EtAlBr
2、すなわちEADB)、ならびにそれらの任意の混合物である。
【0103】
さらなる好適なルイス酸としては、式M(RO)
nR’
mX
(3−(m+n))で表される化合物が挙げられ、ここで、Mは、第13族の金属であり、ROは、C
1〜C
30アルコキシ、C
7〜C
30アリールオキシ、C
7〜C
30アリールアルコキシ、C
7〜C
30アルキルアリールオキシからなる群から選択される一価のヒドロカルボキシ基であり、R’は、先に定義されたC
1〜C
12アルキル、C
6〜C
10アリール、C
7〜C
14アリールアルキル、およびC
7〜C
14アルキルアリール基からなる群から選択される一価の炭化水素基であり、nとmの合計が3以下であるように、nは0〜3の数であり、mは0〜3の数である。
【0104】
Xは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素からなる群から独立して選択されるハロゲン、好ましくは塩素である。Xはさらに、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、またはシアニドであってもよい。
【0105】
本発明の目的においては、「アルコキシ」および「アリールオキシ」という用語は、それぞれ「アルコキシド」および「フェノキシド」と構造的に均等であることは、当業者であればよく認識するところであろう。「アリールアルコキシ」という用語は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含むラジカルを指し、そのラジカルはアルコキシ位にある。「アルキルアリール」という用語は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含むラジカルを指し、そのラジカルはアリールオキシ位にある。
【0106】
これらのルイス酸の非限定的な例として、メトキシアルミニウムジクロリド、エトキシアルミニウムジクロリド、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシアルミニウムジクロリド、メトキシメチルアルミニウムクロリド、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシメチルアルミニウムクロリド、イソプロポキシガリウムジクロリド、およびフェノキシメチルインジウムフルオリドが挙げられる。
【0107】
さらなる好適なルイス酸としては、式M(RC=OO)
nR’
mX
(3−(m+n))で表される化合物が挙げられ、ここでMは、第13族の金属であり、RC=OOは、C
1〜C
30アルクアシルオキシ、C
7〜C
30アリールアシルオキシ、C
7〜C
30アリールアルキルアシルオキシ、C
7〜C
30アルキルアリールアシルオキシ基からなる群から選択される一価のヒドロカルブアシル基であり、R’は、先に定義されたC
1〜C
12アルキル、C
6〜C
10アリール、C
7〜C
14アリールアルキル、およびC
7〜C
14アルキルアリール基からなる群から選択される一価の炭化水素基であり、nとmを合計したものが3以下であるように、nは0〜3の数であり、mは0〜3の数であり、Xは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素からなる群から選択されるハロゲン、好ましくは塩素である。Xはさらに、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、またはシアニドであってもよい。
【0108】
「アリールアルキルアシルオキシ」という用語は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含むラジカルを指し、そのラジカルはアルキアシルオキシ位にある。「アルキルアリールアシルオキシ」という用語は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含むラジカルを指し、そのラジカルはアリールアシルオキシ位にある。これらのルイス酸の非限定的な例としては、アセトキシアルミニウムジクロリド、ベンゾイルオキシアルミニウムジブロミド、ベンゾイルオキシガリウムジフルオリド、メチルアセトキシアルミニウムクロリド、およびイソプロポイルオキシインジウムトリクロリドが挙げられる。
【0109】
さらなる好適なルイス酸としては、元素周期律表の第4、5、14および15族の金属、たとえばチタン、ジルコニウム、スズ、バナジウム、ヒ素、アンチモン、およびビスマスをベースとする化合物が挙げられる。
【0110】
しかしながら、当業者であれば、本発明の実施においては、いくつかの元素がより適していることを認識するであろう。第4、5および14族のルイス酸は、一般式MX
4を有し、ここでMは、第4、5、または14族の金属であり、Xは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素からなる群から独立して選択されるロゲン、好ましくは塩素である。Xはさらに、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、またはシアニドであってもよい。非限定的な例としては、四塩化チタン、四臭化チタン、四塩化バナジウム、四塩化スズ、および四塩化ジルコニウムが挙げられる。第4、5、または14族のルイス酸には、2種以上のタイプのハロゲンが含まれていてもよい。非限定的な例として、臭化三塩化チタン、二臭化二塩化チタン、臭化三塩化バナジウム、および塩化三フッ化スズが挙げられる。
【0111】
本発明において有用な第4、5、および14族のルイス酸はさらに、一般式MR
nX
(4−n)を有していてもよく、ここでMは、第4、5、または14族の金属であり、Rは、C
1〜C
12アルキル、C
6〜C
10アリール、C
7〜C
14アリールアルキル、およびC
7〜C
14アルキルアリール基からなる群から選択される一価の炭化水素基であり、nは、0〜4の整数であり、Xは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素からなる群から独立して選択されるロゲン、好ましくは塩素である。Xはさらに、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、またはシアニドであってもよい。
【0112】
「アリールアルキル」という用語は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含むラジカルを指し、そのラジカルはアルキル位にある。
【0113】
「アルキルアリール」という用語は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含むラジカルを指し、そのラジカルはアリール位にある。
【0114】
これらのルイス酸の非限定的な例としては、ベンジルチタントリクロリド、ジベンジルチタンジクロリド、ベンジルジルコニウムトリクロリド、ジベンジルジルコニウムジブロミド、メチルチタントリクロリド、ジメチルチタンジフルオリド、ジメチルスズジクロリド、およびフェニルバナジウムトリクロリドが挙げられる。
【0115】
本発明において有用な第4、5および14族のルイス酸は、一般式M(RO)
nR’
mX
4−(m+n)を有していてもよく、ここでMは、第4、5、または14族の金属であり、ROは、C
1〜C
30アルコキシ、C
7〜C
30アリールオキシ、C
7〜C
30アリールアルコキシ、C
7〜C
30アルキルアリールオキシ基からなる群から選択される一価のヒドロカルボキシ基であり、R’は、先に定義されたC
1〜C
12アルキル、C
6〜C
10アリール、C
7〜C
14アリールアルキル、およびC
7〜C
14アルキルアリール基からなる群から選択される一価の炭化水素基であり、nとmを合計したものが4以下であるように、nは0〜4の整数であり、mは0〜4の整数であり、Xは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素からなる群から選択され、好ましくは塩素である。Xはさらに、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、またはシアニドであってもよい。
【0116】
本発明の目的においては、「アルコキシ」および「アリールオキシ」という用語は、それぞれ「アルコキシド」および「フェノキシド」と構造的に均等であることは、当業者であればよく認識するところであろう。「アリールアルコキシ」という用語は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含むラジカルを指し、そのラジカルはアルコキシ位にある。
【0117】
「アルキルアリール」という用語は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含むラジカルを指し、そのラジカルはアリールオキシ位にある。これらのルイス酸非限定的な例としては、メトキシチタントリクロリド、n−ブトキシチタントリクロリド、ジ(イソプロポキシ)チタンジクロリド、フェノキシチタントリブロミド、フェニルメトキシジルコニウムトリフルオリド、メチルメトキシチタンジクロリド、メチルメトキシスズジクロリド、およびベンジルイソプロポキシバナジウムジクロリドが挙げられる。
【0118】
本発明において有用な第4、5および14族のルイス酸は、一般式M(RC=OO)
nR’
mX
4−(m+n)を有していてもよく、ここでMは、第4、5、または14族の金属であり、RC=OOは、C
1〜C
30アルキルアシロキシ、C
7〜C
30アリールアシロキシ、C
7〜C
30アリールアルキルアシロキシ、C
7〜C
30アルキルアリールアシロキシ基からなる群から選択される一価のヒドロカルブアシル基であり、R’は、先に定義されたC
1〜C
12アルキル、C
6〜C
10アリール、C
7〜C
14アリールアルキル、およびC
7〜C
14アルキルアリール基からなる群から選択される一価の炭化水素基であり、nとmを合計したものが4以下であるように、nは0〜4の整数であり、mは0〜4の整数であり、Xは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素からなる群から選択されるハロゲン、好ましくは塩素である。Xはさらに、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、またはシアニドであってもよい。
【0119】
「アリールアルキルアシルオキシ」という用語は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含むラジカルを指し、そのラジカルはアルキルアシルオキシ位にある。
【0120】
「アルキルアリールアシルオキシ」という用語は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含むラジカルを指し、そのラジカルはアリールアシルオキシ位にある。これらのルイス酸の非限定的な例としては、アセトキシチタントリクロリド、ベンゾイルジルコニウムトリブロミド、ベンゾイルオキシチタントリフルオリド、イソプロポイルオキシスズトリクロリド、メチルアセトキシチタンジクロリド、およびベンジルベンゾイルオキシバナジウムクロリドが挙げられる。
【0121】
本発明において有用な第5族のルイス酸は、一般式MOX
3を有していてもよく、ここでMは、第5族の金属であり、Xは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素からなる群から選択されるハロゲン、好ましくは塩素である。非限定的な例は、バナジウムオキシトリクロリドである。第15族のルイス酸は、一般式MX
yを有し、ここでMは、第15族の金属であり、Xは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素からなる群から選択されるハロゲン、好ましくは塩素であり、yは、3、4または5である。Xはさらに、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、またはシアニドであってもよい。非限定的な例としては、六塩化アンチモン、六フッ化アンチモン、および五フッ化ヒ素が挙げられる。第15族のルイス酸には、2種以上のタイプのハロゲンが含まれていてもよい。非限定的な例としては、塩化五フッ化アンチモン、三フッ化ヒ素、三塩化ビスマス、およびフッ化四塩化ヒ素が挙げられる。
【0122】
本発明において有用な第15族のルイス酸は、一般式MR
nX
y−nも有し、ここで、Mは、第15族の金属であり、Rは、C
1〜C
12アルキル、C
6〜C
10アリール、C
7〜C
14アリールアルキル、およびC
7〜C
14アルキルアリール基からなる群から選択される一価の炭化水素基であり、nがyより小さいように、nは0〜4の整数であり、yは3、4または5であり、Xは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素からなる群から選択されるハロゲン、好ましくは塩素である。Xはさらに、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、またはシアニドであってもよい。「アリールアルキル」という用語は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含むラジカルを指し、そのラジカルはアルキル位にある。「アルキルアリール」という用語は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含むラジカルを指し、そのラジカルはアリール位にある。これらのルイス酸の非限定的な例としては、テトラフェニルアンチモンクロリドおよびトリフェニルアンチモンジクロリドが挙げられる。
【0123】
本発明において有用な第15族のルイス酸は、一般式M(RO)
nR’
mX
y−(m+n)を有していてもよく、ここでMは、第15族の金属であり、ここでROは、C
1〜C
30アルコキシ、C
7〜C
30アリールオキシ、C
7〜C
30アリールアルコキシ、C
7〜C
30アルキルアリールオキシ基からなる群から選択される一価のヒドロカルボキシ基であり、R’は、先に定義されたようなC
1〜C
12アルキル、C
6〜C
10アリール、C
7〜C
14アリールアルキル、およびC
7〜C
14アルキルアリール基からなる群から選択される一価の炭化水素基であり、nとmを合計したものがyよりも小さいように、nは0〜4の整数であり、mは0〜4の整数であり、yは3、4または5であり、Xは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素からなる群から選択されるハロゲン、好ましくは塩素である。Xはさらに、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、またはシアニドであってもよい。本発明の目的においては、「アルコキシ」および「アリールオキシ」という用語は、それぞれ「アルコキシド」および「フェノキシド」と構造的に均等であることは、当業者であればよく認識するところであろう。「アリールアルコキシ」という用語は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含むラジカルを指し、そのラジカルはアルコキシ位にある。「アルキルアリール」という用語は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含むラジカルを指し、そのラジカルはアリールオキシ位にある。これらのルイス酸の非限定的な例としては、テトラクロロメトキシアンチモン、ジメトキシトリクロロアンチモン、ジクロロメトキシアルシン、クロロジメトキシアルシン、およびジフルオロメトキシアルシンが挙げられる。本発明において有用な第15族のルイス酸は、一般式M(RC=OO)
nR’
mX
y−(m+n)を有していてもよく、ここでMは、第15族の金属であり、RC=OOは、C
1〜C
30アルクアシロキシ、C
7〜C
30アリールアシロキシ、C
7〜C
30アリールアルキルアシロキシ、C
7〜C
30アルキルアリールアシロキシ基からなる群から選択される一価のヒドロカルブアシロキシ基であり、R’は、先に定義されたようなC
1〜C
12アルキル、C
6〜C
10アリール、C
7〜C
14アリールアルキル、およびC
7〜C
14アルキルアリール基からなる群から選択される一価の炭化水素基であり、nとmを合計したものがyよりも小さいように、nは0〜4の整数であり、mは0〜4の整数であり、yは3、4または5であり、Xは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素からなる群から選択されるハロゲン、好ましくは塩素である。Xはさらに、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、またはシアニドであってもよい。「アリールアルキルアシルオキシ」という用語は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含むラジカルを指し、そのラジカルはアルキアシルオキシ位にある。「アルキルアリールアシルオキシ」という用語は、脂肪族構造と芳香族構造の両方を含むラジカルを指し、そのラジカルはアリールアシルオキシ位にある。これらのルイス酸の非限定的な例としては、アセタトテトラクロロアンチモン、(ベンゾアト)テトラクロロアンチモン、およびビスマスアセテートクロリドが挙げられる。
【0124】
ルイス酸、たとえば、メチルアルミノキサン(MAO)、および特別に設計された弱く配位結合しているルイス酸、たとえば、B(C
6F
5)
3もまた、本発明に関連して好適なルイス酸である。
【0125】
弱く配位結合しているルイス酸は、国際公開第2004/067577A号パンフレットの、セクション[117]〜[129]に詳細に開示されており、この特許は、参照により本明細書に取り入れられるものとする。
【0126】
開始剤
本発明において有用な開始剤は、選択されたルイス酸と錯体形成反応をして、モノマーと反応し、それにより生長反応するポリマー鎖を形成する錯体を生成することを可能とする開始剤である。
【0127】
好ましい実施形態においては、その開始剤が、以下のものからなる群から選択される、少なくとも1種の化合物を含む:水、ハロゲン化水素、カルボン酸、カルボン酸ハライド、スルホン酸、スルホン酸ハライド、アルコール、フェノール、三級アルキルハライド、三級アラルキルハライド、三級アルキルエステル、三級アラルキルエステル、三級アルキルエーテル、三級アラルキルエーテル、アルキルハライド、アリールハライド、アルキルアリールハライド、およびアリールアルキル酸ハライド。
【0128】
好ましいハロゲン化水素開始剤としては、塩化水素、臭化水素、およびヨウ化水素が挙げられる。特に好ましいハロゲン化水素は、塩化水素である。
【0129】
好ましいカルボン酸には、脂肪族および芳香族の両方のカルボン酸が含まれる。本発明において有用なカルボン酸の例としては、以下のものが挙げられる:酢酸、プロパン酸、ブタン酸;ケイ皮酸、安息香酸、1−クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、p−クロロ安息香酸、およびp−フルオロ安息香酸。特に好ましいカルボン酸としては、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、およびp−フルオロ安息香酸が挙げられる。
【0130】
本発明において有用なカルボン酸ハライドは、構造的にはカルボン酸に類似しており、酸のOHをハライドで置換したものである。そのハライドは、フルオリド、クロリド、ブロミド、またはヨージドであり、クロリドが好ましい。
【0131】
本発明において有用なカルボン酸ハライドとしては、以下のものが挙げられる:アセチルクロリド、アセチルブロミド、シンナミルクロリド、ベンゾイルクロリド、ベンゾイルブロミド、トリクロロアセチルクロリド、トリフルオロアセチルクロリド、トリフルオロアセチルクロリド、およびp−フルオロベンゾイルクロリド。特に好ましい酸ハライドとしては、アセチルクロリド、アセチルブロミド、トリクロロアセチルクロリド、トリフルオロアセチルクロリド、およびp−フルオロベンゾイルクロリドが挙げられる。
【0132】
本発明における開始剤として有用なスルホン酸としては、脂肪族および芳香族両方のスルホン酸が挙げられる。好ましいスルホン酸の例としては、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸が挙げられる。
【0133】
本発明において有用なスルホン酸ハライドは、構造的にはスルホン酸に類似しており、親の酸のOHをハライドで置換したものである。そのハライドは、フルオリド、クロリド、ブロミド、またはヨージドであり、クロリドが好ましい。親のスルホン酸からスルホン酸ハライドを調製するための方法は、従来技術から公知であり、当業者であれば、それらの手順について熟知しているはずである。本発明において有用な好ましいスルホン酸ハライドとしては、メタンスルホニルクロリド、メタンスルホニルブロミド、トリクロロメタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、およびp−トルエンスルホニルクロリドが挙げられる。
【0134】
本発明において有用なアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、2−メチルプロパン−2−オール、シクロヘキサノール、およびベンジルアルコールが挙げられる。
【0135】
本発明において有用なフェノールとしては、フェノール;2−メチルフェノール;2,6−ジメチルフェノール;p−クロロフェノール;p−フルオロフェノール;2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェノール;および2−ヒドロキシナフタレンが挙げられる。
【0136】
開始剤系には、活性に影響を与えるかまたは向上させる目的で、前述のもの以外の酸素含有化合物または窒素含有化合物をさらに含んでいてもよい。
【0137】
そのような化合物としては、エーテル、アミン、N−ヘテロ芳香族化合物、ケトン、スルホン、およびスルホキシド、さらにはカルボン酸のエステルおよびアミドが挙げられる。
【0138】
エーテルとしては、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、tert.−ブチル−メチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、またはフェネトールが挙げられる。
【0139】
アミンとしては、以下のものが挙げられる:n−ペンチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、N,N−ジメチルプロピルアミン、N−メチルブチルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N−エチルブチルアミン、ヘキシルアミン、N−メチルヘキシルアミン、N−ブチルプロピルアミン、ヘプチルアミン、2−アミノヘプタン、3−アミノヘプタン、N,N−ジプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、オクチルアミン、アニリン、ベンジルアミン、N−メチルアニリン、フェネチルアミン、N−エチルアニリン、2,6−ジエチルアニリン、アンフェタミン、N−プロピルアニリン、フェンテルミン、N−ブチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、2,6−ジエチルアニリン、ジフェニルアミン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、およびトリフェニルアミン。
【0140】
N−ヘテロ芳香族化合物としては、ピリジン、2−,3−もしくは4−メチルピリジン、ジメチルピリジン、エチレンピリジン、および3−メチル−2−フェニルピリジンが挙げられる。
【0141】
ケトンとしては、アセトン、ブタノン、ペンタノン、ヘキサノン、シクロヘキサノン、2,4−ヘキサンジオン、アセチルアセトン、およびアセトニルアセトンが挙げられる。
【0142】
スルホンおよびスルホキシドとしては、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、およびスルホランが挙げられる。
【0143】
カルボン酸エステルとしては、以下のものが挙げられる:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸アリル、酢酸ベンジル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸アリル、安息香酸ブチリデン、安息香酸ベンジル、安息香酸フェニルエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジヘプチル、およびフタル酸ジオクチル。
【0144】
カルボン酸アミドとしては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、およびN,N−ジエチルアセトアミドが挙げられる。好ましい三級アルキルおよびアラルキル開始剤としては、次式で表される三級化合物が挙げられ、ここでXは、ハロゲン、プソイドハロゲン、エーテル、もしくはエステル、またはそれらの混合物、好ましくはハロゲン、好ましくは塩素であり、R
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立して、好ましくは1〜15個の炭素原子、より好ましくは1〜8個の炭素原子を含む、任意の直鎖状、環状もしくは分岐鎖状のアルキル、アリールもしくはアリールアルキルであり、nは、開始剤のサイトの数であり、1以上、好ましくは1〜30の数であり、より好ましくはnが1〜6の数である。それらのアリールアルキルは、置換されていても、または非置換であってもよい。本発明および添付の請求項の目的においては、アリールアルキルは、芳香族と脂肪族両方の構造を含む化合物を意味していると定義される。開始剤の好ましい例としては、以下のものが挙げられる:2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン;2−ブロモ−2,4,4−トリメチルペンタン;2−クロロ−2−メチルプロパン;2−ブロモ−2−メチルプロパン;2−クロロ−2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプタン;2−ブロモ−2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプタン;1−クロロ−1−メチルエチルベンゼン;1−クロロアダマンタン;1−クロロエチルベンゼン;1、4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン;5−tert−ブチル−1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン;2−アセトキシ−2,4,4−トリメチルペンタン;2−ベンゾイルオキシ−2,4,4−トリメチルペンタン;2−アセトキシ−2−メチルプロパン;2−ベンゾイルオキシ−2−メチルプロパン;2−アセトキシ−2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプタン;2−ベンゾイル−2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプタン;1−アセトキシ−1−メチルエチルベンゼン;1−アセトキシアダマンタン;1−ベンゾイルオキシエチルベンゼン;1,4−ビス(1−アセトキシ−1−メチルエチル)ベンゼン;5−tert−ブチル−1,3−ビス(1−アセトキシ−1−メチルエチル)ベンゼン;2−メトキシ−2,4,4−トリメチルペンタン;2−イソプロポキシ−2,4,4−トリメチルペンタン;2−メトキシ−2−メチルプロパン;2−ベンジルオキシ−2−メチルプロパン;2−メトキシ−2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプタン;2−イソプロポキシ−2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプタン;1−メトキシ−1−メチルエチルベンゼン;1−メトキシアダマンタン;1−メトキシエチルベンゼン;1,4−ビス(1−メトキシ−1−メチルエチル)ベンゼン;5−tert−ブチル−1,3−ビス(1−メトキシ−1−メチルエチル)ベンゼン、および1,3,5−トリス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン。その他の好適な開始剤は、米国特許第4,946,899号明細書に見出すことができる。本発明および添付の請求項の目的においては、プソイドハロゲンとは、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネートまたはシアニドである任意の化合物であると定義される。
【0145】
別の好ましい開始剤は、ポリマー性ハライドであって、R
1、R
2またはR
3の1つが、オレフィンポリマーであり、残りのR基が、先に定義されたものである。好ましいオレフィンポリマーとしては、ポリイソブチレン、ポリプロピレン、およびポリ塩化ビニルが挙げられる。ポリマー性開始剤は、そのポリマーの鎖末端、途中、または主鎖の内部に位置するハロゲン化三級炭素を有していてもよい。そのオレフィンポリマーが、ポリマー骨格にペンダントしているか、またはポリマー骨格の内部の三級炭素のところに複数のハロゲン原子を有している場合、その反応生成物は、そのオレフィンポリマー中のハロゲン原子の数と位置に依存して、櫛状の構造を有するか、および/または側鎖分岐を有するポリマーを含むことができる。同様にして、鎖末端三級ポリマーハライド開始剤を使用すると、ブロックコポリマーを含むことが可能な反応生成物を製造するための方法が得られる。
【0146】
特に好ましい開始剤は、イソブチレンコポリマーのカチオン重合において有用である任意のものであり、たとえば、水、塩化水素、2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン、2−クロロ−2−メチルプロパン、1−クロロ−1−メチルエチルベンゼン、およびメタノールが挙げられる。
【0147】
本発明において有用な開始剤系にはさらに、反応性のカチオンと、先に定義されたような弱く配位結合するアニオン(「WCA」)とを含む、組成物を含んでいてもよい。
【0148】
ルイス酸対開始剤の好ましいモル比は、一般的には1:5〜100:1、好ましくは5:1〜100:1、より好ましくは8:1〜20:1、別の実施形態においては1:1,5〜15:1、好ましくは1:1〜10:1である。ルイス酸および開始剤を含む開始剤系は、反応混合物中に、採用されるモノマーの重量を基準にして、0.002〜5.0重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%の量で存在するのが好ましい。
【0149】
別の実施形態においては、特に三塩化アルミニウムを使用する場合には、採用されるモノマーの、ルイス酸、特に三塩化アルミニウムに対する重量比が、500〜20000、好ましくは1500〜10000の範囲内である。
【0150】
1つの実施形態においては、開始剤系のための少なくとも1種の調節剤を採用する。調節剤は、活性を調節し、その結果、性質、特に所望のコポリマーの分子量を調節するのに役立つ(たとえば、米国特許第2,580,490号明細書および米国特許第2,856,394号明細書を参照)。
【0151】
好適な調節剤としては、エチレン、一置換もしくは二置換されたC
3〜C
20モノアルケンが挙げられ、ここで「置換」とは、オレフィン性二重結合に結合されたアルキル基を表すことを意味している。好ましい調節剤は、一置換されたC
3〜C
20モノアルケン(一次(primary)オレフィンとも呼ばれる)であり、より好ましい調節剤は、(C
3〜C
20)−1−アルケン、たとえば1−ブテンである。前述の調節剤の、エチレン、一置換もしくは二置換されたC
3〜C
20モノアルケンは、工程a)において採用されたモノマーを規準に計算して、典型的には0.01〜20重量%の量、好ましくは0.2〜15重量%の量、より好ましくは1〜15重量%の量で適用される。
【0152】
別の好適な調節剤としては、ジイソブチレン(2,4,4−トリメチル−l−ペンテン)が挙げられる。エチレン、一置換もしくは二置換されたC
3〜C
20モノアルケンの代わり、またはそれらに追加してジイソブチレンを使用してもよい。ジイソブチレンは、工程a)において採用されたモノマーを規準に計算して、典型的には0.001〜3重量%の量、好ましくは0.01〜2重量%の量、より好ましくは0.01〜1.5重量%の量で適用する。当然ながら、より多い量またはより少ない量の開始剤もやはり本発明の範囲内であることは理解されたい。
【0153】
特に好ましい開始剤系においては、そのルイス酸が、好ましくは等量のジエチルアルミニウムクロリドとエチルアルミニウムジクロリドとを、好ましくは希釈剤中で混合することにより得られるエチルアルミニウムセスキクロリドである。その希釈剤は、共重合反応を実施するときに使用されるのと同じものであるのが好ましい。
【0154】
アルキルアルミニウムハライドを採用する場合、プロトン源としては、水および/またはアルコール、好ましくは水を使用する。
【0155】
1つの実施形態においては、水の量は、アルキルアルミニウムハライドのアルミニウム1モルあたり0.40〜4.0モルの範囲の水、好ましくはアルキルアルミニウムハライドのアルミニウム1モルあたり0.5〜2.5モルの範囲の水、最も好ましくはアルキルアルミニウムハライド1モルあたり1〜2モルの水である。
【0156】
アルミニウムハライド、特にアルミニウムトリクロリドを採用する場合、プロトン源としては、水および/またはアルコール、好ましくは水を使用する。
【0157】
1つの実施形態においては、水の量は、アルミニウムハライド中のアルミニウム1モルあたり0.05〜2.0モルの範囲の水、好ましくはアルミニウムハライド中のアルミニウム1モルあたり0.1〜1.2モルの範囲の水である。
【0158】
重合条件
1つの実施形態においては、採用される有機希釈剤およびモノマーは、実質的に水を含まない。本明細書で使用するとき、「実質的に水を含まない(substantially free of water)」というのは、反応媒体の全重量を規準にして、30ppm未満、好ましくは20ppm未満、より好ましくは10ppm未満、さらにより好ましくは5ppm未満、最も好ましくは1ppm未満と定義される。
【0159】
当業者であれば、たとえば、開始剤として機能させる目的で添加される以外には、水の添加量によってその開始剤系が影響を受けないようにするために、希釈剤およびモノマーの水含量は低くする必要があることを認識する。
【0160】
工程b)は、連続プロセスまたはバッチプロセスで実施してよい。
【0161】
本発明の実施形態においては、工程b)における重合は、重合反応器を使用して実施される。好適な反応器は、当業者には公知のものであり、フロースルー重合反応器、プラグフロー反応器、撹拌槽反応器、ムービングベルトもしくはドラム反応器、ジェットもしくはノズル反応器、筒型反応器、および自己冷却ボイリングプール(autorefrigerated boiling−pool)反応器などが挙げられる。具体的に好適な例は、国際公開第2011/000922A号パンフレット、および国際公開第2012/089823A号パンフレットに開示されている。
【0162】
1つの実施形態においては、工程b)における重合を、開始剤系、モノマーおよび有機希釈剤が単一相中に存在しているようにして実施する。好ましくは、重合を、開始剤系、モノマー、および有機希釈剤が単一相中に存在している、連続重合プロセスで実施するのが好ましい。
【0163】
有機希釈剤の選択に応じて、スラリー重合として、または溶液重合としてのいずれかで、工程b)における重合を実施する。
【0164】
スラリー重合においては、モノマー、開始剤系がすべて、典型的には、希釈剤または希釈剤混合物中に可溶性である、すなわち単一相を構成しているが、それに対して、コポリマーが生成すると、その有機希釈剤から沈降する。ポリマーのTgの低下がほとんどもしくは全くないか、および/または有機希釈剤物質の取り込みがほとんどもしくは全くないことで示されるような、ポリマーの「膨潤」が示されることが、少ないかもしくは全くないのが望ましい。
【0165】
溶液重合においては、モノマー、開始剤系がすべて、典型的には、希釈剤または希釈剤混合物中に可溶性である、すなわち単一相を構成しており、重合で生成するコポリマーも同様である。
【0166】
上述の有機希釈剤中への所望のポリマーの溶解性、さらには、反応条件下におけるそれらの膨潤挙動は、当業者には周知である。
【0167】
溶液重合とスラリー重合とを対比させた利点および欠点は、文献において詳細に論じられているため、やはり当業者には公知である。
【0168】
1つの実施形態においては、工程b)を、−110℃〜20℃の範囲、好ましくは−100℃〜−50℃の範囲、さらにより好ましくは−100℃〜−70℃の範囲の温度で実施する。
【0169】
好ましい実施形態においては、その重合温度が、有機希釈剤の凝固点より上20℃以内、好ましくは有機希釈剤の凝固点より上10℃以内である。
【0170】
工程b)における反応圧力は、典型的には100〜100,000hP、好ましくは200〜20,000hPa、より好ましくは500〜5,000hPaである。
【0171】
工程b)における重合は、典型的には、工程b)におけるスラリーの固形分含量が、好ましくは1〜45重量%、より好ましくは3〜40重量%、さらにより好ましくは15〜40重量%の範囲になるようにして実施される。
【0172】
本明細書で使用するとき、「固形分含量(solids content)」または「固形分レベル(solids level)」という用語は、工程b)によって、すなわち重合において得られ、かつ、工程b)によって得られた、コポリマー、有機希釈剤、および任意選択的に残存モノマーを含む媒体中に存在している、コポリマーの重量パーセントを指している。
【0173】
1つの実施形態においては、工程b)における反応時間が、2分〜2時間、好ましくは10分〜1時間、より好ましくは20〜45分である。
【0174】
このプロセスは、バッチ式で実施しても、または連続式で実施してもよい。連続反応を実施する場合、上で挙げた反応時間は、平均滞留時間を表している。
【0175】
1つの実施形態においては、その反応は、停止剤、たとえば、水酸化ナトリウムの水、メタノールまたはエタノール中1重量%溶液によって停止させる。
【0176】
別の実施形態においては、その反応を、工程c)において水性媒体と接触させることによって停止させ、その水性媒体は、1つの実施形態においては、20℃、1013hPaで測定して、5〜10、好ましくは6〜9、より好ましくは7〜9のpH値を有することができる。
【0177】
pH調節が必要な場合には、酸、または好ましくは多価金属イオンを含まないアルカリ性化合物を添加することにより実施することができる。より高いpH値へとpH調節するには、たとえば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの添加を実施する。
【0178】
特に溶液重合の場合においては、典型的には、最初に採用したモノマーの5重量%〜25重量%、好ましくは10重量%〜20重量%のモノマー消費率に達したら、転化を停止させる。
【0179】
モノマーの転化率は、重合の際のオンライン粘度測定または分光的モニタリングによって追跡することができる。
【0180】
工程c)においては、工程b)において得られた媒体を、0〜100℃、好ましくは5〜100℃、より好ましくは15〜80℃、さらにより好ましくは20〜70℃の曇点を有する、少なくとも1種のLCST化合物を含む水性媒体と接触させ、および少なくとも部分的に有機希釈剤を除去し、その媒体中に存在している程度にまで、少なくとも部分的に残存モノマーを除去して、複数のコポリマー粒子を含む水性スラリーを得る。その接触は、その目的に適したいかなる容器内で実施することも可能であり、バッチ式でも連続式でも実施でき、連続プロセスが好ましい。工業的には、そのような接触は、典型的には、スチームストリッパー、フラッシュドラム、任意のその他の液相と気相を分離するための公知の容器内で実施される。
【0181】
たとえば、工程b)で得られた媒体と接触させる水性媒体の量を選択して、工程b)で得られた媒体に含まれているコポリマーの水性媒体に対する重量比が、1:1〜1:1000、好ましくは1:1〜1:200、より好ましくは1:3〜1:20、さらにより好ましくは1:5〜1:15になるようにし、1:5〜1:10の重量比がさらにより好ましい。
【0182】
有機希釈剤、および任意選択的にモノマーの除去には、他のタイプの蒸留を採用して、残存モノマーおよび有機希釈剤を、順次または同時に、所望の程度にまで除去してもよい。異なる沸点の液体を分離するための蒸留プロセスは、当業界では周知であり、たとえば、Encyclopedia of Chemical Technology,Kirk Othmer,4th Edition,pp.8−311に記載がある(この文献を、参考として引用し、本明細書に組み入れるものとする)。一般的には、未反応モノマーおよび希釈剤も、順次または同時のいずれかで、本発明におけるプロセスの工程a)にリサイクルしてもよい。
【0183】
工程c)における、および1つの実施形態においてはスチームストリッパーまたはフラッシュドラムにおける圧力は、工程b)において採用された有機希釈剤およびモノマーに依存して、典型的には、100hPa〜5,000hPaの範囲である。
【0184】
工程c)での温度は、少なくとも部分的に有機希釈剤を除去し、残存モノマーが依然として存在している程度にするのに十分になるように選択する。
【0185】
1つの実施形態においては、その温度は、10〜100℃、好ましくは50〜100℃、より好ましくは60〜95℃、さらにより好ましくは75〜95℃である。
【0186】
工程b)によって得られた媒体を、少なくとも1種のLCST化合物を含む水性媒体と接触させると、特に重合をスラリー重合として実施した場合には、その媒体が直ちに不安定化され、その理由は、安定化作用を有する有機希釈剤が除去されたため、および典型的にはコポリマーのガラス転移温度より高い温度に急速に加熱されるためである。スラリー重合の場合においては、次いで、スラリーの微細なコポリマー粒子が、典型的には極めて短い時間枠、典型的には1秒未満で凝集し、水性スラリー中に懸濁したコポリマー粒子が生成する。
【0187】
理論に拘束されることを望むものではないが、本出願人の観察によれば、次の結論がさらに導かれる:すなわち、従来からの抗凝集剤として以前から考えられている少なくともLCST化合物、たとえばステアリン酸カルシウム、少なくとも1種のLCST化合物を含む水性媒体がLCST化合物を使い果たして、その結果、最終的な水性スラリー中では、少なくとも一部、実験の部で開示された観察によれば、LCST化合物の実質的部分がコポリマー粒子の一部となり、おそらくはコポリマー粒子の表面に結合されて、驚くほどの抗凝集効果がもたらされている。好適なLCST化合物は、たとえば、以下のもの:ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド−co−N,N−ジメチルアクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)−alt−2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)、ポリ[2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート]、ポリ(2−オキサゾリン)グリコポリマー、ポリ(3−エチル−N−ビニル−2−ピロリドン)、ヒドロキシルブチルキトサン、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、2〜6個のエチレングリコール単位を有するポリ(エチレングリコール)メタクリレート、ポリエチレングリコール−co−ポリプロピレングリコール、好ましくは2〜6個のエチレングリコール単位と2〜6個のポリプロピレン単位とを有するもの、式(I)
(I)HO−[−CH
2−CH
2−O]
x−[−CH(CH
3)−CH
2−O]
y−[−CH
2−CH
2−O]
z−H
(式中、y=3〜10、かつxおよびz=1〜8であり、ここで、y+x+zは5〜18である)
の化合物、ポリエチレングリコール−co−ポリプロピレングリコール、好ましくは2〜8個のエチレングリコール単位と2〜8個のポリプロピレン単位とを有するもの、エトキシル化イソ−C
13H
27−アルコール、好ましくは4〜8のエトキシル化度を有するもの、4〜50個、好ましくは4〜20個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール、4〜30個、好ましくは4〜15個のプロピレングリコール単位を有するポリプロピレングリコール、4〜50個、好ましくは4〜20個のエチレングリコール単位を有する、ポリエチレングリコールのモノメチル、ジメチル、モノエチル、およびジエチルエーテル、4〜50個の、好ましくは4〜20個のプロピレングリコール単位を有する、ポリプロピレングリコールのモノメチル、ジメチル、モノエチル、およびジエチルエーテルからなる群から選択され、別の実施形態においては、前述のLCST化合物にはさらにヒドロキシエチルセルロースが含まれ、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。
【0188】
1つの実施形態においては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースは、0.5〜2.8、好ましくは1.2〜2.5、より好ましくは1.5〜2.0の置換度(その理論的最大値は3)を有している。
【0189】
1つの実施形態においては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースは、グルコース単位あたりのエチレングリコールまたはプロピレングリコール基を規準にして、3から、好ましくは4から、より好ましくは4〜20のMS(置換モル)を有している。
【0190】
工程c)で採用された水性媒体中に存在しているLCST化合物の量は、工程b)によって得られた媒体中に存在しているコポリマーの量を規準にして、たとえば1〜20,000ppm、好ましくは3〜10,000ppm、より好ましくは5〜5,000ppm、さらにより好ましくは10〜5,000ppmである。
【0191】
1つの実施形態においては、そのLCST化合物が、少なくとも1,500g/mol、好ましくは少なくとも2,500g/mol、より好ましくは少なくとも4,000g/molの分子量を示す。
【0192】
異なるLCST化合物の混合物を適用する場合には、その重量平均分子量は、たとえば1,500〜2,000,000である。
【0193】
疑義を避けるため、工程c)で得られる水性スラリーは、工程b)で記述されたいくつかの実施形態で得られる重合スラリーとは別物であり、それらとは無関係であることに留意されたい。
【0194】
工程b)が溶液重合として実施された場合には、水との接触によって、有機希釈剤が蒸発し、コポリマーが、水性スラリー中に懸濁されているコポリマー粒子を生成する。
【0195】
有機希釈剤を少なくとも部分的に除去し、重合後にモノマーが依然として存在している程度にするには、蒸発熱とバランスさせるための顕著な量の熱が必要であり、その熱は容器を加熱することによって与えることができ、工程c)は、外部からでも実施でき、あるいは好ましい実施形態においては、水蒸気を追加的または代替的に導入して、有機希釈剤の除去と、重合後に依然としてモノマーが存在している程度にすること(水蒸気ストリッピング)とをさらに促進することもできる。
【0196】
工程c)は、バッチ式または連続式のいずれでも実施でき、連続操作が好ましい。
【0197】
1つの実施形態においては、工程c)において得られる、生成したポリマーの温度が、50〜100℃、好ましくは60〜100℃、より好ましくは70〜95℃、さらにより好ましくは75〜95℃である。
【0198】
必須でないことは判明したが、1つの実施形態においては、工程c)における温度は、採用した少なくとも1種のLCST化合物で求められた最高の曇点を上回る。
【0199】
「求められた最高の曇点(highest determined cloud point)」という用語は、先に開示された5つの、別の実施形態においては3つの方法を用いて測定した最高の曇点を意味している。なんらかの理由で、1つまたは2つの方法で曇点の測定が不可能である場合には、他の測定での最高の曇点を、求められた最高の曇点とみなす。
【0200】
1つの実施形態においては、その水性スラリーが、生成する水性スラリーのコポリマー粒子中に含まれるコポリマーを規準に計算して、10重量%未満、好ましくは7重量%未満、さらにより好ましくは5重量%未満、なおさらにより好ましくは3重量%未満の有機希釈剤のみを含むようになるまで有機希釈剤の除去を実施する。
【0201】
これまでは知られておらず、極めて驚くべきことに、一価もしくは多価金属イオンのカルボン酸塩および層状鉱物質から選択される抗凝集剤を極めて低レベルで含むか、さらには全く含まない、複数のコポリマー粒子を含む水性スラリーを実際に得ることができる。
【0202】
したがって、特に、定義されたコポリマー粒子に対して、抗凝集剤として0〜100℃、好ましくは5〜100℃、より好ましくは15〜80℃、さらにより好ましくは20〜70℃の曇点を有するLCST化合物を使用することも、本発明に同様に包含される。
【0203】
したがって、先に開示され、それ自体が工程c)に従って得ることが可能な水性スラリーもまた、本発明に包含される。
【0204】
工程c)によって得られる水性スラリーは、コポリマー粒子を単離された形態で得るための理想的な出発物質として役立つ。
【0205】
したがって、さらなる工程d)においては、工程c)によって得られた水性スラリー中に含まれているコポリマー粒子を分離して、コポリマー粒子を得ることができる。
【0206】
その分離は、浮遊選別法、遠心分離法、濾過法、脱水エクストルーダー中での脱水法、または流体から固体を分離するための当業者に公知のその他の手段によって実施することができる。
【0207】
1つの実施形態においては、必要に応じてLCST−化合物、水、および任意選択的にコポリマー粒子と共に除去されたその他の成分を置き換えた後に、分離された水性媒体を工程c)にリサイクルさせる。
【0208】
さらなる工程e)においては、工程d)によって得られたコポリマー粒子を乾燥させて、好ましくは揮発分の残存含量を、7,000以下、好ましくは5,000以下、さらにより好ましくは4,000以下、および別の実施形態においては2,000ppm以下、好ましくは1,000ppm以下とする。
【0209】
本明細書で使用するとき、「揮発分(volatile)」という用語は、標準圧力で250℃未満、好ましくは200℃以下の沸点を有する化合物を表し、水、さらには残存有機希釈剤を含む。
【0210】
工程e)の後で、ステアリン酸カルシウムを使用することなく、本発明において製造された物質は、標準的な方法で製造された物質と比較して、仕上げプロセスにおける微粉(fines)が少なくなることが観察された。微粉を減らすことは、汚染の面で有利となり、工程e)で必要とされるクリーニングの頻度を下げる。
【0211】
乾燥は、当業者に公知の慣用される手段で実施することができ、それには、加熱した金網コンベヤーベルト上での乾燥も含まれる。
【0212】
乾燥プロセスによって、コポリマー粒子を別の形状にすることも可能であり、以下においてはこれを再形成(reshaped)コポリマー粒子と呼ぶ。再形成コポリマー粒子は、たとえばペレットである。そのような再形成コポリマー粒子も、本発明に包含され、たとえば、エクストルーダー中で乾燥させ、次いでエクストルーダーの出口でペレット化させることによって得られる。そのようなペレット化は、水中で実施することもまた可能である。本発明によるプロセスによって、多価金属イオンを先例がない程度に低いレベルでのみ含む、コポリマー粒子および再形成コポリマー粒子を調製することが可能となる。
【0213】
したがって、本発明には、98.5重量%以上、好ましくは98.8重量%以上、より好ましくは99.0重量%以上、さらにより好ましくは99.2重量%以上、なおさらにより好ましくは99.4重量%以上、および別の実施形態においては99.5重量%、またはより好ましくは99.7重量%以上のコポリマー含量を有する(再形成)コポリマー粒子も包含される。
【0214】
1つの実施形態においては、その(再形成)コポリマー粒子が、その金属含量に基づいて計算し、かつ、工程b)によって得られた媒体中に存在しているコポリマーの量を規準にして、550ppm以下、好ましくは400ppm以下、より好ましくは300ppm以下、さらにより好ましくは250ppm以下、なおさらにより好ましくは150ppm以下、および別のなおさらにより好ましい実施形態においては100ppm以下の一価もしくは多価金属イオンの塩を含んでいる。
【0215】
1つの実施形態においては、その(再形成)コポリマー粒子には、5000ppm以下、好ましくは2,000ppm以下、より好ましくは1,000ppm以下、さらにより好ましくは500ppm以下、なおさらにより好ましくは100ppm以下、別のなおさらにより好ましい実施形態においては50ppm以下、好ましくは50ppm以下、より好ましくは10ppm以下、なおさらにより好ましくは0ppmの、イオン性もしくはノニオン性の界面活性剤、乳化剤、および抗凝集剤からなる群から選択される非LCST化合物を含んでいる。
【0216】
別の態様においては、本発明は、多価金属イオンの塩を、その金属含量に基づいて計算して、500ppm以下、好ましくは400ppm以下、より好ましくは250ppm以下、さらにより好ましくは150ppm以下、なおさらにより好ましくは100ppm以下、およびさらにより好ましい実施形態においては50ppm以下の量で含む、(再形成)コポリマー粒子を提供する。
【0217】
本発明による(再形成)コポリマー粒子が、抗酸化剤、たとえば、先に列記した抗酸化剤の少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。
【0218】
特に好ましいのは、ペンタエリスリトール−テトラキス−[3−(3,5−ジ−tert.−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン酸(Irganox(登録商標)1010としても知られている)、および2,6−ジ−tert.−ブチル−4−メチル−フェノール(BHT)である。
【0219】
(再形成)コポリマー粒子中の抗酸化剤の量は、たとえば50ppm〜1000ppm、好ましくは80ppm〜500ppm、および別の実施形態においては300ppm〜700ppmである。
【0220】
(再形成)コポリマー粒子中の抗酸化剤の量は、たとえば50ppm〜1000ppm、好ましくは80ppm〜500ppm、および別の実施形態においては300ppm〜700ppmである。
【0221】
典型的には、100重量%までの残りには、LCST化合物、揮発分、全部で採用した量までの多価金属イオンの塩、さらには低レベルの残存している一価金属イオンの塩、たとえば塩化ナトリウムが含まれる。
【0222】
1つの実施形態においては、(再形成)コポリマー粒子中に存在しているLCST化合物の量が、1ppm〜5,000ppm、好ましくは1ppm〜2,000ppm、およびより好ましい実施形態においては、5〜1,000ppmまたは5〜500ppmである。
【0223】
別の好ましい実施形態においては、(再形成)コポリマー粒子中に存在しているLCST化合物の量が、5〜100ppm、好ましくは5〜50ppm、より好ましくは5〜30ppmである。
【0224】
1つの実施形態においては、(再形成)コポリマー粒子中に存在している一価金属イオンの塩の量が、1ppm〜1,000ppm、好ましくは10ppm〜500ppm、およびより好ましい実施形態においては10〜200ppmである。
【0225】
1つの実施形態においては、(再形成)コポリマー粒子中に存在している多価金属イオンのステアリン酸塩またはパルミチン酸塩の量は、0〜4,000ppm、好ましくは0〜2,000ppm、より好ましくは0〜1,000ppm、およびより好ましい実施形態においては0〜500ppmである。
【0226】
したがって、1つの実施形態においては、本発明には、以下のものを含む(再形成)コポリマー粒子が包含される:
I)98.5重量%以上、好ましくは98.8重量%以上、より好ましくは、99.0重量%以上さらにより好ましくは99.2重量%以上、なおさらにより好ましくは99.4重量%以上、および別の実施形態においては99.5重量%以上のコポリマー、
II)0〜0.4重量%、好ましくは0〜0.2重量%、より好ましくは0〜0.1重量%、より好ましくは0〜0.05重量%の金属イオンの塩。
【0227】
LCST化合物が必須の成分として定義されている場合には、本発明には、コポリマー粒子または再形成コポリマー粒子(本明細書においては、それらを合わせて、(再形成)コポリマー粒子と呼ぶ)のみならず、LCST化合物を含む任意のタイプのコポリマー組成物もまた包含される。
【0228】
したがって、別の実施形態においては、本発明には、コポリマー組成物、特に以下のものを含む(再形成)コポリマー粒子が包含される:
I)98.5重量%以上、好ましくは98.8重量%以上、より好ましくは、99.0重量%以上さらにより好ましくは99.2重量%以上、なおさらにより好ましくは99.4重量%以上、および別の実施形態においては99.5重量%以上、好ましくは99.7重量%以上のコポリマー、
II)1ppm〜5,000ppm、好ましくは1ppm〜2,000ppm、およびより好ましい実施形態においては、5〜1,000ppmまたは5〜500ppmの、少なくとも1種のLCST化合物。
【0229】
さらに別の実施形態においては、本発明には、コポリマー組成物、特に以下のものを含む(再形成)コポリマー粒子が包含される:
I)98.5重量%以上、好ましくは98.8重量%以上、より好ましくは、99.0重量%以上さらにより好ましくは99.2重量%以上、なおさらにより好ましくは99.4重量%以上、および別の実施形態においては99.5重量%以上のコポリマー、
II)1ppm〜5,000ppm、好ましくは1ppm〜2,000ppm、およびより好ましい実施形態においては、5〜1,000ppmまたは5〜500ppmの、少なくとも1種のLCST化合物、および
III)0〜0.4重量%、好ましくは0〜0.2重量%、より好ましくは0〜0.1重量%、より好ましくは0〜0.05重量%の、多価金属イオンの塩、好ましくは多価金属イオンのステアリン酸塩およびパルミチン酸。
【0230】
多価金属イオンの塩は、ASTM D5667(再承認版、2010)によって測定することが可能な灰分含量に寄与するため、本発明にはさらに、98.5重量%以上、好ましくは98.8重量%以上、より好ましくは、99.0重量%以上、さらにより好ましくは99.2重量%以上、なおさらにより好ましくは99,4重量%以上、および別の実施形態においては99.5重量%以上のコポリマーを含み、およびASTM D5667に従って測定した灰分含量を、0.08重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、より好ましくは0.03重量%以下、さらにより好ましくは0.015重量%以下で有する、コポリマー組成物、特に(再形成)コポリマー粒子が包含される。
【0231】
好ましい実施形態においては、前述のコポリマー組成物、特に(再形成)コポリマー粒子にはさらに、1ppm〜5,000ppm、好ましくは1ppm〜2,000ppm、およびより好ましい実施形態においては5〜1,000ppmまたは5〜500ppmの少なくとも1種のLCST化合物が含まれる。
【0232】
さらに別の実施形態においては、本発明には、コポリマー組成物、特に以下のもの:
I)98.5重量%以上、好ましくは98.8重量%以上、より好ましくは、99.0重量%以上さらにより好ましくは99.2重量%以上、なおさらにより好ましくは99.4重量%以上、および別の実施形態においては99.5重量%以上のコポリマー、
II)1ppm〜5,000ppm、好ましくは1ppm〜2,000ppm、およびより好ましい実施形態においては、5〜1,000ppmまたは5〜500ppmの、少なくとも1種のLCST化合物、および
III)0〜0.4重量%、好ましくは0〜0.2重量%、より好ましくは0〜0.1重量%、より好ましくは0〜0.05重量%の非LCST化合物
を含む(再形成)コポリマー粒子が包含され、非LCST化合物は、:
・イオン性もしくはノニオン性の界面活性剤、乳化剤、および抗凝集剤からなる群から選択されるか、または別の実施形態においては、
・(一価もしくは多価)金属イオンの塩であるか、または別の実施形態においては、
・多価金属イオンのカルボン酸塩であるか、または別の実施形態においては、
・一価もしくは多価金属イオンのステアリン酸塩もしくはパルミチン酸塩であるか、または別の実施形態においては、
・カルシウムおよび亜鉛のステアリン酸塩もしくはパルミチン酸塩である。
【0233】
さらに別の実施形態においては、本発明には、コポリマー組成物、特に以下のものを含む(再形成)コポリマー粒子が包含される:
I)100重量部のコポリマー(100phr)、
II)0.0001〜0.5、好ましくは0.0001〜0.2、より好ましくは0.0005〜0.1、さらにより好ましくは0.0005〜0.05phrの、少なくとも1種のLCST化合物、および
III)0もしくは0.0001〜0.4、好ましくは0もしくは0.0001〜0.2、より好ましくは0もしくは0.0001〜0.1、さらにより好ましくは0もしくは0.0001〜0.05、なおさらにより好ましくは0もしくは0.0001〜0.01、最も好ましくは0もしくは0.0001〜0.003phrの非LCST化合物であって:
・イオン性もしくはノニオン性の界面活性剤、乳化剤、および抗凝集剤からなる群から選択されるか、または別の実施形態においては、
・(一価もしくは多価)金属イオンの塩であるか、または別の実施形態においては、
・多価金属イオンのカルボン酸塩であるか、または別の実施形態においては、
・一価もしくは多価金属イオンのステアリン酸塩もしくはパルミチン酸塩であるか、または別の実施形態においては、
・カルシウムおよび亜鉛のステアリン酸塩もしくはパルミチン酸塩である、
非LCST化合物、
IV)0もしくは0.005〜0.3、好ましくは0.05〜0.1、より好ましくは0.008〜0.05、さらにより好ましくは0.03〜0.07重量部の抗酸化剤、
V)0.005〜1.5、好ましくは0.05〜1.0、より好ましくは0.005〜0.5、さらにより好ましくは0.01〜0.3、なおさらにより好ましくは0.05〜0.2重量部の、標準圧力で200℃以下の沸点を有する揮発分。
【0234】
好ましくは前述の成分I)〜V)は、合計して、コポリマー組成物、特に(再形成)コポリマー粒子の全重量の100.00501〜102.700000重量部、好ましくは100.00501〜101.500000重量部、より好ましくは100.00501〜101.500000重量部、さらにより好ましくは100.01〜101.00重量部(phr)、なおさらにより好ましくは100.10〜100.80重量部、なおさらにより好ましくは100.10〜100.60重量部になり、かつ一緒になって、99.50〜100.00重量%、または別の実施形態においては99.80〜100.00重量%、好ましくは99.90〜100.00重量%、より好ましくは99.95〜100.00重量%、なおさらにより好ましくは99.97〜100.00重量%を占める。
【0235】
残りがいくらかでもある場合、それは、前述の成分のいずれでもない塩または成分、たとえば、工程c)において使用した水性媒体を調製するのに用いた水に由来するものか、または工程b)において採用された開始剤系から残る、分解反応生成物および塩を含む生成物を表していてよい。
【0236】
1つの実施形態における上述のコポリマー組成物すべてにおいてはさらに、ASTM D5667に従って測定した灰分含量が、たとえば0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.080重量%以下、さらにより好ましくは0.050重量%以下、または別の実施形態においては0.030重量%以下、好ましくは0.020重量%以下、より好ましくは0.015重量%以下である。
【0237】
さらに別の実施形態においては、本発明には、以下のもの:
I)96.0重量%以上、好ましくは97.0重量%以上、より好ましくは、98.0重量%以上さらにより好ましくは99.0重量%以上、なおさらにより好ましくは99.2重量%以上、および別の実施形態においては99.5重量%以上のコポリマー、および
II)1ppm〜5,000ppm、好ましくは1ppm〜2,000ppm、およびより好ましい実施形態においては、5〜1,000ppmまたは5〜500ppmの少なくとも1種のLCST化合物
を含むコポリマー組成物が包含される、そのコポリマー組成物がさらに、0.25重量%以下、好ましくは0.15重量%以下、より好ましくは0.10重量%以下、さらにより好ましくは0.05重量%以下の、ASTM D5667に従って測定した灰分含量を有している。
【0238】
さらに別の実施形態においては、本発明には、以下のもの:
I)100重量部(phr)のコポリマー、
II)0.0001〜0.5、好ましくは0.0001〜0.2、より好ましくは0.0005〜0.1、さらにより好ましくは0.0005〜0.05重量部(phr)の、少なくとも1種のLCST化合物、ならびに
III)0もしくは0.005〜0.3、好ましくは0.005〜0.1、より好ましくは0.008〜0.05、さらにより好ましくは0.03〜0.07重量部(phr)の抗酸化剤、
IV)0.005〜1.5、好ましくは0.05〜1.0、より好ましくは0.005〜0.5、さらにより好ましくは0.01〜0.3、なおさらにより好ましくは0.05〜0.2重量部(phr)の、標準圧力で200℃以下の沸点を有する揮発分
を含むコポリマー組成物が包含され、そのコポリマー組成物はさらに、0.25重量%以下、好ましくは0.15重量%以下、より好ましくは0.10重量%以下、さらにより好ましくは0.05重量%以下の、ASTM D5667に従って測定した灰分含量を有している。
【0239】
好ましくは、前述の成分I)〜IV)は、合計して、100.00501〜102.300000重量部となり、かつ一緒になって、コポリマー組成物の全重量の99.00〜100.00重量%、または別の実施形態においては99.50〜100.00重量%、好ましくは99.70〜100.00重量%を占める。
【0240】
遊離のカルボン酸およびそれらの塩、特にステアリン酸およびパルミチン酸のカルシウム塩および亜鉛塩の測定は、フレームイオン化検出器付きのガスクロマトグラフィー(GC−FID)を使用し、以下の手順に従った測定で実施することができる:
2gのコポリマー組成物のサンプルを、0.0001gの精度で秤量し、100mLのジャー内に入れ、次のものと組み合わせる:
a)遊離のカルボン酸のレベルを測定しようとする場合には、25mLヘキサン、1,000mLの内部標準溶液、
b)カルボン酸塩のレベルを測定しようとする場合には、25mLヘキサン、1,000mLの内部標準溶液および5滴の濃硫酸。
【0241】
そのジャーを、シェーカーの上に12時間置く。次いで、23mlのアセトンを添加し、残っている混合物を50℃で蒸発乾固させ、それには典型的には30分かかる。
【0242】
その後で、10mlのメタノールおよび2滴の濃硫酸を加え、振盪して混合し、50℃で1時間加熱して、カルボン酸をそれらのメチルエステルに転化させる。その後、10mlのヘキサンと、10mlの脱イオン水とを加え、激しく振盪させて、最終的には、ヘキサン層を放置分離させる。2mlのヘキサン溶液を使用して、GC−FID分析をする。
【0243】
当業者には公知のように、工業グレードのステアリン酸塩、たとえばステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸亜鉛には、他のカルボン酸、たとえばパルミチン酸のカルシウムおよび亜鉛塩の画分も含まれている。しかしながら、GC−FIDでは、他のカルボン酸の含量も同様に測定することができる。
【0244】
カルボン酸塩、特にステアリン酸塩およびパルミチン酸塩の直接測定を、FTIRにより、以下のようにして実施することができる:紙のサンプルホルダー内でゴムのサンプルをシリコーン剥離紙の2枚のシートの間でプレスして、赤外分光計で分析する。ステアリン酸カルシウムのカルボニルピークは、1541.8および1577.2cm
−1に認められる。熱で転換させたステアリン酸カルシウムのピーク(ステアリン酸カルシウムの別の変態、たとえば、Journal of Colloid Science,Volume 4,Issue 2,April 1949,p.93−101参照)は、1562.8および1600.6cm
−1に認められ、これらも、ステアリン酸カルシウムの計算に含める。これらのピークを950cm
−1のピークに比例させて、サンプルの厚みの変動を相殺する。
【0245】
所定のレベルでステアリン酸カルシウムを含む公知の標準とピーク高さを比較することによって、ステアリン酸カルシウムの濃度を求めることができる。同じことが、他のカルボン酸塩、特にステアリン酸塩およびパルミチン酸塩にも同様にあてはまる。たとえば、ステアリン酸亜鉛では、単一のカルボニルピークが1539.5cm
−1に認められ、ステアリン酸ナトリウムでは、単一のカルボニルピークが1558.5cm
−1に認められる。
【0246】
一価もしくは多価金属イオンの含量、カルシウムおよび亜鉛の含量などの特に多価金属イオンの含量は一般的には求めることが可能であり、特に断らない限り、EPA 3052 Method Cに従った誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP−AES)によって求めることができ、それには、EPA 6010 Method Cに従ったマイクロ波蒸解後、NISTトレーサブル較正標準を使用した。
【0247】
加えてまたは別の方法として、各種の元素の含量を、蛍光X線(XRF)によって測定することができる。十分なエネルギーのX線を用いてサンプルを照射して、対象の元素を励起させる。それらの元素は、その元素のタイプに特有のエネルギーを放出するため、適切な検出器によってそれを検出する。公知の濃度および同様のマトリックスの標準と比較することによって、目的とする元素の定量値が得られるであろう。LCST化合物の含量、特にメチルセルロースの含量は、測定可能であり、PolySep−GFC−P4000、300×7.8mm水性GFCカラムおよびPolySep−GFC−P4000、35×7.8mmガードカラム、およびWaters 2414示差屈折計を備えた、Waters Alliance 2690/5分離モジュールを用いたゲル濾過クロマトグラフィーを使用し、既知濃度の標準に対比させて測定した。ゲル濾過クロマトグラフィーは、分子量に基づいた分離をするため、異なる分子量範囲をまたいでLCST化合物を分析するためには、上述のものとは異なるカラムを採用する必要があり得る。
【0248】
サンプルは、たとえば以下の手順に従って調製する:
2gのコポリマー組成物のサンプルを、0.0001gの精度で秤量し、低速のシェーカーを使用し、一晩かけて、密閉したバイアル内で30mlヘキサンに溶解させる。室温で、HPLCグレードの水を正確に5ml加え、バイアルに再び栓をして、さらに30分間振盪させる。相分離をさせてから、ゲル濾過クロマトグラフィーのためにその水相を使用し、0.45ミクロンのシリンジフィルターを介して注入した。
【0249】
当業者には自明のように、別の分析方法を使用すると、わずかに異なる結果が得られる可能性がある。しかしながら、少なくとも上述の方法に関する限りにおいては、それらの結果は、それらに特有の誤差限界の範囲内で矛盾がないことが見出された。
【0250】
好ましいコポリマーは、上のプロセスのセクションで既に述べたものであり、少なくとも1種のイソオレフィンおよび少なくとも1種のマルチオレフィンから誘導される繰り返し単位を含むコポリマーが挙げられる。
【0251】
好適なイソオレフィンとしては、4〜16個の炭素原子、好ましくは4〜7個の炭素原子を有するイソオレフィンモノマー、たとえばイソブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテンが挙げられる。好ましいイソレフィンは、イソブテンである。
【0252】
好適なマルチオレフィンの例としては、以下のものが挙げられる:イソプレン、ブタジエン、2−メチルブタジエン、2,4−ジメチルブタジエン、ピペリリン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、2−ネオペンチルブタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、4−ブチル−1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2,3−ジブチル−1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,6−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、および1−ビニル−シクロヘキサジエン。
【0253】
好ましいマルチオレフィンは、イソプレンおよびブタジエンである。イソプレンが特に好ましい。
【0254】
それらのコポリマーは、イソオレフィンでもマルチオレフィンでもないさらなるオレフィンから誘導される繰り返し単位をさらに含んでいても、含んでいなくてもよい。
【0255】
そのような好適なオレフィンとしては、β−ピネン、スチレン、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、o−、m−およびp−アルキルスチレン、たとえば、o−、m−およびp−メチル−スチレンなどが挙げられる。
【0256】
本発明において製造されるコポリマーのマルチオレフィン含量は、特にイソブテンおよびイソプレンが採用される場合、典型的には0.1mol%以上、好ましくは0.1mol%〜15mol%、別の実施形態においては0.5mol%以上、好ましくは0.5mol%〜10mol%、別の実施形態においては0.7mol%以上、好ましくは0.7〜8.5mol%、特には0.8〜1.5、または1.5〜2.5mol%、または2.5〜4.5mol%、または4.5〜8.5mol%である。
【0257】
別の実施形態においては、本発明において製造されるコポリマーのマルチオレフィン含量は、特にイソブテンおよびイソプレンが採用される場合、0.001mol%以上、好ましくは0.001mol%〜3mol%である。
【0258】
「マルチオレフィン含量」という用語は、コポリマーのすべての繰り返し単位を規準にした、マルチオレフィンから誘導される繰り返し単位のモル量を表している。本発明において得られるコポリマー粒子は、典型的には、軽量で、クラム状の物質の外観を有している。
【0259】
1つの実施形態においては、それらのコポリマー粒子は、0.05kg/L〜0.800kg/Lのかさ密度を示す。
【0260】
さらなる工程e)において、工程f)で得られたコポリマー粒子を、成形プロセス、たとえばベーリングにかける。
【0261】
したがって、本発明には、工程e)で得られたコポリマー粒子を成形、特にベーリングすることによって得ることが可能な成形物品、特にベールも包含される。成形は、当業者には公知の、そのような目的のための任意の標準的な機器を用いて実施することができる。ベーリングは、たとえば、慣用される市販品のべーラーを用いて実施することができる。(再形成)コポリマー粒子から製造されるか、またはそれらを含む成形物品もまた、より広い用語の「コポリマー組成物」として包含される。
【0262】
1つの実施形態においては、その成形物品、特にベールが、0.700kg/L〜0.850kg/Lの密度を示す。
【0263】
別の実施形態においては、その成形物品が、立方体であり、10〜50kg、好ましくは25〜40kgの重量を有している。
【0264】
当業者には自明のように、成形物品、特にベールの密度は、それを製造するのに採用したコポリマー粒子のかさ密度よりも高い。
【0265】
ブレンド物
コポリマー組成物、特にコポリマー粒子、再形成ポリマー粒子、および(再形成)コポリマー粒子から作成するか、またはそれらを含む成形物品は、以後においては、本発明におけるコポリマーと呼ぶことにする。1種または複数の本発明におけるコポリマーを、相互にブレンドするか、または少なくとも1種の第二のゴム(secondary rubber)を追加するか、もしくはそれらで置き換えてブレンドすることも可能であり、それらは、好ましくは以下のものからなる群から選択される:天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリ(スチレン−co−ブタジエン)ゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ペルフルオロエラストマー(FFKM/FFPM)、エチレン酢酸ビニル(EVA)ゴム、エチレンアクリレートエステルゴム、ポリスルフィドゴム(TR)、ポリ(イソプレン−co−ブタジエン)ゴム(IBR)、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴム(SIBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンM−クラスゴム(EPDM)、ポリフェニレンスルフィド、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、プロピレンオキシドポリマー、スター分岐状ブチルゴムおよびハロゲン化スター分岐状ブチルゴム、本発明の対象とはなっていない、すなわち、多価金属イオンのレベルまたは純度のグレードが異なるブチルゴム、臭素化ブチルゴムおよび塩素化ブチルゴム、スター分岐状のポリイソブチレンゴム、スター分岐状の臭素化ブチル(ポリイソブチレン/イソプレンコポリマー)ゴム;ポリ(イソブチレン−co−p−メチルスチレン)およびハロゲン化ポリ(イソブチレン−co−p−メチルスチレン)、ハロゲン化ポリ(イソブチレン−co−イソプレン−co−p−メチルスチレン)、ポリ(イソブチレン−co−イソプレン−co−スチレン)、ハロゲン化ポリ(イソブチレン−co−イソプレン−co−スチレン)、ポリ(イソブチレン−co−イソプレン−co−アルファ−メチルスチレン)、ハロゲン化ポリ(イソブチレン−co−イソプレン−co−α−メチルスチレン)。
【0266】
本発明におけるコポリマーまたは上述の第二のゴムとのブレンド物の1種または複数を、追加としてまたは置き換えとして、たとえば同時または別途に、好ましくは以下のものからなる群から選択される少なくとも1種の熱可塑性ポリマーとさらにブレンドしてもよい:ポリウレタン(PU)、ポリアクリル系エステル(ACM、PMMA)、熱可塑性ポリエステルウレタン(AU)、熱可塑性ポリエーテルウレタン(EU)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)。
【0267】
本発明におけるコポリマー、または第二のゴムおよび/または上述の熱可塑性ポリマーとのブレンド物の1種または複数を、1種または複数の充填剤とコンパウンディングしてもよい。
【0268】
その充填剤は、非鉱物質充填剤、鉱物質充填剤、またはそれらの混合物であってよい。ある種の実施形態においては非鉱物質充填剤が好ましく、たとえば、カーボンブラック、ゴムゲル、およびそれらの混合物が挙げられる。好適なカーボンブラックは、ランプブラック、ファーネスブラック、またはガスブラックプロセスで調製したものが好ましい。カーボンブラックは、20〜200m
2/gのBET比表面積を有しているのが好ましい。カーボンブラックいくつかの具体例は、SAF、ISAF、HAF、FEF、およびGPFカーボンブラックである。ゴムゲルは、ポリブタジエン、ブタジエン/スチレンコポリマー、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、またはポリクロロプレンをベースとするものが好ましい。
【0269】
好適な鉱物質充填剤としては、たとえば以下のものが挙げられる:シリカ、シリケート、クレー、ベントナイト、バーミキュライト、ノントロナイト、バイデライト、ボルコンスコイト、ヘクトライト、サポナイト、ラポナイト、ソーコナイト、マガダイト(magadiite)、ケンヤイト(kenyaite)、レジカイト(ledikite)、セッコウ、アルミナ、タルク、ガラス、金属酸化物(たとえば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム)、金属炭酸塩(たとえば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛)、金属水酸化物(たとえば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム)、またはそれらの混合物。
【0270】
鉱物質充填剤として使用するのに好適な乾燥非晶質シリカ粒子は、1〜100ミクロン、または10〜50ミクロン、または10〜25ミクロンの範囲の平均凝集粒子径を有していてよい。1つの実施形態においては、凝集粒子の10容量パーセント未満が、5ミクロン未満のサイズであってよい。1つの実施形態においては、凝集粒子の10容量パーセント未満が、50ミクロンを超えるサイズであってよい。好適な非晶質乾燥シリカは、DIN(ドイツ工業規格)66131に従って測定して、たとえば50〜450m
2/gのBET表面積を有しているのがよい。DBP吸収量は、DIN 53601に従って測定して、シリカ100グラムあたり、150〜400グラムであるのがよい。乾燥損失は、DIN ISO 787/11に従って測定して、0〜10重量パーセントであればよい。好適なシリカ充填剤は、以下の名称で市販されている:HiSil(商標)210、HiSil(商標)233、およびHiSil(商標)243(PPG Industries Inc.から入手可能)。同様に好適なのが、Bayer AGから市販されているVulkasil(商標)SおよびVulkasil(商標)Nである。
【0271】
本発明において有用な高いアスペクト比の充填剤としては、クレー、タルク、マイカなどが挙げられ、それらのアスペクト比は、少なくとも1:3である。充填剤としては、プレート状または針状の構造を有する、非円板系(acircular)または非等軸系の物質が挙げられる。アスペクト比は、そのプレートの面と同じ面積の円の平均直径の、そのプレートの平均厚みに対する比率と定義される。針状および繊維形状の充填剤の場合のアスペクト比は、長さ対直径の比率である。高アスペクト比の充填剤は、少なくとも1:5、または少なくとも1:7、または1:7〜1:200の範囲のアスペクト比を有していてよい。高アスペクト比の充填剤は、たとえば、0.001〜100ミクロン、または0.005〜50ミクロン、または0.01〜10ミクロンの範囲の平均粒径を有していてよい。好適な高アスペクト比の充填剤は、DIN(ドイツ工業規格)66131に従って測定して、5〜200m
2/gのBET表面積を有していてよい。高アスペクト比の充填剤としては、ナノクレー、たとえば有機変性ナノクレーが挙げられる。ナノクレーの例としては、天然の粉砕スメクタイトクレー(たとえば、ナトリウムもしくはカルシウムモンモリロナイト)、または合成クレー(たとえば、ハイドロタルサイトまたはラポナイト)が挙げられる。1つの実施形態においては、その高アスペクト充填剤として、有機変性モンモリロナイトナノクレーが挙げられる。当業者には公知であるように、遷移金属をオニウムイオンに置換してクレーを変性して、クレーに界面活性的官能性を付与し、それによって、一般的には疎水性のポリマー環境中へクレーを分散させるのに役立たせてもよい。1つの実施形態においては、オニウムイオンは、リンベース(たとえば、ホスホニウムイオン)または窒素ベース(たとえば、アンモニウムイオン)であり、2〜20個の炭素原子を有する官能基を含んでいる。それらのクレーは、たとえば容積で25μm未満のナノメートルスケール粒径で提供される。その粒径は、1〜50μm、または1〜30μm、または2〜20μmの範囲である。そのナノクレーには、シリカに加えて、いくらかの割合でアルミナが含まれていてもよい。たとえば、ナノクレーに、0.1〜10重量%のアルミナ、または0.5〜5重量%のアルミナ、または1〜3重量%のアルミナが含まれていてもよい。高アスペクト比鉱物質充填剤として市販されている有機変性ナノクレーの例としては、たとえば商品名Cloisite(登録商標)クレー10A、20A、6A、15A、30B、または25Aとして販売されているものが挙げられる。
【0272】
以後においては、本発明におけるコポリマー、または第二のゴムおよび/または熱可塑性ポリマーとのブレンド物、または上述のコンパウンド物の1種または複数は、まとめてポリマー反応生成物と呼ぶものとし、それらは、たとえば次の他の成分をさらに含んでいてもよい:硬化剤、反応促進剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、抗酸化剤、発泡剤、老化防止剤、熱安定剤、光安定剤、オゾン安定剤、加工助剤、可塑剤、粘着付与剤、発泡剤、染料、顔料、ワックス、エクステンダー、有機酸、抑制剤、金属酸化物、および活性剤、たとえばトリエタノールアミン、ポリエチレングリコール、ヘキサントリオールなど(これらは、ゴム工業界では公知である)。それらの成分は、慣用される量で使用され、それは、特に意図されている用途に依存する。本発明におけるコポリマーが、特定の用途のためのコンパウンド物を調製するのに特に有用であることが見出された。
【0273】
1つの実施形態においては、本発明には、シーラント、特に本発明におけるコポリマーを含む窓用シーラントが包含される。
【0274】
断熱ガラスユニットは、開閉、風、温度変化など各種の負荷に曝露される。さらに、湿度、UV線、および熱への曝露下で、それらの変形に適応するシーラントの性能が、その断熱ガラスユニットの実用寿命を決定する。断熱ガラスの製造者に要求されている、別の重大な性能が、化学的フォギング(chemical fogging)と呼ばれている現象を回避することである。その試験は、ASTM E2189に従って実施することができる。化学的フォギングは、そのガラスシートの内側表面に徐々に析出してくる揮発性の有機化学物質の目障りな蓄積である。そのようなフォギングは、シーラントからの揮発分によって起こされる可能性があり、そのため、窓用シーラントの配合物は、ユニットの内側でフォギングの原因となる成分を含んでいてはならない。このコポリマーを含むシーラントでは、フォギングを顕著に抑制するか、または全くないようにすることができることが見出された。具体的には、本発明には、本発明によるコポリマーを、0.1〜60重量%、好ましくは0.5〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%、より好ましくは15〜30重量%の量で含むシーラント、特に窓用シーラントが包含され、ここでそのシーラント、特に窓用シーラントには、コポリマー対一価および多価金属イオンのカルボン酸塩の比が、少なくとも250:1、好ましくは少なくとも500:1、より好ましくは少なくとも1000:1、なおさらにより好ましくは少なくとも2000:1で含まれている。そのような比率は、慣用されるコポリマーの製造方法を使用したのでは、達成不可能である。
【0275】
シーラント、特に窓用シーラントには、さらに以下のものが含まれる:
・少なくとも1種の、先に定義されたような充填剤、および/または
・少なくとも1種の第二のゴムおよび/または非晶性熱可塑性ポリマー、および/または
・少なくとも1種の、先に定義されたような抗酸化剤、および/または
・少なくとも1種の炭化水素樹脂。
【0276】
シーラント、特に窓用シーラントのための好ましい充填剤は、以下のものからなる群から選択される:カーボンブラックおよび補強性の無色または白色のフィラー、好ましくは炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、クレー、たとえば、カオリンクレー、二酸化チタン、マイカ、タルク、およびシリカ。炭酸カルシウムが特に好ましい。
【0277】
シーラント、特に窓用シーラントのための好ましい第二のゴムは、先に列記したものからなる群から選択される。
【0278】
シーラント、特に窓用シーラントのための好ましい抗酸化剤は、先に列記したものからなる群から選択され、少なくとも500の分子量を有するもの、たとえばIrganox(登録商標)1010が好ましい。
【0279】
本明細書で使用するとき、「炭化水素樹脂(hydrocarbon resin)」という用語は、当業者には公知であり、液状の可塑剤化合物、たとえばオイル類とは異なり、23℃で固体である化合物を指している。
【0280】
炭化水素樹脂は、典型的には、炭素と水素をベースとするポリマーであり、ポリマーマトリックスにおいて、特に可塑剤または粘着付与剤として使用することができる。それらは、たとえばR.Mildenberg,M.Zander,G.Collin,“Hydrocarbon Resins”(New York,VCH,1997,ISBN 3−527−28617−9)という題名の文献に記載されており、その第5章が、それらの用途にあてられている。
【0281】
それらは、脂肪族、脂環族、芳香族、水素化芳香族などであってよい。それらは、天然であっても合成であってもよく、石油をベースにしていても、していなくてもよい(石油をベースとしている場合、それは「石油樹脂」として知られている)。
【0282】
それらのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは0℃より上、好ましくは50℃より上、より好ましくは50℃〜150℃、さらにより好ましく80〜120℃である。
【0283】
炭化水素樹脂は、加熱すれば軟化し、そのため成形することが可能であるという意味で熱可塑性樹脂と呼んでもよい。それらは、軟化点、すなわち、たとえば粉体の形態にある製品が粘着性になる温度によって定義することもできる。この軟化点は、融点に代わって使用される傾向があり、樹脂の融点は、一般的に、定義が極めて困難である。
【0284】
好ましい炭化水素樹脂は、50℃より高い、好ましくは50〜150℃、より好ましくは80〜120℃の軟化点を示す。
【0285】
本発明の好ましい実施形態においては、その炭化水素樹脂が、以下の特性の、少なくともいずれか1つ、より好ましくは全部を有している:
i)50〜150℃のTg、
ii)50〜150℃の軟化点、
iii)400〜2000g/molの数平均分子量(Mn)、
iv)3未満の多分散性指数。
【0286】
Tgは、ASTM D3418(1999)標準に従って測定する。軟化点は、ISO 4625標準(環球法(“Ring and Ball”method))に従って測定する。マクロ構造(Mw、Mn、および多分散性指数)は、以下の条件の立体排除クロマトグラフィー(SEC)により求める:テトラヒドロフラン溶媒、35℃、濃度、1g/L濃度;流速、1ml/分;溶液は、注入前に、開口0.45マイクロメートルを有するフィルターで濾過;ポリスチレンを使用したMoore較正;3本のWATERSカラム(“STYRAGEL”HR4E,HR1、およびHR0.5)を直列で使用;示差屈折系(WATERS 2410)検出器、およびそれに付属している操作ソフトウェア(WATERS EMPOWER)。
【0287】
好適な炭化水素樹脂の例としては、以下のものが挙げられる:シクロペンタジエン(略してCPD)またはジシクロペンタジエン(略してDCPD)のホモポリマーもしくはコポリマー樹脂、テルペンのホモポリマーもしくはコポリマー樹脂、C5留分(C5−cut)のホモポリマーもしくはコポリマー樹脂、およびそれらの樹脂のブレンド物。
【0288】
市販されている好適な炭化水素樹脂としては、たとえば以下のものが挙げられる:部分水素化脂環族石油炭化水素樹脂であって、Eastman Chemical Co.(Kingsport,Tenn.)から、たとえば、商品名EASTOTAC H−100、H−115、H−130、およびH−142のEASTOTACシリーズとして入手可能なもの(これらは、グレードE、R、L、およびWとして入手可能であり、それらは、最小の水素化(E)から最大の水素化(W)まで、異なる水素化のレベルを有している)、Exxon Chemical Co.(Houston,TEX.)からの、たとえば、商品名ESCOREZ 1310、ESCOREZ 5300、およびESCOREZ 5400のESCOREZシリーズ、およびHercules(Wilmington,Del.)からの商品名HERCOLITE 2100;部分水素化芳香族変性石油炭化水素樹脂であって、Exxon Chemical Co.から入手可能な商品名ESCOREZ 5600;脂肪族−芳香族石油炭化水素樹脂であって、Goodyear Chemical Co.(Akron,Ohio)から入手可能な商品名WINGTACK EXTRA;d−リモネンから製造されたスチレン化テルペン樹脂であって、Arizona Chemical Co.(Panama City,Fla.)から入手可能な商品名ZONATAC 105 LITE;芳香族水素化炭化水素樹脂であって、Herculesから入手可能な商品名REGALREZ 1094;ならびにアルファメチルスチレン樹脂であって、Herculesから商品名KRISTALEX 3070、3085、および3100として入手可能なもの(これらはそれぞれ、70℃、85℃、および100℃の軟化点を有している)。
【0289】
「非晶質熱可塑性プラスチック」という用語には、非晶質のポリプロピレン,エチレン−プロピレンコポリマー、およびブテン−プロピレンコポリマーが含まれる。
【0290】
1つの実施形態においては、本発明によるシーラント、特に窓用シーラントが、以下のもの:
・0.1〜60重量%、好ましくは0.5〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%、より好ましくは15〜30重量%の、少なくとも1種の本発明によるコポリマー、
・0.1〜40重量%、好ましくは10〜30重量%、より好ましくは10〜25重量%の、少なくとも1種の充填剤、
・0.1〜30重量%、好ましくは10〜30重量%、より好ましくは15〜25重量%の、少なくとも1種の第二のゴム、
・0.01〜2重量%、好ましくは0.1〜1重量%、より好ましくは0.1〜0.8重量%の、少なくとも1種の抗酸化剤、
・0、または0.01〜30重量%、好ましくは10〜30重量%、より好ましくは15〜25重量%の、少なくとも1種の非晶質熱可塑性プラスチック
を含み、そのシーラント、特に窓用シーラントは、コポリマー対一価〜多価金属イオンのカルボン酸塩が、少なくとも250:1、好ましくは少なくとも500:1、より好ましくは少なくとも1000:1、なおさらにより好ましくは少なくとも2000:1の比率で含み、
前述の成分が、それらを合計してシーラントまたは窓用シーラントの全重量の80〜100%、好ましくは80〜100重量%、より好ましくは95〜100重量%になるように選択される。
【0291】
100重量%までの残りとして、以下のその他の添加剤が含まれていてもよい:熱安定剤、光安定剤(たとえば、UV光安定剤および吸収剤)、蛍光増白剤、帯電防止剤、潤滑剤、抗酸化剤、触媒、レオロジー調節剤、殺虫剤、腐食抑制剤、吸水材、有機溶媒、着色剤(たとえば、顔料および染料)、粘着防止剤、成核剤、難燃剤、およびそれらの組合せ。その他の添加剤のタイプおよび量を選択して、シーラントの早期硬化を引き起こす可能性のある湿分の存在を最小化させる。
【0292】
本発明によるシーラント、特に窓用シーラントが、独特なフォギング挙動を示すと共に極めて良好なバリヤー性能を有しているため、前述のシーラントまたは窓用シーラントを含む、シールされた物品、特に窓もまた、本発明に包含される。
【0293】
さらなるポリマー反応生成物にはさらに、それらを硬化させる硬化系も含まれる。
【0294】
使用するのに好適な硬化系の選択には、特段の制限はなく、当業者の領域の範囲内である。ある種の実施形態においては、その硬化系が、硫黄ベース、ペルオキシドベース、樹脂ベース、または紫外(UV)光ベースのいずれであってもよい。硫黄ベースの硬化系には、次のものが含まれる:(i)少なくとも1種の金属酸化物(任意成分)、(ii)元素状硫黄、および(iii)少なくとも1種の硫黄ベースの促進剤。硫黄硬化系の中の一成分として金属酸化物を使用することは、当業者にはよく知られており、好ましい。
【0295】
好適な金属酸化物は酸化亜鉛であり、約1〜約10phrの量で使用することができる。別の実施形態においては、約2〜約5phrの量で酸化亜鉛が使用されてもよい。
【0296】
元素状硫黄は、典型的には、約0.2〜約2phrの量で使用される。
【0297】
好適な硫黄ベース促進剤は、約0.5〜約3phrの量で使用してもよい。
【0298】
有用な硫黄ベースの促進剤の非限定的な例として、以下のものが挙げられる:チウラムスルフィド(たとえば、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD))、チオカルバメート(たとえば、亜鉛ジメチルジチオカルバメート(ZDMC)、亜鉛ジブチルジチオカルバメート(ZDBC)、亜鉛ジベンジルジチオカルバメート(ZBEC))、ならびにチアジルもしくはベンゾチアジル化合物(たとえば、4−モルホリニル−2−ベンゾチアジルジスルフィド(Morfax)、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、およびメルカプトベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)。特記すべき硫黄ベースの促進剤は、メルカプトベンゾチアジルジスルフィドである。
【0299】
特定の性質、特に本発明におけるコポリマーの不飽和レベルに合わせて、ペルオキシドベースの硬化系もまた、好適であり得る。ペルオキシドベース硬化系には、たとえば以下のペルオキシド硬化剤が含まれていてよい:ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、2,2’−ビス(tert.−ブチルペルオキシジイソプロピルベンゼン(Vulcup(登録商標)40KE)、ベンゾイルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、(2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンなど。そのような1つのペルオキシド硬化剤には、ジクミルペルオキシドが含まれ、Dicup40Cの名前で市販されている。ペルオキシド硬化剤は、約0.2〜7phr、または約1〜6phr、または約4phrの量で使用するのがよい。ペルオキシド硬化の架橋助剤を使用してもよい。好適なペルオキシド硬化の架橋助剤は、たとえば、以下のものである:トリアリルイソシアヌレート(TAIC)(DuPontからDIAK7の名称で市販されている)、N,N’−m−フェニレンジマレイミド(DuPontまたはDowからのHVA−2として知られている)、トリアリルシアヌレート(TAC)、またはRicon D 153(Ricon Resins製)として知られている液状ポリブタジエン。ペルオキシド硬化の架橋助剤を、ペルオキシド硬化剤に対して当量またはそれ以下の量で使用してもよい。ペルオキシド硬化された物品の状態は、高いレベルの不飽和を有する、たとえば少なくとも0.5mol%のマルチオレフィン含量のブチルポリマーを用いて向上させる。
【0300】
ポリマー反応生成物は、樹脂硬化系と、必要に応じて樹脂硬化を活性化させるための促進剤とによって硬化させてもよい。好適な樹脂としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:フェノール樹脂、アルキルフェノール系樹脂、アルキル化フェノール、ハロゲン化アルキルフェノール系樹脂、およびそれらの混合物。
【0301】
ブチルゴムを硬化させるために使用した場合、任意選択的に、ハロゲン活性化剤を使用して、架橋の生成を促す。そのような活性剤としては、塩化第一スズまたはハロゲン含有ポリマー、たとえばポリクロロプレンが挙げられる。典型的には、樹脂硬化系にはさらに、酸化亜鉛などの金属酸化物が含まれる。
【0302】
その中のメチロール基のヒドロキシル基のいくつかが、たとえば臭素で置換されているハロゲン化樹脂は、より活性が高い。そのような樹脂を使用すれば、ハロゲン活性化剤を追加して使用する必要はない。
【0303】
ハロゲン化フェノールアルデヒド樹脂の実例は、Schenectady Chemicals,Inc.で調製されて、樹脂SP1055およびSP1056と呼ばれているものである。SP1055樹脂は、約9〜約12.5%のメチロール含量と約4%の臭素含量とを有しているが、それに対してSP1056樹脂は、約7.5〜約11%のメチロール含量と約6%の臭素含量とを有している。商品形態の非ハロゲン化樹脂としては、約7〜約9.5%のメチロール含量を有するSP−1044、および約8〜約11%のメチロール含量を有するSP−1045が入手可能である。
【0304】
樹脂硬化系の各種の成分の選択および必要量は、当業者には公知であり、そのゴム化合物の所望される末端用途に依存する。不飽和を有するエラストマー、特にブチルゴムの加硫に使用される樹脂硬化は、以下の文献に詳しく記載されている:“Rubber Technology”,Third Edition,Maurice Morton,ed.,1987,p.13−14,23、さらには特許文献、たとえば、米国特許第3,287,440号明細書および米国特許第4,059,651号明細書を参照されたい。
【0305】
前述の硫黄ベースの硬化系、樹脂硬化系、およびペルオキシドベースの硬化系が、本発明におけるコポリマーとの組合せにおいて特に有用であるため、本発明にはさらに、上述のような硫黄ベースの硬化系、樹脂硬化系、およびペルオキシドベースの硬化系、ならびに本発明におけるコポリマーを含む硬化化合物のための特定の成分の単独および組合せでの使用も包含される。
【0306】
未硬化または硬化に関わらず、先に開示されたポリマー反応生成物が、本発明におけるコポリマーのそれらの含量に関連して、多価金属イオンの塩のレベル、特に多価金属イオンのステアリン酸塩およびパルミチン酸塩のレベルを示す限りにおいて、それらはそのままで新規であり、したがって同様に、本発明に包含される。
【0307】
本発明にはさらに、上述のポリマー反応生成物を調製するための本発明におけるコポリマーの使用、および先に述べた成分をブレンドまたはコンパウンディングすることによる、上述のポリマー反応生成物を調製するためのプロセスも包含される。
【0308】
そのような成分は、慣用されるコンパウンディング技術を使用して、共にコンパウンディングすることができる。好適なコンパウンディング技術としては、たとえば、インターナルミキサー(たとえば、Banburyミキサー)、小型インターナルミキサー(たとえば、HaakeまたはBrabenderミキサー)、または2本ロールミルミキサーを使用して、成分を混合することが挙げられる。エクストルーダーもまた良好な混合を与え、混合時間の短縮を可能とする。その混合を、2段またはそれ以上の工程で実施することも可能であり、混合を異なる装置において、たとえば、1段をインターナルミキサー中で、1段をエクストルーダー中で実施することもできる。コンパウンディング技術に関するさらなる情報については、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.4,p.66以下(コンパウンディング)を参照されたい。当業者に公知のその他の技術もさらに、コンパウンディングに適している。
【0309】
驚くべきことには、本発明におけるコポリマーは、それらのステアリン酸塩濃度が低いために、特に樹脂硬化させた場合に、極めて良好な硬化が可能となることが見出され、これについては実験の部分で説明する。
【0310】
用途
本発明によるポリマー反応生成物は、広く各種の応用分野において、極めて有用である。ガスに対する透過性が低いこと、架橋、硬化、または後重合の変性サイトとして役立つ可能性がある不飽和サイトを有していること、さらには、妨害となる添加剤のレベルが低いことが、これらのゴムが最大限に使用できる理由である。
【0311】
したがって、本発明にはさらに、インナーライナー、ブラダー、チューブ、エアクッション、空気バネ、エアベローズ、アキュムレーターバッグ、ホース、コンベヤーベルト、および医薬品用包装(pharamaceutical closures)のための、本発明によるポリマー反応生成物の使用も包含される。本発明にはさらに、硬化されているか、未硬化であるかに関わらず、本発明によるポリマー反応生成物を含む前述の製品も包含される。
【0312】
ポリマー反応生成物はさらに、高い減衰率を示し、温度および振動数の両面で独特な広い減衰および衝撃吸収レンジを有している。
【0313】
したがって、本発明にはさらに、自動車のサスペンションバンパー、自動車のエキゾーストハンガー、ボディマウント、および靴底における、本発明によるポリマー反応生成物の使用も包含される。
【0314】
本発明のポリマー反応生成物は、タイヤのサイドウォールおよびトレッド配合物においても有用である。サイドウォールにおいては、そのポリマー特性が、良好な耐オゾン性、亀裂成長性、および外観を付与する。
【0315】
ポリマー反応生成物は、所望の物品に成形してから、硬化させることができる。硬化させたポリマー反応生成物を含む物品としては、たとえば以下のものが挙げられる:ベルト、ホース、靴底、ガスケット、O−リング、ワイヤ/ケーブル、膜、ローラー、ブラダー(たとえば、硬化ブラダー)、タイヤのインナーライナー、タイヤトレッド、ショックアブソーバー、機械部品取り付け具、バルーン、ボール、ゴルフボール、保護衣、医療用チューブ、貯蔵タンクのライニング、電気絶縁、ベアリング、医薬品用ストッパー、接着剤、容器、たとえば、ボトル、トートバッグ、貯蔵タンクなど;容器の栓または蓋;シールまたはシーラント、たとえば、ガスケットまたはコーキング;物質ハンドリング装置、たとえば、オーガーまたはコンベヤーベルト;パワーベルト、クーリングタワー;金属加工装置、または金属加工流体と接触する任意の装置;エンジン部品、たとえば、燃料ライン、燃料フィルター、燃料貯蔵タンク、ガスケット、シールなど;流体濾過またはタンクシーリングのための膜。
【0316】
このポリマー反応生成物を物品またはコーティングにおいて使用してもよいさらなる例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:家庭電化製品、ベビー用品、浴室装備品、浴室安全備品、床材、食品保存、庭園用品、キッチン用家具、キッチン用製品、オフィス用製品、ペット用品、シーラントおよびグラウト、温泉、水濾過および貯蔵装置、調理表面および装置、ショッピングカート、表面塗装、貯蔵容器、履き物、保護衣、スポーツ用ギア、カート、歯科用装置、ドアノブ、衣服、電話、玩具、病院におけるカテーテル流体、容器およびパイプの表面、コーティング、食品加工、バイオメディカル装置、フィルター、添加剤、コンピューター、船体、シャワーの壁、生物付着の問題を最小化するためのチューブ、ペースメーカー、インプラント、創傷被覆材、医療用織物、製氷機、水クーラー、フルーツジュースディスペンサー、ソフトドリンクマシン、配管、貯蔵容器、計量系、バルブ、フィッティング、アタッチメント、フィルターハウジング、ライニング、およびバリヤーコーティング。
【0317】
好ましい特定の実施形態1においては、本発明は、水性スラリーであって、その中に懸濁させた複数のコポリマー粒子を含む水性スラリーを調製するためのプロセスに関し、そのプロセスは、少なくとも以下の工程:
a)有機希釈剤と、少なくとも2種のモノマーであって、少なくとも1種のモノマーがイソオレフィン、好ましくはイソブテンであり、および少なくとも1種のモノマーがマルチオレフィン、好ましくはイソプレンである、少なくとも2種のモノマーとを含む反応媒体を準備する工程、
b)その反応媒体中で、それらのモノマーを開始剤系の存在下で重合させて、コポリマー、有機希釈剤、および任意選択的に残存モノマーを含む媒体を形成する工程、
c)工程b)において得られた媒体を、0〜100℃、好ましくは5〜100℃、より好ましくは15〜80℃、さらにより好ましくは20〜70℃の曇点を有する、少なくとも1種のLCST化合物を含む水性媒体と接触させ、および少なくとも部分的に有機希釈剤を除去し、かつその媒体中に存在している程度にまで、少なくとも部分的に残存モノマーを除去して、コポリマー粒子を含む水性スラリーを得る工程
を含み、
その水性媒体は、多価金属イオンの塩を、その金属含量に基づいて計算し、および工程b)において得られた媒体中に存在しているコポリマーの量を規準にして、550ppm以下、好ましくは400ppm以下、より好ましくは300ppm以下、さらにより好ましくは250ppm以下、なおさらにより好ましくは150ppm以下、別のなおさらにより好ましい実施形態においては100ppm以下の量で含み、この特定の実施形態1における「LCST化合物」の用語は、0〜100℃、好ましくは5〜100℃、より好ましくは15〜80℃、さらにより好ましくは20〜80℃の曇点が、以下の方法の少なくとも1種によって測定することが可能である、すべての化合物を包含している:
・2006年9月のDIN EN 1890、方法A
・2006年9月のDIN EN 1890、方法E
・試験する化合物の量が1g/100ml蒸留水から0.05g/100ml蒸留水まで減らされる、2006年9月のDIN EN 1890、方法A。
【0318】
特定の実施形態1に従う特定の実施形態2においては、その水性媒体が、その金属含量に基づいて計算し、かつ、工程b)によって得られた媒体中に存在しているコポリマーの量を規準にして、550ppm以下、好ましくは400ppm以下、より好ましくは300ppm以下、さらにより好ましくは250ppm以下、なおさらにより好ましくは150ppm以下、および別のなおさらにより好ましい実施形態においては100ppm以下の多価金属イオンのカルボン酸塩を含んでいる。
【0319】
特定の実施形態2に従う特定の実施形態3においては、その多価金属イオンのカルボン酸塩が、ステアリン酸カルシウムおよび/もしくはステアリン酸亜鉛、ならびに/またはパルミチン酸カルシウムおよび/もしくはパルミチン酸亜鉛である。
【0320】
特定の実施形態1〜3の1つに従う特定の実施形態4においては、その工程b)における重合が、スラリー重合として、または溶液重合としてのいずれかで実施される。
【0321】
特定の実施形態1〜4の1つに従う特定の実施形態5においては、工程b)または工程c)が、独立して、バッチ式または連続式、好ましくは連続式で実施され、および好ましい特定の実施形態においては、工程b)および工程c)の両方が連続式で実施される。
【0322】
特定の実施形態1〜5の1つに従う特定の実施形態6においては、工程c)における温度が、10〜100℃、好ましくは50〜100℃、より好ましくは60〜95℃、さらにより好ましくは75〜95℃である。
【0323】
特定の実施形態1〜6の1つに従う特定の実施形態7においては、その少なくとも1種のLCST化合物が、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド−co−N,N−ジメチルアクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)−alt−2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)、ポリ[2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート]、ポリ(2−オキサゾリン)グリコポリマー、ポリ(3−エチル−N−ビニル−2−ピロリドン)、ヒドロキシルブチルキトサン、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、2〜6個のエチレングリコール単位を有するポリ(エチレングリコール)メタクリレート、ポリエチレングリコール−co−ポリプロピレングリコール、好ましくは2〜6個のエチレングリコール単位と2〜6個のポリプロピレン単位とを有するもの、式(I)
(I)HO−[−CH
2−CH
2−O]
x−[−CH(CH
3)−CH
2−O]
y−[−CH
2−CH
2−O]
z−H
(式中、y=3〜10、かつxおよびz=1〜8であり、ここで、y+x+zは5〜18である)
の化合物、ポリエチレングリコール−co−ポリプロピレングリコール、好ましくは2〜8個のエチレングリコール単位と2〜8個のポリプロピレン単位とを有するもの、エトキシル化イソ−C
13H
27−アルコール、好ましくは4〜8のエトキシル化度を有するもの、4〜50個、好ましくは4〜20個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール、4〜30個、好ましくは4〜15個のプロピレングリコール単位を有するポリプロピレングリコール、4〜50個、好ましくは4〜20個のエチレングリコール単位を有する、ポリエチレングリコールのモノメチル、ジメチル、モノエチル、およびジエチルエーテル、4〜50個の、好ましくは4〜20個のプロピレングリコール単位を有する、ポリプロピレングリコールのモノメチル、ジメチル、モノエチル、およびジエチルエーテルからなる群から選択され、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。
【0324】
特定の実施形態1〜7の1つに従う特定の実施形態8においては、そのプロセスは、単離されたコポリマー粒子を得るために、工程c)によって得られた水性スラリー中に含まれているコポリマー粒子が分離される、さらなる工程d)を含む。
【0325】
特定の実施形態1〜8の1つに従う特定の実施形態9においては、そのプロセスは、単離されたコポリマー粒子を得るために、工程c)によって得られた水性スラリー中に含まれているコポリマー粒子が分離される、さらなる工程d)と、(単離された)コポリマー粒子が、好ましくは7,000以下、好ましくは5,000以下、さらにより好ましくは4,000以下、および別の実施形態においては2,000ppm以下、好ましくは1,000ppm以下の残存揮発分含量まで乾燥される、さらなる工程e)とを含む。
【0326】
特定の実施形態1〜9の1つに従う特定の実施形態10においては、そのプロセスに、さらなる工程として、コポリマー粒子を成形して、再形成コポリマー粒子、たとえばペレット、または成形物品、たとえばベールを得る工程が含まれる。
【0327】
特定の実施形態11において、本発明には、特定の実施形態1〜7に従ったプロセスにより得ることが可能な水性スラリーが包含される。
【0328】
特定の実施形態12において、本発明には、特にコポリマー粒子のための抗凝集剤として、特定の実施形態1において定義されたような、0〜100℃、好ましくは5〜100℃、より好ましくは15〜80℃、さらにより好ましくは20〜70℃の曇点を有するLCST化合物の使用が包含される。
【0329】
特定の実施形態13において、本発明には、98.5重量%以上、好ましくは98.8重量%以上、より好ましくは99.0重量%以上、さらにより好ましくは99.2重量%以上、なおさらにより好ましくは99.4重量%以上、および別の実施形態においては99.5重量%以上のコポリマー含量を有するコポリマー粒子も包含される。
【0330】
特定の実施形態14において、特定の実施形態13に従ったコポリマー粒子は、コポリマーが100〜1000kg/mol、好ましくは250〜800kg/molの範囲、より好ましくは300〜650kg/molの範囲、さらにより好ましくは350〜600kg/molの範囲、なおもより好ましくは375〜550kg/molの範囲、最も好ましくは400〜500kg/molの範囲の重量平均分子量を有している。
【0331】
特定の実施形態15において、特定の実施形態13または14に従ったコポリマー粒子は、コポリマーが少なくとも10(ML1+8@125℃、ASTM D1646)、好ましくは20〜80、さらにより好ましくは25〜60(ML1+8@125℃、ASTM D1646)のムーニー粘度を有している。
【0332】
特定の実施形態16において、特定の実施形態13〜15の1つに従ったコポリマー粒子は、コポリマー粒子が0〜0.4重量%、好ましくは0〜0.2重量%、より好ましくは0〜0.1重量%、より好ましくは0〜0,05重量%の多価金属イオンの塩、好ましくは多価金属イオンのステアリン酸塩およびパルミチン酸塩をさらに含んでいる。
【0333】
特定の実施形態17において、特定の実施形態13〜16の1つに従ったコポリマー粒子は、コポリマー粒子が1ppm〜5,000ppm、好ましくは1ppm〜2,000ppm、およびより好ましい実施形態においては5〜1,000ppmまたは5〜500ppmの少なくとも1種の、特定の実施形態1において定義されたLCST化合物をさらに含んでいる。
【0334】
特定の実施形態18においては、本発明には、成形物品、特に特定の実施形態13〜17に従ってコポリマー粒子を成形することによって得ることが可能なペレットまたはベールが包含される。
【0335】
特定の実施形態19においては、本発明には、特定の実施形態13〜17に従うコポリマー粒子、または特定の実施形態18の成形物品を、ブレンディングまたはコンパウンディングすることによって得ることが可能なブレンド物またコンパウンディング物が包含される。
【0336】
特定の実施形態20においては、本発明には、特定の実施形態13〜17に従うコポリマー粒子、または特定の実施形態18の成形物品の、以下のものにおける使用も包含される:インナーライナー、ブラダー、チューブ、エアクッション、空気バネ、エアベローズ、アキュムレーターバッグ、ホース、コンベヤーベルト、および医薬品用包装、自動車のサスペンションバンパー、自動車のエキゾーストハンガー、ボディマウント、靴底、タイヤのサイドウォールおよびトレッド配合物、ベルト、ホース、靴底、ガスケット、O−リング、ワイヤ/ケーブル、膜、ローラー、ブラダー(たとえば、硬化ブラダー)、タイヤのインナーライナー、タイヤトレッド、ショックアブソーバー、機械部品取り付け具、バルーン、ボール、ゴルフボール、保護衣、医療用チューブ、貯蔵タンクのライニング、電気絶縁、ベアリング、医薬品用ストッパー、接着剤、容器、たとえば、ボトル、トートバッグ、貯蔵タンク、容器の栓または蓋;シールまたはシーラント、たとえば、ガスケットまたはコーキング;物質ハンドリング装置、たとえば、オーガーまたはコンベヤーベルト;クーリングタワー;金属加工装置、または金属加工流体と接触する任意の装置;エンジン部品、たとえば、燃料ライン、燃料フィルター、燃料貯蔵タンク、ガスケット、シールなど;流体濾過またはタンクシーリングのための膜。そのブチルアイオノマーを物品またはコーティングにおいて使用してもよいさらなる例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:家庭電化製品、ベビー用品、浴室装備品、浴室安全備品、床材、食品保存、庭園用品、キッチン用家具、キッチン用製品、オフィス用製品、ペット用品、シーラントおよびグラウト、温泉、水濾過および貯蔵装置、調理表面および装置、ショッピングカート、表面塗装、貯蔵容器、履き物、保護衣、スポーツ用ギア、カート、歯科用装置、ドアノブ、衣服、電話、玩具、病院におけるカテーテル流体、容器およびパイプの表面、コーティング、食品加工、バイオメディカル装置、フィルター、添加剤、コンピューター、船体、シャワーの壁、チューブ、ペースメーカー、インプラント、創傷被覆材、医療用織物、製氷機、水クーラー、フルーツジュースディスペンサー、ソフトドリンクマシン、配管、貯蔵容器、計量系、バルブ、フィッティング、アタッチメント、フィルターハウジング、ライニング、およびバリヤーコーティング。
【0337】
本発明にはさらに、上に列記した20の特定の実施形態を、先に開示されたような任意のレベルの好ましい実施形態、範囲パラメーターも含めた一般的な実施形態と組み合わせた、特定の実施形態もまた包含される。
【0338】
以下において、実施例を用いて本発明をさらに説明するが、本発明がそれらに限定される訳ではない。
【実施例】
【0339】
実験セクション:
実施例1〜4a:
コポリマー粒子の生成:
水性スラリーを生成させるためのメチルセルロースの性能を実証するための実験において、以下の実験を実施した。不活性雰囲気下、−95℃でイソプレン(0.41g)およびイソブチレン(13.50g)を塩化メチル(200g)と組み合わせた。次いで、ルイス酸としての、塩化メチル(3mL、−95℃)中の三塩化アルミニウム(3g/L)の溶液をその反応混合物に、撹拌しながら添加して、重合を開始させた。有機希釈剤中に残存している約25ppmのトレース量の水が、開始剤として機能した。この反応により、2mol%のイソプレンレベルを有するブチルゴム10gが、塩化メチル中に微細に分散された粒子の形態で、いかなる種類の抗凝集剤も含むことなく、作成された。
【0340】
そのようにして得られた混合物を、次いで、水性媒体として1Lの水を含む2Lの容器のなかに注ぎ込み、インペラーを用い1000RPMで撹拌しながら、85℃に保持した。熱水のために、希釈剤および残存モノマーのフラッシングが起こり、コポリマーおよび水性媒体が後に残った。反応混合物に添加する前の水中に存在する抗凝集剤のレベルを変化させて、各種の水性媒体を形成させて、この重合/ストリッピングの実験を繰り返した。水性媒体中のコポリマーが、水性スラリーの形態で得られるか(本発明の要件)、または単一の物質の形態で得られるかを重点として観察した(表1)。
【0341】
【表1】
【0342】
採用したメチルセルロースは、Sigma Aldrichから購入した、メチルセルロース・タイプM0512であり、水中、20℃、2重量%で4000cpの粘度を有し、分子量が88,000で、置換度が1.5〜1.9、メトキシ置換が27.5〜31.5重量%であった。
【0343】
これらの実験から、メチルセルロースが、コポリマー粒子を含む水性スラリーを生成させるための、改良された添加剤であり、ステアリン酸カルシウムで必要とされる使用量よりも実質的に低いレベルでも有効であることが分かる。添加を停止した後でも、コポリマー粒子を生成したいずれの実験でも、十分に非凝集性であって、1時間を過ぎても、凝集して単一の物質になることは回避された。
【0344】
実施例4d)および4e):
連続法によるコポリマー粒子の生成:
イソブチレンおよびイソプレンを塩化メチルと組み合わせて、モノマーの合計濃度が、ほぼ10〜40重量%になるようにして、重合の供給原料を調製した。この供給原料のストリームを冷却してほぼ−100℃とし、やはり−100℃に維持した撹拌反応容器内に連続的にフィードした。反応容器内で、その供給原料を、連続的に添加される開始剤系ストリームの、希釈剤としての塩化メチル中0.05〜0.5重量%の三塩化アルミニウムの溶液(これは、典型的には、希釈剤からのトレース量の水で活性化されている)と混合した。供給原料ストリームおよび開始剤系ストリームの添加速度を調節して、ほぼ34のムーニー粘度と、ほぼ1mol%の不飽和レベルとを有するイソブチレンイソプレンコポリマーを得た。典型的には、フィードストリーム中のモノマーの三塩化アルミニウムに対する重量比は、500〜10000、好ましくは500〜5000の範囲に保った。撹拌反応容器内で、コポリマーが、塩化メチル中に懸濁された、微細に分散されたスラリーの形態で得られた。
【0345】
反応容器を組み立てて、供給原料の連続添加が、反応器の容積を超えるように運転した。その容積を超えると、塩化メチル、未反応モノマー、およびコポリマーを含む、よく混合された反応スラリーがオーバーフローして、65〜100℃に加熱され、コポリマーに対して重量で12:1の量で採用された水を含む、別の撹拌容器内に入るようにした。それにより、希釈剤の塩化メチルの大部分が、スラリーから除去された。
【0346】
その水性媒体が、コポリマーを規準にして、100〜500ppmのIrganox(登録商標)1010を含むようにした。
【0347】
好適な抗凝集剤を添加すれば、それによって、イソブチレンイソプレンコポリマー粒子の水性スラリーの生成が可能となり、それによって、重合が進行するにつれて、水性スラリー中のコポリマー粒子の濃度が上昇した。次いで、水性スラリーを、慣用される手段を用いて脱水、乾燥して、試験および分析に適したコポリマーを得た。
【0348】
この連続プロセスを使用すると、従来技術に合わせた方法で、(コポリマーを規準にして)0.5〜1.2重量%のステアリン酸カルシウムを使用して、イソプレンイソブチレンコポリマー粒子を連続的に生成させることが可能であることが実証された(実施例4d)。
【0349】
ステアリン酸カルシウムを除き、代わりに、コポリマーを規準にして50〜500ppmのいずれかの値のメチルセルロースに置き換えても、同等のコポリマー粒子(および結果として得られる水性スラリー)を得ることもまた可能であることがさらに実証された(実施例4e)。この実験では、より高い値またはより低い値での試験は行わなかったが、しかしながら、50ppmのレベルで生成したコポリマーのクラムの粘着挙動から、より低いレベルのメチルセルロースでも、同様に満足なレベルで採用し得ることが示された。
【0350】
採用されたメチルセルロースは、2重量%溶液での溶液粘度が4700cps、分子量Mwが約90,000、メトキシ置換が30.3重量%、したがって置換度が約1.9であった。その曇点は、方法5:2006年9月のDIN EN 1890、方法Aで測定して、39.2℃であり、ここでは、試験した化合物の量を1g/100ml蒸留水から0.2g/100ml蒸留水に減らしている。
【0351】
先に記載した実験設定を使用して、水性スラリーから粒子を分離し、乾燥させた後で、2種の反応生成物が得られた。液状分散体中に、非水溶性の成分、たとえば抗酸化剤およびステアリン酸カルシウムを添加するために、それらの製品には、少量のノニオン性界面活性剤を含ませてある。抗酸化剤およびステアリン酸カルシウムを採用した実施例4d)の場合においては、コポリマー中の、それから生じたノニオン性界面活性剤のレベルは0.02重量%未満であった;抗酸化剤のみを採用し、ステアリン酸カルシウムは採用しなかった、実施例4e)の場合においては、ゴム中のそのようにして得られたノニオン性界面活性剤のレベルは、0.001重量%未満であった。
【0352】
分析データを以下に示す。
【0353】
一般的には、特に断らない限り、分析データはすべて、本明細書の記述で先に説明した手順に従って得たものである。
【0354】
分子量および多分散性は、テトラヒドロフランを用いたゲル浸透クロマトグラフィーによって求め、kg mol
−1の単位で報告した。立体障害フェノール系抗酸化剤(Irganox(登録商標)1010)の含量は、HPLCによって求め、重量%の単位で報告した。全不飽和および微細構造は、エラストマーの
1H NMRスペクトルのそれぞれの信号から求め、mol%の単位で報告した。
【0355】
実施例4d:
全不飽和:0.9mol%
Mw:436,000
多分散性(Mw/Mn):3.28
ムーニー粘度(ML1+8@125℃、ASTM D1646):34
ステアリン酸カルシウム含量:0.73重量%(GC−FID、FTIR)
Irganox(登録商標)1010:0.035重量%
揮発分:0.09重量%
その他の抗凝集剤、界面活性剤、乳化剤:前記参照
イオン:(ICP−AES)
アルミニウム(触媒から):70ppm
マグネシウム:32ppm
その他の多価金属イオン(Mn、Pb、Cu、Cr、Ba、Fe、Zn):4ppm
一価金属イオン(Na、K):22ppm
【0356】
実施例4e:
全不飽和:0.9mol%
Mw:420,000
多分散性(Mw/Mn):3.26
ムーニー粘度(ML1+8@125℃、ASTM D1646):34
ステアリン酸カルシウム含量:検出限界未満
メチルセルロース含量:0.004重量%
Irganox(登録商標)1010:0.02重量%
揮発分:0.23重量%
その他の抗凝集剤、界面活性剤、乳化剤:前記参照
イオン:(ICP−AES)
アルミニウム(触媒から):70ppm
マグネシウム:28ppm
その他の多価金属イオン(Mn、Pb、Cu、Cr、Ba、Fe、Zn):4ppm
一価金属イオン(Na、K):21ppm
【0357】
したがって、実施例4eによるコポリマー粒子は、以下のもの:
I)100重量部のコポリマー(100phr)、
II)0.004phrの少なくとも1種のLCST化合物、および
III)0.001phr未満の、イオン性もしくはノニオン性の界面活性剤、乳化剤、および抗凝集剤からなる群から選択される非LCST化合物、および
IV)0.02phrの抗酸化剤、
V)0.23phrの、標準圧力で200℃以下の沸点を有する揮発分
を含み、これらの成分は合計してコポリマー粒子の全重量の99.90重量%を上回る。
【0358】
実施例4f)および4g):
連続法によるコポリマー粒子の生成II:
イソブチレンおよびイソプレンを塩化メチルと組み合わせて、モノマーの合計濃度が、ほぼ10〜40重量%になるようにして、重合の供給原料を調製した。この供給原料のストリームを冷却してほぼ−100℃とし、やはり−100℃に維持した撹拌反応容器内に連続的にフィードした。反応容器内で、供給原料を、連続的に添加される開始剤系ストリームの塩化メチル中0.05〜0.5重量%の三塩化アルミニウムの溶液(典型的には、0.1:1〜1:1の水:三塩化アルミニウムのモル比の水で活性化されている)と混合した。供給原料ストリームおよび開始剤系ストリームの添加速度を調節して、ほぼ51のムーニー粘度と、ほぼ1.4mol%〜1.8mol%の不飽和レベルとを有するイソブチレンイソプレンコポリマーを得た。典型的には、フィードストリーム中のモノマーの三塩化アルミニウムに対する重量比は、500〜10000、好ましくは500〜5000の範囲に保つ。撹拌反応容器内で、コポリマーが、塩化メチル中に懸濁された、微細に分散されたスラリーの形態で得られた。
【0359】
反応容器を組み立てて、供給原料の連続添加が、反応器の容積を超えるように運転した。その容積を超えると、塩化メチル、未反応モノマー、およびコポリマーを含む、よく混合された反応スラリーがオーバーフローして、65〜100℃に加熱され、コポリマーに対して重量で12:1の量で採用された水を含む別の撹拌容器内に入るようにした。それにより、希釈剤の塩化メチルの大部分がスラリーから除去された。
【0360】
ストリッピング工程の後、脱水の前に、Irganox(登録商標)1010を、ゴムを規準にして100〜500ppmの量で、水性媒体に添加した。
【0361】
好適な抗凝集剤を添加すれば、それによって、イソブチレンイソプレンコポリマー粒子の水性スラリーの生成が可能となり、それによって、重合が進行するにつれて、水性スラリー中のコポリマー粒子の濃度が上昇した。次いで、水性スラリーを、慣用される手段を用いて脱水、乾燥して、試験および分析に適したコポリマーを得た。
【0362】
この連続プロセスを使用すると、従来技術に合わせた方法で、(コポリマーを規準にして)0.4〜1.2重量%のステアリン酸カルシウムを使用して、イソプレンイソブチレンコポリマー粒子を連続的に生成させることが可能であることが実証された(実施例4f)。ステアリン酸カルシウムを除き、代わりに、コポリマーを規準にして50〜500ppmのいずれかの値のメチルセルロースに置き換えても、同等のコポリマー粒子(および結果として得られる水性スラリー)を得ることもまた可能であることがさらに実証された(実施例4g)。この実験では、より高い値またはより低い値での試験は行わなかったが、しかしながら、50ppmのレベルで生成したコポリマーのクラムの粘着挙動から、より低いレベルのメチルセルロースでも、同様に満足なレベルで採用し得ることが示された。
【0363】
採用されたメチルセルロースは、2重量%溶液での溶液粘度が3000〜5600cps、分子量Mwが約90,000、メトキシ置換が27.5〜31.5重量%、したがって置換度が約1.9であった。その曇点は、方法5:2006年9月のDIN EN 1890、方法Aで測定して、39.2℃であり、ここでは、試験した化合物の量を1g/100ml蒸留水から0.2g/100ml蒸留水に減らしている。
【0364】
先に記載した実験設定を使用して、水性スラリーから粒子を分離し、乾燥させた後で、2種の反応生成物が得られた。液状分散体中に、非水溶性の成分、たとえば抗酸化剤およびステアリン酸カルシウムを添加するために、それらの製品には、少量のノニオン性界面活性剤を含ませてある。抗酸化剤およびステアリン酸カルシウムが採用された実施例4f)の場合においては、コポリマー中の、それから生じたノニオン性界面活性剤のレベルは0.02重量%未満であり、実施例4g)の場合においては、界面活性剤は採用されなかった。
【0365】
分析データを以下に示す。
【0366】
実施例4f:
全不飽和:1.8mol%
Mw:616000
多分散性(Mw/Mn):3.54
ムーニー粘度(ML1+8@125℃、ASTM D1646):51
ステアリン酸カルシウム含量:0.68重量%(GC−FID、FTIR)
Irganox(登録商標)1010:0.03重量%
揮発分:0.15重量%
その他の抗凝集剤、界面活性剤、乳化剤:前記参照
イオン:(ICP−AES)
アルミニウム(触媒から):52ppm
マグネシウム:8ppm
その他の多価金属イオン(Mn、Pb、Cu、Cr、Ba、Fe、Zn):18ppm
一価金属イオン(Na、K):30ppm
灰分:0.081重量%(ASTM D5667)
【0367】
実施例4g:
全不飽和:1.41mol%
Mw:645,000
多分散性(Mw/Mn):3.77
ムーニー粘度(ML1+8@125℃、ASTM D1646):52.9
ステアリン酸カルシウム含量:検出限界未満
メチルセルロース含量:0.006重量%未満(物質収支から)
Irganox(登録商標)1010:0.03重量%
揮発分:0.3重量%
その他の抗凝集剤、界面活性剤、乳化剤:前記参照
イオン:(ICP−AES)
アルミニウム(触媒から):83ppm
カルシウム:10ppm
マグネシウム:1.2ppm
その他の多価金属イオン(Mn、Pb、Cu、Cr、Ba、Fe、Zn):23ppm
一価金属イオン(Na、K):23ppm
灰分:0.01重量%(ASTM D5667)
【0368】
したがって、実施例4gによるコポリマー粒子は、以下のもの:
I)100重量部のコポリマー(100phr)、
II)0.006phr未満の少なくとも1種のLCST化合物、および
III)0.001phr未満の、イオン性もしくはノニオン性の界面活性剤、乳化剤、および抗凝集剤からなる群から選択される非LCST化合物、および
IV)0.03phrの抗酸化剤、
V)0.23phrの、標準圧力で200℃以下の沸点を有する揮発分
を含み、これらの成分は合計してコポリマー粒子の全重量の99.90重量%を上回る。
【0369】
硬化実験:
実施例5a、5b、6a、および6b:低ステアリン酸カルシウム急速硬化:
ほぼ1.8mol%の合計不飽和レベルおよび約52のムーニー粘度を有する、実施例1によるコポリマーを単離し、乾燥させて残存揮発分含量を2,000ppmにした。次いで、1.1phrのステアリン酸カルシウムを添加して、市販されているブチルゴムのグレードと同様とした。
【0370】
実施例4aで得られたコポリマー粒子を、濾過法で集め、乾燥させて、残存揮発分含量を2,000ppmにした。そのメチルセルロース含量は、250ppmであった。
【0371】
それら2種のコポリマーを、表2に記載の樹脂−硬化配合を使用してコンパウンディングした。硬化させると、発明によるコポリマーは、同一の硬化時間/温度で、はるかに改良された硬化速度および硬化状態を示した。
【0372】
【表2】
【0373】
コンパウンディングの手順
使用した成分は、表2に示した;単位は、100部のゴムあたりの部数(phr)である。30℃で運転している2本ロールミルの上で、通常のブチルゴムを、メチルセルロースおよび/またはステアリン酸カルシウムと組み合わせた。Banburyローターを備え、60℃、60rpmで運転されている、容量75mlのBrabenderインターナルミキサーに、ミルからのブチルゴムを、5phrのBaypren 210 MOONEY39〜47と共に添加した。1分後に、45phrのカーボンブラックN330を添加した。3分のところで、5phrのカーボンブラックN330、5phrのヒマシ油、および1phrのステアリン酸を添加した。4分のところでスイープを実施し、6分のところで混合物を取り出した。30℃で運転している2本ロールミルの上で、そのゴム中にWBC−41Pを組み入れた。
【0374】
硬化
t
c90およびトルク差(delta torque)を、ASTM D−5289に従い、Moving Die Rheometer(MDR 2000E)を使用し、1.7Hzの振動周波数および1°の円弧を使用し、180℃で、全実行時間60分で測定した。
【0375】
【表3】
【0376】
実施例からも明らかなように、本発明によるコポリマーは、高レベルのステアリン酸カルシウムを含むその類似物に比較して、優れた硬化挙動を示す。
【0377】
実施例4d)および4e)により作成したコポリマーも、表2の樹脂硬化配合に従ってコンパウンディングした。ステアリン酸カルシウムなしで調製した、実施例4e)によるコポリマーを使用したサンプルも、硬化速度および最大トルクの面で利点を示した。この場合においては、t
c90およびトルク差を、ASTM D−5289に従い、Moving Die Rheometer(MDR 2000E)を使用し、1.7Hzの振動周波数および1°の円弧を使用し、180℃で、全実行時間30分で測定した。
【0378】
【表4】
【0379】
その他のLCST化合物
水性スラリーを実験室的に模することによって、抗凝集剤の有効性を定量化することも可能である。この試験のためには、1Lの試験流体(脱イオン水)を、所望の試験温度(典型的には80℃)に加熱する。100gの未硬化ゴム粒子(市販品から入手)を、水に添加し、オーバーヘッド機械式スターラーを700RPMで使用して撹拌して、凝集までのベースライン時間を確認する。凝集までの時間は、ゴムが、クラムの単一の塊として撹拌されるようになるまでの時間と定義される。ベースラインの確認ができたら、試験水に抗凝集剤を添加し、試験温度で1分間撹拌してから、ゴムを添加することによって、抗凝集剤の評価をする。
【0380】
35.5のムーニー粘度および1.95mol%の不飽和レベルを有するブチルゴム粒子を、商業的製造プロセスから得た。そのクラムには、0.5重量%のステアリン酸カルシウムが含まれていた。このゴムの凝集について、ベースラインの確認を行った。次いで、各種の抗凝集剤化合物を各種のレベルで水に添加し、その後で、試験を行って、それらがブチルゴムのクラムの凝集時間を延ばす性能を求めた。実験はすべて2回ずつ行い、結果は、その平均凝集時間で表す。
【0381】
実施例15〜19から、LCST化合物を採用すると、非LCST抗凝集剤または増粘剤(実施例9〜14)に比較して、優れた抗凝集結果が得られるのは明らかである。
【0382】
【表5】
【0383】
さらなるコンパウンド物について、上と同様にして、それらの抗凝集性能を評価した。この場合においては、評価したブチルゴムは、45.3のムーニー粘度、2.34mol%の不飽和度、および0.42重量%のステアリン酸カルシウムレベルを有していた。
【0384】
LCST化合物を採用した実施例24〜30からも明らかなように、非LCST化合物(実施例21〜23)に比較して、優れた抗凝集結果が得られた。
【0385】
【表6】
【0386】
曇点を測定するために採用した方法は、以下のとおりである:
1)2006年9月のDIN EN 1890、方法A、
2)2006年9月のDIN EN 1890、方法C、
3)2006年9月のDIN EN 1890、方法E、
4)試験する化合物の量が1g/100ml蒸留水から0.05g/100ml蒸留水まで減らされる、2006年9月のDIN EN 1890、方法A、
5)試験する化合物の量が1g/100ml蒸留水から0.2g/100ml蒸留水まで減らされる、2006年9月のDIN EN 1890、方法A。
【0387】
すべてのLCST化合物において、測定を2回繰り返して、再現性を確認した。
【0388】
【表7】
【0389】
さらなる硬化の実験:
各種の典型的な用途における、本発明におけるコポリマーの優れた性質を示すために、実施例4d)〜4g)に従って作成したコポリマーおよびそれらの類似物を、充填または非充填の状態で各種の硫黄および樹脂硬化配合物中でコンパウンディングした。
【0390】
非充填樹脂硬化配合物:
実施例31および32
実施例4d(実施例31)および4e(実施例32)によるコポリマーを、表3に示した樹脂−硬化配合を使用してコンパウンディングした。
【0391】
【表8】
【0392】
コンパウンディングの手順:
Banburyローターを備え、60℃、60rpmで運転されている、容量75mlのBrabenderインターナルミキサーに、コポリマーを、5phrのBaypren 210 MOONEY39〜47と共に添加した。3分のところで、ステアリン酸およびWBC−41Pを添加した。トルクが安定したところで、混合物を取り出した。そのコポリマーコンパウンド物を、30℃で運転している2本ロールミルの上でさらに混合した。
【0393】
硬化
t
c90、トルク差、ts1、およびts2を、ASTM D−5289に従い、Moving Die Rheometer(MDR 2000E)を使用し、1.7Hzの振動周波数および1°の円弧を使用し、180℃で、全実行時間60分で測定した。
【0394】
【表9】
【0395】
実施例からも明らかなように、本発明によるコポリマーは、高レベルのステアリン酸カルシウムを含むその類似物に比較して、優れた硬化状態を示しながらも、実質的に同程度のスコーチ安全性を維持している。
【0396】
実施例33および34
実施例4fに従って調製したコポリマー(実施例33)、および実施例4gに従って得ることが可能なコポリマー(実施例34)であるが、ただし、不飽和度のレベルが1.8mol%、Ca−レベルが60ppmであるが、他の成分のレベルは、実施例4gの場合と同一またはほぼ同一であるものを、表4に示した樹脂−硬化配合を使用してコンパウンディングした。
【0397】
【表10】
【0398】
コンパウンディングの手順:
Banburyローターを備え、60℃、60rpmで運転されている、容量75mlのBrabenderインターナルミキサーに、コポリマーを、Baypren 210 MOONEY39〜47と共に添加した。3分のところで、ステアリン酸、酸化亜鉛、およびResin SP1045を添加した。トルクが安定したところで、混合物を取り出した。そのコポリマーコンパウンド物を、30℃で運転している2本ロールミルの上でさらに混合した。
【0399】
硬化
t
c90、トルク差、ts1、およびts2を、ASTM D−5289に従い、Moving Die Rheometer(MDR 2000E)を使用し、1.7Hzの振動周波数および1°の円弧を使用し、180℃で、全実行時間60分で測定した。
【0400】
【表11】
【0401】
実施例からも明らかなように、本発明によるコポリマーは、高レベルのステアリン酸カルシウムを含むその類似物に比較して、優れた硬化速度および硬化状態を示す。
【0402】
実施例35〜38
実施例4dにより調製したコポリマー(実施例35および37)および4eにより調製したコポリマー(実施例36および38)を、表4に示した樹脂−硬化配合を使用してコンパウンディングした。
【0403】
【表12】
【0404】
コンパウンディングの手順:
Banburyローターを備え、60℃、60rpmで運転されている、容量75mlのBrabenderインターナルミキサーに、コポリマーを添加した。3分のところで、ステアリン酸、酸化亜鉛、および樹脂SP1055を添加した。トルクが安定したところで、混合物を取り出した。そのコポリマーコンパウンド物を、30℃で運転している2本ロールミルの上でさらに混合した。
【0405】
硬化
t
c90、トルク差、ts1、およびts2を、ASTM D−5289に従い、Moving Die Rheometer(MDR 2000E)を使用し、1.7Hzの振動周波数および1°の円弧を使用し、180℃(実施例37および38)および200℃(実施例35および36)で、全実行時間60分で測定した。
【0406】
【表13】
【0407】
実施例からも明らかなように、本発明によるコポリマーは、高レベルのステアリン酸カルシウムを含むその類似物に比較して、優れた硬化速度および硬化状態を示す。
【0408】
実施例39および40
硬化剤のレベルを低下させるために、より早い硬化およびより高い硬化状態を使用することができることを証明する目的で、実施例4fに従って調製したコポリマー(実施例39)、および実施例4gに従って得ることが可能なコポリマー(実施例40)であるが、不飽和度のレベルが1.8mol%、およびCa−レベルが60ppmであるが、他の成分のレベルは、同一またはほぼ同一であるものを、各種のレベルの樹脂を有する、表6に示した樹脂−硬化配合を使用してコンパウンディングした。
【0409】
【表14】
【0410】
コンパウンディングの手順:
Banburyローターを備え、60℃、60rpmで運転されている、容量75mlのBrabenderインターナルミキサーに、コポリマーを、5phrのBaypren 210 MOONEY39〜47と共に添加した。3分のところで、1phrのステアリン酸およびResin SP1045を添加した。トルクが安定したところで、混合物を取り出した。そのコポリマーコンパウンド物を、30℃で運転している2本ロールミルの上でさらに混合した。
【0411】
硬化
t
c90、トルク差、ts1、およびts2を、ASTM D−5289に従い、Moving Die Rheometer(MDR 2000E)を使用し、1.7Hzの振動周波数および1°の円弧を使用し、180℃で、全実行時間60分で測定した。
【0412】
【表15】
【0413】
実施例からも明らかなように、本発明によるコポリマーは、高レベルのステアリン酸カルシウムを含むその類似物に比較して、実質的により高いレベルの樹脂を有しながらも、さらに優れた硬化速度および同等の硬化状態を示す。
【0414】
さらには、実施例33と40を、それらの弾性率に基づいて比較すると、わずか半分の量の樹脂のみを使用した本発明によるコポリマーで、増大した弾性率が達成できることが観察できた。
【0415】
【表16】
【0416】
応力−歪み用ダンベルを、所定の温度(160℃または180℃)でt
c90+5の時間で硬化させ、Alpha T2000引張試験機を用いて試験した。ASTM D412方法Aの手順を用いて、エージングされていないサンプルを試験した。
【0417】
充填樹脂硬化配合物:
実施例41〜44
実施例4d、実施例41、ならびに43)および4e(実施例42および44)による塩素化エラストマーを、各種のレベルのカーボンブラック充填剤を有する表7に示した樹脂−硬化配合を使用してコンパウンディングした。
【0418】
【表17】
【0419】
コンパウンディングの手順:
Banburyローターを備え、60℃、60rpmで運転されている、容量75mlのBrabenderインターナルミキサーに、コポリマーを、5phrのBaypren 210 MOONEY39〜47と共に添加した。1分のところで、カーボンブラックN330を添加した。3分のところで、ステアリン酸および樹脂を添加した。トルクが安定したところで、混合物を取り出した。そのコポリマーコンパウンド物を、30℃で運転している2本ロールミルの上でさらに混合した。
【0420】
硬化
t
c90、トルク差、ts1、およびts2を、ASTM D−5289に従い、Moving Die Rheometer(MDR 2000E)を使用し、1.7Hzの振動周波数および1°の円弧を使用し、180℃で、全実行時間60分で測定した。
【0421】
【表18】
【0422】
実施例からも明らかなように、本発明によるコポリマーは、高レベルのステアリン酸カルシウムを含むその類似物に比較して、カーボンブラックのいずれのレベルでも、同等のスコーチ安全性を保持しながら、優れた硬化速度および硬化状態を示している。
【0423】
実施例45〜48
実施例4d(実施例45)、4e(実施例46)、4f(実施例47)によるコポリマー、ならびに実施例4gに従って得ることが可能であるが、不飽和度のレベルが1.8mol%、およびCa−レベルが60ppmであるが、他の成分のレベルは実施例4gを用いて得られたものと同一またはほぼ同一であるコポリマー(実施例48)を、表8に示した典型的な硬化ブラダー配合を使用してコンパウンディングした。
【0424】
【表19】
【0425】
コンパウンディングの手順:
Banburyローターを備え、60℃、60rpmで運転されている、容量75mlのBrabenderインターナルミキサーに、コポリマーを、5phrのBaypren 210 MOONEY39〜47と共に添加した。1分のところで、カーボンブラックN330を添加した。3分のところで、ヒマシ油、ステアリン酸および樹脂を添加した。トルクが安定したところで、混合物を取り出した。そのコポリマーコンパウンド物を、30℃で運転している2本ロールミルの上でさらに混合した。
【0426】
硬化
t
c90、トルク差、ts1、およびts2を、ASTM D−5289に従い、Moving Die Rheometer(MDR 2000E)を使用し、1.7Hzの振動周波数および1°の円弧を使用し、180℃で、全実行時間60分で測定した。
【0427】
【表20】
【0428】
実施例からも明らかなように、本発明によるコポリマーは、硬化ブラダー配合において、高レベルのステアリン酸カルシウムを含むその類似物に比較して、優れた硬化速度および硬化状態を示す。
【0429】
実施例49および50
実施例4d(実施例49)および4e(実施例50)によるコポリマーを、表9に示す典型的なコンベヤーベルト配合を使用してコンパウンディングした。
【0430】
【表21】
【0431】
コンパウンディングの手順:
Banburyローターを備え、60℃、60rpmで運転されている、容量75mlのBrabenderインターナルミキサーに、コポリマーをOppanol 15と共に添加した。1分のところで、カーボンブラックN220を添加した。トルクが安定したところで、混合物を取り出した。そのコポリマーコンパウンド物をさらに精製して、30℃で運転している2本ロールミルの上で、Rhenogran BCAおよびSP1045を添加した。
【0432】
硬化
t
c90、トルク差、ts1、およびts2を、ASTM D−5289に従い、Moving Die Rheometer(MDR 2000E)を使用し、1.7Hzの振動周波数および1°の円弧を使用し、180℃で、全実行時間60分で測定した。
【0433】
【表22】
【0434】
実施例からも明らかなように、本発明によるコポリマーは、コンベヤーベルト配合において、高レベルのステアリン酸カルシウムを含むその類似物に比較して、優れた硬化速度および硬化状態を示す。
【0435】
非充填硫黄硬化配合物:
実施例51および52
実施例4d(実施例51)および4e(実施例52)によるコポリマーを、表10に示した硫黄−硬化配合を使用してコンパウンディングした。
【0436】
【表23】
【0437】
コンパウンディングの手順:
Banburyローターを備え、60℃、60rpmで運転されている、容量75mlのBrabenderインターナルミキサーに、コポリマーを添加し、6分後に取り出した。そのコポリマーに、酸化亜鉛、TMTD、硫黄およびMBTを添加し、30℃で運転している2本ロールミルの上で混合した。
【0438】
硬化
t
c90およびトルク差を、ASTM D−5289に従い、Moving Die Rheometer(MDR 2000E)を使用し、1.7Hzの振動周波数および1°の円弧を使用し、160℃で、全実行時間60分で測定した。
【0439】
【表24】
【0440】
実施例からも明らかなように、本発明によるコポリマーは、高レベルのステアリン酸カルシウムを含むその類似物に比較して、優れた硬化速度を示す。
【0441】
実施例53〜56
実施例4d(実施例53および55)および4e(実施例54および56)によるコポリマーを、表11に示した硫黄−硬化配合を使用してコンパウンディングした。
【0442】
【表25】
【0443】
コンパウンディングの手順:
Banburyローターを備え、60℃、60rpmで運転されている、容量75mlのBrabenderインターナルミキサーに、コポリマーを添加し、6分後に取り出した。そのコポリマーに、酸化亜鉛、硫黄、MBTS、およびVulkanox HS/LGを添加し、30℃で運転している2本ロールミルの上で混合した。
【0444】
硬化
t
c90およびトルク差を、ASTM D−5289に従い、Moving Die Rheometer(MDR 2000E)を使用し、1.7Hzの振動周波数および1°の円弧を使用し、160℃で、全実行時間60分で測定した。
【0445】
【表26】
【0446】
実施例からも明らかなように、本発明によるコポリマーは、高レベルのステアリン酸カルシウムを含むその類似物に比較して、優れた硬化速度を示す。
【0447】
充填硫黄硬化配合物:
実施例57および58
実施例4d(実施例51)および4e(実施例52)によるコポリマーを、表12に示す典型的なワイヤおよびケーブル配合を使用してコンパウンディングした。
【0448】
【表27】
【0449】
コンパウンディングの手順:
Banburyローターを備え、60℃、60rpmで運転されている、容量75mlのBrabenderインターナルミキサーに、コポリマーを添加した。1分のところで、Marklubeプリル、Polyfil 70、PEワックスおよびMistronタルクを添加し、6分後にその混合物を取り出した。その混合物に残りの成分を添加し、30℃で運転している2本ロールミルの上で混合した。
【0450】
硬化
t
c90およびトルク差を、ASTM D−5289に従い、Moving Die Rheometer(MDR 2000E)を使用し、1.7Hzの振動周波数および1°の円弧を使用し、165℃で、全実行時間60分で測定した。
【0451】
【表28】
【0452】
実施例からも明らかなように、本発明によるコポリマーは、高レベルのステアリン酸カルシウムを含むその類似物に比較して、優れた硬化速度および硬化状態を示す。
【0453】
実施例59および60:窓用シーラントの調製
実施例4d(実施例59)および4e(実施例60)によるコポリマーを、表13に示す典型的な窓用シーラント配合を使用してコンパウンディングした。
【0454】
【表29】
【0455】
コンパウンディング
Banburyローターを備え、60℃、60rpmで運転されえいる、容量75mlのBrabenderインターナルミキサーに、表13に示したプロトコールに従って、表12に記載の成分を添加した。
【0456】
【表30】
【0457】
化学的フォギングの評価
化学的フォギングの評価は、窓用シーラント配合に採用されたコポリマーを90℃で24時間加熱し、そのコポリマーの上における約15℃に保持したコールドフィンガーの存在下で、ゴムから出てくる蒸気をすべて凝縮させるようにして実施した。実施例60においては、コールドフィンガーの上での凝縮は観察されなかったが、それに対して、実施例59では、白色の凝縮物が観察された。この白色の凝縮物には、実施例4dによるコポリマー中に存在していたステアリン酸カルシウムに由来するステアリン酸が含まれていた。