(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6542270
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】ボスおよび環状要素を備えるターボ機械燃焼室のためのアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F23R 3/60 20060101AFI20190628BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20190628BHJP
F23R 3/42 20060101ALI20190628BHJP
F23R 3/52 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
F23R3/60
F02C7/00 D
F23R3/42 A
F23R3/52
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-575000(P2016-575000)
(86)(22)【出願日】2015年6月19日
(65)【公表番号】特表2017-528669(P2017-528669A)
(43)【公表日】2017年9月28日
(86)【国際出願番号】FR2015051633
(87)【国際公開番号】WO2015197954
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2018年6月14日
(31)【優先権主張番号】1455862
(32)【優先日】2014年6月24日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516235451
【氏名又は名称】サフラン・ヘリコプター・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノード,ルドヴィック・アンドレ・ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】オルアラン,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】メネ−オーレ,ジャン
【審査官】
西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭56−018580(JP,U)
【文献】
実公昭31−003104(JP,Y1)
【文献】
米国特許第5291733(US,A)
【文献】
国際公開第2012/168636(WO,A2)
【文献】
特開2007−154885(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/053728(WO,A1)
【文献】
特開2004−093125(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0297778(US,A1)
【文献】
特開2005−337181(JP,A)
【文献】
特開2013−228196(JP,A)
【文献】
米国特許第05235805(US,A)
【文献】
特開2002−364850(JP,A)
【文献】
特開2005−009856(JP,A)
【文献】
特表2014−504696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/06、3/42−3/60
F02C 7/00、7/20
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジン燃焼室(20)のためのアセンブリであって、
燃焼器内筒(24)の環状壁(25)に設けられた受入口(29)に挿入されるように、かつ燃焼器内筒の取付ピン(26)のステム(27)を外側ケーシング(21)上に収容するように構成される管状本体(33)と、第1の方向(A)へのボスの半径方向の並進を阻止するように構成される環状カラー(35)を備えるボスの第1の端部(34)と、第2の方向(B)へのボスの半径方向の並進を阻止するために燃焼器内筒(24)の壁(25)に圧着されるように構成されるボスの第2の端部(37)と、を備える、タービンエンジン燃焼室(20)のためのボス(32)と、
受入口(29)と同軸上で嵌合し、一方では、燃焼器内筒(24)の環状壁(25)と半径方向に接触し、他方では、ボス(32)の環状カラー(35)と半径方向に接触するように構成される、環状要素(39)と、を備えることを特徴とする、タービンエンジン燃焼室(20)のためのアセンブリ。
【請求項2】
タービンエンジン燃焼室(20)であって、
長手方向軸(23)に沿って延在する環状外側ケーシング(21)と、
外側ケーシングの内側に配置され、長手方向軸に概ね沿って延在する環状壁(25)を備える燃焼器内筒(24)であって、壁は、外側ケーシングに面して配置された少なくとも1つの受入口(29)を備える、燃焼器内筒(24)と、
受入口を通って延在するステム(27)を備える、外側ケーシング上の燃焼器内筒のための少なくとも1つの取付ピン(26)と、
受入口(29)に挿入され、取付ピン(26)のステム(27)を収容する管状本体(33)を備える、少なくとも1つのボスと、を備え、
燃焼室は、ボス(32)の第1の端部(34)が、第1の方向(A)へのボスの半径方向の並進を阻止するように構成される環状カラー(35)を備えること、およびボスの第2の端部(37)が、第2の方向(B)へのボスの半径方向の並進を阻止するために燃焼器内筒(24)の壁(25)に圧着されることを特徴とし、また、燃焼室は、受入口(29)と同軸上に配置され、一方では、燃焼器内筒(24)の環状壁(25)と半径方向に接触し、他方では、ボス(32)の環状カラー(35)と半径方向に接触する、少なくとも1つの環状要素(39)をさらに備えることを特徴とする、タービンエンジン燃焼室(20)。
【請求項3】
環状要素(39)が、1つ以上の点で燃焼器内筒(24)の壁(25)に溶接される、請求項2に記載の燃焼室(20)。
【請求項4】
環状要素(39)が、燃焼器内筒(24)の壁(25)の外面(36)に対して配置され、第2の端部(37)は、燃焼器内筒(24)の内面(38)に対して圧着される、請求項2または3に記載の燃焼室(20)。
【請求項5】
環状要素(39)が、燃焼器内筒(24)の壁(25)の形状に一致する燃焼器内筒(24)の壁(25)との接触面(40)を有する、請求項2から4のいずれか一項に記載の燃焼室(20)。
【請求項6】
環状要素(39)が、燃焼器内筒(24)の壁(25)との接触面(40)を形成する環状カラーを備え、環状カラーは、環状要素(39)の接触面(40)の輪郭の配向を操作者に示すことを目的とする領域を有する、請求項5に記載の燃焼室(20)。
【請求項7】
請求項2から6のいずれか一項に記載の燃焼室(20)を備える、タービンエンジン。
【請求項8】
長手方向軸(23)に沿って延在する環状外側ケーシング(21)と、長手方向軸に概ね沿って延在する環状壁(25)を備える、外側ケーシングの内側に配置される燃焼器内筒(24)と、を備えるタービンエンジン燃焼室(20)を製造するための方法であって、
外側ケーシング(21)に面する燃焼器内筒(24)の壁(25)に少なくとも1つの受入口(29)を穿設するステップ(101)と、
少なくとも1つの環状要素(39)を、複数の受入口(29)またはそれらのうちの1つと同軸上で、燃焼器内筒(24)の壁(25)に対して設置するステップ(102)と、
ボス(複数可)(32)の環状カラー(35)が環状要素(複数可)(39)に当接するように、第1の方向(A)へのボス(複数可)の半径方向の並進を阻止するように構成される環状カラー(35)を第1の端部(34)に備えるボス(32)を、受入口(複数可)(29)および関連する環状要素(複数可)(39)に挿入するステップ(103)と、
第2の方向(B)へのボス(複数可)の半径方向の並進を阻止するために、ボス(複数可)(32)の第2の端部(37)を燃焼器内筒(24)の壁(25)に圧着するステップ(104)と、を含む、方法。
【請求項9】
ボス(複数可)(32)を圧着するステップの後に、環状要素(複数可)(39)の1つ以上の点で燃焼器内筒(24)の壁(25)に溶接するステップ(105)を含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、タービンエンジンの燃焼室に関し、より具体的には、タービンエンジン燃焼室における燃焼器内筒の取り付けに関する。
【背景技術】
【0002】
タービンエンジンは、概して、ガス流方向の上流から下流に、ファン、1つ以上の圧縮機段、例えば、高圧圧縮機および低圧圧縮機、燃焼室、1つ以上のタービン段、例えば、高圧タービンおよび低圧タービン、ならびにガス排気ノズルを備える。
【0003】
図1は、従来技術による燃焼室1の長手方向断面図を示す。
【0004】
燃焼室1は、ディフューザ(図示せず)を通して圧力下で燃焼室1に空気を供給する圧縮機(図示せず)の上流、および分配器2の下流に接続される。
【0005】
燃焼室1は、長手方向軸5に沿って延在する環状外側ケーシング3によって画定される。外側ケーシング3は、タービンエンジン(図示せず)の外側シェルに取り付けられる。
【0006】
燃焼室1は、ガス燃焼の場所である「燃焼器内筒」または「暖炉のくぼみ」7を備える。
【0007】
燃焼器内筒7は、全体としてトロイダル形状である壁8によって燃焼器内筒7から隔てられた環状の空気供給導管によって囲まれている。
【0008】
図1に示す例では、燃焼器内筒7は「逆流」型であり、壁8は、湾曲した環状形状を有し、ガス流は、タービンの方向にタービンエンジン内で下流に誘導される。次いで、ガス流は、燃焼室1の下流から上流に、次いで再び下流へと連続して生じる。インジェクタは、燃焼器内筒7のヘッドに略配置される。
【0009】
燃焼器内筒7は、各々が、外側ケーシング3に設けられた貫通挿入口10内、および挿入口10に面する燃焼器内筒7の壁8に設けられた貫通受入口11内で半径方向に延在する取付ピン9によって燃焼室1に接続される。これらの取付ピン9は、燃焼器内筒7を燃焼室1内に保持することを可能にする。
【0010】
受入口11には、各々、管状本体13を有するボス12が提供され、その内側には、ガスの燃焼によって引き起こされる熱に起因して燃焼器内筒7が膨張したときに、ボス12の本体13が取付ピン9に沿って摺動するように、関連する取付ピン9が摺動可能に装着される。各ボス12は、その端部の一方に、燃焼器内筒7の壁8の受入口11にTIG(タングステン不活性ガス)突合せ溶接され、密封された環状カラー14をさらに備える。
【0011】
しかしながら、そのようなボス12の使用は、いくつかの欠点を有する。
【0012】
特に、燃焼器内筒7の壁8にボス12を溶接する作業は、ボス12および燃焼器内筒7の壁8の強度の変形をもたらすため、外側ケーシング3に対する燃焼器内筒7の正確な位置付けを確実にするために、溶接作業後に、ボス12の本体13の板金作業および再機械加工が必要となる。
【0013】
さらに、ボス12の環状カラー14は、全体として平面的であり、燃焼器内筒7の壁8の輪郭に適合することが困難であるため、ボス12の本体13を再機械加工することなく、ボス12による外側ケーシング3に対する燃焼器内筒7の正確な位置付けを確実にすることはできない。
【0014】
また、溶接作業後に、ボス12および燃焼器内筒7の熱処理試験および非破壊試験を行うことは必須である。
【0015】
これらの補助的な作業により、燃焼室1の製造が大幅に複雑化され、ますます費用がかかる。
【0016】
最後に、ガス燃焼の熱に起因して燃焼器内筒7が膨張し、ボス12の本体13が取付ピン9に沿って摺動するときに、ボス12の本体13と取付ピン9との間で発生する摩擦は、ボス12を摩耗させる傾向がある。
【0017】
摩耗したボス12は、メンテナンス作業中に交換される。摩耗したボス12は、例えば、レーザで切り取られ、新しいボス12が、燃焼器内筒7の壁8の受入口11に位置付けられ、溶接される。次いで、この場合も同様に、燃焼器内筒7および新しいボス12に対して板金作業を行い、新しいボス12の本体13を再機械加工し、新しいボス12および燃焼器内筒7の熱処理試験および非破壊試験を行う必要がある。
【0018】
そのようなボス12の交換は、このように特に不便であり、かつ費用がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
そのため、本発明は、ボスおよび環状要素を備える燃焼室のためのアセンブリを提案することによって上記欠点を修正し、燃焼室内における管の正確な位置付けを確実にすることを可能にしながら、さらに燃焼室の複雑性および製造コストを削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
より正確には、本発明は、タービンエンジン燃焼室のためのアセンブリであって、
燃焼器内筒の環状壁に設けられた受入口に挿入されるように、かつ燃焼器内筒の取付ピンのステムを外側ケーシング上に収容するように構成される管状本体と、第1の方向へのボスの半径方向の並進を阻止するように構成される環状カラーを備えるボスの第1の端部と、第2の方向へのボスの半径方向の並進を阻止するために燃焼器内筒の壁に圧着されるように構成されるボスの第2の端部と、を備える、タービンエンジン燃焼室のためのボスと、
受入口と同軸上で嵌合し、一方では、燃焼器内筒の環状壁と半径方向に接触し、他方では、ボスの環状カラーと半径方向に接触するように構成される、環状要素と、を備える、タービンエンジン燃焼室のためのアセンブリを目的とする。
【0021】
本発明はまた、タービンエンジン燃焼室であって、
長手方向軸に沿って延在する環状外側ケーシングと、
外側ケーシングの内側に配置され、長手方向軸に概ね沿って延在する環状壁を備える燃焼器内筒であって、壁は、外側ケーシングに面して配置された少なくとも1つの受入口を備える、燃焼器内筒と、
受入口を通って延在するステムを備える、外側ケーシング上の燃焼器内筒のための少なくとも1つの取付ピンと、
受入口に挿入され、取付ピンのステムを収容する管状本体を備える、少なくとも1つのボスであって、ボスの第1の端部は、第1の方向へのボスの半径方向の並進を阻止するように構成される環状カラーを備え、ボスの第2の端部は、第2の方向へのボスの半径方向の並進を阻止するために燃焼器内筒の壁に圧着される、少なくとも1つのボスと、
受入口(29)と同軸上に配置され、一方では、燃焼器内筒(24)の環状壁(25)と半径方向に接触し、他方では、ボス(32)の環状カラー(35)と半径方向に接触する、少なくとも1つの環状要素(39)を備える、タービンエンジン燃焼室も目的とする。
【0022】
好ましくは、環状要素は、1つ以上の点で燃焼器内筒の壁に溶接される。
【0023】
好ましくは、環状要素は、燃焼器内筒の壁の外面に対して配置され、第2の端部は、燃焼器内筒の内面に対して圧着される。
【0024】
好ましくは、環状要素は、燃焼器内筒の壁の形状に一致する燃焼器内筒の壁との接触面を有する。
【0025】
より好ましくは、環状要素は、燃焼器内筒の壁との接触面を形成する環状カラーを備え、環状カラーは、環状要素の接触面の輪郭の配向を操作者に示すことを目的とする領域を有する。
【0026】
本発明はまた、先に記載した燃焼室を備えるタービンエンジンも目的とする。
【0027】
本発明はまた、長手方向軸に沿って延在する環状外側ケーシングと、長手方向軸に概ね沿って延在する環状壁を備える、外側ケーシングの内側に配置される燃焼器内筒と、を備えるタービンエンジン燃焼室を製造するための方法であって、
外側ケーシングに面する燃焼器内筒の壁に少なくとも1つの受入口を穿設するステップと、
少なくとも1つの環状要素を、複数の受入口またはそれらのうちの1つと同軸上で、燃焼器内筒の壁に対して設置するステップと、
ボス(複数可)(32)の環状カラー(35)が環状要素(複数可)(39)に当接するように、第1の方向へのボス(複数可)の半径方向の並進を阻止するように構成される環状カラーを第1の端部に備えるボスを、受入口(複数可)および関連する環状要素(複数可)(39)に挿入するステップと、
第2の方向へのボス(複数可)の半径方向の並進を阻止するために、ボス(複数可)の第2の端部を燃焼器内筒の壁に圧着するステップと、を含む方法も目的とする。
【0028】
より好ましくは、方法は、ボス(複数可)を圧着するステップの後に、環状要素(複数可)の1つ以上の点で燃焼器内筒の壁に溶接するステップを含む。
【0029】
本発明の他の特徴、目的、および利点は、以下の説明から明らかになるが、それは純粋に例示的であって限定的ではなく、添付の図面を参照して読まれなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】(既に記載済み)従来技術による燃焼室の長手方向断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による燃焼室の長手方向断面図である。
【
図3】
図2に示した燃焼室の燃焼器内筒のボスの詳細な断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による燃焼室を製造するための方法のフロー図である。
【
図8】
図4に示す方法に従って製造された燃焼室内のボスを交換するための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図2は、本発明の一実施形態によるタービンエンジンの燃焼室20の長手方向断面図を示す。
【0032】
燃焼室20は、ディフューザ(図示せず)を通して圧力下で燃焼室20に空気を供給する圧縮機(図示せず)の上流、および分配器の下流に接続される。
【0033】
燃焼室20は、長手方向軸23に沿って延在する環状外側ケーシング21によって画定される。
【0034】
燃焼室20は、長手方向軸23に沿って延在する全体としてトロイダル形状である壁25を有する燃焼器内筒24をさらに備える。壁25は、環状の空気供給導管を形成するように、外側ケーシング21からある距離を置いて提供される。
【0035】
図2に示す例では、燃焼器内筒24は逆流型であり、壁25は、湾曲した環状形状を有し、タービンの方向にタービンエンジン内で下流にガス流を伝達することを可能にする。次いで、ガス流は、燃焼室20の下流から上流に、次いで再び下流へと連続して生じる。次いで、インジェクタは、燃焼器内筒24のヘッドに略配置される。
【0036】
変形例(図示せず)によれば、燃焼器内筒は直流型であり、下部が上流端に接続された回転体の環状壁と、燃焼室によって保持される燃料インジェクタ通過口を備えるシュラウドとを備える。
【0037】
燃焼室20は、燃焼器内筒24の壁25を外側ケーシング21に接続するように構成される取付ピン26を備える。
【0038】
この目的のために、取付ピン26は、外側ケーシング21に設けられた貫通挿入口28内、および挿入口28に面する燃焼器内筒24の壁25に設けられた貫通受入口29内に半径方向に延在するステム27と、外側ケーシング21の外面31に当接して位置付けられるヘッド30とを備える。
【0039】
燃焼室20は、受入口29内に延在して、取付ピン26のステム27を収容する管状本体33を備えるボス32をさらに備える。ステム27は、燃焼器内筒24が膨張したときに、ボス32の本体33がステム27に沿って摺動するように、ボス32の本体33に摺動可能に装着される。
【0040】
ボス32は、例えば、ニッケル、コバルト、またはクロムでできている。
【0041】
図2に示されるボス32は、ボス32内に取付ピン26のステム27を設置する前の
図3において詳細に示される。
【0042】
好ましくは、ボス32の本体33の外径D1は、それに関連する受入口29の直径と実質的に等しい。
【0043】
ボス32の第1の開放端34は、ボス32が関連する受入口29に挿入されたときに、第1の方向Aにおける長手方向軸23に対するボスの半径方向の並進を阻止するように構成される環状カラー35によって形成される。
図3に示すように、ボス32の本体33の外面は、例えば、フィレットによって環状カラー35に接続され、ボス32の本体33の内面は、例えば、フレアによってカラー35に接続される。
【0044】
図2および
図3に示す例では、ボス32の環状カラー35は、燃焼器内筒24の壁25の外面36に面して配置される。したがって、環状カラー35は、燃焼器内筒24の内側に向かうボス32の半径方向の並進を阻止する。
【0045】
ボス32はまた、第1の方向Aの反対側である第2の方向Bへのボスの半径方向の並進を阻止するために、環状カラー35の反対側に位置付けられる、燃焼器内筒24の壁25に圧着される第2の端部37も備える。第2の端部37は、好ましくは、その全周にわたって燃焼器内筒24の壁25に圧着される。
【0046】
図2に示す例では、ボス32の第2の端部37は、燃焼器内筒24の内面38に対して圧着される。したがって、ボス32の圧着部37は、燃焼器内筒24の外側に向かうボス32の半径方向の並進を阻止する。
【0047】
好ましくは、燃焼器内筒24の壁25に圧着されるとき、ボスの第2の端部37は、燃焼器内筒24の壁25の形状に一致する。
図3に示す例では、ボス32の第2の端部37は、燃焼器内筒24の壁25の内面38の凹部にそれ自体を合わせるように輪郭形成される。したがって、燃焼器内筒24の壁25の受入口29に装着されたボス32は、燃焼器内筒24の壁25に溶接される必要なく、外側ケーシング21に対する燃焼器内筒24の正確な位置付けを確実にすることが可能である。
【0048】
燃焼室20は、一方では、長手方向軸23に対して燃焼器内筒24の壁25と半径方向に接触し、他方では、ボス32の環状カラー35と半径方向に接触する、関連する受入口29と同軸上に配置される環状要素39をさらに備える。
【0049】
したがって、環状要素39は、一方では、組み立て中にボス32に及ぼされる力から燃焼器内筒24の壁25を保護し、他方では、燃焼器内筒24の壁25に対するボス32の第2の端部37の圧着を容易にすることが可能である。
【0050】
環状要素39は、例えば、ニッケル、コバルト、またはクロムでできている。
【0051】
図2および
図3に示す例では、環状要素39は、燃焼器内筒24の壁25の外面36に対して配置される。
【0052】
環状要素39は、燃焼器内筒24の壁25との接触面40を有する。好ましくは、接触面40は、燃焼器内筒24の壁25の形状に一致する。
図3に提示する例では、接触面40は、燃焼器内筒24の壁25の外面36の凸部にそれ自体を合わせるように若干の凹部を有する。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、環状要素39は、接触面40を形成する環状カラーを備える。環状要素39の環状カラーは、例えば、環状要素39の接触面40の輪郭の配向を操作者に示すことを目的とする領域を有する。このようにして、環状要素39は、燃焼器内筒24の壁25に正しく位置付けられ得る。
【0054】
環状要素39はまた、ボス32の環状カラー35が当接する当接面41を有し、したがって、第1の方向Aへのボス32の半径方向の変位を阻止する。
【0055】
環状要素39は、有利には、ボス32の本体33の側面の外面にそれ自体を合わせるように構成される側面の内面を有する。このために、環状要素39の内径は、ボス32の本体33の外径D1と実質的に等しい。
図3に示すように、環状要素39はまた、ボス32の本体33の側面の外面を環状カラー35に接続するフィレットに面し、したがってボス32の本体33の外面と環状要素39との間の干渉のリスクを回避するために、当接面41と側面の内面との間に面取り部を有することもできる。
【0056】
環状要素39は、ボス32の正確な位置を維持するために、例えば、燃焼器内筒24の壁25上の1つ以上の点に溶接される。本明細書において後に説明するように、そのような実施形態は、ボス32の交換する場合に特に有利である。
【0057】
燃焼室20は、有利には、先に説明したように、挿入口28、受入口29、ボス32、および環状要素39と関連するいくつかの取付ピン26を備える。好ましくは、取付ピン26は、長手方向軸23に垂直な平面P内に配置される。取付ピン26は、有利には、燃焼器内筒24の周囲で平面P内に等距離に分布される。
【0058】
燃焼室20の製造100は、
図4に示される以下のステップに従って行われる。
【0059】
第1のステップ101の間に、外側ケーシング20に面する燃焼器内筒24の壁25に受入口29が穿設される。第1のステップ101は、例えば、
図5に示される。
【0060】
次いで、第2のステップ102の間に、環状要素39が、受入口29と同軸上で、燃焼器内筒24の壁25に対して位置付けられる。
【0061】
次いで、ボス32が、第3のステップ103の間に環状要素39および受入口29に挿入される。環状カラー35が環状要素39の当接面41に当接し、したがって第1の方向Aへのボス32の半径方向の並進を阻止するように、ボス32は、第2の端部37によって挿入される。第3のステップ103は、例えば、
図6に示される。この例では、環状カラー35が、燃焼器内筒24の内側に向かうボス32の半径方向の並進を阻止するように、環状要素39は、燃焼器内筒24の壁25の外面25に対して位置付けられ、ボス32は、燃焼器内筒24の外側から受入口29に挿入される。
【0062】
次いで、第4のステップ104の間に、第2の方向Bへのボス32の半径方向の並進を阻止するために、ボス32の第2の端部37が燃焼器内筒24の壁25に圧着される。第4のステップ104は、例えば、
図7に示される。この例では、圧着部37が、燃焼器内筒24の外側に向かうボス32の半径方向の並進を阻止するように、ボス32の第2の端部37は、燃焼器内筒24の壁25の内面38に対して圧着される。
【0063】
いったん、ボス32が設置され、燃焼器内筒24の壁25に圧着されると、環状要素39は、第5のステップ105の間に、例えば、1つ以上の点で燃焼器内筒24の壁25に溶接される。
図5から
図7に示す例では、環状要素39は、燃焼器内筒24の壁25の外面36に溶接される。
【0064】
ステップ101から105とは関係なく、挿入口28は、挿入口28および受入口29が互いに対向するように、第6のステップ106の間に外側ケーシング20に穿設される。「ステップ101から105とは関係なく」が意味するところは、第6のステップ106が、ステップ101から104の前、それらと平行して、またはさらにはその後に好都合に行われ得るという事実である。
【0065】
最後に、第7のステップ107の間に、燃焼器内筒24が外側ケーシング21の内側に位置付けられ、取付ピン26のステム27が、最初に挿入口28に挿入され、次いで、ヘッド30が外側ケーシング21の外面31に当接するまで受入口29およびボス32に挿入され、したがって燃焼室20内における燃焼器内筒24の正確な位置付けを確実にする。
【0066】
ステップ101から107は、例えば、各々が、先に説明した様式で挿入口28、受入口29、ボス32、および環状要素39と関連するいくつかの取付ピン26によって燃焼器内筒24を位置付けるために、数回または平行して行われる。好ましくは、受入口29は、長手方向軸23に垂直な平面P内に穿設される。受入口29は、有利には、燃焼器内筒24の周囲で平面P内に等距離に分布される。
【0067】
先に説明したステップ102から104に従って燃焼器内筒24の壁25に以前に装着された摩耗したボス32の交換200は、
図8に示される以下のステップに従って行われる。
【0068】
第1のステップ201の間に、取付ピン26が、挿入口28、受入口29、およびボス32から除去される。
【0069】
次いで、ボス32が第1の方向Aに自由に並進するように、第2のステップ202の間にボス32の環状カラー35が除去される。ボス32の環状カラー35は、例えば、フライス加工または研磨によって機械加工される。第2のステップ202は、例えば、
図9に示される。この例では、ボス32は、燃焼器内筒24の内側に向かって自由に並進する。
【0070】
次いで、ボス32が、第3のステップ203の間に、環状要素39および受入口29から第1の方向Aに除去される。第3のステップ203は、例えば、
図10に示される。この例では、ボス32は、環状要素39および受入口29から燃焼器内筒24の内側に向かって除去される。
【0071】
したがって、関連するボス32が摩耗した場合、環状要素39を交換する必要はない。ひいては、燃焼室20の製造中、ボス32の交換にもかかわらず、外側ケーシング21に対する燃焼器内筒24の適切な位置付けを保持するために、いったんボス32が圧着されると、環状要素39を1つ以上の点で燃焼器内筒24の壁25に溶接することが特に有利であることを理解されたい。
【0072】
最後に、先に説明したステップ103および104に従って、新しいボス32が燃焼器内筒24の壁25に装着され、先に説明したステップ107に従って、関連する取付ピン26が外側ケーシング21およびボス32に再挿入される。
【0073】
先に述べた燃焼室20は、このように、より低いコストで、容易に装着され、かつ取り外され、さらには燃焼室20内における燃焼器内筒24の正確な位置付けを確実にするボス32を備えるという利点を有する。