(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
患者に流体を供給するためのインジェクタヘッドであって、ハウジング、前記ハウジングの正面に使い捨て注射器を収容するための機械的なインターフェース、前記ハウジング内に位置決めされた、前記使い捨て注射器のプランジャーに接続するためのピストン、および前記ハウジング内に位置決めされた、前記ピストンを動かすための作動システムを含むインジェクタヘッドと;
前記インジェクタヘッドの前記ハウジング内の前記作動システムの近傍にある複数の異なる測定対象に位置決めされた、前記作動システムの温度を表示する信号を生成する複数の温度センサーと;
前記インジェクタヘッドおよび前記複数の温度センサーに動作可能に結合され、注入処置を制御する制御システムと
を含む流体注入システムであって、
前記複数の温度センサーのうちの少なくとも1つの温度センサーによって判断された温度が、予め規定された閾値レベルを超える場合、前記制御システムが前記作動システムの動作を抑制するように構成されている流体注入システム。
前記作動システムが:歯車列および線形のボールねじ;前記歯車列および線形のボールねじに結合されたブラシレス直流モータ;および前記モータに動作可能に結合されたモータアンプを含む、請求項1に記載の流体注入システム。
ユーザが、前記複数の温度センサーのうちの少なくとも1つの温度センサーが判断した前記温度が前記予め規定された閾値レベルを超えていることを、前記ディスプレイユニットの前記グラフィカルユーザインタフェースに現れるメッセージによって警告される、請求項3に記載の流体注入システム。
前記取付構造が、前記ポールに枢動的に結合された第1の端部と、ディスプレイユニットに枢動的に結合された第2の端部とを有する第2の支持アームをさらに含む、請求項6に記載の流体注入システム。
前記インジェクタヘッドが、ハウジング、前記ハウジングの正面に使い捨て注射器を収容するための機械的なインターフェース、前記ハウジング内に位置決めされた、前記使い捨て注射器のプランジャーに接続するためのピストン、および前記ハウジング内に位置決めされた、前記ピストンを動かすための前記作動システムを含む、請求項12に記載の方法。
前記作動システムが:歯車列および線形のボールねじ;前記歯車列および線形のボールねじに結合されたブラシレス直流モータ;および前記モータに動作可能に結合されたモータアンプを含む、請求項12に記載の方法。
前記制御システムに動作可能に接続されたディスプレイユニットのグラフィカルユーザインタフェースが、前記複数の温度センサーのうちの少なくとも1つの温度センサーが判断した前記温度が前記予め規定された閾値レベルを超えていることをメッセージによってユーザに警告するステップ、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、説明するために、用語「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「底部」、「横方向」、「縦方向」、およびそれらの派生語は、図面の向きにあるような本開示の装置に関する。しかしながら、本開示の装置は、それとは反対であると明記されていない限り、様々な代替的な変形例をとり得ることを理解されたい。添付の図面に示しかつ以下の明細書に説明する特定の装置は、単に、本開示の装置の例示的な実施形態であることも理解されたい。それゆえ、本明細書で開示する実施形態の具体的な寸法および他の物理的な特徴は、限定とはみなされない。
【0025】
本明細書で開示するインジェクタは、米国特許第7,326,189号明細書;同第7,334,639号明細書;同第7,549,977号明細書;同第7,556,619号明細書;同第7,563,249号明細書;および同第7,611,503号明細書、および米国特許出願公開第2008/0086087号明細書に開示されているインジェクタに関し、これら全体を、参照により本書に援用する。
【0026】
図1Aおよび
図2を参照して説明すると、全体として参照符号1を付す流体注入システムが、患者5に流体を供給するインジェクタヘッド3;インジェクタヘッド3に枢動的に接続されかつインジェクタヘッド3を支持するように構成された取付構造7;およびディスプレイコントロールユニット(DCU)9を含む、インジェクタヘッド3に動作可能に結合されて注入処置を制御する制御システムを含む。DCU9は、内部のコンピュータボードとインターフェースをとるタッチスクリーンオーバーレイを備えるカラー液晶ディスプレイ(LCD)スクリーンを含む。DCU9は、ユーザへのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の提供を担当し、かつタッチスクリーンを介して制御システムに情報を入力できるようにする。
【0027】
さらに、注入システム1は、
図2に示す補助DCU11などのマルチディスプレイ型DCUを支持できる。マルチDCUが注入システム1に組み込まれるとき、マルチDCUは、マスター/スレーブ構成では動作しない。その代わり、ユーザは、インジェクタヘッド3のディスプレイコントロール(下記で説明する)、またはマルチDCU9、11のいずれかなどの複数の入力装置のいずれかとインターフェースをとり得る。ユーザが、これら入力装置の1つとインターフェースをとる間、他からの制御入力は無視される(すなわちロックされる)。しかしながら、それらのディスプレイの出力は、アクティブ入力装置によって更新され得る。ユーザが、DCUのホームスクリーンに戻ったら、全入力装置のロックが解除される。制御を断念しかつロックを解除し得る別の方法は、タイムアウトを使用することによるものである。インターフェース機器が、ユーザと、ある期間(インジェクタヘッドの入力の場合は5秒、DCUの入力の場合は30秒)情報のやり取りを行わない場合、可聴式または可視的表示器がアサートされ、かつ制御が、アクティブ入力装置によって断念される。
【0028】
図1Aは、移動式装置として提供された注入システム1を示し、および
図1Bは、診察台13に装着されている注入システム1を示す。各構成において、流体注入システム1の取付構造7は、DCU9を支持するために、支持コラム17から延在する第1の支持アーム15を含む。第2の支持アーム19は支持コラム17から延在し、かつインジェクタヘッド3を略支持する。第2の支持アーム19は、支持コラム17に枢動的に結合された第1の端部18と、インジェクタヘッド3のナックル22に枢動的に結合された第2の端部20とを有する。
【0029】
図1Bに示す構成では、支持コラム17は、一般的に、流体注入システム1を、病院のベッドや、台12によって支持される診察台13に取り付けるように適合されているレール式インターフェース21に関連する。あるいは、
図1Aに示すように、支持コラム17は、流体注入システム1を移動式の台座25に取り付けるための台座式インターフェース23を含み得る。流体注入システム1を、診察台13や移動式の台座25に取り付けて、流体注入システム1を用いる際に融通性および容易さを最大限にするように、構成し得る。それゆえ、流体注入システム1を診察台13に装着するとき、レールマウント27が診察台13のレール29に取り付けられる。これにより、レール式インターフェース21をレールマウント27に取り外し可能に取り付けることが可能になる。それゆえ、レールマウント27は、DCU9およびインジェクタヘッド3を間接的に支持する。代替的な実施形態では、インジェクタヘッド3のみがレールマウント27によって間接的に支持され、および追加的なレールマウントを用いて、診察台13のレール29上の異なる個所で、DCU9を単独で支持する。
【0030】
図1Aを参照して説明すると、移動式の台座25は、流体注入システム1に移動性、および高さ調整機能を提供する。移動式の台座25は、流体注入システム1に関係する固定されていない構成要素と、それらに関連する電力ケーブルとを保持するベース部31を含む。ベース部31はまた、ベース部31内に、電力ケーブル(図示せず)とインターフェースする電源ソケット(図示せず)を含み得る。それゆえ、単一の外部電力ケーブル(図示せず)を電源ソケット(図示せず)に直接差し込んで、流体注入システム1全体の動作に十分な電力を供給してもよい。移動式の台座25はまた、ロック可能なブレーキ35と車輪37とを有する複数のキャスター33を含み得る。上述の構成は例示にすぎず、流体注入システム1の配置および位置の限定とはみなされないことを理解されたい。
【0031】
図2を参照して説明すると、流体注入システム1はまた、インジェクタヘッド3、DCU9、および任意選択的な補助DCU11に動作可能に結合された電源ユニット39を含む。電源ユニット39は、国内および国際的に標準化された商用AC線電圧41を、流体注入システム1用の+15および+48Vの内部直流電力に変換する電力変換装置(図示せず)を収容する。電源ユニット39は、プラグ43によって商用AC線電圧41に結合されている。さらに、電源ユニット39は、イーサネット(登録商標)スイッチカード(図示せず)を収容する。スイッチカードは、システム全体の通信ハブの機能を果たす。イーサネット(登録商標)の通信データ45はスイッチカードに伝えられ、適切な受け手に送られる。イメージングシステムインターフェース(ISI)モジュール47も電源ユニット39に収容される。ISIモジュール47は、流体注入システム1を一般的な市販のX線スキャナ49に接続できるようにする。
【0032】
流体注入システム1は、さらに、注入を開始するために設けられたハンドまたはフットスイッチ51をさらに含み得る。ハンド/フットスイッチ51は、DCU(主9または補助11)または電源ユニット39のいずれかに接続できる。フットスイッチを用いる場合、足で起動するために床に置かれるように設計される。
【0033】
図3および
図4を参照し、および引き続き
図1Aおよび
図2を参照して説明すると、インジェクタヘッド3は、前端部55および後端部56を有するインジェクタハウジング53を含む。フェイスプレート57が、インジェクタハウジング53の前端部55に取り付けられており、かつインジェクタハウジング53の前端部55を囲っている。フェイスプレート57は、従来の手段(すなわち、機械的なファスナーなど)によってインジェクタハウジング53の前端部55に固定されてもよいし、または、インジェクタハウジング53と一体的に形成されてもよい。
【0034】
インジェクタハウジング53は、フェイスプレート57によって画成された中心通路と位置合わせされた中心開口部59を有し、およびその中心通路を通って、インジェクタヘッド3のインジェクタ駆動ピストンが前進したり引っ込んだりする。インジェクタヘッド3、より具体的には、インジェクタ駆動ピストンの詳細は、米国特許第5,383,858号明細書に開示されており、その全体を参照することにより本書に援用する。本明細書でさらに説明するように、インジェクタヘッド3は、一般的に、血管造影などの流体注入処置において使用される注射器61を作動させるために使用される。
【0035】
図5〜8を参照し、および引き続き
図3および
図4を参照して説明すると、全体として参照符号63を付す圧力ジャケットアセンブリが、インジェクタヘッド3に関連している。圧力ジャケットアセンブリ63は、注射器61を支持し、かつ注射器61をインジェクタヘッド3に取り付ける。一般的に、圧力ジャケットアセンブリ63は、インジェクタハウジング53の前端部55から外側へ延在し、かつ流体注入処置の最中に注射器61を支持するために使用される。圧力ジャケットアセンブリ63は、一般的に、既に説明したフェイスプレート57と、圧力ジャケット65をフェイスプレート57に接続するための結合端部67を有するシリンダー状の圧力ジャケット65と、注射器61を支持するための注射器支持構造69とで構成される。フェイスプレート57はインジェクタハウジング53の一部であり、かつ圧力ジャケットアセンブリ63の一部を形成するとみなされ得る。
【0036】
圧力ジャケット65は、前端部または遠位端部71および結合後端部67を有する、略シリンダー状の構造である。圧力ジャケット65の遠位端部71は、注射器61を圧力ジャケット65に入れる注射器受口または開口部122を画成する。圧力ジャケット65の遠位端部71の外縁は、ワイパーシール126を受け入れるように構成された溝付インターフェース124を含む。ワイパーシール126は、
図5および
図6に示すように圧力ジャケット65の溝付インターフェース124内に位置決めされる。ワイパーシール126の目的は、注射器61を圧力ジャケット65に取り付けるときおよび/またはそこから取り外すときに、圧力ジャケット65と注射器61との間の小さな間隙(図示せず)に入る造影剤の量を減らすことである。造影剤が圧力ジャケット65の内壁に達するとき、注射器61を挿入することが困難になり、かつ注射器61の中身の可視性に害を及ぼす。圧力ジャケット65と注射器61との間の間隙は、各部分に関連した許容誤差を調整するために必要である。高圧注入処置の最中、注射器61が膨らんで、圧力ジャケット65の内側に接触するため、圧力ジャケット65から追加的な支持を得る。ワイパーシール126は、略リング形状の本体128を含み、この本体は、可撓的な性質となるように設計されて、注射器61の製造上のばらつき、ならびに高圧注入中に発生する膨れに適合する。ワイパーシール126のリング形状の本体128は、圧力ジャケット65の開口部122における外縁に従うように設計される。ワイパーシールは、圧力ジャケット65に含まれる正確に22度の斜面(
図9および
図10参照)に合うように注文して成形し、かつ先細にされて、ユーザが注射器61を圧力ジャケット65に対して位置合わせして挿入するのを支援する。
【0037】
圧力ジャケット65の結合端部67はフェイスプレート57に対面し、かつフェイスプレート57に接続されるように構成される。圧力ジャケット65の結合端部67を、単に圧力ジャケット65をインジェクタヘッド3のフェイスプレート57の中心開口部59に軸方向に押し込むことによって圧力ジャケットを設置できるようにするように、設計する。圧力ジャケット65の結合端部67は、位置決めスロット130、傾斜面132、および溝134を含む。位置決めスロット130は、
図12に示すように、位置決めスロット130を、フェイスプレート57の中心開口部59に設けられたノッチ136と位置合わせすることによって、ユーザが圧力ジャケット65をフェイスプレート57と適切に位置合わせできるようにするために、設けられている。
図11〜17を参照し、および引き続き
図5〜8を参照して説明すると、傾斜面132および溝134を、フェイスプレート57の中心開口部59に設けられた止め輪138と相互作用して圧力ジャケット65をフェイスプレート57に固定するように、設計している。止め輪138は、上部に位置決めスロット142が設けられた、略リング形状の本体部材140を含む。位置決めスロット142は、
図12に示すように止め輪138を中心開口部59内に位置決めするときに、フェイスプレート57の中心開口部59のノッチ136と位置合わせされるように構成される。
【0038】
圧力ジャケット65が中心開口部59に押し込まれるにつれ、中心開口部59内に配置された止め輪138は、圧力ジャケット65の結合端部67の傾斜面132上を上り、溝134に嵌る。止め輪138は、十分な内向きの半径方向力をもたらして、圧力ジャケット65を所望の位置に保持する。取り外すと、止め輪138は、再度、圧力ジャケット65の結合端部67の傾斜面132を上り、かつ圧力ジャケット65から完全に係合が解除される。この差し込み式設計には、明らかに有利な点が2つある。第1に、ユーザは、工具または過度の力を使用することなく、圧力ジャケット65を差し込んだり取り外したりできる。これは、ユーザが、掃除のために圧力ジャケット65を簡単に取り外し、その後再び差し込むことができるようにするため、有益である。第2に、高圧注入の最中に圧力ジャケット65が軸方向に動くことができるようにする。これは、高圧注入の最中、注射器インターフェース全体が極限力に起因して前方に伸びるため、重要である。注射器61は圧力ジャケット65内で膨らみ、圧力ジャケット65の内壁と接触する。注射器61と圧力ジャケット65との間の摩擦に起因して、圧力ジャケット65は注射器61とともに前方に引っ張られる。圧力ジャケット65とインジェクタヘッド3との間のインターフェースのために、高圧注入の最中にこの軸方向運動が行えない場合には、注射器61と圧力ジャケット65との間の相対運動が発生する。この相対運動は、注射器61と圧力ジャケット65との間に、望ましくないスティックスリップ現象を発生させる。
【0039】
圧力ジャケット65の内径は、注射器61の外径を滑らかではあるがぴったり収容するようなサイズである。圧力ジャケット65は、望ましくは、注入処置の最中の注射器61の外向きの膨張を抑制できる材料で作製される。注射器61は、一般に、単独では、特定の流体注入処置、例えば血管造影に関連する高圧に耐えることができない。注射器61は、比較的安価な医療グレードのプラスチック材料で作製されてもよく、かつ使い捨てであってもよい(すなわち、単回使用)。あるいは、注射器61は、複数の患者に使用する注射器であってもよい。注射器61用の典型的なプラスチックは、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびポリカーボネートを含む。圧力ジャケット65は、望ましくは再使用可能であり、かつ、約1200psi以上までの圧力に耐えることができる材料から作製されている。例えば、圧力ジャケット65は、金属、例えば鋼鉄やアルミニウムで作製し得る。しかしながら、以下さらに説明するように、圧力ジャケット65を通して注射器61を見えるようにして、流体注入システム1の操作者が注入処置の最中、注射器61を視認し得るようにすることが、有利である。その結果、圧力ジャケット65は、好ましくは実質的に透明なプラスチック材料、例えばポリカーボネートで作製されて、注入処置の最中に注射器61を見えるようにする。
【0040】
圧力ジャケットアセンブリ63をインジェクタヘッド3に接続するために、圧力ジャケット65の端部において一体的に形成された結合端部67の使用の代替として、別個の結合部材(図示せず)を用いてもよい。結合部材は、結合端部67の代わりに使用されてもよく、かつ圧力ジャケット65と同様の方法でシリンダー形状にされている。結合部材は、圧力ジャケット65へ接続するように構成された前または遠位端部と、フェイスプレート57に接続するように構成された後または近位端部とを有する。結合部材は、圧力ジャケット65に関連して既に述べた材料のいずれかで作製し得る。
【0041】
特に
図18〜25を参照して説明すると、流体注入システム1で使用される注射器61は、一般的に前または遠位端部75および後または近位端部76を有する細長いシリンダー状の注射器本体74を含む。注射器本体74は、遠位端部75に形成された注入セクション78を有する。下記でさらに説明するように、注射器本体74は近位端部76に拡張セクション150を含む。注射器本体74の略シリンダー状の中心セクションまたは本体152は、注入セクション78と拡張セクション150を接続する。本体152の外径は比較的均一である。注入セクション78は先細となって細長い注入用ネック部77を形成し、このネック部の内径は、本体152の内径と比べると比較的小さい。注入セクション78、注入用ネック部77は、一般的に、注射器61の吐出口を形成する。注射器支持構造69は、注射器61の注入セクション78を支持するように構成されている。注入用ネック部77は遠位端部構造を含み、この構造は、下記で詳細に説明するように、好適なルアーフィッティング(luer fitting)を介して、例えば、血管造影において使用されるカテーテルに接続されたチューブにつながるように適合されている。このために好適なルアーフィッティングは、PCT出願公開第PCT/US99/18892号明細書(国際公開第00/10629号パンフレット)(「Connector And Tubing Assembly For Use With A Syringe」)に開示されており、その開示全体を本願明細書に援用する。より望ましくは、遠位端部構造は、下記で詳細に説明するようにコネクタを含む。
【0042】
ここで、注射器61の追加的な特徴を、引き続き
図19〜26を参照して説明する。注射器本体74の注入セクション78は、注射器本体74の中心軸Lの方へ向って内側へと略先細となる。注入セクション78は、シリンダー形状の中心セクションまたは本体152から注入用ネック部77の方へ先細となる円錐状部分154を含む。円錐状部分154は、アライメントフランジまたはタブ部材156を画成する。このアライメントフランジまたはタブ部材156は、一実施形態では、内部に中空の空間または領域を画成する。アライメントフランジまたはタブ部材156は、注射器61内の流体を見るための手段として設けられる。加えて、アライメントフランジまたはタブ部材156は、圧力ジャケット65内に注射器61を適切に位置合わせするための可視的表示の機能を果たす。さらに、アライメントフランジまたはタブ部材156は、注射器61を操作しかつそれを圧力ジャケット65に挿入するために便利なハンドルを提供する。第2に、アライメントフランジ156によって画成された中空空間は、気泡トラップとして動作し得る。望ましくは、アライメントフランジまたはタブ部材156は、注射器本体74の本体152と注入用ネック部77との間の距離を略延在する。
【0043】
プランジャー部材158が、注射器本体74内で摺動的に支持される。プランジャー部材158は、硬質ポリマー材料、例えば、ポリカーボネート材料から成形されるプランジャーコア160を含み得る。シールまたはプランジャーカバー162もプランジャーコア160に取り付けられる。プランジャー部材158は、インジェクタ駆動ピストン(図示せず)に接続されてそこに駆動力を与えるように構成される。プランジャーコア160は、注射器本体74の近位端部76に対面する結合端部164を含み、かつ、インジェクタ駆動ピストンと係合するように構成されている。結合端部164は、結合端部164から外側に延出してインジェクタ駆動ピストンに係合する一対の可撓性の突起または結合部材227を含む。結合部材227は、各々、係合アーム228を有する。結合部材227は、それらの間にスロット230画成する。スロット230は、インジェクタ駆動ピストンに取り付けられたインジェクタエンドプレートを収容するように構成されている。上記で説明したように、アライメントフランジまたはタブ部材156は、プランジャー部材158の遠位端部が円錐状部分154中へと延在しかつ「底を打つ」と、最後の手段の空気封じ込め機能を提供する。気づかれない気泡は全て、インジェクタヘッド3の動作中、アライメントフランジまたはタブ部材156によって画成された中空の領域に集まる傾向がある。
図18に示すように、注射器61のプランジャー部材158の結合端部164の結合部材は、アライメントフランジまたはタブ部材156に対して垂直方向に位置決めされる。この注射器は、
図3および
図4に示すインジェクタヘッドとともに使用するように構成されている。あるいは、注射器61'のプランジャー部材158の結合端部164の結合部材227は、
図22に示すようにアライメントフランジまたはタブ部材156に平行となる方向に位置決めされ得る。このタイプの注射器は、
図26のインジェクタヘッドとともに使用するように構成されている。
【0044】
特に
図23および
図24を参照して説明すると、医療的な注入処置用の従来技術の注射器は、注射器のプランジャーが予め位置決めされて保管されていることが多い。現在の使い捨てのプラスチック注射器で困難なことは、これらの注射器は、時間が経つにつれて、特に、加熱滅菌サイクルの最中にプラスチッククリープを生じることである。これは、プラスチック注射器を、特に注射器のプランジャーの周囲のプランジャー領域において膨張させる。これは、従来技術のプラスチック注射器を、前面装着式の圧力ジャケットに装着することを困難にすることが多い。なぜなら、注射器のプランジャーを保管するプランジャー領域が膨張しているからである。
【0045】
本開示の装置の注射器61は、以下説明するように、プラスチック注射器本体74の拡張およびプラスチッククリープに適合するために、プランジャー部材158を拡張セクション150に保管する。拡張セクション150は、望ましくは、注射器本体74のシリンダー状の中心セクションまたは本体152に隣接しておよび注射器本体74の近位端部76に形成される。しかしながら、拡張セクション150は、注射器本体74の任意の位置に形成または配置されてもよく、そこにプランジャー部材158が保管される。拡張セクション150において、注射器本体74の壁166は、厚さTから、薄い壁の厚さTrまで薄くなる。それゆえ、拡張セクション150の内径IDesは、シリンダー状の中心セクションまたは本体152の内径IDesよりも大きい。拡張セクション150における薄い壁の厚さTrは、拡張セクション150の外径ODesが注射器本体74の中心セクション152の外径ODcsよりも大きくなることなく、プランジャー部材158によってかけられる力の下で、拡張セクション150が外側に拡張できるようにする。注射器本体74の壁166の外表面168および注射器本体74の壁166の内表面170の双方が先細となるか、または階段状にされて、拡張セクション150に薄い壁の厚さTrを形成する。特に、注射器本体74の壁166の外表面168は、注射器本体74の中心軸Lの方へ内側に先細になるか、または階段状にされ、および注射器本体74の壁166の内表面170は、注射器本体74の中心軸Lから離れるように外側に先細になるか、または階段状にされて、薄い壁の厚さTrを形成する。上記の代替的な構成は、注射器本体74の壁166の内表面170のみを、注射器本体74の中心軸Lから離れるように外側に先細にするかまたは階段状にすることである。別の代替例は、外表面168のみを先細にするかまたは階段状にすることである。
【0046】
注射器61の拡張セクション150における薄い壁の厚さTrは、長期間の保管後にもプラスチック注射器本体74の拡張およびプラスチッククリープに適合する。それゆえ、そのような長期の保管後でも、プランジャー部材158が予め位置決めされた注射器61は、迅速かつ簡単に前面装着式の圧力ジャケットシステム、例えば圧力ジャケットアセンブリ63に挿入し得る。既に述べた通り、プランジャー部材158は拡張セクション150に保管される。注射器61を圧力ジャケット65に挿入して、使える状態になると、プランジャー部材158は、以前説明した方法でインジェクタ駆動ピストンによって係合され、かつ拡張セクション150から注射器61の中心セクションまたは本体152(注射器61の「作業ゾーン」と呼ばれ得る)へ、前方に動かされる。
【0047】
図18〜20および
図25を参照して説明すると、注射器61は、さらに、注射器61への接続部分175を有する患者用チューブセット174を結合するためのコネクタ172を含む。コネクタ172は、注射器61の注入用ネック部77を覆って位置決めするように構成されている。コネクタ172は、注射器61のねじ部分178と協働するねじ部分176を含む。コネクタ172は協働スロット180を含み、そこに、チューブセット174のフランジ182が摺動して、チューブセット174の内部通路(図示せず)を、コネクタ172にある開口部(図示せず)と位置合わせする。フランジ182は、コネクタ172の前方端およびコネクタ172上の前方当接壁186(それらの間にスロット180を形成する)に形成された保持部材またはフランジ184と協働し、コネクタ172およびチューブセット174が接続された後、それらの相対的な軸方向運動/分離を実質的に防止する。
【0048】
保持部材184は、望ましくは、略円形形状であり、開口部188が内部に形成されている。開口部188は、コネクタ172とチューブセット174が接続されているとき、チューブセット174の略シリンダー状の部分190がそこを通ることを可能にする。開口部188の幅は、望ましくは、略シリンダー状の部分190の直径よりも幾分小さく、チューブセット174の接続部分175は、コネクタ172と位置合わせされると適所に嵌り、かつ矢印Fの方向に十分な力が加えられる。あるいは、フランジ182と保持部材184との間に隙間が設けられ得る。コネクタ172は、望ましくは、弾力性のあるポリマー材料、例えばポリカーボネートから作製される。さらに、接続部材175は、望ましくは、多くの他の弾力性のあるポリマー材料から作製され、およびチューブセット174は、望ましくは、単一壁設計、共押出設計、または編組設計のいずれかの可撓性のポリマー材料から作製される。
【0049】
チューブセット174をコネクタ172に接続した後、コネクタ172を注射器61の注入用ネック部77に対して回転させ、注入用ネック部77の先細の端部191が、コネクタ172にある開口部(図示せず)を通過して、チューブセット174の後端部にある、対向して先細にされた内壁(図示せず)とかみ合って、流体密封接続を形成するようにする。開口部188は、チューブセット174のシリンダー状部分190よりも小さいため、保持部材184は、流体密封接続が生じた後にコネクタ172とチューブセット174の接続部分175とが切断されないようにする。コネクタ172およびチューブセット174は、チューブセット174を注射器61へ接続する前およびその接続中に通常経験するどんな環境および力でも、接続した状態のままであるように構成される。使用の前に、ダストカバー192がコネクタ172および注入用ネック部77を覆って設けられて、注射器61の内容物が汚染されないように保護し得る。
【0050】
コネクタ172のさらなる詳細は、米国特許出願公開第2005/0171487号明細書に開示されており、その全体を参照により本書に援用する。
【0051】
図3および
図4を参照して説明すると、注射器支持構造69は、加圧注入の最中に注射器61を拘束するために設けられている。
図3および
図4に示すように、注射器支持構造69の一実施形態は、インジェクタハウジング53から外側に延在する少なくとも1つ、および望ましくは2つの支持アーム79、81を含む。支持アーム79、81は、インジェクタハウジング53に対して上方および下方に旋回するように構成されている。支持アーム79、81は、インジェクタハウジング53へと延在する後または近位端部と、インジェクタハウジング53から外側に突出する遠位端部を含む。支持アーム79、81の遠位端部は、注射器保持壁または部材83によって相互接続されている。注射器保持部材83は、従来の機械的なファスナー(すなわち、ボルト)などによって支持アーム79、81に固着され得る。注射器保持部材83は、中心注射器受け用スロット85を画成し、このスロットは、実質的に垂直の向きにされており、かつ注射器61の注入セクションの注入用ネック部77を受け入れて支持するように構成されている。注射器保持部材83は、さらに、注射器受け用スロット85から半径方向外向きに離間した1つ以上の開口部87を画成する。注射器受け用スロット85および開口部87があることによって、流体注入システム1の操作者は、注入処置の最中に注射器61を見ることができる。
【0052】
支持アーム79、81は、注射器保持部材83が注入用ネック部77を受け入れて注射器61の注入セクションと協働しかつ圧力ジャケット65から注射器61が取り外されないようにする第1の位置と、注入用ネック部77および注射器61の注入セクションが注射器受け用スロット85および注射器保持部材83から十分に係合解除されて、圧力ジャケット65から注射器61を取り外すことができる第2の回転した位置との間で移動可能であるように略構成されている。特に、第2の位置では、注入用ネック部77は注射器受け用スロット85から十分に係合解除され、かつ注入セクションは注射器保持部材83から十分に切り離されて、前面装着式の圧力ジャケット65から注射器61を簡単に取り外すことができるようにする。望ましくは、第2の位置では、支持アーム79、81および注射器保持部材83は、圧力ジャケット65および注射器61の下方で、ある距離離間している。第1の位置にある支持アーム79、81の場合、注射器支持構造69は注射器係合位置にある。支持アーム79、81が第2の位置に動かされると、注射器支持構造69は略、注射器係合解除または取り外し位置または構成にある。取り外し可能な加熱素子86(
図2参照)を圧力ジャケット65に取り付けて、注射器61に入っている流体を、37℃に予熱して保持してもよい。
【0053】
図26に示す代替的な注射器支持構造69'を有するインジェクタヘッド3'の代替的な実施形態は、横向きに注射器支持構造69'を旋回させる、すなわち
図3および
図4に示す先の実施形態から約90度回転させることを可能にする。より具体的には、注射器支持構造69'は、インジェクタハウジング53'のフェイスプレート57'から外側に延出する少なくとも1つ、および望ましくは2つの支持アーム79'、81'を含む。支持アーム79'、81'は、インジェクタハウジング53'に対して左右に旋回するように構成されている。支持アーム79'、81'は、インジェクタハウジング53'へと延在する後または近位端部と、インジェクタハウジング53'から外側に突出する遠位端部とを有する。支持アーム79'、81'の遠位端部は、注射器保持壁または部材83'によって相互接続されている。注射器保持部材83'は、従来の機械的なファスナー(すなわち、ボルト)などによって支持アーム79'、81'に固着され得る。
【0054】
この代替的な実施形態では、注射器支持構造69'の旋回軸は、旋回軸が本質的に略概して水平である先の実施形態とは対照的に、本質的に概して垂直である。この第2の実施形態は、先の実施形態に関連する重力の影響を中和するという明白な利点を有する。注射器支持構造69'を構成する構造用部品は、かなりの質量を含むため、重力の影響を強く受け得る。これは、注射器支持構造69'の機構を、その意図した閉鎖位置から落とすドルーピング効果(drooping effect)を生じることがある。第2の実施形態は、旋回動作が確実に重力のベクトルに対して主として垂直となるようにすることによって、これに対抗する。
【0055】
第2の実施形態の別の明白な利点は、インジェクタヘッド3'の操作を支援する能力である。インジェクタヘッド3'の通常の使用に不可欠な要素は、インジェクタヘッドを、概して上向きの充填/パージ位置から、概して下向きの注入位置まで回転させる能力である。この回転は、一般的な空気管理技術であるが、空気は、上方位置において注射器61からパージされ、その後、処置のために下向きに回転される。これは、排出されなかった空気が全て注射器61の後ろに閉じ込められて、患者に注入されないことを保証するために、行われる。ユーザは、この回転動作を成し遂げるために、インジェクタヘッド3'の後ろを左手で、およびインジェクタヘッド3'の前を右手で把持することが多い。注射器支持構造69'を把持して押すことによって、注射器支持構造69'を開く可能性がある。なぜなら、インジェクタヘッド3'の回転軸は、注射器支持構造69'の回転軸と同一の平面に対し垂直であるためである。第2の実施形態は、注射器支持構造69'が、インジェクタヘッド3'の回転軸に対して概して垂直な軸によって確実に旋回することによって、押されるときに開くこの傾向を排除する。
【0056】
第2の実施形態のさらに別の利点は、造影剤のファウリングすなわち汚染(fouling)に対する抵抗性が優れていることである。注射器支持構造69'は、多くの構成要素で構成されており、造影剤が捕捉される多数の裂け目がある。横向きに旋回するように注射器支持構造69'を向けることによって、より問題の多い領域のいくつかに造影剤が蓄積しないようにする。
【0057】
図27および
図28を参照して説明すると、注射器支持構造69'の注射器保持部材83'を覆うスプラッシュシールド250が設けられ得る。典型的な血管造影処置の最中、ユーザは、インジェクタヘッド3'が上方位置にあって、注射器61が概して天井の方を向いている間に、注射器61を造影剤で満たす。所望の量の流体を得たら、ユーザは、注射器61から空気をパージする。注射器の先端部が最も高い点にある場合、空気は自然に上部まで上がってき、注射器61から出る。時折、この充填またはパージプロセスの最中に、ユーザが造影剤を少量、注射器支持構造69'にこぼすことがあり、これが、造影剤のファウリングとして公知の現象を生じ得る。スプラッシュシールド250の目的は、こぼれた造影剤を全て、注射器支持構造69'から、より望ましい箇所に逸らすことである。スプラッシュシールド250の利点の1つは、非常に単純な方法で注射器支持構造69'の注射器保持部材83'に嵌ることである。非常に特殊な幾何学的形状および片持ち梁アンダーカットフィンガー252によって、適所に保持される。これにより、ユーザは、スプラッシュシールド250を取り外して、掃除したりまたは交換したりできる。別の利点は、透明なポリマー材料から製造できることである。これにより、ユーザは、注射器61の可視性を維持できる。また、光が通過でき、高レベルの注射器の可視性を維持する。可視性が高いことは、注入前に注射器61に空気が全く閉じ込められていないことを確認する必要があるため、ユーザにとって重要である。スプラッシュシールド250はまた、上述した第1の実施形態の注射器支持構造69の注射器保持部材83を覆うために設けられてもよい。
【0058】
図43〜45を参照して説明すると、注射器支持構造69'のこの代替的な実施形態は、第1の圧力ジャケット65'および注射器を支持できる第1の注射器支持構造69'と、第2の圧力ジャケット65"および注射器を支持できる第2の注射器支持構造69"とを有する二重注射器用インジェクタヘッドに組み込まれ得る。第1の注射器支持構造69'は、インジェクタハウジングのフェイスプレート57"から外側に延在する少なくとも1つ、および望ましくは2つの支持アーム79'、81'を含む。支持アーム79'、81'は、インジェクタハウジングに対して左右に旋回するように構成されている。支持アーム79'、81'は、インジェクタハウジングへと延在する後または近位端部と、インジェクタハウジングから外側に突出する遠位端部とを含む。支持アーム79'、81'の遠位端部は、注射器保持壁または部材83'によって相互接続されている。第2の注射器支持構造69"はまた、インジェクタハウジングのフェイスプレート57"から外側に延在する少なくとも1つ、および望ましくは2つの支持アーム79"、81"を含む。支持アーム79"、81"は、インジェクタハウジングに対して左右に旋回するように構成されている。支持アーム79"、81"は、インジェクタハウジングへと延在する後または近位端部と、インジェクタハウジングから外側に突出する遠位端部とを含む。支持アーム79"、81"の遠位端部は、注射器保持壁または部材83"によって相互接続される。
【0059】
そのような二重注射器用インジェクタヘッドは、米国特許第8,133,203号明細書および同第7,553,294号明細書に詳細に説明されているような様々な動作モードを可能にし、それら全体を参照により本書に援用する。より具体的には、以下の動作モードが二重注射器用インジェクタによって用いられ得る:各注射器からの連続注入モード、各注射器からの単一の注入部位への同時注入モード、および各注射器からの異なる注入部位への同時注入モード。
【0060】
連続注入の場合、一度に1つの注射器のみから流体を注入できる。例えば、圧力ジャケット65'に関連する注射器は造影剤を含むことができるが、圧力ジャケット65"に関連する注射器は、生理食塩水などのフラッシング流体を含むことができ、それらを、当業界で公知の様々なプロトコルを使用して、患者に連続的に注入できる。
【0061】
単一部位への同時注入の最中、圧力ジャケット65'に関連する注射器は、例えば、造影剤が詰め込まれ得るまたは造影剤で満たされ得る一方、圧力ジャケット65"に関連する注射器は、例えば、生理食塩水などの希釈剤またはフラッシング流体が詰め込まれ得る。このモードでは、操作者によってプログラミングされたように、圧力ジャケット65'に関連する注射器と圧力ジャケット65"に関連する注射器とから同時注入することによって、圧力ジャケット65'に関連する注射器内の造影剤や他の流体は、例えば、圧力ジャケット65"に関連する注射器内の流体で、所望の濃度まで希釈され得るかまたはそれと混合され得る。
【0062】
異なる注入部位への同時注入の場合、圧力ジャケット65'に関連する注射器および圧力ジャケット65"に関連する注射器は双方とも、例えば同じ注入流体(例えば造影剤)で満たされ得る。単一部位とは対照的に、2つの異なる部位への造影剤の注入は、例えば、所望の量の造影剤を対象領域に、単一部位への注入で可能なものよりも低流速および低圧力で各部位において供給できるようにし得る。複数部位への同時注入によって可能にされた低流速および圧力は、例えば血管損傷および溢出の危険性を低下できる。
【0063】
引き続き
図2〜4を参照して説明すると、インジェクタハウジング53は、その内部に位置決めされたピストン(図示せず)を含み、このピストンは、注射器61のプランジャー部材158を接続しかつ作動させる。作動システム(図示せず)もインジェクタハウジング53内に位置決めされて、ピストンを動かす。作動システムは、歯車列および線形のボールねじ;歯車列および線形のボールねじに結合されたブラシレス直流モータ;および当業界で公知のようなモータに動作可能に結合されたモータアンプを含み得る。インジェクタハウジング53の内部にあるコントローラ(図示せず)が、ブラシレス直流モータを介してピストンの運動を制御する。造影剤を充填し注入する注射器は、このコントローラによって制御される。コントローラは、DCU9のグラフィカルユーザインタフェースを介して操作者とやり取りする。インジェクタハウジング53はまた、インジェクタヘッド3のアクティビティおよび操作状態に関する情報を表示するディスプレイ88を含む。ディスプレイ88は、インジェクタハウジング53の上部に位置決めされ、かつ残量、プログラムされた流速、プログラムされた圧力、およびプログラムされた量に関する情報を表示する。これらの項目の各々が、独立した発光ダイオード(LED)ディスプレイによってディスプレイ上で操作者に提示され得る。例えば、残量はLEDディスプレイ88aに表示され、圧力はLEDディスプレイ88bに表示され、プログラムされた量はLEDディスプレイ88cに表示され、および流速はLEDディスプレイ88dに表示され得る(
図3参照)。インジェクタハウジング53は、さらに、その後端部56に位置決めされたノブ90を含み得る。ノブ90は、インジェクタヘッド作動システムに直接結合される外部手動装置である。ノブ90は、ユーザが手動で順方向または逆方向のいずれかにピストンを動かすことができるようにする。その結果、ノブ90の目的は、操作者が、(1)手動で注射器61から空気をパージすること;および(2)システムの電源故障の場合に、注射器61の設置または取り外しを可能にするように注射器のプランジャーを後退させる(または前進させる)ことができるようにすることである。インジェクタハウジング53には、流体注入システム1を再配置するまたは運ぶためのハンドル92も位置決めされる。
【0064】
図29および
図30を参照し、および引き続き
図3および
図4を参照して説明すると、様々なセンサーもインジェクタハウジング53に設けられている。例えば、流体注入システム1は、エレクトロニクスおよびモータ駆動の熱的過負荷に起因してシステムを損傷させないようにする熱管理方法を用いる。その結果、インジェクタハウジング53内で4つの熱センサーを使用して、戦略上の箇所の温度を測定する。2つの温度センサー89a、89bが、モータ駆動のプリント基板(PCB)91に取り付けられる。これらの温度センサー89a、89bは、モータ駆動PCB91にあるヒートシンクの下方の電力トランジスタの温度を測定する。別の温度センサー93は、モータ駆動PCB91に直接取り付けられているヘッドディスプレイPCB95の下側に取り付けられる。この温度センサー95の目的は、電力トランジスタのヒートシンクの上方に生成された熱プルーム(heat plume)を測定することである。最後の温度センサー97が、信号管理PCB99に取り付けられる。この温度センサー97の目的は、インジェクタハウジング周辺温度を測定することである。当業者は、複数の温度センサーの配置および結合を変化させることができても、同じ結果を達成することを理解する。
【0065】
4つのセンサー89a、89b、93、97は、アナログ・デジタル変換器とインターフェースをとり、かつインジェクタハウジング53内に取り付けられたコントローラによって読み取られる。コントローラに提供されたソフトウェアが、各センサー89a、89b、93、97によって提供された温度信号を継続的に監視する。ソフトウェアは、予め定められた限界値をプログラミングされており、これらの限界値を超える場合、モータアンプ動作を抑制する。高圧注入処置の最中の主な熱源は、モータアンプを介してモータに供給される大量の電力に起因する。流体注入システム1の設計中、電気部品の各々は、出力レベルを下げられて、出力低下成分値を生成する。この出力低下プロセスは、以下の通りである。部品の性能パラメータ(例えば、最大電力損失、最大電圧など)が、製造者によって指定されている。製品の信頼性を高め、かつ装置または部品の故障の確率を低下させるために、技術者は、一般に、設計中に出力低下基準を適用するため、部品は、決して最大定格で動作することはない。例えば、抵抗器は、0.5ワットの最大電力損失を有し得る。この値が50%だけ下げられる場合、浪費する最大出力は0.25ワットである。そのような出力低下は、製品の信頼性を劇的に改善する。上述の予め定められた限界値は、出力低下成分値に基づくため、注入が開始されて温度が予め定められた限界値を超える場合、流体注入システム1の最も弱い部品の絶対的な最大運転温度を超えることなく注入を完了できるようにする実質的なヘッドルームがある。任意の好適な温度センサーを、このために使用し得る。望ましくは、温度センサー89a、89b、93、97は、National Semiconductor Corporation製の、AB級出力(品番LM94022/LM94022Q)の1.5V、SC70、マルチゲインアナログ温度センサーである。
【0066】
さらに、上述のとおり、流体注入システム1は、2つの構成のうちの1つに設けられ得る:
図1Aに示すような移動式台座;および
図1Bに示すような、操作者がインジェクタヘッド3およびDCU9の双方を診察台のレールに取り付けることができる、固定式診察台−レール構成。
【0067】
多くの診察台およびベッドの製造者は、上昇、移動(pan)、および傾斜機能を有するベッドを用意し、手術室において医師が患者を三次元的に位置決めできるようにする。その結果、三軸の加速度計101が信号管理PCB99に設けられて、流体注入システム1が、部屋の床面に対する基準面を確立できるようにする。加速度計101の出力信号は、インジェクタハウジング53に設けられたコントローラによって読み取られ、まず、加速度計101の座標系にオフセットがないかどうか、およびデカルト座標系のどの軸にこのオフセットが存在するのかを判断する。オフセットが空気管理に悪影響をもたらす場合、操作者は、DCU9のグラフィカルユーザインタフェースにメッセージがもたらされることによって警告され、インジェクタヘッド3または流体注入システム1全体を、床に平行な通常の面に再配置する。
【0068】
三軸の加速度計101は、地球の重力が対象の主な力である加速力に敏感な微小電気機械(MEMS:Micro−Electro−Mechanical)集積回路(IC)である。任意の好適な三軸の加速度計101を用いてもよい。例えば、加速度計101は、Freescale Semiconductor製の三軸の低重力微小加速度計(品番MMA7361LC)とし得る。
【0069】
さらに、いくつかの他のセンサーがインジェクタヘッド3に設けられて、コントローラに信号をもたらすため、注射器61が装着されたか、注射器保持壁83が適切に位置決めされたか、プランジャーが十分に前進されたか、および/またはインジェクタヘッド3の傾斜角度を判断できる。インジェクタヘッド3の傾斜角度の決定は、下記で詳細に説明する。
【0070】
図31〜40を参照し、および引き続き
図3および
図4を参照して説明すると、上記で説明したように、ナックル22が、第2の支持アーム19にインジェクタヘッド3を枢軸的に支持し、それにより、インジェクタヘッド3が、
図1AのXを付した軸の周りで回転できるようにする。ナックル22は、ピボットポスト103と、ピボットポスト103に垂直に位置決めされた中空の結合ポスト104とを有するL字形状の本体部分102を含む。ピボットポスト103は、第2の支持アーム19の第2の端部20に枢動的に接続され、それにより、インジェクタヘッド3が、
図1AにYを付す軸の周りで回転できるようにする。接続ポスト105は、結合ポスト104へと延在する第1の端部と、ブラケット106に結合される第2の端部とを有して設けられる。
図29に示すように、ブラケット106は、インジェクタハウジング53内のインジェクタヘッド3に結合される。この構成は、接続ポスト105によって支持されている間、インジェクタヘッド3が、
図1AにおいてXを付した軸の周りで回転できるようにする。
【0071】
現在の流体注入システムは、一般に、加速度計を使用して地球重力の方向に対するヘッドの傾斜角度を決定するセンサーの使用を必要とする(例えば、米国特許第5,868,710号明細書参照)。しかしながら、流体注入システム1は、地球重力の方向の代わりに支持コラム17に対するインジェクタヘッド3の角度位置を決定するために使用する装置を、ナックル22に組み込む。この装置は、インジェクタヘッド3がナックル22とインターフェースする箇所でインジェクタヘッド3内のPCB108に取り付けられた電位差計107を含む。より具体的には、および
図32、
図34、および
図36に示すように、PCB108および電位差計107は、接続ポスト105の第2の端部に位置決めされる。
【0072】
電位差計107は3端子の電気装置であり、その中心端子はワイパー機構に接続されている。他の端子は、電位差計107内部にある抵抗面の対向端部に接続されている。ワイパー機構は、抵抗面にわたって自由に移動できる。2つの外側端子間に電圧が印加されると、中心端子出力は、ワイパーの位置に比例する。電位差計107の出力は、アナログ・デジタル変換器(ADC)に送信される角度依存電圧である。ADCによって生成された信号は、インジェクタヘッド3のインジェクタハウジング53内に設けられたコントローラによって読み取られる。電位差計107は、回転位置センサー、例えばBourns製の3382−12mm型回転位置センサー、または村田製作所製のSMD/リード防塵タイプ12mm型SV01シリーズ回転位置センサーに基づく任意の好適な電位差計とし得る。あるいは、他の電気装置、例えば、限定されるものではないが、エンコーダまたは機械または光スイッチマトリクスが、電位差計107の代わりに使用され得る。
【0073】
その結果、ナックル22に設けられた電位差計107を使用して、システムのコントローラに、インジェクタヘッド3の位置の表示を提供する。ヘッドの位置または傾斜の感知は、コントローラが注射器61における空気管理を実施できるようにする重要な安全機能である。注射器61が充填されると、注射器61内の空気は造影剤に取って代わられるが、全ての空気が除去されるわけではない。充填は、常に、
図38に示すような垂直方向に向けられたインジェクタヘッド3を用いて実施される必要がある。充填段階中のナックル22の向きを、
図33および
図34に示す。これは、残気を注射器61の上部に保持する。充填されたら、注射器61は、垂直位置において空気をパージする必要がある。さらに、注射器61が充填されて注入できる状態になると、インジェクタヘッド3は、
図37に示すように下方に傾斜させる必要がある。注入段階の最中のナックル22の向きは、
図31および
図32に示す。電位差計107から受信した信号に基づくコントローラは、インジェクタヘッド3の位置を常に追跡している。インジェクタヘッド3が上に向けられる場合、コントローラは、流体注入システム1が作動状態になって注入することはできないようにする。
【0074】
電位差計107によって提供された傾斜位置信号はまた、ヘッドディスプレイ88を制御する。ヘッドディスプレイ88の動作は、
図40を参照すると理解できる。具体的には、上述のとおり、コントローラは、電位差計107から、支持コラム17に対するインジェクタヘッド3の角度を表す信号を受信する。コントローラは、繰り返しこの信号をサンプリングして、支持コラム17に対するインジェクタヘッド3の角度を決定する。考えられる全ての回転角度が、
図40に示す3つの動作領域に分割される。
【0075】
領域1は、注射器をパージするためにインジェクタヘッド3を配置する必要のある角度の、「パージ」領域である。インジェクタヘッド3が領域1内の角度にある場合(+55°から、+80°でヘッドがまっすぐ上に向いているときまで)、インジェクタヘッド3は、順方向または逆方向のいずれかのプランジャー駆動ラムの手動の動作を可能にし、初期の充填後に、操作者が注射器から空気を除去できるようにし、それにより、システムをパージする。これは、ソフトウェアがパージを認識する唯一の有効なパージ領域である。インジェクタヘッド3を領域2に動かすと(−10°から+55°)、システムをパージできる;しかしながら、システムは、パージを有効であると認識せず、下記で説明する「スマートセンチネル(Smart Sentinel)」システムを介してユーザに警告する。さらに、注射器はまた、インジェクタヘッド3が領域1内、または領域2内の角度にあるときに、充填できる。広範囲の移動速度を生成でき、注射器を迅速に充填できるようにする。しかしながら、インジェクタヘッド3が領域1にある間、プログラムされた注入が、上記で説明したように抑制される。それゆえ、インジェクタヘッド3が直立位置にある間、操作者は、前もってプログラムされた注入プロトコルに従って対象者への注入を開始できない。これは、対象者へ偶発的に空気を注入する可能性を最小にする。
【0076】
領域3は、「注入」領域(−10°から、−90°でヘッドがまっすぐ下に向いているときまで)である。インジェクタヘッド3がこの領域において傾斜しているとき、プログラムされた注入を開始できる。さらに、インジェクタハウジング53の上部に設けられた制御ボタン109(
図3および
図4参照)を使用して、ピストンを、順方向または逆方向のいずれかに動かすことができる;しかしながら、制御ボタン109によって生成できる移動速度の範囲は、領域1または2で利用可能なものと比較して実質的に狭くされている。これにより、制御ボタン109を使用しての流体注入の微調整された制御(または、例えば、カテーテルの開存性を確認するための採血)を可能にする。
【0077】
上述の様々な角度領域はまた、ディスプレイの向きに関連する。具体的には、
図40から分かるように、インジェクタヘッド3のディスプレイ88は、いくつかの独立した発光ダイオード(LED)ディスプレイを含む。例えば、上記で説明したように、残量をLEDディスプレイ88aに表示し、プログラムされた圧力をLEDディスプレイ88bに表示し、プログラムされた量をLEDディスプレイ88cに表示し、およびプログラムされた流速をLEDディスプレイ88dに表示し得る。この残量アイコン110はまた、ディスプレイ88に提供されてもよい。この残量アイコン110は、インジェクタヘッド3が領域3内に位置決めされるときのみ、照明される。残量アイコン110は、操作者に、このアイコンが照明されている場合には注射器にまだ多くの流体が残っていることを迅速に表示する一方、注射器の実際の残量(例えば、150mL)は、残量LEDディスプレイ88aに表示される。LEDディスプレイは、上述の情報を第1の向き(要素200参照)または第2の向き(要素300参照)のいずれかで表示できるように、配置する。インジェクタヘッド3が注入位置(下)にあるとき、要素300(すなわち、第2の向き)に示すように、LEDディスプレイの全てを照明する。インジェクタヘッド3を充填/パージ位置(上)に向けるとき、要素200(すなわち、第1の向き)で示すように、残量LEDディスプレイ88aのみを照明する。
【0078】
インジェクタヘッド3のコントローラが、ディスプレイ88の様々なLEDディスプレイを駆動して、要素200によって示すように、傾斜角度が領域1にあるときにLEDディスプレイを使用してディスプレイの向きを生じる。あるいは、領域2および3では、コントローラがディスプレイ88の様々なLEDディスプレイを駆動して、要素300によって示すディスプレイを生じる。その結果、ディスプレイ88に現れる情報は、常に、操作者の視点からは直立であり、ディスプレイの使用を容易にする。
【0079】
ここで、流体注入システム1の設置および動作を説明する。流体注入システム1の電源を入れる前に、動力源41、例えば壁コンセント(図示せず)からラインコード43を通して送られた110または220ボルトの電気が、流体注入システム1に提供される。その後、操作者は、好ましくは流体注入システム1の電源ユニット39にある主電源スイッチ(図示せず)の電源を入れる。流体注入システム1は、インジェクタヘッド3の視覚的な印、例えば緑色の光の照明(図示せず)によって応答して、流体注入システム1が、システムの電力供給装置のライン電力が印加されたことを示す。その後、操作者は、DCU9の電源スイッチ(図示せず)によってシステムの電源を入れる。流体注入システム1の主電源スイッチが入れられると、DCU9は自動的に電源が入り得ることを理解されたい。DCU9へ電力を供給した後、流体注入システム1は、流体注入システム1が流体注入システム1の適切な動作を妨げるなんらかの障害または条件を呈していないか判断するための様々な自己診断チェックを行うことによって、応答する。自己診断チェックの失敗および/または障害のいずれかが流体注入システム1において検出される場合、クリティカル・エラーウィンドウまたはスクリーンがDCU9に表示され、これにより、操作者に、障害を改善するためにサービス要員に連絡を取るように指示し得るか、または操作者に、操作者自身で障害を改善する方法を指示し得る。加えて、流体注入システム1は、自己診断チェックのいずれかが失敗した場合には、操作者が注入を開始できないようにする。しかしながら、全ての自己診断チェックに合格する場合、流体注入システム1は、次にDCU9上に主制御スクリーンを表示する。
【0080】
図41および
図42を参照して説明すると、主制御スクリーン112は、DCU9のタッチスクリーングラフィカルユーザインタフェースを介して操作者によってアクセスされ得る様々なオンスクリーン制御、例えばボタンを含む。オンスクリーン制御は、限定されるものではないが、選択可能なオプション、メニュー、サブメニュー、入力フィールド、仮想キーボードなどを含み得る。それゆえ、操作者は、DCU9のタッチスクリーンを使用して、流体注入システム1の1つ以上の注入サイクルをプログラムし、かつ性能パラメータを表示し得る。DCU9への入力はまた、画面上のカーソル、および画面上のカーソルと動作可能に関連された外部のポインティング・デバイス、例えばトラックボールやマウスを提供することによって、成し遂げられ得ることを理解されたい。操作者は、「停止」ボタンに接触することによって流体注入システム1の自動機能のいずれも停止し得ることを理解されたい。
【0081】
流体注入システム1が初期化したら、ユーザは、DCU9の「継続」ボタン(図示せず)を押す。この時点では、主制御スクリーン112は、「スマートセンチネル」ボックス114を含む。「スマートセンチネル」ボックス114は、インジェクタヘッド3を作動状態にして注入処置を実施できるようにする前に操作者によって完了される必要のある主制御スクリーン112上での作業リストを含む。この作業リストは、上記で説明したようにインジェクタヘッド3に位置決めされたセンサーの1つまたは全てによって提供された入力に基づく。例えば、作業リストは、注射器の装着、ドロップフロントの係合、プランジャーの前進、作動位置まで下方にインジェクタヘッドを回転、注射器の回転および取り外し、患者の切り離し、流速減少、要校正、ヘッドを上方に回転させパージ、注入の完了、処置の停止−ディスプレイタッチ、処置の停止−ヘッドタッチ、処置の停止−開始スイッチ、処置の停止−ISI、および処置の停止−少量を含み得る。しかしながら、このリストは、様々な他の作業が「スマートセンチネル」ボックス114に含まれ得ることが想定されたため、本開示の装置を限定するものとはみなされない。
【0082】
上記で詳細に説明したように、インジェクタヘッド3は、コントローラに信号を提供する様々な異なるセンサーを含み、注射器が装着されたか、注射器保持壁83が適切に位置決めされたか、プランジャーが適切に前進されたか、および/またはインジェクタヘッド3の位置を判断する。センサーが、操作者が作業リストからある作業を完了したという信号をコントローラに提供したら、DCU9上の作業リストからその作業が除去される。作業の全てが完了されたら、
図42に示すように「スマートセンチネル」ボックス114は消え、操作者は、インジェクタヘッド3を作動位置にすることができる。項目のいずれかが「スマートセンチネル」ボックス114に残っている場合、操作者は、インジェクタヘッド3を作動位置にできないようにされ、注入処置を実施できない。この機能は、ユーザインターフェースに明確さをもたらし、および流体注入システム1とのやり取りが減り、ユーザが流体注入システム1とのやり取りを成功させかつ所望の成果を生み出す可能性を増やすという利点を有する。
【0083】
流体注入システム1の動作に戻ると、操作者が主制御スクリーン112に達した後、操作者は、インジェクタヘッド3の上方に傾斜させて、上記で説明したような領域1にする。その後、注射器を圧力ジャケット65に差し込んで注射器支持構造69を持ち上げることによって、注射器61を設置する。注射器を首尾よく設置したら、「スマートセンチネル」ボックス114において、注射器を装着して、注射器支持構造69のドロップフロントを係合する注意リストが、自動的に除去される。さらに、その後、インジェクタヘッド3の作動システムのピストンを、150mL前方に動かして、注射器61から空気を全て取り除く。ピストンを前進させたら、「スマートセンチネル」ボックス114においてプランジャーを前進させるように注意をもたらすリストが自動的に除去され、「スマートセンチネル」ボックス114の作業リストに残っている作業は、ヘッドを作動位置まで下げるように回転させるという注意のみである。
【0084】
ここで、注射器61は、注射器61からダストキャップを取り外しかつ注射器61に「急速充填」チューブ(図示せず)の第1の端部を設置することによって、初めに造影剤で充填され得る。「急速充填」チューブの第2の端部を、栓のない造影剤用ボトル(図示せず)に差し込んで、注射器61を充填する。注射器61は、操作者がDCU9の「造影剤充填」ボタンに触って、それにより流体注入システム1を自動充填モードに入らせると、自動的に充填され得る。自動充填モードでは、流体注入システム1は、制御した速度で、例えば3mL/秒でインジェクタピストンを近位に動かし、造影剤が造影剤用ボトルから引き出されるようにし得る。流体注入システム1は、この作業の視覚的なフィードバックを、DCU9を介して、例えば主制御スクリーン112に示す注射器61のアイコン表示116によって操作者に提供し得る。それゆえ、流体注入システム1は、インジェクタピストンの位置に基づいて注射器61の現在の量をDCU9に表示し得る。流体注入システム1は、次に、注射器61に残っている全量が、予め設定されたまたは予め選択された量に達したとき、または造影剤容器中の造影剤量を完全に使い果たしたときなどの、予め定められた事象が発生するまで、造影剤用ボトルから造影剤を引き出すことに進む。あるいは、注射器61は、インジェクタヘッド3に設けられた制御ボタン109を使用してインジェクタピストンを引っ込めることによって、手動で充填し得る。
【0085】
その後、流体注入システム1は、充填済み注射器61から空気をパージするように構成されている。これは、ノブ90を手動で回転させてインジェクタピストンを前進させ、それにより、充填済み注射器61から残っている空気を全てパージすることによって、成し遂げられる。操作者は、圧力ジャケット65の本体および注射器61を軽く叩いて、注射器61の側面に取り残され得る気泡を全て取り除くことによって、閉じ込められて残っている空気を全て除去することを容易にし得る。パージ作業は、注射器61から全ての空気を確実に排出するように必要なだけ繰り返し得ることを理解されたい。その後、「急速充填」チューブは取り外されて、注入処置ができる状態になるまでダストカバーが注射器に戻される。
【0086】
この時点では、流体注入システム1は、使い捨てチューブセット118(
図2参照)の設置を受け入れる状態にある。具体的には、操作者は、注射器61からダストキャップを取り外し、かつ使い捨てチューブセット118をそのパッケージから取り外す。その後、操作者は、使い捨てチューブセット118の患者側端部を診察台または他の固定点に固定し得る。その後、操作者は、使い捨てチューブセット118の他方の端部を注射器61の注入用ネック部77と接続する。
【0087】
その後、操作者は、ノブ90を回転させて、使い捨てチューブセット118を注射器61からの造影剤で充填させることによって、インジェクタピストンを前進させる。その後、操作者は、上記で説明したような領域3に設けられた位置に達するまでインジェクタヘッド3を下方に回転させる。インジェクタヘッド3が下方に回転されたら、「スマートセンチネル」ボックス114のヘッドを作動位置まで下に回転させるリストが自動的に除去され、および
図42に示すように、「スマートセンチネル」ボックス114が主制御スクリーンから除去される。さらに、「スマートセンチネル」ボックス114の作業全てが完了したという警告が操作者にされ得る。この警告は、音声または視覚的な印のいずれか、例えばそれぞれビープ音またはオンスクリーンの警告メッセージなどによって成し遂げられ得る。その後、ノブ90を前方に動かす一方、使い捨てチューブセット118の患者側端部を患者カテーテルに接続することによって、ウェット・ツー・ウェット接続(wet−to−wet connection)を実施する。
【0088】
流体注入システム1が患者に正しく接続されたら、操作者は、注入処置のための流速、量、圧力(必要な場合)、および立ち上がり時間(必要な場合)をDCU9のグラフィカルユーザインタフェースに入力する。あるいは、流体注入システム1は、そこに記憶された、前もってプログラムされた流体供給プログラム(すなわち、プロトコル)を維持し得る。それゆえ、各注入サイクルの所望の流速、量、圧力限界値、および立ち上がり時間を手動で入力する代わりに、操作者は、プロトコルをプログラムして記憶し、および注入要素、例えば所望の流速、量、圧力限界値、および立ち上がり時間に対応する、先に記憶したプロトコルを再表示し得る。例示的な実施形態では、プロトコルは、DCU9のオンスクリーン制御を介してプログラムされ、かつ再表示される。プロトコルに適切な値の入力後、操作者は、流体注入システム1の任意の利用可能なメモリ位置にプロトコルを記憶し、他の患者の他の注入サイクルにおいてプロトコルを将来使用し得る。操作者は、流体注入システム1のメモリから任意の先に記憶したプロトコルを再表示し得る。さらに、保存したプロトコルは日付順に記憶し得る。
【0089】
所望の流速、量、圧力、および立ち上がり時間を入力した後、記憶されたプロトコルから手動または自動のいずれかで、操作者は、主制御スクリーン112の適切な「ARM(作動)」ボタン120または121を押すことによって、インジェクタを作動状態にする。これにより、主制御スクリーン112にポップアップ画面が現れ、全ての空気が排出されたかどうかの確認を要求する。操作者が、全ての空気が排出されたことを確認したら、流体注入システム1は作動状態にされる。準備が整ったら、操作者は、ハンド/フットスイッチ51、または、インジェクタがスキャナに接続されている場合には、ISI開始のいずれかを作動させることによって、注入を開始する。注入処置が開始したら、インジェクタピストンは前方に動き、それにより、操作者またはプロトコルによって指定された、プログラムされた量が供給されるまで、造影剤を流す。その後、インジェクタピストンは、前方運動を中止し、および注入処置が完了する。
【0090】
流体注入システム1は、作動可能(armed)または作動不能(unarmed)状態のいずれかで存在し、これらはそれぞれ、操作者が注入を実施できるかどうかに対応することを理解されたい。流体注入システム1は、限定されるものではないが、自己診断チェックの失敗、必要な部品のいくつがないこと、および患者にとって安全でないとみなされる圧力限界値に達したことを含む一定の条件に合致するときに、作動状態解除(disarmed)または安全状態を入力し得る。これらの条件の逆および/または他の要因が、作動可能状態を入力するためには流体注入システム1に存在する必要がある。流体注入システム1は、操作者に様々な可視式および/または可聴式アラームを提供して、流体注入システム1が機能している最中に生じる特定の条件を確認できるようにし得る。そのような条件は、限定されるものではないが、流体注入システム1の作動可能/作動状態解除およびその状態および作動状態解除圧力限界値への到達を含み得る。
【0091】
さらに、高粘度の造影剤および制限機能の高いIDカテーテル(例えば、4F ODおよびそれよりも小さい)を用いて流体注入システム1を使用することが望ましい場合がある。そのような状況では、流体注入システム1の使用は、注入処置の終わりには、使い捨てのセット(すなわち、カテーテル、注射器など)にかなりの量の圧力を生じる。注入の終わりに残っている圧力に耐えるために、上述の流体注入システム1は、残っている圧力を監視し、かつ、その圧力が、予め定められた閾値未満に降下すると、残っている圧力をシステムから除去するためのアルゴリズムを実行する。これは、制御された反動を最小にしかつプログラムされた量の百分率として供給される造影剤の量を最大にするように行われる。
【0092】
本開示の装置の具体的な実施形態を詳細に説明したが、当業者には、本開示の教示全体を踏まえて、これらの詳細な説明に対して様々な修正形態および代替形態を開発できることを理解されたい。従って、開示の特定の配置は説明にすぎず、本開示の装置の範囲を限定するものではなく、本開示の装置の範囲には、添付の特許請求の範囲およびその均等物のいずれかおよび全ての全容が与えられている。
[付記項1]
患者に流体を供給するためのインジェクタヘッドと;
略垂直に延在する取付ポールに結合された第1の端部、および旋回ナックルによって前記インジェクタヘッドに枢動的に結合された第2の端部を有する支持アームを含む取付構造と;
前記インジェクタヘッドのアクティビティおよび操作状態に関する情報を表示するディスプレイと;
前記ナックル内に位置決めされて、前記取付ポールに対する前記インジェクタヘッドの傾斜角度を表示する傾斜角度信号を生成する電位差計と;
前記インジェクタヘッド、前記電位差計、および前記ディスプレイに接続されて、前記患者への前記流体の供給を制御し、表示情報を生成し、および前記ディスプレイに前記表示情報を伝達し、かつ前記電位差計から前記傾斜角度信号を受信する制御回路と
を含む流体注入システムであって、
前記ディスプレイは、前記傾斜角度信号に応答して、前記傾斜角度信号の第1の範囲の値に応答する第1の向きにある前記表示情報を表示し、かつ前記傾斜角度信号の第2の範囲の値に応答する第2の向きにある前記表示情報を表示する、流体注入システム。
[付記項2]
前記ディスプレイが、前記インジェクタヘッドのハウジングに位置決めされる、付記項1に記載の流体注入システム。
[付記項3]
前記ディスプレイが、残量、流速、圧力、およびプログラムされた量のうちの少なくとも1つに関する情報を表示する、付記項1に記載の流体注入システム。
[付記項4]
前記制御回路が、グラフィカルユーザインタフェースを有する追加的なディスプレイに動作可能に結合される、付記項1に記載の流体注入システム。
[付記項5]
前記追加的なディスプレイが、前記インジェクタヘッドから離れて配置される、付記項4に記載の流体注入システム。
[付記項6]
前記追加的なディスプレイが、追加的な支持アームによって前記取付ポールに枢動的に取り付けられる、付記項4に記載の流体注入システム。
[付記項7]
前記制御回路は、前記電位差計から受信した前記傾斜角度信号が、前記インジェクタヘッドが上方に傾斜していると表示する場合、注入を中止するように構成されている、付記項1に記載の流体注入システム。
[付記項8]
付記項1に記載の流体注入システムとともに使用するための注射器であって、
遠位端部、および近位端部、およびそれらの間にある中心セクションを含む本体であって、前記遠位端部が、前記中心セクションから、吐出口を形成する注入用ネック部まで延在して先細になる円錐状部分を含む注入セクションを含み、および前記近位端部が、壁の厚さの薄い半径方向拡張セクションを含み、前記半径方向拡張セクションの内径は前記中心セクションの内径よりも大きく、および前記半径方向拡張セクションの外径は前記中心セクションの外径よりも小さくなっている、本体と;
前記本体に移動式に配置されかつ結合端部を含むプランジャーであって、前記注射器の使用前状態において前記半径方向拡張セクションに実質的に載置されている、プランジャーと;
前記円錐状部分に形成されかつ前記中心セクションと前記注入用ネック部との間の距離を延在するアライメントフランジであって、略矩形の形状であり、かつ前記本体の内部と流体連通する内部中空領域を画成するアライメントフランジと
を含む注射器。
[付記項9]
患者に流体を供給するためのインジェクタヘッドと;
前記インジェクタヘッド内に位置決めされ、前記インジェクタヘッドの状態を表示する信号を生成する複数のセンサーと;
前記インジェクタヘッドおよび前記複数のセンサーに動作可能に結合され、注入処置を制御する制御システムと;
前記制御システムに動作可能に結合されたディスプレイユニットと
を含む流体注入システムであって、
前記複数のセンサーによって生成された前記信号に基づいて、前記制御システムが、前記インジェクタヘッドを作動可能位置にして前記注入処置を実施する前に、前記ディスプレイユニット上に、ユーザが完了する必要がある作業リストを生成する、流体注入システム。
[付記項10]
前記複数のセンサーの1つが、前記ユーザが前記作業リストからある作業を完了したと判断するとき、前記作業が、前記ディスプレイユニット上の前記作業リストから除去される、付記項9に記載の流体注入システム。
[付記項11]
前記作業リストが、以下の作業:注射器の装着、ドロップフロントの係合、プランジャーの前進、作動位置まで下方へのインジェクタヘッドの回転、注射器の回転および取り外し、患者の切り離し、流速減少、要校正、ヘッドを上方に回転してパージ、注入の完了、処置の停止−ディスプレイタッチ、処置の停止−ヘッドタッチ、処置の停止−開始スイッチ、処置の停止−ISI、および処置の停止−少量のうちの少なくとも1つを含む、付記項9に記載の流体注入システム。
[付記項12]
前記インジェクタヘッドに枢動的に接続されかつ前記インジェクタヘッドを支持するように構成された取付構造をさらに含む、付記項9に記載の流体注入システム。
[付記項13]
前記取付構造が:
床に位置決めされた移動式ベース部と;
前記床の上方で前記移動式ベース部にから延出するポールと;
前記ポールに枢動的に結合された第1の端部、および前記インジェクタヘッドに枢動的に結合された第2の端部を有する第1の支持アームと
を含む、付記項12に記載の流体注入システム。
[付記項14]
前記取付構造が、前記ポールに枢動的に結合された第1の端部、および前記ディスプレイユニットに枢動的に結合された第2の端部を有する第2の支持アームをさらに含む、付記項13に記載の流体注入システム。
[付記項15]
前記ディスプレイユニットが、ユーザが注入処置を制御できるようにしかつ前記作業リストを表示するグラフィカルユーザインタフェースを有する、付記項9に記載の流体注入システム。
[付記項16]
前記インジェクタヘッドが、上部にディスプレイを有するハウジングを含む、付記項9に記載の流体注入システム。
[付記項17]
前記インジェクタヘッドの前記ハウジングが、そこから延在するハンドルを含む、付記項16に記載の流体注入システム。
[付記項18]
付記項9に記載の流体注入システムとともに使用するための注射器であって、
遠位端部、および近位端部、およびそれらの間にある中心セクションを含む本体であって、前記遠位端部が、前記中心セクションから、吐出口を形成する注入用ネック部へ延在して先細になる円錐状部分を含む注入セクションを含み、および前記近位端部が、壁の厚さの薄い半径方向拡張セクションを含み、前記半径方向拡張セクションの内径が前記中心セクションの内径よりも大きく、および前記半径方向拡張セクションの外径が前記中心セクションの外径よりも小さくなっている、本体と;
前記本体に移動可能に配置されかつ結合端部を含むプランジャーであって、前記注射器の使用前状態において前記半径方向拡張セクションに実質的に載置されている、プランジャーと;
前記円錐状部分に形成されかつ前記中心セクションと前記注入用ネック部との間の距離を延在するアライメントフランジであって、略矩形の形状であり、かつ前記本体の内部と流体連通する内部中空領域を画成するアライメントフランジと
を含む注射器。
[付記項19]
患者に流体を供給するためのインジェクタヘッドであって、ハウジング、前記ハウジングの正面に使い捨て注射器を収容するための機械的なインターフェース、前記ハウジング内に位置決めされた、前記使い捨て注射器のプランジャーに接続するためのピストン、および前記ハウジング内に位置決めされた、前記ピストンを動かすための作動システムを含むインジェクタヘッドと;
前記インジェクタヘッドの前記ハウジング内の前記作動システムの近傍に位置決めされた、前記作動システムの温度を表示する信号を生成する少なくとも1つの温度センサーと;
前記インジェクタヘッドおよび前記少なくとも1つの温度センサーに動作可能に結合され、注入処置を制御する制御システムと
を含む流体注入システムであって、
前記少なくとも1つの温度センサーによって判断された温度が、予め規定された閾値レベルを超える場合、前記制御システムが前記作動システムの動作を抑制する流体注入システム。
[付記項20]
前記作動システムが:歯車列および線形のボールねじ;前記歯車列および線形のボールねじに結合されたブラシレス直流モータ;および前記モータに動作可能に結合されたモータアンプを含む、付記項19に記載の流体注入システム。
[付記項21]
前記制御システムが、グラフィカルユーザインタフェースを有するディスプレイユニットに動作可能に結合されている、付記項19に記載の流体注入システム。
[付記項22]
ユーザが、前記少なくとも1つの温度センサーが判断した前記温度が前記予め規定された閾値レベルを超えていることを、前記ディスプレイユニットの前記グラフィカルユーザインタフェースに現れるメッセージによって警告される、付記項21に記載の流体注入システム。
[付記項23]
前記インジェクタヘッドに枢動的に接続されかつ前記インジェクタヘッドを支持するように構成された取付構造をさらに含む、付記項19に記載の流体注入システム。
[付記項24]
前記取付構造が:
床に位置決めされた移動式ベース部と;
前記床の上方で前記移動式ベース部にから延出するポールと;
前記ポールに枢動的に結合された第1の端部、および前記インジェクタヘッドに枢動的に結合された第2の端部を有する第1の支持アームと
を含む、付記項23に記載の流体注入システム。
[付記項25]
前記取付構造が、前記ポールに枢動的に結合された第1の端部と、ディスプレイユニットに枢動的に結合された第2の端部とを有する第2の支持アームをさらに含む、付記項24に記載の流体注入システム。
[付記項26]
前記インジェクタヘッドの前記ハウジングが、その上部にディスプレイをさらに含む、付記項19に記載の流体注入システム。
[付記項27]
前記ディスプレイが、残量、流速、圧力、およびプログラムされた量の少なくとも1つに関する情報を表示する、付記項26に記載の流体注入システム。
[付記項28]
前記インジェクタヘッドの前記ハウジングが、そこから延在するハンドルをさらに含む、付記項19に記載の流体注入システム。
[付記項29]
前記使い捨て注射器が:
遠位端部、および近位端部、およびそれらの間にある中心セクションを含む本体であって、前記遠位端部が、前記中心セクションから、吐出口を形成する注入用ネック部まで延在して先細になる円錐状部分を含む注入セクションを含み、および前記近位端部が、壁の厚さの薄い半径方向拡張セクションを含み、前記半径方向拡張セクションの内径が前記中心セクションの内径よりも大きく、および前記半径方向拡張セクションの外径が前記中心セクションの外径よりも小さくなっている、本体と;
前記本体に移動可能に配置されかつ結合端部を含むプランジャーであって、前記注射器の使用前状態において前記半径方向拡張セクションに実質的に載置されている、プランジャーと;
前記円錐状部分に形成されかつ前記中心セクションと前記注入用ネック部との間の距離を延在するアライメントフランジであって、略矩形の形状であり、前記本体の内部と流体連通する内部中空領域を画成するアライメントフランジと
を含む、付記項19に記載の流体注入システム。