(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の棚部が、前記第1の側壁及び前記第2の側壁から第1の距離だけ横方向に突き出し、前記第2の棚部が、前記第1の側壁及び前記第2の側壁から第2の距離だけ横方向に突き出しており、前記第1の距離が前記第2の距離より大きい、請求項3に記載の顎部部材。
前記支持基部が、前記第2の棚部の上に延在する外側表面を有し、その結果、前記板部が、前記支持基部の前記外側表面と前記支持基部の前記第2の棚部との間に捕捉されるように構成されている、請求項1に記載の顎部部材。
前記プラスチックが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ペルフルオロアルコキシ、及びフッ素化エチレンプロピレンからなる群から選択される、請求項8に記載の顎部部材。
前記第1の棚部が、前記第1の側壁及び前記第2の側壁から第1の距離だけ横方向に突き出し、前記第2の棚部が、前記第1の側壁及び前記第2の側壁から第2の距離だけ横方向に突き出しており、前記第1の距離が前記第2の距離より大きい、請求項15に記載の外科用器具。
前記支持基部が、前記第2の棚部の上に延在する外側表面を有し、その結果、前記板部が、前記支持基部の前記外側表面と前記支持基部の前記第2の棚部との間に捕捉されるように構成されている、請求項13に記載の外科用器具。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様では、外科用器具と共に使用する顎部部材の実施形態が提供される。顎部部材は、支持基部、顎部ライナー、及び細長い本体を含む。支持基部は、外科用器具に枢動可能に連結されるように構成されている近位部分と、遠位部分と、を有する。支持基部は、近位部分と遠位部分との間に長手方向に延在する空洞をその中に画定する。支持基部は、その中に形成される段差部分を含み、段差部分は、第1の棚部及び第2の棚部を画定する。顎部ライナーは、支持基部の空洞内に受容されるように構成されている細長い本体と、細長い本体の周囲から半径方向外向きに延出する突起部と、を含む。突起部は、支持基部の第1の棚部に着座するように構成されている。細長い板部は、顎部ライナーに隣接する、支持基部の第2の棚部に着座して、顎部ライナーを支持基部に対して固定するように構成されている。
【0006】
いくつかの実施形態では、段差部分は、支持基部の空洞の両側に配設され、それに沿って長手方向に延在することができる。
【0007】
支持基部は、空洞の第1の側面を画定する第1の側壁と、空洞の第2の側面を画定する第2の側壁と、を含み得ることが企図される。支持基部の第1及び第2の棚部のそれぞれは、第1及び第2の側壁から空洞内部へ横方向に突き出すことができる。
【0008】
第1の棚部は第1及び第2の側壁から第1の距離だけ横方向に突き出し得、第2の棚部は第1及び第2の側壁から第2の距離だけ横方向に突き出し得ることが想定される。第1の距離は第2の距離を超える。
【0009】
いくつかの実施形態では、支持基部の第1及び第2の棚部のそれぞれは、支持基部の長さに沿って延在することができる。
【0010】
支持基部は、第2の棚部の上に延在する外側表面を有し得、その結果、板部が、支持基部の外側表面と支持基部の第2の棚部との間に捕捉されるように構成されることが企図される。
【0011】
顎部ライナーは、顎部ライナーの細長い本体上に形成される組織接触表面を有し得ることが想定される。顎部ライナーの組織接触表面は、プラスチック、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ペルフルオロアルコキシ、及び/又はフッ素化エチレンプロピレンから製造され得る。組織接触表面は、顎部ライナーの長さに沿って配設される複数の歯部を有することができる。支持基部は内側表面を有することができ、顎部ライナーの組織接触表面は支持基部の内側表面から突き出ることができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、板部は、近位部分と、近位部分から延出するタブと、を有することができる。板部のタブは、顎部ライナーの突起部の近位部分と境を接して、支持基部に対する顎部ライナーの近位方向移動を防止するように構成され得る。
【0013】
支持基部の空洞は、空洞内への細長い板部の摺動可能な挿入を可能にしながら空洞内への顎部ライナーの摺動可能な挿入を阻止する橋部によって閉鎖され得ることが企図される。
【0014】
支持基部に対する顎部ライナーの近位方向移動が阻止されるように、支持基部の空洞は閉鎖された近位端を有し得ることが想定される。
【0015】
本開示の更に別の態様では、外科用器具が提供され、外科用器具は、ハンドル組立体、ハンドル組立体から遠位に延出している細長い本体部分、及び細長い本体部分に操作可能に連結されているツール組立体含む。ツール組立体は、刃部部材及び顎部部材を含む。顎部部材は、支持基部、顎部ライナー、及び細長い板部を含む。支持基部は、細長い本体部分に枢動可能に連結される近位部分と、遠位部分と、を有する。支持基部は、近位部分と遠位部分との間に長手方向に延在する空洞をその中に画定する。支持基部は、その中に形成される段差部分を含み、段差部分は、第1の棚部及び第2の棚部を画定する。顎部ライナーは、支持基部の空洞内に受容される細長い本体と、細長い本体の周囲から半径方向外向きに延出し、かつ、支持基部の第1の棚部に着座する突起部と、を含む。細長い板部は、顎部ライナーに隣接する、支持基部の第2の棚部に着座して、顎部ライナーを支持基部に対して固定する。顎部部材は、顎部部材の顎部ライナーが刃部部材から離間配置される、開放位置と、顎部部材の顎部ライナーが刃部部材に対して近接される、閉鎖位置との間で刃部部材に対して移動可能である。
【0016】
本開示の例示的な実施形態の更なる詳細及び態様が、以下に添付の図面を参照してより詳細に説明される。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「平行」及び「垂直」は、真の平行及び真の垂直から約+又は−10度までの実質的に平行及び実質的に垂直である相対配置を含むものと理解される。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
外科用器具と共に使用する顎部部材であって、前記顎部部材が、
外科用器具に枢動可能に連結されるように構成されている近位部分と、遠位部分とを有する支持基部であって、前記支持基部が前記近位部分と前記遠位部分との間に長手方向に延在する空洞をその中に画定し、前記支持基部がその中に形成される段差部分を含み、前記段差部分が第1の棚部及び第2の棚部を画定する、支持基部と、
顎部ライナーであって、
前記支持基部の前記空洞内に受容されるように構成されている細長い本体と、
前記細長い本体の周囲から半径方向外向きに延出し、かつ、前記支持基部の前記第1の棚部に着座するように構成されている、突起部と
を含む、顎部ライナーと、
前記顎部ライナーに隣接する前記支持基部の前記第2の棚部に着座して、前記顎部ライナーを前記支持基部に対して固定するように構成されている、細長い板部と
を備える、顎部部材。
(項目2)
前記段差部分が、前記空洞の両側に配設され、それに沿って長手方向に延在する、上記項目に記載の顎部部材。
(項目3)
前記支持基部が、
前記空洞の第1の側面を画定する第1の側壁と、
前記空洞の第2の側面を画定する第2の側壁と
を含み、
前記支持基部の前記第1の棚部及び前記第2の棚部のそれぞれが、前記第1の側壁及び前記第2の側壁から前記空洞の内部へ横方向に突き出している、上記項目のいずれかに記載の顎部部材。
(項目4)
前記第1の棚部が、前記第1の側壁及び前記第2の側壁から第1の距離だけ横方向に突き出し、前記第2の棚部が、前記第1の側壁及び前記第2の側壁から第2の距離だけ横方向に突き出しており、前記第1の距離が前記第2の距離より大きい、上記項目のいずれかに記載の顎部部材。
(項目5)
前記支持基部の前記第1の棚部及び前記第2の棚部のそれぞれが、前記支持基部の長さに沿って延在する、上記項目のいずれかに記載の顎部部材。
(項目6)
前記支持基部が、前記第2の棚部の上に延在する外側表面を有し、その結果、前記板部が、前記支持基部の前記外側表面と前記支持基部の前記第2の棚部との間に捕捉されるように構成されている、上記項目のいずれかに記載の顎部部材。
(項目7)
前記顎部ライナーが、前記顎部ライナーの前記細長い本体上に形成される組織接触表面を有する、上記項目のいずれかに記載の顎部部材。
(項目8)
前記顎部ライナーの前記組織接触表面がプラスチックから製造される、上記項目のいずれかに記載の顎部部材。
(項目9)
前記プラスチックが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ペルフルオロアルコキシ、及びフッ素化エチレンプロピレンからなる群から選択される、上記項目のいずれかに記載の顎部部材。
(項目10)
前記組織接触表面が、前記顎部ライナーの長さに沿って配設される複数の歯部を有する、上記項目のいずれかに記載の顎部部材。
(項目11)
前記支持基部が内側表面を有しており、前記顎部ライナーの前記組織接触表面が前記支持基部の前記内側表面から突き出ている、上記項目のいずれかに記載の顎部部材。
(項目12)
前記板部が、近位部分と、前記近位部分から延出しているタブとを有しており、前記板部の前記タブが、前記顎部ライナーの前記突起部の近位部分と境を接して、前記支持基部に対する前記顎部ライナーの近位方向移動を防止するように構成されている、上記項目のいずれかに記載の顎部部材。
(項目13)
前記空洞内への前記細長い板部の摺動可能な挿入を可能にしながら前記空洞内への前記顎部ライナーの摺動可能な挿入を阻止する橋部によって、前記支持基部の前記空洞が閉鎖される、上記項目のいずれかに記載の顎部部材。
(項目14)
前記支持基部に対する前記顎部ライナーの近位方向移動が阻止されるように、前記支持基部の前記空洞が、閉鎖された近位端を有する、上記項目のいずれかに記載の顎部部材。
(項目15)
外科用器具であって、
ハンドル組立体と、
前記ハンドル組立体から遠位に延出している細長い本体部分と、
前記細長い本体部分に操作可能に連結されるツール組立体と
を備え、
前記ツール組立体が、
刃部部材と、
顎部部材と
を含み、
前記顎部部材が、
前記細長い本体部分に枢動可能に連結される近位部分と、遠位部分とを有する支持基部であって、前記支持基部が前記近位部分と前記遠位部分との間に長手方向に延在する空洞をその中に画定し、前記支持基部がその中に形成される段差部分を含み、前記段差部分が第1の棚部及び第2の棚部を画定する、支持基部と、
顎部ライナーであって、
前記支持基部の前記空洞内に受容される細長い本体と、
前記細長い本体の周囲から半径方向外向きに延出し、かつ、前記支持基部の前記第1の棚部に着座している、突起部と、
前記顎部ライナーに隣接する前記支持基部の前記第2の棚部に着座して、前記顎部ライナーを前記支持基部に対して固定する細長い板部であって、前記顎部部材が、前記顎部部材の前記顎部ライナーが前記刃部部材から離間配置される、開放位置と、前記顎部部材の前記顎部ライナーが前記刃部部材に対して近接される、閉鎖位置との間で前記刃部部材に対して移動可能である、細長い板部と
を含む、顎部ライナーと
を含む、外科用器具。
(項目16)
前記段差部分が、前記空洞の両側に配設され、それに沿って長手方向に延在する、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目17)
前記支持基部が、
前記空洞の第1の側面を画定する第1の側壁と、
前記空洞の第2の側面を画定する第2の側壁と
を含み、
前記支持基部の前記第1の棚部及び前記第2の棚部のそれぞれが、前記第1の側壁及び前記第2の側壁から前記空洞の内部へ横方向に突き出している、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目18)
前記第1の棚部が、前記第1の側壁及び前記第2の側壁から第1の距離だけ横方向に突き出し、前記第2の棚部が、前記第1の側壁及び前記第2の側壁から第2の距離だけ横方向に突き出しており、前記第1の距離が前記第2の距離より大きい、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目19)
前記支持基部の前記第1の棚部及び前記第2の棚部のそれぞれが、前記支持基部の長さに沿って延在する、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目20)
前記支持基部が、前記第2の棚部の上に延在する外側表面を有し、その結果、前記板部が、前記支持基部の前記外側表面と前記支持基部の前記第2の棚部との間に捕捉されるように構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(摘要)
外科用器具と共に使用する顎部部材は、支持基部、顎部ライナー、及び細長い板部を含む。支持基部は、顎部ライナーを受容するように構成されている空洞をその中に画定する。細長い板部は、支持基部の空洞内に顎部ライナーに隣接して着座して、顎部ライナーを支持基部に対して固定するように構成されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の顎部部材、そのような顎部部材を含む外科用器具、及びその製造方法の実施形態が、図面を参照して詳細に説明され、図面中の同様の参照番号は、複数の図のそれぞれにおいて同一の又は対応する要素を示す。本明細書で使用するとき、用語「遠位」は、患者により近い、外科用器具及び/又はその顎部部材の部分を指し、一方、用語「近位」は、患者からより離れる、外科用器具及び/又は顎部部材の部分を指す。
【0021】
例示のみを目的として、外科用器具の以下の詳細な説明は、
図1A、1B、及び2に概ね図示される超音波外科用器具10の実施形態に組み込まれるような固有の顎部部材を説明することに限定される。顎部部材は、顎部支持基部と、超音波外科用器具10の使用中に顎部支持基部からの顎部ライナーの脱離を阻止する細長い板部によって顎部支持基部の内部に固定される顎部ライナーと、を含む。本明細書に詳述される様々な顎部部材はまた、超音波外科用器具10以外の他の外科用器具、例えば、任意の好適な電気機械外科用器具又は電気外科用器具など、組織を挟持する及び/又は処置するように機能する任意の好適なタイプの外科用器具と共に使用され得ることも企図される。
【0022】
超音波外科用器具10は、一般に、ハンドル組立体12、細長い本体部分14、及びツール組立体16を含む。ツール組立体16は、刃部部材32及びクランプ部材又は顎部部材100を含む。ハンドル組立体12は、電池組立体18、並びに超音波変換器及び発生器の組立体(「TAG」)20を支持しており、回転可能なノズル22、起動ボタン24、及びクランプトリガ26を含む。電池組立体18及びTAG 20を除いて、デバイス全体の処分を容易にできるように、電池組立体18及びTAG 20は、それぞれがハンドル組立体12に取り外し可能に固定される。しかしながら、超音波外科用器具10の任意の又は全ての構成要素が、処分可能な単回使用の構成要素又は除菌可能な複数回使用の構成要素として構成され得ることが企図される。
【0023】
超音波外科用器具10の細長い本体部分14は、ハンドル組立体12からツール組立体16まで遠位に延出している導波管30を含む。導波管30の遠位部分は、ツール組立体16の刃部部材32を画定する。導波管30の近位部分は、TAG 20と係合するように構成されている。超音波外科用器具10の細長い本体部分14は、導波管30から細長い本体部分14の内側支持管42への超音波エネルギーの伝達を防止するように導波管30の周囲に位置付けられる隔離管36を更に含む。導波管30及び内側支持管42は、ノズル22の回転が内側支持管42及び導波管30の対応する回転をもたらすように、回転可能なノズル22に回転可能に連結される。細長い本体部分14は、内側支持管42に連結され、かつ、ノズル22の回転に基づいて回転するように構成されている作動管66を更に含む。
【0024】
細長い本体部分14の内側支持管42は、隔離管36の周囲に位置付けられており、1対の離間配置されたクランプ支持アーム52を有する遠位端を含む。離間配置されたクランプ支持アーム52は、ツール組立体16の顎部部材100上に形成された枢軸部材114(
図3)を中心的に係合して、顎部部材100が刃部部材32から離間配置される、開放位置(
図1A)と、顎部部材100が刃部部材32に対して近接される、閉鎖位置(
図1B)との間で顎部部材100の枢動を可能にするように構成されている。以下に詳述するように、顎部部材100は、クランプトリガ26の作動に応じて開放位置と閉鎖位置との間で移動される。
【0025】
細長い本体部分14の外側作動管66は、内側支持管42の周囲に摺動可能に支持され(ただし、作動管66は代替的に支持管42の内部に摺動可能に配設され得る)、かつ、作動管66が内側支持管42の周囲で摺動するのに応じて顎部部材100が開放位置(
図1A)から閉鎖位置(
図1B)まで枢動するように顎部部材100に操作可能に連結される。作動管66は、外側作動管66が、回転可能なノズル22に回転可能に固定され、かつ、それに対して摺動可能であるように、回転可能なノズル22と操作可能に連結される。更に、外側作動管66の近位部分は、以下に詳述するように、ハンドル組立体12の駆動機構80と操作可能に連結される。
【0026】
ハンドル組立体12は、ハンドル組立体12に対して直線移動するようにその中に支持されている駆動機構80を含む。ハンドル組立体12はまた、前述のクランプトリガ26も含み、このクランプトリガ26は、使用時、クランプトリガ26が電池組立体18(
図1B)に向けて押し込まれたときに、外側作動管66が支持管42の周囲で(遠位から近位に向かう方向又は近位から遠位に向かう方向に)摺動して、顎部部材100を刃部部材32に関して開放位置から閉鎖位置に枢動させるように、駆動機構80と操作可能に連結される。
【0027】
電池組立体18は、ハンドル組立体12の固定されたハンドグリップ部分を画定するようにハンドル組立体12の下側端部に接続されており、外側ハウジング13を含む。TAG 20は、発生器27及び超音波変換器(明確には図示せず)を含む。発生器27は、外側ハウジング29を含む。コードレスとテザーのいずれであるかに関係なく、電力及び超音波エネルギーを供給するための他の好適な構成もまた企図される。
【0028】
一般には、使用時、電池組立体18及びTAG 20がハンドル組立体12及び導波管30にそれぞれ装着され、超音波外科用器具10が起動されると、電池組立体18は電力をTAG 20の発生器27に供給し、次いで、発生器27がAC信号を生成してTAG 20の超音波変換器を駆動する。次いで、超音波変換器は、AC信号を高周波機械運動に変換する。超音波変換器によってもたらされたこの高周波機械運動は、ツール組立体16の刃部部材32及び顎部部材100に隣接する又はそれらの間にある組織にこのような超音波エネルギーを適用するために、導波管30を介して刃部部材32に伝達される。
【0029】
図3及び4を参照すると、外科用器具、例えば、上述の超音波外科用器具10、と共に使用するために構成されている顎部部材100の実施形態が示されている。顎部部材100は、一般に、支持基部110、顎部ライナー130、及び細長い板部160を含む。顎部部材100の支持基部110は、顎部部材100に一体性をもたらす、比較的に剛な構造を有しており、その結果、ツール組立体16が挟持配置(
図1B)にあるとき、顎部部材100は組織に圧力を加えることができる。支持基部110は、含金属材料、例えば、鋼、又は任意の他の好適な材料から製造されてよく、機械加工、プレス成形、金属射出成形、又は任意の他の好適なプロセスによって形成されてよい。
【0030】
支持基部110は、概ね細長い構造を有しており、長手方向中心軸「X−X」を画定する。支持基部110は、支持基部110の少なくとも一部が長手方向中心軸「X−X」から離れて横方向に曲がる曲線構造、又は長手方向中心軸「X−X」に沿った直線構造を有し得ることが企図される。支持基部110は、近位部分110a及び遠位部分110bを有する。支持基部110の近位部分110aは、1対の離間した、近位に延在するフランジ112a、112bを有する。フランジ112a、112bはそれぞれ、超音波外科用器具10の離間配置されたクランプ支持アーム52(
図2を参照されたい)で画定される相応に成形された凹部(明確には図示せず)に枢動可能に受容されるように構成されているコネクタ、例えば、ボス114、を有する。そのため、支持基部110のフランジ112a、112bが、超音波外科用器具10の離間配置されたクランプ支持アーム52(
図2を参照されたい)に連結されると、顎部部材100は、顎部部材100と刃部部材32との間にある組織を選択的に挟持するように(
図1A及び1Bを参照されたい)、超音波外科用器具10の刃部部材32に対して枢動可能である。
【0031】
顎部部材100の支持基部110は、その近位部分及び遠位部分110a、110bに沿って長手方向に延在する空洞116をその中に画定する。空洞116は閉鎖された遠位端及び近位端を有しており、したがって、以下に詳述するように、顎部挿入部材130は、支持基部110の外側表面129から(支持基部110の内側表面124と比べて超音波外科用器具10の刃部部材32から更に進んで)支持基部110内に挿入される。この少なくとも部分的な「ドロップイン」構成は、とりわけ曲線状の顎部部材100に対して、組み立てを容易なものにする。空洞116は、支持基部110の内側表面124、支持基部110の厚さ、及び支持基部110の外側表面129を通って延在する。空洞116は、以下に詳細に説明するように、顎部ライナー130及び板部160を受容するように構成されている。
【0032】
支持基部110は、その両側に空洞116を囲む第1及び第2の側壁123a、123bと、第1及び第2の側壁123a、123bから空洞116の内部に延出している段差部分118と、を含む。第1及び第2の側壁123a、123bは、支持基部110の丸みを帯びた遠位端部分110cにて互いと共に形成される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の側壁123a、123bは、互いと共に一体形成されるのではなくて、支持基部110の遠位端部分110cにて好適な接続構造を介して互いに連結されてもよい。
【0033】
段差部分118は、上述のように、第1及び第2の側壁123a、123bから内方に延出する。第1及び第2の側壁123a、123bのそれぞれが段差部分118を有するが、簡潔にするために、本明細書には第1の側壁123aから延出している段差部分118のみを説明する。段差部分118は、第1の棚部118a及び第2の棚部118bを画定しており、そのそれぞれが、支持基部110の外側表面129の方へ向いた平面表面120a、120bを有する。第1及び第2の棚部118a、118bはそれぞれ、支持基部110の近位部分110aと遠位部分110bとの間に概ね長手方向に延在し、支持基部110と類似の曲線をなす。
【0034】
段差部分118の第1の棚部118aは、支持基部110の内側表面124に対して第2の棚部118bよりも近くに配設され、空洞116の内部へ第2の棚部118bから更に内方に突き出す。特に、第1の棚部118aは第1の側壁123aから第1の距離「D1」だけ突き出し、第2の棚部118bは第1の側壁123aから第2の距離「D2」だけ突き出しており、「D1」は「D2」より大きい。そのため、第1の棚部118aは、以下に説明するように、第2の棚部118bから距離「D3=D1−D2」だけ突き出して、顎部挿入部材130の突起部140をその上に支持する。
【0035】
段差部分118の第2の棚部118bは、支持基部110の近位部分110aに位置する橋部119を含み、橋部119は、支持基部110の第1の側壁123aと第2の側壁123bとの間に横方向に延在する。第2の棚部118bの橋部119は、第1の側壁123aの第2の棚部118bを第2の側壁123bの第2の棚部(明確には図示せず)と相互接続しており、その結果、第1及び第2の側壁123a、123bにわたる1つの連続的な第2の棚部118bを形成する。橋部119は、空洞116の近位端を閉鎖し画定する役目を更に果たす。
【0036】
支持基部110の外側表面129は、支持基部110の第1の側壁123aから第2の棚部118bの上に延出して、第2の棚部118bと外側表面129との間の内面溝126を画定する第1の延出部又は張出部122aを有する。支持基部110の外側表面129は、支持基部110の第2の側壁123bから、第2の側壁123b上の段差部分118の第2の棚部118bの上に延出する第2の延出部又は張出部122bを有する。内面溝126は、近位から遠位に向かう方向において板部160を摺動可能に受容するような寸法であり、その結果、板部160の外側部162、164は、支持基部110の第1及び第2の側壁123a、123bの対応の内面溝126内に捕捉される。支持基部110の遠位部分110bは、顎部ライナー130の遠位部分を受容するような寸法にされた、長手方向に延びる切欠き部128をその中に画定する。
【0037】
図3及び4を引き続き参照すると、顎部部材100の顎部ライナー130は、超音波外科用器具10の刃部部材32(
図2を参照されたい)が、それと接触している間に、超音波外科用器具10の刃部部材32又は他の構成要素に損傷を発生させることなく、かつ、その間に把持された組織の固定を危うくすることなく、振動することができる柔軟な材料から製造される。顎部ライナー130は、支持基部110内に位置するように構成され、その結果、ツール組立体16が挟持状態(
図1B)にあるときに、刃部部材32は、支持基部110ではなくて顎部ライナー130と接触する。顎部ライナー130は、プラスチック、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ペルフルオロアルコキシ、及び/又はフッ素化エチレンプロピレンから製造され得る。いくつかの実施形態では、顎部ライナー130は、任意の好適な柔軟変形可能な材料、例えば、軟質金属、ゴムなどから製造され得る。他の実施形態では、顎部ライナー(jaw linear)130は、金属から製造され得る。
【0038】
顎部部材100の顎部ライナー130は、細長い本体132と、その上に配設される突起部140と、を含む。細長い本体132は、矩形構造を有しており、近位部分132a及び遠位部分132bを含む。いくつかの実施形態では、細長い本体132は、任意の好適な形状、例えば、三角形、正方形、楕円形などをとり得る。顎部ライナー130の細長い本体132は、支持基部110の空洞116の内部に受容されるように構成されており、外側表面134及び内側組織接触表面136を有する。顎部ライナー130の組織接触表面136は、顎部ライナー130の長さに沿って配設される複数の歯部138を有する。歯部138は台形形状を有するが、歯部138は、顎部部材100と刃部部材32との間に組織を把持する又は保持する(
図2)のに役立つように機能する好適な形状(and suitable shape)をとり得ることが企図される。
【0039】
顎部ライナー130の突起部140は、楕円形構造を有しており、細長い本体132の外側表面136上に配設される。いくつかの実施形態では、顎部ライナー130の突起部140は、外側表面136に若しくは細長い本体132の周囲に一体的に接続され得るか、又は外側表面136と若しくは細長い本体132の周囲と共に一体成形され得る。突起部140は、細長い本体132の相対する外側部及び細長い本体132の近位部分132aから横方向外向きに延出する周囲縁部144を有するが、細長い本体132の遠位先端部132cから近位に後退している。そのため、突起部140の周囲縁部144は、支持基部110の第1の棚部118aの平面表面120a上に配設されるように構成されているが、細長い本体132の遠位先端部132cは、支持基部110の遠位部分110bに画定された切欠き部128に配設されるように構成されている。
【0040】
図3及び4を引き続き参照すると、顎部部材100の細長い板部160は、近位部分160a及び遠位部分160bを有する。板部160の近位部分160aは、顎部ライナー130が支持基部110の空洞116の内部に受容されたときに、支持基部110の第2の棚部118b上に配設されるように、かつ、顎部ライナー130を覆うように、構成されている。板部160は相対する外側部162、164を有しており、これらの外側部は、支持基部110の対応の第1及び第2の側壁123a、123bにある内面溝126の内部に受容されるような寸法になっている。支持基部110の外側表面129の張出部122a、122bは、板部160を支持基部110の第2の棚部118b上に保持し、これにより、支持基部110の空洞116にある外側に面する開口部117から板部160が抜け落ちるのを防止する。板部160の近位部分160aは、顎部ライナー130の突起部140よりも大きい幅を有しており、顎部ライナー130は、板部160がない間は支持基部110の外側に面する開口部117を通り抜けるような寸法になっている。
【0041】
顎部部材100を組み立てる又は製造するために、顎部ライナー130の突起部140の周囲縁部144が支持基部110の第1の棚部118a上に位置付けられるように、顎部ライナー130は、支持基部110の空洞116の内部に、その外側に面する開口部117を(支持基部110の外側及び内側表面129、124に対して)外側から内側に向かう方向に通って挿入される。このような挿入時、顎部ライナー110の細長い本体132の遠位先端部132cは、支持基部110の切欠き部128に押し込まれる。顎部ライナー130の突起部140の周囲縁部144を支持基部110の第1の棚部118a上に着座させたとき、顎部ライナー130の細長い本体132の組織接触表面136は、支持基部110の内側表面124から突き出る。顎部ライナー130の突起部140の周囲縁部144は、支持基部110の遠位端110cの内側に面する縁部と境を接して、顎部ライナー130が支持基部110に対して遠位に摺動するのを防止する。顎部ライナー130を支持基部110の空洞116内に位置付けるとき、顎部ライナー130の突起部140の周囲縁部144の下面は、支持基部110の第1の棚部118aの平面表面120aと境を接して、顎部ライナー130が支持基部110の内側表面124を通って空洞116の外に移動するのを防止し、顎部ライナー130の突起部140の周囲縁部144の相対する外側部は、対応の第1及び第2の側壁123a、123bの第2の棚部118bと境を接して、支持基部110の空洞116の内部での顎部ライナー130の横移動を防止する。この時点では、顎部ライナー130は、空洞116からその外側に面する開口部117を通って離脱することに対して(支持基部110の切欠き部128に押し込まれている顎部ライナー110の細長い本体132の遠位先端部132cの拘束以外で)実質的に拘束されていない状態である。
【0042】
顎部ライナー130が支持基部110の空洞116の内部に配設されると、板部160は、支持基部110の空洞116内に遠位に摺動されて、板部160の外側部162、164を支持基部110の第1及び第2の側壁123a、123bの対応の内面溝126の内部に位置付ける。板部160の遠位方向移動は、板部160の各外側部162、164上の肩部166a、166bが内面溝126の遠位端と境を接するまで続けられ、板部160の近位端は、第2の棚部118bの橋部119上に着座する。板部160が、顎部ライナー130の上に位置付けられ、支持基部110の張出部122a、122bと支持基部110の第2の棚部118bとの間に捕捉されると、板部160は、顎部ライナー130が支持基部110から支持基部110の外側に面する開口部117を通って抜け出るのを防止する。板部160、顎部ライナー130、及び支持基部110は、板部160が顎部ライナー130を圧縮嵌めによって所定の場所に保持するように更に構成されてもよい。いくつかの実施形態では、板部160を支持基部110に固定するのに役立つように、板部160の上に顎部オーバーモールド(図示せず)が適用され得る。追加的に又は代替的に、板部160は、板部160の周囲の選択された場所で又はその周囲全体にわたって支持基部110に溶接されても別な方法で恒久的に固定されてもよい。顎部部材100が製造されると、顎部部材100は、超音波外科用器具10の細長い本体部分14(
図2)に枢動可能に接続され得る。
【0043】
図5及び6を参照すると、超音波外科用器具10と共に使用するために構成されている顎部部材200の別の実施形態が示されている。顎部部材200は、一般に、支持基部210、顎部ライナー230、及び細長い板部260を含む。
【0044】
顎部部材200の支持基部210は、顎部部材200に一体性をもたらす、比較的に剛な構造を有しており、その結果、ツール組立体16が挟持配置(
図1B)にあるとき、顎部部材200は組織に圧力を加えることができる。支持基部210は、含金属材料、例えば、鋼、又は任意の他の好適な材料から製造されてよく、機械加工、プレス成形、金属射出成形、又は任意の他の好適なプロセスによって形成されてよい。
【0045】
支持基部210は、概ね細長い構造を有しており、長手方向中心軸「X−X」を画定する。支持基部210は、支持基部210の少なくとも一部が長手方向中心軸「X−X」から離れて横方向に曲がる曲線構造、又は長手方向中心軸「X−X」に沿った直線構造を有し得ることが企図される。支持基部210は、近位部分210a及び遠位部分210bを有する。支持基部210の近位部分210aは、1対の離間した、近位に延在するフランジ212a、212bを有する。フランジ212a、212bはそれぞれ、超音波外科用器具10の離間配置されたクランプ支持アーム52(
図2を参照されたい)で画定される相応に成形された凹部(明確には図示せず)に枢動可能に受容されるように構成されているコネクタ、例えば、ボス214、を有する。そのため、支持基部210のフランジ212a、212bが、超音波外科用器具10の離間配置されたクランプ支持アーム52(
図2を参照されたい)に連結されると、顎部部材200は、顎部部材200と刃部部材32との間にある組織を選択的に挟持するように(
図1A及び1Bを参照されたい)、超音波外科用器具10の刃部部材32に対して枢動可能である。
【0046】
顎部部材200の支持基部210は、その近位部分及び遠位部分210a、210bに沿って長手方向に延在する空洞216をその中に画定する。空洞216は閉鎖された遠位端及び近位端を有しており、その結果、顎部挿入部材230は、支持基部210の外側表面229から、支持基部210に画定される外側に面する開口部217を通って(支持基部210の内側表面224と比べて超音波外科用器具10の刃部部材32から更に進んで)空洞216内に受容される。この少なくとも部分的な「ドロップイン」構成は、とりわけ曲線状の顎部部材100に対して、組み立てを容易なものにする。空洞216は、支持基部210の内側表面224、支持基部210の厚さ、及び支持基部210の外側表面229を通って延在する。空洞216は、以下に詳細に説明するように、顎部ライナー230及び板部260を受容するように構成されている。
【0047】
支持基部210は、その両側に空洞216を囲む第1及び第2の側壁223a、223bと、第1及び第2の側壁223a、223bから空洞216の内部に延出している段差部分218と、を含む。第1及び第2の側壁223a、223bは、支持基部210の丸みを帯びた遠位端部分210cにて互いと共に形成され、かつ、支持基部210の近位部分210aに位置した横方向に延在する橋部221を介して互いに取り付けられる。いくつかの実施形態では、第1及び第2の側壁223a、223bは、互いと共に一体形成されるのではなくて、好適な接続構造を介して、互いに連結されてもよい。橋部は、空洞216の近位端を閉鎖し画定する役目を果たす。
【0048】
支持基部210の段差部分218は、上述のように、第1及び第2の側壁223a、223bから内方に延出する。支持基部210の第1及び第2の側壁223a、223bのそれぞれが段差部分218を有するが、簡潔にするために、本明細書には第1の側壁223aから延出している段差部分218のみを説明する。段差部分218は、第1の棚部218a及び第2の棚部218bを含み、そのそれぞれが、支持基部210の外側表面229の方へ向いている平面表面220a、220bを有する。第1及び第2の棚部218a、218bはそれぞれ、支持基部210の近位部分210aと遠位部分210bとの間に概ね長手方向に延在し、支持基部210と類似の曲線をなす。
【0049】
段差部分218の第1の棚部218aは、支持基部210の内側表面224に対して第2の棚部218bよりも近くに配設され、空洞216の内部へ第2の棚部218bから更に内方に突き出す。特に、第1の棚部218aは第1の側壁223aから第1の距離「D1」だけ突き出し、第2の棚部218bは第1の側壁223bから第2の距離「D2」だけ突き出しており、「D1」は「D2」より大きい。そのため、第1の棚部218aは、以下に説明するように、第2の棚部218bから距離「D3=D1−D2」だけ突き出して、顎部挿入部材230の突起部240をその上に支持する。
【0050】
段差部分218の第2の棚部218bは、支持基部210の遠位部分210bに位置する弓形橋部219を含み、弓形橋部219は、支持基部210の第1の側壁223aと第2の側壁223bとの間に延在する。第2の棚部218bの橋部219は、第1の側壁223aの第2の棚部218bを第2の側壁223bの第2の棚部218bと相互接続する。橋部219は、空洞216の遠位端を閉鎖し画定する役目を更に果たす。支持基部210の遠位部分210bは、顎部ライナー230の遠位部分を受容するような寸法にされた、長手方向に延びる切欠き部228をその中に画定する。
【0051】
図5及び6を引き続き参照すると、顎部部材200の顎部ライナー230は、
図3及び4を参照して上述した顎部ライナー130と同様である。特に、顎部部材200の顎部ライナー230は、細長い本体232と、その上に配設される突起部240と、を含む。細長い本体232は、矩形構造を有しており、近位部分232a及び遠位部分232bを含む。顎部ライナー230の細長い本体232は、支持基部210の空洞216の内部に受容されるように構成されており、外側表面234及び内側組織接触表面236を有する。顎部ライナー230の組織接触表面236は、顎部ライナー230の長さに沿って配設される複数の歯部238を有する。
【0052】
顎部ライナー230の突起部240は、楕円形構造を有しており、細長い本体232の外側表面234上に配設される。突起部240は、細長い本体232の相対する外側部及び細長い本体232の近位部分232aから横方向外向きに延出する周囲縁部244を有するが、細長い本体232の遠位先端部232cから近位に後退している。そのため、突起部240の周囲縁部244は、支持基部210の第1の棚部218aの平面表面220a上に配設されるように構成されているが、細長い本体232の遠位先端部232cは、支持基部210の遠位部分210bに画定された切欠き部228の内部に配設されるように、例えば、その中に押し込まれるように、構成されている。
【0053】
図5及び6を引き続き参照すると、顎部部材200の細長い板部260は、近位部分260a及び遠位部分260bを有する。板部260の近位部分及び遠位部分260a、260bのそれぞれは、顎部ライナー230が支持基部210の空洞216の内部に受容されたときに、支持基部210の第2の棚部218b上に配設されるように、かつ、顎部ライナー230を覆うように、構成されている。空洞216の外側に面する開口部217から板部260が抜け落ちるのを防止するために、支持基部230が
図3及び4の支持基部110の張出部122a、122bを有する代わりに、板部260が、支持基部210の空洞216に圧縮嵌めされるような寸法になっている。板部260の近位部分260aは、顎部ライナー230の突起部240よりも大きい幅を有しており、その結果、板部260は第2の棚部218bを通過できないが、顎部ライナー230は、第2の棚部218bを通過して第1の棚部218aの上に載るような寸法になっている。
【0054】
顎部部材200を組み立てる又は製造するために、顎部ライナー230の突起部240の周囲縁部244が支持基部210の第1の棚部218a上に位置付けられるように、顎部ライナー230は、支持基部210の空洞216の内部に、その外側に面する開口部217を(支持基部210の外側及び内側表面229、224に対して)外側から内側に向かう方向に通って挿入される。このような挿入時、顎部ライナー210の細長い本体232の遠位先端部232cは、支持基部210の切欠き部228に押し込まれる。顎部ライナー230の突起部240の周囲縁部244を支持基部210の第1の棚部218a上に着座させたとき、顎部ライナー230の細長い本体232の組織接触表面236は、支持基部210の内側表面224から突き出る。顎部ライナー230の突起部240の周囲縁部244は、支持基部210の遠位端部分210cの内側に面する縁部と境を接し、これにより、顎部ライナー230が支持基部210に対して遠位に摺動するのを防止する。支持基部210の第1の棚部218aは、顎部ライナー230が支持基部210の内側表面224を通って空洞216の外に移動するのを防止する。顎部ライナー230を支持基部210の空洞216内に位置付けるとき、顎部ライナー230の突起部240の周囲縁部244の下面は、支持基部210の第1の棚部218aの平面表面220aと境を接して、顎部ライナー230が支持基部210の内側表面224を通って空洞216の外に移動するのを防止し、顎部ライナー230の突起部240の周囲縁部244の相対する外側部は、対応の第1及び第2の側壁223a、223bの第2の棚部218bと境を接して、支持基部210の空洞216の内部での顎部ライナー230の横移動を防止する。この時点では、顎部ライナー230は、空洞216からその外側に面する開口部217を通って離脱することに対して実質的に拘束されている状態である。
【0055】
顎部ライナー230が支持基部210の空洞216の内部に配設されると、板部260は、支持基部210の外側開口部217を通って支持基部210の空洞216内に挿入されて、板部260の外側部262、264を支持基部210の第2の棚部218b上に位置付ける。閾値量の下向きの力が板部260に加えられて、板部260と支持基部210の空洞216との間に圧縮嵌めが形成される。いくつかの実施形態では、圧縮嵌めを形成することの代わりに又はそれに加えて、接着剤が板部260の下面又は第2の棚部218bの平面表面220bに塗布されて、板部260を支持基部210に固定し得る。他の実施形態では、板部260を支持基部210に固定するのに役立つように、板部260の上に顎部オーバーモールド(図示せず)が適用され得る。
【0056】
板部260が、顎部ライナー230の上に位置付けられ、支持基部210に固定されると、板部260は、顎部ライナー230が支持基部210から支持基部210の外側開口部217を通って抜け出るのを防止する。追加的に、支持基部210の空洞216はその近位端において支持基部210の橋部221により閉鎖されているため、板部260及び顎部挿入部材230はそれぞれ、支持基部210の空洞216から近位に抜け出ることを阻止される。追加的に又は代替的に、板部260は、板部260の周囲の選択された場所で又はその周囲全体にわたって支持基部210に溶接されても別な方法で恒久的に固定されてもよい。顎部部材200が製造されると、顎部部材200は、超音波外科用器具10の細長い本体部分14(
図2)に枢動可能に接続され得る。
【0057】
図7及び8を参照すると、超音波外科用器具10と共に使用するために構成されている顎部部材300の別の実施形態が示されている。顎部部材300は、一般に、支持基部310、顎部ライナー330、及び細長い板部360を含む。
【0058】
顎部部材300の支持基部310は、顎部部材300に一体性をもたらす、比較的に剛な構造を有しており、その結果、ツール組立体16が挟持配置(
図1B)にあるとき、顎部部材300は組織に圧力を加えることができる。支持基部310は、含金属材料、例えば、鋼、又は任意の他の好適な材料から製造されてよく、機械加工、プレス成形、金属射出成形、又は任意の他の好適なプロセスによって形成されてよい。
【0059】
支持基部310は、概ね細長い構造を有しており、長手方向中心軸「X−X」を画定する。支持基部310は、支持基部310の少なくとも一部が長手方向中心軸「X−X」から離れて横方向に曲がる曲線構造、又は長手方向中心軸「X−X」に沿った直線構造を有し得ることが企図される。支持基部310は、近位部分310a及び遠位部分310bを有する。支持基部310の近位部分310aは、1対の離間した、近位に延在するフランジ312a、312bを有する。フランジ312a、312bはそれぞれ、超音波外科用器具10の離間配置されたクランプ支持アーム52(
図2を参照されたい)で画定される相応に成形された凹部(明確には図示せず)に枢動可能に受容されるように構成されているコネクタ、例えば、ボス314、を有する。そのため、支持基部310のフランジ312a、312bが、超音波外科用器具10の離間配置されたクランプ支持アーム52(
図2を参照されたい)に連結されると、顎部部材300は、顎部部材300と刃部部材32との間にある組織を選択的に挟持するように(
図1A及び1Bを参照されたい)、超音波外科用器具10の刃部部材32に対して枢動可能である。
【0060】
顎部部材300の支持基部310は、その近位部分及び遠位部分310a、310bに沿って長手方向に延在する空洞又は空洞316をその中に画定する。空洞316は、閉鎖された遠位端316b及び開放された近位端316aを有する。以下に詳述するように、顎部挿入部材330は、支持基部310の外側表面329から(支持基部310の内側表面324と比べて超音波外科用器具10の刃部部材32から更に進んで)支持基部310内に挿入され得る。この少なくとも部分的な「ドロップイン」構成は、とりわけ曲線状の顎部部材100に対して、組み立てを容易なものにする。空洞116は、支持基部310の内側表面324、支持基部310の厚さ、及び支持基部310の外側表面329を通って延在する。空洞316は、以下に詳細に説明するように、顎部ライナー330及び板部360を受容するように構成されている。
【0061】
支持基部310は、その両側に空洞316を囲む第1及び第2の側壁323a、323bと、第1及び第2の側壁323a、323bから空洞316の内部に延出している段差部分318と、を含む。第1及び第2の側壁323a、323bは、支持基部310の丸みを帯びた遠位端部分310cにて互いと共に形成され、かつ、支持基部310の近位端にて互いから横方向に離間配置される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の側壁323a、323bは、互いと共に一体形成されるのではなくて、好適な接続構造を介して、互いに連結されてもよい。
【0062】
段差部分318は、上述のように、第1及び第2の側壁323a、323bから内方に延出する。支持基部310の第1及び第2の側壁323a、323bのそれぞれが、それから延出している段差部分318を有するが、簡潔にするために、本明細書には第1の側壁323aから延出している段差部分318のみを説明する。段差部分318は、第1の棚部318a及び第2の棚部318bを画定しており、そのそれぞれが、支持基部310の外側表面329の方へ向いている平面表面320a、320bを有する。第1及び第2の棚部318a、318bはそれぞれ、支持基部310の近位部分310aと遠位部分310bとの間に概ね長手方向に延在し、支持基部310と類似の曲線をなす。
【0063】
段差部分318の第1の棚部318aは、支持基部310の内側表面324に対して第2の棚部318bよりも近くに配設され、空洞316の内部へ第2の棚部318bから更に内方に突き出す。特に、第1の棚部318aは第1の側壁323aから第1の距離「D1」だけ突き出し、第2の棚部318bは第1の側壁323aから第2の距離「D2」だけ突き出しており、「D1」は「D2」より大きい。そのため、第1の棚部318aは、以下に説明するように、第2の棚部318bから距離「D3=D1−D2」だけ突き出して、顎部挿入部材330の突起部340をその上に支持する。
【0064】
第2の棚部318bは、支持基部310の遠位端部分310cに位置する弓形橋部319を含み、弓形橋部319は、支持基部310の第1の側壁323aと第2の側壁323bとの間に延在する。第2の棚部318bの橋部319は、第1の側壁323aの第2の棚部318bを第2の側壁323bの第2の棚部318bと相互接続して、板部360の遠位部分360bをその上に支持する。支持基部310の遠位部分310bは、顎部ライナー130の遠位部分を受容するような寸法にされた、長手方向に延びる切欠き部328をその中に画定する。橋部319は、空洞316の閉鎖された遠位端を閉鎖し画定する役目を更に果たす。
【0065】
図7及び8を引き続き参照すると、顎部部材300の顎部ライナー330は、
図3〜6を参照して上述した顎部ライナー130、230と同様である。顎部部材300の顎部ライナー330は、細長い本体332と、その上に配設される突起部340と、を含む。細長い本体332は、矩形構造を有しており、近位部分332a及び遠位部分332bを含む。顎部ライナー330の細長い本体332は、支持基部310の空洞316の内部に受容されるように構成されており、外側表面334及び内側組織接触表面336を有する。顎部ライナー330の組織接触表面336は、顎部ライナー330の長さに沿って配設される複数の歯部338を有する。
【0066】
顎部ライナー330の突起部340は、楕円形構造を有しており、細長い本体332の外側表面336上に配設される。突起部340は、細長い本体332の相対する外側部及び細長い本体332の近位部分332aから横方向外向きに延出する周囲縁部344を有するが、細長い本体332の遠位先端部332cから近位に後退している。そのため、突起部340の周囲縁部344は、支持基部310の第1の棚部318aの平面表面320a上に配設されるように構成されているが、細長い本体332の遠位先端部332cは、支持基部310の遠位部分310bに画定された切欠き部328に配設されるように構成されている。
【0067】
図7及び8を引き続き参照すると、顎部部材300の細長い板部360は、近位部分360a及び遠位部分360bを有する。板部360の近位部分及び遠位部分360a、360bのそれぞれは、顎部ライナー330が支持基部310の空洞316の内部に受容されたときに、支持基部310の第2の棚部318b上に配設されるように、かつ、顎部ライナー330を覆うように、構成されている。空洞316の外側に面する開口部317から板部360が抜け落ちるのを防止するために、支持基部310が
図3及び4の支持基部130の張出部122a、122bを有する代わりに、板部360が、支持基部310の空洞316に圧縮嵌めされるような寸法になっている。板部360の近位部分360aは、顎部ライナー330の突起部340よりも大きい幅を有しており、その結果、板部360は第2の棚部318bを通過できないが、顎部ライナー330は、第2の棚部318bを通過して第1の棚部318aの上に載るような寸法になっている。
【0068】
板部360は、その近位部分360aから延出しているタブ370有することによって、
図5及び6の板部260と異なる。タブ370は、板部360の外側表面から実質的に垂直に延出する。タブ370は、顎部ライナー330の近位端と境を接して、空洞316の開放された近位端316aから顎部ライナー330が近位に滑り出るのを防止するように構成されている。
【0069】
顎部部材300を組み立てる又は製造するために、顎部ライナー330の突起部340の周囲縁部344が支持基部310の第1の棚部318a上に位置付けられるように、顎部ライナー330は、支持基部310の空洞316の内部に、その外側に面する開口部317を(支持基部310の外側及び内側表面329、324に対して)外側から内側に向かう方向に通って挿入される。このような挿入時、顎部ライナー310の細長い本体323の遠位先端部332cは、支持基部310の切欠き部328に押し込まれる。顎部ライナー330の突起部340の周囲縁部344を支持基部310の第1の棚部318a上に着座させたとき、顎部ライナー330の細長い本体332の組織接触表面336は、支持基部310の内側表面324から突き出る。顎部ライナー330の突起部340の周囲縁部344は、支持基部310の遠位端部分310cの内側に面する縁部と境を接して、顎部ライナー330が支持基部310に対して遠位に摺動するのを防止する。顎部ライナー330を支持基部310の空洞316内に位置付けるとき、顎部ライナー330の突起部344の周囲縁部344の下面は、支持基部310の第1の棚部318aの平面表面320aと境を接して、顎部ライナー330が支持基部310の内側表面324を通って空洞316の外に移動するのを防止し、顎部ライナー330の突起部340の周囲縁部344の相対する外側部は、対応の第1及び第2の側壁323a、323bの第2の棚部318bと境を接して、顎部ライナー130の横移動を防止する。この時点では、顎部ライナー330は、空洞316からその外側に面する開口部317を通って離脱することに対して実質的に拘束されていない状態である。
【0070】
顎部ライナー330が支持基部310の空洞316の内部に配設されると、板部360を支持基部310の空洞316の開放された近位端316aから空洞316内に遠位に移動させることにより、板部360は支持基部310の空洞316内に挿入されて、板部360の外側部が支持基部310の第2の棚部318b上に位置付けられる。代替的に、板部360は、支持基部310の空洞316内に、その外側に面する開口部317を通って、近位から遠位に向かう方向ではなくて外側から内側に向かう方向で挿入されてもよい。閾値量の遠位方向の力(代替的には内側方向の力)が板部360に加えられて、板部360と支持基部310の空洞316との間に圧縮嵌めが形成される。いくつかの実施形態では、圧縮嵌めを形成することの代わりに又はそれに加えて、接着剤が板部360の下面又は第2の棚部320aの平面表面320bに塗布されて、板部360を支持基部310に固定し得る。他の実施形態では、板部360を支持基部310に固定するのに役立つように、板部360の上に顎部オーバーモールド(図示せず)が適用され得る。追加的に又は代替的に、板部360は、板部360の周囲の選択された場所で又はその周囲全体にわたって支持基部310に溶接されても別な方法で恒久的に固定されてもよい。
【0071】
板部360が、顎部ライナー330の上に位置付けられ、支持基部310に固定されると、板部360は、顎部ライナー330が支持基部310から支持基部310の外側に面する開口部317を通って抜け出るのを防止する。追加的に、板部360のタブ370は、顎部ライナー330の近位端と境を接して、顎部ライナー330が支持基部310から空洞316の開放された近位端316aを通って近位に抜け出るのを防止する。顎部部材300が組み立てられる又は製造されると、顎部部材300は、超音波外科用器具10の細長い本体部分14(
図2)に枢動可能に接続され得る。
【0072】
図9及び10を参照すると、
図3及び4に示されている顎部部材100と類似の、顎部部材400の別の実施形態が示されている。したがって、顎部部材400と顎部部材100との間の差異を明らかにするために必要な顎部部材400の特徴のみを説明する。
【0073】
顎部部材400は、一般に、支持基部410、顎部ライナー430、及び細長い板部460を含む。顎部部材400の支持基部410は、顎部挿入部材430を受容するような寸法にされた空洞416をその中に画定する。支持基部410は、内面溝426を画定する延出部又は張出部422を有する。内面溝426は、近位から遠位に向かう方向において板部460を摺動可能に受容するような寸法になっている。
【0074】
支持基部410は、顎部部材100(
図3及び4)の段差部分118と類似の、第1の棚部418a及び第2の棚部418bを画定する段差部分418を有する。しかしながら、支持基部110(
図3及び4)の棚部118a、118bのように、棚部418a、418bが互いに対して実質的に平行に延出するのではなく、支持基部410の第2の棚部418bは、支持基部410の第1の棚部418aに対して斜角を有して延出しており、棚部418bは、支持基部410によって画定される長手方向軸に対して実質的に平行に走っている。そのため、支持基部410の空洞416は、
図10に示されるような楔形状の構造を有する。追加的に、顎部ライナー130(
図3及び4)の突起部110のように、顎部ライナー430の突起部440が顎部ライナー430の細長い本体432から実質的に垂直に延出するのではなく、顎部ライナー430の突起部440は、顎部ライナー430の細長い本体432から外方に向かって斜角、例えば、約10〜80度、いくつかの実施形態では、約35〜55度でフレア状に広がる。そのため、顎部ライナー430の突起部440は、顎部ライナー430が支持基部410の空洞416の内部に、例えば、「ドロップイン」方式で、受容されるときに、支持基部410の傾斜した第2の棚部418bを相補的に(complimentarily)係合するように構成されている。
【0075】
顎部部材400の板部460は、その長手方向中心軸に沿って延在する背骨部462を含む。背骨部462は、板部460を2つの長手方向半部460a、460bに分割する、長手方向に延在する間隙464を画定する。板部460を空洞416に挿入する際に、間隙464は、半部460a、460bが背骨部462を軸にして互いに向かって屈曲することを可能にする。そのため、板部460は、板部460を空洞416の内部へ長手方向に摺動させるのではなくて、(支持基部410への顎部ライナー430の組み付けと同様に)「ドロップイン」方式を使用して支持基部410に組み付けられ得る。板部460は、半部460a、460bのそれぞれに先細の外側縁部466a、466bを画定して、板部460の支持基部410への進入及び/又はそれからの退出を容易なものにし得る。いくつかの実施形態では、板部460は、「ドロップイン」されるのではなくて、カバー460を溝426の内部へ長手方向に摺動させることによって支持基部410に組み付けられ得る。
【0076】
本開示のいくつかの実施形態を図面で示してきたが、それによって本開示が限定されることを意図するものではなく、本開示が当該技術分野で可能な限り広い範囲を対象とすること、及び本明細書も同様に解釈されることが意図されている。したがって、上述の説明は、単に特定の実施形態の例示として解釈すべきであり、限定するものとして解釈すべきではない。本明細書に添付の請求項の範囲及び趣旨を逸脱しない他の修正は、当業者ならば想到するであろう。