【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)刊行物等 ウェブサイトの掲載日 平成29年6月16日 ウェブサイトのアドレス http://www.smcon.co.jp/2017/061619387/ 公開者 三井住友建設株式会社 上記アドレスのウェブサイトで公開されている三井住友建設株式会社のウェブサイトにて、電気自動車等のバッテリーを用いたエレベータ運転支援装置を公開。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態によるエレベーター運転支援装置の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1を参照すると、エレベーター運転支援装置1は、常用電源と非常用電源であるバッテリーとの切り替えが可能なエレベーターの運転を支援する。エレベーター運転支援装置1は、記憶部2及び運転支援情報提示部3を有する。
【0018】
記憶部2には、かごの積載荷重を段階的に変化させ、各段階の積載荷重でかごを第1の階と該第1の階とは異なる第2の階との間で往復移動させたときの、往路に関する積載荷重とかごの移動に必要な電力との相関を示す第1の特性データ2aと、復路に関する積載荷重とかごの移動に必要な電力との相関を示す第2の特性データ2bとが格納されている。ここで、第1及び第2の階はいずれも、任意に設定することができる。例えば、地上20階の建物であれば、第1の階を1階に設定し、第2の階を、2〜20の階のうちのいずれかの階に設定することができる。停電時におけるエレベーターの効率的な運用を考慮すれば、第2の階を10階もしくはその近傍の階に設定することが望ましい。なお、一以上の地下階を含む場合は、第1の階を任意の地下階に設定しても良い。
【0019】
運転支援情報提示部3は、バッテリーを用いたエレベーターの運転が開始されると、第1の特性データ2aに基づく線グラフと第2の特性データ2bに基づく線グラフとを重ねて描画した相関図と、この相関図上の各線グラフの交点により示される積載荷重とを少なくとも含む運転支援情報を提示する。
【0020】
図2に、運転支援情報に含まれる相関図の一例を示す。縦軸は、かごの移動に必要な電力(W)を示し、横軸は、かごの積載荷重(kg)を示す。この例では、かごの最大積載荷重は700kgである。破線の線グラフは、第1の特性データ2aに基づくものであって、往路(上昇)に関する電力と積載荷重との相関を示す。実線の線グラフは、第2の特性データ2bに基づくものであって、復路(下降)に関する電力と積載荷重との相関を示す。
【0021】
図2に示した相関図において、破線の線グラフと実線の線グラフとの交点の位置に、エレベーターの現状(運転状況)を示す黒丸が表示されている。ここで、破線の線グラフと実線の線グラフとの交点における積載荷重は、かごを往復移動させた場合の消費電力が最も小さくなる荷重を示す。すなわち、各線グラフの交点における積載荷重は、最適な積載荷重と見做すことができる。
【0022】
本実施形態のエレベーター運転支援装置1によれば、利用者に対して、
図1に示したような相関図と最適な積載荷重とを含む運転支援情報を提示することができる。利用者は、運転支援情報を参照することで、実際にエレベーターを利用した際の運転が非効率であるか否かを認識することができる。このように、利用者に対して運転支援情報を提示することで、利用者の意識を省エネルギー運転に向けることができ、その結果、利用者によるエレベーターの非効率な運転を抑制し、消費電力を削減することができる。
【0023】
なお、本実施形態のエレベーター運転支援装置1において、以下のような変更を行うことができる。
【0024】
相関図は、バッテリーを用いてかごを任意の二つの階の間で往復移動させることができる稼働可能範囲の情報を含んでいても良い。ここで、任意の二つの階は、第1の階と第2の階であっても良く、第1の階と第2の階とは異なる階であっても良い。
【0025】
図3に、稼働可能範囲の一例を示す。
図3に示す例では、
図2に示した相関図に、バッテリーを用いてエレベーターに供給できる最大電力(例えば、バッテリーの容量)が3000Wである場合の稼働可能範囲が示されている。相関図の3000W以下の範囲が、バッテリーを用いたエレベーター運転を行うことができる稼働可能範囲4aである。相関図の3000Wを超える範囲(斜線部)が、バッテリーを用いたエレベーター運転を行うことができない稼働不可範囲4bである。利用者は、稼働可能範囲4aを参照し、往路(上昇)又は復路(下降)における積載可能な荷重を認識することができる。
【0026】
また、本実施形態のエレベーター運転支援装置1において、バッテリーの出力をかごの動力に利用可能な交流電圧に変換する変換部を備え、運転支援情報提示部3は、変換部の出力電力を計測する電力計測部を有していても良い。この場合、電力計測部が、かごの移動に伴って生じる瞬時電力を計測し、運転支援情報は、電力計測部が計測した瞬時電力の計測値をさらに含んでいても良い。
【0027】
さらに、運転支援情報提示部3は、電力計測部の電力測定結果に基づいてかごの移動に伴って消費される消費電力量を算出し、該消費電力量に基づいてバッテリーの残量を算出する演算部を、さらに有していても良い。この場合、運転支援情報は、演算部が算出した前記バッテリーの残量を示す情報をさらに含んでいても良い。
【0028】
さらに、運転支援情報提示部3は、相関図とバッテリーの残量とに基づいて、所定の積載荷重でかごを任意の二つの階の間で往復移動させことができる回数を予測する予測部を、さらに有していても良い。この場合、運転支援情報は、予測部が予測した回数をさらに含んでいても良い。なお、この場合も、任意の二つの階は、第1の階と第2の階であっても良く、第1の階と第2の階とは異なる階であっても良い。
【0029】
さらに、運転支援情報提示部3は、バッテリーの残量が閾値を下回った場合に、所定の通知を行う通知部を、さらに有していても良い。
【0030】
さらに、運転支援情報提示部3は、運転支援情報を表示する少なくとも一つの表示部をさらに有していても良い。
【0031】
さらに、運転支援情報提示部3は、携帯端末と無線で相互に通信可能な無線通信部をさらに有していても良い。この場合、無線通信部は、携帯端末に対して運転支援情報を送信することができる。
【0032】
また、本実施形態のエレベーター運転支援装置1において、第1の特性データ2aと第2の特性データ2bはそれぞれ、最大積載荷重または無荷重と最大積載荷重の半分の積載荷重との範囲を少なくとも含むものであっても良い。第1の特性データ2aと第2の特性データ2bは、常用電源を用いてかごを往復移動させることで取得したデータであっても良く、あるいは、バッテリーを用いたエレベーターの運転開始前に、バッテリーを用いてかごを往復移動させることで取得したデータであっても良い。
【0033】
また、本実施形態のエレベーター運転支援装置1において、バッテリーは、車両に搭載されていても良い。
【0034】
なお、本実施形態のエレベーター運転支援装置1において、記憶部2には、第1の特性データ2aや第2の特性データ2bの他に、エレベーター運転支援装置1を動作させるのに必要なプログラムやデータが格納される。CPU(Central Processing Unit)等を具備したコンピュータが、記憶部2に格納されたプログラムを実行することで、運転支援情報提示部3の機能を実現しても良い。
【0035】
プログラムは、コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体で提供されてもよく、また、インターネット等のネットワークを介して提供されてもよい。
【0036】
コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体は、磁気、光、電子、電磁気、赤外線などを用いて情報の記録または読み取りが可能な媒体を含む。そのような媒体として、例えば、半導体メモリ、半導体または固体の記憶装置、磁気テープ、取外し可能なコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどがある。
【0037】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態によるエレベーター運転支援装置の構成を示すブロック図である。
【0038】
図4を参照すると、エレベーター運転支援装置20は、エレベータシステム30と電気自動車バッテリー40との間に設けられている。
【0039】
エレベータシステム30は、既存のものであって、常用電源である交流電源(商用電源)31と、キュービクル32と、エレベーター電源盤33と、巻上機34aを含むエレベーター電動機34と、かご35と、釣合錘36を有する。かご35と釣合錘36はロープ介して連結されており、ロープは巻上機34aのシーブに掛けられている。巻上機34aのシーブを回転させることで、かご35を昇降させる。交流電源31、キュービクル32及びエレベーター電源盤33は良く知られたものであるので、ここでは、それらの詳細な構成の説明は省略する。
【0040】
運転支援情報提示部21、記憶部22、変換部23及び切替盤26を含む。運転支援情報提示部21及び記憶部22は、第1の実施形態で説明した運転支援情報提示部3及び記憶部2に相当する。
【0041】
変換部23は、電気自動車バッテリー40の出力をかご35の動力に利用可能な交流電圧に変換する。変換部23は、変換機24及び交流安定化電源25を有する。変換機24は、例えば、単相3線式の電灯用電源(200V/100V)である。交流安定化電源25は、例えば、三相200Vの動力電源である。電気自動車バッテリー40の出力は、変換機24にて電灯用交流電圧に変換された後、交流安定化電源25にて、かご35の動力に利用可能な交流電圧に変換される。
【0042】
切替盤26は、電気自動車バッテリー40の出力が変換部23を介して供給される第1の入力端子と、交流電源31の出力がキュービクル32を介して供給される第2の入力端子と、出力端子とを備える。通常時は、第2の入力端子を出力端子と接続する。停電等の非常時は、第1の入力端子を出力端子と接続する。切替盤26で第1の入力端子が出力端子と接続されると、電気自動車バッテリー40を用いたエレベーターの運転が開始される。
【0043】
記憶部22には、かご35の積載荷重を段階的に変化させ、各段階の積載荷重でかごを第1の階と第2の階との間で往復移動させたときの、往路に関する積載荷重とかごの移動に必要な電力との相関を示す第1の特性データ22aと、復路に関する積載荷重とかごの移動に必要な電力との相関を示す第2の特性データ22bとが格納されている。第1の特性データ22aと第2の特性データ22bは、
図1に示した第1の特性データ2a及び第2の特性データ2bに対応する。ここでは、第1の階を1階、第2の階を10階と仮定する。
【0044】
運転支援情報提示部21は、エレベーターの利用者に対して運転支援情報を提示する。以下に、運転支援情報提示部21の構成を詳細に説明する。
【0045】
図5は、運転支援情報提示部21の構成を示すブロック図である。
図5を参照すると、運転支援情報提示部21は、運転支援情報生成部50、電力計測部51、情報出力部52及び通知部53を有する。
【0046】
運転支援情報生成部50は、電気自動車バッテリー40を用いたエレベーターの運転が開始されると、第1の特性データ22aに基づく線グラフと第2の特性データ22bに基づく線グラフとを重ねて描画した相関図と、この相関図上の各線グラフの交点により示される積載荷重とを少なくとも含む運転支援情報を生成する。運転支援情報生成部50は、運転支援情報を情報出力部52に供給する。
【0047】
電力計測部51は、変換部23の出力電力を監視する。例えば、電力計測部51は、かご35の移動に伴って生じる瞬時電力を計測する。電力計測部51は、瞬時電力の計測結果を運転支援情報生成部50に供給する。運転支援情報生成部50は、電力計測部51で計測した瞬時電力値を含む運転支援情報を情報出力部52に供給する。
【0048】
運転支援情報生成部50は、演算部54及び予測部55を有する。演算部54は、電力計測部51の電力測定結果に基づいてかご35の移動に伴って消費される消費電力量を算出し、該消費電力量に基づいて電気自動車バッテリー40の残量を算出する。演算部54が算出したバッテリー残量を示す情報を含む運転支援情報を情報出力部52に供給することができる。
【0049】
予測部55は、相関図とバッテリー残量とに基づいて、所定の積載荷重でかご35を任意の二つの階の間で往復移動させことができる回数を予測する。例えば、予測部55は、かご35を第1の階(例えば1階)と第2の階(例えば10階)との間で往復移動させことができる回数を予測する。予測部55が予測した回数を含む運転支援情報を情報出力部52に供給することができる。
【0050】
通知部53は、演算部54が算出したバッテリー残量が閾値以上であるか否かを判定し、閾値を下回った場合に、所定の通知を行う。例えば、通知部53は、バッテリー残量が閾値を下回った場合に、電気自動車バッテリー40の交換を促す警告メッセージを出力することができる。
【0051】
情報出力部52は、運転支援情報生成部50から供給された運転支援情報を外部に出力するものであって、表示部56と無線通信部57とを有する。表示部56は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(electro-luminescence)ディスプレイなどの表示装置である。表示部56は、かご35内に設けられても良く、任意の階の扉の近傍に設けられても良い。1台のエレベーターに対して、複数の表示部56が設けられても良い。なお、任意の階は、第1の階(ここでは1階)と第2の階(ここでは、10階)を含むことが望ましい。
【0052】
無線通信部57は、スマートフォン等に代表される携帯端末と直接に無線で通信を行うことができる。無線通信部57は、携帯端末に対して運転支援情報を送信する。1台のエレベーターに対して、複数の無線通信部57が設けられても良い。
【0053】
例えば、無線通信部57と携帯端末との間の無線通信に、無線LANの接続形態の一つであるアドホックモードを適用することができる。アドホックモードは、無線端末同士が互いに直接通信を行う形態である。無線通信部57は、自分の存在を周囲に知らせるためのビーコン信号を定期的にブロードキャストする。ビーコン信号は、SSID(Service Set Identifier)を含む。このSSIDは、エレベーター運転支援装置20の識別子やPIN(Personal Identification Number)コードなど情報を含む。PINコードは、例えば4ケタの数字からなり、通常、乱数を用いて設定される。
【0054】
例えば、表示部56が、PINコードを示す画像を表示する。利用者は、ビーコン信号を受信した携帯端末上で、表示部56に表示されたPINコードを入力する。携帯端末は、サイトサーベイにより収集したビーコン信号からSSIDを抽出し、その中から利用者が入力したPINコードを含むSSIDを取得する。携帯端末は、その取得したSSIDに基づいてエレベーター運転支援装置20の無線通信部57との無線接続を確立する。こうして、無線通信部57と携帯端末とが相互に通信可能な状態となり、無線通信部57は、運転支援情報を携帯端末に供給することができる。
【0055】
次に、本実施形態のエレベーター運転支援装置20の動作を説明する。
【0056】
図6に、エレベーター運転支援装置20の運転支援動作の一手順を示す。
【0057】
図6に示すように、ステップS10で、交流電源31から電力が供給される状態に切替盤26を設定し、第1の特性データ22aと第2の特性データ22bとを取得する。第1の特性データ22aと第2の特性データ22bを記憶部22に格納する。
【0058】
ステップS11で、運転支援情報提示部21が、エレベーターの動力が交流電源31から電気自動車バッテリー40に切り替わったか否かを判定する。電気自動車バッテリー40に切り替わると、運転支援情報提示部21では、電力計測部51が、変換部23の出力電力を監視し、運転支援情報生成部50が、運転支援情報を生成する。運転支援情報は、相関図、最適積載荷重、バッテリー残量、瞬時電力計測値、使用回数予測値などを含む。
【0059】
ステップS13で、情報出力部52が、運転支援情報生成部50で生成した運転支援情報を出力する。
【0060】
ステップS14で、運転支援情報提示部21の通知部53が、バッテリー残量が閾値を下回った否かを判定する。ステップS14の判定結果が「Yes」であれば、通知部53は、警告メッセージを出力する。ステップS14の判定結果が「No」であれば、運転支援情報提示部21は、ステップS12の処理を実行する。ステップS12〜S14の処理は、所定時間毎に繰り返し実行される。
【0061】
本実施形態のエレベーター運転支援装置20においても、第1の実施形態と同様、運転支援情報を利用者に提示することで、利用者の意識を省エネルギー運転に向けることができ、その結果、利用者によるエレベーターの非効率な運転を抑制し、消費電力を削減することができる。
【0062】
以下に、運転支援情報の具体例について説明する。
【0063】
図7に、運転支援情報の一例を示す。
図7を参照すると、運転支援情報60は、基準階情報61、ステータス情報62、メッセージ63、相関
図64、最大可能出力情報65、積載可能重量情報66、バッテリー残量情報67及び使用回数予測情報68を含む。
【0064】
基準階情報61は、かご35を往復移動させた際の第2の階を示す情報である。
図7の例では、第2の階を10階としている。ステータス情報62は、エレベーター運転中か否かを示す情報である。
【0065】
メッセージ63は、バッテリー交換を促す警告メッセージなど、利用者に提示すべき情報である。相関
図64は、第1の特性データ22aに基づく線グラフと第2の特性データ22bに基づく線グラフとを重ねて描画したものである。最大可能出力情報65は、変換部23の最大出力電力を示す情報である。変換部23の最大出力電力は、電気自動車バッテリー40、変換機24及び交流安定化電源25のなかの容量が最も小さなものにおける最大出力電力である。ここでは、変換部23の最大出力電力は5kWである。
【0066】
積載可能重量情報66は、かご35の最大積載荷重であり、ここでは、700kgである。バッテリー残量情報67は、電気自動車バッテリー40の残量を示す情報である。一般に、電気自動車バッテリーは、発熱等を考慮し、満充電(100%)〜残量30%の範囲での使用が推奨されている。このため、本例では、閾値を7.5kWh(=25kWh(100%)×30%)に設定しており、バッテリー残量が7.5kWhを下回ると、バッテリー交換を促す警告メッセージがメッセージ63に表示される。
【0067】
使用回数予測情報68は、電気自動車バッテリー40を用いてかご35を1階と10階との間で何回往復移動させることができるかを示す。
図7の例では、基準階(=第2の階)を10階、基準荷重(釣合錘)を350kgに設定し、運転条件として、固定荷重でかご35を1階と10階との間で往復移動させるという条件を設定している。1階から10階への往路では、積載荷重350kgで、1000Wでの運転が2分間行われ、10階から1階への復路では、積載荷重0kgで、500Wでの運転が2分間行われる。この場合、使用回数予測値として、165(=60÷4×(25−7.5)/1.5)が表示される。これは、165回、かご35を往復移動させることができることを意味する。
【0068】
なお、運転条件を設定しない場合は、
図8に示すように、使用回数予測情報68は表示されない。
【0069】
利用者は、
図7又は
図8に示した運転支援情報60を参照することで、実際にエレベーターを利用した際の運転が非効率であるか否かを容易に認識することができる。よって、利用者の意識を省エネルギー運転に向けることができ、その結果、利用者によるエレベーターの非効率な運転を抑制し、消費電力を削減することができる。
【0070】
また、利用者は、バッテリー残量情報67に基づいて、電気自動車バッテリー40の残量を認識できるので、非効率な運転をさらに抑制することが可能になる。
【0071】
さらに、利用者は、使用回数予測情報68に基づいて、あと何回使用できるかを認識できるので、非効率な運転をさらに抑制することが可能になる。
【0072】
さらに、利用者又は管理者は、メッセージ63に基づいて、バッテリー交換時を認識する。
【0073】
また、相関
図64に稼働可能範囲を表示することもできる。
図9に、稼働可能範囲を表示した運転支援情報の一例を示す。
図9の例では、最大可能出力情報65が3kWとされている。このため、相関
図64の3kW以下の範囲が、バッテリーを用いたエレベーター運転を行うことができる稼働可能範囲64aである。相関
図63の3kWを超える範囲(斜線部)が、バッテリーを用いたエレベーター運転を行うことができない稼働不可範囲64bである。利用者は、稼働可能範囲64aを参照し、往路(上昇)又は復路(下降)における積載可能な荷重を認識することができる。これにより、過剰な積載荷重での運転を抑制することができ、過負荷のためにエレベーターが急停止することを抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態のエレベーター運転支援装置20によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
【0075】
電気自動車バッテリー40を非常用電源として用いることが可能であるので、非常用電源を備えていない建物のエレベーターに対して、合理的かつ経済的な電力供給が可能である。特に、大規模停電時に、ある程度長い期間にわたってエレベーターを運転する際に、電気自動車バッテリー40を用いることは非常に有効である。
【0076】
また、利用者は、所持しているスマートフォン等の携帯端末を用いて運転支援情報を確認することができるので、利便性の向上を図ることができる。
【0077】
加えて、携帯端末と無線通信部57との間の無線通信を確立することで、携帯端末とエレベーター運転支援装置20とは相互に通信を行うことができる。この場合、携帯端末は、運転支援情報を作成するのに必要な情報などをエレベーター運転支援装置20に送信することができる。
【0078】
例えば、エレベーター運転支援装置20が、運転支援情報を作成するのに必要な情報を入力するための入力画面情報を携帯端末に送信し、携帯端末が、受信した入力画面情報を表示する。利用者が、携帯端末に表示された入力画面上で必要な情報を入力する。携帯端末が、入力情報をエレベーター運転支援装置20に送信する。これにより、エレベーター運転支援装置20は、携帯端末からの入力情報を用いて運転支援情報の一部を作成することができる。例えば、エレベーター運転支援装置20では、運転支援情報生成部50は、利用者が入力した積載荷重に基づいて使用回数予測情報68を作成することができる。この処理を、以下に簡単に説明する。
【0079】
まず、利用者が、入力画面上で往路の積載荷重と復路の積載荷重とを入力する。運転支援情報生成部50は、相関
図60を参照し、利用者が入力した往路の積載荷重に対応する出力電力と、利用者が入力した復路の積載荷重に対応する出力電力とを取得する。そして、運転支援情報生成部50は、往路及び復路それぞれの運転所要時間を2分とし、往路及び復路の出力電力の合計と、バッテリー残量とに基づいて使用回数予測値を算出する。無線通信部57は、運転支援情報生成部50で算出した使用回数予測値を含む運転支援情報を携帯端末に送信する。これにより、利用者は、自身が指定した積載荷重での使用回数予測値を知ることができる。
【0080】
また、利用者は、入力画面上で、かごを往復移動させる階を指定することもできる。この場合、運転支援情報生成部50は、相関
図60を参照し、利用者が入力した二つの階の間でかごを往復移動させた場合の稼働可能範囲や使用回数予測値を算出する。
【0081】
第1の実施形態と同様、本実施形態のエレベーター運転支援装置20においても、CPU等を具備したコンピュータがプログラムを実行することで、運転支援情報提示部21の機能を実現しても良い。プログラムは、コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体で提供されてもよく、また、インターネット等のネットワークを介して提供されてもよい。