特許第6542382号(P6542382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルプス電気株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6542382-入力装置及び入力装置の駆動方法 図000002
  • 特許6542382-入力装置及び入力装置の駆動方法 図000003
  • 特許6542382-入力装置及び入力装置の駆動方法 図000004
  • 特許6542382-入力装置及び入力装置の駆動方法 図000005
  • 特許6542382-入力装置及び入力装置の駆動方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6542382
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】入力装置及び入力装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20190628BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   G06F3/041 600
   G06F3/044 120
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-550294(P2017-550294)
(86)(22)【出願日】2016年11月4日
(86)【国際出願番号】JP2016082835
(87)【国際公開番号】WO2017082176
(87)【国際公開日】20170518
【審査請求日】2018年4月13日
(31)【優先権主張番号】特願2015-221252(P2015-221252)
(32)【優先日】2015年11月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(72)【発明者】
【氏名】重高 寛
【審査官】 桜井 茂行
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/176748(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0218334(US,A1)
【文献】 特開平6−314156(JP,A)
【文献】 特開2011−134259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
G01L 1/14
G01L 1/20
G01L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧操作による圧力の変化に応じて抵抗値が変化する抵抗性センサ素子と、少なくとも1つの抵抗素子とを含み、駆動電圧が供給されると前記抵抗性センサ素子の抵抗値に応じた分圧電圧を発生する分圧回路と、
異なる前記分圧電圧を発生させる第1駆動電圧及び第2駆動電圧を一定の時間間隔で交互に前記分圧回路に供給する第1駆動回路と、
前記分圧電圧が変化すると、当該分圧電圧の変化に応じた電荷の変化を生じるキャパシタと、
前記駆動電圧が前記第1駆動電圧から前記第2駆動電圧へ変化した場合における前記キャパシタの電荷の変化量、及び、前記駆動電圧が前記第2駆動電圧から前記第1駆動電圧へ変化した場合における前記キャパシタの電荷の変化量をそれぞれ検出する第1電荷検出回路と
を備える入力装置。
【請求項2】
基板と、
前記基板の表面の異なる位置にそれぞれ配置され、物体の近接に応じて静電容量が変化する複数の容量性センサ素子を有する静電センサ部と、
前記複数の容量性センサ素子にそれぞれ駆動電圧を供給する第2駆動回路と、
前記第2駆動回路による前記駆動電圧の供給によって前記複数の容量性センサ素子に蓄積される電荷を検出する第2電荷検出回路と、
前記基板を基台に支持する支持部材と、を備え、
前記抵抗性センサ素子は、前記基台に向かって前記基板を押圧する圧力の変化に応じて抵抗値が変化する
請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記分圧回路は、前記駆動電圧が供給される一対のノードを有し、
前記第1駆動回路は、前記第1駆動電圧を供給する場合、前記一対のノードの一方を電源ラインに接続するとともに前記一対のノードの他方をグランドに接続し、前記第2駆動電圧を供給する場合、前記一対のノードの一方を前記グランドに接続するとともに前記一対のノードの他方を前記電源ラインに接続する
請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記分圧回路は、前記キャパシタの一方の端子に前記分圧電圧を印加し、
前記第1電荷検出回路は、
前記キャパシタの他方の端子から転送される電荷を蓄積する電荷転送用キャパシタと、
前記キャパシタの他方の端子と基準電圧との差を増幅し、当該増幅結果の電圧を電荷転送用キャパシタに出力するアンプ回路と、
前記駆動電圧の変化に伴って前記キャパシタから前記電荷転送用キャパシタへ転送される電荷に応じた電圧を前記アンプ回路が出力した後、次の前記駆動電圧の変化が生じる前に、前記電荷転送用キャパシタに蓄積される電荷を初期化する電荷初期化回路とを含む
請求項2又は3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記第1電荷検出回路と前記第2電荷検出回路が共通の半導体集積回路チップに集積されている
請求項2乃至4の何れか一項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記第1駆動回路と前記第2駆動回路が前記共通の半導体集積回路チップに集積されている
請求項5に記載の入力装置。
【請求項7】
押圧操作による圧力の変化に応じて抵抗値が変化する抵抗性センサ素子と、少なくとも1つの抵抗素子とを含み、駆動電圧が供給されると前記抵抗性センサ素子の抵抗値に応じた分圧電圧を発生する分圧回路と、当該分圧電圧の変化に応じた電荷の変化を生じるキャパシタとを備える入力装置の駆動方法であって、
前記駆動電圧を第1駆動電圧から第2駆動電圧へ変化させることと、
前記駆動電圧が前記第1駆動電圧から前記第2駆動電圧へ変化した場合における前記キャパシタの電荷の変化量を検出することと、
前記駆動電圧を第2駆動電圧から第1駆動電圧へ変化させることと、
前記駆動電圧が前記第2駆動電圧から前記第1駆動電圧へ変化した場合における前記キャパシタの電荷の変化量を検出することと、
を含む、入力装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置及び入力装置の駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のように、圧力の変化に応じて抵抗値が変化するセンシング素子と、電圧の印加により電荷が蓄積される電荷蓄積部とを備え、電荷蓄積部に流れる電流の変化の様相が、センシング素子の抵抗値に応じて異なることを利用して圧力を測定する入力装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−314156
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の入力装置では、電荷蓄積部で電荷を蓄積した後に、電荷蓄積部の電荷を放電することが必要であるため、放電中に測定ができない。従って、測定周期が長く、1回の測定に時間がかかるという不利益がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来に比べて測定周期を短くして、測定を高速化できる入力装置及び入力装置の駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点に係る入力装置は、押圧操作による圧力の変化に応じて抵抗値が変化する抵抗性センサ素子と、少なくとも1つの抵抗素子とを含み、駆動電圧が供給されると抵抗性センサ素子の抵抗値に応じた分圧電圧を発生する分圧回路と、異なる分圧電圧を発生させる第1駆動電圧及び第2駆動電圧を一定の時間間隔で交互に分圧回路に供給する第1駆動回路と、分圧電圧が変化すると、分圧電圧の変化に応じた電荷の変化を生じるキャパシタと、駆動電圧が第1駆動電圧から第2駆動電圧へ変化した場合におけるキャパシタの電荷の変化量、及び、駆動電圧が第2駆動電圧から第1駆動電圧へ変化した場合におけるキャパシタの電荷の変化量をそれぞれ検出する第1電荷検出回路とを備える。
【0007】
この構成によれば、第1駆動電圧及び第2駆動電圧を一定の時間間隔で交互に分圧回路に供給するので、キャパシタの放電期間を設ける必要がない。従って、従来に比べて測定周期が短くなり、測定が高速化される。
【0008】
好適に、本発明の入力装置は、基板と、基板の表面の異なる位置にそれぞれ配置され、物体の近接に応じて静電容量が変化する複数の容量性センサ素子を有する静電センサ部と、複数の容量性センサ素子にそれぞれ駆動電圧を供給する第2駆動回路と、第2駆動回路による駆動電圧の供給によって複数の容量性センサ素子に蓄積される電荷を検出する第2電荷検出回路と、基板を基台に支持する支持部材と、を備えてよい。抵抗性センサ素子は、基台に向かって基板を押圧する圧力の変化に応じて抵抗値が変化してよい。
【0009】
この構成によれば、静電センサ部における位置の検出と、抵抗性センサ素子による押圧の検出において、共に電荷検出回路を用いているので、回路構成を共通化・簡略化しやすい。
【0010】
好適に、分圧回路は、駆動電圧が供給される一対のノードを有し、第1駆動回路は、第1駆動電圧を供給する場合、一対のノードの一方を電源ラインに接続するとともに一対のノードの他方をグランドに接続し、第2駆動電圧を供給する場合、一対のノードの一方をグランドに接続するとともに一対のノードの他方を電源ラインに接続してよい。
【0011】
この構成によれば、駆動電圧の極性を簡易な構成で反転できる。
【0012】
好適に、分圧回路は、キャパシタの一方の端子に分圧電圧を印加してよい。第1電荷検出回路は、キャパシタの他方の端子から転送される電荷を蓄積する電荷転送用キャパシタと、キャパシタの他方の端子と基準電圧との差を増幅し、増幅結果の電圧を電荷転送用キャパシタに出力するアンプ回路と、駆動電圧の変化に伴ってキャパシタから電荷転送用キャパシタへ転送される電荷に応じた電圧をアンプ回路が出力した後、次の駆動電圧の変化が生じる前に、電荷転送用キャパシタに蓄積される電荷を初期化する電荷初期化回路とを含んでよい。
【0013】
この構成によれば、静電センサ部における位置の検出と、抵抗性センサ素子による押圧の検出において、共に電荷検出回路を用いているので、回路構成を共通化・簡略化しやすい。
【0014】
好適に、第1電荷供出回路と第2電荷検出回路は、共通の半導体集積回路チップに集積されてよい。
【0015】
この構成によれば、回路構成が簡易になり、基板に実装される部品数が少なくなる。
【0016】
好適に、第1駆動回路と第2駆動回路が共通の半導体集積回路チップに集積されてよい。
【0017】
この構成によれば、回路構成が簡易になり、基板に実装される部品数が少なくなる。
【0018】
本発明の第2の観点は、押圧操作による圧力の変化に応じて抵抗値が変化する抵抗性センサ素子と、少なくとも1つの抵抗素子とを含み、駆動電圧が供給されると抵抗性センサ素子の抵抗値に応じた分圧電圧を発生する分圧回路と、分圧電圧の変化に応じた電荷の変化を生じるキャパシタとを備える入力装置の駆動方法に関する。この入力装置の駆動方法は、駆動電圧を第1駆動電圧から第2駆動電圧へ変化させることと、駆動電圧が第1駆動電圧から第2駆動電圧へ変化した場合におけるキャパシタの電荷の変化量を検出することと、駆動電圧を第2駆動電圧から第1駆動電圧へ変化させることと、駆動電圧が第2駆動電圧から第1駆動電圧へ変化した場合におけるキャパシタの電荷の変化量を検出することと、を含む。
【0019】
この構成によれば、第1駆動電圧及び第2駆動電圧を一定の時間間隔で交互に分圧回路に供給するので、キャパシタの放電期間を設ける必要がない。従って、従来に比べて測定周期が短くなり、測定が高速化される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の入力装置及び入力装置の駆動方法によれば、従来に比べて測定周期を短くして、測定を高速化できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係る入力装置の構成図である。
図2図1に示す入力装置の回路構成の一例を示すブロック図である。
図3図2に示す抵抗式検出部の部分的な回路図である。
図4図1に示す入力装置の駆動方法を示すフロー図である。
図5図2に示す抵抗式検出部の動作に関わる信号を示すグラフである。図5Aは、電荷初期化回路を制御するために制御部から出力される制御信号を示す。図5Bは、分圧回路の第1ノードに与えられる電位を示す。図5Cは、分圧回路の第2ノードに与えられる電位を示す。図5Dは、駆動電圧の変化に応じたキャパシタの電荷変化量の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(全体構成)
以下、本発明の実施形態に係る入力装置100について説明する。図1に示すように、入力装置100は、基台110と、基板120と、4つの支柱130を備える。入力装置100は、例えばノート型コンピュータに搭載されており、ユーザのタッチ操作に応じた信号をCPUに出力する。あるいは、入力装置100は、車両において運転手等のタッチ操作に応じた信号を車両に搭載された制御装置に出力する機器にも使用可能である。入力装置100は、指などの物体の近接に伴って静電容量が変化するセンサを備えており、その検出結果に基づいて基板120上に近接する物体の位置の座標を取得する。また、入力装置100は、圧力に応じて抵抗値が変化するセンサも更に備えており、その検出結果に基づいて基板120に対する押圧操作の圧力を測定する。
【0023】
平板状の基台110は、例えばノート型コンピュータの筐体に固定されている。長方形状の平板状の基板120は、基台110に平行に配設され、基台110を臨む内面121と、基台110とは反対方向を臨む外面122とをもつ。外面122には、後述するように、静電容量の変化を利用して指などの操作体による操作を検出するためのセンサが設けられている。内面121には、入力装置100の動作に必要な半導体集積回路チップ123や、各種の回路素子を含む不図示の回路部品が実装され、それらを接続する導電パターンが形成されている。
【0024】
基板120の四隅のそれぞれには、1つの支柱130が配設されている。各支柱130は、支持体131と抵抗性センサ素子132とを備える。支持体131は、基台110に対して基板120を弾性的に支持する円筒状部材である。抵抗性センサ素子132は、基板120への押圧操作による圧力の変化に応じて抵抗値が変化する素子である。
【0025】
抵抗性センサ素子132は、例えば、基板120への押圧操作に応じて弾性変形する比較的低抵抗の導電性弾性部材と、この導電性弾性部材に接触する位置に設けられた比較的高抵抗の導電経路とを含んで構成される。例えば、導電性弾性部材が支持体131に固定され、導電経路が基板120の内面121側に高抵抗の導電パターンとして形成される。基板120を基台110に向けて押す力が強くなると、基板120が基台110に近づいて、基板120の内面121の導電経路と導電性弾性部材との接触面積が増え、導電経路を流れる電流に対する抵抗が下がる。基板120を基台110に向けて押す力が弱まると、支持体131の弾性力によって基台110と基板120との距離が離れ、基板120の内面121の導電経路と導電性弾性部材との接触面積が減り、導電経路を流れる電流に対する抵抗が上がる。すなわち、基板120に加わる圧力の変化が、導電経路を流れる電流に対する抵抗の変化として検出される。
【0026】
(制御系統)
図2は、図1に示す入力装置100の回路構成の一例を示すブロック図である。図1に示す入力装置100は、例えば図2に示すように、抵抗式検出部200と、静電容量式検出部300と、制御部400を備える。なお、抵抗式検出部200及び静電容量式検出部300は、説明のための理論上のくくりであり、それぞれが物理的に一個の半導体集積回路チップに形成されている必要はない。
【0027】
(抵抗式検出部200)
抵抗式検出部200は、第1駆動回路210と、4つの分圧回路220と、4つのキャパシタ230と、4つの第1電荷検出回路240を含む。図2の1つの分圧回路220と1つのキャパシタ230と1つの第1電荷検出回路240とにより構成される1群の回路が、図1の1つの支柱130に対応して設けられている。なお、この1群の回路は、4よりも少なくてもよいし、多くてもよい。
【0028】
第1駆動回路210は、分圧回路220に駆動電圧を供給する回路であり、制御部400からの入力に基づいて、分圧回路220に印加する駆動電圧を切り替える。例えば、第1駆動回路210は、異なる分圧電圧を発生させる異なる2パターンの駆動電圧(第1駆動電圧,第2駆動電圧)を、一定の時間間隔で交互に分圧回路220に供給する。
【0029】
分圧回路220は、図1の抵抗性センサ素子132と、少なくとも1つの抵抗素子とを含んで構成された回路である。分圧回路220は、第1駆動回路210によって駆動電圧が供給されると、抵抗性センサ素子132の抵抗値に応じた分圧電圧を発生する。抵抗性センサ素子132の抵抗値が基板120に加わる圧力に応じて変化するため、分圧回路220の分圧電圧も基板120に加わる圧力に応じて変化する。
【0030】
キャパシタ230は、分圧回路220から出力される分圧電圧の変化に応じた量の電荷を蓄える。分圧回路220の分圧電圧が変化すると、この分圧電圧の変化に応じてキャパシタ230の電荷量が変化する。
【0031】
第1電荷検出回路240は、第1駆動回路210の駆動電圧が変化した場合におけるキャパシタ230の電荷の変化量を検出して、その検出結果を制御部400に出力する。すなわち、第1電荷検出回路240は、駆動電圧が2パターンのうちの一方(第1駆動電圧)から他方(第2駆動電圧)へ変化した場合におけるキャパシタ230の電荷の変化量、及び、駆動電圧が2パターンのうちの他方(第2駆動電圧)から一方(第1駆動電圧)へ変化した場合におけるキャパシタ230の電荷の変化量をそれぞれ検出する。
【0032】
図3は、抵抗式検出部200の部分的な回路図である。図2の1つの分圧回路220と1つのキャパシタ230と1つの第1電荷検出回路240とにより構成される1群の回路の具体例を示す。
【0033】
分圧回路220は、第1駆動回路210の駆動電圧が供給される第1ノード221及び第2ノード222と、分圧電圧が出力される検出ノード223とを有する。また、分圧回路220は、第1ノード221及び検出ノード223の間に配設された可変抵抗としての抵抗性センサ素子132と、検出ノード223及び第2ノード222の間に配設された抵抗素子225とを有する。抵抗素子225は、固定の抵抗値をもつ。
【0034】
第1駆動回路210は、制御部400からの入力に基づいて、第1ノード221及び第2ノード222の一方を、電源電位(VDD)が与えられた電源ライン211に接続し、第1ノード221及び第2ノード222の他方を、グランド電位(GND)が与えられたグランド212に接続する。すなわち、第1駆動回路210は、2パターンの駆動電圧の一方(第1駆動電圧)を分圧回路220へ供給する場合、第1ノード221を電源ライン211に接続するとともに、第2ノード222をグランド212に接続し、2パターンの駆動電圧の他方(第2駆動電圧)を分圧回路220へ供給する場合、第1ノード221をグランド212に接続するとともに、第2ノード222を電源ライン211に接続する。
【0035】
図3の例において、第1駆動回路210は、スイッチ回路213及び215を有する。スイッチ回路213は、制御部400からの入力に基づいて、電源ライン211及びグランド212の一方を第1ノード221に接続する。スイッチ回路215は、制御部400からの入力に基づいて、電源ライン211及びグランド212の他方を第2ノード222に接続する。
【0036】
第1電荷検出回路240は、入力ノード241と、出力ノード242と、アンプ回路243と、電荷転送用キャパシタ244と、電荷初期化回路245を有する。
【0037】
キャパシタ230は、一方の端子が分圧回路220の検出ノード223に接続され、他方の端子が第1電荷検出回路240の入力ノード241に接続される。
電荷転送用キャパシタ244は、入力ノード241を介してキャパシタ230から転送される電荷を蓄積する。電荷転送用キャパシタ244は、一方の端子が入力ノード241に接続され、他方の端子が出力ノード242に接続される。
【0038】
アンプ回路243は、例えばオペアンプであり、その反転入力端子が入力ノード241に接続され、非反転入力端子に基準電圧(Vref=VDD/2)が与えられる。アンプ回路243の出力端子は、出力ノード242に接続される。アンプ回路243は、入力ノード241と基準電圧Vrefとの差を増幅し、その増幅結果の電圧を電荷転送用キャパシタ244に出力する。アンプ回路243のゲインが十分に高いため、アンプ回路243の出力が電荷転送用キャパシタ244を介して入力ノード241に負帰還されることにより、入力ノード241の電圧は基準電圧Vrefとほぼ等しくなる。
【0039】
電荷初期化回路245は、制御部400からの入力に基づいて電荷転送用キャパシタ244に蓄積される電荷を初期化する回路であり、例えば図3において示すように、電荷転送用キャパシタ244と並列に接続されたスイッチ回路を含んで構成される。電荷初期化回路245がオン状態になると、入力ノード241と出力ノード242とが短絡されて、電荷転送用キャパシタ244の電荷が放電される。電荷初期化回路245がオフ状態になると、入力ノード241と出力ノード242との短絡が解除されて、電荷転送用キャパシタ244に電荷を蓄積することが可能な状態になる。
【0040】
電荷初期化回路245は、第1駆動回路210の駆動電圧の変化に伴ってキャパシタ230から電荷転送用キャパシタ244へ転送される電荷に応じた電圧をアンプ回路243が出力した後、第1駆動回路210において次の駆動電圧の変化が生じる前に、電荷転送用キャパシタ244に蓄積される電荷を初期化する。
【0041】
上述したように、入力ノード241の電圧と基準電圧Vrefとがほぼ等しくなるように出力ノード242の電圧が調節されるため、検出ノード223に発生する分圧電圧が変化すると、その分圧電圧の変化がそのままキャパシタ230の電圧の変化となる。キャパシタ230に蓄積される電荷の変化量は、分圧電圧の変化に比例する。また、電荷初期化回路245のスイッチ回路がオフ状態のとき、入力ノード241は高インピーダンスであるため、電荷転送用キャパシタ244の電荷の変化量と、キャパシタ230に蓄積される電荷の変化量とがほぼ等しくなる。出力ノード242の電圧を測定することで、電荷転送用キャパシタ244の電荷の変化量が検出され、結果として、間接的にキャパシタ230の電荷の変化量が検出される。キャパシタ230の電荷の変化量は、分圧回路220の分圧電圧の変化に比例することから、第1電荷検出回路の出力ノード242の電圧は、抵抗性センサ素子132の抵抗値、すなわち、基板120に加わる圧力に応じた電圧となる。
【0042】
(静電容量式検出部300)
図2に示すように、静電容量式検出部300は、第2駆動回路310と静電センサ部320と第2電荷検出回路330とを含む。
【0043】
静電センサ部320は、複数の容量性センサ素子321を有する。容量性センサ素子321は、基板120の外面122の異なる位置にそれぞれ配置され、物体の近接に応じて静電容量が変化する。図2の例において、静電センサ部320は、基板120の外面122に沿って互いに交わらないように配設された複数の駆動電極と、基板120の外面122に沿って互いに交わらないように配設された複数の検出電極を有する。複数の駆動電極が配設された層は、複数の検出電極が配設された層とは別である。駆動電極と検出電極は、異なる層において垂直に交差する。容量性センサ素子321は、駆動電極と検出電極が近接して交差する領域に形成される。
【0044】
第2駆動回路310は、静電センサ部320の複数の駆動電極を介して複数の容量性センサ素子321と接続されており、制御部400からの入力に基づいて、複数の容量性センサ素子321にそれぞれ駆動電圧を供給する。
【0045】
第2電荷検出回路330は、静電センサ部320の複数の検出電極を介して複数の容量性センサ素子321と接続されており、第2駆動回路310による駆動電圧の供給によって複数の容量性センサ素子321に蓄積される電荷を検出する。
【0046】
制御部400は、入力装置100の全体的な動作を制御する回路であり、例えばメモリに格納されるプログラムの命令コードに従って処理を実行するコンピュータや、専用のロジック回路などを含んで構成される。制御部400は、各分圧回路220へ供給する駆動電圧が周期的に変化するように第1駆動回路210を制御する処理や、駆動電圧の変化に伴うキャパシタ230の電荷変化量の検出結果を各第1電荷検出回路240において取得する処理や、駆動電圧の周期に合わせて電荷初期化回路245により電荷転送用キャパシタ244の電荷を初期化する処理などを行う。また、制御部400は、第2駆動回路310から各容量性センサ素子321へ供給される駆動電圧を制御する処理や、各容量性センサ素子321における電荷変化量の検出結果を第2電荷検出回路において取得する処理や、第2電荷検出回路330で検出される電荷変化量に基づいて物体の近接位置の座標を導出する処理などを行う。
【0047】
図2に示すように、第1電荷検出回路240がキャパシタ230に接続され、第2電荷検出回路330がキャパシタを含む容量性センサ素子321に接続される。第1電荷検出回路240と第2電荷検出回路330は、いずれもキャパシタに蓄積される電荷を検出するという点で共通する。そのため、抵抗式検出部200の抵抗値の変化をキャパシタ230以外の手段を用いて検出する場合に比べて、共通する回路要素が多くなるため、回路構成が簡易化される。
また、図2の第1駆動回路210、第1電荷検出回路240、第2駆動回路310及び第2電荷検出回路330が共通の半導体集積回路チップ123に集積されるため、回路構成がより簡易化されるとともに、基板120に実装される回路部品の数が少なくなる。
【0048】
(駆動方法)
図4のフロー500は、図1の入力装置100の駆動方法のうち、図2の抵抗式検出部200の駆動方法を示す。図4に示すフロー500は、第1駆動回路210から分圧回路200へ供給される駆動電圧の1周期分の期間における動作を示す。
【0049】
図5は、図2の抵抗式検出部200の駆動に関連する信号を示す。図5Aは、図3の電荷初期化回路245を制御するために制御部400から出力される制御信号を示す。図5Bは、図3の第1ノード221に与えられる電位を示す。図5Cは、図3の第2ノード222に与えられる電位を示す。図5Dは、図3のキャパシタ230に蓄えられる電荷の変化量の例を示す。なお、キャパシタ230に蓄えられる電荷は、図1に示す抵抗性センサ素子132の抵抗値に応じて異なるので、必ずしも図5Dに示すように変化するわけではない。例えば、基準電圧Vrefが電源電圧VDDの半分(VDD/2)である場合、抵抗性センサ素子132と抵抗素子225の抵抗値が近くなるほど、電荷の変化量の振幅は小さくなる。
【0050】
図5A図5Dに示す時刻t1から時刻t4は、駆動方法を実行しているときの、ある時間枠内のタイミングを示す。時刻t1からt2までの時間は、時刻t2からt3までの時間と同じである。駆動は、時刻t1からt3までを1周期として、周期的に行われる。すなわち、時刻t3からt4の期間には、時刻t1からt2の期間と同じ動作が行われる。以下、時刻t1からt3までの1周期について説明する。
【0051】
まず、図4のステップ510において、電荷初期化回路245が図3の電荷転送用キャパシタ244に蓄積される電荷を初期化する。具体的には、電荷初期化回路245は、図5Aに示す時刻t1の少し前にオフ状態からオン状態に切り替わり、時刻t1までオン状態を維持する。図3の電荷初期化回路245がオン状態になると、電荷転送用キャパシタ244の両端が短絡されて、電荷転送用キャパシタ244の電荷が放電される。時刻t1において電荷初期化回路245がオン状態からオフ状態に切り替わり、オフ状態を維持する。電荷初期化回路245がオフ状態になると、電荷転送用キャパシタ244の短絡が解除されて、電荷転送用キャパシタ244に電荷を蓄積することが可能な状態になる。
【0052】
次に、図4のステップ520において、第1駆動回路210が、図3の第1ノード221と第2ノード222との間の駆動電圧を第2駆動電圧から第1駆動電圧に変化させる。具体的には、図5Bに示す時刻t1で、図3の第1ノード221の接続先がグランド212から電源ライン211に切り替わることにより、第1ノード221の電位がグランド電位(GND)から電源電位(VDD)に切り替わる。さらに、図5Cに示す時刻t1で、図3の第2ノード222の接続先が電源ライン211からグランド212に切り替わることにより、第2ノード222の電位が電源電位(VDD)からグランド電位(GND)に切り替わる。
【0053】
次に、図4のステップ530において、第1電荷検出回路240がキャパシタ230の電荷の変化量を検出する。
抵抗性センサ素子132の抵抗値は、基板120(図1)に加わる圧力に応じた値となっている。また、検出ノード223の分圧電圧は、第1駆動回路210の駆動電圧が第1駆動電圧である場合と第2駆動電圧である場合のそれぞれにおいて、抵抗性センサ素子132の抵抗値に応じた電圧となる。従って、時刻t1において駆動電圧が第2駆動電圧から第1駆動電圧へ変化した場合における分圧電圧の変化は、抵抗性センサ素子132の抵抗値に応じた電圧、すなわち、基板120に加わる圧力に応じた電圧となる。第1電荷検出回路240の入力ノード241の電圧は基準電圧Vrefに保たれているため、分圧電圧の変化はそのままキャパシタ230の電圧の変化となり、その結果、キャパシタ230に蓄積される電荷の変化量は分圧電圧の変化に比例する。図5Dに示す例では、キャパシタ230の電荷量が「Q1」から「Q2」に変化する。
【0054】
電荷初期化回路245がオフ状態のとき、入力ノード241はグランドに対して高インピーダンスであり、入力ノード241において電荷の出入りがないため、キャパシタ230に蓄積される電荷の変化量と電荷転送用キャパシタ244に蓄積される電荷の変化量とがほぼ等しくなる。また、駆動電圧が第2駆動電圧から第1駆動電圧へ変化する前に電荷転送用キャパシタ244の電荷は放電されてゼロになっているため、駆動電圧の変化後に駆動電圧電荷転送用キャパシタ244に蓄積される電荷は、キャパシタ230の電荷の変化量(Q2−Q1)と等しくなり、分圧電圧の変化に比例する。従って、第1電荷検出回路240の出力ノード242の電圧は、基板120に加わる圧力に応じた電圧となる。
【0055】
各第1電荷検出回路240においてキャパシタ230の電荷の変化量に応じた電圧が出力されると、制御部400は、その電圧を不図示のAD変換器によってデジタル値に変換し、基板120に加わる圧力に応じた測定データとして取得する。
【0056】
次に、図4のステップ540において、電荷初期化回路245が図3の電荷転送用キャパシタ244に蓄積される電荷を初期化する。具体的には、電荷初期化回路245は、第1電荷検出回路240による電荷の検出と制御部400による測定データの取得が完了するタイミングまでオフ状態を維持し、図5Aに示す時刻t2の少し前にオフ状態からオン状態に切り替わり、時刻t2までオン状態を維持する。電荷初期化回路245がオン状態になると、電荷転送用キャパシタ244の電荷が放電される。電荷初期化回路245は、時刻t2においてオン状態からオフ状態に切り替わり、オフ状態を維持する。電荷初期化回路245がオフ状態になると、電荷転送用キャパシタ244に電荷を蓄積することが可能な状態になる。
【0057】
次に、図4のステップ550において、第1駆動回路210が、図3の第1ノード221と第2ノード222との間の駆動電圧を第1駆動電圧から第2駆動電圧に変化させる。具体的には、図5Bに示す時刻t2で、図3の第1ノード221の接続先が電源ライン211からグランド212に切り替わることにより、第1ノード221の電位が電源電位(VDD)からグランド電位(GND)に切り替わる。さらに、図5Cに示す時刻t2で、図3の第2ノード222の接続先がグランド212から電源ライン211に切り替わることにより、第2ノード222の電位がグランド電位(GND)から電源電位(VDD)に切り替わる。
【0058】
次に、図4のステップ560において、第1電荷検出回路240がキャパシタ230の電荷の変化量を検出する。
時刻t2において駆動電圧が第1駆動電圧から第2駆動電圧へ変化した場合における分圧電圧の変化は、抵抗性センサ素子132の抵抗値に応じた電圧、すなわち、基板120に加わる圧力に応じた電圧となる。キャパシタ230に蓄積される電荷の変化量は、この分圧電圧の変化に比例する。図5Dに示す例では、キャパシタ230の電荷量が「Q2」から「Q1」に変化する。駆動電圧電荷転送用キャパシタ244には、キャパシタ230の電荷の変化量(Q1−Q2)とほぼ同じ電荷が蓄積される。従って、第1電荷検出回路240の出力ノード242の電圧は、基板120に加わる圧力に応じた電圧となる。各第1電荷検出回路240においてキャパシタ230の電荷の変化量に応じた電圧が出力されると、制御部400は、その電圧を不図示のAD変換器によってデジタル値に変換し、基板120に加わる圧力に応じた測定データとして取得する。
【0059】
図5A図5Dのタイミング時刻t3以降は、時刻t1〜t3と同様の動作が繰り返される。
【0060】
図4のステップ520における第1駆動電圧と、ステップ550における第2駆動電圧とは極性が逆であるため、抵抗性センサ素子132の抵抗値が一定でも、検出ノード223の電圧が周期的に変化する。
【0061】
本実施形態の入力装置100によれば、第1駆動電圧と第2駆動電圧とを一定の時間間隔で交互に分圧回路220に供給するので、測定に寄与しないキャパシタ230の放電期間を設ける必要がない。従って、従来に比べて測定周期が短くなり、測定を高速化することができる。
【0062】
また、本実施形態の入力装置100によれば、電源ライン211とグランド212との間に生じる電源電圧が駆動電圧として使用されており、第1ノード221及び第2ノード222と電源ライン211及びグランド212との接続を切り替えることで、極性の異なる駆動電圧が交互に生成される。そのため、駆動電圧の極性を簡易な構成で反転できる。駆動電圧の極性を反転することにより、キャパシタ230において放電と同時に次の充電が行われるため、放電のみの期間を設ける場合に比べて測定を高速化できる。
【0063】
また、本実施形態の入力装置100によれば、上記のように分圧回路へ供給される駆動電圧の極性(電圧の向き)を反転させるだけで測定を行うことができる。そのため、電源電圧を増やすことなく、第1駆動電圧の印加時の出力と第2駆動電圧の印加時の出力との変化を明確にとらえることができる。しかも、同じ電源電圧で極性を反転させるだけなので、駆動電圧のばらつきによる測定誤差を抑制できる。
【0064】
なお、分圧回路220の両端(第1ノード221,第2ノード222)へ交互に印加する第1駆動電圧と第2駆動電圧は、上記の例に限定されない。本発明の他の実施形態では、第1駆動電圧と第2駆動電圧は、片側がGNDではなく、2つの異なる電圧レベルを使用してもよい。この場合も、第1駆動電圧と第2駆動電圧とが交互に切り換わることで分圧電圧が変化し、分圧電圧の変化に応じてキャパシタ230の電荷が変化する。キャパシタ230の電荷の変化量は、抵抗性センサ素子132の抵抗値に応じた値、すなわち、基板120に加わる圧力に応じた値を持つ。従って、駆動電圧が切り換わる度に、キャパシタ230の電荷の変化量に基づいて、基板120に加わる圧力の測定値が得られる。
【0065】
更に、本実施形態の入力装置100によれば、静電センサ部320における位置の検出と、抵抗性センサ素子132による押圧の検出において、共に電荷検出回路が用いられるため、回路構成を共通化・簡略化しやすい。また、第1駆動回路210と第2駆動回路310とが共通の半導体集積回路チップ123に集積されるため、回路構成が簡易になり、基板120に実装される部品数を少なくすることができる。加えて、第1電荷検出回路240と第2電荷検出回路330とが共通の半導体集積回路チップ123に集積されるため、回路構成が更に簡易になり、基板120に実装される部品数をより少なくすることができる。
【0066】
本発明は上述した実施形態には限定されない。すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、押圧操作による圧力の変化に応じて入力を行う入力装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
100…入力装置、110…基台、120…基板、121…内面、122…外面、123…半導体集積回路チップ、130…抵抗性センサ素子、200…抵抗式検出部、210…第1駆動回路、211…電源ライン、212…グランド、213,215…スイッチ回路、220…分圧回路、225…抵抗素子、230…キャパシタ、240…第1電荷検出回路、243…アンプ回路、244…電荷転送用キャパシタ、245…電荷初期化回路、300…静電容量式検出部、310…第2駆動回路、320…静電センサ部、321…容量性センサ素子、330…第2電荷検出回路、400…制御部
図1
図2
図3
図4
図5