特許第6542402号(P6542402)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6542402直線型冷却ホールを含むガスタービンリングセグメント及びこれを含むガスタービン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6542402
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】直線型冷却ホールを含むガスタービンリングセグメント及びこれを含むガスタービン
(51)【国際特許分類】
   F01D 9/04 20060101AFI20190628BHJP
【FI】
   F01D9/04
【請求項の数】21
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-18187(P2018-18187)
(22)【出願日】2018年2月5日
(65)【公開番号】特開2018-128017(P2018-128017A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2018年2月5日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0016345
(32)【優先日】2017年2月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507002918
【氏名又は名称】ドゥサン ヘヴィー インダストリーズ アンド コンストラクション カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、キバエク
(72)【発明者】
【氏名】リー、チャンヨン
【審査官】 高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/024242(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0286751(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0326884(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0108419(US,A1)
【文献】 特開2004−100682(JP,A)
【文献】 特開2002−213209(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/132217(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 9/02
F01D 11/00
F01D 25/24
F02C 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線を中心に回転するローターと、該ローターを回転可能に覆うケーシングと、軸線を中心に環状をなし、前記ケーシングの内周側に設置される固定翼リングとを備えるガスタービンに円周方向に多数個に分割されるように装着されるガスタービンリングセグメントであって、
前記ガスタービンリングセグメントは、一側面にメインキャビティの方向にインピンジメントターゲット面(impingement target surface)が形成され、他側面にホットサイド面(hot side surface)が形成されたインピンジメントターゲット壁を含み、軸方向の中央部にメインキャビティが形成され、
外部と内部とを連通させる冷却ホールが外周面に沿って一定間隔離隔して形成され、
前記冷却ホールは軸方向の中央部に形成されたメインキャビティと連通している直線構造であり、
前記メインキャビティの内側面に設置され、軸方向に前記インピンジメントターゲット面を支持する構造の補強部を含
前記冷却ホールの前記直線構造は、前記メインキャビティから外部に延び、
前記冷却ホールは、第1の冷却ホールセクションと第2の冷却ホールセクションを含み、前記第1の冷却ホールセクションおよび前記第2の冷却ホールセクションは互いに連通し、前記第1の冷却ホールセクションおよび前記第2の冷却ホールセクションは異なる内径を有する、ガスタービンリングセグメント。
【請求項2】
前記第1の冷却ホールセクションは前記メインキャビティと連通し、前記メインキャビティと前記第2の冷却ホールセクションの間に配置され、前記第2の冷却ホールセクションは外部と連通し、前記第1の冷却ホールセクションの内径は前記第2の冷却ホールセクションの内径よりも小さい、請求項1に記載のガスタービンリングセグメント。
【請求項3】
前記第2の冷却ホールセクションの内側面が凹凸構造を有する、請求項1または2に記載のガスタービンリングセグメント。
【請求項4】
前記冷却ホールは、軸方向の両側に形成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のガスタービンリングセグメント。
【請求項5】
前記インピンジメントターゲット壁の厚さ(t)は、前記ガスタービンリングセグメントの本体部の厚さ(T)に対して30から50%の厚さである、請求項1から4のいずれか一項に記載のガスタービンリングセグメント。
【請求項6】
前記冷却ホールの中心軸と前記ホットサイド面との離隔距離(h1)は、前記インピンジメントターゲット壁の厚さ(t)から前記ガスタービンリングセグメントの本体部の厚さ(T)の範囲内にある、請求項1から5のいずれか一項に記載のガスタービンリングセグメント。
【請求項7】
前記冷却ホールの中心軸とホットサイド面との離隔距離(h1)は、前記ガスタービンリングセグメントの本体部の厚さ(T)に対して60から80%の長さである、請求項に記載のガスタービンリングセグメント。
【請求項8】
前記補強部の形成高さ(h2)は、前記ガスタービンリングセグメントの本体部の厚さ(T)に対して100から200%の長さである、請求項1からのいずれか一項に記載のガスタービンリングセグメント。
【請求項9】
前記補強部は、前記メインキャビティの内側面に円周方向に一定間隔離隔して2つ以上設置される、請求項1からのいずれか一項に記載のガスタービンリングセグメント。
【請求項10】
前記補強部と前記メインキャビティの内側面とが互いに触れ合う隣接部には、所定の長さの半径を有するラウンド構造が形成されている、請求項1からのいずれか一項に記載のガスタービンリングセグメント。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のガスタービンリングセグメントを含む、ガスタービン。
【請求項12】
軸線を中心に回転するローターと、該ローターを回転可能に覆うケーシングと、軸線を中心に環状をなし、前記ケーシングの内周側に設置される固定翼リングとを備えるガスタービンに円周方向に多数個に分割されるように装着されるガスタービンリングセグメントであって、
前記ガスタービンリングセグメントは、一側面にメインキャビティの方向にインピンジメントターゲット面(impingement target surface)が形成され、他側面にホットサイド面(hot side surface)が形成されたインピンジメントターゲット壁を含み、軸方向の中央部にメインキャビティが形成され、
外部と内部とを連通させる冷却ホールが外周面に沿って一定間隔離隔して形成され、
前記冷却ホールは軸方向の中央部に形成されたメインキャビティと連通している直線構造であり、
前記冷却ホールの前記直線構造は、前記メインキャビティから外部に延び、
前記冷却ホールは、第1の冷却ホールセクションと第2の冷却ホールセクションを含み、前記第1の冷却ホールセクションおよび前記第2の冷却ホールセクションは互いに連通し、前記第1の冷却ホールセクションおよび前記第2の冷却ホールセクションは異なる内径を有する、ガスタービンリングセグメント。
【請求項13】
前記ガスタービンリングセグメントは、前記メインキャビティの内側面に設置され、軸方向にインピンジメントターゲット面を支持する構造の補強部を含み、
前記インピンジメントターゲット壁の厚さ(t)は、前記ガスタービンリングセグメントの本体部の厚さ(T)に対して30から50%の厚さである、請求項12に記載のガスタービンリングセグメント。
【請求項14】
前記ガスタービンリングセグメントは、前記メインキャビティの内側面に設置され、軸方向に前記インピンジメントターゲット面を支持する構造の補強部を含み、
前記冷却ホールの中心軸と前記ホットサイド面との離隔距離(h1)は、前記インピンジメントターゲット壁の厚さ(t)から前記ガスタービンリングセグメントの本体部の厚さ(T)の範囲内にある、請求項12又は13に記載のガスタービンリングセグメント。
【請求項15】
前記冷却ホールの中心軸とホットサイド面との離隔距離(h1)は、前記ガスタービンリングセグメントの本体部の厚さ(T)に対して60から80%の長さである、請求項14に記載のガスタービンリングセグメント。
【請求項16】
前記ガスタービンリングセグメントは、前記メインキャビティの内側面に設置され、軸方向に前記インピンジメントターゲット面を支持する構造の補強部を含み、
前記補強部の形成高さ(h2)は、前記ガスタービンリングセグメントの本体部の厚さ(T)に対して100から200%の長さである、請求項12から15のいずれか一項に記載のガスタービンリングセグメント。
【請求項17】
前記ガスタービンリングセグメントは、前記メインキャビティの内側面に設置され、軸方向に前記インピンジメントターゲット面を支持する構造の補強部を含み、
前記補強部は、前記メインキャビティの内側面に円周方向に一定間隔離隔して2つ以上設置される、請求項12から16のいずれか一項に記載のガスタービンリングセグメント。
【請求項18】
前記ガスタービンリングセグメントは、前記メインキャビティの内側面に設置され、軸方向に前記インピンジメントターゲット面を支持する構造の補強部を含み、
前記補強部と前記メインキャビティの内側面とが互いに触れ合う隣接部には、所定の長さの半径を有するラウンド構造が形成されている、請求項12から17のいずれか一項に記載のガスタービンリングセグメント。
【請求項19】
軸線を中心に回転するローターと、該ローターを回転可能に覆うケーシングと、軸線を中心に環状をなし、前記ケーシングの内周側に設置される固定翼リングとを備えるガスタービンに円周方向に多数個に分割されるように装着されるガスタービンリングセグメントであって、
前記ガスタービンリングセグメントは、一側面にメインキャビティの方向にインピンジメントターゲット面(impingement target surface)が形成され、他側面にホットサイド面(hot side surface)が形成されたインピンジメントターゲット壁を含み、軸方向の中央部にメインキャビティが形成され、
外部と内部とを連通させる冷却ホールが外周面に沿って一定間隔離隔して形成され、
前記冷却ホールは軸方向の中央部に形成されたメインキャビティと連通している直線構造であり、
前記ガスタービンリングセグメントは、メインキャビティの内側面に設置され、軸方向にインピンジメントターゲット面を支持する構造の補強部を含み、
前記補強部は、前記メインキャビティの内側面に円周方向に一定間隔離隔して2つ以上設置され
前記冷却ホールの前記直線構造は、前記メインキャビティから外部に延び、
前記冷却ホールは、第1の冷却ホールセクションと第2の冷却ホールセクションを含み、前記第1の冷却ホールセクションおよび前記第2の冷却ホールセクションは互いに連通し、前記第1の冷却ホールセクションおよび前記第2の冷却ホールセクションは異なる内径を有する、ガスタービンリングセグメント。
【請求項20】
前記補強部と前記メインキャビティの内側面とが互いに触れ合う隣接部には、所定の長さの半径を有するラウンド構造が形成されている、請求項19に記載のガスタービンリングセグメント。
【請求項21】
請求項12から20のいずれか一項に記載のガスタービンリングセグメントを含む、ガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線型冷却ホールを含むガスタービンリングセグメント及びこれを含むガスタービンに係り、さらに詳細には、軸方向の中央部に形成されたメインキャビティに連通した直線構造の冷却ホールを含むガスタービンリングセグメント及びこれを含むガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガスタービンは、図1に示すように、軸線を中心に回転するローターと、該ローターを回転可能に覆うケーシングと、軸線を中心に環状をなし、ケーシングの内周側に設置されている固定翼リングとを備えている。
【0003】
このとき、図2に示すように、ガスタービンに設置される軸流圧縮機1は、組立性の観点などから、ケーシングが上ケーシング25uと下ケーシング25dに分割可能である。また、図3に示すように、固定翼リング11も円周方向に複数のリングセグメントに分割可能である。
【0004】
図4には従来技術に係るガスタービンリングセグメント(Gas turbine Ring Segment)10が示されている。従来技術に係るガスタービンリングセグメント10の場合、形成位置及び延長角度の異なる多数の冷却ホール11、12、13を備えている。
【0005】
このような冷却ホール11、12、13を介して冷媒が流動して冷却を行う。このとき、冷却ホール11、12、13を介して流動する冷媒の流量を調節して冷却効率を制御することができる。
【0006】
しかし、従来技術に係るガスタービンリングセグメント10の冷却ホール11、12、13は、互いに異なる構造で形成されている。
【0007】
メインキャビティ(main cavity)17の方向に連通する第1冷却ホール11と、外部に連通する第3冷却ホール13とは、中間部位に形成された第2冷却ホール12によって互いに連通する構造である。
【0008】
このような構造の冷却ホール11、12、13を加工するためには、セラミックコア(ceramic core)が追加されなければならず、それぞれ互いに異なる加工作業が必要である。
【0009】
また、このような構造の冷却ホール11、12、13は、高温、高圧環境に晒されるので、非常に精密に加工されなければならない。
【0010】
よって、従来技術に係るガスタービンリングセグメント10の場合、冷却ホール11、12、13の加工に多くの時間及び高い加工コストがかかるという問題点を持っている。
【0011】
具体的に、図1に示すように、一側にインピンジメントターゲット面(impingement target surface)15が形成され、他側にホットサイド面(hot side surface)16が形成されたインピンジメントターゲット壁(impingement target wall)14は、比較的厚く形成されており、冷却効果が低下するという問題点を持っている。
【0012】
したがって、前述した従来技術に係る問題点を解決することが可能な構造を含むガスタービンリングセグメントに対する技術が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、ガスタービンリングセグメントに形成された冷却ホールをさらに簡単に加工することができ、加工にかかる時間及びコストを節減することができる構造を含むガスタービンリングセグメント及びこれを含むガスタービンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するための本発明の一態様によるガスタービンリングセグメントは、一側面にメインキャビティ(main cavity)の方向にインピンジメントターゲット面(impingement target surface)が形成され、他側面にホットサイド面(hot side surface)が形成されたインピンジメントターゲット壁(impingement target wall)を含み、軸方向の中央部にメインキャビティ(main cavity)が形成されたガスタービンリングセグメントにおいて、外部と内部とを連通させる冷却ホールが外周面に沿って一定間隔離隔して形成され、前記冷却ホールは、軸方向の中央部に形成されたメインキャビティと連通している直線構造であり得る。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記インピンジメントターゲット壁の厚さtは、ガスタービンリングセグメント本体部の厚さTに対して30から50%の厚さであり得る。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記冷却ホールの中心軸とホットサイド面との離隔距離h1は、インピンジメントターゲット壁の厚さtからガスタービンリングセグメント本体部の厚さTの範囲内にあり得る。
【0017】
また、前記冷却ホールの中心軸とホットサイド面との離隔距離h1は、ガスタービンリングセグメント本体部の厚さTに対して60から80%の長さであり得る。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記ガスタービンリングセグメントは、前記メインキャビティの内側面に設置され、軸方向にインピンジメントターゲット面を支持する構造の補強部をさらに含むことができる。
【0019】
この場合、前記補強部の形成高さh2は、ガスタービンリングセグメント本体部の厚さTに対して100から200%の長さであり得る。
【0020】
また、前記補強部は、メインキャビティの内側面に円周方向に一定間隔離隔して2つ以上設置できる。
【0021】
また、前記補強部とメインキャビティの内側面とが互いに触れ合う隣接部には、所定の長さの半径を有するラウンド構造が形成できる。
【0022】
本発明の一実施形態において、前記冷却ホールは、内径の異なる冷却ホール同士が連通している構造であり得る。
【0023】
また、本発明は、前記ガスタービンリングセグメントを含むガスタービンを提供することができる。
【発明の効果】
【0024】
上述したように、本発明のガスタービンリングセグメントによれば、軸方向の中央部に形成されたメインキャビティに連通している直線構造の冷却ホールを備えることにより、従来必要であった多数の冷却ホール構造を省略することができ、これにより加工固定中に必要であったセラミックコア(ceramic core)が不要であり、結果的に加工時間及び加工コストを著しく減らすことができるガスタービンリングセグメントを提供することができる。
【0025】
また、本発明のガスタービンリングセグメントによれば、インピンジメントターゲット壁の厚さを特定の範囲に限定し、冷却ホールの中心軸の位置を特定の範囲に限定することにより、直線構造の冷却ホールの冷却効率を維持することができる安定的な位置に形成させることができる。
【0026】
また、本発明のガスタービンリングセグメントによれば、メインキャビティの内側面に設置され、軸方向にインピンジメントターゲット面を支持する構造の補強部を備えることにより、直線構造の冷却ホールの位置を特定の位置に配置するために厚さを減少させたインピンジメントターゲット壁の構造的安定性を補強することができるので、さらに安定的な構造のガスタービンリングセグメントを提供することができる。
【0027】
また、本発明のガスタービンリングセグメントによれば、メインキャビティの内側面に設置され、軸方向にインピンジメントターゲット面を支持する構造の補強部の形成高さを特定の範囲に限定することにより、直線構造の冷却ホールの位置を特定の位置に配置するために厚さを減少させたインピンジメントターゲット壁の構造的安定性を保障することができるので、さらに安定的な構造のガスタービンリングセグメントを提供することができる。
【0028】
また、本発明のガスタービンリングセグメントによれば、補強部とメインキャビティの内側面とが互いに触れ合う隣接部には、所定の長さの半径を有するラウンド構造を形成させることにより、直線構造の冷却ホールの位置を特定の位置に配置するために厚さを減少させたインピンジメントターゲット壁の構造的安定性を補強することができるので、さらに安定的な構造のガスタービンリングセグメントを提供することができる。
【0029】
また、本発明のガスタービンリングセグメントによれば、内径の異なる冷却ホール同士が連通している構造の冷却ホールを備えることにより、冷却ホールの内部に流動する冷媒の流量を制御することができるとともに熱伝達効率を極大化させることができる構造を含むガスタービンリングセグメントを提供することができる。
【0030】
また、本発明のガスタービンによれば、特定の構造のガスタービンリングセグメントを備えることにより、加工時間及び加工コストを著しく減らすことができる構造のガスタービンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】従来技術に係るガスタービンを示す断面図である。
図2図1に示されたガスタービンの圧縮機部分の横断面図である。
図3図2に示されたリングセグメントを示す部分拡大図である。
図4】従来技術に係るガスタービンリングセグメントを示す断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るリングセグメントを示す断面図である。
図6図5のA部分の拡大図である。
図7】本発明の別の実施形態に係るリングセグメントのA部分の拡大図である。
図8】本発明の一実施形態に係るリングセグメントを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲で使用された用語や単語は通常的かつ辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されるべきである。
【0033】
本明細書全体において、ある部材が他の部材「上」に位置しているとするとき、これはある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間に別の部材が介在する場合も含む。本明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0034】
図5には本発明の一実施形態に係るリングセグメントを示す断面図が示されており、図6には図4のA部分の拡大図が示されている。
【0035】
これらの図を参照すると、本実施形態に係るガスタービンリングセグメント100は、一側面にメインキャビティ(main cavity)104の方向にインピンジメントターゲット面(impingement target surface)102が形成され、他側面にホットサイド面(hot side surface)103が形成されたインピンジメントターゲット壁(impingement target wall)101を含む構成であって、軸方向の中央部にメインキャビティ(main cavity)104が形成されたガスタービンリングセグメント100である。
【0036】
本実施形態に係るガスタービンリングセグメント100は、外部と内部とを連通させる冷却ホール110が外周面に沿って一定間隔離隔して形成された構造であって、冷却ホール110は、軸方向の中央部に形成されたメインキャビティ104と連通している直線構造である。
【0037】
したがって、本実施形態に係るガスタービンリングセグメント100によれば、特定の構造の冷却ホールを備えることにより、従来必要であった多数の冷却ホール構造を省略することができ、これにより加工固定中に必要であったセラミックコア(ceramic core)が不要であり、結果的に加工時間及び加工コストを著しく減らすことができるガスタービンリングセグメントを提供することができる。
【0038】
以下、図面を参照して、本実施形態に係るガスタービンリングセグメント100を構成する各構成について詳細に説明する。
【0039】
図5及び図6に示すように、本実施形態に係るガスタービンリングセグメント100は、従来技術に係るインピンジメントターゲット壁に比べてさらに薄い厚さで形成されたので、このような構造を用いて直線構造の冷却ホール110を形成することができる。
【0040】
具体的に、インピンジメントターゲット壁101の厚さtは、直線構造の冷却ホール110が、外部と内部のメインキャビティ104とを連通させることができるようにする厚さであれば特に制限されるものではなく、好ましくは、ガスタービンリングセグメント本体部120の厚さTに対して30から50%の厚さであり得る。
【0041】
インピンジメントターゲット壁101の厚さtをガスタービンリングセグメント本体部120の厚さTに対して30%未満の長さに設定する場合、インピンジメントターゲット壁101の厚さが過度に薄くなって構造的安定性を保障することができないため、好ましくない。
【0042】
一方、インピンジメントターゲット壁101の厚さtをガスタービンリングセグメント本体部120の厚さTに対して50%超過の長さに設定する場合、冷却ホール110が配置される空間が著しく減少し、これも好ましくない。
【0043】
このとき、冷却ホール110の中心軸(a)とホットサイド面103との離隔距離h1は、図5に示すように、インピンジメントターゲット壁の厚さtからガスタービンリングセグメント本体部の厚さTの範囲内にあるように設定されることが好ましい。
【0044】
さらに具体的に、冷却ホール110の中心軸(a)とホットサイド面103との離隔距離h1は、ガスタービンリングセグメント本体部120の厚さTに対して60から80%の長さであることが好ましい。
【0045】
冷却ホール110の中心軸(a)とホットサイド面103との離隔距離h1を、ガスタービンリングセグメント本体部120の厚さTに対して60%未満の長さに設定する場合、冷却ホール110とインピンジメントターゲット面15との離隔距離が著しく減少し、結果的に冷却効率が著しく低下するため、好ましくない。
【0046】
一方、冷却ホール110の中心軸(a)とホットサイド面103との離隔距離h1を、ガスタービンリングセグメント本体部120の厚さTに対して80%超過の長さに設定する場合、冷却ホール110の位置が過度に上方に片寄って配置され、結果的にこれも冷却効率が著しく低下するため、好ましくない。
【0047】
前述したように、本実施形態に係るガスタービンリングセグメント100は、直線構造の冷却ホール110を形成することができるようにインピンジメントターゲット壁101の厚さを、従来技術に係るインピンジメントターゲット壁の厚さに比べてさらに薄い厚さで形成されたので、構造的安定性を補強するために、図6に示すように、補強部130をさらに設置することができる。
【0048】
具体的に、補強部130は、図6に示すように、メインキャビティ104の内側面に設置され、軸方向にインピンジメントターゲット面102を支持する構造であり得る。
【0049】
このとき、補強部130の形成高さh2は、ガスタービンリングセグメント本体部120の厚さTに対して100から200%の長さに設定されることが好ましい。
【0050】
場合に応じて、補強部130の形成高さh2は、設計者の意図に応じて適宜変更可能である。
【0051】
具体的に、補強部130の形成高さh2をガスタービンリングセグメント本体部120の厚さTに対して100%未満の長さに設定する場合、構造的安定性を補強するには不十分であって好ましくない。
【0052】
これに対し、補強部130の形成高さh2をガスタービンリングセグメント本体部120の厚さTに対して200%超過の長さに設定する場合、構造的安定性を十分に補強することはできるが、他の部品との干渉を生じさせる可能性があって好ましくない。
【0053】
場合に応じて、構造的安定性をさらに補強するために、補強部130とメインキャビティ104の内側面とが互いに触れ合う隣接部には、所定の長さの半径を有するラウンド構造131を形成することができる。
【0054】
場合に応じて、図8に示すように、補強部130をメインキャビティ104の内側面に円周方向に一定間隔離隔して2つ以上設置することができる。
【0055】
この場合、構造的安定性をさらに確保することができる。
【0056】
図7には本発明の別の実施形態に係るリングセグメントのA部分の拡大図が示されている。
【0057】
本実施形態に係るガスタービンリングセグメント100の冷却ホール110は、内径の異なる冷却ホール111、112同士が連通している構造であり得る。
【0058】
この場合、内径の小さい冷却ホール111を用いて冷媒流量を制御することができ、内径の大きい冷却ホール112を用いて熱伝達効率を向上させることができる。
【0059】
具体的に、内径の大きい冷却ホール112の内部は、内径の小さい冷却ホール111に比べて、冷媒と接触しうる表面積が広いので、結果的に冷却効率を向上させることができる。このとき、内径の大きい冷却ホール112の内側面に凹凸構造をさらに形成して冷却効率を一層向上させることができる。
【0060】
以上で説明したように、本発明のガスタービンリングセグメント100によれば、軸方向の中央部に形成されたメインキャビティ104と連通している直線構造の冷却ホール110を備えることにより、従来必要であった多数の冷却ホール構造(図4の11、12、13)を省略することができ、これにより加工固定中に必要であったセラミックコア(ceramic core)が不要であり、結果的に加工時間及び加工コストを著しく減らすことができるガスタービンリングセグメントを提供することができる。
【0061】
また、本発明のガスタービンリングセグメント100によれば、インピンジメントターゲット壁101の厚さを特定の範囲に限定し、冷却ホール110の中心軸(a)の位置を特定の範囲に限定することにより、直線構造の冷却ホール110の冷却効率を維持することができる安定的な位置に形成させることができる。
【0062】
また、本発明のガスタービンリングセグメント100によれば、メインキャビティ104の内側面に設置され、軸方向にインピンジメントターゲット面102を支持する構造の補強部130を備えることにより、直線構造の冷却ホール110の位置を特定の位置に配置するために厚さを減少させたインピンジメントターゲット壁101の構造的安定性を補強することができるので、さらに安定的な構造のガスタービンリングセグメント100を提供することができる。
【0063】
また、本発明のガスタービンリングセグメント100によれば、メインキャビティ104の内側面に設置され、軸方向にインピンジメントターゲット面102を支持する構造の補強部130の形成高さを特定の範囲に限定することにより、直線構造の冷却ホール110の位置を特定の位置に配置するために厚さを減少させたインピンジメントターゲット壁101の構造的安定性を補強することができるので、さらに安定的な構造のガスタービンリングセグメント100を提供することができる。
【0064】
また、本発明のガスタービンリングセグメント100によれば、補強部130とメインキャビティ104の内側面とが互いに触れ合う隣接部には、所定の長さの半径を有するラウンド構造131を形成させることにより、直線構造の冷却ホール110の位置を特定の位置に配置するために厚さを減少させたインピンジメントターゲット壁101の構造的安定性を保障することができるので、さらに安定的な構造のガスタービンリングセグメント100を提供することができる。
【0065】
また、本発明のガスタービンリングセグメント100によれば、内径の異なる冷却ホール111、112同士が連通している構造の冷却ホール110を備えることにより、冷却ホール110の内部に流動する冷媒の流量を制御することができるとともに熱伝達効率を極大化させることができる構造を含むガスタービンリングセグメントを提供することができる。
【0066】
また、本発明のガスタービンによれば、特定の構造のガスタービンリングセグメント100を備えることにより、加工時間及び加工コストを著しく減らすことができる構造のガスタービンを提供することができる。
【0067】
以上、本発明の詳細な説明では、それによる特別な実施形態についてのみ記述した。ところが、本発明は、詳細な説明で言及される特別な形態に限定されるものではないと理解されるべきであり、むしろ添付された特許請求の範囲によって定義される本発明の精神と範囲内にあるすべての変形物、均等物及び代替物を含むものと理解されるべきである。
【0068】
すなわち、本発明は、上述した特定の実施形態及び説明に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば誰でも様々な変形実施が可能であり、それらの変形実施も本発明の保護範囲内に属する。
【符号の説明】
【0069】
10 従来技術に係るガスタービンリングセグメント
11 第1冷却ホール
12 第2冷却ホール
13 第3冷却ホール
14 インピンジメントターゲット壁
15 インピンジメントターゲット面
16 ホットサイド面
17 メインキャビティ
100 ガスタービンリングセグメント
101 インピンジメントターゲット壁
102 インピンジメントターゲット面
103 ホットサイド面
104 メインキャビティ
110 冷却ホール
111 冷却ホール
112 冷却ホール
120 本体部
130 補強部
131 ラウンド構造
A 冷却ホールの中心軸
h1 冷却ホールの中心軸とホットサイド面との離隔距離
h2 補強部の形成高さ
T 本体部の厚さ
t インピンジメントターゲット壁の厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8