(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つのコントローラは、一次コントローラ、前記第1の乗り物車両に対応する第1の乗り物コントローラ、及び前記第2の乗り物車両に対応する第2の乗り物コントローラを備え、前記一次コントローラ及び前記第1の乗り物コントローラが、前記第1の乗り物車両の動きを制御するのに協働するように構成され、
前記一次コントローラと前記第2の乗り物コントローラが記第2の乗り物車両の動きを制御するのに協働するように構成されている、請求項1に記載の乗り物システム。
前記少なくとも1つのコントローラは、前記第1及び第2の乗り物車両の位置をそれぞれ示すデータを受け取るように構成されたバックアップコントローラをさらに備え、該バックアップコントローラと前記第1の乗り物コントローラは、前記第1の乗り物車両の動きを制御するのに協働するように構成され、
前記バックアップコントローラと前記第2の乗り物コントローラは、前記第2の乗り物車両の動きを制御するのに協働するように構成され、
前記制御システムが、前記一次コントローラが受け取ったデータ及び前記バックアップコントローラが受け取ったデータから選択を行うように構成された双方向投票回路を備える、請求項2に記載の乗り物システム。
前記第1の乗り物車両の第1の読取装置、前記第2の乗り物車両の第2の読取装置、及び前記位置追跡システムの複数の位置インジケータを備え、前記複数の位置インジケータは前記コースの全体に亙って配置されており、前記第1及び第2の読取装置は、前記すくなくとも1つのコントローラと通信しており、前記複数の位置インジケータのそれぞれの位置インジケータは前記第1及び第2の読取装置によって読取可能であり、前記第1及び第2の読取装置は、前記複数の位置インジケータの第1及び第2のインジケータを読み取り、前記少なくとも1つのコントローラに向けて、前記第1及び第2の位置を示す前記データを通信するか、又は、前記第1及び第2の位置を示すデータに先行する情報を通信する、ことを特徴とする請求項1に記載の乗り物システム。
前記第1の乗り物車両はプラットフォームと基部を備え、前記プラットフォームは、回転方向において、前記基部に関してロール、ピッチ、又はヨー方向またはその組み合わせの回転が可能であり、前記第1の乗り物車両の第1の位置は前記コースに関して前記基部の線形要素を備え、前記第1の乗り物車両の前記第1の位置は、前記ロール、ピッチ又はヨー方向において前記基部に関して前記プラットフォームの回転要素を備えることを特徴とする、請求項1に記載の乗り物システム。
前記少なくとも1つのコントローラは、前記第1の乗り物車両、前記第2の乗り物車両またはその双方のメンテナンス状態を、前記第1の乗り物車両、前記第2の乗り物車両またはその双方の動作傾向に基づいて判断するように構成されている、請求項1に記載の乗り物システム。
前記少なくとも1つのコントローラは前記第1及び第2の乗り物車両の第1及び第2の速度それぞれを示すデータを受け取り、前記コントローラは、前記1つ以上のショー要素を第1の速度及び第2の速度と同期させるように構成されている、請求項1に記載の乗り物システム。
前記少なくとも1つのコントローラは前記第1及び第2の乗り物車両の第1及び第2の速度それぞれを示すデータを受け取り、前記コントローラは、第1の速度及び第2の速度の少なくとも一部に基づいて前記制御ループを決定する、請求項1に記載の乗り物システム。
前記第1の乗り物車両の第1の読取装置、前記第2の乗り物車両の第2の読取装置、及び前記第1及び第2の位置の識別を可能にするように構成された構成された位置追跡システムを備え、
該位置追跡システムは前記コースに沿って位置する複数の位置インジケータを備え、
前記第1及び第2の読取装置は前記第1のデータセット及び第2のデータセット又はその双方を前記一次コントローラ、前記バックアップコントローラ又はその双方に通信させるように構成されている請求項12に記載の乗り物システム。
前記第1の乗り物車両はプラットフォームと基部を備え、前記プラットフォームは、回転方向において、前記基部に関してロール、ピッチ、又はヨー方向またはその組み合わせの回転が可能であり、前記第1の乗り物車両の第1の位置は前記コースに関する前記基部の線形要素、及び前記第1の乗り物車両の前記第1の位置は、前記ロール、ピッチ又はヨー方向において前記基部に関して前記プラットフォームの回転要素を備えることを特徴とする、請求項12に記載の乗り物システム。
前記一次コントローラ、前記バックアップコントローラ、双方向投票回路の内の少なくとも二つ、前記第1の乗り物車両の第1のトランシーバ又は第1の乗り物コントローラ、前記第2の乗り物車両の第2のトランシーバ又は第2の乗り物コントローラ、前記第1の乗り物車両の第1の位置読取装置又は前記第2の乗り物車両の第2の位置読取装置の間の通信を容易にする無線ネットワークを備えた、請求項12に記載の乗り物システム。
前記一次コントローラ、前記バックアップコントローラ又はその双方は、前記第1のトランシーバ又は前記第1の乗り物コントローラ、及び前記第1のトランシーバ又は前記第1の乗り物コントローラと通信して、前記制御ループを形成する、請求項16に記載の乗り物システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、コース内に位置してコース内を移動するように構成された複数の乗り物車両を含む乗り物制御システムを提供する。複数の乗り物車両の各々は、それぞれの乗り物車両の動きを制御するように構成された車両コントローラを含む。各乗り物車両の動きは、コース内の乗り物車両の運転及び停止などの外部的動きと、乗り物車両の基部に対する乗客プラットフォームの回転及び傾きなどの内部的動きとを含むことができる。複数の乗り物車両の各々は、コース内のそれぞれの乗り物車両の位置の識別を容易にするように構成された位置追跡システムを含むこともできる。各車両コントローラは、車両トランシーバに接続される。
【0011】
乗り物制御システムは、一次コントローラとバックアップコントローラとを含むシステムコントローラも含む。一次コントローラは、一次トランシーバに接続される。一次無線ネットワークは、一次トランシーバと複数の車両トランシーバとによって形成される。従って、一次無線ネットワークは、一次コントローラと複数の車両コントローラとを含む。一次コントローラは、一次無線ネットワークを介して、複数の乗り物車両の各々の状態(例えば、位置及び速度)を示すデータを受け取り、受け取ったデータに基づいて、それぞれの乗り物車両の動きを調整する命令を送ることができる。例えば、一次コントローラは、第1の乗り物車両が過度の速度で第2の乗り物車両に近付いていることを示すデータを受け取ったことに応答して、第1の乗り物車両に減速又は停止するように命令することができる。
【0012】
また、いくつかの実施形態では、一次コントローラがコース内の1又は2以上のショーイベントの動作に接続されて、この動作を制御する。ショーイベントは、画像又は動画のビデオ投影、アクションフィギュア又は漫画キャラクタのパフォーマンス、或いは音響効果などを含むことができる。一次コントローラは、複数の乗り物車両の各々の状態(例えば、位置及び速度)を示す受信データに基づいて、それぞれの乗り物車両及び/又はショーイベントに、それぞれの乗り物車両の動きとショーイベントとを同期させる命令を送ることができる。例えば、一次コントローラは、乗り物車両がショーイベントに向かう移動速度が速い時には、早めにショーイベントを始動させることができる。また、例えば、一次コントローラは、乗り物車両の移動速度及び座席の回転をショーイベントの異なるショー要素に同期させるように調整する命令を乗り物車両に送ることもできる。
【0013】
本開示によれば、一次コントローラが、複数の乗り物車両の各々を個別にモニタして制御する。例えば、一次コントローラは、複数の乗り物車両の各々の運転及び停止を個別に制御することができる。一次コントローラは、他の乗り物車両を主要経路上で運転させたまま、1つの乗り物車両に主要経路を迂回してメンテナンスステーションに入るように命令することができる。一次コントローラは、ショーイベントの独立したショーイベントクロックを異なる乗り物車両に対して設定し、乗り物車両の動きを対応するショーイベントクロックに同期させるように調整することができる。
【0014】
さらに、本開示によれば、乗り物制御システムのシステムコントローラは、関連するバックアップトランシーバを有するバックアップコントローラを含むこともできる。バックアップトランシーバ及び複数の車両トランシーバは、バックアップ無線ネットワークを形成する。バックアップコントローラは、一次コントローラに加えて、また一次コントローラとは無関係に、バックアップ無線ネットワークを介して複数の乗り物車両の各々の位置及び速度をモニタする。従って、バックアップコントローラを利用して、複数の乗り物車両の位置モニタリングの精度又はロバスト性を高める独立データを提供することができる。一次コントローラ又は一次無線ネットワークが故障した場合には、バックアップコントローラが複数の乗り物車両の動きを制御することができる。
【0015】
さらに、乗り物制御システムは、速度又はモータ出力などの動作状態因子を一定期間にわたって記録することにより、複数の乗り物車両の各々の性能低下をモニタすることもできる。これにより、複数の乗り物車両の各々のメンテナンス状態の予測が可能になる。さらに、本開示による乗り物制御システムは、複数の乗り物車両の各々の仮想ブロッキングゾーンを計算し、これによってコースのゾーン間の物理的な途切れを除去することもできる。例えば、一次コントローラは、複数の乗り物車両の各々の位置及び速度を示す受信データに基づいて、それぞれの乗り物車両の周囲(例えば、前方、後方)の仮想ブロッキングゾーンを計算することができる。一次コントローラは、計算した異なる乗り物車両の仮想ブロッキングゾーンが重なり始めると、乗り物車両のうちの1つ又は2つ以上に動きを調整(例えば、減速又は停止)して衝突を避けるように命令することができる。
【0016】
上述の内容に従い、
図1に、本開示による乗り物制御システム10の実施形態の概略図を示す。乗り物制御システム10は、コース内に位置してコース内を移動するように構成された複数の乗り物車両(例えば、車両11)を含む。コースは、空き地、遊び場又は経路(例えば、鉄道又は線路)を含むことができる。車両11は、基部12と、基部12上の乗客プラットフォーム14(例えば、乗客が座る場所)とを含む。基部12と乗客プラットフォーム14は、複数のアクチュエータに相当することができるアクチュエータ16によって乗客プラットフォーム14の中央部18付近で接続される。車両コントローラ20は、乗客プラットフォーム14に複数の自由度の動きを与えるようにアクチュエータ16を制御する。このような基部12に対する乗客プラットフォーム14の内部的動きは、ロール、ピッチ及びヨーなどの角運動、並びにヒーブ及びサージなどの線形運動を含むことができる。アクチュエータ16は、以下に限定されるわけではないが、電気式、水圧式、空気圧式、機械式、又はこれらのいずれかの組み合わせを含む、動きをもたらすためのあらゆる好適なタイプのアクチュエータとすることができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータ16が、基部12と乗客プラットフォーム14とを接続して乗客プラットフォームの複数の自由度の動きをもたらす複数のアクチュエータの組を表す。
【0017】
図示の実施形態では、乗客プラットフォーム14が、1人又は2人以上の乗客24が着席できる1又は2以上の座席22を含む。車両11は、矢印26によって示す一般方向にコース内を動く。コース内には、以下でさらに詳細に説明するような1又は2以上のショーイベントを配置することができる。車両11が方向26に動いてショーイベントに近付くとショーイベントが引き起こされ、乗客24は、ショーイベントを見たり、聞いたり、及び/又はショーイベントと相互作用したりすることができる。現実感及び効果を高めるために、ショーイベントは、乗客プラットフォーム14の動きに同期させることができる。例えば、車両11がショーイベントを過ぎる際には、乗客プラットフォーム14を方向26に対して回転させてショーイベントを見やすくすることができる。例えば、ショーイベントが旋回中の車を表示している時には、例えば乗客プラットフォーム14を傾けて車両11の旋回動作をシミュレートすることもできる。
【0018】
車両11は、車両11の外部的動きをもたらすためにモータ28及びブレーキ30を含む。いくつかの実施形態では、車両11が、ハンドルなどのステアリング装置を含むことができる。車両11の外部的動きは、車両11の運転(例えば、加速、減速)、停止及び操舵を含むことができる。モータ28は、以下に限定されるわけではないが、バッテリ、ソーラーパネル、発電機、ガスエンジン、又はこれらのいずれかの組み合わせを含むいずれかの好適な電源によって給電される。ブレーキ30は、車両11の1又は2以上の車輪32に取り付けることができる。モータ28及びブレーキ30の動作は、車両コントローラ20によって制御することができる。例えば、車両コントローラ20は、車両11を加速又は減速させる出力を調整するようにモータ28を制御することができる。車両コントローラ20は、車輪32に一定の力を加えて車両11を減速又は停止させるようにブレーキ30を制御することもできる。いくつかの実施形態では、車両コントローラ20によってステアリング装置を制御することもできる。
【0019】
車両11は、コース内の車両11の位置をモニタする位置追跡システム34を含む。以下でさらに詳細に説明するように、コース内には複数の位置インジケータが配置される。各位置インジケータは、コース内の一意の位置(例えば、1又は2以上の基準点に関する座標)を示す。車両位置追跡システム34は、読取装置36を含む。車両11がコース内を移動して位置インジケータに近付くと、読取装置36が位置インジケータを感知して車両11の位置情報を提供することができる。その後、読取装置36は、この位置情報を車両コントローラ20に提供する。
【0020】
車両コントローラ20は、オペレータによる車両11との相互作用を可能にすることができる様々なコンポーネントを含む。車両コントローラ20は、分散制御システム(DCS)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、或いは完全に又は部分的に自動化されたいずれかのコンピュータベースの装置などの自動コントローラ又は自動コントローラの組を含むことができる。例えば、車両コントローラ20は、汎用又は特定用途向けプロセッサ38を使用するいずれかの装置とすることができる。車両コントローラ20は、本明細書で説明する車両11のための方法及び制御動作を実行するようにプロセッサ38によって実行できる命令を記憶するメモリ40を含むこともできる。プロセッサ38は、1又は2以上の処理装置を含むことができ、メモリ40(例えば、ハードドライブ)は、1又は2以上の有形の非一時的機械可読媒体を含むことができる。一例として、このような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、或いはその他の光学ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気記憶装置、或いは機械実行可能命令又はデータ構造の形の所望のプログラムコードを搬送又は記憶するために使用でき、プロセッサ38又はいずれかの汎用又は専用コンピュータ、又はプロセッサを含む他の機械がアクセスできる他のいずれかの媒体を含むことができる。本明細書では、車両コントローラ20(例えば、プロセッサ38)を用いて機能を実行できるものとしていくつかの実施形態例を説明しているが、このような機能は、一次コントローラ48が実行することも、及び/又は一次コントローラ48と車両コントローラ20とが協働して実行することもできる。
【0021】
車両コントローラ20は、車両コントローラ20の動作のためのタイミング情報を提供するように動作する車両クロック42(例えば、ソフトウェアクロックアプリケーション)も含む。例えば、車両クロック42は、車両コントローラ20がモータ28に車両11を加速させる命令を送った時、或いはブレーキ30に車両11を停止させる命令を送った時にタイムスタンプを付与することができる。車両クロック42は、読取装置36が車両11の位置情報を読み取った時にもタイムスタンプを付与することができる。車両コントローラ20のメモリ40は、読取装置36によって提供された位置データと、車両クロック42によって提供された対応するタイミングデータとを記憶する。例えば、メモリ40は、特定の時点及び/又は一定期間中における車両11の位置を記憶することができる。その後、プロセッサ38は、これらの記憶された位置及びタイミングデータを求めてメモリ40にアクセスし、いずれかの特定の時点における車両11の速度、及び/又は一定期間中における平均速度を計算することができる。この計算された速度情報も、メモリ40に記憶することができる。
【0022】
車両コントローラ20のプロセッサ38は、車両11のブロッキングゾーンを計算又は別様に設定する(例えば、一次コントローラ48などの中央コントローラから受け取る)こともでき、同様にコース上の他の車両のそれぞれのブロッキングゾーンを識別する(例えば、計算し又は受け取る)こともできる。これらのブロッキングゾーンは、それぞれの車両(例えば、車両11)の周囲の領域として表すことができる。車両11のブロッキングゾーンがコース内の別の車両のブロッキングゾーンと重なっていることが分かった場合、システム10は、2つの車両間の干渉、及びこれに関連して乗客24が所望の乗り物体験から気を逸らすのを避けるように予防措置を講じることができる。例えば、プロセッサ38又はシステムコントローラ48は、車両11のブロッキングゾーンを決定する際に、車両11の現在の速度及び荷重状態に基づいて、車両11が特定の減速(例えば、所定の値又はブレーキ30の全力)によって完全に停止するまでの停止距離を求めることができる。
【0023】
ブロッキングゾーンは、車両11の周囲の境界(例えば、円)として定めることができる。1つの実施形態では、この境界が、特定の方向の求められた停止距離の半径を有する円である。1つの実施形態では、この境界を、車両11に関連する測定値(例えば、速度)及び/又は他の車両に基づいて所望の緩衝ゾーンを定める経路上の(例えば、車両11の前方及び後方の)領域として定めることができる。本開示によれば、ブロッキングゾーンの領域を車両11の速度及び位置に基づいて基本的にリアルタイムで調整することができるので、車両11のブロッキングゾーンは動的である。従って、車両11に関して定められるブロッキングゾーンは、車両11がコース内を移動するにつれて動く。ブロッキングゾーンのサイズも、コース内の位置に基づいて動的に調整することができる。例えば、特定のコース部分では、車両間の見通し線を避けることによって所望の効果又は乗車雰囲気(例えば、孤立している感覚)を達成できるように、車両のブロッキングゾーンを1又は2以上の方向に広げることが望ましい場合もある。
【0024】
車両コントローラ20のプロセッサ38は、車両11の荷重状態(例えば、車両11の全ての乗客の重量)を求めることもできる。1つの実施形態では、車両11が、乗客プラットフォーム14に重量センサを含む。この重量センサは、全ての乗客の重量を感知して、この重量データを車両コントローラ20に送信するように構成される。別の実施形態では、車両コントローラ20が、少なくとも車両11のモータ出力及び移動速度に基づいて荷重状態を求める。例えば、車両11の荷重が軽い(例えば、車両11に2人の大人が乗っている時に比べて車両11に2人の子供が乗っている)場合、モータは、より低い出力で車両を一定速度に維持することができ、或いは車両11は、一定速度に達するまで一定の出力でより速く加速することができる。従って、車両コントローラ20は、速度変化とモータの出力変化とを記録することによって車両11の全ての乗客の重量を求めることができる。
【0025】
乗り物制御システム10は、車両11の動きをモニタして制御するシステムコントローラ43を含む。システムコントローラ43は、一次コントローラ48及びバックアップコントローラ54を含む。車両11は、車両コントローラ20に接続された(例えば、一次車両トランシーバ及びバックアップ車両トランシーバに相当することができる)車両トランシーバ44を含む。車両トランシーバ44は、一次コントローラ48に接続された一次トランシーバ46と無線で通信する。従って、車両コントローラ20は、車両トランシーバ44を介し、一次トランシーバ46を介して一次コントローラ48に無線で接続される。従って、少なくとも一次コントローラ48と車両コントローラ20とを含む一次無線ネットワーク50が形成される。コース内に複数の乗り物車両が位置する時には、複数の乗り物車両のそれぞれの乗り物車両の車両トランシーバ44を含む各車両コントローラ20を、一次トランシーバ46を介して一次コントローラ48に接続することができる。従って、一次無線ネットワーク50は、一次コントローラ48と複数の車両コントローラ20とを含むことができる。
【0026】
一次コントローラ48と車両コントローラ20との間では、一次無線ネットワーク50を介してデータが転送される。車両コントローラ20は、車両の状態を示すデータを一次コントローラ48に転送することができる。このようなデータは、車両の識別子、位置、速度、動的ブロッキングゾーン、移動方向、モータ出力、又は荷重状態などを含むことができる。一次コントローラ48は、車両コントローラ20から受け取ったデータに基づいて、車両11の動きを制御する命令を車両コントローラ20に送ることができる。例えば、一次コントローラ48は、コース内の全ての乗り物車両の動的ブロッキングゾーンを比較し、乗り物車両の移動速度、現在位置及び移動方向に基づいて、乗り物車両のいずれかが互いに衝突する恐れがあるかどうかを判断することができる。その可能性がある場合、一次コントローラ48は、例えば第1の乗り物車両の後方の第2の乗り物車両に減速又は停止するように命令を送ることができる。本開示によれば、一次コントローラ48は、複数の乗り物車両の各々を個別に制御する。従って、上記の例では、一次コントローラ48が、第2の乗り物車両に減速又は停止するように命令を送ると同時に第1の乗り物車両に加速するように命令を送り、或いは2つの乗り物車両の動的ブロッキングゾーンが重なっていないと判断される限りは、現在の速度を維持し、或いは減速又は停止するように命令を送ることもできる。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、一次コントローラ48がコース内の1又は2以上のショーイベント51にも接続されて、これらの動作を制御する。ショーイベント51は、ビデオ要素(例えば、画像又は動画の投影)、音響効果、移動要素(例えば、アクションフィギュアの飛行、火山の噴火)、アニマトロニクス(例えば、歩く恐竜)、又はこれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。コースには、コントローラが制御できるあらゆる好適なショーイベントを含めることができると考えられる。ショーイベント51は、ショークロック53を含むことができる。ショークロック53は、ショーイベント51が行われた時に、ショーイベント51の1又は2以上の(例えば、全部の)ショー要素にタイムスタンプを付与することができる。例えば、ショークロック53は、一連の画像のうちの特定の画像、動画の特定のフレーム、又はアニマトロニックフィギュアの一連の動きの中の特定の動きなどにタイムスタンプを付与することができる。いくつかの実施形態では、ショーイベント51の代わりにショークロック53が一次コントローラ48と一体化される。
【0028】
本開示によれば、一次コントローラ48は、車両11の状態を示す受信データに基づいて、車両11の動きをイベント51に同期させる命令を車両コントローラ20及び/又はショーイベント51に送ることができる。例えば、一次コントローラ48は、車両11の移動速度が速いことを示すデータを車両コントローラ20から受け取ると、車両11がショーイベント51に近付いた時に早めにショーイベント51を開始させることができる。逆に、一次コントローラ48は、車両11の移動速度が遅いことを示すデータを受け取ると、ショーイベント51を遅く開始させることもできる。また、一次コントローラ48は、車両11の内部的動き(例えば、乗客プラットフォーム14の回転、傾き)をショーイベント51の特定のショー要素に同期させることもできる。例えば、一次コントローラ48は、車両11の移動速度が速いことを示すデータを車両コントローラ20から受け取った場合、これに応じてショー要素の上演速度を速める命令と、車両11の内部的動きの速度を速める命令とをショーイベント51に送ることができ、或いは車両11を一致する移動速度に減速させる命令と、ショー要素の上演速度に関する車両11の内部的動きを遅くする命令とを車両コントローラ20に送ることができる。
【0029】
車両トランシーバ44は、一次トランシーバ46と無線で通信することに加え、バックアップトランシーバ52とも無線で通信する。いくつかの実施形態では、(例えば、車両トランシーバ44ではなく)別個の車両トランシーバを車両コントローラ20に接続して、バックアップトランシーバ52と無線で通信することもできる。バックアップトランシーバ52は、システムコントローラ43のバックアップコントローラ54に接続される。従って、無線コントローラ20は、車両トランシーバ44を介し、バックアップトランシーバ52を介してバックアップコントローラ54に無線で接続される。従って、少なくともバックアップコントローラ54と車両コントローラ20とを含むバックアップ無線ネットワーク56が形成される。コース内に複数の車両11が位置する時には、バックアップ無線ネットワーク56が、一次コントローラ48と複数の車両コントローラ20とを含むことができる。バックアップ無線ネットワーク56は、一次無線ネットワーク50と同じ通信周波数で動作することもできるが、一次無線ネットワーク50とは異なる通信周波数で動作することが好ましい。
【0030】
一次無線ネットワーク50と同様に、車両コントローラ20とバックアップコントローラ54との間では、バックアップ無線ネットワーク56を介してデータを転送することができる。車両コントローラ20は、車両の状態を示すデータをバックアップコントローラ54に転送することができる。このようなデータは、車両の識別子、位置、速度、動的ブロッキングゾーン、移動方向、モータ出力、又は荷重状態などを含むことができる。いくつかの実施形態では、一次コントローラ48とは無関係なバックアップコントローラ54が、車両コントローラ20からの受信データに基づいて、車両11の動きを制御する命令を車両コントローラ20に送ることができる。また、この一次コントローラ48とは無関係なバックアップコントローラ54は、車両11の動きをイベント51に同期させる命令を車両コントローラ20及び/又はショーイベント51に送ることもできる。
【0031】
上述したように、車両11の特定のデータ(例えば、位置、速度、動的ブロッキングゾーン、移動方向、モータ出力又は荷重状態など)は、車両コントローラ20(例えば、プロセッサ38)によって計算又は別様に取得することができるが、このようなデータは、一次コントローラ48によって、バックアップコントローラ54によって、一次コントローラ48及び車両コントローラ20によって協働的に、及び/又はバックアップコントローラ48及び車両コントローラ20によって協働的に計算又は別様に取得することもできる。
【0032】
システムコントローラ43は、バックアップコントローラ54と一次コントローラ48とを接続する双方向投票回路57を含む。双方向投票回路57は、一次コントローラ48が(一次無線ネットワーク50を介して)受け取った車両11の位置データ及び速度データと、バックアップコントローラ54が(バックアップ無線ネットワーク56を介して)受け取った車両11の位置データ及び速度データとを比較するように構成される。これらの2つのデータセット(例えば、位置データ、速度データ)は、無線ネットワーク50、56の一方又はコントローラ48、54の一方に生じ得る何らかのエラーに起因して一致しないことがある。例えば、無線ネットワーク50、56の一方がデータ送信中に干渉を受けることもあり、或いはコントローラ48、54の一方が何らかの時点でシステム異常を受けることもある。双方向投票回路57は、例えば予め記憶したアルゴリズムに基づいて、どちらのデータセット(位置データ又は速度データ)の方が正確であるかを判断することができる。この比較は、現在のデータと過去のデータとの比較を含むことができる。システムコントローラ43は、正確な方の車両11のデータに基づいて、車両11の動きを制御する命令を車両コントローラ20に送ることができる。いくつかの実施形態では、一次コントローラ48が、どちらのデータ(例えば、一次コントローラ48受け取ったデータ、又はバックアップコントローラ54が受け取ったデータ)の方が正確であると判断されたかに関わらず、結果としての命令を車両コントローラ20に送る。バックアップコントローラ54は、特定の状況(例えば、一次無線ネットワーク50を介した通信が失われた場合、又は一次コントローラ48がダウンした場合)にのみ、バックアップ無線ネットワーク56を介して車両コントローラ20に(例えば、車両11を停止する)命令を送ることができる。しかしながら、バックアップコントローラ54は、1又は2以上のショーイベント51を始動又は制御するようには構成されない。他の実施形態では、どちらのコントローラ(例えば、一次コントローラ48又はバックアップコントローラ54)が正確なデータを受け取ったと判断された場合でも、結果としての命令を車両コントローラ20に送信することができる。これらの実施形態では、一次コントローラ48及びバックアップコントローラ54が個別に、ただし互いに相補的に機能して(例えば、常に一方のコントローラのみが機能する)、車両11の動きを制御して車両11の動きをイベント51に同期させる。
【0033】
本開示によるいくつかの実施形態では、システムコントローラ43が、2つよりも多くのコントローラ(例えば、一次コントローラ48及びバックアップコントローラ54)を含むことができる。例えば、システムコントローラ43は、ロバスト性、正確性及びセキュリティを高めるために、1つの一次コントローラ(例えば、一次コントローラ48)と、2又は3以上(例えば、2、3、4、5、6又は7以上)のバックアップコントローラ(例えば、バックアップコントローラ54)とを含むことができる。従って、多方向の(例えば、3、4、5、6、7又は8以上の方向の)投票回路を用いて2つよりも多くのコントローラを接続することができる。同様に、この多方向投票回路も、2つよりも多くのコントローラから受け取った車両11のデータを比較するように構成することができる。
【0034】
一次コントローラ48は、オペレータによる一次無線ネットワーク50及び車両11との相互作用を可能にすることができる様々なコンポーネントを含む。一次コントローラ48は、分散制御システム(DCS)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、或いは完全に又は部分的に自動化されたいずれかのコンピュータベースの自動コントローラ又は自動コントローラの組を含むことができる。例えば、一次コントローラ48は、汎用又は特定用途向けプロセッサ59を使用するあらゆる装置とすることができる。一次コントローラ48は、一次無線ネットワーク50及び車両11を含むシステムの方法及び制御動作を実行するようにプロセッサ59によって実行できる命令を記憶するメモリ58を含むこともできる。プロセッサ59は、1又は2以上の処理装置を含むことができ、メモリ58は、1又は2以上の有形の非一時的機械可読媒体を含むことができる。一例として、このような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、或いはその他の光学ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気記憶装置、或いは機械実行可能命令又はデータ構造の形の所望のプログラムコードを搬送又は記憶するために使用でき、プロセッサ38又はいずれかの汎用又は専用コンピュータ、又はプロセッサを含む他の機械がアクセスできる他のいずれかの媒体を含むことができる。
【0035】
一次コントローラ48は、一次コントローラ48の様々な動作のタイミング情報を提供する一次クロック60も含む。例えば、車両コントローラ20から一次無線ネットワーク50を介して車両11の位置情報を一次コントローラ48に転送することができ、一次クロック60は、読取装置36がこのような位置情報を収集した時にタイムスタンプを付与することができる。従って、車両コントローラ20のプロセッサ38に加えて、又はプロセッサ38の代わりに、一次コントローラ48のプロセッサ59も、特定の時点及び/又は一定期間中における車両11の速度を計算することができる。一次クロック60は、車両クロック42に同期させることも、或いは車両クロック42とは無関係に実行することもできる。いくつかの実施形態では、一次クロック60をショークロック53として使用することもできる。
【0036】
一次コントローラ48と同様に、バックアップコントローラ54も、プロセッサ62と、メモリ64と、バックアップクロック66とを含む。バックアップコントローラ54のプロセッサ62、メモリ64及びバックアップクロック66は、一次コントローラ48のプロセッサ59、メモリ58及び一次クロック60と同様にそれぞれ動作する。バックアップクロック66は、一次クロック60に同期させることができる。
【0037】
図2に、車両11が移動する経路(例えば、線路80)の実施形態を示す。上述したように、車両11は、線路80の有無に関わらず、あらゆる好適なコース内を移動することができる。例えば、車両11は、空き地内又は歩道付きの経路内を移動することもできる。線路80は、一般に互いに平行な1対のレール82を含む。車両11の車輪32は、レール82に接触してレール82上を移動する。レール82は、横梁84によって支持される。横梁84上には、バスバー又は通電用レール86が配置されて、電源(例えば、発電機)からの電気エネルギーを(例えば、車両11に取り付けられた電極を介して)車両11に提供する。線路80は、複数の位置インジケータ88(例えば、88a、88b、88c、88d)も含む。
図2には4つの位置インジケータ88a、88b、88c、88dを示しているが、線路80は、あらゆる数の位置インジケータ88を含むことができると理解されたい。上述したように、位置インジケータ88は、一次コントローラ48が、一次無線ネットワーク50、車両コントローラ20及び車両位置追跡システム34の読取装置36を介してコース内の(例えば、線路80に沿った)車両11の位置を追跡できるようにする。
【0038】
各位置インジケータ88は、コース内の特定の位置を表す。位置インジケータ88の位置情報(例えば、座標)は、一次コントローラ48のメモリ58に記憶することができる。これに対応して、位置インジケータ88の識別子(例えば、シリアル番号、連番)もメモリ58に記憶することができる。一次コントローラ48のプロセッサ59は、いずれか2つの位置インジケータ88間の距離を計算することができる。動作時には、動いている車両11が位置インジケータ88のうちの1つを(例えば、そこからそれほど遠くないところを)通過すると、車両の読取装置36が、この位置インジケータ88を感知する。一次コントローラ48は、車両コントローラ20及び一次無線ネットワーク50を介して車両11の位置を特定することができる。動いている車両11が異なる時点に複数の位置インジケータ88を通過すると、車両コントローラ20及び/又は一次コントローラ48は、この時刻にタイムスタンプを付与し、一次コントローラ48は、車両11の速度を計算して記憶することができる。バックアップコントローラ54も、同様に車両11の位置及び速度をモニタすることができる。
【0039】
図2に示すように、位置インジケータ88(例えば、88a、88b、88c、88d)は、線路80に沿って配置され、横梁84に取り付けられる。しかしながら、位置インジケータ88は、あらゆる好適な方法で線路80の付近及び線路80上に配置することができる。例えば、位置インジケータ88は、レール82、横梁84間の地面、又は線路80の外部に取り付けることもできる。隣接する位置インジケータ88間の間隔も、位置特定精度の要件に応じて柔軟なものとすることができる。例えば、隣接する位置インジケータ88の間の距離が長いと、車両20の位置及びその速度の特定精度が低くなることがある。位置インジケータ88は、限定するわけではないが、接着及び機械的なものを含むあらゆる好適な手段で線路88に取り付けることができる。通常、読取装置36は、経路(例えば、線路80)に面するようにして車両11に配置される。しかしながら、読取装置36は、読取装置36が位置インジケータ88を感知して読み取ることができる他のあらゆる構成で配置することもできると理解されたい。
【0040】
本開示によれば、位置情報を提供するあらゆる好適な特徴の対又は組(例えば、中央モニタリングカメラと各車両上の識別要素)を使用することができる。例えば、本実施形態は、いずれかの識別インジケータをコース内で使用することができ、このインジケータを読み取ることができる車両11上の読取装置を車両11の位置追跡に使用することができる。1つの実施形態では、位置インジケータ88が、受動的又は能動的無線周波数エレクトロニクスを含み、読取装置36が、位置インジケータ88を感知できる同調アンテナを含む。位置インジケータ88と読取装置36との間の無線送信の作動周波数は、干渉を避けるように一次無線ネットワーク50又はバックアップ無線ネットワーク56の動作周波数と異なる。別の実施形態では、位置インジケータ88がバーコードを含み、読取装置36が、位置インジケータ88を物理的に読み取ることができるバーコードリーダを含む。さらに別の実施形態では、位置インジケータ88が、位置を符号化するスケール上の様々なマークであり、読取装置36は、スケール上の様々なマークを感知できるトランスデューサである。例えば、このようなスケールはリニアエンコーダとすることができ、トランスデューサは、符号化された位置を光学的に、磁気的に、容量的に及び/又は誘導的に感知することができる。
【0041】
図3に、コース102内を移動する5つの車両11a、11b、11c、11d、11e(例えば、
図1の車両11)を含む乗り物制御システム100の実施形態を示す。コース102は、線路104(例えば、
図2の線路80)を含み、車両11a、11b、11c、11d、11eは、一般に線路104内を半時計回り方向106に移動する。コース102は、3つのタイプのショーイベントを表す3つのショーイベント51a、51b、51c(例えば、
図1のショーイベント51)も含む。ショーイベント51aは、例えばショー用線路110上を移動するロボット108などの動くショー要素を含むショーイベントを表す。ショーイベント51bは、スクリーン112への動画の投影を含むショーイベントを表す。ショーイベント51cは、例えば歩く恐竜114などのアニマトロニクスを含むショーイベントを表す。ショーイベント51a、51b、51cは、それぞれのショークロック53a、53b、53cを含む。なお、これらのショーイベント51a、51b、51cは説明のための例であり、限定を意味するものではない。また、
図3に示すコース102は、乗り物制御システム100を説明するためのものであり、その要素についての限定を意味するものではない。例えば、コース102内には、5つの車両11a、11b、11c、11d、11eよりも少ない又は多くの車両が存在することもできる。コース102内には、3つのショーイベント51a、51b、51cよりも少ない又は多くのショーイベントが存在することもできる。線路80のレイアウトは、
図3に示すレイアウトと異なるものであってもよい。
【0042】
乗り物制御システム100は、システムコントローラ43を含む。システムコントローラ43は、一次トランシーバ46が接続された一次コントローラ48と、バックアップトランシーバ52が接続されたバックアップコントローラ54とを含む。図示の実施形態では、一次コントローラ48及びバックアップコントローラ54が、双方向投票回路57を介して互いに接続される。一次無線ネットワーク50は、一次コントローラ48と、5つの車両コントローラ20a、20b、20c、20d、20eとを含む。バックアップ無線ネットワーク56は、バックアップコントローラ54と、5つの車両コントローラ20a、20b、20c、20d、20eとを含む。
【0043】
一次コントローラ48は、ショーイベント51a、51b、51cの動作を制御する。また、一次コントローラ48は、線路スイッチ116の動作も制御する。線路スイッチ116は、主要経路120(例えば、線路104)と別経路122との間を接続するブリッジ線路118を切り換えるように構成される。別経路122は、メンテナンスステーション124を含むことができる。従って、線路スイッチ116を操作することにより、車両(例えば、車両11a、11b、11c、11d又は11e)に、通常動作において主要経路120上を移動するように、或いはメンテナンス又はその他の目的で(例えば、乗車の多様性をもたらすために)別経路122上を移動するように命令することができる。線路スイッチ116は、有線、無線、又はこれらの組み合わせなどのいずれかの好適な手段で一次コントローラ48に接続することができる。例えば、線路スイッチ116は、一次無線ネットワーク50も線路スイッチ116を含むように、一次トランシーバ46に無線で接続された線路スイッチトランシーバ126を含むことができる。
【0044】
動作中、一次コントローラ48は、各車両11a、11b、11c、11d、11eの動きをそれぞれモニタして制御する。すなわち、一次コントローラ48は、線路104に沿って異なる動作プロファイルを有するように各車両11a、11b、11c、11d、11eを制御することができる。動作プロファイルとしては、以下に限定されるわけではないが、線路104沿いの特定の位置において特定の速度で移動すること、特定の上演速度のショーイベントと同期すること、ブロッキングゾーンが他の車両と重なっていることによって停止するかどうか、別経路122に沿って移動するかどうか、又はこれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。5つの車両11a、11b、11c、11d、11eに関する以下の非包括的な例は、乗り物制御システム100の動作を説明するのに役立つことができる。
【0045】
車両11aは、ショーイベント51aを過ぎた後に線路104に沿って移動するが、ショーイベント51bには近付いていない。矢印128は、車両11aの向きに基づいて車両11aの1人又は2人以上の乗客が向いている方向を示す。この例では、矢印128が、車両11aの移動方向である前方を指している。一次コントローラ48は、一次無線ネットワーク50を介して、位置、速度、動的ブロッキングゾーン、モータ出力、荷重状態などの車両11aの状態をモニタする。車両11aの前方の前方領域130及び車両11aの後方の後方領域132は、車両11aの動的ブロッキングゾーンを示す。同様に、車両11aの前方を移動中の車両11cも、前方動的ブロッキングゾーン134及び後方動的ブロッキングゾーン136を有する。なお、状況によっては、特定のブロッキングゾーン(例えば、ブロッキングゾーン136)が車両の境界に対応することもできる。例えば、特定の車両又は特定の状況では、後方ブロッキングゾーンを車両の物理的後部境界に位置合わせすることができる。
【0046】
図示のように、車両11aの前方動的ブロッキングゾーン130が車両11cの後方動的ブロッキングゾーン136に重なり始めた場合には、車両11aが車両11cに干渉しようとしているか、或いは車両11cに干渉する可能性がある。一次コントローラ48は、このような動的ブロッキングゾーン130と136の重なりを検出すると、車両11cがショーイベント51bを見ている最中に、車両11aに減速又は停止するように命令を送ることができる。同時に、車両11bの前方及び後方動的ブロッキングゾーン140、142、車両11dの前方及び後方動的ブロッキングゾーン144、146、並びに車両11eの前方及び後方動的ブロッキングゾーン148、150は、他のいずれの車両のいずれの動的ブロッキングゾーンにも重なっていないので、一次コントローラ48は、車両11b、11d及び11eを必ずしも停止させずに、線路104に沿ったそれぞれの動きを維持するようにこれらの車両に命令を送ることができる。2つの隣接する車両の動的ブロッキングゾーンが重なり始めた他の状況では、線路104沿いの他の車両の動きを維持しながら2つの車両間の干渉を避けるために、一次コントローラ48が、前方の車両に加速するように命令を送り、或いは両方の車両に停止するように命令を送ることができる。
【0047】
図示の車両11cは、ショーイベント51bを見ている最中である。スクリーン112は線路104の右側に配置されているので、一次コントローラ48は、車両11cに、乗客プラットフォーム14cを回転させてスクリーン112を向くように制御する命令を送ることができる。上述したように、一次コントローラ48は、車両クロック42及びショークロック53を用いて車両11cの動きをショーイベント51bに同期させることができる。例えば、ショーイベント51bは、多くの星が存在する銀河を飛行中の宇宙船から外を見ている感覚をシミュレートすることができる。ショーイベント51bは、飛行中の宇宙船及び星を示す短い動画を投影することができる。車両コントローラ20cは、宇宙船に座って星の間を飛行している感覚を乗客に与えるために動画のシーンに従って動くように乗客プラットフォーム14cを制御することができる。例えば、これらの動きは、宇宙船の旋回をシミュレートしたロール及びヨー、宇宙船の加速をシミュレートした傾き及びサージ、並びに宇宙船が行う回転動作をシミュレートした回転などを含むことができる。
【0048】
一次コントローラ48は、上述したような車両11cの動きを動画の画像に同期させることができる。同様に、一次コントローラ48は、ショーイベント51bを過ぎる際に乗り物車両を回転させる(例えば、乗客をショーイベント51bの方に向ける)ことにより、乗客の視聴時間を線路104に沿った動きに対して変化させるように動作することもできる。しかしながら、各車両11a、11b、11c、11d、11eは、荷重状態(例えば、乗客の重量又は人数)などの因子に起因して、ショーイベント51bに近付いた時にそれぞれの速度が異なる場合もある。一次コントローラ48は、各車両11a、11b、11c、11d、11eの動きをショーイベント51bに異なる形で同期させることができる。例えば、一次コントローラ48は、動画の上演速度又は始動を、各車両11a、11b、11c、11d、11eの動き(例えば、線路104に沿った移動及び乗客プラットフォーム14cの内部的動き)に一致するように調整することができる。或いは、一次コントローラ48は、各車両11a、11b、11c、11d、11eの動きを、対応する相互作用時間中の動画の上演速度に一致するように調整することもできる。
【0049】
図示のように、車両11bは、ショーイベント51aを見ている最中である。ショーイベント51aは、ショー用線路110上における一連のロボット108の動きを含むことができる。一次コントローラ48は、車両11bの動きとロボット108の動きの一方又は両方を同期するように制御することができる。例えば、一次コントローラ48は、車両11bの移動速度及び/又は車両11bの内部的動きの速度を、一連のロボット108の動きの動作速度に一致するように調整(例えば、基部12aに対する乗客プラットフォーム14aの方向152を調整)することができる。上記の説明と同様に、一次コントローラ48は、ショーイベント51aを異なる車両11a、11b、11c、11d、11eに異なる形で同期させることができ、例えば各車両11a、11b、11c、11d、11eの異なる移動速度に一致するように動作速度を異なる値に調整することができる。特定の例として、ショー用線路110に沿ったロボット108の速度を、線路104に沿った車両11bの速度に同期させることもできる。
【0050】
図示のように、車両11dは、ショーイベント51cを見ている最中である。ショーイベント51cは、例えば歩く恐竜114などのアニマトロニクスを含むショーイベントを含むことができる。上述した他のショーイベントと同様に、一次コントローラ48は、車両11dの動き及び恐竜114の動きの一方又は両方を、他のあらゆる特殊効果(例えば、音、視覚、水、空気)を含めて同期するように制御することができる。この同期は、各車両11a、11b、11c、11d、11eに関して調整することもできる。
【0051】
図示のように、車両11eは、線路スイッチ116に近付いている。一次コントローラ48は、車両11eの状態をモニタして、車両11eが主要経路120を取るか、それとも別経路122を取るかを決定することができる。この決定は、少なくとも車両11eのメンテナンス状態、車両11a、11b、11c、11d、11e間の間隔などの因子に依存することができる。一次コントローラ48は、荷重状態の傾向又はモータ出力に基づいて、車両11eのメンテナンス状態を判断することができる。上述したように、車両コントローラ11eは、荷重状態及びモータ出力などの車両11eの状態に関するデータを一定期間にわたって記録することができる。このようなデータは、一次無線ネットワーク50を介して一次コントローラ48に転送することができる。一次コントローラ48は、収集したデータを荷重状態又はモータ出力の所定の閾値と比較して、車両11eのメンテナンスを予定すべきかどうかを判断することができる。例えば、一次コントローラ48は、例えば1回の運転当たりの積み込み重量に期間中の運転回数を乗算することによって車両11eの総荷重状態を計算した後に、この総荷重状態を閾値と比較することができる。総荷重状態が閾値よりも大きい場合には、車両11eをメンテナンスすべきである。そうでなければ、車両11eをメンテナンスする必要はない。しかしながら、一次コントローラ48は、あらゆる好適な方法を用いて車両11eのメンテナンス状態を判断することができると考えるべきである。一定期間中における荷重状態又はモータ出力などの稼働歴は、車両11a、11b、11c、11d、11e間で異なり得るので、一次コントローラ48は、各車両11a、11b、11c、11d、11eのメンテナンス状態の個別の分析及び判断を行うことができる。
【0052】
一次コントローラ48は、各車両11a、11b、11c、11d、11eの予測的メンテナンス最適化を行うことができる。上述したように、一次コントローラ48は、一定期間中の各車両11a、11b、11c、11d、11eのメンテナンス状態を記録して分析することができる。一次コントローラ48は、このような傾向に基づいて、次のメンテナンスがいつになるかを予測することができる。例えば、上記の例では、一次コントローラ48が、閾値と車両11eの総荷重状態との差分を計算し、この差分を1回の運転当たりの平均積み込み重量で除算して、次のメンテナンスまでの運転回数を推定することができる。さらに、一次コントローラ48は、次のメンテナンスの期限に関するリマインダメッセージを提供することもできる。
【0053】
一次コントローラ48は、車両11eのメンテナンス状態を判断した後に、主要経路120又は別経路122のいずれかに車両11eを導くように制御線路スイッチ116を制御することができる。例えば、車両11eをメンテナンスすべきである場合、一次コントローラ48は、ブリッジ線路118を別経路122に接続するように線路スイッチ116を制御することにより、車両11eがメンテナンスステーション124に入るようにすることができる。一次コントローラ48は、車両11eが別経路122に入った後に、ブリッジ線路118を再び主要経路120に接続されるように切り換えるよう線路スイッチ116を制御することができる。このような処理中、一次コントローラ48は、他の車両に対し、車両11eに影響されることなくそれぞれの動作状態を維持するように命令することができる。
【0054】
図4に、本開示による、コース内の複数の車両11をモニタして制御する方法160を示す。方法160は、複数の車両11の各々又は中央モニタによってコース内の位置インジケータ88から読み取りを行って(ブロック162)、それぞれの車両11の位置及び速度を特定する(ブロック164)ことを含む。モータ出力、荷重状態などの、複数の車両11の各々の状態を示す他のデータを求めることもできる。
【0055】
次に、一次無線ネットワーク50及びバックアップ無線ネットワーク56を介して、位置及び速度を含む複数の車両11の各々の状態を示すデータを一次コントローラ48及びバックアップコントローラ54にそれぞれ転送することができる(ブロック166)。一次コントローラ48は、双方向投票回路57を介してバックアップコントローラ54に接続される。双方向投票回路57は、一次コントローラ48及びバックアップコントローラ54がそれぞれ受け取った複数の車両11の各々の2つのデータセット(例えば、位置データ又は速度データ)を比較するように構成される。この結果、双方向投票回路は、正しい又は正確な方のデータセットを決定することができる(ブロック168)。双方向投票回路は、過去のデータ又は予測計算に基づいて、或いは単に利用可能性に基づいてデータの完全性及び信頼性を分析するアルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサ又は回路を含むことができる。例えば、双方向投票回路は、利用可能であって破損していない(例えば、所定の値限界内にある)ことに基づいて、使用するデータを選択するように動作することができる。
【0056】
一次コントローラ48は、決定されたデータに基づいて、複数の車両11の各々の動きを個別に制御する命令を複数の車両11の各々に送信する(ブロック170)。この動きは、コース内の運転及び停止などの複数の車両11の各々の外部的動きを含む。この動きは、複数の車両11の各々のそれぞれの基部12に対するそれぞれの乗客プラットフォーム14のロール、傾き及びヨーなどの複数の車両11の各々の内部的動きも含む。例えば一次コントローラ48は、複数の車両11のうちの第1の車両の動的ブロッキングゾーンが、第1の車両の前方を移動中の第2の車両の動的ブロッキングゾーンに重なり始めたと判断した場合、第1の車両に減速又は停止するように命令することができる。同時に、一次コントローラ48は、複数の車両11の他の車両にそれぞれの動作ファイルを維持するように命令することができる。
【0057】
一次コントローラ48は、コース内の1又は2以上のショーイベント51の動作も制御する。本開示によれば、一次コントローラ48は、複数の車両11の各々の動きを1又は2以上のショーイベント51に個別に同期させることができる(ブロック170)。この同期は、少なくとも移動速度及び荷重状態などの複数の車両11の各々の状態に依存することができる。
【0058】
本実施形態は、伝統的なシステムに比べ、複雑な配線を低減し、センサの数を制限し、統合を容易にし、メンテナンスコストを削減するように動作することができる。さらに、本実施形態は、単一のコース内の個々の乗り物車両の動きの個別制御も容易にする。また、本実施形態は、個々の乗り物車両とショーイベントとの同期も容易にする。例えば、乗り物車両は、その負荷が小さい時には移動速度が速くなる可能性があり、本実施形態は、この特定の車両の速度を調整し、又は別様にショーイベントを調整して、他の乗り物車両に影響を与えることなく差分に対応することができる。本実施形態は、車両間隔の動的調整、車両荷重の特定及びメンテナンス計画も容易にする。
【0059】
本明細書ではいくつかの特徴のみを図示し説明したが、当業者には多くの修正及び変更が浮かぶであろう。従って、添付の特許請求の範囲では、全てのこのような修正及び変更が本開示の実際の趣旨に含まれるものとして対象になると理解されたい。