(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
扁平な直方体状のバッテリ本体と、前記バッテリ本体の一端部に設けられた端子とをそれぞれ有し、前記バッテリ本体は、該バッテリ本体の表面のなかで面積が最も広い第1面と、前記第1面よりも面積が狭い第2面とを有し、互いに隣り合うバッテリ本体の第1面同士の間に隙間を空けて前記第1面同士を向かい合わせにして配置された複数のバッテリと、
前記複数のバッテリの端子同士を電気的に接続した電気接続部と、
前記複数のバッテリのバッテリ本体を収容したバッテリケースと、
前記バッテリケースに組み合わされ、前記電気接続部を収容するとともに、前記互いに隣り合うバッテリ本体の前記第1面同士の間に形成された前記隙間を一方から覆う端子部ケースと、
前記バッテリケースにおいて前記端子部ケースとは反対側の位置にある第1通風口を介して前記バッテリケースの内部に連通し、前記複数のバッテリの並ぶ方向に沿う方向に延びる第1通風ダクトと、
前記バッテリケースにおいて前記第1通風口と交差する向きに開口するとともに、前記複数のバッテリの並ぶ方向に沿う第2通風口を介して前記バッテリケースの内部に連通し、前記複数のバッテリの並ぶ方向と直交する方向に延びる第2通風ダクトと、
を備えた電池装置。
前記第1通風ダクトは、前記バッテリケースの内部に冷却流体を流入させる吸気ダクトであり、前記第2通風ダクトは、前記バッテリケースの内部を通った前記冷却流体を流出させる排気ダクトである、
請求項2に記載の電池装置。
前記第1排気流路は、前記端子部ケースに対して前記バッテリケースとは反対側に位置して前記端子部ケースに沿って風が流れるとともに前記第2排気流路に合流する延長部を有した、
請求項5に記載の電池装置。
前記バッテリケースは、第1領域と、第2領域とを有し、前記第1領域および前記第2領域は、それぞれ前記第1通風ダクトと該バッテリケースの内部とを連通させる少なくとも1つの通風口を有し、前記第2領域は、前記第1領域に比べて、前記第2通風ダクトに近く、
前記第2領域における前記通風口の開口率は、前記第1領域における前記通風口の開口率よりも小さい、
請求項1に記載の電池装置。
前記複数のバッテリと、前記電気接続部と、前記バッテリケースと、前記端子部ケースとをそれぞれ有し、前記バッテリケースと前記端子部ケースとが並ぶ方向において多段に配置された複数の電池モジュールと、
ファンと、
をさらに備え、
前記第1通風ダクトは、前記複数の電池モジュールに対応して設けられた複数の通風流路を有し、前記複数の通風流路の各々は、前記バッテリケースに対して前記端子部ケースとは反対側の位置で前記バッテリ本体の第1面と略平行に延びるとともに前記端子部ケースとは反対側から前記バッテリケースの内部に連通し、
前記第2通風ダクトは、前記複数の電池モジュールの前記バッテリケースの内部に連通し、
前記ファンは、前記第1通風ダクトおよび前記第2通風ダクトの少なくとも一方に設けられた、
請求項1に記載の電池装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の電池装置を、図面を参照して説明する。なお以下の説明では、略同じまたは類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0008】
(第1の実施形態)
まず、
図1から
図3を参照して、第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態の電池装置1を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の電池装置1は、複数のバッテリ(電池セル)21と、これら複数のバッテリ21を冷却する冷却構造とを備えた装置である。電池装置1は、例えば、「蓄電池装置」、「組電池装置」、「バッテリ冷却装置」などと称されてもよい。電池装置1は、種々の装置や、機械、設備などに設置され、それら種々の装置、機械、設備などの電源として使用される。例えば、電池装置1は、自動車に搭載される電源のような移動型の電源として使用されてもよく、またはPOS(Point Of Sales)システムの電源のような固定型の電源として使用されてもよい。
【0009】
図1に示すように、本実施形態の電池装置1は、電池モジュール(バッテリパック)11と、吸気ダクト12と、排気ダクト13とを備える。
【0010】
まず、電池モジュール11について説明する。
本実施形態の電池モジュール11は、複数のバッテリ(電池セル)21と、複数のバスバー22(
図3参照)と、基板23(
図3参照)と、バッテリケース24と、端子部ケース25とを有する。
【0011】
複数のバッテリ21の各々は、例えばリチウムイオン二次電池である。これに代えて、バッテリ21は、ニッケル水素電池や、ニッケルカドミウム電池、鉛蓄電池など、他の二次電池であってもよい。
図2は、本実施形態のバッテリ21を示す斜視図である。
図2に示すように、各バッテリ21は、バッテリ本体31と、一対の端子32A,32Bとを有する。
【0012】
バッテリ本体31は、該バッテリ本体31の外形を形成するケースCを有する。ケースCの内部には、バッテリ21の構成要素である正極、負極、絶縁フィルム、および電解質などが収容されている。ケースCは、扁平な直方体状に形成されている。言い換えると、バッテリ本体31(バッテリ21)は、扁平な直方体状に形成されている。
【0013】
詳しく述べると、バッテリ本体31は、上面31a、下面31b、一対の第1側面31c、および一対の第2側面31dを有する。上面31aには、一対の端子32A,32Bが設けられている。下面31bは、上面31aとは反対側に位置している。一対の第1側面31cおよび一対の第2側面31dは、上面31aおよび下面31bとは略直交する方向に延びており、上面31aの縁と下面31bの縁とを繋いでいる。言い換えると、一対の第1側面31cおよび一対の第2側面31dは、ケースCの上端部(第1端部)と、ケースCの下端部(第2端部)とを繋ぐ側面である。一対の第1側面31cは、互いに略平行である。一対の第1側面31cの各々は、バッテリ本体31の表面のなかで面積が最も広い面である。一対の第1側面31cの各々は、「第1面(主面)」の一例である。一方で、一対の第2側面31dは、第1側面31cとは略直交する方向に延びており、一対の第1側面31cの縁同士を繋いでいる。一対の第2側面31dは、互いに略平行である。第2側面31dは、第1側面31cよりも面積が狭い。一対の第2側面31dの各々は、「第2面」の一例である。また、上面31aは、「第3面」と称されてもよい。
【0014】
一対の端子32A,32Bは、バッテリ本体31の一端部(上端部)に設けられている。一対の端子32A,32Bは、正極端子32Aと、負極端子32Bとを含む。正極端子32Aは、ケースC内の正極に電気的に接続されている。負極端子32Bは、ケースC内の負極に電気的に接続されている。
【0015】
図1に示すように、複数のバッテリ21は、例えば一対の端子32A,32Bを同じ方向に向けるとともに、互いに略平行に並べられている。なお、複数のバッテリ21は、端子32A,32Bが同じ方向に向いている必要はない。複数のバッテリ21は、端子32A,32Bを互いに異なる方向(例えば反対方向)に向けて並べられてもよい。
複数のバッテリ21は、第1列L1に配置された複数(例えば3つ以上)のバッテリ21と、第2列L2に配置された複数(例えば3つ以上)のバッテリ21とを有する。第1列L1に含まれる複数のバッテリ21は、第1側面31c同士の間に隙間gを空けて第1側面31c同士を互いに向かい合わせにして配置されている。同様に、第2列L2に含まれる複数のバッテリ21は、第1側面31c同士の間に隙間gを空けて第1側面31c同士を互いに向かい合わせにして配置されている。第1列L1に含まれる複数のバッテリ21の間に形成された隙間gは、第2列L2に含まれる複数のバッテリ21の間に形成された隙間gと繋がっている。一方で、第1列L1に含まれる複数のバッテリ21と、第2列L2に含まれる複数のバッテリ21とは、互いの間に隙間を空ける、もしくは絶縁物を間に配し、第2側面31d同士を互いに向かい合わせして配置されている。
【0016】
ここで、バッテリケース24の内面などには、複数のバッテリ21の間に挿入される突起部などが設けられている。複数のバッテリ21は、バッテリケース24に設けられた突起部などによって、互いの間に隙間gを空けた状態で保持されている。なお以下では、説明の便宜上、複数のバッテリ21の間に形成された隙間gを「通風隙間g」と称する。通風隙間gは、バッテリ本体31の第1側面31aに沿って延びた流体経路(流体流動部)である。
【0017】
またここで、+X方向、−X方向、Y方向、およびZ方向について定義する。+X方向は、第1列L1から第2列L2に向かう方向である。−X方向は、+X方向の反対方向である。Y方向は、複数のバッテリ21が第1側面31c同士を向かい合わせにして並べられた方向である。Z方向は、バッテリ本体31の下面31bから上面31aに向かう方向である。+X方向(−X方向)、Y方向、およびZ方向は、互いに交差する(例えば略直交する)。Z方向は、「第1方向」の一例である。+X方向は、「第2方向」の一例である。各バッテリ21の上面31aおよび下面31bは、+X方向およびY方向に沿う面である。各バッテリ21の第1側面31cは、+X方向およびZ方向に沿う面である。各バッテリ21の第2側面31dは、Y方向およびZ方向に沿う面である。
【0018】
図3は、本実施形態の電池装置1の内部構成を示す断面図である。
図3に示すように、複数のバスバー22は、複数のバッテリ21の端子32A,32Bに接続されている。複数のバスバー22は、「電気接続部」の一例である。複数のバスバー22は、複数のバッテリ21の端子32A,32B同士を電気的に接続している。例えば、バスバー22は、あるバッテリ21の正極端子32Aと、別のバッテリ21の負極端子32Bとを電気的に接続している。これにより、複数のバッテリ21は、電気的に直列または並列に接続されている。
【0019】
基板(回路基板)23は、例えば、バッテリ21の電圧や温度を監視する監視基板である。なお基板23は、バッテリ21の充放電を制御する制御基板でもよく、その他の機能を有する基板でもよい。
【0020】
次に、バッテリケース24について説明する。
図1および
図3に示すように、バッテリケース(バッテリボックス、第1ケース)24は、一方が開放された箱状に形成され、第1列L1および第2列L2に含まれる複数のバッテリ21のバッテリ本体31を一体に収容している。バッテリケース24は、下壁24a、第1側壁24b、第2側壁24c、第3側壁24d,および第4側壁24eを有する。下壁24aは、+X方向およびY方向に沿う壁である。下壁24aは、複数のバッテリ21の下面31bに面する。4つの側壁24b,24c,24d,24eは、下壁24aの縁からZ方向に延びている。第1側壁24bおよび第2側壁24cは、+X方向に互いに離間するとともに、Y方向に沿って互いに略平行に延びている。第1側壁24bは、第1列L1に含まれる複数のバッテリ21の第2側面31dに面している。第2側壁24cは、複数のバッテリ21に対して第1側壁24bとは反対側に位置する。第2側壁24cは、第2列L2に含まれる複数のバッテリ21の第2側面31dに面している。第3側壁24dおよび第4側壁24eは、Y方向に互いに離間するとともに、+X方向に沿って互いに略平行に延びている。第3側壁24dおよび第4側壁24eは、第1列L1よび第2列L2に含まれる複数のバッテリ21の第1側面31cに面している。
【0021】
図3に示すように、バッテリケース24の下壁24aは、通風隙間gに面する吸気口41を有する。吸気口41は、「通風口」および「第1通風口」の一例である。吸気口41は、Z方向に開口している。吸気口41は、例えば+X方向に沿う長方形状のスロットである。ただし、吸気口41の形状は、上記例に限らない。吸気口41は、1つの通風隙間gに対して、複数設けられてもよいし、または1つだけ設けられてもよい。一方で、バッテリケース24の下壁24aは、バッテリ21に面する位置には吸気口41を有しない。すなわち、バッテリ21の下面31bは、バッテリケース24の下壁24aによって覆われている。
【0022】
また、バッテリケース24の第2側壁24cは、通風隙間gに面する排気口42を有する。排気口42は、「第2通風口」の一例である。排気口42は、+X方向に開口している。排気口42は、例えばZ方向に沿う長方形状のスロットである。ただし、排気口42の形状は、上記例に限らない。排気口42は、1つの通風隙間gに対して、複数設けられてもよいし、または1つだけ設けられてもよい。一方で、バッテリケース24の第2側壁24cは、バッテリ21に面する位置には排気口42を有しない。すなわち、バッテリ21の第2側面31dは、バッテリケース24の第2側壁24cによって覆われている。なお、バッテリケース24の他の側壁24b,24d,24eは、吸気口41および排気口42のいずれも有しない。
【0023】
次に、端子部ケース25について説明する。
図1に示すように、端子部ケース25(端子ボックス、第2ケース)は、バッテリケース24に組み合わされ、バッテリケース24の内部空間(収容部)を閉じている。詳しく述べると、端子部ケース25は、Z方向に薄い扁平な箱状に形成されている。端子部ケース25は、+X方向およびY方向の外形がバッテリケース24と略同じである。端子部ケース25は、バッテリケース24の下壁24aとは反対側からバッテリケース24に取り付けられ、バッテリケース24の内部空間を覆っている。これにより、バッテリケース24と端子部ケース25とは、Z方向で並んでいる。端子部ケース25は、結合具または接着剤などによってバッテリケース24に連結されている。
【0024】
さらに詳しく述べると、端子部ケース25は、上壁25a、第1側壁25b、第2側壁25c、第3側壁25d、第4側壁25e、および仕切壁25f(
図3参照)を有する。上壁25aは、バッテリケース24とは反対側に向いている。4つの側壁25b,25c,25d,25eは、上壁25aの縁からZ方向に沿って延びている。第1側壁25bおよび第2側壁25cは、+X方向に互いに離間するとともに、Y方向に沿って互いに略平行に延びている。第3側壁25dおよび第4側壁25eは、Y方向に互いに離間するとともに、+X方向に沿って互いに略平行に延びている。
【0025】
図3に示すように、端子部ケース25の仕切壁(仕切板)25fは、バッテリケース24と端子部ケース25との境界部に位置する。仕切壁25fは、+X方向およびY方向に沿う平壁である。仕切壁25fは、複数のバッテリ21の端子32A,32Bが通される複数の挿通穴45を有する。複数のバッテリ21の端子32A,32Bは、仕切壁25fの挿通穴45に通されて、端子部ケース25の内部に露出している。端子部ケース25の内部には、複数のバスバー22および基板23が収容されている。複数のバッテリ21の端子32A,32Bは、端子部ケース25に収容された複数のバスバー22によって電気的に接続されている。
【0026】
一方で、仕切壁25fは、通風隙間gに面する位置には穴を有しない。仕切壁25fは、複数のバッテリ21の間に形成された複数の通風隙間gに面し、これら複数の通風隙間gを一体に覆っている。つまり、仕切壁25fは、複数の通風隙間gを一方から覆っている。言い換えると、複数の通風隙間gは、Z方向が仕切壁25fによって塞がれている。
【0027】
次に、吸気ダクト12について説明する。
図3に示すように、吸気ダクト12は、電池モジュール11の外部から電池モジュール11に向けて冷却流体(冷媒、例えば空気)を案内する吸気流路を形成している。吸気ダクト12は、「第1通風ダクト」の一例である。詳しく述べると、吸気ダクト12は、第1部分12aと、第2部分12bとを有する。
【0028】
吸気ダクト12の第1部分12aは、Z方向でバッテリケース24と重ならない位置に設けられている。吸気ダクト12の第1部分12aは、バッテリケース24の外部から+X方向に沿ってバッテリケース24に近付く方向に延びている。なお、+X方向は、バッテリ本体31の第1側面31cと略平行な方向である。吸気ダクト12の第1部分12aには、図示しない吸気ファンなどによって外部から冷却流体が供給される。吸気ダクト12の第1部分12aに供給された冷却流体は、吸気ダクト12の第1部分12aの内部を+X方向に沿って流れる。
【0029】
吸気ダクト12の第2部分12bは、吸気ダクト12内の冷却流体の流れ方向において第1部分12aの下流側に位置する。吸気ダクト12の第2部分12bは、第1部分12aからバッテリケース24の下壁24aに沿って延びている。すなわち、吸気ダクト12の第2部分12bは、バッテリケース24に対して端子部ケース25とは反対側の位置で+X方向に延びている。吸気ダクト12の第2部分12bは、+X方向においてバッテリケース24の略全長に亘って延びている。吸気ダクト12の第2部分12bには、第1部分12aから冷却流体が流入する。吸気ダクト12の第2部分12bに流入した冷却流体は、第2部分12bの内部を+X方向に沿って流れる。
【0030】
図3に示すように、吸気ダクト12の第2部分12bは、Z方向でバッテリケース24に重なる。吸気ダクト12の第2部分12bは、バッテリケース24の吸気口41を通じて、端子部ケース25とは反対側からバッテリケース24の内部に連通している。例えば、吸気ダクト12の第2部分12bは、Z方向でバッテリケース24の内部に連通している。吸気ダクト12の第2部分12bは、該吸気ダクト12の第2部分12bの内部を流れる冷却流体を、バッテリケース24の吸気口41からバッテリケース24の内部に流入させる。
【0031】
図3に示すように、吸気ダクト12のY方向の幅は、バッテリケース24のY方向の幅と略同じである。吸気ダクト12は、Z方向に沿って見た平面視で、複数のバッテリ21の間に形成された全ての通風隙間gと重なる。
【0032】
次に、排気ダクト13について説明する。
図3に示すように、排気ダクト13は、電池モジュール11の内部を通った冷却流体を流出させる排気流路を形成している。排気ダクト13は、「第2通風ダクト」の一例である。詳しく述べると、排気ダクト13は、第1部分13aと、第2部分13bとを有する。
【0033】
排気ダクト13の第1部分13aは、−X方向でバッテリケース24の第2側壁24cに重なる。排気ダクト13の第1部分13aは、バッテリケース24の第2側壁24cに沿ってZ方向に延びている。なお、Z方向は、バッテリ本体31の第2側面31dと略平行な方向である。例えば、排気ダクト13の第1部分13aは、Z方向においてバッテリケース24の略全長に亘って延びている。
【0034】
排気ダクト13の第1部分13aは、バッテリケース24の排気口42を通じてバッテリケース24の内部に連通している。すなわち、排気ダクト13の第1部分13aは、バッテリケース24と端子部ケース25とが並ぶ方向とは異なる方向からバッテリケース24の内部に連通している。本実施形態では、バッテリケース24と排気ダクト13とは、+X方向で連通している。バッテリケース24の内部を通った冷却流体は、バッテリケース24の排気口42から排気ダクト13の第1部分13aに流出する。
【0035】
排気ダクト13の第2部分13bは、排気ダクト13内の冷却流体の流れ方向において第1部分13aの下流側に位置する。排気ダクト13の第2部分13bは、第1部分13aからZ方向に延びている。例えば、排気ダクト13の第2部分13bは、端子部ケース25の第2側壁25cに沿って延びている。排気ダクト13の第2部分13bには、第1部分13aから冷却流体が流入する。排気ダクト13の第2部分13bは、第1部分13aから流入した冷却流体を電池モジュール11の外部に向けて案内する。
【0036】
図3に示すように、排気ダクト13のY方向の幅は、バッテリケース24のY方向の幅と略同じである。排気ダクト13は、+X方向に沿って見た平面視で、複数のバッテリ21の間に形成される全ての通風隙間gと重なる。
また、排気ダクト13には、図示しない複数の通電ケーブルが配置されている。複数の通電ケーブルは、複数のバスバー22を介して複数のバッテリ21に電気的に接続されている。本実施形態の排気ダクト13は、複数の通電ケーブルの接続用の空間としても利用される。
【0037】
次に、電池装置1の作用について説明する。
電池装置1の充電時や放電時には、吸気ダクト12に電池モジュール11の外部から冷却流体が供給される。吸気ダクト12に供給された冷却流体は、+X方向に沿って吸気ダクト12の内部を流れる。そして、吸気ダクト12の内部を流れた冷却流体は、吸気ダクト12の第2部分12bにおいて、バッテリケース24の内部に向かうように流れ方向を変える。そして、吸気ダクト12の第2部分12bの内部を流れる冷却流体は、バッテリケース24の吸気口41から複数のバッテリ21の間の通風隙間gに流入する。通風隙間gに流入した冷却流体は、通風隙間gを通る過程でバッテリ21の第1側面31cに直接に接することで、バッテリ21から熱を奪う。これにより、複数のバッテリ21の冷却が促進される。また、通風隙間gに流入した冷却流体は、通風隙間gを通る間に、排気ダクト13に向かうように流れ方向を変える。そして、通風隙間gを通過した冷却流体は、バッテリケース24の排気口42から排気ダクト13の第1部分13aに流入する。排気ダクト13の第1部分13aに流入した冷却流体は、排気ダクト13の第1部分13aにおいて、排気ダクト13の第2部分13bに向かうように流れ方向を変え、電池モジュール11の外部に向けて流れる。
【0038】
以上のような構成によれば、電池装置1の冷却性能の向上を図ることができる。すなわち本実施形態では、吸気ダクト12は、バッテリケース24に対して端子部ケース25とは反対側の位置でバッテリ本体31の第1側面31c(最も面積が大きな面)と略平行に延びるとともに、端子部ケース25とは反対側からバッテリケース24の内部に連通している。このような構成によれば、吸気ダクト12の内部を流れる冷却流体は、バッテリ本体31の第1側面31cに沿う比較的広い範囲(領域)のなかでバッテリケース24の内部に向かうように流れ方向を変化させればよい。このため、バッテリ本体31の第1側面31cに対して略直交する方向に沿って吸気ダクト12が設けられた場合に比べて、吸気ダクト12を流れる冷却流体が複数のバッテリ21の間に形成された通風隙間gにスムーズに流入することができる。これにより、吸気ダクト12からバッテリケース24の内部に向かう冷却流体の流量を増加させることができ、電池装置1の冷却性能の向上を図ることができる。
【0039】
また、吸気ダクト12がバッテリ本体31の第1側面31cと略平行に延びていると、第1側面31c同士を互いに向かい合わせにして配置された複数のバッテリ21に対して冷却流体を均等に供給しやすくなる。これにより、バッテリケース24内における温度ばらつきを抑制することができ、複数のバッテリ21を効率的に冷却することができる。この観点でも電池装置1の冷却性能の向上を図ることができる。
【0040】
また本実施形態では、吸気ダクト12は、バッテリ本体31の第1側面31cと略平行に延びている。一方で、排気ダクト13は、バッテリ本体31の第2側面31dと略平行に延びている。このような構成によれば、吸気ダクト12および排気ダクト13の両方を、Y方向においてバッテリケース24の幅と略同じまたはそれよりも小さな領域内に収めることができる。これにより、電池装置1の小型化を図ることができる。また本実施形態の構成によれば、複数の電池装置1(電池モジュール11)がY方向に並べて配置される場合でも、複数の電池装置1の間で吸気ダクト12や排気ダクト13が邪魔になりにくい。このため、複数の電池装置1(電池モジュール11)を密に配置することができる。
【0041】
本実施形態では、バッテリケース24と端子部ケース25とはZ方向で並ぶ。そして、吸気ダクト12は、バッテリケース24に対して端子部ケース25とは反対側の位置でバッテリ本体31の第1側面31cと略平行な方向であってZ方向とは交差する+X方向に延びている。このような構成によれば、吸気ダクト12がZ方向に延びている場合に比べて、電池装置1が厚くなることを抑制することができる。これにより、電池装置1のさらなる小型化を図ることができる。
【0042】
本実施形態では、バッテリケース24と排気ダクト13とは+X方向で連通している。このような構成によれば、吸気ダクト12を+X方向に流れることで+X方向の慣性力成分を有しながらバッテリケース24の内部に流入した冷却流体の一部が、バッテリケース24の内部から排気ダクト13に+X方向で流入することができる。このため、吸気ダクト12を流れる冷却流体がバッテリケース24の内部を通って排気ダクト13にスムーズに流入しやすくなる。これにより、吸気ダクト12からバッテリケース24の内部に向かう冷却流体の流量をさらに増加させることができ、電池装置1の冷却性能の向上をさらに図ることができる。
【0043】
本実施形態では、吸気ダクト12とバッテリケース24とは、Z方向に並ぶ。そして、排気ダクト13は、Z方向に延びている。このような構成によれば、吸気ダクト12からバッテリケース24の内部に向けてZ方向に流れることでZ方向の慣性力成分を有しながらバッテリケース24の内部に流入した冷却流体の一部が、排気ダクト13をZ方向に流れることができる。このため、冷却流体がバッテリケース24の内部から排気ダクト13にさらにスムーズに流入しやすくなる。これにより、吸気ダクト12からバッテリケース24の内部に向かう冷却流体の流量をさらに増加させることができ、電池装置1の冷却性能の向上をさらに図ることができる。
【0044】
(第2の実施形態)
次に、
図4を参照して、第2の実施形態について説明する。本実施形態は、排気ダクト13が複数の排気流路51,52を有する点で、第1の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態の構成と同様である。
【0045】
図4に示すように、排気ダクト13は、第1排気流路51と、第2排気流路52とを有する。第1排気流路51および第2排気流路52は、+X方向においてバッテリケース24の両側に分かれて配置され、それぞれバッテリケース24の内部に連通している。第1排気流路51は、「第1通風流路」の一例である。第2排気流路52は、「第2通風流路」の一例である。
【0046】
詳しく述べると、本実施形態のバッテリケース24は、第2側壁24cに加えて、第1側壁24bにも排気口42を有する。すなわち、第1側壁24bは、通風隙間gに面する排気口42を有する。第1側壁24bの排気口42は、−X方向に開口している。なお、第1側壁24bは、バッテリ21に面する位置には排気口42を有しない。
【0047】
第1排気流路51は、+X方向でバッテリケース24の第1側壁24bに重なる。第1排気流路51は、バッテリケース24の第1側壁24bに沿ってZ方向に延びている。第1排気流路51は、バッテリケース24の第1側壁24bの排気口42を通じて、+X方向でバッテリケース24の内部と連通している。すなわち、第1排気流路51は、バッテリケース24と端子部ケース25とが並ぶ方向とは異なる方向からバッテリケース24の内部に連通している。バッテリケース24の内部に流入した冷却流体の一部は、バッテリケース24の第1側壁24bの排気口42から第1排気流路51に流出する。
【0048】
一方で、第2排気流路52は、−X方向でバッテリケース24の第2側壁24cに重なる。第2排気流路52は、バッテリケース24の第2側壁24cに沿ってZ方向に延びている。第2排気流路52は、バッテリケース24の第2側壁24cの排気口42を通じて、−X方向でバッテリケース24の内部と連通している。すなわち、第2排気流路52は、バッテリケース24と端子部ケース25とが並ぶ方向とは異なる方向からバッテリケース24の内部に連通している。バッテリケース24の内部に流入した冷却流体は、バッテリケース24の第2側壁24cの排気口42から第2排気流路52に流出する。
【0049】
このような構成によれば、第1の実施形態と同様に、電池装置1の冷却性能の向上を図ることができる。また本実施形態では、排気ダクト13は、第1排気流路51と、第2排気流路52とを有する。そして、第1排気流路51および第2排気流路52は、+X方向においてバッテリケース24の両側に分かれて配置され、それぞれバッテリケース24の内部に連通している。このような構成によれば、排気ダクト13の通風断面積を増やすことができる。なお、本願で言う「通風断面積」とは、冷却流体の流れ方向とは略直交した方向に沿う断面積であり、冷却流体が流れる流路断面積を意味する。排気ダクト13の通風断面積が増加すると、排気ダクト13の通風抵抗を低減することができる。これにより、通風隙間gに流入する冷却流体の量を増やすことができ、電池装置1の冷却性能の向上をさらに図ることができる。
【0050】
(第3の実施形態)
次に、
図5を参照して、第3の実施形態について説明する。本実施形態は、第1排気流路51および第2排気流路52が端子部ケース25の上方を迂回するように設けられた点で、第2の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第2の実施形態の構成と同様である。
【0051】
図5に示すように、第1排気流路51および第2排気流路52の各々は、上述の第1部分13aおよび第2部分13bに加えて、第3部分13c(延長部)を有する。第3部分13cは、排気ダクト13内の冷却流体の流れ方向において、第2部分13bの下流側に位置する。
【0052】
第1排気流路51の第3部分13cは、第1排気流路51の第2部分13bの端部から端子部ケース25の上壁25aに沿って+X方向に延びている。一方で、第2排気流路52の第3部分13cは、第2排気流路52の第2部分13bの端部から端子部ケース25の上壁25aに沿って−X方向に延びている。第1排気流路51および第2排気流路52の各々の第3部分13cは、端子部ケース25に対してバッテリケース24とは反対側に位置する。第3部分13cには、第2部分13bを通った冷却流体が流入する。第3部分13cに流入した冷却流体は、端子部ケース25の上壁25aに沿って第3部分13cの内部を流れる。例えば、第1排気流路51および第2排気流路52の各々の第3部分13cは、端子部ケース25に面する一面が開放された筒状に形成されている。このため、第3部分13cに流れる冷却流体は、端子部ケース25の上壁25aに直接に接する。
【0053】
本実施形態では、第1排気流路51および第2排気流路52は、+X方向において、バッテリケース24の略中央部で互いに合流している。第1排気流路51と第2排気流路52との合流部には、Z方向に開口した排気ダクト13の出口62が設けられている。
【0054】
このような構成によれば、第2の実施形態と同様に、電池装置1の冷却性能の向上を図ることができる。また本実施形態では、排気ダクト13は、端子部ケース25に沿って風が流れる第3部分13c(延長部)を有する。このような構成によれば、排気ダクト13の第3部分13cを流れる冷却流体によって、端子部ケース25が直接に冷却される。これにより、端子部ケース25に収容された部品(バスバー22および基板23など)や、バッテリ21の端子32A,32B、およびバッテリ本体31の上部などの放熱をさらに促進することができる。これにより、電池装置1の冷却性能の向上をさらに図ることができる。
【0055】
(第4の実施形態)
次に、
図6を参照して、第4の実施形態について説明する。本実施形態は、第2排気流路52に比べて第1排気流路51が長く延びた点で、第3の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第3の実施形態の構成と同様である。
【0056】
図6に示すように、本実施形態では、第2排気流路52は、第3部分13cを有しない。一方で、第1排気流路51の第3部分13cは、+X方向において、端子部ケース25の略全長に亘って設けられている。第1排気流路51の第3部分13cは、第2排気流路52の第2部分13bに合流している。
【0057】
このような構成によれば、第3の実施形態と同様に、電池装置1の冷却性能の向上を図ることができる。また本実施形態では、第1排気流路51は、端子部ケース25に沿って風が流れるとともに第2排気流路52に合流する第3部分13c(延長部)を有する。このような構成によれば、第1排気流路51および第2排気流路52の出口がバッテリケース24の一端部に纏まる。このため、例えば、複数の電池装置1をZ方向に多段に重ねて配置しやすくなる(
図9ご参照)。
【0058】
(第5の実施形態)
次に、
図7を参照して、第5の実施形態について説明する。本実施形態は、冷却流体を流入させる開口部65aを端子部ケース25が有した点で、第4の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第4の実施形態の構成と同様である。
【0059】
図7に示すように、端子部ケース25は、第1開口部65aと、第2開口部65bとを有する。第1開口部65aは、端子部ケース25の第1側壁25bに設けられ、第1排気流路51の内部に開口している(連通している)。第1開口部65aは、第1排気流路51の内部を流れる冷却流体の一部を端子部ケース25の内部に流入させる。
一方で、第2開口部65bは、端子部ケース25の第2側壁25cに設けられ、第2排気流路52の内部に開口している(連通している)。第2開口部65bは、第1開口部65aから端子部ケース25の内部に流入して端子部ケース25の内部を通った冷却流体を第2排気流路52に流出させる。
【0060】
このような構成によれば、第4の実施形態と同様に、電池装置1の冷却性能の向上を図ることができる。また本実施形態では、端子部ケース25は、排気ダクト13内を流れる風の一部が端子部ケース25内に流入する開口部65aを有する。このような構成によれば、排気ダクト13を流れる冷却流体の一部が端子部ケース25の内部を通って流れるため、端子部ケース25に収容された部品(例えばバスバー22や基板23)、バッテリ21の端子32A,32B、およびバッテリ本体31の上部などの放熱をさらに促進することができる。これにより、電池装置1の冷却性能の向上をさらに図ることができる。
【0061】
(第6の実施形態)
次に、
図8を参照して、第6の実施形態について説明する。本実施形態は、複数のバッテリ21が3列に分かれて配置された点、およびバッテリケース24の下壁24aの領域によって吸気口41の開口率が異なる点で、第4の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第4の実施形態の構成と同様である。
【0062】
図8に示すように、複数のバッテリ21は、第1列L1と、第2列L2と、第3列L3とに分かれて配置されている。第3列L3は、第1列L1に対して、第2列L2とは反対側に位置する。
【0063】
第1列L1、第2列L2、第3列L3の各々は、複数(例えば3つ以上)のバッテリ21を含む。第1列L1、第2列L2、第3列L3の各々では、複数のバッテリ21は、Y方向において、第1側面31c同士の間に隙間gを空けて第1側面31c同士を互いに向かい合わせにして配置されている。また、第1列L1に含まれる複数のバッテリ21と、第2列L2に含まれる複数のバッテリ21と、第3列L3に含まれる複数のバッテリ21は、+X方向において、互いの間に隙間を空ける、もしくは絶縁物を間に配し、第2側面31d同士を互いに向かい合わせして配置されている。
【0064】
別の観点で見ると、第2列L2および第3列L3は、複数の列L1,L2,L3のなかで端に位置する。第2列L2は、複数の列L1,L2,L3のなかで、第2排気流路52(排気ダクト13)に最も近い。同様に、第3列L3は、複数の列L1,L2,L3のなかで、第1排気流路51(排気ダクト13)に最も近い。一方で、第1列L1は、第2列L2と第3列L3との間に位置し、第2列L2および第3列L3によって両側から挟まれている。第1列L1は、第2列L2および第3列L3に比べて、排気ダクト13から遠い。
【0065】
本実施形態では、バッテリケース24の下壁24aは、第1領域71と、第2領域72と、第3領域73とを有する。第1領域71は、第1列L1に含まれる複数のバッテリ21が配置される領域である。第2領域72は、第2列L2に含まれる複数のバッテリ21が配置される領域である。第3領域73は、第3列L3に含まれる複数のバッテリ21が配置される領域である。第2領域72および第3領域73は、第1領域71に比べて、排気口42(排気ダクト13)に近い。
【0066】
第1領域71、第2領域72、および第3領域73は、それぞれ少なくとも1つの吸気口41を有する。そして、第2領域72および第3領域における吸気口41の開口率は、第1領域71における吸気口41の開口率よりも小さい。なお本願でいう「開口率」とは、ある領域の面積(総面積)に対する吸気口41の開口面積の比率を意味する。すなわち、例えば「第1領域71における吸気口41の開口率」とは、第1領域71に設けられた吸気口41の開口面積(複数の吸気口41が設けられている場合には、複数の吸気口41の開口面積の合計)を、第1領域71の面積で除算した値である。
【0067】
例えば本実施形態では、第2領域72および第3領域73には、複数の吸気口41が所定の間隔で設けられている。一方で、第1領域71には、+X方向において第1領域71の全長に亘る比較的大きな吸気口41が設けられている。これにより、第2領域72および第3領域73における吸気口41の開口率は、第1領域71における吸気口41の開口率よりも小さくなっている。
【0068】
このような構成によれば、第4の実施形態と同様に、電池装置1の冷却性能の向上を図ることができる。
ここで、第1列L1に含まれる複数のバッテリ21は、排気口42(排気ダクト13)から比較的遠い。このため、第1列L1に含まれる複数のバッテリ21は、第2列L2および第3列L3に含まれる複数のバッテリ21に比べて、冷却流体に晒されにくく、冷却が促進されにくい。このため、バッテリケース24内で温度ばらつきが生じ、冷却性能が低下する場合がある。
【0069】
ただし、本実施形態では、第2領域72および第3領域73における吸気口41の開口率は、第1領域71における吸気口41の開口率よりも小さい。このような構成によれば、第1領域71の吸気口41からバッテリケース24の内部に流入する空気流量を増やすことができる。これにより、排気口42(排気ダクト13)から比較的遠い第1列L1に含まれる複数のバッテリ21の冷却を効果的に促進することができる。その結果、バッテリケース24内で温度ばらつきが生じることを抑制し、電池装置1の冷却性能の向上を図ることができる。また、複数のバッテリ21の温度ばらつきを抑制することで、各バッテリ21の寿命の向上を図ることができる。
【0070】
(第7の実施形態)
次に、
図9を参照して、第7の実施形態について説明する。本実施形態は、複数の電池モジュール11が多段に配置された点で、第4の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第4の実施形態の構成と同様である。
【0071】
図9に示すように、本実施形態の電池装置1は、複数の電池モジュール11と、吸気ダクト12と、排気ダクト13と、ファン81とを備える。複数の電池モジュール11の各々は、複数のバッテリ21、複数のバスバー22、基板23、バッテリケース24、および端子部ケース25を有する。複数の電池モジュール11は、バッテリケース24と端子部ケース25とが並ぶ方向であるZ方向に多段に配置されている。
【0072】
吸気ダクト12は、吸気主ダクト部91と、複数の吸気流路92とを有する。吸気主ダクト部91は、複数の電池モジュール11が多段に配置された方向(Z方向)に延びている。吸気主ダクト部91は、複数の電池モジュール11の全ての側方に位置するように複数の電池モジュール11に亘って延びている。吸気主ダクト部91は、複数の電池モジュール11に供給される冷却流体が流れる流路である。吸気主ダクト部91は、電池装置1の一端部(例えば上端部)において、電池装置1の外部に開口した入口61を有する。吸気主ダクト部91には、入口61を通じて電池装置1の外部から冷却流体が流入する。
【0073】
複数の吸気流路92は、複数の電池モジュール11に対応して設けられている。各吸気流路92は、「通風流路」の一例である。複数の吸気流路92は、吸気主ダクト部91から分岐している。複数の吸気流路92には、吸気主ダクト部91の内部を流れる冷却流体がそれぞれ流入する。複数の吸気流路92の各々は、その吸気流路92が対応する電池モジュール11に関して、バッテリケース24に対して端子部ケース25とは反対側の位置でバッテリ本体31の第1側面31cと略平行に延びるとともに端子部ケース25とは反対側からバッテリケース24の内部に連通している。本実施形態では、各吸気流路92は、第1の実施形態と同様に、第1部分12aと、第2部分12bとを有する。これにより、複数の吸気流路92は、複数の電池モジュール11のバッテリケース24の内部に冷却流体を供給する。
【0074】
排気ダクト13は、排気主ダクト部95と、複数の排気流路51とを有する。排気主ダクト部95は、複数の電池モジュール11に対して吸気主ダクト部91とは反対側に位置する。排気主ダクト部95は、複数の電池モジュール11が多段に配置された方向(Z方向)に延びている。排気主ダクト部95は、複数の電池モジュール11の全ての側方に位置するように複数の電池モジュール11に亘って延びている。排気主ダクト部95は、複数の電池モジュール11を通った冷却流体が合流する流路である。排気主ダクト部95は、電池装置1の一端部(例えば上端部)において、電池装置1の外部に開口した出口62を有する。排気主ダクト95は、複数の電池モジュール11のバッテリケース24の内部を通った空気を、出口62から電池装置1の外部に流出させる。複数の排気流路51は、複数の電池モジュール11に対応して設けられるとともに、排気主ダクト部95に接続されている。
【0075】
本実施形態では、ファン81は、排気ファンとして、排気ダクト13の出口62に設けられている。ファン81が駆動されることで、排気ダクト13内の冷却流体が電池装置1の外部に排気される。これにより、電池装置1の内部の圧力が下がり、電池装置1の外部から吸気ダクト12に新しい冷却流体が流入する。なお、ファン81が設けられる場所は、排気ダクト13の出口62に限らず、排気ダクト13の途中でもよい。
【0076】
このような構成によれば、第4の実施形態と同様に、電池装置1の冷却性能の向上を図ることができる。
また本実施形態では、複数の電池モジュール11がZ方向で多段に配置されている。吸気ダクト12は、複数の電池モジュール11に対応して設けられた複数の吸気流路92を有する。複数の吸気流路92の各々は、バッテリ本体31の第1側面31cと略平行に延びるとともに端子部ケース25とは反対側からバッテリケース24の内部に連通している。このような構成によれば、複数の電池モジュール11を密に配置することができる。これにより、複数の電池モジュール11を備える電池装置1の小型化を図ることができる。
【0077】
(第8の実施形態)
次に、
図10を参照して、第8の実施形態について説明する。本実施形態は、ファン81が吸気ダクト12に設けられた点で、第7の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第7の実施形態の構成と同様である。
【0078】
図10に示すように、本実施形態では、ファン81は、給気ファンとして、吸気ダクト12の入口61に設けられている。ファン81は、Z方向に沿って多段に配置された複数の電池モジュール11のなかで吸気ダクト12の入口61から最も遠い電池モジュール11(本実施形態では最下部の電池モジュール11)に向けて冷却流体を強制的に送る。なお、ファン81が設けられる場所は、吸気ダクト12の入口61に限らず、吸気ダクト12の途中でもよい。
【0079】
次に、吸気ダクト12の通風断面積と排気ダクト13の通風断面積との関係について説明する。
図10に示すように、本実施形態では、排気主ダクト部95の流路高さHoは、吸気主ダクト91の流路高さHiの略0.5倍以上の大きさに設定される。なお本願で言う「流路高さ」とは、冷却流体の流れ方向とは略直交する方向におけるダクト幅(本実施形態では+X方向のダクト幅)を意味する。ここで本実施形態では、吸気主ダクト部91の
図10中の紙面奥行き方向(Y方向)の幅と、排気主ダクト部95の紙面奥行き方向の幅は略同じである。すなわち言い換えると、排気主ダクト部95の通風断面積は、吸気主ダクト部91の通風断面積の略0.5倍以上の大きさである。なお本実施形態では、吸気主ダクト部91の通風断面積(または流路高さHi)および排気主ダクト部95の通風断面積(または流路高さHo)は、Z方向において一定である。
【0080】
図11は、本願発明者らによる実験によって得られた吸気主ダクト部91の流路高さHiと排気主ダクト部95の流路高さHoとの流路高さ比Rh(=Ho/Hi)と冷却性能との関係を示すグラフである。なお、グラフ中の「最大温度上昇」とは、多段に配置された複数の電池モジュール11に含まれるバッテリ21のなかで、最も温度が高かったバッテリ21の吸気温度に対する温度上昇である。また、「最小温度上昇」は、多段に配置された複数の電池モジュール11に含まれるバッテリ21のなかで、最も温度が低かったバッテリ21の吸気温度に対する温度上昇である。「温度上昇のばらつき」とは、「最大温度上昇」と「最小温度上昇」の差である。なお上記実験は、吸気主ダクト部91の入口61から一様な冷却流体の流入があり(例えばファン81が設置された場合であり)、排気ダクト92の出口62が大気開放されたモデルに基づいて行われた。
【0081】
図11に示すように、排気主ダクト部95の流路高さHoが吸気主ダクト部91の流路高さHiの略0.5倍以上の領域では、バッテリ21の温度上昇(例えば複数のバッテリ21における最大温度上昇)が比較的小さい。また、排気主ダクト部95の流路高さHoが吸気主ダクト部91の流路高さHiの略0.5倍以上の領域では、流路高さ比Rh(=Ho/Hi)が大きくなっても、すなわち排気主ダクト部95の流路高さHoがそれ以上大きくなってもバッテリ21の温度上昇(例えば複数のバッテリ21における最大温度上昇)はほとんど変わらない。
【0082】
一方で、排気主ダクト部95の流路高さHoが吸気主ダクト部91の流路高さHiの略0.5倍未満の領域では、複数のバッテリ21における最大温度上昇が大きくなり、複数のバッテリ21における最小温度上昇は小さくなり、複数のバッテリ21の温度上昇の差(温度ばらつき)が急に増加する。
【0083】
このような構成によれば、第7の実施形態と同様に、電池装置1の冷却性能の向上を図ることができる。
また本実施形態では、多段に配置された複数の電池モジュール11のなかで吸気ダクト12の入口61から最も遠い電池モジュール11に向けてファン81によって冷却流体が強制的に送られる。このような構成によれば、電池装置1の冷却性能の向上をさらに図ることができる。
【0084】
ここで、排気主ダクト部95の通風断面積が吸気主ダクト部91の通風断面積の略0.5倍未満の大きさの場合、上述したように複数のバッテリ21の温度上昇の差(温度ばらつき)が急に増加する場合がある。この場合、最大温度上昇が大きいバッテリ21の寿命が短くなる。このため、温度上昇が比較的小さくまだ寿命が残っているバッテリ21があるにもかかわらず、電池モジュール11や電池装置1の交換が必要になる。このため、バッテリ21の交換などバッテリシステムのメンテナンスインターバルが短くなる。
【0085】
そこで本実施形態では、排気主ダクト部95の通風断面積は、吸気主ダクト部91の通風断面積の略0.5倍以上の大きさに設定される。このような構成によれば、複数のバッテリ21における最大温度上昇が小さくなり、バッテリ21の交換などバッテリシステムのメンテナンスインターバルを長くすることができる。また、排気主ダクト部95の通風断面積が吸気主ダクト部91の通風断面積の略0.5倍程度の大きさ(または略0.5倍以上、1.0倍未満の大きさ)に設定されると、電子装置1の小型化を図ることができる。
【0086】
(実施形態の変形例)
次に、
図12を参照して、実施形態の電池装置1の変形例について説明する。この変形例は、第1、第4、第5、第7、および第8の実施形態などに適用可能である。なお
図12では、第1の実施形態の構成に適用された例を取り上げて説明する。
【0087】
図12に示すように、バッテリケース24の下壁24aは、第1領域71と、第2領域72とを有する。第1領域71は、第1列L1に含まれる複数のバッテリ21が配置される領域である。一方で、第2領域72は、第2列L2に含まれる複数のバッテリ21が配置される領域である。第2領域72は、第1領域71に比べて、排気口42(排気ダクト13)に近い。
【0088】
第1領域71および第2領域72は、それぞれ少なくとも1つの吸気口41を有する。そして、第2領域72における吸気口41の開口率は、第1領域71における吸気口41の開口率よりも小さい。
【0089】
例えば本実施形態では、第1領域71に設けられた吸気口41の個々の開口面積が第2領域72に設けられた吸気口41の個々の開口面積よりも大きいことで、第2領域72における吸気口41の開口率が第1領域71における吸気口41の開口率よりも小さくなっている。これに代えて、第1領域71に設けられた吸気口41の数が第2領域72に設けられた吸気口41の数よりも多いことで、第2領域72における吸気口41の開口率が第1領域71における吸気口41の開口率よりも小さくてもよい。例えば本実施形態では、第1領域71および第2領域72に設けられた複数の吸気口41は、排気口42(排気ダクト13)から離れた吸気口41であるほど、開口面積が徐々に大きくなっている。
【0090】
このような構成によれば、第6の実施形態と同様に、排気口42(排気ダクト13)から比較的遠い第1列L1に含まれる複数のバッテリ21の冷却を促進することができる。これにより、バッテリケース24内で温度ばらつきが生じることを抑制し、電池装置1の冷却性能の向上を図ることができる。また、複数のバッテリ21の温度ばらつきを抑制することができると、各バッテリ21の寿命の向上を図ることができる。
【0091】
また本変形例の構成を第4、第5、第7、および第8の実施形態などに適用することで、端子部ケース25の表面に沿って流れる冷却流体の量や、端子部ケース25の内部を流れる冷却流体の量を増やすことができる。これらにより、電池装置1の冷却性能の向上をさらに図ることができる。
【0092】
以上、いくつかの実施形態および変形例に係る電池装置1について説明したが、実施形態の構成は上記例に限定されない。例えば、上述の第1から第8の実施形態の構成は、互いに組み合わせて適用されても良い。上記実施形態の構成において、吸気/排気の流れ方向が逆でもよい。すなわち、バッテリケース24の下壁24aに設けられた第1通風口が排気口であり、バッテリケース24の側壁24bに設けられた第2通風口が排気口でもよい。また、Z方向でバッテリケース24の内部に連通した第1通風ダクトが排気ダクトであり、−X方向でバッテリケース24の内部に連通した第2通風ダクトが吸気ダクトであってもよい。ファン81は、吸気ダクト12と排気ダクト13の両方に設けられてもよい。バッテリケース24の下壁24a、第1から第4の側壁24b,24c,24d,24e、端子部ケース25の上壁25a、第1から第4の側壁25b,25c,25d,25e、および仕切壁25fの名称は、説明の便宜上、付されてものである。このため、これら壁は、順不同で、「第1壁」、「第2壁」、「第3壁」、…などと称されてもよい。
【0093】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、バッテリのバッテリ本体は、該バッテリ本体の表面のなかで面積が最も広い第1面と、前記第1面よりも面積が狭い第2面とを有する。複数のバッテリは、互いに隣り合うバッテリ本体の第1面同士の間に隙間を空けて配置されている。バッテリケースは、前記複数のバッテリのバッテリ本体を収容している。端子部ケースは、前記互いに隣り合うバッテリ本体の前記第1面同士の間の前記隙間を一方から覆う。吸気ダクトは、前記バッテリケースに対して前記端子部ケースとは反対側の位置で前記バッテリ本体の第1面と略平行に延びるとともに、前記端子部ケースとは反対側から前記バッテリケースの内部に連通している。このような構成によれば、電池装置の冷却性能の向上を図ることができる。
【0094】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。