特許第6542495号(P6542495)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社テイエルブイの特許一覧

特許6542495圧送装置の異常判定システム及び異常判定方法
<>
  • 特許6542495-圧送装置の異常判定システム及び異常判定方法 図000002
  • 特許6542495-圧送装置の異常判定システム及び異常判定方法 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6542495
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】圧送装置の異常判定システム及び異常判定方法
(51)【国際特許分類】
   F22D 11/06 20060101AFI20190628BHJP
   F04F 1/06 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   F22D11/06 Z
   F04F1/06 H
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-503372(P2019-503372)
(86)(22)【出願日】2018年9月26日
(86)【国際出願番号】JP2018035581
【審査請求日】2019年3月13日
(31)【優先権主張番号】特願2017-230311(P2017-230311)
(32)【優先日】2017年11月30日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】松永 和紀
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−130147(JP,A)
【文献】 特開2011−085325(JP,A)
【文献】 特開2002−213399(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/100791(WO,A1)
【文献】 特開2000−018188(JP,A)
【文献】 特開2011−111983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22D1/06
F04F1/06
F04B49/00−49/24
F04B51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留するタンクと、
前記タンクからの液体を一時的に貯める貯留モードと、貯めた液体を作動気体によって圧送する圧送モードとを繰り返すことによって、前記タンクの液体を間欠的に圧送する圧送装置と、
前記タンクの液体の貯留量を検出する第1検出部と、
前記圧送装置の、前記貯留モード及び前記圧送モードの間欠動作を検出する第2検出部と、
前記圧送装置の異常を判定する判定部とを備え、
前記判定部は、前記第1検出部によって検出される液体の貯留量が所定の閾値を超え、且つ、前記第2検出部によって前記間欠動作が検出されない場合に、前記圧送装置が異常であると判定する圧送装置の異常判定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の圧送装置の異常判定システムにおいて、
前記圧送装置は、
液体の貯留空間が形成されたケーシングと、前記貯留空間への作動気体の導入と作動気体の導入の停止とを切り替える弁機構とを有し、
前記貯留モードでは、前記弁機構によって前記貯留空間への作動気体の導入を停止し且つ前記貯留空間に前記タンクからの液体を貯める一方、
前記圧送モードでは、前記弁機構によって前記貯留空間へ作動気体を導入させて、前記貯留空間の液体を作動気体によって圧送する圧送装置の異常判定システム。
【請求項3】
請求項2に記載の圧送装置の異常判定システムにおいて、
前記第2検出部は、前記貯留空間の圧力を検出することによって、前記間欠動作を検出する圧送装置の異常判定システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載の圧送装置の異常判定システムにおいて、
前記圧送装置は、複数設けられ、
前記複数の圧送装置はそれぞれ、流入管を介して前記タンクに接続されており、
前記流入管は、前記タンクの内部に開口し、前記タンクの液体が流入する流入口を有し、
前記複数の圧送装置に接続された前記流入管の流入口の高さは、互いに異なっており、
前記判定部は、前記圧送装置の異常を判定する際の液体の貯留量の前記閾値を、前記流入口の高さが異なる前記圧送装置ごとに変更する圧送装置の異常判定システム。
【請求項5】
液体を貯留するタンクからの液体を一時的に貯める貯留モードと、貯めた液体を作動気体によって圧送する圧送モードとを繰り返すことによって、前記タンクの液体を間欠的に圧送する圧送装置の異常判定方法であって、
前記タンクの液体の貯留量を検出する工程と、
前記圧送装置の、前記貯留モード及び前記圧送モードの間欠動作を検出する工程と、
前記圧送装置の異常を判定する工程とを含み、
前記異常を判定する工程では、液体の貯留量が所定の閾値を超え、且つ、前記間欠動作が検出されない場合に、前記圧送装置が異常であると判定する圧送装置の異常判定方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、圧送装置の異常判定システム及び異常判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体を圧送する圧送装置が知られている。例えば、特許文献1には、液体を一時的に貯める貯留モードと、貯めた液体を作動気体によって圧送する圧送モードとを繰り返すことによって、液体を間欠的に圧送する圧送装置を備えた復水回収装置が開示されている。この復水回収装置は、複数の圧送装置を備えており、一方の圧送装置のフィルタが目詰まりしたとしても、他方の圧送装置が正常に機能するので、液体の圧送を継続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−85325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述のように圧送装置に異常が発生した場合には、その異常を早期に解消する必要がある。しかしながら、液体を間欠的に圧送する圧送装置は、液体を圧送していない状態もあり、そのような場合には、圧送装置として正常なのか異常なのかを判別することが難しい。
【0005】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体を間欠的に圧送する圧送装置の異常を的確に判定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された圧送装置の異常判定システムは、液体を貯留するタンクと、前記タンクからの液体を一時的に貯める貯留モードと、貯めた液体を作動気体によって圧送する圧送モードとを繰り返すことによって、前記タンクの液体を間欠的に圧送する圧送装置と、前記タンクの液体の貯留量を検出する第1検出部と、前記圧送装置の、前記貯留モード及び前記圧送モードの間欠動作を検出する第2検出部と、前記圧送装置の異常を判定する判定部とを備え、前記判定部は、前記第1検出部によって検出される液体の貯留量が所定の閾値を超え、且つ、前記第2検出部によって前記間欠動作が検出されない場合に、前記圧送装置が異常であると判定する。
【0007】
ここに開示された圧送装置の異常判定方法は、液体を貯留するタンクからの液体を一時的に貯める貯留モードと、貯めた液体を作動気体によって圧送する圧送モードとを繰り返すことによって、前記タンクの液体を間欠的に圧送する圧送装置の異常判定方法であって、前記タンクの液体の貯留量を検出する工程と、前記圧送装置の、前記貯留モード及び前記圧送モードの間欠動作を検出する工程と、前記圧送装置の異常を判定する工程とを含み、前記異常を判定する工程では、液体の貯留量が所定の閾値を超え、且つ、前記間欠動作が検出されない場合に、前記圧送装置が異常であると判定する。
【発明の効果】
【0008】
前記圧送装置の異常判定システムによれば、液体を間欠的に圧送する圧送装置の異常を的確に判定することができる。
【0009】
前記圧送装置の異常判定方法によれば、液体を間欠的に圧送する圧送装置の異常を的確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、圧送装置の異常判定システムの概略構成を示す図である。
図2図2は、判定制御の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、圧送装置1の異常判定システム100の概略構成を示す図である。
【0012】
異常判定システム100は、ドレン(復水)を貯留するタンク4と、タンク4のドレンを間欠的に圧送する2つの圧送装置1と、タンク4のドレンの貯留量を検出する水位センサ5と、圧送装置1の内部の圧力を検出する圧力センサ6と、圧送装置1の異常を判定する判定部7とを備えている。
【0013】
尚、2つの圧送装置1を区別する場合には、それぞれを「第1圧送装置1A」及び「第2圧送装置1B」と称する。第1圧送装置1Aと第2圧送装置1Bの基本的な構成は同じである。そのため、共通の構成に関しては、第1圧送装置1Aと第2圧送装置1Bとを区別することなく、単に、圧送装置1として説明を行う。
【0014】
圧送装置1及びタンク4は、例えば蒸気システムに設けられている。タンク4は、蒸気の凝縮によって発生したドレンを回収して貯留する。圧送装置1は、タンク4に貯留されたドレンをボイラや廃熱利用装置に圧送する。つまり、ドレンは、圧送装置1が圧送する液体の一例である。
【0015】
タンク4には、ドレン供給管41が接続されている。タンク4には、ドレン供給管41を介してドレンが流入する。水位センサ5は、タンク4に貯留されたドレンの水位を検出する。ドレンの水位は、ドレンの貯留量に対応している。つまり、水位センサ5は、タンク4のドレンの貯留量を検出する第1検出部の一例である。
【0016】
圧送装置1は、ドレンの貯留空間11が形成されたケーシング10と、貯留空間11への作動気体としての蒸気の導入と蒸気の導入の停止とを切り替える弁機構3とを有している。圧送装置1には、蒸気が供給されている。圧送装置1は、タンク4からのドレンを一時的に貯める貯留モードと、貯めたドレンを蒸気によって圧送する圧送モードとを繰り返すことによって、タンク4のドレンを間欠的に圧送する。
【0017】
ケーシング10には、ドレンが流入する液体流入口13と、ドレンが流出する液体流出口14と、蒸気が導入される気体導入口15と、蒸気が排出される気体排出口16とが設けられている。これら液体流入口13、液体流出口14、気体導入口15及び気体排出口16は、貯留空間11と連通している。
【0018】
液体流入口13は、ケーシング10の比較的上部に設けられている。液体流入口13には、流入管21の下流端が接続されている。流入管21の上流側は、タンク4に接続されている。流入管21の上流端部には、タンク4の内部に開口する流入口22が形成されている。また、流入管21には、タンク4からケーシング10へのドレンの流れを許容し、その逆の流れを阻止する逆止弁23が設けられている。つまり、タンク4のドレンは、流入口22から流入管21へ流入し、流入管21を流通して液体流入口13からケーシング10の貯留空間11に流入する。液体流出口14は、ケーシング10の比較的下部に設けられている。液体流出口14には、流出管24が接続されている。流出管24には、ケーシング10からのドレンの流れを許容し、その逆の流れを阻止する逆止弁25が設けられている。つまり、貯留空間11のドレンは、液体流出口14を介して流出管24に流出し、流出管24を下流側へ向かって流通する。
【0019】
尚、第1圧送装置1Aの流入管21A及び流入口22Aと第2圧送装置1Bの流入管21B及び流入口22Bとは、基本的な機能は同じであるが、構成が少し異なる。その点については後述する。ここでは、共通の「流入管21」及び「流入口22」として説明している。
【0020】
気体導入口15及び気体排出口16は、ケーシング10の比較的上部において近接して設けられている。気体導入口15には、蒸気が供給される供給管26が接続されている。気体排出口16には、蒸気が排出される排出管27が接続されている。
【0021】
弁機構3は、ケーシング10内において気体導入口15及び気体排出口16に設けられている。弁機構3は、気体導入口15及び気体排出口16を開閉することによって、貯留空間11への蒸気の導入と蒸気の導入の停止とを切り替える。詳しくは、弁機構3は、弁体(図示省略)を含む本体31と、フロート32と、本体31とフロート32とを連結するアーム33とを有している。フロート32は、中空の球形に形成され、貯留空間11のドレンに浮かぶ。フロート32は、アーム33の一端に固定されている。アーム33の他端は、本体31に回動可能に支持されている。
【0022】
フロート32は、貯留空間11のドレンの水位、即ち、貯留量に応じて上下動する。それに連動してアーム33も回動する。このアーム33の回動に応じて本体31内の弁体が動作し、気体導入口15及び気体排出口16のそれぞれの開閉を切り替える。弁機構3は、フロート32が所定の第1位置(図中の二点鎖線の位置)まで上昇すると、気体導入口15を開き且つ気体排出口16を閉じる。これにより、気体導入口15を介して貯留空間11に蒸気が導入される。一方、弁機構3は、フロート32が第1位置よりも低い第2位置(図中の実線の位置)まで低下すると、気体導入口15を閉じ且つ気体排出口16を開く。これにより、貯留空間11への蒸気の導入が停止されると共に、貯留空間11と排出管27とが連通する。
【0023】
また、ケーシング10には、圧力センサ6が取り付けられている。圧力センサ6は、ケーシング10の貯留空間11の圧力を検出する。
【0024】
続いて、圧送装置1の動作について説明する。第1圧送装置1Aと第2圧送装置1Bとで、基本的な動作は同じである。
【0025】
貯留空間11のドレンが少ないときにはフロート32が貯留空間11の比較的下部に位置している。このとき、気体導入口15が閉じられ、気体排出口16が開かれている。つまり、貯留空間11への蒸気の導入が停止されている。タンク4の水位が流入管21の流入口22よりも高い場合には、タンク4のドレンが流入管21へ流入し、さらには、流入管21及び液体流入口13を介して貯留空間11に流入する。流入したドレンは、貯留空間11に貯まっていく。このように、貯留空間11への蒸気の導入を停止し、貯留空間11にドレンを貯める作動モードを「貯留モード」と称する。貯留モードにおいては、貯留空間11のドレンの水位がしだいに上昇し、それに伴ってフロート32も上昇していく。このとき、貯留空間11においてドレンの上方に存在している蒸気は、気体排出口16から排出されていく。
【0026】
フロート32が第1位置まで上昇すると、フロート32に連結されたアーム33が本体31内の弁体を動作させ、気体導入口15が開けられ、気体排出口16が閉じられる。すると、気体導入口15を介して蒸気が貯留空間11、より具体的には、ドレンの上方空間に導入される。その結果、貯留空間11のドレンが蒸気に押されて、液体流出口14から圧送される。このように、貯留空間11へ蒸気を導入し、貯留空間11のドレンを蒸気によって圧送する作動モードを「圧送モード」と称する。圧送モードにおいては、ドレンの圧送に伴って、貯留空間11のドレンの水位がしだいに下降し、それに伴ってフロート32も下降していく。
【0027】
フロート32が第2位置まで下降すると、フロート32に連結されたアーム33が本体31内の弁体を作動させ、気体導入口15が閉じられ、気体排出口16が開かれる。つまり、圧送モードから貯留モードに切り替わる。
【0028】
このように圧送装置1は、貯留モードと圧送モードとを繰り返すことによってタンク4のドレンを間欠的に圧送する。タンク4に流入するドレン量しだいではあるが、貯留モードと圧送モードとは、例えば、数十秒の周期で切り替わる。
【0029】
こうして、貯留モードと圧送モードが繰り返されると、貯留空間11内の圧力は、貯留モードと圧送モードとの繰り返しに応じて変動する。具体的には、貯留モード中の圧力は低く、圧送モードに切り替わると、圧力が急上昇する。圧送モード中は圧力が高く、貯留モードに切り替わると、圧力が急低下する。圧力センサ6は、このように変動する圧力を検出している。つまり、圧力センサ6は、実質的に貯留モード及び圧送モードの間欠動作を検出することになる。圧力センサ6は、第2検出部の一例である。
【0030】
ここまでの動作の説明は、第1圧送装置1Aと第2圧送装置1Bとで共通である。しかし、第1圧送装置1Aと第2圧送装置1Bとでは、タンク4内における流入管21の流入口22の高さが異なっている。第1圧送装置1Aの流入口22Aは、タンク4内の比較的低い位置に位置している。一方、第2圧送装置1Bの流入口22Bは、タンク4内の比較的高い位置に位置している。そのため、タンク4の水位が流入口22Aよりも高く且つ流入口22Bよりも低い場合には、第1圧送装置1Aだけが前述のように作動し、ドレンを圧送する。一方、タンク4の水位が流入口22Bよりも高い場合には、第1圧送装置1Aに加えて第2圧送装置1Bも前述のように作動し、ドレンを圧送する。例えば、ドレン供給管41からのドレンの供給量が増加してタンク4のドレン貯留量が増加した場合には、第1圧送装置1Aに加えて第2圧送装置1Bが作動して、全体としての圧送容量を増大させる。あるいは、第1圧送装置1Aに異常が生じてタンク4のドレン貯留量が増加した場合には、第2圧送装置1Bが作動して、第1圧送装置1Aの代わりにドレンを圧送する。
【0031】
続いて、判定部7について説明する。
【0032】
判定部7は、プロセッサを有している。判定部7には、水位センサ5及び圧力センサ6の検出結果が入力されている。判定部7は、水位センサ5及び圧力センサ6の検出結果に基づいて第1圧送装置1A及び第2圧送装置1Bの異常を判定する。
【0033】
判定部7による判定制御について図2を参照しながら説明する。図2は、判定制御の内容を示すフローチャートである。判定部7は、図2に示す判定制御を周期的に行っている。
【0034】
まず、判定部7は、ステップS1において、第1圧送装置1Aの動作判定を行う。つまり、第1圧送装置1Aが貯留モードと圧送モードの間欠動作を行っているか否かを判定する。具体的には、判定部7は、貯留空間11の圧力の急上昇及び急降下の1セットが所定期間(例えば、数十秒間)に行われたか否かを圧力センサ6の検出結果に基づいて判定する。前述のように、貯留空間11の圧力の急上昇は、貯留モードから圧送モードへの切り替わりを表している。貯留空間11の圧力の急降下は、圧送モードから貯留モードへの切り替わりを表している。そのため、貯留空間11の圧力の急上昇及び急降下の1セットが所定期間内に行われることは、貯留モードと圧送モードの間欠動作が行われていることを表している。ステップS1は、圧送装置の、貯留モード及び圧送モードの間欠動作を検出する工程に相当する。
【0035】
動作判定の結果、第1圧送装置1Aが間欠動作を行っている場合には、第1圧送装置1Aに異常は生じていないので、判定部7は、ステップS4に進み、第2圧送装置1Bの異常判定を行う。
【0036】
一方、動作判定の結果、第1圧送装置1Aが間欠動作を行っていない場合には、判定部7は、ステップS2において、タンク4の水位を判定する。具体的には、判定部7は、水位が所定の第1水位閾値L1よりも高いか否かを判定する。第1水位閾値L1は、流入口22Bよりも低い水位であって、流入口22Aよりも少し高い水位に設定されている。すなわち、第1水位閾値L1は、タンク4のドレンが流入口22Aに流入し得る水位に設定されている。ステップS2は、タンクの液体の貯留量を検出する工程に相当する。
【0037】
タンク4の水位が第1水位閾値L1よりも高い場合には、判定部7は、ステップS3において、第1圧送装置1Aに異常が生じていると判定する。そして、判定部7は、第1圧送装置1Aの異常を外部に報知する。例えば、判定部7は、第1圧送装置1Aの異常を意味する警報ランプ等を点灯させる。ステップS3は、圧送装置の異常を判定する工程に相当する。
【0038】
その後、判定部7は、ステップS4へ進み、第2圧送装置1Bの異常判定を行う。
【0039】
一方、タンク4の水位が第1水位閾値L1以下である場合には、判定部7は、第1圧送装置1Aに異常は生じていないと判定する。つまり、タンク4の水位が第1水位閾値L1以下である場合には、タンク4のドレン量が少ないので、第1圧送装置1Aは、貯留モードを長期間継続して貯留空間11にドレンを少しずつ貯めているか、又は、貯留モードで停止していると考えられる。この場合、第1圧送装置1Aは、間欠動作を行っていないが、その原因は、タンク4のドレン量の少なさにある。そのため、判定部7は、第1圧送装置1Aに異常は生じていないと判定する。
【0040】
尚、タンク4の水位が第1水位閾値L1以下である場合には、当然ながら、タンク4の水位は流入口22Bよりも低いので第2圧送装置1Bは間欠動作を行っていない。そのため、判定部7は、第2圧送装置1Bの異常判定を行うことなく、今回の判定制御を終了する。
【0041】
次に、判定部7は、ステップS4において、第2圧送装置1Bの動作判定を行う。つまり、第2圧送装置1Bが貯留モードと圧送モードの間欠動作を行っているか否かを判定する。その判定方法は、第1圧送装置1Aの場合と同じである。ステップS4は、圧送装置の、貯留モード及び圧送モードの間欠動作を検出する工程に相当する。
【0042】
動作判定の結果、第2圧送装置1Bが間欠動作を行っている場合には、第2圧送装置1Bに異常は生じていないので、判定部7は、今回の判定制御を終了する。
【0043】
一方、動作判定の結果、第2圧送装置1Bが間欠動作を行っていない場合には、判定部7は、ステップS5において、タンク4の水位を判定する。具体的には、判定部7は、水位が所定の第2水位閾値L2よりも高いか否かを判定する。第2水位閾値L2は、流入口22Bよりも少し高い水位である。すなわち、第2水位閾値L2は、タンク4のドレンが流入口22Bに流入し得る水位に設定されている。ステップS5は、タンクの液体の貯留量を検出する工程に相当する。
【0044】
タンク4の水位が第2水位閾値L2よりも高い場合には、判定部7は、ステップS6において、第2圧送装置1Bに異常が生じていると判定する。そして、判定部7は、第2圧送装置1Bの異常を外部に報知する。例えば、判定部7は、第2圧送装置1Bの異常を意味する警報ランプ等を点灯させる。その後、判定部7は、今回の判定制御を終了する。ステップS6は、圧送装置の異常を判定する工程に相当する。
【0045】
一方、タンク4の水位が第2水位閾値L2以下である場合には、判定部7は、第2圧送装置1Bに異常は生じていないと判定する。つまり、タンク4の水位が第2水位閾値L2以下である場合には、タンク4のドレン量が少ないので、第2圧送装置1Bは、貯留モードを長期間継続して貯留空間11にドレンを少しずつ貯めているか、又は、貯留モードで停止していると考えられる。この場合、第2圧送装置1Bは、間欠動作を行っていないが、その原因は、タンク4のドレン量の少なさにある。そのため、判定部7は、第2圧送装置1Bに異常は生じていないと判定する。その後、判定部7は、今回の判定制御を終了する。
【0046】
判定部7は、以上の判定制御を周期的に繰り返すことによって、第1圧送装置1A及び第2圧送装置1Bの異常の発生を監視している。
【0047】
このように、圧送装置1は、正常な状態であっても、貯留空間11に流入してくるドレン量の関係で間欠動作が一時的に停止する場合がある。異常判定システム100は、圧送装置1の間欠動作の有無だけでなく、タンク4のドレンの貯留量を考慮することによって、圧送装置1の異常を的確に判定している。
【0048】
以上のように、異常判定システム100は、ドレン(液体)を貯留するタンク4と、タンク4からのドレンを一時的に貯める貯留モードと、貯めたドレンを蒸気(作動気体)によって圧送する圧送モードとを繰り返すことによって、タンク4のドレンを間欠的に圧送する圧送装置1と、タンク4のドレンの貯留量を検出する水位センサ5(第1検出部)と、圧送装置1の、貯留モード及び圧送モードの間欠動作を検出する圧力センサ6(第2検出部)と、圧送装置1の異常を判定する判定部7とを備え、判定部7は、水位センサ5によって検出されるドレンの水位(貯留量)が所定の第1水位閾値L1又は第2水位閾値L2(閾値)を超え、且つ、圧力センサ6によって間欠動作が検出されない場合に、圧送装置1が異常であると判定する。
【0049】
換言すると、異常判定システム100の異常判定方法は、ドレン(液体)を貯留するタンク4からのドレンを一時的に貯める貯留モードと、貯めたドレンを蒸気(作動気体)によって圧送する圧送モードとを繰り返すことによって、タンク4のドレンを間欠的に圧送する圧送装置1の異常判定方法であって、タンク4のドレンの貯留量を検出する工程と、圧送装置1の、貯留モード及び圧送モードの間欠動作を検出する工程と、圧送装置1の異常を判定する工程とを含み、異常を判定する工程では、ドレンの水位(貯留量)が所定の水位閾値(閾値)を超え、且つ、間欠動作が検出されない場合に、圧送装置1が異常であると判定する。
【0050】
この構成によれば、圧送装置1が間欠動作を行っていないだけでは圧送装置1が異常であるとは判定されず、タンク4のドレンの貯留量が考慮される。タンク4のドレンの貯留量が少ない場合には、圧送装置1の間欠動作が一次的に停止する場合もある。そこで、判定部7は、タンク4のドレンの貯留量が多いにもかかわらず圧送装置1が間欠動作をしていない場合に、圧送装置1が異常であると判定する。これにより、判定部7は、圧送装置1の異常を的確に判定することができる。
【0051】
また、圧送装置1は、ドレンの貯留空間11が形成されたケーシング10と、貯留空間11への蒸気の導入と蒸気の導入の停止とを切り替える弁機構3とを有し、貯留モードでは、弁機構3によって貯留空間11への蒸気の導入を停止し且つ貯留空間11にタンク4からのドレンを貯める一方、圧送モードでは、弁機構3によって貯留空間11へ蒸気を導入させて、貯留空間11のドレンを蒸気によって圧送する。
【0052】
この構成によれば、圧送装置1の構成が具体的に特定される。詳しくは、貯留空間11へは、弁機構3によって蒸気の導入と蒸気の導入の停止とが切り替えられる。貯留モードにおいては貯留空間11への蒸気の導入が停止されている一方、圧送モードにおいては貯留空間11へ蒸気が導入されている。
【0053】
さらに、圧力センサ6は、貯留空間11の圧力を検出することによって間欠動作を検出する。
【0054】
この構成によれば、圧力センサ6は、貯留空間11の圧力を検出することによって、圧送装置1の間欠動作を間接的に検出する。つまり、前述の如く、貯留モードにおいては、貯留空間11への蒸気の導入が停止されているので、貯留空間11の圧力は比較的低い。一方、圧送モードにおいては、貯留空間11へ蒸気が導入されているので、貯留空間11の圧力は比較的高い。そのため、貯留空間11の圧力によって貯留モードか圧送モードかを判定することができる。さらには、貯留空間11の圧力変動によって、貯留モードと圧送モードの間欠動作が行われているかを判定することができる。
【0055】
また、圧送装置1は、複数設けられており、複数の圧送装置1、即ち、第1圧送装置1A及び第2圧送装置1Bはそれぞれ、流入管21A,21Bを介してタンク4に接続され、流入管21A,21Bは、タンク4の内部に開口し、タンク4のドレンが流入する流入口22A,22Bを有し、第1圧送装置1A及び第2圧送装置1Bに接続された流入管21A,21Bの流入口22A,22Bの高さは、互いに異なっており、判定部7は、圧送装置1の異常を判定する際のドレンの水位閾値を、流入口22の高さが異なる圧送装置1ごとに変更する。
【0056】
この構成によれば、第1圧送装置1A及び第2圧送装置1Bはそれぞれ、流入管21A,21Bを介してタンク4に接続されている。流入管21A,21Bの流入口22A,22Bの高さは、それぞれ異なっている。つまり、第1圧送装置1Aと第2圧送装置1Bとでは、流入口22A,22Bを介してドレンが流入するタンク4の水位が異なる。そのため、判定部7は、第1圧送装置1Aと第2圧送装置1Bとで、異常判定する際のドレンの水位閾値を変更する。これによって、ドレンが流入する水位が異なる圧送装置1ごとに適切な水位閾値を用いて異常判定を行うことができる。
【0057】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0058】
例えば、異常判定システム100は、2つの圧送装置1を備えているが、圧送装置1の個数は、2つに限られない。圧送装置1は、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
【0059】
圧送装置1が圧送する液体は、ドレンに限られない。圧送装置1は、任意の液体を圧送し得る。また、圧送装置1の作動気体は、蒸気に限られない。作動気体は、任意の気体でよく、例えば、圧縮空気であってもよい。
【0060】
圧送機構1の構成は、一例に過ぎない。圧送機構1は、貯留モードと圧送モードとを繰り返すことによって液体を圧送する限り、任意の構成であり得る。
【0061】
タンク1の液体の貯留量を検出できる限り、水位センサ5以外の検出部を第1検出部として採用してもよい。
【0062】
また、圧送装置1の、貯留モード及び圧送モードの間欠動作を検出できる限り、圧力センサ6以外の検出部を第2検出部として採用してもよい。例えば、ケーシング10内に設けられた、フロート32の第1位置への移動を検出する近接スイッチ等を第2検出部としてもよい。フロート32の第1位置への移動により、貯留モードから圧送モードへ切り替わるので、圧送装置1の間欠動作を検出することができる。
【0063】
判定部7は、貯留空間11の圧力の急上昇及び急降下の1セットが所定期間内に行われることをもって、間欠動作が行われていることを判定しているが、これに限られるものではない。例えば、判定部7は、貯留空間11の圧力の急上昇及び急降下の何れか一方が所定期間内に行われることをもって、間欠動作が行われていることを判定してもよい。特に、圧送モードは、貯留空間11のドレンが減少すれば終了するので長期間継続することは少ない。長期間継続するとすれば、貯留モードである。つまり、貯留モードが所定期間で終了するか否かによって、圧送装置1の間欠動作が適切に行われているか否かを判定するすることができる。その観点では、判定部7は、貯留空間11の圧力の急上昇が所定期間内に行われることをもって、間欠動作が行われていると判定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上説明したように、ここに開示された技術は、圧送装置の異常判定システム及び異常判定方法について有用である。
【符号の説明】
【0065】
100 異常判定システム
1A 第1圧送装置
1B 第2圧送装置
10 ケーシング
11 貯留空間
21A,21B 流入管
22A,22B 流入口
3 弁機構
4 タンク
5 水位センサ(第1検出部)
6 圧力センサ(第2検出部)
7 判定部

【要約】
異常判定システム100は、ドレンを貯留するタンク4と、タンク4からのドレンを一時的に貯める貯留モードと、貯めたドレンを蒸気によって圧送する圧送モードとを繰り返すことによって、タンク4のドレンを間欠的に圧送する圧送装置1と、タンク4のドレンの貯留量を検出する水位センサ5と、圧送装置1の、貯留モード及び圧送モードの間欠動作を検出する圧力センサ6と、圧送装置1の異常を判定する判定部7とを備えている。判定部7は、水位センサ5によって検出されるドレンの水位が所定の第1水位閾値L1又は第2水位閾値L2を超え、且つ、圧力センサ6によって間欠動作が検出されない場合に、圧送装置1が異常であると判定する。
図1
図2