特許第6542510号(P6542510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6542510
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】電力管理システム及び電力管理方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20190628BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   H02J13/00 311T
   H02J13/00 301A
   H02J3/14
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-112649(P2014-112649)
(22)【出願日】2014年5月30日
(65)【公開番号】特開2015-228721(P2015-228721A)
(43)【公開日】2015年12月17日
【審査請求日】2017年2月13日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 喬
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−093898(JP,A)
【文献】 特開2012−191707(JP,A)
【文献】 特開2013−099173(JP,A)
【文献】 特開2009−260561(JP,A)
【文献】 特開2012−065407(JP,A)
【文献】 特開2013−085410(JP,A)
【文献】 特開2013−240154(JP,A)
【文献】 特開2014−082812(JP,A)
【文献】 特開2013−143898(JP,A)
【文献】 特開2013−106374(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0025216(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器に供給される電力を管理する電力管理システムであって、
複数のエリアそれぞれに含まれる複数の施設の特徴を示す情報であって、施設の利用態様を示した施設種別、施設の使用者を示した使用者種別、施設が契約している電力量を示した契約電力量、及び、施設の平均消費電力量の全てを含む施設情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した施設情報に基づき、各施設において電力削減が可能な可能削減電力量を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された各施設の可能削減電力量のうち所定のエリアに含まれた各施設の可能削減電力量の総和と、所定の必要削減電力量との比較結果に基づき、前記複数のエリアから電力削減の対象エリアを導出する導出手段と、
前記導出手段により導出された、前記電力削減の対象エリアにおける電力の削減に係る情報を含むと共に、非常時の回線混雑の影響を受けずに特定のエリアへ一斉配信されるエリアメールを自システム内に配信する配信手段と、
を備える電力管理システム。
【請求項2】
前記導出手段は、
前記比較結果において、前記所定の必要削減電力量が、前記所定のエリアに含まれた各施設の可能削減電力量の総和を上回っている場合には、前記所定のエリアを拡大して、再度、所定エリアに含まれた各施設の可能削減電力量の総和と、所定の必要削減電力量とを比較し、
前記所定の必要削減電力量が、前記所定のエリアに含まれた各施設の可能削減電力量の総和を上回っていない場合には、前記所定のエリアを前記電力削減の対象エリアとする、請求項1記載の電力管理システム。
【請求項3】
各施設の電気機器に対応して設置された、電気機器を制御する電力制御端末に設けられ、前記電力制御端末において記憶された施設情報、及び、前記配信手段により配信された前記電力の削減に係る情報に基づいて、施設の可能削減電力量を決定する決定手段をさらに備える、請求項1又は2記載の電力管理システム。
【請求項4】
前記決定手段により決定された可能削減電力量に基づき、所定の場合に電気機器への電力供給を停止する、前記電力制御端末に設けられた電力停止手段をさらに備える、請求項3記載の電力管理システム。
【請求項5】
前記決定手段は、電気機器のカテゴリ及び消費電力に基づいて、各施設に含まれる電気機器の電力削減優先順位を設定し、
前記電力停止手段は、前記電力削減優先順位に基づいて、前記可能削減電力量を実現するように、電気機器への電力供給を停止する、請求項4記載の電力管理システム。
【請求項6】
前記配信手段は、電力供給を停止する時間を含んだ前記電力の削減に係る情報を配信し、
前記決定手段は、前記電力の削減に係る情報に含まれた電力供給を停止する時間を前記電力停止手段に出力し、
前記電力停止手段は、前記決定手段に出力された電力供給を停止する時間に示された時間だけ、電気機器への電力供給を停止する、請求項4又は5記載の電力管理システム。
【請求項7】
電気機器に供給される電力を管理する電力管理システムが実行する電力管理方法であって、
複数のエリアそれぞれに含まれる複数の施設の特徴を示す情報であって、施設の利用態様を示した施設種別、施設の使用者を示した使用者種別、施設が契約している電力量を示した契約電力量、及び、施設の平均消費電力量の全てを含む施設情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された施設情報に基づき、各施設において電力削減が可能な可能削減電力量を算出する算出ステップと、
前記算出ステップにおいて算出された各施設の可能削減電力量のうち所定のエリアに含まれた各施設の可能削減電力量の総和と、所定の必要削減電力量との比較結果に基づき、前記複数のエリアから電力削減の対象エリアを導出する導出ステップと、
前記導出ステップにおいて導出された、前記電力削減の対象エリアにおける電力の削減に係る情報を含むと共に、非常時の回線混雑の影響を受けずに特定のエリアへ一斉配信されるエリアメールを自システム内に配信する配信ステップと、
を含む電力管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理システム及び電力管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模な天災により発電所が被災した場合等において、電力需要が電力供給能力を上回る事態が発生しうる。電力会社は、電力需要が電力供給能力を上回ると予想される場合には、送電の停止を予告した上で停電を実施する、いわゆる計画停電を実施することがある。また、計画停電を回避しながら電力使用量を抑制する方法として、例えば、電力会社の監視装置が電力供給量と電力使用量とを監視し、電力供給量及び電力使用量の関係が所定条件を満たした場合に、監視装置からの指令に基づき、電力を使用する電気機器の電源をオフにする方法がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
計画停電の実施や特許文献1に記載された電力使用量の抑制は、所定のエリア(地域)単位で実施される。電力使用量の抑制はユーザによる電気機器の使用を制限するものであるため、抑制が行われるエリアの範囲は必要最小限とされることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−9568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、各エリアで抑制される電力使用量は、各エリアに含まれる施設毎の特徴(例えば施設の種別や施設に係る家族構成等)によって大きく異なるものであるため、一般的に、電力使用量を抑制するエリアを適切な範囲とすることは難しい。このため、例えば、電力使用量の抑制をおこなうエリアを必要以上に設定してしまい、必要以上の電気機器の使用を制限してしまう場合がある。また、電力使用量を抑制するエリアを設定する際、例えば病院等の緊急性が高い施設が含まれるエリアは電力使用量を抑制するエリアの候補から外されることがある。この場合、当該エリアに含まれるその他の施設(病院以外の施設)については、本来電力使用量の抑制を行うべき施設であっても、当該エリアに含まれることによって電力使用量抑制の対象から外れることとなり、施設間の公平性の観点から好ましくない。以上より、従来の電力使用量抑制方法では、電気機器を使用するユーザの利便性を損なうおそれがある。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、電気機器を使用するユーザにとっての利便性が高い態様で、電力供給を制御する電力管理システム及び電力管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電力管理システムは、電気機器に供給される電力を管理する電力管理システムであって、複数のエリアそれぞれに含まれる複数の施設の特徴を示す情報である施設情報を取得する取得手段と、取得手段が取得した施設情報に基づき、各施設において電力削減が可能な可能削減電力量を算出する算出手段と、算出手段により算出された各施設の可能削減電力量のうち所定のエリアに含まれた各施設の可能削減電力量の総和と、所定の必要削減電力量との比較結果に基づき、複数のエリアから電力削減の対象エリアを導出する導出手段と、を備える。
【0008】
本発明に係る電力管理方法は、電気機器に供給される電力を管理する電力管理システムが実行する電力管理方法であって、複数のエリアそれぞれに含まれる複数の施設の特徴を示す情報である施設情報を取得する取得ステップと、取得ステップにおいて取得された施設情報に基づき、各施設において電力削減が可能な可能削減電力量を算出する算出ステップと、算出ステップにおいて算出された各施設の可能削減電力量のうち所定のエリアに含まれた各施設の可能削減電力量の総和と、所定の必要削減電力量との比較結果に基づき、複数のエリアから電力削減の対象エリアを導出する導出ステップと、を含む。
【0009】
本発明では、施設情報に基づいて、各施設の可能削減電力量が算出される。そして、所定のエリアに含まれた各施設の可能削減電力量の総和と、所定の必要削減電力量とから、電力削減の対象エリアが導出される。このように、施設の特徴を示す情報である施設情報に基づいて算出された各施設の可能削減電力量を考慮して電力削減の対象エリアが決定されるため、各エリアに含まれる施設の特徴を考慮して、電力削減の対象エリアを決定することができる。このため、施設の特徴に応じた適切なエリアを電力削減の対象エリアとすることができ、必要以上にエリアが拡大されることに伴って必要以上に電気機器の使用が制限されることを抑制できる。また、各施設の可能削減電力量の総和に基づいて対象エリアが導出されるものであるため、緊急性が高い施設が含まれるエリアであるか否かによって対象エリアが決定される場合と比べて、施設間の公平性を担保することができる。すなわち、単に緊急性が高い施設が含まれるエリアの施設であるという理由だけで削減対象外となることがなく、施設間の公平性が保たれる。以上より、本発明によれば、電気機器を使用するユーザにとっての利便性が高い態様で、電力供給を制御することができる。
【0010】
本発明に係る電力管理システムでは、導出手段が、比較結果において、所定の必要削減電力量が、所定のエリアに含まれた各施設の可能削減電力量の総和を上回っている場合には、所定のエリアを拡大して、再度、所定エリアに含まれた各施設の可能削減電力量の総和と、所定の必要削減電力量とを比較し、所定の必要削減電力量が、所定のエリアに含まれた各施設の可能削減電力量の総和を上回っていない場合には、所定のエリアを電力削減の対象エリアとしてもよい。これにより、必要削減電力量と所定のエリアの可能削減電力量の総和とを比較しながら、必要削減電力量が可能削減電力量を上回っている場合に限り、順次エリアが拡大される。このような比較が行われることにより、例えばエリアを一つずつ拡大していくことで、電力削減の対象エリアを必要最小限とすることができ、必要以上の電気機器の使用が制限されることを抑制し、電気機器を使用するユーザにとっての利便性が高い態様で、電力供給を制御することができる。
【0011】
本発明に係る電力管理システムは、導出手段により導出された、電力削減の対象エリアにおける電力の削減に係る情報を自システム内に配信する配信手段をさらに備えてもよい。電力の削減に係る情報が配信されることにより、電力削減の対象エリアにおいて、適切に電力供給を制御することができる。
【0012】
本発明に係る電力管理システムは、各施設の電気機器に対応して設置された、電気機器を制御する電力制御端末に設けられ、電力制御端末において記憶された施設情報、及び、配信手段により配信された電力の削減に係る情報に基づいて、施設の可能削減電力量を決定する決定手段をさらに備えてもよい。これにより、電力制御端末に設けられた決定手段により、電力制御端末において記憶された施設情報、及び電力の削減に係る情報に基づいて可能削減電力量が決定される。このように、決定手段が電力制御端末において記憶された施設情報を用いて各施設の可能削減電力量を決定できるため、配信手段から配信される電力の削減に係る情報に、施設毎の可能削減電力量を含まない態様とすることができる。このことにより、電力の削減に係る情報を共通の内容(例えば、必要削減電力量及び電力停止時間等の情報)とすることができ、電力の削減に係る情報の一括配信が可能となる。このことで、電力の制御に係る情報の配信が簡易化する。
【0013】
本発明に係る電力管理システムは、決定手段により決定された可能削減電力量に基づき、所定の場合に電気機器への電力供給を停止する、電力制御端末に設けられた電力停止手段をさらに備えてもよい。これにより、電力制御端末側において、可能削減電力量に応じた電力供給停止を確実に行うことができる。
【0014】
本発明に係る電力管理システムでは、決定手段が、電気機器のカテゴリ及び消費電力に基づいて、各施設に含まれる電気機器の電力削減優先順位を設定し、電力停止手段が、電力削減優先順位に基づいて、可能削減電力量を実現するように、電気機器への電力供給を停止してもよい。例えば、カテゴリが嗜好品に該当する電気機器への電力供給を優先的に停止する一方で生活必需品に該当する電気機器への電力供給を極力停止しないようにしたり、消費電力の大きい電気機器への電力供給を優先的に停止すること等によって、ユーザにとって重要な電気機器への電力供給を極力維持し、また、電力供給が停止する電気機器を必要最小限とすることができる。これによって、よりユーザにとって利便性が高い態様で、電力供給を制御することができる。
【0015】
本発明に係る電力管理システムでは、配信手段が、電力供給を停止する時間を含んだ電力の削減に係る情報を配信し、決定手段が、電力の削減に係る情報に含まれた電力供給を停止する時間を電力停止手段に出力し、電力停止手段が、決定手段に出力された電力供給を停止する時間に示された時間だけ、電気機器への電力供給を停止してもよい。これにより、電力供給が停止する時間を適切な時間とすることができ、よりユーザにとって利便性が高い態様で、電力供給を制御することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電気機器を使用するユーザにとっての利便性が高い態様で、電力供給を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る電力管理システムの構成を示す概略図である。
図2】本実施形態の電力管理システムに含まれる各ノードのハードウェア構成を示す図である。
図3】本実施形態に係る電力管理サーバの機能を示すブロック図である。
図4】本実施形態に係る電力管理サーバ及び電力制御端末の重み記憶部にて記憶された情報を示す表であり、図4(a)は重み算出データテーブルを、図4(b)は電力レベル算出データテーブルを、それぞれ示す表である。
図5】本実施形態に係る電力制御端末の構成例を示す図であり、図5(a)は施設単位に電力制御端末を設ける例を、図5(b)は電気機器単位に電力制御端末を設ける例を、それぞれ示す図である。
図6】本実施形態に係る電力制御端末の機能を示すブロック図である。
図7】本実施形態に係る電力制御端末のプロファイル情報記憶部にて記憶されたプロファイル情報を示す表である。
図8】本実施形態に係る電力制御端末の優先順位記憶部にて記憶された優先順位情報を示す表である。
図9】電気機器にて記憶された機器情報を示す表である。
図10】本実施形態に係る事前データ収集処理の概略図である。
図11】本実施形態に係るエリアメール配信処理の概略図である。
図12】本実施形態に係る電力管理サーバによる処理を示すフローチャートである。
図13】本実施形態に係る電力制御端末による処理を示すフローチャートである。
図14】本実施形態に係る電力管理システムの処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る電力管理システムの構成を示す概略図である。電力管理システム1は、複数の施設の電気機器に供給される電力を管理するシステムであり、より詳細には、例えば天災が発生した際の計画停電等の実施時において、電力の供給を抑制する(電力削減を行う)エリアを決定することにより、電気機器に供給される電力を管理するシステムである。
【0020】
図1に示されるとおり、電力管理システム1は、3G(3rdGeneration)網に係るノードである3Gノード10と、電力管理サーバ21と、CBC(Cell Broadcast Center)22と、LTE(Long TermEvolution)網に係るノードであるLTEノード30と、電力制御端末41とを備えている。
【0021】
3Gノード10は、3G網に在圏している電力制御端末41と電力管理サーバ21、及びCBC22との通信を実現するものであり、BTS(Base Transceiver Station)11と、RNC(Radio Network Controller)12と、SGSN(ServingGeneral packet radio Service support Node)13と、GGSN(GatewayGPRS Support Node)14とを備えている(詳細は後述)。BTS11は、3G網において、電力制御端末41と電波の送受信を行う無線基地局である。また、RNC12は、無線アクセス制御機能を有した通信制御装置であり、BTS11に対応して設けられ、BTS11が形成する3G在圏エリアに在圏している電力制御端末41の無線通信に関する処理を行う。また、RNC12は、CBC22から配信されたエリアメールを受信し、該エリアメールを、BTS11を介して電力制御端末41に送信する。SGSN13は、パケット通信のためのセッションを設定し、パケット交換の制御を行う装置である。GGSN14は、パケット通信時のユーザの認証を行う装置である。なお、SGSN13とGGSN14とは、同一装置内に設けられていてもよい。
【0022】
また、LTEノード30は、LTE網に在圏している電力制御端末41と電力管理サーバ21、及びCBC22との通信を実現するものであり、eNodeB(evolved Node B)31と、S−GW(Serving Gateway)32と、P−GW(PDN-Gateway)33とを備えている(詳細は後述)。eNodeB31は、無線基地局であるとともに、無線アクセス制御機能を有した通信制御装置である。また、eNodeB31は、電力制御端末41がLTE網に在圏する場合には、CBC22から配信されたエリアメールを受信し、該エリアメールを電力制御端末41に送信する。S−GW32は、ユーザデータパケットの中継を行うゲートウェイである。P−GW33は、インターネット等の外部のネットワークに接続するためのゲートウェイである。以下では、電力制御端末41が3G網に在圏しているとして、各構成の説明を行う。なお、モバイルネットワークである3G網に在圏する電力制御端末41を備える電力管理システム1は、電力管理システムの一例に過ぎず、電力管理システムがその他の通信網を利用して実現されるものであってもよい。
【0023】
図2は、本実施形態の位置測位システムに含まれる各ノードのハードウェア構成を示す図である。すなわち、図1に示されるBTS11、RNC12、SGSN13、GGSN14、電力管理サーバ21、CBC22、eNodeB31、S−GW32、P−GW33、及び電力制御端末41は、それぞれ物理的には、図2に示すように、1又は複数のCPU111、主記憶装置であるRAM112及びROM113、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置114、ディスプレイ等の出力装置115、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール116、半導体メモリ等の補助記憶装置117などを含むコンピュータシステムとして構成されている。
【0024】
各ノードの機能は、図2に示すCPU111、RAM112等のハードウェア上に1又は複数の所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU111の制御のもとで入力装置114、出力装置115、通信モジュール116を動作させるとともに、RAM112や補助記憶装置117におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0025】
図1に戻り、電力管理サーバ21は、各施設50に設置された電気機器3に電力を供給する電力管理装置である。電力管理サーバ21は、例えば電力会社の敷地内に設置される。電力管理サーバ21の詳細な機能について、図3及び図4も参照しながら説明する。図3は、本実施形態に係る電力管理装置の機能を示すブロック図である。図4は、本実施形態に係る電力管理装置及び電力制御端末の重み記憶部にて記憶された情報を示す表であり、図4(a)は重み算出データテーブルを、図4(b)は電力レベル算出データテーブルを、それぞれ示す表である。
【0026】
図3に示されるように、電力管理サーバ21は、取得部211と、算出部212と、重み記憶部213と、導出部214と、を備えている。
【0027】
取得部211は、複数のエリアそれぞれに含まれる複数の施設50の特徴を示す情報である施設情報を取得する取得手段である。エリアとは、予め定められた所定の領域である。当該エリア単位で、導出部214により、電力の供給を抑制する(電力削減を行う)か否かが判断される。施設50とは、建物等の設備であり、例えば家や病院、学校等である。施設情報とは、施設50の特徴を示す情報であり、例えば、施設の利用態様を示した施設種別、施設の使用者を示した使用者種別、施設が契約している電力量を示した契約電力量、及び、施設の平均消費電力量である。施設種別とは、例えば病院等の緊急時に利用される施設の種別である「緊急」や、学校等の公共施設の種別である「公共」、家等のその他の一般的な施設の種別である「一般」等である。また、使用者種別とは、例えば幼児が使用者に含まれている場合の種別である「幼児あり」や、子供(幼児に該当しない子供)が使用者に含まれている場合の種別である「子供あり」、幼児も子供も使用者に含まれていない場合の種別である「一般」等である。また、契約電力量とは、「400A」等である。また、平均消費電力量とは、1日に利用する平均的な電力量であり、例えば、「2kW/日」等である。
【0028】
取得部211は、電力管理サーバ21と通信が可能な各電力制御端末41から、各電力制御端末41に対応する施設50のプロファイル情報(詳細は後述)を受信することにより、複数の施設50の施設情報を取得する。取得部211は、プロファイル情報を受信するたびに、施設情報を取得してもよいし、所定の時間間隔で施設情報を取得してもよい。取得部211は、取得した施設情報を算出部212に出力する。
【0029】
算出部212は、取得部211が出力した施設情報に基づき、各施設50において電力削減が可能な可能削減電力量を算出する算出手段である。また、算出部212は、必要削減電力量(削減することが求められている電力量)に応じて決まる電力レベルに基づき、可能削減電力量を算出する。具体的には、算出部212は、取得部211が出力した施設情報、オペレータによって入力された必要削減電力量、重み記憶部213に格納された重み算出データテーブルhd(図4(a)参照)、及び、重み記憶部213に格納された電力レベル算出データテーブルed(図4(b)参照)に基づいて、施設50の可能削減電力量を算出する。
【0030】
図4(a)に示されるように、重み算出データテーブルhdでは、施設情報に含まれた項目である、施設種別、使用者種別、及び契約電力量の値に応じた重みが記憶されている。すなわち、例えば、施設種別「緊急」に対して「0%」が、「公共」に対して「5%」が、「一般」に対して「10%」が、それぞれ重みとして定義されている。また、使用者種別「幼児あり」に対して「0%」が、「子供あり」に対して「5%」が、「一般」に対して「10%」が、それぞれ重みとして定義されている。また、契約電力量「0〜400A」に対して「5%」が、「400〜500A」に対して「10%」が、「500A〜」に対して「15%」が、それぞれ重みとして定義されている。さらに、重み算出データテーブルhdでは、オペレータによって入力される必要削減電力量に基づいて決まる電力レベルに応じた重みが記憶されている。すなわち、例えば電力レベル「レベル1」に対して「5%」が、「レベル2」に対して「10%」が、「レベル3」に対して「20%」が、それぞれ重みとして定義されている。
【0031】
図4(b)に示されるように、電力レベル算出データテーブルedでは、必要削減電力量に応じた電力レベルが記憶されている。例えば、必要削減電力量が「〜10万kw」の場合には電力レベルが「レベル1」、必要削減電力量が「10万〜20万kw」の場合には電力レベルが「レベル2」、のように、必要削減電力量に応じた電力レベルが記憶されている。
【0032】
算出部212は、以下の式(1)に基づいて、可能削減電力量を算出する。
可能削減電力量=平均消費電力量*
(電力レベル重み+施設種別重み+使用者種別重み+契約電力量重み)
(1)
【0033】
例えば、算出部212は、取得部211から、施設種別が「一般」、使用者種別が「幼児あり」、契約電力量が「400A」、平均消費電力量が「2kW/日」の施設情報を取得したとする。また、算出部212は、オペレータから、必要削減電力量として20万kWが入力されたとする。この場合、算出部212は、重み記憶部213の重み算出データテーブルhdを参照し、施設種別重みが「10%」、使用者種別重みが「0%」、契約電力量重みが「5%」であることを特定する。また、算出部212は、重み記憶部213の電力レベル算出データテーブルedを参照し、必要削減電力量に応じた電力レベルが「レベル2」であることを特定するとともに、重み記憶部213の重み算出データテーブルhdを参照し、電力レベル重みが「10%」であることを特定する。そして、上記(1)式に基づき、
可能削減電力量=2kW*(10%+10%+0%+5%)=500w
を算出する。
【0034】
算出部212は、取得部211から取得した施設情報全ての可能削減電力量を算出することにより、各施設50の可能削減電力量を算出する。算出部212は、算出した可能削減電力量、及び、オペレータから入力された必要削減電力量を導出部214に出力する。また、オペレータからは、電力供給を一部停止する時間が算出部212に入力され、算出部212は、当該時間を導出部214に出力する。なお、取得部211による施設情報の取得は、電力の供給抑制を行うか否かに係らず所定の時間間隔で行われるのに対し、算出部212による可能削減電力量の算出は、電力の供給抑制を行う場合に限り行われるものであってもよい。
【0035】
図3に戻り、導出部214は、算出部212が出力した各施設50の可能削減電力量のうち、所定のエリアに含まれた各施設50の可能削減電力量の総和と、所定の必要削減電力量との比較結果に基づき、複数のエリアから電力削減の対象エリアを導出する導出手段である。導出部214は、ランダムに選択される一つのエリアに含まれた全ての施設50の可能削減電力量を合算することにより、所定のエリアに含まれた各施設50の可能削減電力量の総和を導出する。
【0036】
導出部214は、例えば、必要削減電力量が、ランダムに選択された一つのエリアに含まれた全ての施設50の可能削減電力量の合計を上回っていない場合(下回っているか若しくは等しい場合。以下、「必要削減電力量がより小さい場合」として説明する場合がある)には、当該ランダムに選択された一つのエリアを電力削減を行う対象エリアとする。
【0037】
一方、導出部214は、例えば、必要削減電力量が、ランダムに選択された一つのエリアに含まれた全ての施設50の可能削減電力量の合計を上回っている場合(以下、「必要削減電力量がより大きい場合」として説明する場合がある)には、エリアを拡大して、必要削減電力量と、拡大後のエリアに含まれた全ての施設50の可能削減電力量とが比較される。エリアを拡大するとは、例えば、新たなエリアを一つ追加することをいう。比較の結果、必要削減電力量がより小さい場合には、当該拡大後の(例えば2つの)エリアが電力削減を行う対象エリアとされる。また、比較の結果、依然、必要削減電力量がより大きい場合には、さらにエリアを拡大して、必要削減電力量と、さらに拡大したエリアに含まれた全ての施設50の可能削減電力量とが比較される。このように、「必要削減電力量がより小さい」状態となるまで、少しずつ(例えば1つずつ)エリアが拡大されて、必要削減電力量と、拡大後のエリアに含まれた全ての施設50の可能削減電力量との比較が繰り返し行われる。導出部214は、電力削減を行う対象エリアとした一又は複数のエリアを特定する情報、必要削減電力量(又は、必要削減電力量に応じた電力レベル)、及び、電力供給を一部停止する時間、を含んだエリアメール配信要求を、CBC22に送信する。
【0038】
図1に戻り、CBC22は、導出部214からのエリアメール配信要求を契機として、同じ内容のエリアメールを一斉配信する同報配信装置であって、電力管理サーバ21及び電力制御端末41の双方と通信が可能な通信装置である。エリアメールとは、非常時の回線混雑などの影響を受けずに特定エリアへ一斉配信されるメッセージである。CBC22は、導出部214により導出された電力削減の対象エリアの電力制御端末41に対して、電力の削減に係る情報を含んだエリアメールを自システム内に配信する配信手段としての機能を有している。CBC22から配信されたエリアメールは、RNC12等を介して電力制御端末41に配信される。電力削減の対象エリアは、導出部214からのエリアメール配信要求に含まれた、一又は複数のエリアを特定する情報から特定される。電力の削減に係る情報とは、導出部214からのエリアメール配信要求に含まれた、必要削減電力量、及び、電力供給を一部停止する時間を含んだ情報である。
【0039】
電力制御端末41は、各施設50の電気機器3に対応して設置された、電気機器3を制御する端末である。電力制御端末41の詳細な機能について、図5図9も参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係る電力制御端末の構成例を示す図であり、図5(a)は施設単位に電力制御端末を設ける例を、図5(b)は電気機器単位に電力制御端末を設ける例を、それぞれ示す図である。図6は、本実施形態に係る電力制御端末の機能を示すブロック図である。図7は、本実施形態に係る電力制御端末のプロファイル情報記憶部にて記憶されたプロファイル情報を示す表である。図8は、本実施形態に係る電力制御端末の優先順位記憶部にて記憶された優先順位情報を示す表である。図9は、電気機器にて記憶された機器情報を示す表である。
【0040】
電力制御端末41は、図5(a)に示されるように、施設50単位に1つ設けられた電力制御端末41xであってもよい。電力制御端末41xは、同一施設50内の各電気機器3a〜3xと電気的に接続されており、各電気機器3a〜3xを電気的に制御することが可能とされている。また、電力制御端末41は、図5(b)に示されるように、施設50内の電気機器3a〜3xそれぞれに対応して1つずつ設けられた電力制御端末41yであってもよい。ある電力制御端末41yは、電気機器3aと電気的に接続されており、別の電力制御端末41yは、電気機器3bと電気的に接続されており、さらに別の電力制御端末41yは、電気機器3xと電気的に接続されている。これにより、複数の電力制御端末41yは、各電気機器3a〜3xを電気的に制御することが可能とされている。以下では、電力制御端末41は、施設50単位に1つ設けられた電力制御端末41xであるとして説明する。
【0041】
図6に示されるように、電力制御端末41は、送信部411と、プロファイル情報記憶部412と、受信部413と、決定部414と、重み記憶部415と、優先順位記憶部416と、電力停止部417と、を備えている。
【0042】
送信部411は、電力制御端末41に対応する施設50のプロファイル情報を送信する機能を有する。より詳細には、送信部411は、プロファイル情報記憶部412を参照することによりプロファイル情報を取得し、所定の時間間隔で、プロファイル情報を電力管理サーバ21に送信する。
【0043】
図7に示されるように、プロファイル情報piとは、プロファイル情報記憶部412に格納された情報であり、電力制御端末名、施設種別、使用者種別、平均消費電力量、及び契約電力量を対応付けた情報である。電力制御端末名とは、電力制御端末41を一意に特定する情報であり、例えば数字の「1」等で示される。施設種別とは、当該電力制御端末41が設けられている施設50の利用態様を示した情報であり、例えば病院等の緊急時に利用される施設の種別である「緊急」や、学校等の公共施設の種別である「公共」、家等のその他の一般的な施設の種別である「一般」等で示される。また、使用者種別とは、当該電力制御端末41が設けられている施設50の使用者を示した情報であり、例えば幼児が使用者に含まれている場合の種別である「幼児あり」や、子供(幼児に該当しない子供)が使用者に含まれている場合の種別である「子供あり」、幼児も子供も使用者に含まれていない場合の種別である「一般」等で示される。また、平均消費電力量とは、当該電力制御端末41が設けられている施設50が1日に利用する平均的な電力量であり、例えば「2kW/日」等で示される。また、契約電力量とは、当該電力制御端末41が設けられている施設50が契約している電力量であり、例えば、「400A」等で示される。各情報は、契約情報や電力の使用状況、機器情報から自動で取得されるものであってもよいし、施設50の使用者や電力会社のオペレータによって手動で入力された情報が取得されるものであってもよい。
【0044】
図6に戻り、受信部413は、CBC22から配信されたエリアメールを受信する受信手段である。受信部413は、受信したエリアメールに含まれた電力の削減に係る情報のうち、必要削減電力量、及び、電力供給を一部停止する時間を、決定部414に出力する。
【0045】
決定部414は、施設50における可能削減電力量を決定する決定手段である。より詳細には、決定部414は、プロファイル情報記憶部412に格納されたプロファイル情報(施設情報)、CBC22により配信された電力の削減に係る情報に含まれた必要削減電力量、重み記憶部415に格納された重み算出データテーブルhd(図4(a)参照)、及び、重み記憶部415に格納された電力レベル算出データテーブルed(図4(b)参照)に基づいて、施設50における可能削減電力量を決定する。重み記憶部415に格納された重み算出データテーブルhd及び電力レベル算出データテーブルedは、上述した電力管理サーバ21の重み記憶部213に格納された重み算出データテーブルhd及び電力レベル算出データテーブルedと同様である。よって、決定部414は、上述した電力管理サーバ21の算出部212と同様、上述した式(1)に基づいて、施設50における可能削減電力量を算出することができる。
【0046】
さらに、決定部414は、施設50内の電気機器3であって、電力制御端末41と電気的に接続された複数の電気機器3のカテゴリ及び消費電力に基づいて、電気機器3の電力削減(電力停止)優先順位を設定する。電気機器3は、それぞれ、図9に示されるように、機器名と消費電力とカテゴリとが対応付けられた機器情報aiを記憶している。図9に示す例では、エアコン(図9(a))は、消費電力が「250W」、カテゴリが「一般」の機器情報aiEを記憶しており、冷蔵庫(図9(b))は、消費電力が「400W」、カテゴリが「必需品」の機器情報aiFを記憶しており、テレビ(図9(c))は、消費電力が「255W」、カテゴリが「嗜好品」の機器情報aiTを記憶している。なお、カテゴリとは、電気機器3がどのような態様で使用されるかを示したものである。また、優先順位記憶部416には、図8に示されるように、優先順位情報riが格納されている。優先順位情報riは、電気機器3の、優先順位とカテゴリと消費電力とが対応付けられた情報である。図8に示す例では、カテゴリが嗜好品、一般、及び必需品の順に優先順位が高く設定されており、消費電力が大きいほど優先順位が高く設定されている。
【0047】
例えば、決定部414が、電力使用中の電気機器3の機器情報として、図9に示すエアコン、冷蔵庫、テレビの機器情報aiを取得したとする。この場合、決定部414は、優先順位記憶部416の優先順位情報riを参照することにより、カテゴリが嗜好品であるテレビの電力削減優先順位を最も高く設定する。さらに、決定部414は、カテゴリが一般であるエアコン、カテゴリが必需品である冷蔵庫、の順に、電力削減優先順位を設定する。
【0048】
決定部414は、算出した可能削減電力量、及び、電力供給を一部停止する時間とともに、設定した電力削減優先順位、及び、各電気機器3の消費電力を電力停止部417に出力する。
【0049】
図6に戻り、電力停止部417は、決定部414により決定された可能削減電力量に基づき、電気機器3への電力供給を停止する電力停止手段である。電力停止部417は、決定部414により設定された電力削減優先順位が高い順に、電気機器3への電力供給を停止する。この際、電力供給が停止される時間は、決定部414により出力された、電力供給を一部停止する時間とされる。電力停止部417は、電気機器3への電力供給を停止すると、停止した電気機器3の消費電力の総和が、施設50における可能削減電力量を上回っているか否かを判定する。上回っていれば、電気機器3への電力供給を停止する処理は終了し、電力供給を停止する処理が行われていないその他の電気機器3は、通常どおり運転させられる。一方、上回っていなければ、電力削減優先順位が次に高い電気機器3への電力供給が停止される。そして、停止した電気機器3の消費電力の総和が、施設50における可能削減電力量を上回っているか否かが判定され、上回っていれば電気機器3への電力供給を停止する処理は終了し、上回っていなければ、再度、電力削減優先順位が次に高い電気機器3への電力供給が停止される。このような処理が、停止した電気機器3の消費電力の総和が施設50における可能削減電力量を上回るまで繰り返し行われる。
【0050】
次に、電力管理システム1における事前データ収集処理のイメージについて、図10を参照して説明する。図10は、本実施形態に係る事前データ収集処理の概略図である。
【0051】
図10に示されるように、電力管理システム1では、電力管理サーバ21が複数の施設50を管轄しており(図10に示す例では、施設50a〜50dを例示)、各施設50内の電気機器(図10に示す例では、電気機器3a,3xを例示)に電力を供給している。また、施設50aに対応して電力制御端末41aが、施設50bに対応して電力制御端末41bが、施設50cに対応して電力制御端末41cが、施設50dに対応して電力制御端末41dが、それぞれ設けられている。
【0052】
計画停電等の実施に備えて、各施設50a〜50dのプロファイル情報が、電力制御端末41a〜41dから電力管理サーバ21に対して所定の時間間隔で送信される。例えば、電力制御端末41aからは、電力管理サーバ21に対して、施設種別「一般」、使用者種別「幼児あり」、平均消費電力「2kW/日」契約電力量「400A」のプロファイル情報が送信される。他の電力制御端末41からも同様に電力管理サーバ21に対して各々の施設50のプロファイル情報が送信されており、例えば、電力制御端末41cからは、電力管理サーバ21に対して、病院である施設50cを示す施設種別「緊急」を含んだプロファイル情報が送信されている。また、電力制御端末41dからは、電力管理サーバ21に対して、学校である施設50dを示す施設種別「公共」を含んだプロファイル情報が送信されている。このようにして、電力管理サーバ21は、管轄の施設50に対応した各電力制御端末41から、それぞれプロファイル情報を収集する。
【0053】
次に、電力管理システム1におけるエリアメール配信処理のイメージについて、図11を参照して説明する。図11は、本実施形態に係るエリアメール配信処理の概略図である。
【0054】
図11に示されるように、電力管理システム1では、電力管理サーバ21において導出された、電力削減を行う対象エリアを特定する情報、必要削減電力量(又は電力レベル)、及び、電力供給を一部停止する時間(以下、「必要時間」として説明する場合がある)を含んだエリアメール配信要求がCBC22に送信される。そして、CBC22は、電力削減を行う対象エリアに設けられた電力制御端末(図10に示す例では、電力制御端末41a〜41d)に対して、エリアメールを配信する。当該エリアメールには、必要削減電力量(又は電力レベル)が含まれている。例えば、電力制御端末41aは、自身が保持するプロファイル情報(施設情報)、必要削減電力量、重み算出データテーブルhd(図4(a)参照)、及び、電力レベル算出データテーブルed(図4(b)参照)に基づいて、可能削減電力量を算出する。すなわち、電力制御端末41aは、施設種別「一般」、使用者種別「幼児あり」、平均消費電力「2kW/日」契約電力量「400A」のプロファイル情報、及び、20万kWの必要削減電力量に基づき、可能削減電力量(500W)を導出する。
【0055】
さらに、例えば電力制御端末41aは、電気的に接続された電気機器3a(エアコン)、電気機器3b(冷蔵庫)、及び電気機器3c(テレビ)のカテゴリに基づき、カテゴリが嗜好品である電気機器3c(テレビ)、カテゴリが一般である電気機器3a(エアコン)、カテゴリが必需品である電気機器3b(冷蔵庫)の順に、電力削減優先順位を設定する。そして、電力制御端末41aは、電力削減優先順位が高い順に、電気機器3への電力供給を停止する。すなわち、電力制御端末41aは、最初に電気機器3c(テレビ)への電力供給を停止し、次いで、電気機器3a(エアコン)への電力供給を停止する。この時点で、停止した電気機器3c,3aの消費電力の総和が、505W(255W+250W)となり、可能削減電力量(500W)を上回るため、電力供給を停止する処理は終了し、電気機器3b(冷蔵庫)は通常通り運転することとなる。
【0056】
次に、電力管理サーバ21における、エリアメール配信エリアの決定処理について、図12を参照しながら説明する。図12は、本実施形態に係る電力管理サーバによる処理を示すフローチャートである。
【0057】
図12に示されるように、まず、取得部211により、各電力制御端末41から送信された施設50のプロファイル情報が受信され、施設50の施設情報が取得される(ステップS11)。つづいて、算出部212により、オペレータが入力した必要削減電力量、及び、重み記憶部213が格納している電力レベル算出データテーブルedに基づいて、必要削減電力量に応じた電力レベルが算出され(ステップS12)、ランダムで一つのエリアが決められる(ステップS13)。
【0058】
そして、算出部212により、取得部211が出力した施設情報、必要削減電力量に応じた電力レベル、重み記憶部213に格納された重み算出データテーブルhd(図4(a)参照)に基づいて、施設50の可能削減電力量が算出される(ステップS14)。つづいて、導出部214により、必要削減電力量が、ランダムに選択された一つのエリアに含まれた全ての施設50の可能削減電力量の合計を上回っているか否かが判定される(ステップS15)。上回っていない場合には、当該ランダムに選択された一つのエリアが電力削減を行う対象エリアとされ、エリアメール配信エリアの決定処理が終了する。一方で、上回っている場合には、S13の処理によりさらに一つのエリアが追加されることによりエリアが拡大され、必要削減電力量と、拡大後のエリアに含まれた全ての施設50の可能削減電力量とが比較される。このように、「必要削減電力量がより小さい」状態となるまで、少しずつ(例えば1つずつ)エリアが拡大されて、必要削減電力量と、拡大後のエリアに含まれた全ての施設50の可能削減電力量との比較が繰り返し行われる。
【0059】
次に、電力制御端末41における、電力供給停止処理について、図13を参照しながら説明する。図13は、本実施形態に係る電力制御端末による処理を示すフローチャートである。
【0060】
図13に示されるように、まず、受信部413により、CBC22から配信されたエリアメールが受信される(ステップS21)。当該エリアメールには、必要削減電力量及び必要時間が含まれている。つづいて、決定部414により、プロファイル情報記憶部412が格納したプロファイル情報(施設情報)、CBC22により配信された電力の削減に係る情報に含まれた必要削減電力量、重み記憶部415に格納された重み算出データテーブルhd(図4(a)参照)、及び、重み記憶部415に格納された電力レベル算出データテーブルed(図4(b)参照)に基づいて、施設50における可能削減電力量が決定される(ステップS22)。
【0061】
決定部414により電力使用中の電気機器3の機器情報が取得される(ステップS23)。そして、決定部414により、機器情報に示されたカテゴリ及び消費電力に関する情報と、優先順位記憶部416が格納する優先順位情報riとに基づき、停止対象機器である電気機器3の電力削減優先順位が設定される(ステップS24)。
【0062】
つづいて、電力停止部417により、電力使用中の電気機器3のうち、電力削減優先順位が最も高い電気機器3への電力供給が停止される(ステップS25)。そして、電力停止部417により、停止した電気機器3の消費電力の総和(トータル消費電力)が、可能削減電力量を上回っているか否かが判定される(ステップS26)。上回っている場合には、電気機器3への電力供給を停止する処理は終了し、電力供給を停止する処理が行われていないその他の電気機器3は、通常どおり運転する。一方、上回っていなければ、電力削減優先順位が次に高い電気機器3への電力供給が停止される。そして、停止した電気機器3の消費電力の総和が、施設50における可能削減電力量を上回っているか否かが判定され、上回っていれば電気機器3への電力供給を停止する処理は終了し、上回っていなければ、再度、電力削減優先順位が次に高い電気機器3への電力供給が停止される。このような処理が、停止した電気機器3の消費電力の総和が、施設50における可能削減電力量を上回るまで繰り返し行われる。
【0063】
次に、事前データの収集から、電気機器への電力供給停止に至るまでの、電力管理システム1の処理について、図14を用いて説明する。図14は、本実施形態に係る電力管理システムの処理を示すシーケンス図である。
【0064】
図14に示されるように、まず、各施設50内の電気機器3から、電力制御端末41に対して機器情報及び使用電力が通知される(ステップS101)。つづいて、電力制御端末41により、プロファイル情報が生成され、当該プロファイル情報を通知するプロファイル情報通知が電力管理サーバ21に送信される(ステップS102)。
【0065】
そして、計画停電の実施を行う際等に、電力管理サーバ21において、各施設の可能削減電力量が算出され、当該可能削減電力量に基づき、電力削減を行う対象エリアが決定される(ステップS103)。つづいて、電力管理サーバ21により、電力削減を行う対象エリアを特定する情報、必要削減電力量、及び必要時間を含んだエリアメール配信要求がCBC22に送信される(ステップS104)。
【0066】
CBC22により、必要削減電力量、及び、必要時間を含んだエリアメールが、電力削減を行う対象エリアの電力制御端末41に対して配信される(ステップS105)。そして、電力制御端末41において、可能削減電力が算出され(ステップS106)、停止対象機器である電気機器3の電力削減優先順位が設定され(ステップS107)、電力削減優先順位が最も高い電気機器3から順に、電力供給が停止される(ステップS108)。
【0067】
次に、本実施形態に係る電力管理システム1の作用効果について説明する。
【0068】
本実施形態に係る電力管理システム1では、施設情報に基づいて、各施設50の可能削減電力量が算出される。そして、所定のエリアに含まれた各施設50の可能削減電力量の総和と、所定の必要削減電力量とから、電力削減の対象エリアが導出される。このように、施設50の特徴を示す情報である施設情報に基づいて算出された各施設50の可能削減電力量を考慮して、電力削減の対象エリアが決定されるため、各エリアに含まれる施設50の特徴を考慮して、電力削減の対象エリアを決定することができる。このため、施設50の特徴に応じた適切なエリアを電力削減の対象エリアとすることができ、必要以上にエリアが拡大されることに伴って必要以上に電気機器3の使用が制限されることを抑制できる。また、各施設の可能削減電力量の総和に基づいて対象エリアが導出されるものであるため、緊急性が高い施設が含まれるエリアであるか否かによって対象エリアが決定される場合と比べて、施設間の公平性を担保することができる。すなわち、単に緊急性が高い施設が含まれるエリアの施設であるという理由だけで削減対象外となることがなく、施設間の公平性が保たれる。以上より、本発明によれば、電気機器を使用するユーザにとっての利便性が高い態様で、電力供給を制御することができる。
【0069】
また、本実施形態に係る電力管理システム1では、導出部214は、比較結果において、所定の必要削減電力量が、所定のエリアに含まれた各施設50の可能削減電力量の総和を上回っている場合には、所定のエリアを拡大して、再度、所定エリアに含まれた各施設の可能削減電力量の総和と、所定の必要削減電力量とを比較し、所定の必要削減電力量が、所定のエリアに含まれた各施設の可能削減電力量の総和を上回っていない場合には、所定のエリアを電力削減の対象エリアとする。これにより、必要削減電力量と所定のエリアの可能削減電力量の総和とを比較しながら、必要削減電力量が可能削減電力量を上回っている場合に限り、順次エリアが拡大される。このような比較が行われることにより、例えばエリアを一つずつ拡大していくことで、電力削減の対象エリアを必要最小限とすることができ、必要以上の電気機器3の使用が制限されることを抑制し、電気機器3を使用するユーザにとっての利便性が高い態様で、電力供給を制御することができる。
【0070】
また、本実施形態に係る電力管理システム1は、導出部214により導出された、電力削減の対象エリアにおける電力の削減に係る情報を自システム内に配信するCBC22をさらに備えている。電力の削減に係る情報が配信されることにより、電力削減の対象エリアにおいて、適切に電力供給を制御することができる。
【0071】
また、本実施形態に係る電力管理システム1では、施設情報には、施設の利用態様を示した施設種別、施設の使用者を示した使用者種別、施設が契約している電力量を示した契約電力量、及び、施設の平均消費電力量が含まれている。これらの情報が施設情報とされることにより、施設情報を、施設の特徴が適切に反映されたものとできる。
【0072】
また、本実施形態に係る電力管理システム1では、算出部212は、必要削減電力量に応じて決まる電力レベルに基づき、可能削減電力量を算出する。必要削減電力量に応じて決まる電力レベルを考慮して可能削減電力量が算出されることにより、可能削減電力量を、求められている電力削減度合いに応じたものとできる。
【0073】
また、本実施形態に係る電力管理システム1は、各施設50の電気機器3に対応して設置された、電気機器3を制御する電力制御端末41に設けられ、電力制御端末41において記憶されたプロファイル情報、及び、CBC22により配信された電力の削減に係る情報に基づいて、施設50の可能削減電力量を決定する決定部414をさらに備え、CBC22は、電気機器3に電力を供給する電力管理サーバ21、及び、電力制御端末41の双方と通信が可能な通信装置である。これにより、CBC22から電力の削減に係る情報が配信され、電力制御端末41に設けられた決定部414により、電力制御端末41において記憶されたプロファイル情報、及び電力の削減に係る情報に基づいて可能削減電力量が決定される。このように、決定部414が、電力制御端末41において記憶されたプロファイル情報を用いて各施設50の可能削減電力量を決定できるため、CBC22から配信される電力の削減に係る情報に、施設50毎の可能削減電力量を含まない態様とすることができる。このことにより、電力の削減に係る情報を共通の内容(例えば、必要削減電力量及び電力停止時間等の情報)とすることができ、電力の削減に係る情報の一括配信が可能となる。このことで、電力の制御に係る情報の配信が簡易化する。
【0074】
また、本実施形態に係る電力管理システム1は、決定部414により決定された可能削減電力量に基づき、電気機器3への電力供給を停止する、電力制御端末41に設けられた電力停止部417をさらに備える。これにより、電力制御端末41側において、可能削減電力量に応じた電力供給停止を確実に行うことができる。
【0075】
また、本実施形態に係る電力管理システム1では、決定部414が、電気機器3のカテゴリ及び消費電力に基づいて、各施設50に含まれる電気機器3の電力削減優先順位を設定し、電力停止部417が、電力削減優先順位に基づいて、可能削減電力量を実現するように、電気機器3への電力供給を停止する。例えば、カテゴリが嗜好品に該当する電気機器3への電力供給を優先的に停止する一方で生活必需品に該当する電気機器3への電力供給を極力停止しないようにしたり、消費電力の大きい電気機器3への電力供給を優先的に停止すること等によって、ユーザにとって重要な電気機器3への電力供給を極力維持し、また、電力供給が停止する電気機器3を必要最小限とすることができる。これによって、よりユーザにとって利便性が高い態様で、電力供給を制御することができる。
【0076】
また、本実施形態に係る電力管理システム1では、決定部414により決定された可能削減電力量に基づき、電気機器3への電力供給を停止する、電力制御端末41に設けられた電力停止部417をさらに備え、CBC22が、電力供給を停止する時間を含んだ電力の削減に係る情報を配信し、決定部414が、電力の削減に係る情報に含まれた電力供給を停止する時間を電力停止部417に出力し、電力停止部417が、決定部414に出力された電力供給を停止する時間に示された時間だけ、電気機器3への電力供給を停止する。これにより、電力供給が停止する時間を適切な時間(必要最小限の時間)とすることができ、よりユーザにとって利便性が高い態様で、電力供給を制御することができる。
【0077】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。すなわち、電力管理サーバ21とCBC22とが別の装置である例を説明したが、これらの機能が一つの装置により実現されるものであってもよい。
【0078】
また、施設情報として、施設の利用態様を示した施設種別、施設の使用者を示した使用者種別、施設が契約している電力量を示した契約電力量、及び、施設の平均消費電力量が含まれているとして説明したが、施設情報は、これらの少なくとも一つが含まれる情報であればよい。また、施設情報は、施設の特徴を示す情報を含むものであれば、上述した情報のいずれにも該当しない情報のみを含むものであってもよい。
【0079】
また、電力削減の対処エリアを導出する際には、一つずつエリアを拡大していく例を説明したがこれに限定されず、二つ以上のエリアが追加されるものであってもよい。
【0080】
また、決定部414が電力制御端末41に設けられている例を説明したがこれに限定されず、決定部は電力管理サーバに設けられていてもよい。また、CBC22からは複数の電力制御端末41に対してエリアメールが一斉配信されるとして説明したがこれに限定されず、CBCから各電力制御端末に対して個別に電力の削減に係る情報が配信されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…電力管理システム、3…電気機器、21…電力管理サーバ、41…電力制御端末、50…施設、211…取得部、212…算出部、214…導出部、414…決定部、417…電力停止部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14