【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施例1のエアシャワー装置を示す。エアシャワー装置11は、内部に側面と、天井面と、床面とドアとで囲まれたエアシャワー室を備えており、入口側及び出口側にドア21が設けられている。ドア21の窓部にはマジックミラー31が設けられている。
【0016】
ここで、マジックミラーとは、明るい側からは鏡に見えるが、暗い側からは向こう側が見える光学部品であり、ミラーガラスとも、また、透過率と反射率が等しいものはハーフミラーとも呼ばれる。
【0017】
ハーフミラーとは、透過率と反射率が厳密に等しいもののみを指すのではなく、ハーフミラーの一方の面は鏡のように見え、他方の面はハーフミラーを透過した先が見えるものを示す概念である。また、このような状態となるには、他方の面側より一方の面側が明るい必要がある。
【0018】
また、ミラーやハーフミラーには、ガラスやアクリル等の光を透過する部材に光を反射透過させるシートやフィルム状の部材を貼ることで構成されるものも含まれる。
【0019】
このようなマジックミラーとハーフミラーを併せた概念として、本明細書においては、反射部材と呼ぶ。ただし、以下の実施例の説明では、代表してマジックミラー31として説明する。
【0020】
図2に、実施例1のドア部21を示す。
図3の従来のドア22と比較して、縦框41及び横框42の幅を細くし、マジックミラー部31の面積を大きくした。これにより、マジックミラーに代えた効果を、より多く得ることができる。望ましくは、マジックミラー31の幅はドア部21の幅の半分より大きいとよい。
【0021】
これにより、入室者101は、内部からは鏡として大面積で使うことができる。また、室外者102は、外部からは広い視野角で内部を観察することができる。内部の観察方法については後述する。この内部を観察できる状態を反射モードまたは内部監視、内部観察もしくは内部確認モードと呼ぶ。
【0022】
また、マジックミラー31の面積は、入室者101が姿見として用い、また、室外者102から見られるようにするためには、入室者の身長の半分以上であって幅は肩幅の半分以上あることが望ましい。
具体的には、高さは少なくとも床面から300mmより高い位置であって、幅は300mm以上あると姿見として実施できる。
また、床面から200mmから180mmであって、幅は500mm程度あると入室者101は身体全体を見ることができ、室外者102も入室者101を容易に観察することができる。
【0023】
なお、マジックミラー31の面積は一部であっても実施可能であるが上記のようにできるだけ大きな面積であることが望ましい。構造上、十分な強度が得られれば、ドアノブ等の部材を除く全面をマジックミラーとすることも可能である。
【0024】
また、縦框41及び横框42に溝を設け、マジックミラー31を嵌め込むことができるため、構造上は、縦框41及び横框42を設けることが望ましい。
【0025】
図4〜7は、エアシャワー装置を上面から見たイメージ図を表す。
【0026】
図4において、エアシャワー装置11の本体51の両壁面には、照明91が取り付けられている。図には示していないが、両壁面には空気を吹き出す複数のエアジェットノズルが設けられている。
【0027】
図において、符号61はエアシャワー装置のエアシャワー室内を表し、符号71は前室を、符号81は作業室を表す。また、矢印は光線を表し、線の太さが光線の量を表す。光線とは、光の量を矢印で模式的に示したものである。
【0028】
図4は、エアシャワー室内61に入室者101がおり、照明91が点灯した状態を表す。この場合、前室71および作業室81に比べてエアシャワー室内61が明るいので、室内61から前室71或いは作業室81を見た場合、マジックミラー31は鏡のようになっている。逆に、前室71或いは作業室81から室内61を見た場合、マジックミラー31はガラスのように室内61が見える。
【0029】
室内61にいる入室者101は、鏡のようになったマジックミラー31を用いて、身支度を整えることが可能となる。また、前室71或いは作業室81からは、エアシャワー装置11内の入室者101が見えるため、エアシャワーを取り決め通りに使用しているか、確認することが可能である。取り決めとは、食品工場や半導体の製造工場等において、工場の清浄度が高い環境に入る前に設置されたエアシャワー室内で、入室者101が衣服等についた塵埃を落とす所定の動作や時間である。
【0030】
図5は、
図4の他の動作状態を示す。
図5は、エアシャワー室内61の照明91が消灯し、前室71の照明92および作業室81の照明93が点灯している状態である。そして例えば、エアシャワー装置11の使用が終わり、エアシャワー装置11に人がいなくなった状態である。
【0031】
この場合、エアシャワー室内61が前室71と作業室81よりも暗いので、前室71および作業室81から見た場合に、マジックミラー31は鏡のように見える。そのため、エアシャワー室内に入室者101がいる場合にはマジックミラー31の先の前室71と作業室81を、室外者102は、前室71と作業室81からエアシャワー室内61の内部を互いに見ることができない状態とすることができる。
【0032】
さらに、作業室81内部の照明による光は前室71に通りにくくなるため、前室71の虫等が作業室81の明かりを見ることができず、作業室81へ向かいにくくなるため防虫の効果が見込まれる。
【0033】
また、作業室81での作業者にとっては、前室71を行き交う人が見えないので、作業室81またはエアシャワー室内61での作業等に集中することができる。
【0034】
さらに、前室71から作業室81が見えないので、作業室の情報の流出を防ぐことができる。
【0035】
図6は、
図4の他の動作状態を示す。
図6は、作業室81が非常に明るく(室内61と前室71より明るい状態)、室内61が前室71と作業室81との中間の明るさの状態である。この場合、前室71から作業室81等の状況を窺うことができる。
【0036】
逆に、作業室81から前室71を見ると、マジックミラー31は鏡面となっており、前室71の状況を知ることが出来ない。この場合、前室71から作業室81に人がいるかを見回ることができる。
【0037】
図7は、
図4の他の動作状態を示す。
図7は、
図6と逆の状況であり、前室71が非常に明るく(室内61と作業室81より明るい状態)、室内61が前室71と作業室81との中間の明るさの状態を示す。この場合、作業室81から前室71等の状況を窺うことができる。
【0038】
逆に、前室71から作業室81等を見ると、マジックミラー31は鏡面となっており、作業室81の状況を知ることが出来ない。この場合、前室から作業室の様子を見ることができないので、防犯の効果がある。
【0039】
本実施例によれば、エアシャワー装置のドアの窓部をマジックミラーとし、エアシャワー室内の照度を変えてやることにより、使用者にとってはドア部が鏡のように見え、衣服等に付着した塵埃を確認することができる。また、室外の管理者側からはドア部がガラスのように見え、使用者がきちんとエアシャワーを使用しているかを確認することができる。
【0040】
また、従来のエアシャワー装置であれば、ガラス部から内部の明かりが漏れていたが、本発明のようにマジックミラーにすることにより、室内に明かりがこもる為、同じ照明器具でも明るく感じる。これにより、同等の照度を必要とする場合、通常よりも小さい照明を用いることができ、省電力に繋がる。
【実施例3】
【0045】
本発明の実施例3は、エアシャワー室内、前室側および作業室側にそれぞれ照明を設置し、照度を制御するようにしたものである。
【0046】
図9に、実施例3のエアシャワー装置のブロック構成図を示す。エアシャワー室内には、室内照度センサー111と室内照明91が設けられている。前室には、前室照明センサー112と前室照明92が設けられている。
【0047】
そして、作業室には、作業室照度センサー113と作業室照明93が設けられている。なお、前室照明92および作業室照明93はエアシャワー装置と別に設けても良いし、或いは、エアシャワー装置に固定して一体に設けても良い。
【0048】
室内照度センサー111、前室照明センサー112および作業室照度センサー113から得られる室内、前室および作業室の照度信号は制御装置110に入力される。制御装置110では、室内、前室および作業室の照度信号に基づいて、室内照明91、前室照明92および作業室照明93を必要な照度とするための駆動信号を求める。そして、求めた駆動信号により室内照明91、前室照明92および作業室照明93を照明する。
【0049】
本実施例によれば、それぞれの室の照度を測定し、測定した照度に基づいて、それぞれの室の照明の明るさを調整するので、適切な照度の照明を行うことができる。ひいては、適切なタイミングでエアシャワー装置の照明によって光量を調整し、室内、前室、作業室等を他の室から視認できるか否かを任意に変更可能となる。
【実施例4】
【0050】
実施例4に、本発明のエアシャワー装置を用いたエアシャワー動作の一例を示す。この動作は、
図9に示される各照度センサーにより照度を測定し、制御装置により、各照明の照度を調整することにより実現できる。
【0051】
図10に、エアシャワー装置の動作、前室、室内および作業室の照明の状態、前室ドアおよび作業室ドアのマジックミラーの状態を表す図を示す。
(1)入室前は、前室のみ照明が点いた状態のため、前室ドアが鏡のようになり、エアシャワー装置の入室前に身支度を調えることができる。
(2)前室ドアを開け入室すると、室内の照明が点き作業室ドアが鏡のようになるため、2度目の身支度を調えることができる。
(3)前室ドアが閉まると、エアジェットが作動し、衣服に付着した塵埃を除去できる。
エアジェット中においては、前室と室内の照度がほぼ等しいため、前室から室内の様子がうっすらと確認でき、エアシャワーを適切に使用しているかを確認することができる。
(4)エアジェットが終了すると、一定時間クリーンアップ動作となり、室内照度が最高照度となる。このとき、前室ドアおよび作業室ドアの両方が鏡のようになり、3度目の身支度を確認できる。
ここで、クリーンアップ動作とは、エアジェットにより吹き飛ばされ、エアシャワー室内61の室中にある塵埃を外部に出さないようにする動作をいう。エアシャワー装置11内にファンモータを設け一様な風を起こすことにより浮遊した塵埃をフィルタで収集する。また、ファンモータを設けない場合は、エアジェットを吹き付けた後に、一定時間ドアの開けないことによって、塵埃が自重で床面に落下させる。なお、エアジェット終了後ドアの開閉はエアシャワー装置11側で制御してもよい。
(5)クリーンアップが終了し、退室した後に、作業室ドアを振り向くと鏡のようになり、4度目の身支度確認をできる。
【0052】
図において、オプションとして「音声ユニット」が設けられており、これを用いることにより、各状態でのエアシャワー使用者に対し、音声により動作毎の指示を与えることができ、鏡による身支度を徹底させることができる。また、エアシャワー装置11内にディスプレイ等を設置することによって、指示をディスプレイに表示してもよい。このとき、身支度やエアジェット中の所定の動作等を表示してもよい。また、クリーンアップ時間を表示することで、再度マジックミラー31を姿見として用いることができ、クリーンアップ時間を有効活用することができる。
【0053】
また、エアシャワー室61内には、入室者101が身支度をする際において、外部から見られたくない場合を考慮し、ボタンや音声の入力手段に入力することで、エアシャワー室内61の光量をエアシャワー室外よりも下げることで、外部から観察されない状態を有していてもよい。これを反射モードと呼ぶ。反射モードを採用することによって、入室者101が観察されない時間を作ることで、入室者101が安心して利用できるようになる。
【0054】
なお、室内照明91、前室照明92および作業室照明93の動作制御としては、
図10の動作例の限らず、他の動作も実現できる。一例としては、エアジェット終了後のみ室内61の照明91を点灯させ、身支度の最終確認を可能とする。
【0055】
他の一例としては、エアジェット中は室内61の照明91を点灯させて鏡のように用いるが、所定の時間間隔で所定の時間消灯する、例えば数秒に1秒程度で照明を消し、強制的に外部(前室・作業室)を見えるようにすることにより、『自分は見られている』という意識を入室者に持たせ、エアシャワーをきちんと使わせるように意識付けすることができる。