特許第6542714号(P6542714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6542714
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】容器ホルダ
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/10 20060101AFI20190628BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   B60N3/10 A
   B60R7/04 C
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-116931(P2016-116931)
(22)【出願日】2016年6月13日
(65)【公開番号】特開2017-222192(P2017-222192A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2018年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100366
【氏名又は名称】しげる工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】中島 雅直
【審査官】 須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−159880(JP,A)
【文献】 特開2010−195186(JP,A)
【文献】 特開2002−029304(JP,A)
【文献】 特開平11−301333(JP,A)
【文献】 特開平09−052551(JP,A)
【文献】 特開2002−193019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/10
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開放された容器収容空間を有する収容部と、
上記収容部における上記容器収容空間に臨む支持壁部に上下方向に回動可能に支持されたフラップと、
上記フラップに上方への回動力を付与する付勢手段と、
上記フラップの上方への回動を規制する係止手段と、
を備え、上記フラップが上記係止手段に係止された基準姿勢で、上記容器収容空間に向かって突出している容器ホルダにおいて、
上記フラップにおける回動中心側の基部が剛性を有し、回動中心から離れた先部が弾性変形可能であり、
上記フラップは、剛性樹脂からなる第1材料構成部とエラストマーからなる第2材料構成部とを一体に有し、上記基部が上記第1材料構成部を含み、上記先部が上記第2材料構成部のみによって構成されていることを特徴とする容器ホルダ。
【請求項2】
上記基部が、上記第1材料構成部と、この第1材料構成部の上面を覆う上記第2材料構成部により形成されており、上記第2材料構成部が第1材料構成部から延出され、この延出部が上記先部として提供されることを特徴とする請求項に記載の容器ホルダ。
【請求項3】
上記先部は、上記基部から上記容器収容空間に向かって突出する第1部分とこの第1部分から下方に折れ曲がる第2部分を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器ホルダ。
【請求項4】
上記収容部は、パーティションで仕切られた2つの容器収容空間を有し、上記パーティションが上記支持壁部として提供され、上記パーティションには上記2つの容器収容空間にそれぞれ突出する2つのフラップが回動可能に支持されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の容器ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両の室内に装備されて、ペットボトル等の容器を保持する容器ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
容器ホルダは、各種の大きさ、形状の容器を収容できるように、収容部の大きさに余裕を持たせて形成されている。そのため、収容された容器が走行中にがたつく。
【0003】
下記特許文献1は、容器をがたつきなく保持する容器ホルダを開示している。この容器ホルダは、上部が開放された容器収容空間を有する収容部と、この収容部の壁部に上下方向に回動可能に支持されたフラップと、上記フラップに上方への回動力を付与する付勢手段と、上記フラップの上方への回動を規制する係止手段と、を備えている。上記フラップは、全体にわたって剛性の樹脂材料により形成されており、上記係止手段に係止された基準姿勢で、上記容器収容空間に向かって略水平に突出している。
【0004】
容器が容器収容空間に挿入されるとき、フラップは容器底部により押し下げられた後、付勢手段の回動力で容器の胴部に押し当たる。容器はフラップと収容部におけるフラップの反対側の壁部との間で拘束されるので、がたつきなく保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−341800(図6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の容器ホルダでは、ペットボトルのようなくびれを有する容器を収容する場合に次のような不都合が生じる。上述したように、容器の収容後に、付勢手段の回動力でフラップが容器のくびれ部に当接し、容器を保持する。容器を上方に引出す時に、フラップの先端縁がくびれ部に引っ掛かる。この際、容器引出しを強引に行なうと、フラップが上記基本姿勢からさらに上方への回動力を受けるため、フラップやこのフラップを支持する壁部が破損する恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、上部が開放された容器収容空間を有する収容部と、上記収容部における上記容器収容空間に臨む支持壁部に上下方向に回動可能に支持されたフラップと、上記フラップに上方への回動力を付与する付勢手段と、上記フラップの上方への回動を規制する係止手段と、を備え、上記フラップが上記係止手段に係止された基準姿勢で、上記容器収容空間に向かって突出している容器ホルダにおいて、上記フラップにおける回動中心側の基部が剛性を有し、回動中心から離れた先部が弾性変形可能であることを特徴とする。
上記構成によれば、フラップの先部が容器のくびれ部に当接した状態で容器を強引に引き出しても、フラップの先部が弾性変形することにより、この引出しを許容でき、フラップやフラップを支持する壁部の破損を防止できる。
【0008】
好ましくは、上記フラップは、剛性樹脂からなる第1材料構成部とエラストマーからなる第2材料構成部とを一体に有し、上記基部が上記第1材料構成部を含み、上記先部が上記第2材料構成部のみによって構成されている。
上記構成によれば、フラップが2つの異なる材料構成部を一体に有する構成であるので、二色成形等で安価に製造することができる。
【0009】
好ましくは、上記基部が、上記第1材料構成部と、この第1材料構成部の上面を覆う上記第2材料構成部により形成されており、上記第2材料構成部が第1材料構成部から延出され、この延出部が上記先部として提供される。
上記構成によれば、第2材料構成部が基部を覆い先部へと延出されているため、先部の弾性変形の繰り返しによる基部と先部の境での疲労破壊を回避できる。
【0010】
好ましくは、上記先部は、上記基部から上記容器収容空間に向かって突出する第1部分とこの第1部分から下方に折れ曲がる第2部分を有している。
【0011】
好ましくは、上記収容部は、パーティションで仕切られた2つの容器収容空間を有し、上記パーティションが上記支持壁部として提供され、上記パーティションには上記2つの容器収容空間にそれぞれ突出する2つのフラップが回動可能に支持されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の容器ホルダによれば、容器の引出しの際にフラップやフラップを支持する壁部の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る容器ホルダの斜視図である。
図2図1のII−II矢視断面図である。
図3図1のIII−III矢視断面図である。
図4】同容器ホルダのパーティションとフラップの斜視図である。
図5】同パーティションとフラップの分解斜視図である。
図6】(A)は同容器ホルダのフラップの平面図、(B)は図6(A)におけるB−B矢視断面図、(C)は、図6(A)におけるC−C線に沿う端面図である。
図7】同容器ホルダに容器を収容した状態を示す図である。
図8】同容器ホルダに収容された容器を取り出す途中の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第1実施形態を、図面を参照しながら説明する。
先ず、容器ホルダの全体構造について図1図5を参照して説明する。容器ホルダHは、自動車の車室内に設けられ、例えば、運転席と助手席を隔てるセンターコンソール(図示せず)に設けられている。図1に示すように、容器ホルダHは、ケース10と、パーティション20と、2枚のフラップ30とを備えている。ケース10とパーティション20により、収容部1が構成され、パーティション20は収容部1の支持壁部として提供される。
【0015】
ケース10は、横断面が略長円形状をなし、その長辺をなす一対の壁部の中央部間にパーティション20が配置され、ケース10内を2分割している。これにより、収容部1は、2つの容器収容空間11を有している。
【0016】
図4図5に示すように、パーティション20は、下側部材21と、この下側部材21に嵌め込まれた上側部材22とを有している。下側部材21は、この下側部材21をケース10の壁面に着脱可能に取り付けるための爪21aと、上側部材22を下側部材21に着脱可能に取り付けるための爪21bを有している。
【0017】
下側部材21と上側部材22の中央部(パーティション20の長手方向中央部)には互いに対向する凹部23,24が形成されており、これら凹部23,24が協働して、フラップ30の少なくとも一部を収容するフラップ収容空間Sを提供している。
【0018】
下側部材21の両端部(パーティション20の長手方向両端部)の上面には、パーティション20の長手方向に延びる2つの軸受溝25が互いにパーティション20の幅方向に離れて形成されている。同様に上側部材22の両端部の下面にも軸受溝26が2つずつ形成されている。上下の軸受溝25,26が合わさって、後述するようにフラップ30を回動可能に支持するための軸受が構成されている。
【0019】
2枚のフラップ30は、パーティション20にその長手方向に延びる回動軸線(図6(A)において符号Lで示す)を中心に回動可能に支持されている。
図6に示すように、フラップ30は、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS樹脂)等の剛性樹脂からなる第1材料構成部31と、エラストマーからなる第2材料構成部32とを、二色成形により一体に有している。
【0020】
第1材料構成部31は、回動軸線L方向に離間した2つの凸部31aを有して平面形状が略コ字形をなしている。各凸部31aの外側の面には回転軸33が形成され、内側の面には支持軸34が形成されている。これら回転軸33と支持軸34は回動軸線L上に配置されている。
【0021】
第2材料構成部32は、上記第1材料構成部31の上面を覆うとともにこの第1材料構成部31から上記回動軸線Lの反対側に延出している。第1材料構成部31とこの第1材料構成部31を覆う第2材料構成部32の一部により、フラップ30の基部30Aが構成されている。第1材料構成部31から延出した第2材料構成部32により、フラップ30の先部30Bが構成されている。
上記先部30Bは、後述する基本姿勢において容器収容空間11に向かって突出する第1部分30Bとこの第1部分30Bの先端から下方に屈曲した第2部分30Bを有している。この第2部分30Bは上から見た時凹曲線を描いている。
【0022】
上記構成をなすフラップ30は、その回動軸線L方向の両端の回転軸33を、パーティション20の軸受溝25,26間に収容することにより、回動軸線Lを中心に上下方向に回動可能に支持されている。
【0023】
上記2枚のフラップ30はそれぞれ、ねじりコイルばね40(付勢手段)により上方に付勢されている。図3に示すように、ねじりコイルバネ40はフラップ30の2つの支持軸34に装着されており、その一端はパーティション20の上側部材22に当接し、他端はフラップ30の下面に当接している。
【0024】
フラップ30の上方への回動は、フラップ30がパーティション20の上側部材22の凹部24の上縁24a(係止手段)に当たることにより規制されている。収容空間11に容器が収容されていない状態では、フラップ30は、凹部24の上縁24aに係止された基準姿勢で保持されている。
【0025】
図2に示すように、2枚のフラップ30は基準姿勢においてそれぞれ対応する収容空間11に向かって略水平に(本実施形態ではやや上向きに傾斜して)突出している。
【0026】
次に、容器ホルダHの作用について、図7図8を参照して説明する。
容器としてペットボトルPが容器収容空間11に挿入される場合について説明する。上記基準姿勢で容器収容空間11に突出したフラップ30は、ペットボトルPの底によってねじりコイルばね40の回動力に抗して押し下げられる。
【0027】
ペットボトルPが容器収容空間11に収容された状態では、図7に示すように、フラップ30は、ねじりコイルバネ40の力により上記基準姿勢または基準姿勢に近い姿勢まで復帰し、その先部30Bの第2部分30BがペットボトルPのくびれ部分P1に当接する。これにより、ペットボトルPは容器収容空間11内で拘束され、車両走行中のがたつきや転倒が防止される。
【0028】
図8に示すように、ペットボトルPが引き抜かれる場合には、フラップ30の先部30BがペットボトルPの径大部P2(くびれ部P1の下側の部位)により、上方への力を受けるが、この先部30Bは図8に示すように弾性変形することができ、この径大部P2の通過を許容する。これにより、フラップ30が径大部P2により大きな荷重を受けることがないので、フラップ30が破損したり、フラップ30を保持するパーティション20がケース10から外れたり、破損するのを防止できる。
【0029】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において各種の変形例を採用することができる。
フラップは、ケースの周壁に設けてもよい。
上記実施形態では、パーティションの両側にフラップを設けているが、一方の側のみに設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、自動車等の車両の室内に装備され、ペットボトル等の容器を倒れないように保持する容器ホルダに適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
H 容器ホルダ
P ペットボトル(容器)
L 回動軸線
1 収容部
11 容器収容空間
20 パーティション(支持壁部)
24a 凹部の上縁(係止手段)
30 フラップ
30A 基部
30B 先部
31 第1材料構成部
32 第2材料構成部
33 回転軸
34 支持軸
40 ねじりコイルばね(付勢手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8