【実施例】
【0011】
<1>全体構成(
図1)
本発明に係る旋回式ヘルメットは、ヘルメット本体を上下に二分割してなる、基部10および可動部20と、基部10と可動部20とを繋ぐ旋回部30と、を少なくとも具備して構成する。
以下、各構成要素の詳細について説明する。
【0012】
<2>基部(
図1)
基部10は、上下に分割したヘルメット本体の下側部分に相当する部材である。
基部10には、汗止め、あごひも、ヘッドバンド、インナーキャップなどの公知の内装部品を脱着自在に適宜設けてあるが、各図面での図示は省略している。
【0013】
<3>可動部(
図1)
可動部20は、上下に分割したヘルメット本体の上側部分に相当する部材である。
本実施例では、可動部20が略椀型の形状を呈しており、基部10の上部に、可動部20の下部を接続することで、両者が一体化されたヘルメット本体を構築している。
【0014】
<3.1>基部との分割位置(
図1)
なお、基部10と可動部20とに分割するヘルメット本体の分割線は、後述する可動部20の旋回動作後に、基部10の内部へと可動部20の一部または全部を収容するのに支障が無い範囲で適宜設定すればよい。
【0015】
<4>基部と可動部との連結態様(
図1)
本実施例における基部10と可動部20との連結態様について、以下説明する。
【0016】
<4.1>インロー嵌合による固定(
図1)
図1に示すように、本実施例に係る旋回式ヘルメットでは、基部10と可動部20との連結箇所にインロー嵌合を用いることで止水性を確保している。
このインロー嵌合は、前記基部10の上部においてヘルメットの外周側に設けた凹部11に、前記可動部20の下縁を嵌合するよう構成している。
【0017】
このインロー嵌合により、凹部11と、凹部11より高い位置を端面とする凸部12との間には段差13が生じる。
ヘルメットの外周側へと通ずる隙間から水が浸入したとしても、この水は前記段差によって遮られるため、ヘルメットを傾斜させない限り、ヘルメットの内側まで水が侵入することはない。
【0018】
<4.2>差し込みピンによる固定(
図1)
さらに、
図1では、基部10の上部に差し込み穴14、可動部20にピン21を設けている。使用状態のヘルメットとすべく、基部10と可動部20とを連結する際に、差し込み穴14へとピン21が差し込まれることで、両者を固定・一体化している。
【0019】
<5>旋回部(
図1,2)
旋回部30とは、基部10と可動部20との間に介在させ、基部10に対して可動部20を離脱および回転させることにより、可動部20を基部10の下側へと潜りこませるための手段である。
旋回部30は、互いに水平方向を軸方向として、所定長さだけ離隔した位置に平行に配した状態を呈する第1の回転軸31および第2の回転軸32で構成する。
本実施例では、板状の部材の一端に第1の回転軸31、他端に第2の回転軸32を設けた平行の二軸ヒンジからなる旋回部30がヘルメット本体の側面に位置するように設けている。
以下、各回転軸の詳細について説明する。
【0020】
<5.1>第1の回転軸(
図2)
第1の回転軸31は、基部10と可動部20とが一体化されてヘルメット本体を構成している状態において、可動部20を起立させつつさらに逆側まで倒伏させた状態とするための回転動作を実現するための部材である。
第1の回転軸31は、可動部20に連結し、基部10とは直接固定されていない。
よって、第1の回転軸31そのものが後述する第2の回転軸32によって回転可能な状態を呈している。
【0021】
<5.2>第2の回転軸(
図2)
第2の回転軸32は、第1の回転軸31でもって基部10から取り外した可動部20をさらに回転させて、可動部20の一部または全部を、基部10の下側から基部10の内部へと潜りこませるための部材である。
第2の回転軸32は基部10の上下方向の長さの略中央付近に連結してあり、旋回させた第1の回転軸31が、基部10の上縁近傍または下縁近傍に位置するよう構成してある。
よって、本実施例では、第1の回転軸31と第2の回転軸32との間の離隔距離が基部10の上下長の約半分の長さとなっており、第2の回転軸32が基部10の上下方向における略中間位置に取り付けた状態を呈している。
【0022】
<6>基部と可動部との固定(回転フック)(
図1,3)
本実施例では、基部10について、旋回部30を設けた側面の反対側の側面に、可動部20のシェルに設けた被係合部22へと係合可能な回転フック40を設けている。
この回転フック40による係合を解除しない限り、可動部20の旋回動作を行うことはできない。
【0023】
<6.1>回転フックおよびピンによる可動部の位置ズレ阻止(
図1)
前記の通り、回転フック40は、ヘルメット本体の外側から基部10と可動部20とを係合固定している。
一方、前記したように、可動部20に設けたピン21は、ヘルメット本体の内周面近傍で基部10と可動部20とを連結固定している。
すなわち、可動部20の下縁は、回転フック40と基部10の凸部12で挟み込まれた状態となる。
よって、上記の連結態様によれば、可動部に生じる押圧力による、基部10に対する可動部20の内外周側へのズレをおさえ、ひいては可動部の下縁が開いて基部の外周面へと沈み込むことを防止することができる。
【0024】
<7>使用イメージ(
図1,4,5)
本実施例に係る旋回式ヘルメットの使用イメージについて説明する。
なお、本発明において、各回転軸の回転角度や動作手順は、下記の例に限定されるものではない。
【0025】
<7.1>第1の回転軸による可動部の倒伏動作(
図1)
まず、基部10と可動部20とを固定している回転フック40による係合を解除してから、第1の回転軸31でもって可動部20を回転させ、基部10の側方で可動部20が倒伏した状態とする。
【0026】
<7.2>第2の回転軸による可動部の回転動作(
図4)
次に、第2の回転軸32でもって、第1の回転軸31および可動部20を略180°回転させる。この回転動作により、可動部20は、基部10と一体化された状態と同じ姿勢(非反転状態)を維持したまま、基部10の下側から潜りこんだ状態となる。
【0027】
<7.3>旋回前後の対比図(
図5)
図5に示すように、可動部20の旋回後は、基部10の底部と、可動部20の底部の高さがほぼ揃った状態となり、可動部20の天頂部分が基部10の内部に収容されて、あたかも基部10と可動部20の上下関係が入れ換わった状態で積層した形態を呈している。
このとき、可動部20の天頂部分が基部10の内部に収容された状態となり、ヘルメット全体の高さが圧縮されてコンパクトとなり、ヘルメット全体の容積が減少することとなる。
【0028】
<7.4>まとめ
このように、本発明においては、第1の回転軸31による回転動作と、第2の回転軸32による回転動作を順次もしくは並行して実施することにより、基部10と可動部20の上下を入れ換えた状態で、可動部の一部または全部を基部10の内部に収容することができる。