特許第6542836号(P6542836)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6542836光ファイバプリフォームを作製するための平行スリットトーチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6542836
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】光ファイバプリフォームを作製するための平行スリットトーチ
(51)【国際特許分類】
   C03B 8/04 20060101AFI20190628BHJP
   C03B 37/012 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   C03B8/04 G
   C03B37/012 Z
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-108892(P2017-108892)
(22)【出願日】2017年6月1日
(65)【公開番号】特開2018-123045(P2018-123045A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2017年10月31日
(31)【優先権主張番号】15/420,490
(32)【優先日】2017年1月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509094034
【氏名又は名称】オーエフエス ファイテル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120363
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 智樹
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】ラザール マズラウト
【審査官】 和瀬田 芳正
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−010459(JP,A)
【文献】 特表平09−500082(JP,A)
【文献】 特開2000−272925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 8/04
C03B 37/012 − 37/018
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバプリフォームを作製するためのトーチであって、
表面及び該表面に沿って相互に実質的に平行に向けられた複数のスリット状オリフィスを有するトーチ本体を備え、該トーチ本体が複数のコンジットをさらに含み、各コンジットの近端が前記スリット状オリフィスの異なるものに結合され、前記スリット状オリフィスの少なくとも2つがテーパ状の幅を有する、トーチ。
【請求項2】
各コンジットの前記近端が前記表面の法線方向に延在する、請求項1に記載のトーチ。
【請求項3】
各コンジットが、前記表面の前記法線方向に延在する前記トーチ本体における部分を備える、請求項2に記載のトーチ。
【請求項4】
前記複数のスリット状オリフィスが第1のスリット状オリフィス、第2のスリット状オリフィス及び第3のスリット状オリフィスを備え、
前記複数のコンジットが、前記第1のスリット状オリフィスに接続された近端を有する第1のコンジット、前記第2のスリット状オリフィスに接続された近端を有する第2のコンジット、及び前記第3のスリット状オリフィスに接続された近端を有する第3のコンジットを備える、請求項1に記載のトーチ。
【請求項5】
前記複数のスリット状オリフィスが第4のスリット状オリフィス及び第5のスリット状オリフィスをさらに備え、
前記複数のコンジットが、前記第4のスリット状オリフィスに接続された近端を有する第4のコンジット、及び前記第5のスリット状オリフィスに接続された近端を有する第5のコンジットをさらに備える、請求項4に記載のトーチ。
【請求項6】
各コンジットの遠端がスリット状オリフィスを有する、請求項1に記載のトーチ。
【請求項7】
コンジットの前記遠端に接続されたマニホールドをさらに備え、該マニホールドが複数の吸入口を前記コンジットの前記遠端の前記スリット状オリフィスに結合する、請求項6に記載のトーチ。
【請求項8】
前記スリット状オリフィスの少なくとも2つの長軸が相互から離れる、請求項に記載のトーチ。
【請求項9】
前記複数のスリット状オリフィスが第1のスリット状オリフィス及び第2のスリット状オリフィスを備え、
前記第1のスリット状オリフィスが第1のガス供給源に結合され、
前記第2のスリット状オリフィスが第2のガス供給源に結合された、請求項1に記載のトーチ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
光ファイバ製造プロセスにおいて、ファイバは、プリフォームとして知られる大径ガラス構造体から引かれる。プリフォームを作製するプロセスは、気相外付け蒸着(OVD)及び気相軸付け蒸着(VAD)を含む。そのようなプロセスでは、スート体又はスートコアとして知られる多孔質ガラス構造体が、粒子を(ベイトロッドとしても知られる)ガラスシードロッド上に蒸着することによって形成される。そして、スート体は、コア体として知られる、より硬い構造体に凝縮される。そして、コア体はさらにプリフォームへと処理される。
【0002】
OVDでは、四塩化シリコン、酸素及び水素などのガスがトーチフレームにおいて反応し、スートとして知られる得られる粒子がシードロッドに蒸着される。その反応は、スートの部分が蒸着されるまで気流に沿って起こる。蒸着されたスートは均一であることが望ましく、均一性は多くの要因に依存する。トーチは、複数のオリフィスを含み得る。例えば、トーチは、中央管又はオリフィス、また中央オリフィスを囲む1以上の同心管又はオリフィスを含み得る。種々のオリフィスが、異なるガスを放出するように構成されてもよく、その一部は反応物質又は反応サポートガスであり、他は反応を維持あるいは制御することを補助するシールド又は不活性ガスであればよい。トーチは、充分な量のスートが蒸着されるまで、回転されるシードロッドに沿って前後に機械的キャリッジによって移動され得る。スートが均一に蒸着されることが非常に重要である。移動が速すぎると、スートは螺旋状の気泡となり、又は構造体の表面上で不均一となってしまう。移動が遅すぎると、スートは、無用に厚くかつ表面上で不均一なものとなってしまう。
【0003】
シードロッドの長さに対応する長さを有する線形バーナー又はトーチが、OVDでの使用に提案されてきた。線形トーチは、その長さに沿って均等に分布する複数のオリフィスを有し得る。代替的に、線形トーチは、オリフィスとして同様に作用する、その長さに実質的に沿って延在するスリット状の開口部を備えるグレーティングを有し得る。シードロッドの露出した略筒状表面に概ね向けられた線形トーチは、あいにく、スートをトーチに近い地点においてより厚く、トーチから遠い地点においてより薄く蒸着させてしまう。
【0004】
VADにおいて、トーチはシードロッドの底部に向けられ、スートが形成するにつれてシードロッドがトーチから徐々に引かれていく。VADはOVDに対して特定の有利な効果を有し得るが、底部におけるスート成長面の先細りする直径に起因して、VADはOVDよりも充分な精度で制御することが難しい。既知の線形トーチは、それらはスートを均一に蒸着できないため、VADには適さないことがある。
【発明の概要】
【0005】
発明の実施形態は、光ファイバプリフォームを作製するためのトーチに関する。例示のトーチは、表面及びその表面に沿って相互に平行又は実質的に平行に向けられた複数のスリット状オリフィスを有する本体を含み得る。トーチ本体は、複数のコンジットをさらに備え得る。各コンジットの近端は、スリット状オリフィスの異なるものに結合され得る。
【0006】
光ファイバプリフォームを作製する際にトーチを用いるための例示の方法は、略筒状のプリフォーム基板の表面に実質的に平行な表面の配向でトーチを蒸着する工程、及びそれぞれの平行又は実質的に平行の第1及び第2のスリット状オリフィスからプリフォーム基板の表面に向けて少なくとも第1のガス及び第2のガスを同時に放出する工程を含み得る。放出される第1及び第2のガスは、プリフォーム基板の表面にスートを形成する反応に関与する。
【0007】
以下の図面及び詳細な説明を検討すれば、他のシステム、方法、特徴及び効果は、当業者には明らかであり、又は明らかとなる。全てのそのような追加のシステム、方法、特徴及び効果は本説明内に含まれ、明細書の範囲内のものであり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
【0008】
発明は、以下の図面を参照してより良く理解され得る。図面における構成要素は必ずしも縮尺通りではなく、その代わりに強調がなされて本発明の原理を明確に示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、光ファイバプリフォームを作製するための例示のトーチの鳥瞰図である。
図2図2は、図1の部分拡大図である。
図3図3は、図1の線3−3で切った断面図である。
図4図4は、図1と同様であり、マニホールドのないトーチ本体を示す。
図5図5は、マニホールドの一方側の鳥瞰図である。
図6図6は、マニホールドの他の側の鳥瞰図である。
図7図7は、光ファイバプリフォームを作製するための他の例示のトーチの鳥瞰図である。
図8図8は、図7のトーチの上平面図である。
図9図9は、プリフォーム基板との関係で示される、図1のトーチの端部立面図である。
図10図10は、光ファイバプリフォームを作製するための例示の方法を示すフロー図である。
図11図11は、プリフォーム基板との関係で示される、図7のトーチの側部立面図である。
図12図12は、光ファイバプリフォームを作製するための他の例示の方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示すように、発明の説明的又は例示的実施形態において、トーチ10は、相互に平行な向きの実質的に長方形のスリット状オリフィスのアレイ14を有するトーチ本体12を含む。オリフィスのアレイ14は表面を画定し、それは説明の実施形態ではトーチ本体12の上表面16と同一平面となる。トーチ10は、マニホールド18、20、22、24及び26をさらに含む。
【0011】
図1の拡大部分28を、図2に関してさらに詳細に示す。図2に示すように、オリフィスのアレイ14は、例えば、第1のオリフィス30、第2のオリフィス32、第3のオリフィス34、第4のオリフィス36及び第5のオリフィス38を備え得る。用語「第1」、「第2」、「第3」などは識別の明瞭化のためにここで使用され、順序又は相対位置を示すものではないことが理解されるべきである。図1〜4に示す実施形態ではトーチ10は5個のオリフィス30〜38を含むが、他の実施形態ではそのようなトーチは任意数のそのような平行又は実質的に平行なスリット状オリフィスを含んでいてもよい。本開示で使用される用語「スリット状」は、オリフィス30〜38の各々の長さがその幅(「W」)の多数倍であることを意味する。図1〜4に示す実施形態では、オリフィス30〜38の各々の幅(「W」)はその長さに沿って一定又は一様であり、それにより、オリフィス30〜38の各々の長方形、同様に全体としてオリフィスのアレイ14の長方形を画定する。それでも、以下に記載するように、他の実施形態では、オリフィス幅はその長さに沿って変化(例えば、増加、減少など)し得る。図1〜4に示す実施形態では、オリフィス30〜38の各々の幅(「W」)は、例えば、1ミリメートルのオーダーであればよい。
【0012】
図1〜4に示す実施形態では、オリフィス30〜38の隣接するもの同士の間隔は、オリフィス30〜38の各々の幅(「W」)よりも狭くなり得る。例えば、その間隔は、構造的完全性を与えるのに必要なもの以下であればよい。他の実施形態では、異なるオリフィスが異なる量だけ離隔されてもよい。また、他の実施形態では、そのようなオリフィス間の間隔は、オリフィスの長さに沿って変化(例えば、増加、減少など)していてもよい。図1〜4に示す実施形態では、(オリフィス30〜38を備える)オリフィスのアレイ14は、総アレイ幅「W」及び総アレイ長「L」を有する。総アレイ長(「L」)は、例えば、総アレイ幅(「W」)の少なくとも10倍であればよい。なお、オリフィス幅及びオリフィス間の間隔が均一であり、かつオリフィス間の間隔がオリフィス幅に概ね等しい実施形態では、総アレイ幅(「W」)は、Nをオリフィスの総数として、約(Ws)×(2N−1)となる。
【0013】
トーチ10を使用するための方法に関して以下に記載するように、オリフィス30〜38の一部が、オリフィス30〜38のうちの他のものとは異なるガスを放出するように構成され得る。相互に直接隣接するオリフィス30〜38がともにグループ化され得る。2以上のオリフィス30〜38のあるグループは、オリフィス30〜38の他のグループの両側にオリフィス30〜38を含み得る。オリフィス30〜38のあるグループは、オリフィス30〜38の他のグループとは異なるガスを放出するように構成され得る。例えば、第1のオリフィス30からなる第1のグループが第1のガスを放出するように構成され、第2及び第3のオリフィス32及び34からなる第2のグループが第2のガスを放出するように構成され、第4及び第5のオリフィス36及び38からなる第3のグループが第3のガスを放出するように構成され得る。第1のガスが、例えば、四塩化シリコンであり、第2及び第3のガスが、例えば、それぞれ酸素及び水素であってもよい。説明する実施形態では、第1のグループのオリフィス30は、第2及び第3のグループに対して中心に配置される。すなわち、第1のオリフィス30は第2のオリフィス32と第3のオリフィス34の間に位置し、第2のオリフィス32は第1のオリフィス30と第4のオリフィス36の間に位置し、第3のオリフィス34は第1のオリフィス30と第5のオリフィス38の間に位置する。言い換えると、説明する実施形態では、オリフィス32及び34からなる第2のグループは、オリフィス30からなる第1のグループの側面に位置し、オリフィス36及び38からなる第3のグループは第2のグループの側面に位置する。説明する実施形態では、トーチ10は3グループにグループ化される5個のオリフィス30〜38を含むが、他の実施形態では、そのようなトーチは任意の態様でグループ化された任意数のオリフィスを含み得る。例えば、第3のグループの側面に位置する第4のグループの2個のオリフィス(不図示)がさらに含まれ得る。アルゴン、ヘリウム又は窒素のような不活性シールドガスが第4のグループのオリフィスから放出され得る。説明する実施形態では各グループが1又は2個のオリフィスのみからなるが、他の実施形態では、グループは任意数のオリフィスを有し得る。オリフィス30〜38の各々は、ガスを矢印40によって示される方向に層状に又は乱流でない態様で放出するように構成される。
【0014】
図3に示すように、第1のコンジット42の近端は第1のオリフィス30に接続されてそれを画定し、第2のコンジット44の近端は第2のオリフィス32に接続されてそれを画定し、第3のコンジット46の近端は第3のオリフィス34に接続されてそれを画定し、第4のコンジット48の近端は第4のオリフィス36に接続されてそれを画定し、第5のコンジット50の近端は第5のオリフィス38に接続されてそれを画定する。コンジット42〜50の各々は、層状であり、又は乱流でない流れを促進するように延在してオリフィス30〜38の断面形状に対応する断面形状を有する。コンジット42〜50は、それらの近端と遠端の間で表面16の法線方向に延在する。
【0015】
トーチ本体12は、コンジット42、44、46、48及び50の遠端付近にオリフィス52、54、56、58及び60をそれぞれ含む。(図4も参照。)説明する実施形態では、オリフィス52〜60は、オリフィス30〜38に対応してスリット状となる。マニホールド18〜26は、オリフィス52〜60よりも長い。キャビティ62(図5)によって画定されるマニホールド18〜26の各々の内部側は、オリフィス52〜60の対応するものに面する。マニホールド18〜26の各々の外部側(図5)は、1以上のガス吸入口64を含む。説明する実施形態では、2個の対向するガス吸入口64がマニホールド18〜26の各々の対向端部に対応して位置し、他の3個のガス吸入口64がマニホールド18〜26の各々の側部に沿って位置する。それでも、他の実施形態(不図示)では、そのようなマニホールドは、一端のみに位置するそのようなガス吸入口、又は他の任意の配置の組合せを有していてもよい。また、説明する実施形態では、マニホールド18〜26の各々は5個のガス吸入口64を有するが、他の実施形態では、任意数のそのようなガス吸入口があってもよい。説明する実施形態では、ガス吸入口64は従来のガス供給源及び配管系との接続を容易化するように円形状を有するが、他の実施形態では、そのようなガス吸入口は他の任意の形状を有していてもよい。
【0016】
図7に示すように、他の実施形態では、トーチ66は、相互に実質的に平行な向きのスリット状オリフィスのアレイ70を有するトーチ本体68を含む。オリフィスのアレイ70は面を画定し、説明する実施形態では、それはトーチ本体68の上表面72と同一平面となる。本開示で使用される用語「実質的に平行」は、それらの長さに沿ういくつかの、ただし必ずしも全てではない点における平行を意味する。したがって、用語「実質的に平行」は、その意味の範囲内で全体として又は完全に平行なことを包含する。
【0017】
図8に更なる詳細を示すように、オリフィスのアレイ70は、第1のオリフィス74、第2のオリフィス76、第3のオリフィス78、第4のオリフィス80、第5のオリフィス82、第6のオリフィス84及び第7のオリフィス86を備える。オリフィスのアレイ70は扇状パターンを形成するので、オリフィス70は相互に実質的に平行となる。図7〜8に示す実施形態では、トーチ66は7個のオリフィス74〜86を含むが、他の実施形態では、そのようなトーチは任意数のそのような実質的に平行なスリット状オリフィスを含み得る。オリフィス74〜86の各々はテーパ状の幅(「Ws」)を有する。すなわち、オリフィス74〜86の各々は、表面72の第1の端部88付近で狭く、表面72の第2の端部90付近で広い。また、オリフィス74〜86の中心線すなわち長軸92は、それらの長さに沿う全ての点において相互に厳密に平行ではなく、それらは扇状パターンにおいて相互から離れるので実質的にのみ平行となる。トーチ66の他の構成は上記トーチ10のものと同様であればよく、したがって同様の詳細を記載しない。例えば、トーチ66は、上記マニホールド18、20、22、24及び26と同様のマニホールド94、96、98、100、102、104及び106を含む。マニホールド94〜106は、ガス吸入口108を含む。また、明瞭化のために図示していないが、オリフィス74〜86が、上記コンジット42〜50と同様のコンジットを介してマニホールド94〜106に接続される。
【0018】
図9〜10に示すように、トーチ10は、光ファイバプリフォームを作製する例示的方法において使用され得る。ブロック110(図10)によって示すように、トーチ10は、トーチ本体12の表面16が略円筒状プリフォーム基板112のスート成長面に実質的に平行となる向きに配置され得る(図9)。したがって、この向きにおいて、表面16においてオリフィス30〜38の各々(図2〜3)は、プリフォーム基板112のスート成長面に実質的に平行となる。なお、図9では、総アレイ幅(「W」)は、プリフォーム基板112の直径(「D」)よりも実質的に小さい。例えば、総アレイ幅(「W」)は、プリフォーム基板112の直径(「D」)の2分の1未満であればよい。
【0019】
プリフォーム基板112はまず、OVD又は同様の処理で一般に使用されるタイプの従来的なガラスシードロッドを備え得る。処理が進み、スートがシードロッドに蒸着されるにつれて、プリフォーム基板112はスート体又はスートコアともいわれる。そのようなシードロッド、スート体又は他のプリフォーム基板112及びOVD又は同様の処理におけるその使用は当業者には良く理解されているので、その態様はここではさらに詳細には記載されない。同様に、OVD又は同様の処理においてプリフォーム基板112が保持及び回転され、あるいは操作される態様は当業者には良く理解されているので、その態様はここではさらに詳細には記載されない。
【0020】
トーチ10及びプリフォーム基板112が上述のように相互に対して配向されると、複数のガスがトーチ10から同時にかつ個別に放出され、それらがプリフォーム基板112のスート成長面に堆積するまで、ガス流に沿って反応する。例えば、ブロック114(図10)によって示すように、第1のオリフィスは第1のガスを放出することができる。ブロック116によって示すように、第1のガスの放出と同時に、第2のオリフィスは第1のガスとは異なる第2のガスを放出することができる。一般化すると、この例示の方法では、N(すなわち、オリフィスの総数)個のオリフィスの各々がガス流を他のオリフィスから個別にかつ独立して放出し、種々のオリフィスによって放出されたガスの少なくとも一部が相互に異なる。したがって、ブロック118によって示すように、他のオリフィスからの他のガスの放出と同時に、第Nのオリフィスがガスを放出する。追加の又は更なるオリフィスからのガスの放出が、ブロック116とブロック118の間の省略記号(「・・・」)によって示される。
【0021】
一例では、第1のガスは、第1のオリフィス30によって放出される四塩化シリコンなどのガラス前駆体であればよい。また、この例では、第2のガスは、第2及び第3のオリフィス32及び34の双方によって放出される酸素であればよい。また、この例では、第3のガスは、第4及び第5のオリフィス36及び38の双方によって放出される水素であればよい。さらに他のガスが、さらに他のオリフィスによって放出され得る。
【0022】
図9に示すように、以上の例に従って、第1のガス供給源120が、マニホールド18のガス吸入口64に結合され得る。第2のガス供給源122がマニホールド20及び22のガス吸入口64に結合され得る。第3のガス供給源124がマニホールド24及び26のガス吸入口64に結合され得る。明瞭化のため、そのような結合を与える従来的な配管及び制御系は、詳細には図示されないが当業者には理解されるものである。
【0023】
ガスは、オリフィス30〜38から(図9の表面16において)矢印40によって示される方向にプリフォーム基板112の表面に向けて放出される。第1、第2及び第3のガスなどのガスの少なくとも一部は、反応してスートをプリフォーム基板112の表面に形成する。従来的なOVD原理によると、ガスが放出されて反応するにつれて、プリフォーム基板112の表面周辺への均一なスートを促進するようにプリフォーム基板112が回転される。スートが成長するにつれて、プリフォーム基板112の直径(「D」)が増加する。この例示の実施形態は酸素−水素反応処理に関するが、方法はメタン又は他の燃料若しくは反応ガスを伴う処理に同様に適用可能である。また、他の実施形態では、追加のオリフィスが、アルゴン、ヘリウム又は窒素などの非反応性又は不活性ガスを放出し得る。そのようなガスが反応してスートをOVD及び同様の処理に従ってプリフォーム基板112上に形成する態様は当業者には良く理解されているので、その態様はここではさらには記載されない。なお、オリフィスのアレイ14はプリフォーム基板112の長さに実質的に等しい長さ(「L」)(図1)を有し得るため、スートはプリフォーム基板112の長さに沿って実質的に均一に(すなわち、均一なスート密度で)蒸着される。
【0024】
ここでは明瞭化のために記載しないが、方法は、従来的なOVD又は同様の処理による追加工程を含んでいてもよい。ここでの記載を考慮して、当業者であれば、従来的なOVD又は同様の処理との関連において本発明によるトーチを直ちに使用することができるはずである。
【0025】
図11〜12に示すように、光ファイバプリフォームを作製する例示の方法においてトーチ66(図7〜8)が使用され得る。なお、図11は、スート成長が始まった後の時点での方法又は処理を図示する。ブロック126(図12)によって示すように、トーチ66は、その時間に、トーチ本体68の表面72がプリフォーム基板128のテーパ状直径部分のスート成長面に実質的に平行となる向きに配置される(図11)。このプリフォーム基板128の部分は、最大径(「DMAX」)から最小径(「DMIN」)までの直径において先細りする。したがって、この向きにおいて、オリフィスのアレイ70のオリフィス74〜86(図8)の各々は、プリフォーム基板128のテーパ状直径部分のスート成長面に実質的に平行である。この実施形態では、オリフィス74〜86が狭くなる表面72の第1の端部88がプリフォーム基板128の狭い側の端部(「DMIN」)に隣接して配置され、オリフィス74〜86が広くなる表面72の第2の端部90がプリフォーム基板128の広い側の端部(「DMAX」)に隣接して配置される。図9〜10に関して上述した方法の実施形態と同様に、オリフィスのアレイ70の総幅は、プリフォーム基板128の最小径(「DMIN」)よりも実質的に小さい。例えば、オリフィスのアレイ70の総幅は、プリフォーム基板128の最小径(「DMIN」)の2分の1未満であればよい。また、オリフィスのアレイ70の長さ(「L」)(図8参照)は、プリフォーム基板128のテーパ状直径部分のスート成長面の長さ(「L」)の50%から100%の間であればよい。
【0026】
プリフォーム基板128はまず、VAD又は同様の処理において使用される従来的なガラスシードロッドを備え得る。処理が進み、スートがシードロッドに蒸着されるにつれて、プリフォーム基板128はスート体又はスートコアともいわれる。そのようなシードロッド、スート体又は他のプリフォーム基板128及びVAD又は同様の処理におけるその使用は当業者には良く理解されているので、その態様はここではさらに詳細には記載されない。同様に、VAD又は同様の処理においてシードロッドが保持及び回転され、あるいは操作される態様は当業者には良く理解されているので、その態様はここではさらに詳細には記載されない。
【0027】
トーチ66及びプリフォーム基板128が上述のように相互に対して配向されると、複数のガスがトーチ66から同時にかつ個別に放出され、それらがプリフォーム基板128のスート成長面に堆積するまで、ガス流に沿って反応する。例えば、ブロック130(図12)によって示すように、第1のオリフィスは第1のガスを放出することができる。ブロック132によって示すように、第1のガスの放出と同時に、第2のオリフィスは第1のガスとは異なる第2のガスを放出することができる。一般化すると、この例示の方法では、N(すなわち、オリフィスの総数)個のオリフィスの各々がガス流を他のオリフィスから個別にかつ独立して放出し、種々のオリフィスによって放出されたガスの少なくとも一部が相互に異なる。したがって、ブロック134によって示すように、他のオリフィスからの他のガスの放出と同時に、第Nのオリフィスがガスを放出する。追加の又は更なるオリフィスからのガスの放出が、ブロック132とブロック134の間の省略記号(「・・・」)によって示される。
【0028】
一例では、第1のガスは、第1のオリフィス74(図8)によって放出される四塩化シリコンなどのガラス前駆体であればよい。また、この例では、第2のガスは、第2及び第3のオリフィス76及び78の双方によって放出されるアルゴン、ヘリウム又は窒素などの不活性ガスであればよい。また、この例では、第3のガスは、第4及び第5のオリフィス80及び82の双方によって放出される水素であればよい。またさらに、この例では、第4のガスは、第6及び第7のオリフィス84及び86によって放出される酸素であればよい。さらに他のガスが、さらに他のオリフィスによって放出され得る。
【0029】
明瞭化のために不図示であるが、ガス供給源が、図9に示す実施形態に関して上述したのと同様の態様でガス吸入口108に結合され得る。ガスは、オリフィス74〜86から図11において矢印によって示す方向においてプリフォーム基板128の表面に向けて放出される。第1、第2及び第3のガスなどのガスの少なくとも一部が反応してスートをプリフォーム基板128の表面に形成する。従来的なVAD原理により、プリフォーム基板128は、プリフォーム基板128の周囲に沿って均一なスート蒸着を促進するように回転される。良く理解されているVAD原理により、スートが成長するにつれて、プリフォーム基板128は一定の最大径(「DMAX」)を維持するように上方に(すなわち、トーチ66から離れるように)引かれる。オリフィス74〜86はプリフォーム基板128の狭い方の端部(「DMIN」)に隣接して狭くなり、プリフォーム基板128の広い方の端部(「DMAX」)に隣接して広くなるので、プリフォーム基板128の狭い方の端部よりもプリフォーム基板128の広い方の端部に、より多くのスートが単位時間当たりに蒸着される。
【0030】
ここでは明瞭化のために記載しないが、方法は、従来的なVAD又は同様の処理による追加工程を含んでいてもよい。ここでの記載を考慮して、当業者であれば、従来的なVAD又は同様の処理との関連において本発明によるトーチを直ちに使用できるはずである。
【0031】
発明の1以上の説明的又は例示的実施形態を上述した。しかし、発明は以降の特許請求の範囲によって規定され、説明した特定の実施形態に限定されないことが理解されるべきである。
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図12