特許第6542907号(P6542907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6542907
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】改善された自動停止ベントプラグ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/36 20060101AFI20190628BHJP
   A61M 5/38 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   A61M5/36
   A61M5/38
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-550529(P2017-550529)
(86)(22)【出願日】2016年3月24日
(65)【公表番号】特表2018-509258(P2018-509258A)
(43)【公表日】2018年4月5日
(86)【国際出願番号】US2016024058
(87)【国際公開番号】WO2016154458
(87)【国際公開日】20160929
【審査請求日】2017年11月28日
(31)【優先権主張番号】62/138,703
(32)【優先日】2015年3月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/078,563
(32)【優先日】2016年3月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショーン ステイリー
【審査官】 川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−522048(JP,A)
【文献】 特表2013−525065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/36
A61M 5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を含む液体供給源と、
前記液体供給源から前記液体を受け入れるように前記液体供給源に接続可能な第1の端部、および、第2の端部を含むチュービングと、
前記チュービングから前記液体を受け入れるために前記チュービングの前記第2の端部に接続可能な近位端部、記液体に対して実質的に不浸透性であり、空気に対して実質的に浸透性である疎水性の膜からなるベントを含む遠位端部、および、前記近位端部から前記液体を受け入れるチャンバを画定するチャンバ壁部を含むベントキャップと、
を含む静脈内送達システムであって、
前記チャンバは、前記ベントに連通しており、前記液体からの空気が前記ベントキャップから外へ前記ベントを介して通過することを可能としており、
前記ベントキャップの前記近位端部が前記チュービングの前記第2の端部に接続されているとき、前記チャンバは、2インチ(5.08cm)から15インチ(38.1cm)の範囲内から選択された前記チュービングの所定長さに保持される液体の第2の容積に等しい、第1の容積の液体を保持するように構成され、
前記ベントキャップは、前記チュービングに取り外し可能に接続可能であり、前記ベントキャップは、前記ベントキャップの中のバルブの存在を必要とすることなく、前記チュービングから前記ベントキャップを取り外した後に、前記第1の容積の液体の実質的にすべてを保持するように構成され、
前記チャンバ壁部は、前記チャンバに隣接してオリフィスを画定するように形状決めされており、前記ベントキャップは、親水性の膜をさらに含み、前記親水性の膜は、前記オリフィスに近接して位置決めされており、前記チュービングから前記ベントキャップを取り外した後に、前記親水性の膜は、液体が前記ベントキャップから外へ前記オリフィスを通って流れることを実質的に防止するようになっている静脈内送達システム。
【請求項2】
前記第1の容積は、式V=πr2lによって決定され、ここで、Vは、前記第1の容積であり、rは、前記チュービングの内部の半径であり、lは、2インチ(5.08cm)から15インチ(38.1cm)の範囲から選択された前記チュービングの所定長さであ請求項1に記載の静脈内送達システム。
【請求項3】
前記第1の容積及び前記第2の容積は、それぞれ0.3ミリリットルから2.7ミリリットルの範囲内にある請求項2に記載の静脈内送達システム。
【請求項4】
前記ャンバ壁部は、7ミリメートルから15ミリメートルの範囲内の内部直径を含む概してチューブ状の形状を有している請求項1に記載の静脈内送達システム。
【請求項5】
前記ャンバ壁部は、5ミリメートルから15ミリメートルの範囲内の長さを含む概してチューブ状の形状を有している請求項1に記載の静脈内送達システム。
【請求項6】
前記ベントキャップの前記近位端部は、ベントキャップルアーロックを含み、前記チュービングは、前記ベントキャップルアーロックに嵌合するチュービングルアーロックを含む請求項1に記載の静脈内送達システム。
【請求項7】
前記チャンバ壁部は、前記ベントキャップルアーロックの最も大きい断面積よりも大きい断面積を有している請求項に記載の静脈内送達システム。
【請求項8】
ドリップチャンバを含むドリップユニットをさらに含み、前記ドリップユニットは、前記液体供給源に接続可能であり、前記ドリップチャンバの中の前記液体供給源から前記液体の滴を受け入れ、前記ドリップユニットは、前記チュービングに接続可能であり、重力送りを介して前記液体を前記チュービングに供給する請求項1に記載の静脈内送達システム。
【請求項9】
前記液体を患者に静脈内で送達するために前記チュービングの前記第2の端部に接続可能な静脈内アクセスユニットをさらに含む請求項に記載の静脈内送達システム。
【請求項10】
使用のために静脈内送達システムを準備するための方法であって、前記静脈内送達システムは、液体を含む液体供給源と、ベントキャップと、チュービングとを含み、
前記チュービングは、前記液体供給源に接続されている第1の端部、および
第2の端部を含み、
前記ベントキャップは、前記チュービングから前記液体を受け入れるために前記チュービングの前記第2の端部に接続可能な近位端部、前記液体に対して実質的に不浸透性であり、空気に対して実質的に浸透性である疎水性の膜からなるベントを含む遠位端部、および、前記近位端部から前記液体を受け入れるチャンバを画定するチャンバ壁部を含み、
前記チャンバ壁部は、前記チャンバに隣接してオリフィスを画定するように形状決めされており、前記ベントキャップは、親水性の膜をさらに含み、前記親水性の膜は、前記オリフィスに近接して位置決めされており、
前記液体供給源から前記ベントキャップへ前記チュービングを通して液体を重力送りすることによって、前記静脈内送達システムをプライミングするステップと、
前記静脈内送達システムをプライミングするステップに応答して、前記ベントキャップの中に、前記チュービングから所定の量の前記液体を受け入れるステップと、
前記ベントキャップの中の前記所定の量の前記液体受け入れることに応答して、前記ベントキャップの前記ベントを通して前記ベントキャップから外へ前記液体からの空気をベントするステップと
前記ベントキャップから外へ前記液体からの空気をベントした後に、前記チュービングの前記第2の端部から前記ベントキャップを取り外すステップと、
前記チュービングの前記第2の端部から前記ベントキャップを取り外すことに応答して、前記ベントキャップの中のバルブの存在を必要とすることなく、前記親水性の膜が、液体が前記ベントキャップから外へ前記オリフィスを通って流れることを実質的に防止し、前記所定の量の前記液体の実質的にすべてを保持するステップと、
を含む方法。
【請求項11】
前記ベントキャップの中に、前記所定の量の前記液体を受け入れるステップは、前記ャンバの中に前記所定の量の前記液体を受け入れるステップを含み、前記チャンバは、0.3ミリリットルから.7ミリリットルの範囲内の容積を有している請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ベントキャップは、ベントキャップルアーロックを含み、前記チュービングは、チュービングルアーロックを含み、前記方法は、前記静脈内送達システムをプライミングする前に、前記チュービングルアーロックを前記ベントキャップルアーロックに嵌合させるステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
静脈内アクセスユニットを前記チュービングの前記第2の端部に接続するステップであって、前記静脈内アクセスユニットは、前記液体を患者に静脈内で搬送するように構成されている、ステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、静脈内(「IV」)送達のためのシステムおよび方法に関し、それによって、流体が、患者の血管系に直接的に投与され得る。より具体的には、本発明は、静脈内送達システムのコンポーネントを製造するためのシステムおよび方法に関する。より具体的には、本発明は、静脈内送達システムから空気をベントすることを促進するように設定された、静脈内送達システムの中に含まれ得るベントキャップに関する。本発明による静脈内送達システムは、動脈内、静脈内、血管内、腹腔内、および/または非血管内の流体の投与における使用に関して、流体を患者に送達するために使用されるコンポーネントを説明するために、本明細書で広く使用されている。当然のことながら、当業者は、患者の身体の中の他の場所に流体を投与するために、静脈内送達システムを使用することが可能である。
【背景技術】
【0002】
患者の血流の中へ流体を投与する1つの共通の方法は、静脈内送達システムを通して行われる。多くの共通の実装形態では、静脈内送達システムは、液体バッグなどのような液体供給源と、液体バッグからの流体の流量を決定するために使用されるドリップチャンバと、液体バッグと患者との間の接続を提供するためのチュービングと、患者の中に静脈内に位置決めされ得るカテーテルなどのような静脈内アクセスユニットとを含むことが可能である。また、静脈内送達システムは、Yコネクタを含むことが可能であり、Yコネクタは、静脈内送達システムのピギーバッキング(piggybacking)を可能にし、また、シリンジから静脈内送達システムのチュービングの中への薬の投与を可能にする。
【0003】
患者の血流にアクセスする静脈内送達システムから空気を除去することは、一般的に優れた実践である。この配慮は、動脈内血液にアクセスするときに重要であるが、また、それは、静脈側にアクセスするときの配慮でもある。具体的には、流体の静脈内投与を受け入れている間に、気泡が患者の血流に進入することを許容される場合には、気泡は、空気塞栓を形成し、患者に深刻な損傷を引き起こす可能性がある。
【0004】
通常、成人の大多数においては、右心房および左心房は、互いに完全に分離されており、血液および気泡は、右心房から、右心室へ、次いで、肺へ移動されるようになっており、肺において、気泡は、安全にベントされ得る。次いで、泡のない血液は、左心房に戻され、左心房において、血液は、左心室へ移動され、次いで、身体全体にわたって送られる。
【0005】
しかし、幼児、および、成人人口のうちのごく一部においては、右心房および左心房が、完全に分離されてはいない。結果的に、気泡は、右心房から左心房の中へ直接的に移動することが可能であり、次いで、身体全体にわたって分散され得る。結果として、これらの気泡は、脳卒中、組織損傷、および/または死を引き起こす可能性がある。したがって、気泡が患者の血流に進入することを防止することが重要である。
【0006】
流体の静脈内投与における使用のために静脈内送達システムをプライミングしている間に気泡を除去する重要性にもかかわらず、気泡の完全な除去は、時間のかかるプロセスである可能性がある。また、プロセスは、静脈内送達システムの滅菌端部に不注意に触れることによって、静脈内送達システムの汚染につながる可能性がある。典型的に、静脈内送達システムがプライミングされるときに、流体がドリップチャンバからチュービングを通って移動することを防止するために、クランプが閉じられる。次いで、静脈内送達システムは、IVバッグまたはボトルに取り付けられ得る。取り付けられると、典型的に透明な可撓性のプラスチックで作製されているドリップチャンバは、流体をIVバッグまたはボトルから引き出してドリップチャンバの中へ入れるために、絞られ得る。流体がチューブを通って静脈内送達システムの端部へ流れることを可能にするためにクランプが開けられるときに、ドリップチャンバは、満杯の約1/3から1/2まで充填することを許容され得る。
【0007】
しかし、この初期プロセスは、典型的に、空気をチュービングの中に捕捉し、空気は除去されなければならない。たとえば、静脈内送達システムのチュービングを通る流体の流れは、乱流になる可能性があり、また、流体とチュービングとの間の境界層がせん断されるときに、空気をチューブの中に取り込むことがある。ドリップチャンバから出てくる流量は、ドリップチャンバに進入する流体の流量よりも高くなる可能性がある。これは、空気がドリップチャンバからチュービングの中へ吸い込まれるときに、泡のはしご(bubble ladder)を形成させる可能性がある。
【0008】
追加的に、流体の滴りがドリップチャンバの中の流体のプールの表面にぶつかるときに、気泡が発生され得る。これらの気泡は、ドリップチャンバからIVセットのチュービングの中へ引き込まれ得る。この問題は、ドリップオリフィスがより小さい場合がある小児科用途において悪化される可能性があり、それは、増大された乱流を結果として生じさせる可能性がある。
【0009】
静脈内送達システムから気泡を除去するために、従事者がチュービングを叩いて気泡が静脈内送達システムの端部から出ることを促しながら、IVバッグまたはボトルからの流体は、チュービングを通って流れることを許容され得る。チュービングから気泡を取り除くために、流体が静脈内送達システムから流出することを許容されるとき、流体は、廃棄物入れまたは他の受容器の中へ流入することを許容され得る。この手順の間に、チュービングの端部は、廃棄物入れに接触するか、または、従事者によって触れられる可能性があり、したがって、汚染されることになる。この脱泡プロセスの追加的な欠点は、それが、患者にとって有益であり得る他のタスクを実施するために使用され得た注意および時間を必要とすることである。
【0010】
別の脱泡方法は、静脈内送達システムからの気泡を直接的に除去することである。より具体的には、静脈内送達システムがYコネクタを含む場合には、気泡は、Yコネクタにおいて、シリンジによって除去され得る。この方法は、依然として、追加的な時間および注意を必要とし、また、送達されることになる液体の汚染のリスクを伴う可能性がある。
【0011】
静脈内送達システムから泡を除去する困難性に対処するために、さまざまな先行技術の静脈内送達システムは、流体が静脈内送達システムを通って流れるときに、流体から空気を濾過するための膜を用いてきた。たとえば、多くの場合に、膜は、ドリップチャンバの下部に設置され得、ドリップチャンバから流出する流体が膜を通過しなければならないようになっている。膜は、空気の通過を遮断しながら、流体の通過を可能にするように構成され得る。このように、泡は、患者につながるチュービングの中へ入ることを防止される。同様に、膜は、チュービングをカテーテルに連結するコネクタの中に含まれ、チュービングの中に存在する任意の空気が患者の血管系の中へ入らないように阻止することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
追加的にまたは代替的に、いくつかの公知の静脈内送達システムは、ベントキャップを利用し、ベントキャップは、カテーテルの取り付けの前に、チュービングの自由端部に連結され得る。そのようなベントキャップは、一般的に、静脈内送達システムから外へ空気をベントすることが意図されている。しかし、公知のベントキャップは、一般的に、非常に少ない量の液体だけを収容する。空気は、液体の中に同伴される可能性があり、また、静脈内送達システムが完全にプライミングされるときに、チュービングの中に捕捉されたままになる可能性がある。
【0013】
したがって、そのようなベントキャップは、空気をベントする際に、常に効果的であるわけではない。いくつかの場合では、臨床医は、空気を手動で解放するステップをとらなければならず、それは、追加的な時間および注意を必要とし、また、上記に詳述されているように、液体の汚染のリスクをもたらす可能性がある。
【0014】
さらに、いくつかの公知のベントキャップは、チュービングからベントキャップを取り外した後に、ベントキャップの中に液体を保持するのを助けるバルブを有している。そのようなバルブは、複雑な構造体であることが多く、多くの場合には、そのようなバルブは、ベントキャップがチュービングに取り付けられているときに、バルブを開けるために、チュービングの上に対応するハードウェアの存在を必要とする。したがって、そのようなバルブは、公知の静脈内送達システムの複雑さおよびコストを増大させ、また、不適正な取り付けおよび/または製造欠陥などの場合に予期せぬ漏出を引き起こし得る故障点を追加する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の実施形態は、概して、強化された空気ベントを提供するベントキャップを備える静脈内送達システムに関する。静脈内送達システムは、患者に送達されることになる液体を含む液体供給源と、チュービングと、ベントキャップとを有することが可能である。チュービングは、液体供給源に接続可能な第1の端部と、ベントキャップに接続可能な第2の端部とを有することが可能である。
【0016】
ベントキャップは、液体を受け入れるためにチュービングの遠位端部に接続可能な近位端部と、液体に対して実質的に不浸透性であり、空気に対して実質的に浸透性である、ベントを有する遠位端部とを有することが可能である。さらに、ベントキャップは、近位端部から液体を受け入れるチャンバを画定するチャンバ壁部を有することが可能である。チャンバは、チャンバがチュービングから所定の量の液体を受け入れることを可能にするように選択された容積を有することが可能であり、チュービングの第2の端部を通して液体を前進させるように、チュービングが十分にプライミングされた後に、空気は、液体の中に同伴される場合に、チュービングの中に存在する傾向にある。
【0017】
チャンバの所望の容積は、等式V=πr2lによって決定され、ここで、Vは、容積であり、rは、チュービングの内部の半径であり、lは、チュービングの長さであり、空気が、液体の中に存在する場合には、チュービングがプライミングされた後に、チュービングの中に存在する傾向がある。いくつかの実施形態では、等式の中で参照される長さは、2インチ(5.08cm)から5インチ(12.7cm)よりも大きいまでの範囲にあることが可能である。容積は、0.3ミリリットルから1.0ミリリットルよりも大きいまでの範囲にあることが可能である。
【0018】
チャンバ壁部は、7ミリメートルから15ミリメートルの範囲にある内部直径と、5ミリメートルから15ミリメートルの範囲にある長さとを備える、概してチューブ状の形状を有することが可能である。チャンバの幾何学形状は、チューブ状である必要はなく、立方体形状、切頭円錐形状などであることが可能である。ベントキャップの近位端部は、ベントキャップルアーロックを有することが可能であり、ベントキャップルアーロックは、チュービングの第2の端部のチュービングルアーロックと嵌合する。チャンバ壁部は、近位フレアを有するように形状決めされ得、近位フレアは、ベントキャップルアーロックの最も大きい内部直径よりも大きい内部直径を有するチャンバ壁部を提供する。
【0019】
ベントキャップは、たとえば、上記に参照されているベントキャップルアーロックおよびチュービングルアーロックの使用を通して、チュービングの第2の端部に取り外し可能に接続可能であることが可能である。ベントキャップは、ベントキャップの中のバルブの存在を必要とすることなく、チュービングからベントキャップを取り外した後に、それが受け入れた液体の量の実質的にすべてを保持するように構成され得る。より具体的には、チャンバ壁部は、チャンバに隣接してオリフィスを画定するように形状決めされ得る。オリフィスは、チャンバからの液体流出を実質的に防止するようにサイズ決めされ得る。追加的にまたは代替的に、オリフィスは、液体の流出を防止する親水性の膜によってカバーされ得る。ベントは、液体を保持しながら、ベントキャップからの空気の解放を促進する疎水性の膜を有することが可能である。
【0020】
また、静脈内送達システムは、他のコンポーネントを有することが可能である。そのようなコンポーネントは、ドリップユニットを含むことが可能であり、ドリップユニットは、液体供給源から液体を受け入れ、それを、チュービングおよび/または静脈内アクセスユニットに送達し、静脈内アクセスユニットは、チュービングの第2の端部に接続可能であり、液体を患者に送達する。
【0021】
1つの方法によれば、静脈内送達システムは、最初に、以前に示されているように、静脈内送達システムのさまざまなコンポーネントを一緒に接続することによって、使用のために準備され得る。これは、チュービングの第1の端部を液体供給源および/もしくはドリップチャンバに接続すること、ならびに/または、チュービングの第2の端部をベントキャップに接続することを伴うことが可能である。チュービングの第2の端部は、以前に示されているように、ベントキャップルアーロックおよびチュービングルアーロックを介して、ベントキャップに接続され得る。
【0022】
次いで、静脈内送達システムは、液体供給源からベントキャップへチュービングを通して液体を重力送りすることによってプライミングされ得る。静脈内送達システムをプライミングするステップに応答して、ベントキャップは、ベントキャップの中に、チュービングから所定の量の液体を受け入れることが可能であり、チュービングの第2の端部を通して液体を前進させるように、チュービングが十分にプライミングされた後に、空気が、液体の中に同伴される場合に、チュービングの中に存在する傾向にある。ベントキャップの中の液体の量を受け入れることに応答して、空気は、ベントキャップから外へベントされ得る。
【0023】
空気がベントキャップから外へベントされた後に、ベントキャップは、チュービングの第2の端部から取り外され得る。いくつかの実施形態では、これは、ベントキャップの中のバルブの存在を必要とすることなく、ベントキャップの中の液体の量の実質的にすべてを保持することを伴うことが可能である。次いで、静脈内アクセスユニットが、チュービングの第2の端部に接続され得る。次いで、静脈内アクセスユニットは、患者の血管系にアクセスして液体を患者に送達するための使用のために準備され得る。
【0024】
本発明のこれらのおよび他の特徴および利点は、本発明の特定の実施形態の中へ組み込まれ得、また、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより十分に明らかになることになり、または、以降に述べられているような本発明の実施によって学習され得る。本発明は、本明細書で説明されているすべての有利な特徴およびすべての利点が本発明のあらゆる実施形態の中へ組み込まれることを必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の上述のおよび他の特徴および利点が得られる様式が容易に理解されるようにするために、上記に簡潔に説明されている本発明のより詳細な説明が、添付の図面に図示されているその特定の実施形態を参照することによって与えられることになる。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態だけを示しており、したがって、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
図1】1つの実施形態による静脈内送達システムの正面図である。
図2図1の静脈内送達システムのチュービングおよびベントキャップの一部分の正面断面図である。
図3】1つの実施形態による、静脈内送達システムを準備する方法を図示するフローチャートダイアグラムである。
図4】1つの代替的な実施形態による、ベントキャップの正面断面図である。
図5】別の代替的な実施形態による、ベントキャップの正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の現在の好適な実施形態は、図面を参照することによって理解され得、図面において、同様の参照数字は、同一のエレメントまたは機能的に同様のエレメントを示している。本明細書において図で一般的に説明および図示されている本発明のコンポーネントは、多種多様な異なる構成で配置および設計され得ることが容易に理解されることになる。したがって、図に表されているような、以下のより詳細な説明は、特許請求されているような本発明の範囲を限定するように意図されておらず、単に、本発明の現在の好適な実施形態を表しているに過ぎない。
【0027】
そのうえ、図は、簡単化された図または部分図を示している可能性があり、図の中のエレメントの寸法は、誇張されている可能性があり、または、そうでなければ、明確化のために、比例していない可能性がある。それに加えて、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段文脈により明確に示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、たとえば、端末を参照することは、1つまたは複数の端末を参照することを含む。それに加えて、エレメントのリスト(たとえば、エレメントa、b、c)が参照される場合に、そのような参照は、列挙されているエレメントの任意の1つ自身、列挙されているエレメントのすべてよりも少ない任意の組み合わせ、および/または、列挙されているエレメントのすべての組み合わせを含むことを意図している。
【0028】
「実質的に」という用語は、記載されている性質、パラメータ、または値が、厳密に実現される必要はなく、たとえば、公差、測定誤差、測定精度限界、および、当業者に公知の他の要因を含む、偏差または変形が、その性質が提供することを意図していた効果を妨げない量で生じ得ることを意味している。
【0029】
本明細書で使用されているように、「近位」、「上部」、「上に」、または「上向きに」という用語は、デバイスを使用している臨床医に最も近く、患者から最も遠い、デバイスの上の場所を表しており、デバイスがその通常動作時に使用されるときに、デバイスは患者に接続して使用される。逆に、「遠位」、「下部」、「下に」、または「下向きに」という用語は、デバイスを使用している臨床医から最も遠く、患者に最も近い、デバイスの上の場所を表しており、デバイスがその通常動作時に使用されるときに、デバイスは患者に接続して使用される。
【0030】
本明細書で使用されているように、「内に」または「内向きに」という用語は、通常使用の間にデバイスの内側向きになっている、デバイスに対する場所を表している。逆に、本明細書で使用されているように、「外に」または「外向きに」という用語は、通常使用の間にデバイスの外側向きになっている、デバイスに対する場所を表している。
【0031】
図1を参照すると、正面図が、1つの実施形態による静脈内送達システム100を図示している。示されているように、静脈内送達システム100は、複数のコンポーネントを有することが可能であり、それは、液体供給源102、ドリップユニット104、チュービング106、保持ユニット108、ベントキャップ110、および、静脈内アクセスユニット112を含むことが可能である。これらのコンポーネントが図1に図示されている様式は、単に例示的なものであり、当業者は、多種多様な静脈内送達システムが存在することを理解するであろう。したがって、静脈内送達システム100のさまざまなコンポーネントは、省略され、交換され、および/または、図示されているものとは異なるコンポーネントで補完され得る。
【0032】
液体供給源102は、静脈から患者に送達されることになる液体122を含有するコンテナを有することが可能である。液体供給源102は、たとえば、バッグ120を有することが可能であり、バッグ120は、半透明の可撓性のポリマーなどから形成され得る。バッグ120は、液体122を含有するように形状決めされ得る。
【0033】
ドリップユニット104は、測定されるレートで、バッグ120から液体122を受け入れるように設計され得、たとえば、一連のドリップが、予測可能な一貫したレートで起こるようになっている。ドリップユニット104は、重力送りを介して液体122を受け入れるために、バッグ120の下方に位置決めされ得る。ドリップユニット104は、液体供給源102から液体122を受け入れる受け入れデバイス130と、どのようなレートで液体122がドリップユニット104によって受け入れられるかを決定するドリップ特徴部132と、液体122がその中に収集されるドリップチャンバ134とを有することが可能である。
【0034】
チュービング106は、標準的な医療用グレードのチュービングであることが可能である。チュービング106は、シリコーンゴムなどのような可撓性の半透明の材料から形成され得る。チュービング106は、第1の端部140および第2の端部142を有することが可能である。第1の端部140は、ドリップユニット104に連結され得、第2の端部142は、ベントキャップ110に連結され得、液体122がドリップユニット104からチュービング106を通ってベントキャップ110へ流れるようになっている。
【0035】
保持ユニット108が、静脈内送達システム100のさまざまな他のコンポーネントを保持するために使用され得る。示されているように、保持ユニット108は、主本体部150および拡張部152を有することが可能である。一般的に、チュービング106は、第1の端部140に近接して主本体部150に接続され得、また、第2の端部142に近接して拡張部152に接続され得る。保持ユニット108に加えて、または、保持ユニット108の代わりに、さまざまなラック、ブラケット、および/または他のフィーチャが使用され得る。
【0036】
ベントキャップ110は、近位端部160および遠位端部162を有することが可能である。近位端部160は、チュービング106の第2の端部142に連結され得る。遠位端部162は、大気に露出され得、ベントキャップ110の中からの空気が、遠位端部162を通して静脈内送達システム100からベントされ得るようになっている。
【0037】
静脈内アクセスユニット112が、液体122を患者の血管系に供給するために使用され得る。静脈内アクセスユニット112は、第1の端部170およびアクセス端部172を有することが可能である。第1の端部170は、ベントキャップ110の代わりに、チュービング106の第2の端部142に接続可能であり得る。したがって、静脈内送達システム100が十分にプライミングされると、静脈内アクセスユニット112は、ベントキャップ110の代わりに、チュービング106の第2の端部142に連結され得る。代替的実施形態では(図示せず)、チュービング106の第2の端部142からベントキャップ110を取り外すことなく、静脈内アクセスユニット112の第1の端部170をチュービング106に接続するために、Yアダプターなどのようなさまざまなコネクタが使用され得る。
【0038】
静脈内送達システム100は、図1に図示されているように、コンポーネント同士(静脈内アクセスユニット112を除く)を一緒に接続することによってプライミングされ得、次いで、液体122がドリップユニット104およびチュービング106を通ってベントキャップ110の中へ重力送りすることを可能にする。所望の場合には、ドリップユニット104は、絞られ、または、そうでなければ加圧され、チュービング106を通る液体122の流れを速めることが可能である。
【0039】
液体122がチュービング106を通って流れるときに、空気が、液体122の中に同伴されるようになる可能性がある。この空気は、チュービング106の第1の端部140から、チュービング106の第2の端部142に向けて、液体122の柱とともに移動することが可能である。この同伴された空気は、チュービング106の第2の端部142に近接する泡の中へ集まることが可能である。ベントキャップ110は、そのような気泡がベントキャップ110の中へ入ることを可能にするのに十分な量の液体122を受け入れるように設計され得、それらが、ベントキャップ110の遠位端部162を通して静脈内送達システム100からベントされ得るようになっている。ベントキャップ110がこれを達成する様式が、図2に関連して、示されて説明されることになる。
【0040】
図2を参照すると、正面断面図は、図1の静脈内送達システム100のチュービング106およびベントキャップ110の一部分を図示している。示されているように、チュービング106の第2の端部142は、空気運搬部分190を有することが可能であり、空気は、液体122の中に存在する場合には、静脈内送達システム100からベントされるまで、空気運搬部分190の中に存在しようとする。空気運搬部分190は、概して円筒状の形状を有する容積を有することが可能であり、それは、チュービング106の概してチューブ状の形状によって画定され、また、その中に含まれる。したがって、空気運搬部分190は、長さ192および直径を有することが可能であり、直径は、チュービング106の第2の端部142の内部直径194であることが可能である。空気運搬部分190の容積は、等式Vt=πrt2tによって決定され得、ここで、ltは、空気運搬部分190の長さ192であり、rtは、空気運搬部分190の半径であり、それは、チュービング106の第2の端部142の内部直径194の半分である。
【0041】
1つの例によれば、チュービング106の第2の端部142の内部直径194は、約2.8ミリメートルであることが可能である。長さ192は、2インチ(5.08cm)から15インチ(38.1cm)の範囲の中に入ることが可能である。より具体的には、長さ192は、3インチ(7.62cm)から4.5インチ(11.43cm)の範囲の中に入ることが可能である。さらにより具体的には、長さ192は、約4インチ(10.16cm)であることが可能である。プライミングの後の残留空気の問題を有する先行技術の静脈内送達システムにおいて、気泡は、ベントキャップ110の約4インチ(10.16cm)以内において、ベントキャップ110に隣接するチュービングのセグメントの中に存在しようとすることが観察された。空気運搬部分190の長さ192をおおよそ4インチ(10.16cm)に等しく設定することは、この観察を反映している。空気運搬部分190の容積Vtは、0.3ミリリットルから2.7ミリリットルの範囲の中に入ることが可能である。より具体的には、空気運搬部分190の容積Vtは、0.47ミリリットルから0.7ミリリットルの範囲の中に入ることが可能である。さらにより具体的には、空気運搬部分190の容積Vtは、約0.625ミリリットルであることが可能である。
【0042】
チュービング106の第2の端部142は、コネクタを有することが可能であり、コネクタは、第2の端部142とベントキャップ110の近位端部160の取り外し可能な連結を促進するように設計されている。さまざまなタイプのコネクタが使用され得る。いくつかの例では、当技術分野で公知のタイプのルアータイプコネクタが使用され得る。図2において具現化されているように、コネクタは、チュービングルアーロック200の形態をとることが可能であり、それは、第2の端部142のチュービング材料に固定され得る。チュービングルアーロック200は、オス型のテーパー付きのフィッティング202を有することが可能であり、オス型のテーパー付きのフィッティング202は、ベントキャップ110に向けて遠位に延在している。チュービングルアーロック200は、メス型のねじ山付きのインターフェース204をさらに有することが可能である。
【0043】
同様に、ベントキャップ110の近位端部160は、ベントキャップルアーロック210を有することが可能であり、ベントキャップルアーロック210は、チュービングルアーロック200と嵌合するように設計されており、ベントキャップ110が、容易にかつ取り外し可能にチュービング106の第2の端部142に連結され得るようになっている。ベントキャップルアーロック210は、メス型のテーパー付きのフィッティング212を有することが可能であり、メス型のテーパー付きのフィッティング212は、オス型のテーパー付きのフィッティング202とシールを全体的に形成するように、チュービングルアーロック200のオス型のテーパー付きのフィッティング202を受け入れる。ベントキャップルアーロック210は、オス型のねじ山付きのインターフェース214をさらに有することが可能であり、オス型のねじ山付きのインターフェース214は、チュービングルアーロック200のメス型のねじ山付きのインターフェース204と嵌合し、ベントキャップルアーロック210が回転され、チュービングルアーロック200とねじ式に係合することができるようになっている。
【0044】
ベントキャップ110の遠位端部162は、空気に対して実質的に浸透性となるように設計されているベントを有することが可能である。これは、ベントが、数分以内に静脈内送達システム100から空気のすべてを解放するのに十分な流量で、空気がそれを通過することを可能にすることを意味している。さらに、ベントは、液体に対して実質的に不浸透性となるように設計され得る。これは、ベントが液体通過を完全に遮断するシールを提供する必要はなく、むしろ、ベントが液体フローを十分に制限し、数分以内に、静脈内送達システム100の中の液体の比較的小さいパーセンテージ(たとえば、2%未満)だけが逃げることができるようになっていることを必要とする。
【0045】
図2に示されているように、ベントは、疎水性の膜220の形態をとることが可能であり、疎水性の膜220は、ベントキャップ110の残りの部分に超音波溶着されるか、または、その他の方式で取り付けられ得る。疎水性の膜220は、一般的に、液体122をはじくことが可能であり、それは、示されているように、ベントキャップ110の中に空気が存在している場合に、液体122が疎水性の膜220から変位されたままにすることが可能である。一般的に、ベントキャップ110の中の空気は、疎水性の膜220に容易に移動することが可能であるが、空気が依然としてチュービング106の第2の端部142の空気運搬部分190の中にある状態で、液体122の柱が移動することを停止する場合には、そのような空気が空気運搬部分190の中に留まったままとなる可能性がある。したがって、ベントキャップ110は、より詳細に下記に述べられることになるように、少なくとも空気運搬部分190の容積に等しい液体122の容積を受け入れるように設計され得る。
【0046】
留意されるべきことには、疎水性の膜220は、本開示の範囲内で使用され得る多くの異なるベントのうちの単に1つの例である。他の構造体(図示せず)が、疎水性の膜220に加えて、または、疎水性の膜220の代替として、使用され得る。そのような構造体は、それに限定されないが、親水性のフィルター、穿孔されたキャップ、および、1つまたは複数の曲がりくねった通路を備えたキャップを含む。親水性のフィルターは、空気が通って流れることを許容する通路を有することが可能であるが、親水性のフィルターに対する液体122の引力に起因して、液体の漏出に抵抗することが可能であり、また、液体バリアの形成を有することが可能であり、それは、したがって、親水性のフィルターの表面に沿って生じることが可能である。穿孔されたキャップは、複数の穴を有することが可能であり、複数の穴のそれぞれは、(表面張力効果に起因して)それを通る液体122の退出に抵抗するのに十分に小さくなっているが、空気がそれを通過するのに十分に大きくなっている。1つまたは複数の曲がりくねった通路を備えたキャップでは、それぞれの通路は、狭くなっていることが可能であり、また、長いおよび/または湾曲した経路を辿ることが可能であり、それは、空気が逃げることを依然として許容しながら、表面張力効果、および/または、通路の長さに沿って生じる水頭損失に起因して、液体122の流出に抵抗する。
【0047】
図2の実施形態に戻ると、ベントキャップ110は、ベントキャップ110の近位端部160と遠位端部162との間に延在するチャンバ壁部230を有することが可能である。チャンバ壁部230は、ベントキャップ110の外部壁部を画定することが可能であり、また、ベントキャップ110の中のチャンバ232を画定することが可能である。図2において具現化されているように、チャンバ壁部230は、概してチューブ状の形状を有することが可能であり、いくらかの随意的な直径の変化を伴うことが可能である。
【0048】
これらの直径の変化は、近位フレア234を含むことが可能であり、近位フレア234において、チャンバ壁部230は、ベントキャップルアーロック210のメス型のテーパー付きのフィッティング212に接合している。近位フレア234において、ベントキャップ110の直径の外部は、遠位方向に沿って、すなわち、ベントキャップ110の近位端部160からチャンバ壁部230の主要部分へ、急激に増加することが可能である。近位フレア234は、チャンバ232を画定するのを助けることが可能であり、チャンバ232が十分な容積を有するようになっており、静脈内送達システム100のプライミングが完了し、液体122の前縁部が空気運搬部分190の遠位端部からチャンバ232の中へ前進するときに、液体122の実質的にすべてが空気運搬部分190からチャンバ232の中へ通過することを可能にする。
【0049】
より具体的には、チャンバ232は、チャンバ壁部230の概してチューブ状の形状の中に画定されている一般的に円筒状の形状を有することが可能である。チャンバ232は、近位フレア234から疎水性の膜220へ延在する長さ242と、直径とを有することが可能であり、直径は、チャンバ壁部230の内部直径244であることが可能である。チャンバ232は、正確に円筒状の形状を有していなくてもよい。しかし、チャンバ232の容積は、公式Vc=πrc2cによって近似され得、ここで、lcは、チャンバ232の長さ242であり、rcは、チャンバ232の半径であり、それは、チャンバ232の内部直径244の半分である。
【0050】
チャンバ232の寸法は、チャンバ232の容積Vcをチュービング106の空気運搬部分190の容積Vtに等しく設定することによって決定され得る。したがって、等式πrc2c=πrt2tが、チャンバ232の寸法を決定するために使用され得る。たとえば、上記に述べられているような、空気運搬部分190の例示的な寸法を所与として、rtは、約1.4ミリメートル、または0.0014メートルであることが可能であり、ltは、約4インチ(10.16cm)または約0.1016メートルであることが可能である。チャンバ232の内部直径244が10ミリメートルになることになる場合には、チャンバ232の半径rcは、約5ミリメートルまたは約0.005メートルになることになる。lcに関する上記の等式を解くことは、チャンバ232の長さ242が、約8ミリメートルまたは0.008メートルであるべきであることを提供する。いくつかの実施形態では、チャンバ232の長さ242は、5ミリメートルから10ミリメートルの範囲、または、より具体的には、6.5ミリメートルから9ミリメートルの範囲にあることが可能である。
【0051】
チャンバ壁部230の直径の変化は、遠位フレア236を含むことが可能である。遠位フレア236において、ベントキャップ110の外部直径は、再び、遠位方向に沿って、すなわち、チャンバ壁部230の主要部分からベントキャップ110の遠位端部162へ、急激に増加することが可能である。遠位フレア236は、シート部を画定することが可能であり、疎水性の膜220が、以前に示されているように、たとえば、超音波溶着を介して、シート部の上に固定され得る。ベントキャップ110は、直立して配向され得、疎水性の膜220が、チャンバ232の上方にあるようになっている。このように、チャンバ232の中の空気250は、矢印252によって示されている方向に、疎水性の膜220に向けて浮かぶことが可能であり、また、疎水性の膜220を通ってベントキャップ110を出ていくことが可能である。
【0052】
いくつかの代替的な実施形態では(図示せず)、ベントキャップは、チャンバを有することが可能であり、チャンバは、空気流がベントすることを促進し、および/または、それを早めるように構成されている。たとえば、円筒状の形状の代わりに、そのようなチャンバは、水を吸い上げるのを助け、および/または、空気が融合することを可能にする、異なる幾何学形状を有することが可能である。追加的にまたは代替的に、親水性の繊維マットなどのような吸収材材料が、チャンバの中に位置決めされ、そのような吸い上げおよび/または融合を促進することが可能である。
【0053】
静脈内送達システム100は、さまざまな方法による使用のために準備され得る。静脈内送達システム100などのようなシステムの使用の1つの例が、以下の通り、図3に関連して、より詳細に説明されることになる。
【0054】
図3を参照すると、フローチャートダイアグラムは、1つの実施形態による、使用のための静脈内送達システムを準備する方法300を図示している。方法300は、図1および図2の静脈内送達システム100を参照して説明されることになる。しかし、当業者は、方法300が異なる静脈内送達システムを用いて実施され得ることを理解するであろう。同様に、静脈内送達システム100は、図3のもの以外の方法の使用を通して、使用のために準備され得る。
【0055】
方法300は、ステップ320から開始310することが可能であり、ステップ320において、静脈内送達システム100のさまざまなコンポーネントが、静脈内アクセスユニット112を除いて、一緒に接続される。チュービング106およびベントキャップ110などのような、静脈内送達システム100のコンポーネントのうちのいくつかは、それらがすでに一緒に接続されている状態で、パッケージ化され、販売され、および/または、エンドユーザーに提供され得る。ステップ320は、未だ一緒に接続されていない静脈内送達システム100のコンポーネントの相互接続だけを含むことが可能である。
【0056】
ステップ330において、静脈内送達システム100がプライミングされ得る。以前に示されているように、これは、単に、液体122が重力を介してチュービング106を通ってベントキャップ110へ流れることを可能にすることによって、または、ドリップユニット104を絞るか、もしくは別の方法で加圧することによって行われ得る。
【0057】
ステップ340において、液体122が、ベントキャップ110の中に受け入れられ得る。以前に述べられているように、液体122が空気運搬部分190の遠位端部に前進されるときに、空気運搬部分190の中に配設されている液体122は、ベントキャップ110のチャンバ232の中に受け入れられ得る。ベントキャップ110のチャンバ232は、これを達成するために意図的にサイズ決めされ得る。
【0058】
ステップ350において、空気250は、静脈内送達システム100からベントされ得る。これは、空気250が、チャンバ232の上部に至り、ベントキャップ110の疎水性の膜220を通過することを許容することを伴う可能性がある。ここで、静脈内送達システム100が、静脈内アクセスユニット112の取り付けおよび使用のために準備され得る。
【0059】
ステップ360において、ベントキャップ110が、チュービング106の第2の端部142から取り外され得る。これは、チュービング106の第2の端部142のチュービングルアーロック200から、ベントキャップ110のベントキャップルアーロック210を取り外すことを伴うことが可能である。
【0060】
ステップ370において、静脈内アクセスユニット112が、チュービング106の第2の端部142に取り付けられ得る。静脈内アクセスユニット112の第1の端部170は、チュービング106の第2の端部142のチュービングルアーロック200と嵌合するルアーロックを有することが可能である。したがって、このステップの実施は、静脈内アクセスユニット112の第1の端部170のルアーロックを、チュービング106の第2の端部142のチュービングルアーロック200に嵌合させることを伴うことが可能である。
【0061】
静脈内送達システム100は、本開示による静脈内送達システムの多くの異なる可能な実施形態のうちの単なる1つである。代替的な実施形態では、さまざまな異なるベントキャップ構成が提供され得る。そのような代替的なベントキャップ構成は、有利には、ベントキャップ110の一部としてのバルブの存在を必要とすることなく、チュービング106の第2の端部142の取り外しの後に、チャンバ232の中に液体122を保持するように設計され得る。2つのそのような代替的な実施形態は、以下の通り、図4および図5に関連して、示されて説明されることになる。
【0062】
図4を参照すると、正面断面図は、1つの代替的な実施形態によるベントキャップ410を図示している。ベントキャップ410は、図1のものと同様の静脈内送達システムのコンポーネントであることが可能であり、したがって、図1のチュービング106の遠位端部162などのような、チュービングに取り外し可能に連結され得る。ベントキャップ410は、近位端部420および遠位端部422を有することが可能である。ベントキャップ410は、ベントキャップルアーロック210および疎水性の膜220などのような、ベントキャップ110の対応する特徴と同様のいくつかの特徴を有することが可能である。
【0063】
ベントキャップ110と同様に、ベントキャップ410は、チャンバ432を画定する概してチューブ状の形状を備えたチャンバ壁部430を有することが可能である。チャンバ壁部430は、近位フレア434および遠位フレア436を有することが可能であり、それらは、チャンバ432の範囲を画定し、疎水性の膜220のシート部を提供するように協働する。チャンバ232と同様に、チャンバ432は、プライミングプロセスが完了に至ったときに、チュービング106の遠位端部162の空気運搬部分190の中に含まれている液体122の実質的にすべてをチャンバ432が受け入れることを可能にするように選択された容積を有することが可能である。これは、恐らく、同伴された空気がもしあればその中に存在することになる液体122である。ベントキャップ110と同様に、空気は、ベントキャップ410から疎水性の膜220を通してベントされ得る。
【0064】
チュービング106の遠位端部162からベントキャップ410を取り外した後に、ベントキャップ410が、チャンバ432の中に含まれている液体122の実質的にすべてを保持するように、または、換言すれば、液体122がオリフィス440を通ってベントキャップ410から外へ流れることを実質的に防止するように、ベントキャップ410は設計され得る。この適用例において、液体の「実質的にすべて」を保持すること、および、オリフィス440を通る液体122の流れを「実質的に防止する」ことは、液体122の100%の保持を必要としない。むしろ、これらの語句は、液体122の十分な保持に関連しており、遠位端部162からベントキャップ410を取り外した後に、チャンバ432の中からの液体122の漏出が、数滴の液体122に限定されるようになっている。
【0065】
「ベントキャップの中のバルブの存在を必要とすることなく」という語句は、ベントキャップの中にバルブが存在していないことを意味しているのではなく、むしろ、ベントキャップからの液体122の流出を防止することなどのような機能がバルブの使用を必要としないことを意味している。「バルブ」は、少なくとも1つの移動可能な部材を有するデバイスであり、少なくとも1つの移動可能な部材は、バルブが開状態と閉状態との間で移動することを可能にし、開状態では、バルブを通る流体フローが許容され、閉状態では、バルブを通る流体フローが、開状態のときよりも制限される。
【0066】
図4の実施形態では、これは、オリフィス440の使用を通して達成され得、オリフィス440は、チャンバ432とベントキャップルアーロック210との間で、チャンバ壁部430の中に形成され得る。オリフィス440は、チュービング106の遠位端部162からベントキャップ410を取り外した後に、液体122の実質的にすべてがチャンバ432の中に保持されるように選択されたサイズを有することが可能である。より具体的には、液体122とオリフィス440に近接する大気との間の境界における表面張力は、オリフィス440を通してチャンバ432から液体122を除去しようとする任意の力に対抗するのに十分であることが可能である。ベントキャップ410は、図4に図示されているように、それがチュービング106の遠位端部162から取り外されるときに、チャンバ432の中の液体122の下方にオリフィス440を備えて位置決めされる傾向にあるので、そのような力は、重力を含むことが可能である。
【0067】
チュービング106からベントキャップ410を取り外した後に、チャンバ432の中に液体122を保持することは、有益なことには、液体122がこぼれることを最小化することが可能であり、また、臨床的環境を無菌に維持するのを助けることが可能である。オリフィス440は、内部バルブの存在を必要とすることなく、これを達成するための単なる1つのメカニズムを表している。別の例が、図5に関連して、示されて説明されることになる。
【0068】
図5を参照すると、正面断面図は、別の代替的な実施形態によるベントキャップ510を図示している。ベントキャップ510は、図1のものと同様の静脈内送達システムのコンポーネントであることが可能であり、したがって、図1のチュービング106の遠位端部162などのような、チュービングに取り外し可能に連結され得る。ベントキャップ510は、近位端部520および遠位端部522を有することが可能である。ベントキャップ510は、ベントキャップルアーロック210および疎水性の膜220などのような、ベントキャップ110およびベントキャップ410の対応する特徴と同様のいくつかの特徴を有することが可能である。
【0069】
ベントキャップ110およびベントキャップ410と同様に、ベントキャップ510は、チャンバ532を画定する概してチューブ状の形状を備えたチャンバ壁部530を有することが可能である。チャンバ壁部530は、近位フレア534および遠位フレア536を有することが可能であり、それらは、チャンバ532の範囲を画定し、疎水性の膜220のシート部を提供するように協働する。チャンバ232およびチャンバ432と同様に、チャンバ532は、プライミングプロセスが完了に至ったときに、チュービング106の遠位端部162の空気運搬部分190の中に含まれている液体122の実質的にすべてをチャンバ532が受け入れることを可能にするように選択された容積を有することが可能である。これは、恐らく、同伴された空気がもしあればその中に存在することになる液体122である。ベントキャップ110およびベントキャップ410と同様に、空気は、ベントキャップ510から疎水性の膜220を通してベントされ得る。
【0070】
ベントキャップ410と同様に、チュービング106の遠位端部162からベントキャップ510を取り外した後に、ベントキャップ510が、チャンバ532の中に含まれている液体122の実質的にすべてを保持するように、ベントキャップ510は設計され得る。ベントキャップ510は、チャンバ532とベントキャップルアーロック210との間でチャンバ壁部530の中に形成されているオリフィス440を有することが可能である。オリフィス540は、任意の特定のサイズを有する必要はない。むしろ、チャンバ532の中に液体122を保持することは、親水性の膜542の使用を通して達成され得、親水性の膜542は、オリフィス540をカバーし、チャンバ532とベントキャップルアーロック210との間の境界を画定している。親水性の膜542の親水性の組成に起因して、液体122は、親水性の膜542に接着することが可能である。この接着は、液体122をオリフィス540を通してチャンバ532を出ていかせようとする、重力などのような力に対抗するのに十分であることが可能である。
【0071】
本発明は、本明細書で広く説明されているような、および、以降で特許請求されているような、その構造、方法、または他の必須の性質から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化され得る。説明されている実施形態は、すべての観点において、単なる例示目的のもの考慮されるべきであり、制限的なものとして考慮されるべきではない。したがって、本発明の範囲は、先述の説明によってというよりも、添付の特許請求の範囲によって示されている。特許請求の範囲の均等性の意味および範囲の中に入るすべての変化は、それらの範囲内に包含されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5