(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
円筒形状の台金と、前記台金の先端部に形成されて地盤を掘削する砥粒層と、前記砥粒層の先端面に開口を有する複数の流体用穴と、前記先端面に形成されて、前記開口から前記台金の外周面に至る先端面側流体用通路と、を備えるコア採取用ビットに用いられる穴調整部材であって、
前記流体用穴に取り付けられることで前記流体用穴の数を調整することを特徴とする、
穴調整部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、固結度の低い軟岩や砂礫等の地盤を掘削する場合は、コア採取用ビットの内周側に水が入り込むとコアの形状が崩れる可能性があるため、流体用穴から吐出される流体の圧力を下げる必要がある。一方、固結度の高い硬岩等の地盤を掘削する場合は、コア採取用ビットの内周側に水が入り込んでもコアの形状は崩れないが、砥粒層が焼き付きやすいため、流体用穴から吐出される流体の圧力を上げる必要がある。
【0006】
しかしながら、コア採取用ビットに供給する流体の圧力を細かく調整することはできない。このため、作業現場では、掘削する地盤の地質に応じて異なる数の流体用穴が形成されたコア採取用ビットに交換することで、流体用穴から吐出される流体の圧力を調整していた。このため、従来は、流体用穴の数が異なる複数種類のコア採取用ビットを用意する必要があるため、コストが高くなるという問題がある。しかも、一般に販売されているものとは異なる数の流体用穴が形成されたコア採取用ビットを用意したい場合は、特注品のコア採取用ビットを作製する必要があるため、更にコストが高くなるという問題がある。
【0007】
また、コア採取用ビットの交換は、パイプレンチなどの特殊工具を用いて行うが、特殊工具の誤った使い方により、コア採取用ビットにクラックが発生したり、コア採取用ビットが歪んだりするなどの不具合が発生する場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、一種類のコア採取用ビットで異なる地質の地盤を掘削してコアを採取することができるコア採取用ビット、穴調整部材及び掘削方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るコア採取用ビットは、円筒形状の台金と、台金の先端部に形成されて地盤を掘削する砥粒層と、砥粒層の先端面に開口を有する複数の流体用穴と、先端面に形成されて、開口から台金の外周面に至る先端面側流体用通路と、流体用穴に取り付けられることで流体用穴の数を調整する穴調整部材と、を備える。
【0010】
本発明に係るコア採取用ビットでは、穴調整部材により流体用穴の数を調整することができるため、掘削する地盤の地質に応じて、流体用穴の数を変更することができる。例えば、固結度の高い硬岩等の地盤を掘削する場合は、穴調整部材により流体用穴の数を減らす。すると、流体用穴から吐出される流体の圧力が高くなるため、砥粒層の焼き付きを抑制することができる。一方、固結度の低い軟岩や砂礫等の地盤を掘削する場合は、穴調整部材により流体用穴の数を増やす。すると、流体用穴から吐出される流体の圧力が低くなるため、コア採取用ビットの内周側に流体が入り込んでコアの形状が崩れるのを抑制することができる。これにより、一種類のコア採取用ビットで異なる地質の地盤を掘削してコアを採取することができる。しかも、掘削する地盤の地質が変わっても、コア採取用ビット自体を交換しなくて済むため、特殊工具の誤った使い方に起因するコア採取用ビットの不具合の発生を抑制することができる。
【0011】
また、穴調整部材は、流体用穴に対して着脱可能であってもよい。このコア採取用ビットでは、穴調整部材が流体用穴に対して着脱可能であるため、容易に流体用穴の数を増減させることができる。
【0012】
また、流体用穴の内側に向けて突出する突起を更に備えてもよい。このコア採取用ビットでは、穴調整部材が流体用穴に取り付けられると、穴調整部材に突起が食い込むため、穴調整部材が流体用穴から脱落するのを抑制することができる。
【0013】
また、穴調整部材は、流体用穴に挿入されることで流体用穴を閉じる挿入部を備えてもよい。このコア採取用ビットでは、挿入部を流体用穴に挿入することで流体用穴が閉じられるため、容易に流体用穴の数を調整することができる。
【0014】
また、穴調整部材は、先端面側流体用通路に掛止される爪部を更に備えてもよい。このコア採取用ビットでは、爪部が先端面側流体用通路に掛止されるため、挿入部を流体用穴に挿入しても、爪部を引っ張って流体用穴から挿入部を抜去することができる。このため、容易に流体用穴の数を増減することができる。
【0015】
また、穴調整部材は、流体用穴に挿入されることで流体用穴を閉じる挿入部と、挿入部に接続されて流体用穴から露出される露出部と、を備え、挿入部と露出部との間の部分が切り欠かれていてもよい。このコア採取用ビットでは、挿入部に対して露出部を曲げることで、挿入部と露出部との間の切り欠きを境として挿入部と露出部とを切断することができる。このため、一部又は全ての流体用穴に、露出部が接続された挿入部を挿入しておく。そして、露出部を引っ張って流体用穴から挿入部を抜去することで、当該流体用穴を開けることができる。一方、露出部を切断除去して挿入部を流体用穴に残留させることで、流体用穴から穴調整部材を露出させることなく、流体用穴を閉じた状態に保持することができる。
【0016】
また、穴調整部材は、流体用穴に充填されることで流体用穴を閉じる樹脂材であってもよい。このコア採取用ビットでは、流体用穴に樹脂材を充填することで流体用穴が閉じられるため、容易に流体用穴の数を調整することができる。
【0017】
本発明に係る穴調整部材は、円筒形状の台金と、台金の先端部に形成されて地盤を掘削する砥粒層と、砥粒層の先端面に開口を有する複数の流体用穴と、先端面に形成されて、開口から台金の外周面に至る先端面側流体用通路と、を備えるコア採取用ビットに用いられる穴調整部材であって、流体用穴に取り付けられることで流体用穴の数を調整する。本発明に係る穴調整部材を用いることで、コア採取用ビットの流体用穴の数を容易に調整することができる。
【0018】
本発明に係る掘削方法は、上記の何れかのコア採取用ビットを用いて、地盤を掘削してコアを採取する掘削方法であって、穴調整部材により流体用穴の数を調整して地盤を掘削する。本発明に係る掘削方法では、穴調整部材により流体用穴の数を調整して地盤を掘削するため、一種類のコア採取用ビットで異なる地質の地盤を掘削してコアを採取することができる。しかも、掘削する地盤の地質が変わっても、コア採取用ビット自体を交換しなくて済むため、特殊工具の誤った使い方に起因するコア採取用ビットの不具合を抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、一種類のコア採取用ビットで異なる地質の地盤を掘削してコアを採取することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、実施形態に係るコア採取用ビット、穴調整部材及び掘削方法を説明する。なお、各図において同一又は相当する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
まず、本実施形態に係るコア採取用ビットが取り付けられるボーリング装置について簡単に説明する。ボーリング装置は、地上に設置された回転駆動装置と、地中に挿入されるコアチューブと、を備えている。なお、回転駆動装置には、流体を供給するポンプが設けられている。
【0023】
図1は、コアチューブの正面図である。
図1に示すように、コアチューブ1は、細長い円筒形状に形成されている。コアチューブ1は、回転駆動装置(不図示)に連結されて回転駆動されるスイベルヘッド2と、スイベルヘッド2により回転駆動される外管部3と、外管部3の内側に配置されてスイベルヘッド2によって回転駆動されない内管部(不図示)と、を備えている。
【0024】
外管部3は、スイベルヘッド2に取り付けられるアウターチューブ4と、アウターチューブ4の先端に取り付けられるメタルリーマ5と、メタルリーマ5の先端に取り付けられるビットチューブ6と、を備えている。但し、外管部3の構成は、これに限定されるものではなく、適宜変更することができる。内管部は、インナーチューブ(不図示)と、アウターエキステンション(不図示)と、インナーエキステンション(不図示)と、コアリフタ―(不図示)と、リフタ―ケース(不図示)と、を備えている。但し、内管部の構成は、これに限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0025】
そして、外管部3の先端に配置されるビットチューブ6の先端に、コア採取用ビット7が取り付けられており、コア採取用ビット7により地盤を掘削することで、地盤のコアを内管部に収容することが可能となっている。
【0026】
[第1の実施形態]
図2は、コア採取用ビットの斜視図である。
図3は、
図2に示すコア採取用ビットの平面図である。
図4は、
図3に示すIV−IV線における断面図である。
図5は、
図4に示すコア採取用ビットの一部拡大図である。なお、
図2〜5では、地盤を掘削するコア採取用ビットの先端を上方に配置したときの図を示している。このため、
図1と
図2〜5とでは、コア採取用ビットの上下方向が逆になっている。
【0027】
図2〜
図5に示すように、コア採取用ビット7は、回転することにより地盤を掘削して地盤のコアを内部に収容するために、円筒状に形成されている。コア採取用ビット7は、円筒形状の台金10を備えている。台金10の後端部(
図2の下側の部分)には、ビットチューブ6の内周面に刻設された雌ネジ部(不図示)にねじ止めされる雄ネジ部11が刻設されている。雄ネジ部11は、ビットチューブ6に取り付けられる取付部である。台金10の先端部(
図2の上側の部分)には、円筒形状(リング状)に形成されて地盤を掘削するための砥粒が含まれた砥粒層12が形成されている。砥粒層12に含まれる砥粒としては、例えば、ダイヤモンドやCBNなどの超砥粒や、アルミナ質や炭化ケイ素質などの一般砥粒などを用いることができる。
【0028】
そして、コア採取用ビット7には、流体用穴13と、先端面側流体用通路14と、外周面側流体用通路15と、が形成されている。
【0029】
流体用穴13は、ポンプから外管部3と内管部との間に供給された流体が流通する穴である。本実施形態では、コア採取用ビット7に8個の流体用穴13が形成されるものとして説明するが、コア採取用ビット7に形成される流体用穴13の数は、特に限定されるものではなく、例えば、2個、4個、16個等とすることができる。ここで、流体としては、例えば、冷却水等の液体、冷却ガス等の気体が挙げられる。なお、流体として冷却水が用いられる場合、流体用穴及び流体用通路は、それぞれウォーターホール及びウォーターウェイと呼ばれることがある。
【0030】
流体用穴13は、円筒形状に形成されたコア採取用ビット7の中心軸線C方向に沿って直線状に延びており、コア採取用ビット7の雄ネジ部11側から砥粒層12の先端面17に貫通している。そして、砥粒層12の先端面17に、流体用穴13の一方側の開口13aが形成されており、砥粒層12の内周面18に、流体用穴13の他方側の開口13bが形成されている。このため、ポンプから外管部3と内管部との間に供給された流体は、内周面18に形成された開口13bから流体用穴13に入り、流体用穴13を流通した後、先端面17側に形成された開口13aから吐出される。なお、砥粒層12の先端面17とは、コア採取用ビット7の先端面であって地盤を掘削する面である。
【0031】
具体的に説明すると、砥粒層12の先端面17側の部分は、内周面18が小径化されることで、砥粒層12の先端面17とは反対側の部分に比べて肉厚となっている。ここで、砥粒層12のうち、肉厚になっている部分を第一砥粒層部12aといい、肉厚になっていない部分を第二砥粒層部12bという。なお、第一砥粒層部12aは、砥粒層12の先端面17側の部分であり、第二砥粒層部12bは、砥粒層12の先端面17とは反対側の部分である。そして、流体用穴13は、第二砥粒層部12bの内周面18と重なる位置において、第一砥粒層部12aから第二砥粒層部12bまで延びている。これにより、第二砥粒層部12bの内周面18に、流体用穴13の開口13bが形成されている。
【0032】
流体用穴13には、突起13dが形成されている。突起13dは、流体用穴13を形成するコア採取用ビット7の穴壁から流体用穴13の内側に向けて突出する突起である。突起13dは、流体用穴13の内側に向けて突出していれば、その形状、大きさ、突出方向、突出高さ等は、特に限定されない。
【0033】
先端面側流体用通路14は、砥粒層12の先端面17に形成されて、流体用穴13の開口13aから吐出された流体を流通させる先端面側流体用通路である。先端面側流体用通路14は、砥粒層12の先端面17において、流体用穴13の開口13aからコア採取用ビット7の回転方向R後方に延びてコア採取用ビット7の外周面19に至っている。
【0034】
外周面側流体用通路15は、コア採取用ビット7の外周面19に形成されて、先端面側流体用通路14からコア採取用ビット7の雄ネジ部11側に延びる外周面側流体用通路である。外周面側流体用通路15の深さは、外周面側流体用通路15と流体用穴13との間に穴が開かない範囲で適宜設定することができる。また、外周面側流体用通路15の深さは、先端面17側から雄ネジ部11側に向けて徐々に浅くしてもよく、先端面17側から雄ネジ部11側に向けてほぼ同じ深さとしてもよい。外周面側流体用通路15は、コア採取用ビット7の外周面19において、コア採取用ビット7の中心軸線Cと平行な方向に略直線状(直線状を含む)に延びている。外周面側流体用通路15の長さは、特に限定されるものではないが、砥粒層12を越える長さであることが好ましい。
【0035】
コア採取用ビット7は、更に、穴調整部材20を備える。穴調整部材20は、流体用穴13に取り付けられることで流体用穴13の数を調整する。なお、本実施形態では、穴調整部材20は、流体用穴13に挿入されることで、流体用穴13に取り付けられる。
【0036】
図6は、穴調整部材が取り付けられたコア採取用ビットの平面図である。
図7は、
図6に示すVII−VII線における一部断面図である。
図8は、
図6に示すVIII−VIII線における一部断面図である。
図9は、穴調整部材を示す図であり、
図9の(a)は平面図、
図9の(b)は正面図、
図9の(c)は側面図である。
図6〜
図9に示すように、穴調整部材20は、挿入部21と、爪部22と、を備える。
【0037】
挿入部21は、流体用穴13に挿入されることで流体用穴13を閉じる部位である。挿入部21は、棒状に形成されており、直線状に延びている。
【0038】
挿入部21の断面形状は、流体用穴13の断面形状と略同じである。このため、流体用穴13に挿入部21が挿入されると、流体用穴13が閉じられて、コア採取用ビット7の流体用穴13の数が減る(
図6参照)。なお、
図6では、8個の流体用穴13のうち、4個の流体用穴13が穴調整部材20により閉じられた状態を示している。一方、流体用穴13から挿入部21が抜去されると、閉じられていた流体用穴13が開かれて、コア採取用ビット7の流体用穴13の数が増える(
図3参照)。
【0039】
挿入部21の長さは、流体用穴13の長さ(深さ)と略同じである。このため、挿入部21が流体用穴13に挿入されると、流体用穴13の殆ど全てが挿入部21で埋められる。これにより、穴調整部材20は、ポンプから供給された流体の圧力を、流体用穴13に挿入された挿入部21の側面において受けるため、当該圧力によっては流体用穴13から脱落しない。また、流体用穴13に形成された突起13dが食い込むことで、挿入部21の脱落が抑制される。
【0040】
挿入部21の一方端面には、直線状に延びる溝23が形成されている。溝23は、挿入部21を流体用穴13に挿入するために、マイナスドライバーなどの道具を押し当てるためのガイド溝である。
【0041】
爪部22は、挿入部21が流体用穴13に挿入された際に、先端面側流体用通路14に掛止される部位である。爪部22は、挿入部21の一方端部において、挿入部21の側面から挿入部21の延在方向と直交する方向に突出している。このため、挿入部21を流体用穴13に挿入しても、爪部22は流体用穴13に挿入されることなく、先端面側流体用通路14に掛止される。
【0042】
爪部22の底面22aは、挿入部21の延在方向に垂直な面に対して、挿入部21の他方端部側に傾斜している。底面22aは、挿入部21が流体用穴13に挿入された際に、先端面側流体用通路14と対向する面である。挿入部21の他方端部は、挿入部21の爪部22が形成される一方端部とは反対側の端部である。このため、挿入部21が流体用穴13に挿入されて、爪部22が先端面側流体用通路14に掛止された際に、爪部22と先端面側流体用通路14との間に、隙間が形成される。この隙間は、マイナスドライバーなどの道具を挿入して穴調整部材20を流体用穴13から抜去することに利用できる。
【0043】
穴調整部材20の素材は、特に限定されないが、流体用穴13に形成された突起13dが食い込む程度に弾性を有する素材であることが好ましい。穴調整部材20の素材としては、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0044】
次に、コア採取用ビット7を用いて、地盤を掘削してコアを採取する掘削方法について説明する。
【0045】
通常、地表付近の地盤は固結度の低い地質であるため、始めは、全ての流体用穴13から穴調整部材20を取り外しておく。このとき、コア採取用ビット7は、
図10の(a)に示すように、全ての流体用穴13が開いた状態となる。なお、
図10の(a)は、
図4に示すX−X線における断面図である。但し、地質によっては、一又は複数の流体用穴13に穴調整部材20を取り付けておいてもよい。そして、ポンプから外管部3と内管部との間に流体を供給しながら、回転駆動装置により外管部3を回転駆動して、外管部3の先端(ビットチューブ6)に取り付けられたコア採取用ビット7を回転させる。すると、砥粒層12により地盤が掘削されて、地表付近の地盤のコアがコア採取用ビット7から内管部に収容される。また、ポンプから外管部3と内管部との間に供給された流体は、開口13bから流体用穴13に供給され、流体用穴13の開口13aから吐出される。開口13aから吐出された流体は、砥粒層12を冷却しながら、スライムを伴って外周面側流体用通路15に流れて行く。
【0046】
このとき、流体用穴13には穴調整部材20が取り付けられていないため、開口13aから吐出される流体の圧力は低く抑えられる。これにより、開口13aから吐出された流体が内周面18側に流れ込み難くなるため、地盤に固結度の低い軟岩や砂礫などが含まれていても、これらの形状を崩すことなく地盤のコアを採取することができる。
【0047】
その後、固結度の高い地質の地盤に到達すると、一旦コア採取用ビット7を引き上げる。そして、コア採取用ビット7を交換することなく、1又は複数の流体用穴13に穴調整部材20を取り付けて、流体用穴13の数を減らす。このとき、コア採取用ビット7は、
図10の(b)に示すように、一又は複数の流体用穴13が閉じた状態となる。なお、
図10の(b)は、
図4に示すX−X線における断面図であって、4個の流体用穴13に穴調整部材20が取り付けられた状態を示す。そして、再度コア採取用ビット7をボーリング穴に挿入して、掘削を再開する。すると、流体用穴13には一又は複数の穴調整部材20が取り付けられることで、流体用穴13の数が減っているため、開口13aから吐出される流体の圧力は高くなる。これにより、固結度の高い硬岩等の地盤を掘削しても、開口13aから吐出された流体により、砥粒層12の焼き付きを効果的に抑制することができる。
【0048】
その後、再度軟らかい地質の地盤に到達すると、一旦コア採取用ビット7を引き上げて、コア採取用ビット7を交換することなく、1又は複数の流体用穴13から穴調整部材20を取り外して、流体用穴13の数を増やす。そして、再度コア採取用ビット7をボーリング穴に挿入して、掘削を再開する。
【0049】
このように、本実施形態では、穴調整部材20により流体用穴13の数を調整することができるため、掘削する地盤の地質に応じて、流体用穴13の数を変更することができる。例えば、固結度の高い硬岩等の地盤を掘削する場合は、穴調整部材20により流体用穴13の数を減らす。すると、流体用穴13から吐出される流体の圧力が高くなるため、砥粒層12の焼き付きを抑制することができる。一方、固結度の低い軟岩や砂礫等の地盤を掘削する場合は、穴調整部材20により流体用穴13の数を増やす。すると、流体用穴13から吐出される流体の圧力が低くなるため、コア採取用ビット7の内周面18側に流体が入り込んでコアの形状が崩れるのを抑制することができる。これにより、一種類のコア採取用ビット7で異なる地質の地盤を掘削してコアを採取することができる。
【0050】
しかも、掘削する地盤の地質が変わっても、コア採取用ビット7自体を交換しなくて済むため、特殊工具の誤った使い方に起因するコア採取用ビット7の不具合の発生を抑制することができる。
【0051】
また、穴調整部材20が流体用穴13に取り付けられると、穴調整部材20に突起13dが食い込むため、穴調整部材20が流体用穴13から脱落するのを抑制することができる。
【0052】
また、挿入部21を流体用穴13に挿入することで流体用穴13が閉じられるため、容易に流体用穴13の数を調整することができる。
【0053】
また、爪部22が先端面側流体用通路14に掛止されるため、挿入部21を流体用穴13に挿入しても、爪部22を引っ張って流体用穴13から挿入部21を抜去することができる。このように、穴調整部材20が流体用穴13に対して着脱可能であるため、容易に流体用穴13の数を増減することができる。
【0054】
しかも、穴調整部材20により流体用穴13を閉じても、砥粒層12の先端面17には、閉じた流体用穴13から繋がる先端面側流体用通路14が形成されている。このため、穴調整部材20により流体用穴13の数を少なくしても、コア採取用ビット7の掘進速度が高くなるため、作業効率が向上する。
【0055】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。第二実施形態は、基本的に第一実施形態と同様であるが、穴調整部材の構成のみ第一実施形態と相違する。このため、以下の説明では、第一実施形態と相違する事項のみ説明し、第一実施形態と同様の説明を省略する。
【0056】
図11は、第二実施形態のコア採取用ビットの一部断面図であり、
図7に対応する図である。
図11に示すように、第二実施形態の穴調整部材30は、挿入部31と、露出部32と、を備える。
【0057】
挿入部31は、流体用穴13に挿入されることで流体用穴13を閉じる部位である。露出部32は、挿入部31に接続されて、挿入部31が挿入された際に流体用穴から露出される部位である。挿入部31と露出部32とは、直線状に延びる一本の棒状に形成されており、挿入部31と露出部32との間の部分が切り欠かれている。この切り欠き33は、挿入部31に対して露出部32を曲げた際に、挿入部31と露出部32とを切断する契機となる部分である。挿入部31の断面形状、長さ等は、第一実施形態の挿入部21と同様である。露出部32の断面形状、長さ等は、特に限定されないが、挿入部31と同様としてもよい。
【0058】
次に、コア採取用ビット7を用いて、地盤を掘削してコアを採取する掘削方法について説明する。
【0059】
まず、一部又は全ての流体用穴13に穴調整部材30の挿入部31を挿入しておく。そして、掘削する地盤の地質に応じて、流体用穴13から穴調整部材30を抜去することで、流体用穴13の数を調整する。つまり、掘削する地盤の地質が硬いほど、流体用穴13から抜去する穴調整部材30の数を少なくし、掘削する地盤の地質が軟らかいほど、流体用穴13から抜去する穴調整部材30の数を多くする。流体用穴13からの抜去は、露出部32を引っ張ることにより行うことができる。そして、流体用穴13から抜去しなかった穴調整部材30は、露出部32を切断することで、挿入部31を流体用穴13に残留させる。
【0060】
このように、本実施形態では、挿入部31に対して露出部32を曲げることで、穴調整部材30を、穴調整部材30の挿入部31と露出部32との間の切り欠き33を境として挿入部31と露出部32とを切断することができる。このため、一部又は全ての流体用穴13に、露出部32が接続された挿入部31を挿入しておく。そして、露出部32を引っ張って流体用穴13から挿入部31を抜去することで、当該流体用穴13を開けることができる。一方、露出部32を切断除去して挿入部31を流体用穴13に残留させることで、流体用穴13から穴調整部材30を露出させることなく流体用穴13を閉じた状態に保持することができる。
【0061】
[第三実施形態]
次に、第三実施形態について説明する。第三実施形態は、基本的に第一実施形態と同様であるが、穴調整部材の構成のみ第一実施形態と相違する。このため、以下の説明では、第一実施形態と相違する事項のみ説明し、第一実施形態と同様の説明を省略する。
【0062】
図12は、第三実施形態のコア採取用ビットの一部断面図であり、
図7に対応する図である。
図12に示すように、第三実施形態の穴調整部材40は、流体用穴13に充填されることで流体用穴13を閉じる樹脂材である。なお、本実施形態では、流体用穴13に樹脂材を充填し、この充填した樹脂材を硬化させることで、穴調整部材40が流体用穴13に取り付けられる。
【0063】
穴調整部材40を形成する樹脂は、流体用穴13に充填する前は流動性を有しており、流体用穴13に充填された後に硬化する性質を有する。そして、流体用穴13に充填された樹脂材が硬化することで、穴調整部材40により流体用穴13が閉じられる。
【0064】
穴調整部材40を形成する樹脂材は、硬化後に接着性を有しないことが好ましい。接着性を有しないことで、流体用穴13から穴調整部材40を取り外すことが可能となる。また、穴調整部材40を形成する樹脂材は、硬化後に弾性を有することが好ましい。弾性を有することで、流体用穴13に取り付けられた穴調整部材40を、流体用穴13から取り出しやすくなる。具体的には、鋭利なピン又はフックにより穴調整部材40を引っ掛けて、流体用穴13から穴調整部材40を引っ張り出すことができる。穴調整部材40を形成する樹脂材としては、例えば、二液性又は三液性のシリコーン樹脂(例えば、株式会社松風社製のデントシリコーン等)等が挙げられる。
【0065】
なお、穴調整部材40は、流体用穴13に充填された樹脂材が硬化したものであるため、流体用穴13の穴壁との間の摩擦により、流体用穴13から脱落しにくい。このため、第一及び第二実施形態のように、流体用穴13の内側に向けて突出する突起は無くてもよい。
【0066】
このように、本実施形態では、流体用穴13に樹脂材を充填することで流体用穴13が閉じられるため、容易に流体用穴13の数を調整することができる。
【0067】
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、穴調整部材として具体的な例を示して説明したが、穴調整部材は、流体用穴に取り付けられることで流体用穴の数を調整することができれば、如何なる機械的手段、如何なる化学的手段であってもよい。例えば、穴調整部材として、流体用穴にねじ込むネジを用いてもよく、流体用穴を膜状に塞ぐ製膜材を用いてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、掘削方法として具体的な例を示して説明したが、穴調整部材により流体用穴を閉じる数、流体用穴を開く数等は、掘削する地盤の地質に応じて適宜調整することができる。
【0069】
また、上記実施形態では、穴調整部材は、流体用穴に対して着脱可能であるものとして説明したが、流体用穴に対して着脱不能であってもよい。例えば、流体用穴に取り付けた穴調整部材は、流体用穴から取り出すことができなくてもよい。
【0070】
また、コア採取用ビットの種類は特に限定されない。例えば、
図13に示すような、セグメントタイプのコア採取用ビットに適用してもよい。
図13は、セグメントタイプのコア採取用ビットの平面図である。
図13の(a)に示すように、セグメントタイプのコア採取用ビット7Aは、台金10Aの先端部に、砥粒層12Aが間欠的に形成されており、砥粒層12Aの間の台金10Aに、流体用穴13Aが形成されている。そして、
図13の(b)に示すように、セグメントタイプのコア採取用ビット7Aにおいても、流体用穴13Aに取り付けられることで流体用穴13Aの数を調整する穴調整部材20Aを用いることで、一種類のコア採取用ビット7Aで異なる地質の地盤を掘削してコアを採取することができる。