(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543140
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】シート貼付装置およびシート貼付方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20190628BHJP
B65C 9/36 20060101ALI20190628BHJP
B65C 9/32 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
H01L21/68 N
B65C9/36
B65C9/32
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-170705(P2015-170705)
(22)【出願日】2015年8月31日
(65)【公開番号】特開2017-50330(P2017-50330A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(72)【発明者】
【氏名】丸山 孝之
【審査官】
中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−016206(JP,A)
【文献】
特開2015−041747(JP,A)
【文献】
特開2000−331962(JP,A)
【文献】
特開2003−077988(JP,A)
【文献】
特開2007−019239(JP,A)
【文献】
特開2004−137303(JP,A)
【文献】
特開2008−009698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 1/00−11/06
H01L 21/301
H01L 21/67−21/683
H01L 21/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1被着体および第2被着体に接着シートを貼付するシート貼付装置であって、
前記接着シートを繰り出す繰出手段と、
前記第1被着体および第2被着体を保持する保持手段と、
前記第1被着体および第2被着体に前記接着シートを押圧して貼付する押圧手段と
を備え、
前記保持手段は、前記接着シートにおける前記第1被着体および第2被着体が貼付されない不貼り領域に収まる形状のシート部材を貼付可能なシート部材保持手段を備え、
前記シート部材保持手段で保持した前記シート部材にも前記接着シートを押圧して前記接着シートを介して前記第1被着体、前記第2被着体および前記シート部材が一体化された一体物を形成することを特徴するシート貼付装置。
【請求項2】
前記シート部材は、少なくとも前記第1被着体及び第2被着体の何れか一方の情報が付与されたものであることを特徴とする請求項1に記載のシート貼付装置。
【請求項3】
前記保持手段は、接着剤または疑似接着によって帯状の剥離シートに所定の間隔をあけて仮着された前記シート部材を前記シート部材保持手段に繰り出すシート部材繰出手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のシート貼付装置。
【請求項4】
第1被着体および第2被着体に接着シートを貼付するシート貼付方法であって、
前記接着シートを繰り出す繰出工程と、
前記第1被着体および第2被着体を保持する保持工程と、
前記第1被着体と第2被着体とシート部材とに前記接着シートを押圧して貼付する押圧工程とを有し、
前記保持工程において、前記接着シートにおける前記第1被着体および第2被着体が貼付されない不貼り領域に収まる形状のシート部材を配置し、前記押圧工程において、前記シート部材にも前記接着シートを押圧して前記接着シートを介して前記第1被着体、前記第2被着体および前記シート部材が一体化された一体物を形成することを特徴するシート貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート貼付装置およびシート貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粘着テープを介してリング状フレームに半導体ウエハを保持する半導体ウエハのマウント方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−77988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、装置における粘着テープ(接着シート)の貼付を行なう位置と、ラベル(シート部材)を貼るプリンタの位置が離れているため装置が大型化するという不都合がある。また、ラベルをマウントフレーム(環状部材)に貼付しているので、ラベルが不要になった際にはラベルをマウントフレームから剥がさなければならないという不都合もある。
【0005】
本発明の目的は、装置の小型化が可能であり、また、シート部材が不要になった場合でもシート部材を第1被着体から剥がす必要がないシート貼付装置およびシート貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、第1被着体および第2被着体に接着シートを貼付するシート貼付装置であって、前記接着シートを繰り出す繰出手段と、前記第1被着体および第2被着体を保持する保持手段と、前記第1被着体および第2被着体に前記接着シートを押圧して貼付する押圧手段とを備え、前記保持手段は、前記接着シートにおける前記第1被着体および第2被着体が貼付されない不貼り領域に
収まる形状のシート部材を貼付可能なシート部材保持手段を備え
、前記シート部材保持手段で保持した前記シート部材にも前記接着シートを押圧して前記接着シートを介して前記第1被着体、前記第2被着体および前記シート部材が一体化された一体物を形成することを特徴するシート貼付装置である。
【0007】
前記シート部材は、少なくとも前記第1被着体及び第2被着体の何れか一方の情報が付与されたものであることを特徴としてもよい。
【0008】
前記保持手段は、接着剤または疑似接着によって帯状の剥離シートに所定の間隔をあけて仮着された前記シート部材を前記シート部材保持手段に繰り出すシート部材繰出手段を備えたことを特徴としてもよい。
【0009】
本発明の他の態様は、第1被着体および第2被着体に接着シートを貼付するシート貼付方法であって、前記接着シートを繰り出す繰出工程と、前記第1被着体および第2被着体を保持する保持工程と、前記第1被着体と第2被着体とシート部材とに前記接着シートを押圧して貼付する押圧工程とを有し、前記保持工程において、前記接着シートにおける前記第1被着体および第2被着体が貼付されない不貼り領域に
収まる形状のシート部材を配置し、前記押圧工程において、前記シート部材にも前記接着シートを押圧して
前記接着シートを介して前記第1被着体、前記第2被着体および前記シート部材が一体化された一体物を形成することを特徴するシート貼付方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、保持手段がシート部材を貼付可能なシート部材保持手段を備えているので、装置の小型化が可能であり、また、シート部材が不要になった場合でもシート部材を第1被着体から剥がす必要がない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、当該所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な
図1の手前方向から観た場合を基準とし、方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」が紙面に直交する手前方向であってY軸の矢印方向で「後」がその逆方向とする。
【0013】
図1において、シート貼付装置10は、第1被着体であって環状部材としてのリングフレームRFおよび第2被着体としての半導体ウエハ(以下単に「ウエハ」という場合がある)WFに接着シートASを貼付するシート貼付装置であって、接着シートASを繰り出す繰出手段20と、リングフレームRFおよびウエハWFを保持する保持手段30と、リングフレームRFおよびウエハWFに接着シートASを押圧して貼付する押圧手段としての押圧ローラ40とを備えている。なお、接着シートASは、基材シートBSの一方の面に接着剤AD層を備えている。
【0014】
繰出手段20は、接着シートASが帯状の剥離シートRLに所定の間隔をあけて仮着された原反RSを支持する支持ローラ21と、原反RSを案内するガイドローラ22と、剥離シートRLから接着シートASを剥離する剥離手段としての剥離板23と、駆動機器としての回動モータ24Aによって駆動される駆動ローラ24と、剥離シートRLを駆動ローラ24との間に挟み込むピンチローラ25と、図示しない駆動機器によって駆動され、剥離シートRLを回収する回収ローラ26とを備えている。
【0015】
保持手段30は、駆動機器としてのリニアモータ31のスライダ31Aに支持されたテーブル32と、接着シートASにおけるリングフレームRFおよびウエハWFが貼付されない不貼り領域SP(
図2参照)にシート部材SMを貼付可能なシート部材保持手段としての中間テーブル33とを備えている。テーブル32は、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段によってウエハWFを保持可能な第1支持面32Aと、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段によってリングフレームRFを保持可能な第2支持面32Bとを備えている。中間テーブル33は、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段によってシート部材SMを吸着保持可能なシート部材支持面33Aを備え、テーブル32の凹部32Cの底面に支持され、リングフレームRFの上面およびウエハWFの上面が位置する面とシート部材SMの上面とが同一平面内に配置される高さに設定されている。
【0016】
シート部材SMは、ウエハWFやリングフレームRF等の製品名、ロット番号などの各種情報、今までに施した処理の履歴情報、今後施す処理の内容を示す情報等、ウエハWFやリングフレームRF等に関する情報が付与されている。
【0017】
次に、本実施形態におけるシート貼付装置10の動作について説明する。
先ず、作業者が原反RSを
図1に示すようにセットする。次に、図示しない操作パネルやパーソナルコンピュータ等の入力手段を介して自動運転開始の信号を入力すると、繰出手段20が回動モータ24Aを駆動し、原反RSを繰り出す。そして、先頭の接着シートASの繰出方向先端部が所定位置に到達したことがカメラ等の撮像手段や光学センサ等の図示しない検出手段に検出されると、繰出手段20が回動モータ24Aの駆動を停止し、当該繰出手段20がスタンバイ状態となる。
【0018】
次いで、人手または多関節ロボットやベルトコンベア等の図示しない移送手段がウエハWFおよびリングフレームRFを第1、第2支持面32A、32Bに載置し、さらに、シート部材SMをシート部材支持面33Aに載置すると、保持手段30が図示しない減圧手段を駆動し、それらを吸着保持した後、リニアモータ31を駆動し、テーブル32を左方に移動させる。そして、テーブル32が所定位置に到達したことがカメラ等の撮像手段や光学センサ等の図示しない検出手段に検出されると、繰出手段20が回動モータ24Aを駆動し、テーブル32の搬送速度に合わせて原反RSを繰り出す。これにより、先頭の接着シートASが剥離シートRLから剥離され、リングフレームRF、ウエハWFおよびシート部材SMに押圧ローラ40によって押圧されて貼付され、一体物WK1が形成される。その後、次の接着シートASの繰出方向先端部が所定位置に達したことが図示しない検出手段に検出されると、繰出手段20が回動モータ24Aの駆動を停止し、当該繰出手段20が再びスタンバイ状態となる。
【0019】
一体物WK1が形成されると、保持手段30がリニアモータ31の駆動を停止し、テーブル32を所定の位置で停止させた後、図示しない減圧手段の駆動を停止し、人手または図示しない移送手段が、一体物WK1を次工程に搬送する。そして、保持手段30がリニアモータ31を駆動し、テーブル32を
図1中実線で示す位置に復帰させた後、上記同様の動作が繰り返される。
【0020】
以上のような本実施形態によれば、保持手段30がシート部材SMを貼付可能なシート部材保持手段としての中間テーブル33を備えているので、シート貼付装置10の小型化が可能であり、また、シート部材SMが不要になった場合でもシート部材SMをリングフレームRFから剥がす必要がない。
【0021】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、繰出手段は、接着シートを繰り出すことが可能なものであれば、出願当初の技術常識に照らし合わせてその範囲内であればなんら限定されることはない(他の手段および工程についての説明は省略する)。
【0022】
シート部材SMは、接着剤層を有していてもよいし、有していなくてもよい。
シート部材SMは、バーコードラベルやシート状のRFID(Radio Frequency Identification)、非接触IDタグ、マイクロチップ等のデータキャリアであってもよい。
シート部材SMは、剥離シートRLであってもよく、シート貼付装置10は、当該剥離シートRLをシート部材SMに加工する加工手段を備えていてもよい。加工手段は、接着シートASが仮着または剥離された剥離シートRLに情報を付与する接触式または非接触式の印刷手段と、当該剥離シートRLを所定形状に切断するカッタ刃やレーザ等の切断手段を備えた構成が例示できる。
シート部材SMに付与される情報は、リングフレームRFに関する情報のみであってもよいし、ウエハWFやリングフレームRFに関する情報以外のものであってもよいし、情報がなくてもよい。
【0023】
繰出手段20は、支持ローラ21を回転駆動させる駆動機器を備えてもよく、このような駆動機器は、原反RSに所定の張力を付与する張力付与手段として機能させてもよい。
繰出手段20は、剥離手段として回転可能または回転不能な剥離用ローラを採用してもよい。
【0024】
保持手段30は、メカチャックやチャックシリンダ等のチャック手段、クーロン力、接着剤、粘着剤、磁力、ベルヌーイ吸着等でリングフレームRF、ウエハWFおよびシート部材SMを保持する構成でもよい。
保持手段30は、中間テーブル33の高さを調節する駆動機器等の高さ調整手段を備えていてもよい。
保持手段30は、リングフレームRFおよびウエハWFを別々の部材で保持してもよい。
保持手段30は、情報が付与されたシート部材SMの付与面側を中間テーブル33で保持してもよいし、シート部材SMに付与した情報が接着シートASを介して認識可能であれば付与面と反対側の面を中間テーブル33で保持してもよい。
保持手段30は、接着剤または疑似接着によって帯状の剥離シートに所定の間隔をあけて仮着されたシート部材SMを中間テーブル33上に繰り出すシート部材繰出手段を備えていてもよく、シート部材繰出手段は、繰出手段20と同様の構成を採用してもよい。
【0025】
押圧手段は、押圧ローラ40の代わりに、ブレード材、ゴム、樹脂、スポンジ等による押圧部材を採用してもよいし、大気やガス等のエアの噴き付けにより接着シートASを被着体に押圧する構成を採用してもよいし、減圧ポンプや真空エジェクタ等の減圧手段によって接着シートASを吸着保持し、駆動機器の駆動によって当該接着シートASを被着体に押圧して積層する構成を採用してもよい。
押圧手段は、押圧部材を移動させずに、被着体を移動させてもよいし、押圧部材と被着体との両方を移動させて押圧して貼付してもよい。
【0026】
シート貼付装置10は、天地反転して配置したり横置きにしたりして、リングフレームRFおよびウエハWFの下面や側面に接着シートASを貼付するように構成してもよい。
【0027】
さらに、本発明における接着シートAS、シート部材SM、リングフレームRF、ウエハWF等の材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。例えば、接着シートAS、シート部材SMは、感圧接着性、感熱接着性等の接着形態に限定されることはない。感熱接着性のものが採用された場合は、接着シートAS、シート部材SMを適宜加熱する適宜なコイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱手段を設ければよい。また、接着シートAS、シート部材SMは、例えば、接着剤層だけの単層のもの、基材シートと接着剤層とからなるもの、それらの間に中間層を有するものや、基材シートの上面にカバー層を有する3層以上のもの、更には、基材シートを接着剤層から剥離することのできる所謂両面接着シートのようなものであってもよいし、両面接着シートは、単層又は複層の中間層を有するものや、中間層のない単層又は複層のものであってよい。また、被着体としては、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、電極基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂板等、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。なお、接着シートAS、シート部材SMは、機能的、用途的な読み方に換え、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意のシート、フィルム、テープ等でもよい。
【0028】
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0029】
10・・・シート貼付装置
20・・・繰出手段
30・・・保持手段
33・・・中間テーブル(シート部材保持手段)
40・・・押圧ローラ(押圧手段)
AS・・・接着シート
RF・・・リングフレーム(第1被着体)
SM・・・シート部材
SP・・・不貼り領域
WF・・・ウエハ(第2被着体)