(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1の技術は、ダイヤを重畳表示するのみであった。そのため、遅延箇所の抽出や、その原因となる予期せぬ事象の分析は人間の判断に委ねられ、多くの時間を費やしていた。具体的には、ある駅で列車遅延が生じると、以降の各駅や後続列車についても連鎖的に遅延が生じる。つまり、予期せぬ事象によって生じる列車遅延には、この予期せぬ事象によって直接的に生じる遅延と、他の列車の遅延によって間接的に引き起こされる遅延と、がある。実績ダイヤは、入り組んだこれらの遅延が複雑渾然一体となっているため、その分析に時間を要するのである。特に、運行密度が高いダイヤについては、列車遅延箇所が膨大となり、予期せぬ遅延の分析作業が大変となる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、運転整理を行って得られた実績ダイヤに対する予期せぬ事象の分析作業を軽減するための支援技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための第1の発明は、
コンピュータに、所与の計画ダイヤに対して行われた運転整理の結果分析を、当該運転整理に従って実際に列車を運行させた実績ダイヤを用いて行うための支援を実行させるためのプログラム(例えば、
図6の運転整理結果分析支援プログラム302)であって、
前記実績ダイヤ中の着発事象に対する予測時刻を、前記実績ダイヤ中の当該着発事象の従前ダイヤ部分と、前記計画ダイヤ中の対応する着発事象に係る時分情報とを用いて算出する予測時刻算出手段(例えば、
図6の予測着時刻算出部204、予測発時刻算出部208)、
前記実績ダイヤ中の対応する着発事象の実績時刻が前記予測時刻より過剰に遅延していると判定するための条件である所定の遅延条件を満たす場合に当該着発事象を不測遅延事象と判定する不測遅延事象判定手段(例えば、
図6の着遅延判定部206、発遅延判定部210)、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0009】
また、他の発明として、
所与の計画ダイヤに対して行われた運転整理の結果分析を、当該運転整理に従って実際に列車を運行させた実績ダイヤを用いて行うための支援を実行する運転整理結果分析支援装置(例えば、
図6の運転整理結果分析支援装置1)であって、
前記実績ダイヤ中の着発事象に対する予測時刻を、前記実績ダイヤ中の当該着発事象の従前ダイヤ部分と、前記計画ダイヤ中の対応する着発事象に係る時分情報とを用いて算出する予測時刻算出手段と、
前記実績ダイヤ中の対応する着発事象の実績時刻が前記予測時刻より過剰に遅延していると判定するための条件である所定の遅延条件を満たす場合に当該着発事象を不測遅延事象と判定する不測遅延事象判定手段と、
を備えた運転整理結果分析支援装置を構成しても良い。
【0010】
この第1の発明等によれば、計画ダイヤに対して運転整理を実施して得られた実績ダイヤから、予期せぬ事象によって直接的に生じた遅延箇所を抽出することができ、運転整理の結果分析を支援することができる。すなわち、実績ダイヤ中の着発事象について、運転整理において予期した場合の予測時刻と、実績時刻とを比較して、予期せぬ事象によって遅延が生じた不測遅延事象であるかを判定する。
【0011】
第2の発明として、第1の発明のプログラムであって、
前記予測時刻算出手段は、前記着発事象が発事象の場合に、当該発事象に係る想定停車時分、及び、対応する発事象の直前列車との運行時隔の情報を用いて、当該発事象の予測時刻を算出する、
プログラムを構成しても良い。
【0012】
この第2の発明によれば、発事象の予測時刻は、当該発事象に係る想定停車時分と、当該発事象と直前列車との間の運行時隔の情報とを用いて算出される。想定停車時分としては、例えば、計画ダイヤにおける停車時分や、予め定められる標準的な停車時分、列車系統に応じて予め定められる最小停車時分、などがある。
【0013】
第3の発明として、第1又は第2の発明のプログラムであって、
前記予測時刻算出手段は、前記着発事象が着事象の場合に、当該着事象に係る想定駅間走行時分、及び、対応する着事象の直前列車との発着時隔の情報を用いて、当該着事象の予測時刻を算出する、
プログラムを構成しても良い。
【0014】
この第3の発明によれば、着事象の予測時刻は、当該着事象に係る想定駅間走行時分と、当該着事象と直前列車との間の発着時隔の情報とを用いて算出される。想定駅間走行時分としては、例えば、計画ダイヤにおける走行時分(計画走行時分)や、予め定められる標準的な走行時分、列車系統に応じて予め定められる最小走行時分、などがある。
【0015】
第4の発明として、第1〜第3の何れかの発明のプログラムであって、
前記不測遅延事象判定手段は、前記遅延条件を、前記着発事象に係る駅又は列車に応じて可変に設定する手段を有する、
プログラムを構成しても良い。
【0016】
この第4の発明によれば、着発事象を不測遅延事象と判定するための遅延条件を、着発事象に係る駅又は列車に応じて可変に設定することができる。例えば、乗降客数が多いターミナル駅か否か、各駅停車の列車か否か等に応じて、遅延条件の閾値を変更して、遅延条件を厳しく或いは緩くすることができる。
【0017】
第5の発明として、第1〜第4の何れかの発明のプログラムであって、
前記不測遅延事象を識別表示した前記実績ダイヤを表示制御する手段、
として前記コンピュータを更に機能させるためのプログラムを構成しても良い。
【0018】
この第5の発明によれば、不測遅延事象を識別表示した実績ダイヤを表示することができる。このため、ユーザは、予期せぬ事象の分析作業負担を視覚的に分かり易い状態で進めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[原理]
(A)概要
本実施形態は、所与の計画ダイヤに対する運転整理の結果分析の支援を、運転整理に従って実際に列車を運行させた実績ダイヤを用いて行うものである。具体的には、実績ダイヤ中の着発事象(着事象及び発事象)それぞれについて、運転整理の結果から予測される予測時刻と、実績ダイヤにおける実績時刻とを比較し、所定の遅延条件を満たすか否かによって、予期せぬ事象により生じる列車遅延(不測遅延)であるかを判定する。着発事象の予測時刻は、実績ダイヤ中の当該着発事象の従前のダイヤ部分と、計画ダイヤにおける当該事象に係る時分情報とに基づき、実績ダイヤにおける各駅での列車の着発順序を保ち、且つ、計画ダイヤにおける着発時刻より早くならないように算出される。
【0021】
(B)着事象
図1は、着事象についての不測遅延の判定の概要図である。
図1は、2本の列車(1列車、2列車)が、A駅からB駅を経由してC駅に向かう列車ダイヤを示している。
図1(a)は、計画ダイヤであり、
図1(b)は、
図1(a)の計画ダイヤに対する運転整理を行って得られた実績ダイヤである。
図1(b)の実績ダイヤでは、1列車は、計画ダイヤの通りに運行しており、2列車は、B駅〜C駅間の走行に遅延が生じ、C駅の着発が遅れたことを示している。
【0022】
着事象の予測時刻(予測着時刻)は、「実績ダイヤにおける前駅の発時刻(実績発時刻)に、時分情報である、前駅と当該駅(当該着事象の着駅)との間の想定駅間走行時分を加算した時刻」とする。想定駅間走行時分は、(イ)計画ダイヤにおいて対応する同列車の当該駅間の走行時分(計画走行時分)、(ロ)当該駅間の標準的な走行時分(定数)、(ハ)列車系統に応じて定められる当該駅間の最小走行時分(定数)、の何れかとすることができる。本実施形態では、想定駅間走行時分を計画走行時分として説明する。
【0023】
但し、実績ダイヤにおける列車の着発順序を保つため、実績ダイヤにおける当該駅の直前列車の発時刻(実績発時刻)に、所定の発着時隔を加算した制限着時刻より、予測着時刻のほうが早い場合には、当該制限着時刻を予測着時刻とする。また、計画ダイヤに対する早着を防ぐため、計画ダイヤにおける当該着事象の時刻(計画着時刻)より、予測着時刻のほうが早い場合には、当該計画着時刻を予測着時刻とする。
【0024】
そして、着事象の予測着時刻と実績着時刻とを比較し、着事象に関する遅延条件である「予測着時刻と実績着時刻との時間差が所定の閾値α1以上」を満たす場合に、当該着事象を「不測遅延である」と判定する。閾値α1は、例えば数分〜十数分程度に定めることができる。なお、閾値α1を含めず、閾値α1を超える場合としてもよいことは勿論である。
【0025】
例えば、
図1では、2列車がC駅に到着する着事象10についての予測着時刻は、前駅であるB駅の実績発時刻t2に、B駅〜C駅間の計画走行時分Δt1(
図1(a)参照)を加算した時刻t5となる。この予測着時刻t5は、1列車のC駅の実績発時刻t3に発着時隔Δt2を加算した制限着時刻t4より遅く、且つ、計画着時刻t1より前ではない。そして、着事象10の予測着時刻t5と実績着時刻t6との時間差(=|t6−t5|)は所定の閾値α1以上であり、当該着事象10は不測遅延であると判定される。
【0026】
図2は、着事象についての不測遅延の他の判定例である。
図2は、2本の列車(3列車、4列車)が、A駅からB駅を経由してC駅に向かう列車ダイヤを示している。
図2(a)は、計画ダイヤであり、
図2(b)は、
図2(a)の計画ダイヤに対する運転整理を行って得られた実績ダイヤである。
図2(b)の実績ダイヤでは、先行列車である3列車のC駅での発車に遅れが生じ、これに伴って、後続の4列車のC駅への到着に遅れが生じたことを示している。
【0027】
この場合、4列車がC駅に到着する着事象12についての予測着時刻は、3列車のC駅の実績発時刻t13に、発着時隔Δt4を加算した時刻(制限着時刻)t15となる。すなわち、4列車のB駅の実績発時刻t12に、B駅〜C駅の計画走行時分Δt3を加算した時刻t14は、制限着時刻t15より早いためである。そして、着事象12についての予測着時刻t15と実績着時刻t16との時間差(=|t16−t15|)は閾値α1より小さく、当該着事象12は不測遅延でないと判定される。
【0028】
(C)発事象
図3は、発事象についての不測遅延の判定の概要図である。
図3は、2本の列車(5列車、6列車)が、A駅からB駅を経由してC駅に向かう列車ダイヤを示している。
図3(a)は、計画ダイヤであり、
図3(b)は、
図3(a)の計画ダイヤに対する運転整理を行って得られた実績ダイヤである。
図3(b)の実績ダイヤでは、5列車は、計画ダイヤの通りに運行しており、6列車は、B駅の発車に遅延が生じ、それに伴って、C駅の到着が遅れたことを示している。
【0029】
発事象の予測時刻(予測発時刻)は、「実績ダイヤにおける当該列車の当該駅(当該発事象の発駅)への着時刻(実績着時刻)に、時分情報である、同駅での想定停車時分を加算した時刻」とする。想定停車時分は、(イ)計画ダイヤにおいて対応する同列車の当該駅での停車時分(計画停車時分)、(ロ)当該駅の標準的な停車時分、(ハ)列車系統に応じて定められる当該駅の最小停車時分、の何れかとすることができる。本実施形態では、想定停車時分を計画停車時分として説明する。
【0030】
但し、実績ダイヤにおける列車の着発順序を保つため、実績ダイヤにおける当該駅の直前列車の発時刻(実績発時刻)に、所定の運行時隔を加算した制限発時刻より、予測発時刻のほうが早い場合には、当該制限発時刻を予測発時刻とする。また、計画ダイヤに対する早発を防ぐため、計画ダイヤにおける当該発事象の時刻(計画発時刻)より、予測発時刻のほうが早い場合には、当該計画発時刻を予測発時刻とする。
【0031】
そして、発事象の予測発時刻と実績発時刻とを比較し、発事象に関する遅延条件である「予測発時刻と実績発時刻との時間差が所定の閾値α2以上」を満たす場合に、当該発事象を「不測遅延である」と判定する。閾値α2は、例えば数分〜十数分程度に定めることができる。なお、閾値α2を含めず、閾値α2を超える場合としてもよいことは勿論である。
【0032】
例えば、
図3では、6列車がB駅を発車する発事象14についての予測発時刻は、6列車のB駅の実績着時刻t24に、B駅の計画停車時分Δt5(
図3(a)参照)を加算した時刻t25となる。この予測発時刻t25は、直前列車である5列車のB駅の実績発時刻t22に、運行時隔Δt6を加算した制限発時刻t23より遅く、且つ、計画発時刻t21(
図3(a)参照)より遅い。そして、発事象14についての予測発時刻t25と実績発時刻t26との時間差(=|t26−t25|)は閾値α2以上であり、当該発事象14は不測遅延であると判定される。
【0033】
図4は、発事象についての不測遅延の他の判定例である。
図4は、2本の列車(7列車、8列車)が、A駅からB駅、C駅を経由してD駅に向かう列車ダイヤを示している。この列車ダイヤでは、計画ダイヤ上、C駅において列車の発車順序が逆となり、後着である8列車が先発し、先着である7列車が後発となる。
図4(a)は、計画ダイヤであり、
図4(b)は、
図4(a)の計画ダイヤに対する運転整理を行って得られた実績ダイヤである。
図4(b)の実績ダイヤでは、8列車のB駅以降の発着に遅延が生じており、それに伴って、着発順序を入れ替えるC駅において7列車の発車に遅延が生じたことを示している。
【0034】
7列車のC駅を発車する発事象16についての予測発時刻は、当該駅(C駅)で発車する前列車である8列車のC駅の実績発時刻t34に、運行時隔Δt8を加算した時刻(制限発時刻)t35となる。すなわち、7列車のC駅の実績着時刻t32に、C駅での計画停車時分Δt7(
図4(a)参照)を加算した時刻t33は、制限発時刻t35よりも早いからである。そして、発事象16についての予測発時刻t35と実績発時刻t36との時間差(=|t36−t35|)は、閾値α2より小さく、当該発事象16は不測遅延でないと判定される。
【0035】
(D)
このように、実績ダイヤ中の着発事象それぞれについて、その実績時刻を予測時刻と比較することで、不測遅延であるか否かを判定する。予測時刻を実績時刻に基づいて算出することで、予期せぬ事象によって連鎖的に生じる列車遅延のうち、当該予期せぬ事象によって直接的に生じる列車遅延のみを、不測遅延と判定することができる。
【0036】
図5は、着発事象に対する不測遅延の判定の一例である。
図5では、2本の列車(9列車、10列車)が、A駅からB駅、C駅を経由してD駅に向かう列車ダイヤを示している。
図5(a)は、計画ダイヤであり、
図5(b)は、実績ダイヤである。
図5(a)に示す計画ダイヤは、
図4と同様、C駅において列車の発車順序が逆となり、先着であった9列車を、後着である10列車が先発して追い抜くダイヤとなっている。しかし、
図5(b)に示す実績ダイヤでは、9列車は、計画ダイヤの通りに運行したが、10列車のB駅への到着に遅れが生じ、その結果、C駅での列車の追い抜きが実施されなかった。つまり、C駅以降での列車の着発順序が、計画ダイヤと実績ダイヤとでは異なっている。
【0037】
この場合、10列車のB駅に到着する着事象18についての予測着時刻は、10列車のA駅の実績発時刻t43に、A駅〜B駅間の計画走行時分Δt9(
図5(a)参照)を加算した時刻t44となる。そして、この予測着時刻t44と、10列車のB駅の実績着時刻t45とを比較して、不測遅延であると判定される。
【0038】
また、10列車のB駅を発車する発事象20についての予測発時刻は、10列車のB駅の実績着時刻t45に、B駅の計画停車時分Δt10(
図5(a)参照)を加算した時刻t46となる。実績ダイヤによれば、この予測発時刻t46と、実績発時刻t47とは同時刻である。従って、予測発時刻t46と実績発時刻t47とを比較した結果、不測遅延でないと判定される。更に、10列車のC駅以降の着発事象22,24,26それぞれについても同様に、実績時刻と予測時刻とを比較して、不測遅延でないと判定される。
【0039】
[機能構成]
図6は、運転整理結果分析支援装置1の機能構成図である。
図6によれば、運転整理結果分析支援装置1は、操作入力部102と、表示部104と、音声出力部106と、通信部108と、処理部200と、記憶部300とを備えて構成される一種のコンピュータである。
【0040】
操作入力部102は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、各種スイッチ等で実現される入力装置であり、操作入力に応じた操作信号を処理部200に出力する。表示部104は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等で実現される表示装置であり、処理部200からの表示信号に基づく各種表示を行う。音声出力部106は、例えばスピーカ等で実現される音声出力装置であり、処理部200からの音声信号に基づく各種音声出力を行う。通信部108は、例えば無線通信モジュールやルータ、モデム、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等で実現される通信装置であり、外部装置との間でデータ通信を行う。
【0041】
処理部200は、例えばCPU等の演算装置で実現され、記憶部300に記憶されたプログラムやデータ、操作入力部102や通信部108からの入力データ等に基づいて、運転整理結果分析支援装置1を構成する各部への指示やデータ転送を行って、運転整理結果分析支援装置1を統括的に制御する。また、処理部200は、着発順序判定部202と、予測着時刻算出部204と、着遅延判定部206と、予測発時刻算出部208と、発遅延判定部210と、判定結果表示制御部212と、を有し、運転整理結果分析支援プログラム302に従った運転整理結果分析支援処理(
図8,
図9参照)を実行することで、所与の計画ダイヤに対して行われた運転整理の結果分析の支援を、運転整理の実施によって得られた実績ダイヤに基づいて行う。ここで、計画ダイヤは計画ダイヤデータ304として、実績ダイヤは実績ダイヤデータ306として、それぞれ記憶部300に記憶されている。
【0042】
着発順序判定部202は、実績ダイヤに基づき、各駅における列車の着発順序を判定する。判定した着発順序は、着発順序データ312として記憶される。
【0043】
予測着時刻算出部204は、実績ダイヤ中の着事象について、予測着時刻を算出する。すなわち、実績ダイヤにおける当該列車の前駅(当該着事象の駅の直前に停車する駅)の発時刻(実績発時刻)に、計画ダイヤにおいて対応する前駅から当該駅までの駅間走行時分(計画走行時分)を加算した時刻を、予測着時刻とする。そして、この予測着時刻が、実績ダイヤにおける当該駅の直前列車の発時刻(実績発時刻)に、所定の発着時隔を加算した制限着時刻よりも早い場合には、予測着時刻を、この制限着時刻に変更する。また、予測着時刻が、計画ダイヤにおける当該列車の当該駅の着時刻(計画着時刻)よりも早い場合には、予測着時刻を、この計画着時刻に変更する。直前列車は、着発順序判定部202によって判定された着発順序に従う。また、発着時隔は、運行条件データ308として記憶されている。また、算出した予測着時刻は、予測時刻データ314として記憶される。
【0044】
着遅延判定部206は、実績ダイヤ中の着事象について、不測遅延であるかを判定する。すなわち、着事象について、実績ダイヤにおける着時刻(実績着時刻)と、予測着時刻算出部204によって算出された予測着時刻との時間差を算出し、この時間差が所定の閾値α1以上ならば不測遅延であると判定し、閾値α1未満ならば不測遅延でないと判定する。所定の閾値α1は、閾値データ310として記憶されている。また、判定結果は、不測遅延判定結果データ316として記憶される。
【0045】
予測発時刻算出部208は、実績ダイヤ中の発事象について、予測発時刻を算出する。すなわち、実績ダイヤにおける当該列車の当該駅(当該発事象の駅)の着時刻(実績着時刻)に、計画ダイヤにおいて対応する当該駅の停車時分(計画停車時分)を加算した時刻を、予測発時刻とする。また、この予測発時刻が、実績ダイヤにおける当該駅の直前列車の発時刻(実績発時刻)に、所定の運行時隔を加算した制限発時刻よりも早い場合には、予測発時刻を、この制限発時刻に変更する。また、予測発時刻が、計画ダイヤにおける当該列車の当該駅の発時刻(計画発時刻)よりも早い場合には、予測発時刻を、この計画発時刻に変更する。直前列車は、着発順序判定部202によって判定された着発順序に従う。また、所定の運行時隔は、運行条件データ308として記憶されている。また、算出した予測発時刻は、予測時刻データ314として記憶される。
【0046】
発遅延判定部210は、実績ダイヤ中の発事象について、不測遅延であるかを判定する。すなわち、発事象について、実績ダイヤにおける発時刻(実績発時刻)と、予測発時刻算出部208によって算出された予測発時刻との時間差を算出し、この時間差が、所定の閾値α2以上であるならば不測遅延であると判定し、閾値α2未満であるならば不測遅延でないと判定する。所定の閾値α2は、閾値データ310として記憶されている。また、判定結果は、不測遅延判定結果データ316として記憶される。
【0047】
判定結果表示制御部212は、着遅延判定部206、及び、発遅延判定部210による、着発事象についての不測遅延の判定結果の表示制御を行う。具体的には、実績ダイヤ上に、着発事象それぞれを不測遅延の判定結果に応じて識別表示させた判定結果表示画面を、表示部104に表示させる。
【0048】
図7は、判定結果表示画面の一例である。
図7によれば、判定結果表示画面W1には、計画ダイヤ30と、この計画ダイヤ30に対する運転整理を実施して得られた実績ダイヤ32とが重畳表示される。それとともに、実績ダイヤ32の着発事象のうち、計画ダイヤと比較して遅延している着発事象それぞれが、不測遅延であるか否かに応じた識別表示34,36で表示される。判定結果表示画面において、計画ダイヤ30を非表示とし、実績ダイヤ32と識別表示34,36とを表示するように切り換えることもできる。
【0049】
記憶部300は、処理部200が運転整理結果分析支援装置1を統括的に制御するための諸機能を実現するためのプログラムやデータを記憶するとともに、処理部200の作業領域として用いられ、処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果や、操作入力部102や通信部108からの入力データが一時的に格納される。また、記憶部300には、運転整理結果分析支援プログラム302と、計画ダイヤデータ304と、実績ダイヤデータ306と、運行条件データ308と、閾値データ310と、着発順序データ312と、予測時刻データ314と、不測遅延判定結果データ316と、が記憶される。
【0050】
これらのデータのうち、運行条件データ308と、閾値データ310とは予め設定されるデータである。運行条件データ308は、時間的な各種の制限が記憶される。例えば、ある駅の先発列車が発車してから後着列車が同駅に到着するまでの間に確保すべき発着時隔の情報や、ある駅の先発列車が発車してから、後発列車が同駅を発車するまでの間に確保すべき運行時隔の情報など、各駅について、同駅での前後の列車の発着に関する制約となる時分情報が記憶される。
【0051】
[処理の流れ]
図8,
図9は、運転整理結果分析支援処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、処理部200が、運転整理結果分析支援プログラム302を実行することで実現される。
【0052】
図8によれば、先ず、着発順序判定部202が、実績ダイヤに基づき、各駅における列車の着発順序を判定する(ステップS1)。次いで、処理部200は、実績ダイヤから、不測遅延の判定対象とする着発事象を抽出する(ステップS3)。例えば、実績ダイヤにおける全ての着発事象を判定対象としてもよいし、計画ダイヤと対比して、遅れている着発事象のみを判定対象としてもよい。或いは、ユーザの選択操作入力に従って、特定の時間範囲あるいは走行区間の着発事象を判定対象としてもよい。
【0053】
そして、抽出した着発事象それぞれを対象としたループAの処理を行う。ループAでは、対象の着発事象が着事象ならば(ステップS5:YES)、予測着時刻算出部204が、前駅(対象着事象に係る駅の直前停車駅)の当該列車の実績発時刻に、前駅と当該駅との間の計画走行時分(想定駅間走行時分の一例)を加算して、対象着事象の予測着時刻を算出する(ステップS7)。また、当該駅(対象着事象に係る駅)の直前列車の実績発時刻に所定の発着時刻を加算して、制限着時刻を算出する(ステップS9)。そして、予測着時刻と制限着時刻とを比較し、予測着時刻が制限着時刻よりも早いならば(ステップS11:NO)、予測着時刻を、制限着時刻に更新する(ステップS13)。また、予測着時刻と対象着事象の計画着時刻とを比較し、予測着時刻が計画着時刻よりも早いならば(ステップS15:NO)、予測着時刻を、計画着時刻に変更する(ステップS17)。
【0054】
続いて、着遅延判定部206が、予測着時刻と対象着事象の実績着時刻との時間差を算出する(ステップS19)。そして、この時間差が所定の閾値α1以上ならば(ステップS21:YES)、対象着事象は不測遅延であると判定し(ステップS23)、閾値α1未満ならば(ステップS21:NO)、不測遅延でないと判定する(ステップS25)。
【0055】
一方、対象の着発事象が発事象ならば(ステップS5:NO)、予測発時刻算出部208が、当該駅の当該列車の実績着時刻に、対象発事象の計画停車時分(想定停車時分の一例)を加算して、予測発時刻を算出する(ステップS27)。また、当該駅の直前列車の実績発時刻に所定の運行時隔を加算して、制限発時刻を算出する(ステップS29)。そして、予測発時刻と制限発時刻とを比較し、予測発時刻が制限発時刻よりも早いならば(ステップS31:NO)、予測発時刻を、制限発時刻に変更する(ステップS33)。また、予測発時刻と、対象発事象の計画発時刻とを比較し、予測発時刻が計画発時刻よりも早いならば(ステップS35:NO)、予測発時刻を、計画発時刻に更新する(ステップS37)。
【0056】
続いて、発遅延判定部210が、予測発時刻と、対象発事象の実績発時刻との時間差を算出する(ステップS39)。そして、算出した時間差が、所定の閾値α2以上ならば(ステップS41:YES)、対象発事象を不測遅延であると判定し(ステップS43)、閾値α2未満ならば(ステップS41:NO)、不測遅延でないと判定する(ステップS45)。ループAはこのように行われる。
【0057】
ステップS3で抽出した全ての着発事象を対象としたループAの処理を行うと、判定結果表示制御部212が、これらの着発事象それぞれについての不測遅延の判定結果をもとに、実績ダイヤ上に、着発事象それぞれを不測遅延の判定結果に応じて識別表示させた判定結果表示画面を、表示部104に表示させる(ステップS47)。以上の処理を行うと、運転整理結果分析支援処理は終了となる。
【0058】
[作用効果]
このように、本実施形態によれば、計画ダイヤに対する運転整理を実施して得られた実績ダイヤに対して、予期せぬ事象によって直接的に生じた遅延箇所を抽出することができ、予期せぬ事象の分析を支援し、予期せぬ事象の分析作業を軽減することができる。すなわち、実績ダイヤ中の着発事象それぞれについて、運転整理において予期した予測時刻と実績時刻とを比較し、その時間が所定の閾値以上である場合に、当該着発事象は不測遅延であると判定する。着事象の予測時刻は、当該列車の前駅の実績発時刻に、前駅と当該駅との駅間の実績走行時分を加算した時刻とし、発事象の予測時刻は、当該列車の当該駅の実績着時刻に、当該駅の計画停車時分を加算した時刻とする。
【0059】
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0060】
(A)閾値の変更
例えば、着発事象について不測遅延を判定する際の遅延条件である閾値α1,α2を、各駅又は各列車に応じて変更しても良い。例えば、乗降客数が多いターミナル駅か否か、各駅停車の列車か否か等の列車種別に応じて、閾値α1,α2を可変に設定する。また、運転整理の開始時刻からの経過時間に応じて、閾値α1,α2を可変に設定することとしてもよい。
【0061】
また、不測遅延と判定された箇所の数が想定以上に多かったか少なかったに応じて、閾値α1,α2を可変に設定することとしてもよい。例えば、ステップS3で抽出した判定対象とする着発事象の数に対する、不測遅延と判定された着発事象の数の割合が、所定の上限値より高い場合には閾値α1,α2を緩く(値を大きくし、遅延条件を緩く)し、所定の下限値より低い場合には閾値α1,α2を厳しく(値を小さくし、遅延条件を厳しく)する。これにより、不測遅延と判定された箇所が多すぎず、少な過ぎず、適切な範囲で推定されることとなり、予期せぬ事象の分析作業を効率的に軽減することができる。