【実施例】
【0046】
呈色試験のための装置、
ColorQuest XE、HunterLab社、米国
透過については1cmキュベットおよび反射ポートについては5cm
Illuminant D
65
試験したパラメータ:L
*a
*b
*カラースケールおよびL
*c
*h
*カラースケール。L
*は、明度である。L
*の最大値は100であり、完全拡散反射体を表す。L
*の最小値は0であり、黒色を表す。a
*およびb
*軸は、特定の数値限界を有していない。正のa
*は赤色であり、負は緑色である。正のb
*は黄色であり、負は青色である。C
*値、彩度およびh(色相)値、色相角は、L
*a
*b
*カラースケールのa
*およびb
*から計算する。全色差ΔΕ
*は、サンプルと標準物質のL
*a
*b
*間の差を考慮に入れた単一値である。
【0047】
【数1】
色分析および色安定性については、ΔL
*、ΔC
*、ΔΕ
*およびΔΗ
*を使用する。これらは、L
*、C
*、E
*およびh
*におけるサンプルと標準物質の差である。
【0048】
紫外可視分光光度計(thermosscintific社、Evolution 2001)
1mLの前記希釈着色飲料を1cmのキュベット内で同一希釈率の着色していない同一の前記飲料に比較して測定すると0.6から0.8の吸光度単位が得られた。
最大吸光度を測定する。
E1=(最大吸光度×希釈率)/飲料における色濃度(%)を計算する。
【0049】
[実施例1]
液中固体分散液:
1kgの結晶質β−カロテン、1kgのデカグリセロールモノオレエート、2kgの糖エステル(PS750型)、100gのビタミンCおよび20kgの水を完全に混合してボールミル内で粉砕すると、均質混合物が得られた。粉砕したβ−カロテンの粒径は、0.3から0.6μmであった。
【0050】
1L中に10mgのβ−カロテンを含む水溶液について色パラメータを試験した。
L
*=56.9 a
*=38.2 b
*=28.5
【0051】
液中液分散液:
1kgの結晶質β−カロテン、1kgの中鎖トリグリセリドMCT油、1kgのデカグリセロールモノオレエートおよび0.7kgのD−α−トコフェロールを透明な溶液が得られるまで、150℃へ持続的に撹拌しながら加熱した。
【0052】
2kgの糖エステルおよび3kgのアラビアゴムを15kgの温水(70から80℃)中に溶解させた。
【0053】
β−カロテン透明溶液を冷却せずに強力に混合しながら糖エステル−アラビアゴム溶液に添加し、生じた混合液を高圧ホモジナイザー内で直ちに均質化した。平均液滴直径は、500nm未満であった。
【0054】
1L中に10mgのβ−カロテンを含む水溶液について色パラメータを試験した。
L
*=72.3 a
*=10.7 b
*=38.5
【0055】
[実施例2]
液中固体分散液:
1kgの結晶質β−カロテン、1.5kgの脱油大豆レシチン、2kgの糖エステル、100gのビタミンCおよび20kgの水を完全に混合し、ボールミル内で粉砕すると、均質混合物が得られた。粉砕したβ−カロテンの粒径は、0.2から0.6μmであった。
【0056】
1L中に10mgのβ−カロテンを含む水溶液について色パラメータを試験した。
L
*=43.2 a
*=40.4 b
*=33.5
【0057】
液中液分散液:1kgの結晶質β−カロテン、2.4kgのMCT油、1.4kgの酵素加工レシチンおよび0.3kgのトコフェロールの混合物を透明な溶液が得られるまで、150℃へ持続的に撹拌しながら加熱した。
【0058】
0.6kgの糖エステルを6kgの温水(70から80℃)中に溶解させ、10kgのスクロースおよび7kgのグリセロールを添加した。
【0059】
β−カロテン透明溶液を冷却せずに高剪断ミキサーを使用しながら水相に添加し、生じた混合液を高圧ホモジナイザー内で直ちに均質化した。平均液滴直径は、200nm未満であった。
【0060】
1L中に10mgのβ−カロテンを含む水溶液について色パラメータを試験した。
L
*=83.5 a
*=4.5 b
*=45.8
【0061】
[実施例3]
液中固体分散液:
1kgの結晶質β−カロテン、1.5kgの脱油ヒマワリレシチン、2kgの糖エステル、100gのビタミンCおよび20kgの水を完全に混合してボールミル内で粉砕すると、均質混合物が得られた。粉砕したβ−カロテンの粒径は、0.2から0.6μmであった。
【0062】
1L中に10mgのβ−カロテンを含む水溶液について色パラメータを試験した。
L
*=45.5 a
*=41.2 b
*=37.5
【0063】
液中液分散液:
1kgの結晶質β−カロテン、2.1kgのMCT油、1kgの酵素加工レシチンおよび0.3kgのトコフェロールの混合物を透明な溶液が得られるまで、150℃へ持続的に撹拌しながら加熱した。
【0064】
1kgのQ−Naturele 200(サポニン抽出物)を4kgの温水(70から80℃)中に溶解させ、4kgのスクロースおよび5kgのグリセロールを添加した。
【0065】
β−カロテン透明溶液を冷却せずに高剪断ミキサーを使用しながら水相に添加し、生じた混合液を高圧ホモジナイザー内で直ちに均質化した。平均液滴直径は、200nm未満であった。
【0066】
1L中に10mgのβ−カロテンを含む水溶液について色パラメータを試験した。
L
*=82.5 a
*=11.5 b
*=51.2
【0067】
[実施例4]
液中固体分散液:
1kgの結晶質β−カロテン、1.5kgの脱油ヒマワリレシチン、2kgの糖エステル、100gのビタミンCおよび20kgの水を完全に混合してボールミル内で粉砕すると、均質混合物が得られた。粉砕したβ−カロテンの粒径は、0.2からから0.6μmであった。
【0068】
1Lの水中に10mgのβ−カロテンを含む溶液について色パラメータを試験した。
L
*=45.5 a
*=41.2 b
*=37.5
【0069】
液中液分散液:
1kgのマリーゴールド含油樹脂、1kgのMCT油および0.3kgのトコフェロールの混合物を透明な溶液が得られるまで、150℃へ持続的に撹拌しながら加熱した。
【0070】
1.1kgのQ−Naturele 200(サポニン抽出物)を4.5kgの温水(70から80℃)中に混合させ、4.5kgのスクロースおよび5kgのグリセロールを添加した。
【0071】
β−カロテン透明溶液を冷却せずに高剪断ミキサーを使用しながら水相に添加し、生じた混合液を高圧ホモジナイザー内で直ちに均質化した。平均液滴直径は、200nm未満であった。
【0072】
1Lの水中に10mgのβ−カロテンを含む溶液について色パラメータを試験した。
L
*=58.8 a
*=8.6 b
*=50.8
【0073】
[応用実施例]
5%のオレンジジュース飲料を1つのモデルとして選択した。
【0074】
a)オレンジジュース濃縮液、糖シロップ、オレンジフレーバ−油および下記のβ−カロテン調合物からなる化合物を作製した。
【0075】
a.1)β−カロテン調合物。
【0076】
a.1.1)安定剤としてデンプンを用いて作製された従来型粉末形のCWSのβ−カロテン(例えば、DSM社によって製造されたCWS 10% β−カロテン調合物)を使用して、最終飲料を3、5および10ppmのβ−カロテンを用いて着色した。
【0077】
a.1.2)選択した組み合わせ(1から99%)でのβ−カロテン液中液の分散液とβ−カロテン液中固体分散液の混合物の液体形を使用して、最終飲料を2、3、5および10ppmのβ−カロテンで着色した。
【0078】
b)着色化合物を第1段が200barsおよび第2段が50barsの2段式加圧ホモジナイザー内で均質化した。
【0079】
c)ボトル詰めシロップは、均質化した着色化合物、糖シロップ、有機酸、アスコルビン酸(最終製品中で200ppm)および安定剤として添加したペクチンを使用して作製した。
【0080】
d)ボトル詰めシロップを水で希釈すると、所望の最終飲料が生じた。
【0081】
e)この飲料を温浴中で85℃へ低温殺菌した。
【0082】
f)500mLのペットボトルに迅速に充填して密封した。
【0083】
g)密封ボトルを氷浴中で25℃未満へ直ちに冷却した。
【0084】
h)これらのボトルは昼光照明保管庫内に保存した。
【0085】
i)下記の一連の分析を実施した。
【0086】
I1)比色計によるL.a.bスケール(Hunter Lab社)
I2)比色計による色調値(Hunter Lab社)
I3)比色計による色強度値(Hunter Lab社)
I4)分光光度計による色強度値(E1:1法)
【0087】
[応用実施例1]
液中液分散液と液中固体分散液(どちらも実施例1由来)の60:40の比率での混合は、(DSM社から入手した。)10% CWS由来の10ppmのβ−カロテンに比較して、10ppmで同一色相を生じさせる調合物を生成した。この飲料の低温殺菌後に、DSM社製粉末の色相は大きく変化したが、液中液分散液と液中固体分散液の混合物は安定性の色相を保持した。
【0088】
[応用実施例2]
β−カロテン液中液分散液とβ−カロテン液中固体分散液(実施例2)の60:40の比率での液体形の混合物を使用して、3、5および10ppmのβ−カロテンを用いて最終飲料を着色した。
【0089】
β−カロテンを用いて着色した非低温殺菌対低温殺菌オレンジジュース:
【0090】
【表1】
【0091】
1.結果は、CWS調合物の色強度(L値)が低温殺菌後に全レベルで有意に低下したが(L値は上昇した。)、液体分散液混合物の色強度が有意には変化しなかったことを示している。
【0092】
2.結果は、CWS調合物の赤色色調(「a」値)が低温殺菌後に全レベルで有意に低下したが(「a」値は低下した。)、液体分散液混合物の赤色色調は有意には変化しなかったことを示している。
【0093】
3.結果は、CWS調合物の黄色色調(「b」値)が低温殺菌後に全レベルで有意に増加したが(「b」値は増加した。)、液体分散液混合物の黄色色調は有意には変化しなかったことを示している。
【0094】
液中液分散液と液中固体分散液の50:50混合物の粉末状DSM社製10% CWS/S対液体形由来の5および10ppmのβ−カロテンを用いて着色した低温殺菌オレンジジュース飲料のL.a.bおよび色相値およびE1:1測定値:
【0095】
【表2】
【0096】
1.結果は、液中液分散液と液中固体分散液の混合物(天然および人工)を使用した5ppmのβ−カロテンにより着色した5%オレンジジュースの色相値がDSM社製10% CWS/S(人工)由来の10ppmのβ−カロテンを用いて着色したジュースの色相値に近いことを示している。
【0097】
2.結果は、液中液および液中固体分散液の混合物(天然および人工)から作製した5ppmのβ−カロテンを用いて着色したオレンジジュースのE1:1値がDSM社製10% CWS/S(人工)由来の同一量のβ−カロテンを用いて着色した5%オレンジジュースのE1:1値より38から72%高いことを示している。
【0098】
3.結果は、液中液分散液と液中固体分散液の混合物(天然および人工)から作製した10ppmのβ−カロテンにより着色したオレンジジュースのE1:1値がDSM社製10% CWS/S(人工)由来の同一量のβ−カロテンを用いて着色した5%オレンジジュースのE1:1値より66から107%高いことを示している。
【0099】
4.これらの結果は、液中液分散液と液中固体分散液の混合物の液体形由来のβ−カロテンを用いて着色した5%ジュースの色相および強度がDSM社製10% CWS/S由来のβ−カロテンを用いて着色した5%ジュースの色相および強度より有意に高いことを示している。
【0100】
5.これらの結果は、液中液分散液と液中固体分散液の混合物を用いて着色した5%オレンジジュースの色相および強度がDSM社製10% CWS/Sを用いて着色した同一ジュースと匹敵したという官能的観察を確証している。
【0101】
6.結果は、液体状のβ−カロテン液中液分散液と液中固体分散液の調合物混合物の使用によって、DSM社製10% CWS/Sの使用と比較してβ−カロテンの少なくとも30%のコスト節約を達成できることを示している。
【0102】
7.結果は、液体状のβ−カロテン液中液分散液と液中固体分散液調合物混合物の人工および天然調合物が同様に挙動することを示している。
【0103】
[実施例−粉末製剤]
冷水可溶性粉末
300gの液中固体分散液および700gの液中液分散液を混合し、強力に撹拌しながら100gの加工デンプンを添加した。この混合物を次に直ちにスプレー乾燥させると、冷水可溶性の安定性粉末が得られた。スプレー乾燥作業は、従来型スプレー乾燥装置において実施した。
【0104】
本明細書によって本発明の実施形態について記載してきたが、本発明は、本発明の精神から逸脱することなく、または特許請求項の範囲を超えることなく、多数の修飾、変更および改変を加えて実施できることは明白であろう。