(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
また、図示される各構成要素の各部の寸法比率や、各部の傾斜角度(テーパー部分の角度を含む)は、必ずしも正確なものではない。
【0014】
先ず、
図1、
図2及び
図10を用いて、本実施形態に係るノズル60について説明する。
ノズル60は、吐出物を吐出するノズル60であって、第1外径寸法(
図2の外径D1)の筒形の外周面61aを有する第1直胴部61と、第1直胴部61の先端側に配置されているテーパー部62と、テーパー部62の先端側に配置されている第2直胴部63と、を備えている。
ここで、ノズル60において、上流側の端を基端60a、下流側の端を先端60bと称することとする。ノズル60は、当該ノズル60を基端60aから先端60bに亘り貫通している流路66を備えている。
なお、
図2はノズル60の左側面図と考えることができる。ノズル60の右側面図は左側面図と対称に表れるため省略する。また、ノズル60の正面図及び背面図は左側面図と同一であるため省略する。
【0015】
本実施形態の場合、第1直胴部61の外周面61aは、円筒形である。ただし、本発明において、外周面61aは、基端側から先端側に亘って外径が一定の形状であれば、その他の形状であっても良い。例えば、外周面61aは、角筒形(例えば六角筒形など)であっても良い。なお、外周面61aが角筒形の場合の外周面61aの外径(第1外径寸法)は、外周面61aの外接円の直径とすることができる。
【0016】
テーパー部62は、断面が円形の外周面62aを有している。外周面62aは、先端側に向けてテーパー状に外径寸法が縮径している。ここで、外周面62aの断面とは、ノズル60の軸心に対して直交する断面(横断面)である。
本実施形態の場合、テーパー部62の外周面62aは円錐台形状である。
そして、テーパー部62のテーパー角度(
図2の角度α)は1度以上30度以下であることが好ましく、2度以上20度以下であることが更に好ましい。すなわち、ノズル60の軸心AXと外周面62aとのなす角度(
図2の角度α/2)は、0.5度以上15度以下であることが好ましく、1度以上10度以下であることが更に好ましい。
ただし、本発明において、外周面62aは、上記断面が円形である限りにおいて、その他の形状であっても良い。例えば、外周面62aは、先端側に向けて曲線的(二次曲線的、三次曲線的など)に減少する形状であっても良い。
【0017】
第2直胴部63は、第1外径寸法よりも小さい第2外径寸法(
図2の外径D2)の筒形の外周面63aを有する。本実施形態の場合、第2直胴部63の外周面63aは、円筒形である。ただし、本発明において、外周面63aは、基端側から先端側に亘って外径が一定の形状であれば、その他の形状であっても良い。例えば、外周面63aは、角筒形(例えば六角筒形など)であっても良い。なお、外周面63aが角筒形の場合の外周面63aの外径(第2外径寸法)は、外周面63aの外接円の直径とすることができる。
【0018】
そして、第1直胴部61の外周面61aの外径寸法である第1外径寸法(
図2の外径D1)が、当該ノズル60における最大外径となっている。
【0019】
本実施形態の場合、テーパー部62は、第1直胴部61の先端側に隣接している。そして、テーパー部62の基端62bにおける外径寸法は、第1外径寸法よりも小さく、第1直胴部61とテーパー部62との境界に段差(段差面67)が存在している。すなわち、第1直胴部61における先端側の端面は、先端側を向く段差面67となっている。
ただし、本発明は、この例に限らず、第1直胴部61とテーパー部62とは、段差無く相互に連続していても良い。つまり、テーパー部62の基端62bにおける外径寸法が、第1外径寸法(
図2の外径D1)であっても良い。
【0020】
ノズル60は、ノズル本体部70と、突出筒部80と、の2つの筒状部材を備えて構成されている。
このうちノズル本体部70は、上記の第1直胴部61、テーパー部62及び第2直胴部63を有しており、当該ノズル本体部70の基端から先端に亘って流路70aが貫通した状態に形成されている。
また、突出筒部80は、ノズル本体部70よりも細径に形成されており、突出筒部80の基端から先端に亘って流路80aが貫通した状態に形成されている。
突出筒部80は、当該突出筒部80における基端側の部分が、ノズル本体部70における先端側の部分に挿入されているとともに、当該ノズル本体部70に対して固定されている。そして、突出筒部80における先端側の部分が、ノズル本体部70から先端側に突出している。
すなわち、ノズル60は、第1直胴部61、テーパー部62及び第2直胴部63を有するノズル本体部70と、ノズル本体部70に挿入及び保持されているとともにノズル本体部70の先端(例えば、後述する第2テーパー部64の先端64c)から突出している突出筒部80と、を備える。
よって、ノズル本体部70と、細径の突出筒部80とを個別に作製できるため、それぞれの製造容易性を向上できるとともに、それぞれの加工精度を十分に確保することができる。
【0021】
更に、ノズル60は、第1直胴部61の基端側に隣接している固定部65を備えている。
本実施形態の場合、固定部65は、雄ネジ形状に形成されている。
また、本実施形態の場合、固定部65は、第1直胴部61よりも細径となっている。これにより、後述するように固定部65を取付対象物に固定した際に、取付対象物に対して第1直胴部61の基端側の端面61bが接触するようにできるため、ノズル60を安定的に固定することができる。
ノズル60は、固定部65をノズル60の取付対象物(例えば、後述する基板本体30(
図6、
図7、
図9))に対して挿入(例えば螺入)して当該ノズル60を取付対象物に着脱可能に固定することができるように構成されている。
第1直胴部61の基端側の端面61bは、径方向外側に向けて基端側に突出する傾斜面となっている。
より詳細には、第1直胴部61の端面61bには、円錐台形状の凹部が形成されていることによって、端面61bが上述の形状の傾斜面となっている。
端面61bがこのような形状となっていることにより、後述するように、固定部65を取付対象物に固定した際に、端面61bが弾性変形するとともに取付対象物に対して密着するようにできる。
【0022】
なお、第1直胴部61の端面61bの十分な変形性を実現するとともに、突出筒部80の十分な剛性を確保するために、ノズル本体部70のヤング率は突出筒部80のヤング率よりも小さいことが好ましい。
ノズル本体部70及び突出筒部80は、それぞれ金属材料により構成することができ、この場合に、一例として、ノズル本体部70は真鍮により構成することができ、突出筒部80はステンレスにより構成することができる。より詳細には、ノズル本体部70は、RoHS(Restriction of Hazardous Substances)対応の、鉛を含有しない真鍮により構成されていることが好ましい。ただし、ノズル本体部70の材料はこの例に限らず、ステンレス又はチタン系材料などを用いても良い。また、突出筒部80についても、ステンレス以外の材料により構成しても良い。
また、ノズル本体部70及び突出筒部80の外周面には、それぞれ必要によりメッキが施されていても良い。ノズル本体部70に施すメッキとしてはSnメッキが好ましい。ここで、突出筒部80の外周面にメッキ(例えばCr、Ir又はPtなどのメッキ)が施されていることにより、ノズル本体部70から突出筒部80が抜けにくくなるとともに、突出筒部80の機械的強度(曲げ剛性など)が向上する。
【0023】
更に、ノズル60は、第2直胴部63の先端側に設けられている第2テーパー部64を更に備えている。第2テーパー部64の外周面64aは、先端側に向けて外径寸法が縮径する円錐台形状に形成されている。
そして、第2テーパー部64の基端64b(
図1)の外径寸法は第2外径寸法(
図2の外径D2)である。
このため、第2テーパー部64と第2直胴部63との間に段差が存在することによる不具合(気流の乱れなど)の発生を抑制することができる。
なお、第2テーパー部64のテーパー角度は特に限定されないが、例えば、テーパー部62のテーパー角度よりも大きい角度に設定することができる。
【0024】
本実施形態の場合、ノズル本体部70が固定部65及び第2テーパー部64を有している。
そして、固定部65の基端がノズル本体部70の基端であるとともにノズル60全体の基端60aとなっている。また、突出筒部80の後述する本体部81の先端が突出筒部80の先端であるとともにノズル60全体の先端60bとなっている。
また、第2テーパー部64の先端64cが、ノズル本体部70の先端となっている。
【0025】
なお、本実施形態の場合、テーパー部62の先端側に第2直胴部63が隣接しているとともに、テーパー部62の先端の外径と第2直胴部63の外径D2とが互いに等しくなっている。
また、第2直胴部63の先端側に第2テーパー部64が隣接しているとともに、第2直胴部63の外径D2と第2テーパー部64の基端64b(
図1)の外径とが互いに等しくなっている。
また第2テーパー部64の先端64cの外径よりも突出筒部80の本体部81の外径が小さく、従って、第2テーパー部64における先端側の端面は、先端側を向く段差面となっている。
【0026】
また、第1直胴部61、テーパー部62、第2直胴部63、第2テーパー部64の各々は、ノズル60の軸心AXに対して円対称形となっている。同様に、突出筒部80の本体部81も、軸心AXに対して円対称形となっている。つまり、ノズル60において固定部65よりも下側の部分は、軸心AXに対して円対称形となっている。
また、雄ネジ形状の固定部65の軸心は、軸心AXと一致しており、固定部65は軸心AXに対して実質的に円対称形となっている。
また、流路66の各部も、軸心AXに対して円対称形となっている。つまり、ノズル60の軸中心に流路66が配置されている。
【0027】
ここで、上述のように、ノズル60の内部の流路66は、ノズル60を基端60aから先端60bに亘り貫通して形成されている。流路66の上流部分は、ノズル本体部70の内周面により画定されている流路70a(
図1)であり、流路66の下流部分は、突出筒部80の内周面により画定されている流路80a(
図1)である。
【0028】
図3に示すように、ノズル本体部70における流路70aは、第1部分661と、先端側に向けてテーパー状に縮径している第2部分662と、第3部分663と、を基端側から先端側に向けて段差無く連続する配置で有している。
より詳細には、第1部分661及び第3部分663は、それぞれ円柱形(内径が一定のストレート形状)に形成され、第2部分662は、円錐台形状に形成されている。そして、第2部分662の基端の内径は、第1部分661の内径に等しく、第2部分662の先端の内径は、第3部分663の内径に等しい。
なお、流路70aは、第1部分661の基端側に隣接する第4部分664を有しており、第4部分664は、先端側に向けてテーパー状に縮径している。そして、第4部分664と第1部分661とは相互に段差無く連続している。より詳細には、第4部分664は円錐台形状に形成されており、第4部分664の先端の内径は、第1部分661の内径に等しい。
【0029】
図1及び
図4に示すように、突出筒部80は、内径が一定のストレート形状の本体部81と、本体部81の基端側に連接されている基端部82と、を有している。より詳細には、本体部81は、当該本体部81の長手方向における全域に亘り、外径、内径、ともに一定径、且つ、直線状に形成されている。
図4に示すように、突出筒部80の基端部82は、ノズル本体部70における流路70aに収容されているとともに、基端側に向けて漏斗状に拡径しており、且つ、第2部分662の周壁によって先端側への移動が規制されている。つまり、突出筒部80は、先端側に抜け止めされた状態で、ノズル本体部70によって保持されているため、ノズル本体部70からの突出筒部80の脱落を抑制できる。
より詳細には、基端部82は、第1部分661の先端部の内部から第2部分662の内部に亘る範囲に収容されている。また、本体部81の基端部は第3部分663に収容されており、本体部81における残りの部分は、ノズル本体部70から先端側に突出している。
なお、本体部81の外径は、第1部分661の内径と同等であることが好ましい。
【0030】
ここで、ノズル60は(ノズル本体部70は)、当該ノズル60の軸心方向に沿って、固定部65、第1直胴部61、テーパー部62、第2直胴部63及び第2テーパー部64をこの順に備えている。
ノズル60の軸心方向における第1直胴部61の長さは、同方向におけるテーパー部62の長さよりも短いことが好ましく、第1直胴部61は、例えばフランジ状に形成されている。
ノズル60の軸心方向における第2直胴部63の長さは、例えば、同方向におけるテーパー部62の長さと同等とすることができる。
また、ノズル60の軸心方向における第2テーパー部64の長さは、例えば、同方向における第2直胴部63の長さよりも短くすることができる。
【0031】
また、ノズル本体部70からの突出筒部80の突出長L1(
図1)と、第1直胴部61の基端からノズル本体部70の先端までの長さL2(
図1)との関係は、特に限定されないが、突出長L1が長さL2よりも長いことが好ましい。このようにすることによって、突出長L1を十分に確保することができるため、ノズル60の先端60b位置での気流を安定化させることが容易となる。
なお、突出長L1及び長さL2は、それぞれノズル60の軸方向における寸法である。
【0032】
ノズル60の各部の寸法は、特に限定されないが、後述するような乾式紡糸装置1にノズル60を用いる場合、それぞれ以下の寸法とすることができる。
突出筒部80の本体部81の内径は、例えば、0.3mm以上1mm以下とすることができる。
本体部81の外径は、例えば、0.5mm以上2mm以下とすることができ、特に、0.55mm以上2.0mm以下であることが好ましい。
上記の突出長L1は、例えば、5mm以上30mm以下とすることができる。
上記の長さL2は、例えば、4mm以上25mm以下とすることができる。
ノズル60の軸方向における第1直胴部61の寸法は、例えば、0.5mm以上3mm以下とすることができる。
ノズル60の軸方向におけるテーパー部62の寸法は、例えば、1.5mm以上10mm以下とすることができる。
ノズル60の軸方向における第2直胴部63の寸法は、例えば、1.5mm以上10mm以下とすることができる。
ノズル60の軸方向における第2テーパー部64の寸法は、例えば、0.5mm以上3mm以下とすることができる。
ノズル60の軸方向における固定部65の寸法は、例えば、2mm以上10mm以下とすることができる。
流路70aの内径は、例えば、第1部分661については0.5mm以上3mm以下とすることができ、第4部分664の基端の内径については1mm以上6mm以下とすることができる。
突出筒部80の本体部81の長さと本体部81の内径との比(長さ/内径)は、例えば、20以上100以下とすることができる。
上記の突出長L1と本体部81の外径との比(L1/外径)は、例えば、10以上50以下とすることができる。
【0033】
ノズル60は以上のように構成されている。
【0034】
次に、
図5を用いて本実施形態に係るノズルセット100について説明する。
本実施形態に係るノズルセット100は、上述したノズル60と、ノズル60を当該ノズル60の取付対象物(例えば、後述する基板本体30(
図6、
図7、
図9))に対して固定するための取付工具90と、を備えている。
取付工具90は、ノズル60を先端側から収容可能な筒状に形成されている。
取付工具90の一端部90aは円形に開口している。
なお、取付工具90は金属材料により構成することができる。
そして、取付工具90をノズル60の先端側からノズル60に外嵌して取付工具90の一端部90aをノズル60の外周面に突き当てた際に、取付工具90の一端部90aの内周(具体的には、後述する内周92)がテーパー部62の外周面62aに対して周回状に当接するようになっている(
図6参照)。つまり、取付工具90とノズル60とがこのように当接する条件を満たすように、外周面62aの寸法と、一端部90aの内周の寸法と、の大小関係が設定されている。
【0035】
より詳細には、取付工具90は、円筒形に形成されており、当該取付工具90の基端から先端に亘り孔91が貫通した状態に形成されている。ただし、本発明は、この例に限らず、取付工具90の他端部90bは閉塞していても良い。
取付工具90を用いたノズル60の取り付け作業は、取付工具90をテーパー部62の外周面62aに対して圧接させた状態で当該取付工具90を軸回転させることにより行われる。取付工具90を軸回転させる操作を容易に行うことができるように、取付工具90にはレバー(不図示)が設けられていることが好ましい。このレバーは、取付工具90の外径よりも長尺な棒状体であり、当該レバーの長手方向が取付工具90の軸方向に対して交差する姿勢で、取付工具90の他端部90bを貫通した状態に設けられる。レバーの長手方向は、取付工具90の径方向に一致させることが好ましい。より詳細には、レバーは、例えば、直径1.5mm以上3.0mm以下の丸棒であり、レバーの両端部の各々が取付工具90の側周面から10mm以上20mm以下程度突出するように設けられる。レバーにおいて取付工具90から突出している部分を操作することにより、取付工具90の軸回転操作を容易且つ軽い力で行うことができる。なお、レバーを構成する材料は、取付工具90を構成する材料と同じであることが好ましい。
【0036】
ここで、取付工具90の一端部90aの内周面は、基端側に向けてテーパー状に拡径している。取付工具90における一端部90aを除く部分の内周面は、内径が一定のストレート形状に形成されている。すなわち、孔91は、内径が一定のストレート部91aと、ストレート部91aの基端側に隣接しているとともに基端側に向けてテーパー状に拡径するテーパー部91bと、を含む。
ここで、テーパー部91bのテーパー角度は、例えば、テーパー部62のテーパー角度よりも大きい角度に設定されている。このため、取付工具90をノズル60の先端側からノズル60に外嵌して取付工具90の一端部90aをノズル60の外周面に突き当てた際に、テーパー部91bにおける先端の内周92が、ノズル60のテーパー部62の外周面62aに対して周回状に当接するようになっている(
図6参照)。
【0037】
次に、
図6を用いて、ノズルセット100の取付工具90を用いてノズル60を取付対象物に対して取り付ける方法(ノズル取付方法)を説明する。
上述のように、ノズル60は、第1直胴部61の基端側に隣接している雄ネジ形状の固定部65を備え、固定部65を取付対象物に対して螺入することによって、ノズル60を取付対象物に着脱可能に固定することができるように構成されている。
図6(a)に示すように、このノズル取付方法は、取付工具90をノズル60の先端側からノズル60に外嵌して取付工具90の一端部90aをノズル60の外周面(つまりテーパー部62の外周面62a)に突き当てた状態で、取付工具90を軸周りに回転させることによって、ノズル60を軸周りに回転させ、固定部65を取付対象物に螺入する工程を備える。
【0038】
取付工具90の一端部90aの内周(具体的には内周92)がテーパー部62の外周面62aに対して周回状に当接した状態で取付工具90が回転するため、内周92と外周面62aとの摩擦によってノズル60が取付工具90に従動する。すなわち、ノズル60は取付工具90と同方向に回転するため、固定部65を取付対象物に螺入することができる。
ここで、本願発明者等がテーパー部62のテーパー角度の最適な大きさについて鋭意検討した結果、テーパー部62及び取付工具90の材料や寸法に応じて、1度以上30度以下の範囲内の適切なテーパー角度に設定することによって、内周92と外周面62aとの摩擦によって好適に固定部65を取付対象物に対して螺入することができることが分かった。
ただし、ノズル60に対して取付工具90が空回りすることが許容されるため、固定部65を取付対象物(例えば基板本体30)に対して螺入する際のトルクが過剰になること、並びに、固定部65を取付対象物に固定した際の軸力が過剰になることが抑制される。よって、取付対象物に傷(擦過痕など)が形成されてしまうことが抑制される。
【0039】
なお、取付工具90の一端部90aに、基端側に向けてテーパー状に拡径するテーパー部91bが形成されているため、一端部90aの内周とテーパー部62の外周面62aとの十分な摩擦力を確保することができる。また、テーパー部91bのテーパー角度がテーパー部62のテーパー角度よりも大きいため、テーパー部91bの変形(破損)を抑制できる。
【0040】
ここで、上述のように、第1直胴部61の基端側の端面61bは、径方向外側に向けて基端側に突出する傾斜面となっている。
図6(b)に示すように、固定部65を取付対象物である基板本体30のネジ孔30aに螺入してノズル60を基板本体30に対して締結することにより、端面61bが平坦面に近づく方向に、第1直胴部61が弾性変形する。換言すれば、テーパー部62の外周面62aと取付工具90の内周92との摩擦力によって、第1直胴部61が弾性変形する程度の力で、固定部65を取付対象物に螺入することができる。
よって、雄ネジである固定部65を基板本体30などの取付対象物に対して十分な軸力により固定することができる。しかも、端面61bが基板本体30に対して(
図6における基板本体30の下側の面に対して)弾性的に密着する。よって、端面61bと基板本体30などの取付対象物との間に間隙が生じることによる不具合(気流の乱れなど)の発生を抑制できる。
【0041】
また、上述のように、第1直胴部61の外周面61aは円筒形である。このため、第1直胴部61の基端側の端面61bと擦れることによって取付対象物に形成される擦過痕が、第1直胴部61の端面61bの周囲を取り囲むように形成されることが無い。つまり、第1直胴部61から離間した位置に擦過痕が形成されることが無い。よって、第1直胴部61の基端側の端面61bの周囲を取り囲む擦過痕の存在による不具合(気流の乱れなど)を抑制することができる。
なお、後述するような乾式紡糸装置などにおいては、気流の僅かな乱れをも抑制できるように、ノズル60の取付対象物(例えば基板本体30)においてノズル60が突出する側の面(
図6、
図9における下側の面)は、鏡面研磨されている場合がある。本実施形態によれば、鏡面研磨された面を、第1直胴部61の周囲において傷付けてしまうことを抑制できる。
【0042】
また、ノズル60の最大径部分である第1直胴部61ではなく、テーパー部62を取付工具90によって回転させることにより、ノズル60を取付対象物に螺入するため、複数のノズル60を取付対象物に取り付ける場合に、取付工具90が隣のノズル60と干渉することを抑制できる。よって、複数のノズル60を互いに近接させて配置することが容易となる。よって、ノズル60が細径であっても、ノズル60を密集した配置とすることができる。
なお、取付工具90の外径は、第1直胴部61の外径D1よりも小さいことが好ましい。このようにすることにより、互いに隣接させて複数のノズル60を取付対象物に取り付ける際に、取付工具90と隣のノズル60との干渉を回避することができる。よって、ノズル60を密集させて配置することがより容易となる。
【0043】
例えば
図7(a)〜(c)の各図に示すように、複数のノズル60を、隣り合うものどうしが互いに接触する配置で取付対象物(例えば基板本体30)に取り付けることもできる。より詳細には、例えば、
図7(a)に示すように複数のノズル60を一列に配置したり、
図7(b)及び(c)に示すように複数のノズル60を格子状に配置したりすることができる。なお、複数のノズル60を、互いに離間する複数列に配置したりすることも可能である。また、
図7(b)では正格子状の配置を、
図7(c)では千鳥格子状の配置を、それぞれ示しているが、その他の格子状の配置としても良い。なお、ノズル60の数は、図示した数に限らない。
【0044】
また、取付工具90の長さは、ノズル60における第1直胴部61よりも先端側の部分の長さ(ノズル60の軸心方向において、段差面67から先端60bまでの長さ)よりも長いことが好ましい。このようにすることにより、手作業で取付工具90を回転させる際に、細径の突出筒部80の先端が手の平に突き当たってしまうことなどを回避することができる。
【0045】
ここで、ノズル本体部70を製造するには、例えば、ノズル本体部70の外面の形状を加工した後で、内部に流路70aを切削加工により形成する。つまり、流路70aを形成する前段階で、第1直胴部61の外周面61a及び第2直胴部63の外周面63aを含むノズル本体部70の外周面の形状が形成されている。
外周面61a及び外周面63aの各々は、外径が一定のストレート形状に形成されているため、流路70aを形成する際には、外周面61aと外周面63aとの双方をそれぞれ固定具によって安定的に保持することができる。すなわち、ノズル本体部70の軸方向において相互に離間している2つの部分である外周面61a及び外周面63aをそれぞれ固定具によって保持した状態で、旋盤を用いた切削加工によってノズル本体部70の内部に流路70aを形成することができる。このため、切削加工の際におけるノズル本体部70の軸ブレを抑制できるため、流路70aを極めて精密な加工精度で形成することができる。
その結果、突出筒部80をノズル本体部70に対して極めて高精度に同軸に配置することも可能となる。
切削加工の際には、ノズル60を(ノズル60を保持する固定具とともに)軸回転させても良いし、切削刃をノズル60の周囲で回転させても良いし、ノズル60と切削刃との双方を回転させても良い。
なお、ノズル本体部70を製造する方法は、ここで説明した例に限らず、他の方法で行っても良い。
【0046】
また、ノズル本体部70に対する突出筒部80の固定は、例えば、以下のようにして行うことができる。
先ず、ノズル本体部70を作製する一方で、筒状の突出筒部80を作製する。なお、この段階では、突出筒部80は外径が一定であり、未だ基端部82は漏斗状にはなっていない。
次に、突出筒部80を流路70aに挿入して基端部82を流路70aの第2部分662に配置した状態で、ノズル本体部70及び突出筒部80を相互に位置関係が変化しないように保持する。
次に、ノズル本体部70の基端側から、先端がテーパー状の棒状の拡径具を流路70aに差し込み、該拡径具の先端を突出筒部80の基端部82に打ち込む。これにより、基端部82を漏斗状に拡径させるとともに、基端部82をノズル本体部70によって保持させる。
なお、ノズル本体部70に突出筒部80を固定する方法は、ここで説明した例に限らず、他の方法で行っても良い。
【0047】
次に、本実施形態に係るノズル60を備える装置の一例として、乾式紡糸装置について説明する。
本実施形態に係る乾式紡糸装置の構造は、以下に説明する点の他は、公知の乾式紡糸装置と同様(例えば、特許文献1に記載のものと同様)であるが、
図8及び
図9を用いて説明する。
【0048】
本実施形態に係る乾式紡糸装置1は、上述した構造のノズル60と、糸前駆体12を延伸するための加圧ガスを吹き出すブロア10と、面内に複数のエアノズル9a(
図9)が区画形成された分流基板9と、ブロア10から吹き出された加圧ガスをエアノズル9aに導く給気路11aと、を備え、ノズル60は、紡糸原液を吐出して糸前駆体とするものである。すなわち、乾式紡糸装置1は、紡糸ノズルとしてノズル60を備える。
図9に示すように、複数のエアノズル9aの各々に対してノズル60がそれぞれ対応して配置されており、ノズル60の先端60bはエアノズル9aから突き出ておらず、隣り合うノズル60どうしの距離が上記第1外径寸法の半分以下である。すなわち、隣り合うノズル60どうしは、(外径D1/2)以下の距離で相互に近接して配置されている。このため、吐出される糸前駆体12どうしの間隔を密にできる。よって、例えば、糸前駆体12により構成される糸17どうしが密な不織布19などを形成することができる。
好ましくは、上記のように、隣り合うノズル60は、その第1直胴部61の外周面61aどうしが相互に接触している。
【0049】
図8に示すように、乾式紡糸装置1は、紡糸原液を投入するためのホッパー2と、ホッパー2に投入された紡糸原液をヘッド4内に導く給液管3と、ヘッド4内に設けられ給液管3に連続する給液路3aと、を備える。給液路3aの下流側には原液室5が設けられており、紡糸ノズルとしてノズル60を備えるノズル基板6へと紡糸原液の流路が続く。ノズル基板6の面内に設けられるノズル60より紡糸原液が吐出されて、糸前駆体12が形成される。
また乾式紡糸装置1は、加圧ガスを吹き出すためのブロア10と、ブロア10より吹き出された加圧ガスをヘッド4内に導く給気管11と、ヘッド4内に設けられ給気管11に連続する給気路11aと、を備える。給気路11aの下流側には、加圧ガスが流通するための経路として、ノズル基板6に形成された図示省略される給気孔が設けられている。
ノズル基板6の下側には、スペーサ7、絞り板8及び分流基板9が積層状態で設けられている。ノズル基板6の給気孔から枠状のスペーサ7の内部空間に吹き込まれた加圧ガスは、スペーサ7の内部から、絞り板8に形成された絞り孔(不図示)と、分流基板9に形成された複数のエアノズル9aと、をこの順に介して、下流側に吹き出される。
【0050】
ノズル基板6、スペーサ7、絞り板8、および分流基板9は、ヘッド4に固定されている。
より詳細には、給気孔は、例えば、ノズル基板6を構成する基板本体30(
図9)に形成されている。ただし、給気孔は、ノズル基板6以外の部分、例えばスペーサ7の側面等に形成されていても良い。なお、基板本体30の下面は平坦(平面形状)に形成されており、且つ、例えば鏡面研磨されている。
絞り板8に形成された絞り孔は、下流側に向けて開口幅が小さくなる形状となっている。なお、絞り板8は任意の構成であり、例えば絞り板8を省略するとともにスペーサ7と分流基板9とを直接に積層しても良い。
【0051】
乾式紡糸装置1にて用いられる紡糸原液は、その性状、あるいは調製方法について特に限定されない。したがって、溶融物である紡糸原液を用いる場合には、乾式紡糸装置1はメルトブロー法(溶融紡糸方法)に用いられる紡糸装置であると考えることができる。乾式紡糸装置1がメルトブロー法に用いられる場合、紡糸材料としては熱可塑性樹脂が好適であるが、これに限定されない。
あるいは、紡糸材料を溶媒に懸濁または溶解させて調製された紡糸原液が用いられてもよい。また紡糸原液は、一部の紡糸材料が溶媒に溶解されるとともに、さらに異なる紡糸材料が懸濁されたものであってもよい。これらの紡糸原液を用いる場合、乾式紡糸装置1は溶液紡糸法に用いられる紡糸装置であると考えることができる。
特に、上記溶液紡糸法に用いられるために調整された紡糸原液は、スラリー状であることが一般的である。特にスラリー状の紡糸原液を用いる場合、乾式紡糸装置1はスラリーブロー法に用いられる紡糸装置であると考えることができる。100℃以上、特には200℃以上の高温で加熱された場合に構造が変化する紡糸材料を使用する場合には、乾式紡糸装置1がスラリーブロー法として用いられることが好適である。より具体的には、たとえば、ヒドロキシアパタイトを紡糸材料として用いたとき、水酸基を保持したままアパタイト繊維を紡糸することができる。即ち、スラリーブロー法は、ヒドロキシアパタイトの紡糸に好適である。また同様にプルランを紡糸材料とした場合にもスラリーブロー法は好適である。ただし、乾式紡糸装置1は、プルランを紡糸材料として用い、メルトブロー法により紡糸するために用いられても良い。
【0052】
ヘッド4は、給液路3a、給気路11a、および原液室5を含む筐体である。ただし、形状は矩形状であることに限定されるものではない。ヘッド4を構成する上記筐体を形成する材料は特に限定されないが、アルミ材を選択することにより、軽量性、熱伝導性などの観点で有利である。
【0053】
ヘッド4には、任意で冷却機構が設けられていてもよい。上記冷却機構は、ヘッド4の内部の空気雰囲気の温度を適切な温度範囲まで冷却するためのものである。また、ヘッド4の外側に冷却機構を設け、これによってヘッド4の内部の空気温度を適切な温度範囲に調整してもよい。
上記適切な温度範囲は、紡糸材料に使用される溶媒の種類などによって異なり特に限定されないが、たとえば、50℃を超えない範囲、特には45℃を超えない範囲、さらには40℃を超えない範囲とすることができる。上記温度範囲の下限は、紡糸原液が凍結しない範囲において特に限定されない。たとえば一般的に常温として認識される温度であればよく、具体的には、10℃以上、さらには15℃以上、特には20℃以上であってよい。
【0054】
ヘッド4の内部に設けられる冷却機構は、空気温度を適切な温度範囲に調整可能な構成であれば特に限定されない。
たとえば、
図8には、冷却機構の一つの態様として、ヘッド4の内部を図面手前側から奥行側まで貫通する4本の冷却管110を備えるものを例示している。冷却管110には、図示省略する冷却媒体排出装置から、冷却媒体が流入される。冷却媒体としては、水などの液体あるいは空気などの気体が挙げられるが特に限定されない。ヘッド4内を通過した冷却媒体は、ヘッド4の外部に排水または排気されてよい。あるいは冷却媒体を、冷却媒体排出装置に還流させ熱交換し、再度、冷却媒体として使用されてもよい。また
図8では冷却管110をノズル60の並び方向に沿って4本設ける態様を示しているが、ヘッド4内に貫通される冷却管110の本数、および設けられる位置は特に限定されない。
また上記冷却機構の別の態様としては、ヘッド4の内部に空気などの気体である冷却媒体を流入する流入口と、ヘッド4内の空気あるいは流入された気体を排出するための排出口を設けてもよい。これによってヘッド4の内部の空気雰囲気を適切な温度範囲に調整してもよい。
いずれの冷却機構においても、ヘッド4の内部に温度センサを設け、ヘッド4の内部の空気温度が適切な温度範囲を超えたとき、自動で冷却媒体の移動が開始するよう構成してもよい。あるいは、ヘッド4の内部の空気温度を観察するための温度計をヘッド4の内部またはヘッド4の外側に視認可能に設け、温度変化に対応してマニュアルで冷却媒体の流通を開始させるよう構成してもよい。
【0055】
図8に示すように、ヘッド4の内部には原液室5が設けられている。
図9に示すように、原液室5の内部には、分流補助部材51が配置されている。
分流補助部材51は、断面略円形であって、中央が大径であり、両端側にかけて径が小さく形成されている。分流補助部材51は、原液室5の長軸方向両側内面に支持固定されて設置されている。
原液室5は、給液路3aから紡糸原液が流入する紡糸原液流入口52と、紡糸原液をノズル60に供給する複数の紡糸原液排出口54と、を有している。そして、原液室5は、ホッパーより供給される紡糸原液を貯留し、次いで複数のノズル60へと該紡糸原液を分流する。紡糸原液排出口54は、ノズル60と1対1で対応しており、各ノズル60と対応する位置に配置されている。
分流補助部材51は、紡糸原液流入口52の付近が最も大径であり、紡糸原液流入口52から遠ざかるほど細径となっている。これにより分流補助部材51と原液室5の内壁面とのクリアランスは紡糸原液流入口52の付近が極小であって、紡糸原液流入口52から遠ざかるほど大きくなっている。
原液室5に分流補助部材51が設置されていることにより、紡糸原液を多数のノズル60それぞれに均等に供給することが可能となる。
なお、原液室5とノズル基板6の基板本体30との間にはヘッド4の底板53が介在しており、各ノズル60の流路66と、それぞれ対応する紡糸原液排出口54とは、底板53に形成された開口を介して相互に連通している。
【0056】
乾式紡糸装置1においては、例えば、複数のノズル60が一列に整列して配置されて、一つのラインを構成している(
図9、
図7(a)参照)。
ノズル60は、ノズル基板6の基板本体30を上下に貫通しているネジ孔30aに対して固定部65が螺入されることによって、基板本体30に固定されている。基板本体30と複数のノズル60とによってノズル基板6が構成されている。
原液室5から各ノズル60の流路66内に供給された紡糸原液は、各ノズル60の先端60bの開口から外部に(つまり気相に)吐出されて糸前駆体12となる。
【0057】
上述のように、ノズル基板6の下側には、スペーサ7、絞り板8及び分流基板9が積層状態で設けられており、各ノズル60の周囲には、加圧ガスの気流が形成される。各ノズル60の周囲に形成される加圧ガスの気流は、分流基板9に形成された複数のエアノズル9aを介して下流側に吹き出される。
【0058】
ここで、
図9に示すように、ノズル60の先端60bは、エアノズル9aが形成されている分流基板9の下面9bから突出していない。より詳細には、各ノズル60は、各々が1対1で対応するエアノズル9aに挿入されているとともに、各ノズル60の先端60bは、例えば、分流基板9の上面よりも下、且つ、分流基板9の下面9bよりも上に位置している。ただし、本発明は、この例に限らず、先端60bの高さ位置は、下面9bの高さ位置と揃っていても良いし、分流基板9の上面の高さ位置と揃っていても良い。
【0059】
また、分流基板9の下方には断熱層13が配置され、断熱層13の下方には筐体14が配置されている。
ノズル基板6に備えられたノズル60より気相に吐出された糸前駆体12は、断熱層13の図示省略される開口部を通過し、さらに筐体14内を通過し、紡糸される。筐体14内には、筐体14内を通過する糸前駆体の伸長方向に沿って赤外線ヒーター15が設けられている。糸前駆体12は、内部に含有される溶媒を加熱除去されることによって紡糸され、糸17として筐体14外へと繰り出される。
【0060】
ここで、糸前駆体12の糸径は、ノズル60の吐出孔の口径や加圧ガスの気流速度などによって調整することができる。たとえば糸前駆体12の繊維径をより小さくしたい場合には、加圧ガスの気流速度が速くなるよう調整すればよい。加圧ガスの気流速度は、ブロアの性能や調整により適宜決定することができ、特に限定されるものではない。たとえば、加圧ガスの速度は、用いられるブロアの機能にもよるが、20m/sから1000m/sの範囲で適宜決定することができる。
たとえば、水溶性多糖類水を溶媒に溶解させてなる紡糸原液を用いた場合には、ノズル60の先端60bの開口径を100μm以上1mm以下、好ましくは200μm以上900μm以下、より好ましくは250μm以上750μm以下とすることができる。このように細径のノズル60から吐出された糸前駆体12は、ノズル60の開口径と同等あるいはそれ以下の繊維径を示し得る。紡糸原液を100質量%としたとき、紡糸原液中における溶質(即ち、多糖類原料)の量を10質量%以上30質量%以下に調整することが可能である。このような濃度の紡糸原液を用いて形成された糸前駆体12が、加熱機構(赤外線ヒーター15)において溶媒を除去されると、糸前駆体12の繊維径よりも小さい繊維径の糸17が形成される。
【0061】
乾式紡糸装置1により紡糸される糸17の繊維径は特に限定されず、ノズル60の先端60bの開口径を調整することにより、紡糸される糸17の繊維径を調整することができる。具体的には、例えば100nm以上200μm以下程度の繊維系の糸、より詳細には、例えば1μmから100μm程度の繊維径の糸を紡糸することができる。
【0062】
また、赤外線ヒーター15は、糸前駆体12に対して直接にまたは輻射で赤外線を照射することによって、糸前駆体12に含有される溶媒を加熱除去する。たとえば赤外線ヒーター15は輻射板16を併設することができ、これにより赤外線ヒーター15からの赤外線(遠赤外線を含む)を糸前駆体12に照射して、糸前駆体12を輻射熱によって乾燥させることができる。
【0063】
また、断熱層13は任意の構成であるが、
図8に示す乾式紡糸装置1のように赤外線ヒーター15などの加熱装置を用いて糸前駆体12に含有される溶媒を加熱除去する場合に、断熱層13を備えることが望ましい。
即ち、分流基板9と赤外線ヒーター15などの加熱装置との間に、赤外線ヒーター15からノズル60に対する熱伝導を低減する断熱層13を設けることができる。
また断熱層13の効果をより一層高めるために、分流基板9と断熱層13との間および/または断熱層13と赤外線ヒーター15との間に、外気との換気可能な空気層22が設けられていても良い。
このような空気層22を設けることにより空気の流れが生じるため、熱が籠らず、熱伝導の低減がより効果的に図られる。
【0064】
乾式紡糸装置1の筐体14は、糸前駆体を介して対向する一対の電極と、電極に電流を流す電流装置と、を備える。電流装置により電極に電流が流されたとき電極間に電場が発生し、糸前駆体を帯電させることができる。
上記電極の例を
図8に示す。乾式紡糸装置1には、糸前駆体に介して対向する電極801A、801A、電極801B、801B、電極801C、801Cを備える。即ち、3対の電極が設けられている。各電極は、棒状体であって、
図8の紙面の手前側から奥側に延在している。対となる電極どうしは、図示省略する電流装置により電気的に接続可能である。電極装置により電流を流すことによって、各電極対の間に電場が発生する。
対となる電極間を通過する糸前駆体に対し、一方の電極から正の電荷を付加させるとともに他方の電極からおよび負の電荷を付加させることにより、正の電荷を帯びた糸前駆体と負の電荷を帯びた糸前駆体とを混在させることができる。かかる場合には、正の電荷を帯びた糸前駆体と負の電荷を帯びた糸前駆体とが互いに電気的に引き合い集束する。そのため、糸前駆体の散乱が抑制され、糸前駆体を良好に捕集可能である。
また糸前駆体を正の電荷または負の電荷のいずれかに帯電させる場合には、例えば、捕集ドラム18などの捕集手段に、糸前駆体の帯びる電荷とは異なる電荷を付加させておくことが好ましい。これによって、正または負の電荷を帯びた捕集手段に、これとは逆の電荷を帯びた糸前駆体を電気的に引き寄せることができるため、糸前駆体を効率よく捕集することができる。
【0065】
2組以上の電極対は、糸前駆体を介して、当該糸前駆体の流れ方向において並び方向に配置されることが好ましい。
特に、電極が、加熱機構(赤外線ヒーター15)を糸前駆体が通過する加熱領域930の、糸前駆体の流れ方向における中間位置を挟んで上流側と下流側とに、それぞれ設けられることが好ましい。
【0066】
図8に示す不織布製造装置21は、上述の乾式紡糸装置1と、乾式紡糸装置1により紡糸された糸17を捕集する可動式捕集面とを備える。
【0067】
乾式紡糸装置1において形成された糸前駆体12は、赤外線ヒーター15により溶媒が加熱除去されて、糸17となる。乾式紡糸装置1により長時間連続的に安定して供給可能な糸17は、互いに内向きに回転する、可動式捕集面を備える捕集ドラム18、18間に巻き込まれて適度な圧力がかけられる。これにより糸17間が互いに交絡されて不織布19が製造される。また、必要に応じて、不織布19をさらに加熱焼成して、不織布19内の水分含量を調整し、所望の不織布を製造してもよい。たとえば、不織布19を500℃から1300℃、好ましくは600℃から1200℃、より好ましくは650℃から1100℃の範囲の温度で加熱焼成することができる。これにより、不織布19内に残存する水分を消失させるとともに、バインダとして用いられたプルランなどを消失させることができる。
【0068】
捕集ドラム18、18は、それぞれが円筒状の回転ロールであって、その表面が紡糸された糸17を捕集する可動式捕集面となる。捕集ドラム18の表面は、糸を捕集し、捕集された糸同士の交絡を可能とする範囲で、実質的に隙間のない面であってもよいし、網目構造になっていてもよく、またこれに限定されない。可動式捕集面を構成する部分領域は、所定の時間間隔ごとに間欠的にノズル60に対向する。これにより、可動式捕集面に対してノズル60から連続的に糸17を吐出することで、可動式捕集面に糸17が多層に積層される。
【0069】
尚、乾式紡糸装置1により紡糸される糸の組成は特に限定されず、一般的な乾式紡糸装置に適用可能ないずれの紡糸原液を用いてもよい。
たとえば、セルロースアセテート繊維、エチレン/テトラフルオロエチレン繊維、アルミナ繊維などの合成繊維、プルラン繊維などの水溶性多糖類を用いてなる繊維などが例示される。いずれも、適当な溶剤に溶解可能であることが好ましい。もちろん、糸の物性に影響を与えなければ、一部または全部の材料が溶融した紡糸原液を用いてもよい。
また溶媒に、任意の粒子材料が混合された紡糸原液を用いて紡糸することもできる。たとえばアパタイトは、骨再生用の骨補填材として医療分野における利用が期待されている。粒子状のアパタイトを溶媒に混合させ、これを乾式紡糸装置、あるいは不織布製造装置に用いることにより、優れたアパタイト繊維、あるいはアパタイト不織布を長時間連続的に製造することが可能である。尚、アパタイト粒子を用いて紡糸原液を調製する場合には、バインダとして水溶性の繊維状高分子化合物を用いるとよい。たとえば、マルトトリオースがα−1,6−グルコキシド結合により反復結合した直鎖状グルカンであるプルラン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、コラーゲン、キサンタンガム、ガーガムなどを挙げることができる。医療用材料としてアパタイト繊維、あるいはアパタイト不織布の使用を予定する場合には、無害性、十分な水溶性などの観点から、上記バインダとしては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、コラーゲン、およびプルランが好ましく、中でもプルランのごとき多糖類であって可食性のものがより好ましい。
【0070】
アパタイト粒子を用いて紡糸原液を調製する場合には、さらに適当な分散剤を用いることが好ましい。分散剤を用いた場合には、アパタイト粒子含有のスラリー状の紡糸原液を調製することが可能である。上記アパタイト粒子の分散剤は、たとえば、セラミックス用分散剤として使用可能な材料から適宜選択されてよい。上記セラミックス用分散剤のより具体的な例としては、アニオン性界面活性剤やクエン酸系分散剤などが挙げられる。また上記アパタイト粒子の分散剤として好適に使用される市販の分散剤は、たとえば、SNディスパーサント2060(サンノプコ製)などが存在する。上記市販品を含む、ポリリン酸アミノアルコール中和品などに代表される微粒子分散剤も、上記アパタイト粒子の分散剤として好適である。ただし、上記アパタイト粒子の分散剤は、これらの記載に何ら限定されるものではない。
【0071】
また乾式紡糸装置1は、プルランを主原料としてプルラン繊維を紡糸することにも適する。即ち、乾式紡糸装置1は、アパタイト、プルランなどの多糖類を主原料として好適に紡糸することができる。上記プルラン繊維には、乾式紡糸装置1により製造された糸形状体、上記糸形状体が集合してなる集合物および不織布を含む。また乾式紡糸装置1により形成された糸形状体、上記糸形状体が集合してなる集合物および不織布などを中間物として得た単繊維あるいは粉末も上記プルラン繊維に含む。
上記プルラン繊維を得るために、たとえばプルランを溶質の主体として含有する紡糸原液を用いることができ、たとえば溶質として実質的にプルランのみを含む紡糸原液を用いることもできる。上記プルラン繊維は、例えば、紡糸原液において溶質として含まれる材料を100質量%としたときに、上記材料にプルランが80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましく95質量%以上の高純度で含有された紡糸原液を用いて製造することができる。また乾式紡糸装置1または紡糸方法により、実質的にプルラン100%であるプルラン繊維を提供することができる。ここで実質的に、とは、若干の保存剤や可塑剤などの一般的な充填剤を含んでよいことを意味する。
上述するプルランは多糖類の一例であって、適宜、プルラン以外の多糖類に置き換えることが可能である。たとえば、紡糸原液に含有させたときに、他の樹脂材料よりも高い粘性を示しうる多糖類、あるいは紡糸工程における加熱により変性しやすい多糖類などであっても、乾式紡糸装置1によって紡糸することが可能である。
【0072】
以上のような実施形態によれば、ノズル60は、第1外径寸法の筒形の外周面61aを有する第1直胴部61と、第1直胴部61の先端側に配置されているとともに先端側に向けてテーパー状に外径寸法が縮径する断面が円形の外周面62aを有するテーパー部62と、テーパー部62の先端側に配置されているとともに第1外径寸法よりも小さい第2外径寸法の筒形の外周面63aを有する第2直胴部63と、ノズル60を基端60aから先端60bに亘り貫通している流路66と、を備え、第1外径寸法がノズル60における最大外径である。
ノズル60において互いに離間した2つの部分、すなわち第1直胴部61及び第2直胴部63がそれぞれストレート形状に形成されているため、これら2つの部分をそれぞれ固定具によって保持した状態で、内部の流路66を切削加工により精度良く形成することが可能である。
ここで、ノズル60は先端側に向けて縮径していて細径の先端60bから吐出物を吐出するようになっているが、ノズル60における最大外径である第1外径寸法を有する第1直胴部61を保持して切削加工を行うことができるため、ノズル60をより安定的に保持した状態で、内部の流路66を形成することができる。
よって、複数個のノズル60を製造するに際し、極めて精密な加工精度での流路66の加工を再現性良く実現することが可能となる。
したがって、流路66の中心をノズル60の軸心に一致させることなどが容易となる。
【0073】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0074】
例えば、
図11に示す変形例に係る乾式紡糸装置1のように、エアノズル9aは、分流基板9に設けられた管901の内部空間により構成されていても良い。すなわち、分流基板9には、当該分流基板9を上下に貫通する貫通孔9cが形成されており、貫通孔9cに、直管形状の管901が差し込み固定されている。管901は、例えば、当該管901の上端が分流基板9の上面と面一となるように配置されている。そして、ノズル60の先端60bは、管901の下端から突出していない。より詳細には、各ノズル60は、各々が1対1で対応するエアノズル9a(つまり管901)に挿入されているとともに、各ノズル60の先端60bは、例えば、管901の下端よりも上に位置している。ただし、本発明は、この例に限らず、先端60bの高さ位置は、管901の下端の高さ位置と揃っていても良いし、管901の上端の高さ位置と揃っていても良い。
【0075】
また、
図12に示す変形例のように、テーパー部62の外周面62aは、その外径寸法が先端側に向けて減少する割合が、先端に向けて小さくなる形状となっていても良い。
或いは、図示は省略するが、テーパー部62の外周面62aは、その外径寸法が先端側に向けて減少する割合が、先端に向けて大きくなる形状となっていても良い。
【0076】
また、
図13(a)に示す変形例又は
図13(b)に示す変形例のように、突出筒部80は、その全体がストレート形状の本体部81となっていて、突出筒部80の上端部がノズル本体部70に対して差し込み固定されていても良い。
より詳細には、
図13(a)に示す例では、流路70aの第3部分663に突出筒部80が差し込み固定されている。
また、
図13(b)に示す例では、ノズル本体部70には、第3部分663の先端側に隣接する第5部分665が形成されている。第5部分665は、ノズル本体部70の軸心と同心の円柱形状の内部空間を有しており、ノズル本体部70の先端に達している。第5部分665の内径は、突出筒部80の外径と同等に設定されており、第3部分663の内径は、突出筒部80の内径と同等に設定されている。そして、第5部分665に突出筒部80が差し込み固定されている。この場合、流路70aと流路80aとがなめらかに連続する(段差無く連続する)こととなるため、ノズル60内において吐出物をスムーズに流動させることとができる。
【0077】
また、上記においては、ノズル60を基板本体30に対し着脱可能とする手段として、ネジ構造を利用する態様を示したが、上記着脱可能な手段は、これに限定されない。たとえば、ノズル60の固定部65と基板本体30とが相互に嵌合可能であってもよい。
【0078】
また、上記においては、ノズル60を乾式紡糸装置1(ひいては不織布製造装置21)に用いる例を説明したが、ノズル60は、その他の用途に用いても良い。例えば、ノズル60をミスト発生装置に用いても良い。なお、ミスト発生装置においても、乾式紡糸装置1におけるのと同様に、ノズル60の周囲に形成した気流によって、ノズル60の流路66内の液体(水等)を吸引することによって、流路66から液体を吐出させ、ミストを発生させることができる。
【0079】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)吐出物を吐出するノズルであって、第1外径寸法の筒形の外周面を有する第1直胴部と、前記第1直胴部の先端側に配置されているとともに、先端側に向けてテーパー状に外径寸法が縮径する、断面が円形の外周面を有するテーパー部と、前記テーパー部の先端側に配置されているとともに、前記第1外径寸法よりも小さい第2外径寸法の筒形の外周面を有する第2直胴部と、当該ノズルを基端から先端に亘り貫通している流路と、を備え、前記第1外径寸法が当該ノズルにおける最大外径であるノズル。
(2)前記第1直胴部の前記外周面は円筒形である(1)に記載のノズル。
(3)前記テーパー部の前記外周面は円錐台形状である(1)又は(2)に記載のノズル。
(4)前記テーパー部の基端における外径寸法は、前記第1外径寸法よりも小さく、前記第1直胴部と前記テーパー部との境界に段差が存在している(1)から(3)のいずれか一項に記載のノズル。
(5)前記テーパー部のテーパー角度は1度以上30度以下である(1)から(4)のいずれか一項に記載のノズル。
(6)前記第1直胴部よりも細径で、前記第1直胴部の基端側に隣接している固定部を更に備え、前記固定部を当該ノズルの取付対象物に対して挿入して当該ノズルを前記取付対象物に着脱可能に固定することができるように構成され、前記第1直胴部の基端側の端面は、径方向外側に向けて基端側に突出する傾斜面となっている(1)から(5)のいずれか一項に記載のノズル。
(7)前記第1直胴部、前記テーパー部及び前記第2直胴部を有するノズル本体部と、前記ノズル本体部に挿入及び保持されているとともに、前記ノズル本体部の先端から突出している突出筒部と、を備える(1)から(6)のいずれか一項に記載のノズル。
(8)前記第1直胴部、前記テーパー部及び前記第2直胴部を有するノズル本体部と、前記ノズル本体部に挿入及び保持されているとともに、前記ノズル本体部の先端から突出している突出筒部と、を備え、前記ノズル本体部のヤング率は前記突出筒部のヤング率よりも小さい(6)に記載のノズル。
(9)前記ノズル本体部における前記流路は、第1部分と、先端側に向けてテーパー状に縮径している第2部分と、第3部分と、を基端側から先端側に向けて段差無く連続する配置で有し、前記突出筒部の基端部は、前記ノズル本体部における前記流路に収容されているとともに、基端側に向けて漏斗状に拡径しており、且つ、前記第2部分の周壁によって先端側への移動が規制されている(7)又は(8)に記載のノズル。
(10)前記ノズル本体部からの前記突出筒部の突出長は、前記第1直胴部の基端から前記ノズル本体部の先端までの長さよりも長い(7)から(9)のいずれか一項に記載のノズル。
(11)前記ノズル本体部は、前記第2直胴部の先端側に設けられている第2テーパー部を更に有し、前記第2テーパー部の外周面は、先端側に向けて外径寸法が縮径する円錐台形状に形成されており、前記第2テーパー部の基端の外径寸法は前記第2外径寸法である(7)から(10)のいずれか一項に記載のノズル。
(12)(1)から(11)のいずれか一項に記載のノズルと、糸前駆体を延伸するための加圧ガスを吹き出すブロアと、面内に複数のエアノズルが区画形成された分流基板と、前記ブロアから吹き出された前記加圧ガスを前記エアノズルに導く給気路と、を備え、前記ノズルは、紡糸原液を吐出して前記糸前駆体とするものであり、前記複数のエアノズルの各々に対して前記ノズルがそれぞれ対応して配置されており、前記ノズルの先端は前記エアノズルから突き出ておらず、隣り合う前記ノズルどうしの距離が前記第1外径寸法の半分以下である乾式紡糸装置。
(13)(1)から(11)のいずれか一項に記載のノズルと、前記ノズルを当該ノズルの取付対象物に対して固定するための取付工具と、を備え、前記取付工具は、前記ノズルを先端側から収容可能な筒状に形成されており、前記取付工具の一端部は円形に開口しており、前記取付工具を前記ノズルの先端側から前記ノズルに外嵌して前記取付工具の前記一端部を前記ノズルの外周面に突き当てた際に、前記取付工具の前記一端部の内周が前記テーパー部の外周面に対して周回状に当接するノズルセット。
(14)前記取付工具の前記一端部の内周面は、基端側に向けてテーパー状に拡径している(13)に記載のノズルセット。
(15)(13)又は(14)に記載のノズルセットの前記取付工具を用いて前記ノズルを前記取付対象物に対して取り付ける方法であって、前記ノズルは、前記第1直胴部の基端側に隣接している雄ネジ形状の固定部を更に備え、前記固定部を前記取付対象物に対して螺入することによって、前記ノズルを前記取付対象物に着脱可能に固定することができるように構成され、前記取付工具を前記ノズルの先端側から前記ノズルに外嵌して前記取付工具の前記一端部を前記ノズルの外周面に突き当てた状態で、前記取付工具を軸周りに回転させることによって、前記ノズルを軸周りに回転させ、前記固定部を前記取付対象物に螺入する工程を備えるノズル取付方法。