特許第6543202号(P6543202)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543202
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】保持機能付水道用メータユニット
(51)【国際特許分類】
   E03B 7/07 20060101AFI20190628BHJP
【FI】
   E03B7/07 Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-24573(P2016-24573)
(22)【出願日】2016年2月12日
(65)【公開番号】特開2017-141624(P2017-141624A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2016年9月5日
【審判番号】不服2018-3832(P2018-3832/J1)
【審判請求日】2018年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000201593
【氏名又は名称】前澤給装工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073623
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 幸吉
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100098246
【弁理士】
【氏名又は名称】砂場 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】西東 敏夫
【合議体】
【審判長】 小野 忠悦
【審判官】 須永 聡
【審判官】 西田 秀彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−248519(JP,A)
【文献】 特開平10−331214(JP,A)
【文献】 「栗本ボックス 鉾田 MUG・PK−PC NT−M 組立図」、株式会社日邦バルブ、2014年3月27日、「固定具 CR(硬度60°) 栗本量水器ボックス(KMH−20F)本体用 標準図面」、株式会社日邦バルブ、2014年4月22日、「固定具 CR(硬度60°) 栗本量水器ボックス(KMH−20F)底板用 標準図面」、株式会社日邦バルブ、2014年4月22日、「出庫指示書(兼)検査成績表 MUG・PK−PC NT−M 栗本BOX[鉾田]」、株式会社日邦バルブ、2014年9月17日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 1/00 - 11/16, F16L 1/00 - 7/02, G01F 15/00 - 15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枡と下枡、或いはその中間に高さを調整する中間枡等を介在させて成るメータボックスの両側の配管貫通孔部に、外形が前記配管貫通孔部に嵌合し、内形がメータユニットの継手部の外形を保持する所定厚の弾性土留め部材を嵌着し、前記弾性土留め部材にメータユニットの継手部を挟持させることにより、メータボックス内にメータユニットを固定的に保持するようにした保持機能付水道用メータユニットであって、
前記弾性土留め部材を、上下分割により上片部材と下片部材に分割し、上下枡の嵌合により前記弾性土留め部材が組合せ形成されるものとしたことを特徴とする保持機能付水道用メータユニット
【請求項2】
前記弾性土留め部材を、前記弾性土留め部材の外形を前記配管貫通孔部に形成された構造的凹凸面に対応して嵌合する凹陥部、突条部、突起部を形成するように構成した請求項1記載の保持機能付水道用メータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メータボックスの両側に、1次側、2次側の各配管とメータユニットの各端部を継手する継手機構を、ゴム等の弾性土留め部材によって固定することにより、メータボックス内にメータユニットを固定的に保持して構成した保持機能付水道用メータユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、メータユニットを格納収容するメータボックスは、単式のものも、複式のものも、メータボックス1内に水道メータ及び止水栓、継手等のメータユニット11Aを設置するために、メータボックスの下枡1bに、水道メータ及び止水栓、継手等を固定する固定ベース12を設定して前記メータユニット11Aを固定した後に、メータボックス両側の配管貫通孔部13a、13bの外側から土砂等の異物混入を防止する土留め板160を設置して配管貫通孔13a、13bを閉止(非特許文献1)してきている。
【0003】
また、非特許文献1に記載されているように土留め板160はプラスチックの薄板等、厚みの薄い素材によって形成され、配管貫通孔を閉止して土砂等の異物混入防止機能のみでメータユニットを固定的に保持する機能は有していない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】前澤化成工業株式会社総合カタログ2002年10月版 46頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、メータユニット設置時は、この種の土留め部材には図5図6に示されるような土留め板160が用いられ、プラスチック等の板材の中央部に周囲に放射状の切り込み162を入れて挿通孔の拡縮を可能としたメータユニット等の継手部を挿通する挿通孔161を設けたものを配管貫通孔部13a、13bの外側から押し当てながら土砂等で固定するという面倒な作業が必要という問題があった。
【0006】
更に、設定環境によってはメータボックス内に土砂等の異物が混入し水道メータの交換等において支障を来す事態にも成りかねないという問題もある。
【0007】
また、メータユニットの保持のため、ベース等をボルト等により下枡に固定しているため、ベースの加工作業及び組立作業に多くの時間と労力を要していたものである。
【0008】
本願発明は、前記各問題点に対応すると共に、土留め板機能とメータユニットの継手部をボックス内に固定することができるメータユニットの提供により、部品点数の削減及び加工組立工数を減少させて、安価で生産効率の高い保持機能付水道用メータユニットの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記した課題に対応しようとするものであり、メータボックス両側の配管貫通孔部に、外形が同貫通孔部に嵌合し、内形がメータユニットの継手部の外形を保持する所定厚の弾性土留め部材を嵌着して、メータユニットのメータボックス内における位置決めと安定を図るように構成した。
【0010】
この構成により、メータボックス内におけるメータユニットの位置決めや、輸送中のガタツキを防止すると共に、設置時において外部からの土砂等の異物の混入を最大限に防止し、更に、設置後においては地震や地盤沈下等の衝撃を土留め部材によって吸収し、メータユニットや配管部材の保護強化を図ることができるものである。
【0011】
メータユニットを収容するメータボックスは、上枡と下枡に分割され、(必要な場合には、その中間に高さを調整する中間枡等を間入させる。)上下枡又は下枡と中間枡各枡の両側にそれぞれに枡の嵌合によって形成、或いは上下枡何れか一方の枡に形成される1次側と2次側の配管貫通孔部が設定され、それぞれに土留め部材が嵌着されるようになっている。
【0012】
土留め部材は、収容するメータユニットの継手部を包持する内形部に、同継手部を収嵌する手段として部材を上下に2分割して挟持するようにしたり、一端を残した切れ込みにより内形部を開閉するようにしてメータユニットの継手部を内形部に包持できるように構成される。
【0013】
土留め部材の外形は、メータボックスの両側に形成された前記配管貫通孔部の内形に形成される凹凸形状に対応してこれと嵌合する形状に構成され、必要に応じて端面に強化フランジ等を設けるようにする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上のように構成したことにより、メータボックス内におけるメータユニットの位置決めや、輸送中のガタツキを防止すると共に、設置時において外部からの土砂等の異物の混入を最大限に防止し、更に、設置後においては地震や地盤沈下等の衝撃を土留め部材によって吸収し、メータユニットや配管部材の保護強化を図ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例を示すもので、メータボックスを断面として土留め部材の配置、1次側配管、2次側配管とメータユニットとの関係を示す埋設時における全体正面図。
図2】同じく、メータボックスの配管貫通孔部に嵌着された土留め部材の状況を示すメータボックスの右側面図。
図3】同じく、メータボックスが並列する複式メータユニットを収容する場合の配管貫通孔部と土留め部材の状況を示すメータボックスの平面図。
図4】同じく、複式メータユニットを収容する場合における下枡のみの配管貫通孔部とそれに対応する土留め部材の状況を示すメータボックスの右側面図。
図5】固定ベースをセット化したメータユニットの配列によりメータボックスを断面として、従来の土留め板を用いた土留め状況を示すメータボックス埋設時における全体正面図。
図6】同じく、従来の土留め板を用いた土留め状況を示す図5の右側面図。
図7】本発明による土留め部材の上下分割により実施例を示すもので、(1)は正面図、(2)は(1)のA−A断面図である。
図8】同じく、本発明による土留め部材の一端を残した切れ込みにより内形部を開閉するようにした実施例を示すもので、(1)は切り割りを閉じた状態の正面図、(2)は切り割りを開いた状態の正面図である。
図9】同じく、図4記載の本発明による外形の周端縁にフランジを設けた土留め部材の実施例を示すもので、(1)は正面図、(2)は(1)のA−A断面図、(3)は背面図である。
図10】同じく、本発明による土留め部材の実施例を示すもので、外形の周端縁にフランジ、胴部に突条を設け、内形の中間孔壁に突条を設けた実施例で、(1)は正面図、(2)は(1)のA−A断面図、(3)は平面図である。
図11】同じく、本発明による土留め部材の実施例を示すもので、上下の各枡に形成された配管貫通孔部の内形に形成される凹凸形状に対応してこれと嵌合する形状に外形を構成したもので、上半の部材片外形には上枡配管貫通孔部の内形に形成された突端に嵌合する凹陥溝、下半の部材片外形には下枡配管貫通孔部の内形突端に嵌合する凹陥形状とこれに対応する強化張出しが形成されている実施例で、(1)は正面図、(2)は(1)のA−A断面図、(3)は背面図、(4)は平面図である。
図12図11記載実施例の上下枡配管貫通孔部の内形との嵌合状況を示す縦断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。1はメータボックスで、上枡1aと下枡1bから成り、それぞれ上下枡の嵌合によって形成される1次側配管貫通孔部13a、2次側配管貫通孔部13bが設けられている。
【0017】
水道メータ11は、1次側に止水栓とメータ端部を着脱可能に着合する着合機構とが接合され、2次側に逆止弁機構とメータ端部着合受部が接合されてメータユニット11Aに構成され、下枡1bに設定された支持ベース体12によって固定支持されている。
【0018】
メータユニット11Aの両端は、1次側配管、2次側配管にそれぞれ接合される継手部14a、14bとなっており、1次側継手部14aには止水栓11Bが、2次側継手部14bには逆止弁機構11Cがそれぞれ設定され、配管貫通孔部13a、13bを通じて1次側配管15a、2次側配管15bにそれぞれ継手接合される。
【0019】
配管貫通孔部13a、13bには、メータボックス内部に土砂等の異物混入を防止するため土留め部材16を設定するために、上枡1aには土留め部材16の上片部材16aの収嵌スペースを形成するための収嵌枠13d、下枡1bには土留め部材16の下片部材16bの収嵌スペースを形成するための収嵌枠13eが、或いは下枡か上枡の何れかの一方に収嵌枠13が1次側と2次側にそれぞれ設けられている。なお、上下枡の間に高さを調整する中間枡等を間入させる場合には、中間枡には土留め部材16の上片部材16aの収嵌スペースを形成するための収嵌枠13d、下枡1bには土留め部材16の下片部材16bの収嵌スペースを形成するための収嵌枠13eが1次側と2次側にそれぞれ設けられることになる。
【0020】
土留め部材16は、後述するように、その設定環境により様々な実施形態が存在するが、実施例1は図7に示すように外形楕円状の土留め部材を上下分割により上片部材16aと下片部材16bに分割し、上片部材16aを収嵌枠13d、下片部材16bを収嵌枠13eに嵌合し、上下枡の嵌合により土留め部材16が組合せ形成される。
【0021】
土留め部材16の厚みは、上下の部材片の挟持により継手部14a、14bの位置が安定して保持される程度のもので、素材はゴム等の弾性素材を用い、土留め部材16の厚みと素材の弾性とが相俟ってメータユニットをメータボックス内に安定的に保持固定するものである。
【0022】
実施例2は、図8に示すように土留め部材の一端16fを残した切れ込み16eにより内形部16dを開閉するようにしたもので、部材を分割せずに継手部14を嵌着挟持することができ、設定環境により部材片の紛失防止や収嵌枠13への部材片嵌合作業の効率化に寄与するものである。
なお、切れ込み残16fの部位は設定環境により適宜選択することができる。
【0023】
実施例3は図9に示すように土留め部材16の周端縁にフランジ17を設けた土留め部材の実施例を示すもので、フランジ17は部材の形状強度を強化すると共に、収嵌枠13の端縁に係架して、これに対する嵌着ストッパーの役割を果たすものである。
【0024】
実施例4は図10に示すように土留め部材16の内形及び外形に突条18aと18bを形成することによって継手部14及び収嵌枠13との係着を強化したものである。
【0025】
実施例5は図11、12に示すように土留め部材16の外形を収嵌枠13の内形壁面に形成された構造的凹凸面に対応して嵌合する凹陥部19a突条部19b、突起部19dを形成して、形状着合を図ることにより、土留め部材16と収嵌枠13との密着度を高めると共に、継手部14のメータボックス内における固定を安定させ、併せて土留め効果を高めるようにしたものである。
【0026】
更に、突起部19dは土留め部材16の下片部材16bの下半部全体にわたり肉厚の突出体を形成し、部材全体を形状強化すると共に、下端片が収嵌枠13の包持面に嵌着する凹陥部19aを形成するようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係る保持機能付メータユニットと土留め部材は、上記のように収容するメータユニットの継手部を包持する内形部に、同継手部を収嵌するメータユニットに独自の保持機能を付加したので、収容ボックス内におけるメータユニットの位置決めや、輸送中のガタツキを防止すると共に、設置時において外部からの土砂等の異物の混入を最大限に防止し、更に、設置後においては地震や地盤沈下等の衝撃を土留め部材によって吸収し、メータユニットや配管部材の保護強化を図ることができるもので水道機器産業において水道メータの保全、交換等のメンテナンスに利用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 メータボックス
1a メータボックスの上枡
1b メータボックスの下枡
11 水道メータ
11A メータユニット
11B 止水栓
11C 逆止弁機構
12 メータユニットの支持ベース体
13 土留め部材収嵌枠
13a 1次側配管貫通孔部
13b 2次側配管貫通孔部
13d 上枡の収嵌枠
13e 下枡の収嵌枠
14 継手部
14a メータユニットの1次側継手部
14b メータユニットの2次側継手部
15a 1次側配管
15b 2次側配管
16 土留め部材
16a 土留め部材の上片部材
16b 土留め部材の下片部材
16d 土留め部材の内形部
16e 土留め部材の切れ込み
16f 土留め部材の切れ込み残部
17 土留め部材のフランジ
18a 土留め部材の内形に形成された突条
18b 土留め部材の外形に形成された突条
19a 土留め部材に形成された凹陥部
19b 土留め部材に形成された突条部
19d 土留め部材の形成された突起部
160 従来製品における土留め板
161 従来製品における土留め板の挿通孔
162 従来製品における土留め板挿通孔の周囲に設けた外周の放射状切り込み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12