(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
この種の開量制限装置は、本出願人の提案に係る特許文献1に開示されている。特許文献1に係る換気ステー(開量制限装置)は
図17に示すように、窓枠51に固定されるベース56と、ベース56に固定した支軸57で内外方向へ揺動自在に支持される牽制アーム58と、窓52の縦枠部分に固定した掛止ピン59と、牽制アーム58を全開位置と換気位置に切換え操作する操作具83などで構成している。ベース56はアルミニウム条材からなり、その一側に断面C字状のガイド溝60が形成してある。牽制アーム58の板面の中途部には、窓52を閉じた状態において掛止ピン59の進入を許す凹部66が折り曲げ形成されており、凹部66に臨む段壁から牽制アーム58の揺動先端にわたって、掛止ピン59と係合する連繋溝70が形成してある。また、牽制アーム58の上端には、ベース56に固定した支軸57でスライド案内されるスライド溝69が形成してある。
【0003】
操作具83は、ベース56で上下スライド自在に案内支持されるスライダー82と、スライダー82に連結ピン89を介してかしめ固定される操作板86と、先の連結ピン89を介してスライダー82と一体化される切換えノブ87などで構成してある。組立状態の操作具83は、ベース56のガイド溝60に沿って全開位置と換気位置の間で上下スライドでき、切換えノブ87を全開位置から換気位置へスライド操作すると、牽制アーム58の連繋溝70を窓側の掛止ピン59に係合できる。なお、特許文献1の換気ステーでは、切換えノブ87をスライダー82に対して着脱できるが、現在市場に提供されている換気ステー(以下、現行製品と言う)の殆どは、切換えノブ87が連結ピン89でスライダー82および操作板86にかしめ固定してある。
【0004】
牽制アーム58の内外方向への揺動を許すために、操作板86には部分円弧状の操作溝92が形成してあり、牽制アーム58には操作溝92と係合する係合ピン79が設けてある。また、牽制アーム58には係合ピン79とは別にストッパーピン80が設けてある。ストッパーピン80は、牽制アーム58が全開位置から換気位置へスライド変位するまでの間、牽制アーム58が屋外側へ揺動するのを規制するために設けてある。係合ピン79およびストッパーピン80は、いずれもステンレス製の丸ピンで形成されて、牽制アーム58にかしめ固定してある。さらに、現行製品においては、厚み方向へ弾性変形しやすい操作板86を支持するために、ベース56に台形状のガイド片63をビスで固定している。また、ベース56の屋外側の側縁リブ62に係合ピン79の出入りを許す切欠部64を形成している。上記のように、係合ピンを牽制アームにかしめ固定し、操作溝を操作具あるいはベースに設けた開量制限装置は、特許文献2や特許文献3にも開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の換気ステーおよび現行製品の開量制限装置によれば、牽制アーム58を操作具83で全開位置から換気位置に切換え操作することにより、掛止ピン59を連繋溝70内に導入係合させて、窓52を換気位置において開き規制できる。また、牽制アーム58を操作具83で換気位置から全開位置へ下降スライド操作することにより、連繋溝70を掛止ピン59から離脱させて、窓52を閉じ位置から全開放位置へ開き操作できる。この換気ステーは、窓52と窓枠51の小さな隙間に組むことができ、しかも窓枠51に切欠加工を施す必要もなくそのままの状態で施工できる特長があるため、長年にわたって市場の支持が得られている。
【0007】
しかし、特許文献1の換気ステーおよび現行製品においては、窓52を牽制アーム58で開き規制した換気開放位置において、係合ピン79の周面をベース56の側縁リブ62に接当させて、それ以上牽制アーム58が開き方向へ揺動するのを規制している。そのため、窓52が閉じ位置から換気位置へ急開放操作されるとき、係合ピン79が側縁リブ62に衝突して、アルミニウム条材で形成したベース56に衝撃荷重が集中し傷みやすい。
【0008】
牽制アーム58の構造に関しては、予め旋削加工を施した係合ピン79およびストッパーピン80を別途用意しておいて、これらのピン79・80を牽制アーム58に形成したかしめ穴にかしめ固定する必要があるため、牽制アーム58の加工工数が多く、その分だけコストが嵩んでいた。また、ベース56の側縁リブ62切欠部64を形成する必要があり、全体として換気ステーの全体コストが高くなっていた。さらに、現行製品においては、操作具83の操作板86と正対するベース壁にガイド片63を固定して、操作板86がベース壁側へ変形するのを規制しているため、開量制限装置の全体コストはさらに高くなっていた。
【0009】
また、特許文献1の換気ステーおよび現行製品は、組立に煩雑な工程が含まれる点で改良の余地があった。組立時には、まず牽制アーム58に係合ピン79およびストッパーピン80をかしめ固定し、アーム上部のスライド溝69とばね(図示していない)に挿通した支軸57をベース56にかしめ固定して、牽制アーム58、ばね、ベース56の3者を一体化して第1組立体を組む。また、スライダー82、操作板86を連結ピン89でかしめ固定して第2組立体を組む。次に、スライダー82のスライド部84をベース56のガイド溝60に下方から差込み係合して、第2組立体を第1組立体と一体化する。このとき、操作具83の操作板86の上縁が牽制アーム58に固定した係合ピン79に接当干渉する。しかも、操作板86の外面は、スライド部84と一体に設けたカバー壁(図示していない)で覆われていて、直接視認することができない。そのため、作業者はカバー壁の下縁側の隙間から、操作板86と係合ピン79の接当状況を覗き見ながら、狭い隙間内で操作板86をピンセットでベース56側へ弾性変形させて、係合ピン79が操作板86を乗越えるように操作して操作溝92に落込み係合させなければならず、この作業に多くの手間が掛かっていた。
【0010】
本発明の目的は、開量制限装置の構造の簡素化を実現して、装置全体の製造に要するコストを削減することにある。
本発明の目的は、牽制アームが換気開放位置まで傾動するときのストッパー構造を改良して、窓が急開放される場合にベースに衝撃荷重が集中するのを解消して、耐久性を向上できる開量制限装置を提供することにある。
本発明の目的は、開量制限装置の構造の簡素化と組立の容易化を同時に実現して、装置全体の製造に要するコストをさらに削減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る窓の開量制限装置は、窓枠1と開閉自在な窓2との間に設けられて、窓2を所定の開放位置において開放規制する。開量制限装置は、窓枠1または窓2に設けたベース6と、ベース6に固定した支軸7で内外方向へ揺動可能に支持される牽制アーム8と、牽制アーム8を開放規制位置と、規制解除位置にスライド切換え操作する切換え構造
とを備えている。牽制アーム8に、
支軸7でスライド案内されるスライド溝19と、窓2が所定の開放位置を越えて開放されるのを規制するストッパー部26
とが形成されている。図1に示すようにストッパー部26は、支軸7の周囲に位置する牽制アーム8の上側アーム壁から連出され
ている。ストッパー部26に、窓2に同行して牽制アーム8が所定の開放位置まで揺動された状態において、ベース6の側に設けられた受面14で受止められて、窓2が所定の開放位置を越えて揺動するのを規制する接当面27と、当該接当面27に連続してストッパー部26の周縁に形成されて、牽制アーム8が開放規制位置から規制解除位置に切換え操作された状態において、受面14と接当して、牽制アーム8の揺動を規制する回転規制面28とが設けられていることを特徴とする。なお、本発明においてベース6の側に設けた受面14とは、受面14がベース6にのみ設け
られている場合と、受面14がベース6とスライダー32の両者にわたって設け
られている場合を含
む。
【0012】
図4に示すように、切換え構造は、ベース6のガイド溝10でスライド自在に係合案内されるスライダー32と、スライダー32をスライド操作する操作具33
とを備えている。操作具33の操作腕36と牽制アーム8に、同アーム8が内外方向へ揺動するとき、互いに係合した状態で相対揺動する係合突起29と操作溝42
とが設け
られている。係合突起29
が牽制アーム8または操作腕36と一体に形成
されている。
【0014】
係合突起29は、牽制アーム8にプレス加工を施して同アーム8と一体に形成する。操作具33をベース6に組付けた状態において、ベース6の側縁リブ12と操作腕36の側縁が隙間Eを介して対向している(
図1参照
)。
【0015】
係合突起29は曲げ加工、半抜き加工、バーリング加工、絞り加工、切起し加工のいずれかひとつで形成する。これらの加工の加工例を
図10から
図12に示している。
【0016】
牽制アーム8に曲げ加工を施して、支軸7の周囲に位置する牽制アーム8の周縁に係合突起29を形成する。
図6に示すように係合突起29は、突端側から見て「く」字状に折曲げてある。
【0017】
操作具33は、階段状に折曲げられた操作腕36と、操作腕36の一端に固定される切換えノブ37を備えている。操作腕36はその中途部がスライダー32に固定され、操作腕36の連結壁41に操作溝42を形成する。アルミニウム条材で形成したベース6の装着座11に、操作腕36の連結壁41を支持する支持リブ13を形成する(
図8参照)。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る窓の開量制限装置においては、牽制アーム8に、窓2が所定の開放位置を越えて開放されるのを規制するストッパー部26を形成した。また、ストッパー部26は、支軸7の周囲に位置する牽制アーム8の上側アーム壁から連出して、その突端に接当面27を設けるようにした。そのうえで、牽制アーム8が窓2に同行して所定の開放位置まで揺動した状態においては、ストッパー部26の接当面27をベース6の側に設けた受面14で受止めて、窓2が所定の開放位置を越えて揺動するのを規制できるようにした。こうした開量制限装置によれば、従来のこの種の装置において不可欠であったストッパーピンを省略でき、さらに、ストッパーピンのかしめ加工と、切欠部を形成するための切欠き加工を省略できるので、その分だけ開量制限装置の構造の簡素化を実現して、装置全体の製造に要するコストを削減できる。また、接当面27を受面14で受止めた状態では、接当面27と受面14が面接触状に接触して、牽制アーム8に作用する外力を分散させることができるので、例えば窓2が急開放されるような場合に、ベース6に衝撃荷重が集中するのを解消して、開量制限装置の耐久性を向上できる。
【0019】
スライダー32および操作具33で切換え構造を構成し、操作具33の操作腕36と牽制アーム8に係合突起29と操作溝42を設ける開量制限装置において、係合突起29を牽制アーム8または操作腕36と一体に形成した。こうした開量制限装置によれば、ストッパーピンに加えて係合ピンも省略でき、さらに、これらのピンを固定するために牽制アーム8に施される皿加工やかしめ加工を省略できるので、開量制限装置の構造をさらに簡素化して、装置全体の製造に要するコストをさらに削減できる。
【0020】
ストッパーピンの代わりに、ストッパー部26の周縁に回転規制面28を形成した開量制限装置によれば、牽制アーム8が規制解除位置に切換え操作された状態において、回転規制面28をベース6の受面14と接当させて、牽制アーム8の揺動を規制できる。従って、ストッパーピンによる牽制アーム8の揺動規制作用と同等の機能を発揮しながら、部品点数を削減し低コスト化できる。
【0021】
牽制アーム8にプレス加工を施して係合突起29を形成した開量制限装置によれば、操作具33をベース6に組付ける際に、係合突起29が隙間Eに沿って操作腕36を弾性変形させながら板壁を乗越えて、係合突起29を操作溝42に落込み係合できる。つまり、従来の換気ステーの生産性を向上するうえで大きな障壁であった煩雑な組立工程を経ることなく、操作具33をベース6により簡便に組付けて、係合突起29を操作溝42に係合できる。また、係合突起29を操作溝42に係合した後は、操作腕36が自己の弾性で変形前の状態に戻るので、係合突起29が操作溝42から抜け外れることはない。従って、従来の換気ステーに比べて、開量制限装置の構造の簡素化と組立の容易化を同時に実現して、装置全体の製造に要するコストをさらに削減することができる。
【0022】
係合突起29は曲げ加工、半抜き加工、バーリング加工、絞り加工、切起し加工のいずれかひとつで形成でき、いずれの加工法であっても、係合ピンを独立した部品として形成する場合に比べて、低コストで係合突起29を形成できる。
【0023】
支軸7の周囲に位置する牽制アーム8の周縁に係合突起29を形成し、係合突起29を突端側から見て「く」字状に折曲げるようにした。このように、「く」字状に折曲げられて構造強度が増強された係合突起29によれば、係合突起29が操作腕36で上下にスライド操作されるとき、係合突起29が弾性変形するのを防止して、操作具33の上下スライド動作を牽制アーム8に確実に伝えることができる。従って、係合ピンをかしめ固定していた従来の換気ステーに比べて、構造の簡素化を実現しながら、牽制アーム8を開放規制位置と規制解除位置の間で確実に切換え操作できる。
【0024】
ベース6の装着座11に、操作腕36の連結壁41を支持する支持リブ13を形成した開量制限装置によれば、従来装置において使用されていたガイド片と、同片を締結するビスを省略できるので、開量制限装置の構造をさらに簡素化して、装置全体の製造に要するコストをさらに削減できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施例1)
図1ないし
図9は、本発明に係る開量制限装置の実施例1を示す。
図2において、符号1はアルミニウムサッシュで構成した窓枠、2は窓である。窓2は窓枠1に固定した複数対のヒンジ3で垂直軸回りに揺動開閉自在に支持してあり、窓2を閉じた状態では、図示していない錠で窓2を開放不能に固定保持できる。窓2を、閉じ位置から換気開放位置(所定の開放位置)と全開放位置へ開放するために、窓2の揺動先端側の窓縦枠と窓枠1の縦枠の隙間に開量制限装置を設けている。
【0027】
図3ないし
図5において開量制限装置は、窓枠1に締結固定されるベース6と、ベース6に固定した支軸7で窓枠1の内外方向へ揺動自在に支持した牽制アーム8と、窓2の窓縦枠に固定した連結ピン(アーム連結体)9と、牽制アーム8を開放規制位置と、規制解除位置にスライド切換え操作する切換え構造などで構成する。支軸7はステンレス製の丸軸状素材に切削加工を施して断面太鼓形に形成してある。
図7に示すように、ベース6は一側に断面C字状のガイド溝10を有し、その隣に平板状の装着座11を有するアルミニウム製の押出し条材からなり、装着座11の屋外側の端縁に側縁リブ12が設けてある。
図8に示すように、側縁リブ12に隣接する装着座11の上下中途部には、後述する連結壁41を支持するための支持リブ13が部分円弧状に切起し形成してあり、支持リブ13から離れた装着座11の上下2個所がビス5で窓枠1に固定してある。ガイド溝10を囲む周囲壁の上端面は、後述するストッパー部26の接当面27を受止める受面14として機能する。
【0028】
図6において牽制アーム8は、ステンレス板材にプレス加工を施した縦長のアームとして形成してあり、その上下中途部に折曲げ形成した凹部16と、凹部16より上半側の腕基部17と、凹部16より下半側の腕先部18を一体に備えている。腕基部17の上端寄りには、支軸7でスライド案内される縦長のスライド溝19が形成してあり、腕先部18には、連結ピン9と係合する連繋溝20が、凹部16に臨む下側の段壁から腕先部18の下端にわたって形成してある。連繋溝20の溝端に臨んで、換気開放時の連結ピン9を弾性的に係合捕捉するばね板21が固定してある(
図3参照)。スライド溝19の下端は丸穴状に形成してあり、他の部分は断面が太鼓形の支軸7の平坦面幅に対応する溝で形成してある。凹部16の室内側の側縁には、規制解除位置に切換えられた牽制アーム8が室外側へ揺動するのを規制するガード壁22が折曲げ形成してある。
【0029】
図5に示すように、腕基部17の上部において、スライド溝19に臨む上側アーム壁の室内側の周縁には、くちばし状のストッパー部26が形成され、その突端に斜めの接当面27が形成してある。また、接当面27の下端に連続して水平の回転規制面28が形成してある。さらに凹部16に連続する帯板状の壁の室内側の肩部に、後述する操作溝42と互いに係合した状態で相対揺動する係合突起29が折曲げ形成してある。係合突起29は操作溝42と係合して、操作具33で上下スライド操作されるが、操作具33のスライド力を受けて弾性変形するのを防ぐために、係合突起29は突端側から見て「く」字状に折曲げてある。このように、「く」字状に折曲げられて構造強度が増強された係合突起29によれば、操作具33の上下スライド力を牽制アーム8に確実に伝えて、牽制アーム8を開放規制位置と規制解除位置の間で確実に切換え操作できる。
【0030】
切換え構造は、ベース6のガイド溝10でスライド自在に案内されるスライダー32と、スライダー32をスライド操作する操作具33などで構成する。
図7に示すように、スライダー32はガイド溝10でスライド案内される断面が「工」字状のスライド枠部34と、ベース6および牽制アーム8の外面を覆うカバー壁35を一体に備えたプラスチック成型品からなる。スライド枠部34をガイド溝10に差し込み係合した状態において、スライド枠部34の締結座34aがガイド溝10の外に露出している。操作具33は、ステンレス薄板を階段状に折曲げた操作腕36と、操作腕36の室内側の端部に固定した切換えノブ37で構成してある。先の締結座34aと対向する操作腕36の中途部は、スライド枠部34、補強板38および操作腕36を貫通する上下一対のかしめピン39でかしめ固定されて締結座34aと一体化してあり、操作腕36の屋外側の端部に設けた連結壁41に、先の係合突起29と係合する操作溝42が部分円弧状に形成してある(
図1参照)。カバー壁35には、ビス5をねじ込み操作するためのドライバー穴43が開口してある(
図9(a)参照)。ドライバー穴43は、ビス5を締結したのちキャップで塞がれる。
【0031】
開量制限装置は、上記の各部品を1個のユニット部品として組んだ状態で出荷する。組立時には、まず、ばね板21を牽制アーム8にかしめ固定したのち、牽制アーム8のスライド溝19と、圧縮コイル形のテーパーばね45を支軸7に挿通した状態でベース6にかしめ固定して、牽制アーム8、テーパーばね45、ベース6の3者を一体化して第1組立体を組む(
図9(a)参照)。また、スライダー32と操作腕36をかしめピン39でかしめ固定して第2組立体を組む。次に、スライダー32をベース6のガイド溝10に下方から差込み係合して、第2組立体を第1組立体と一体化しユニット部品とする。このように操作具33をベース6に組付けた状態においては、操作腕36の連結壁41がベース6の支持リブ13で受止められており、ベース6の側縁リブ12と操作腕36の連結壁41の側縁が隙間Eを介して対向している(
図9(c)参照)。
【0032】
第2組立体を第1組立体と一体化する際には、スライド枠部34をベース6のガイド溝10に下方から差込み係合して、スライダー32を押上げ操作する。このとき、牽制アーム8を換気開放位置まで揺動操作してスライダー32を押上げると、
図9(c)に示すように連結壁41の上縁が牽制アーム8に設けた係合突起29に接当する。この状態の係合突起29は牽制アーム8が換気開放位置へ揺動しているため、水平方向の厚みが最小になった状態で先の隙間Eの上端に臨んでいる。そのため、スライダー32を引き続き押上げ操作すると、係合突起29が連結壁41の上隅を弾性変形させながら同壁41の板壁に乗り上がり、
図9(d)に示すように操作溝42より上側の腕壁44を装着座11側へ弾性変形させながら腕壁44を乗り越えて、
図9(e)に示すように操作溝42に落込み係合する。係合突起29が操作溝42に落込み係合した後は、操作溝42より上側の腕壁44が自己の弾性で弾性変形前の姿勢に復帰するので、係合突起29が操作溝42から抜け外れるのを防止できる。
【0033】
上記の状態で、
図4に示すように牽制アーム8を換気開放位置から閉じ位置まで復帰揺動させると、係合突起29が操作溝42の室内側の端部に臨む状態になる。最後に、切換えノブ37を操作腕36にビスで締結して開量制限装置を完成する。なお、開量制限装置を施工する場合には、窓2に連結ピン9を固定し、ベース6を窓枠1にビス5で締結するだけでよく、より少ない手間で開量制限装置を施工できる。
【0034】
窓2を閉じた状態においては、切換えノブ37を上下スライド操作して、牽制アーム8を上方の開放規制位置と下方の規制解除位置の間でスライド切換えできる。
図5に示すように、牽制アーム8を開放規制位置に切換えた状態では、連繋溝20が連結ピン9と係合するので、窓2を開放操作すると、牽制アーム8が窓2に同行して屋外側へ揺動し、連結ピン9が連繋溝20の溝端に接当した状態で、窓2がそれ以上開放操作されるのを規制できる。この換気開放位置においては、
図1に示すように、ストッパー部26の接当面27がベース6の受面14で面接触状に受止められる。そのため、窓2が閉じ位置から急激に開放操作されるような場合でも、受面14や接当面27が変形するのを解消できる。従って、ベース6に衝撃荷重が集中するのを解消して、開量制限装置の耐久性を向上できるうえ、換気開放位置における窓2の開放角度のばらつきを抑止できる。
【0035】
牽制アーム8が開放規制位置に切換えられた状態においては、
図8に示すように操作腕36の連結壁41がベース6に形成した支持リブ13で受止められるので、操作具33による牽制アーム8のスライド切換えを円滑に行える。因みに、窓2が換気開放位置まで開放操作された状態においては、ストッパー部26の接当面27をベース6の受面14で受止めて、窓2が換気開放位置を越えて開放されるのを規制するので、係合突起29をベース6の側縁リブ12で受止める必要がない。従って、換気開放位置において窓2が突風を受けて開放方向の力を受けた場合でも、係合突起29が側縁リブ12に強圧されることはなく、係合突起29および側縁リブ12に大きな外力が作用することはない。
【0036】
窓2を換気開放位置から閉じ操作すると、牽制アーム8が窓2に同行して屋内側へ揺動し、開放前の状態に戻る。この状態で、
図4に示すように切換えノブ37を押下げ操作すると、牽制アーム8が規制解除位置へスライドして、スライド溝19の上端が支軸7で支持された状態になり、回転規制面28が受面14の外隅部分に接当する。そのため、規制解除位置において、牽制アーム8が屋外側へ揺動するのを規制できる。因みに、断面が太鼓形に形成された支軸7は、対向する平坦面でスライド溝19をスライド案内しているが、平坦面とスライド溝19の余裕隙間の範囲内で内外に揺動する余地があり、従って、規制解除位置においては、回転規制面28が受面14に接当して牽制アーム8の屋外側への揺動を規制している。牽制アーム8を規制解除位置へ切換えた状態では、連繋溝20が連結ピン9から分離する。そのため、窓2は閉じ位置から全開放位置へ開放操作できる。
【0037】
以上のように構成した開量制限装置によれば、従来装置において不可欠であった、係合ピンおよびストッパーピンを省略でき、さらに、ガイド片と同片を締結するためのビスを省略できる。また、係合ピンおよびストッパーピンのかしめ加工と、切欠部を形成するための切欠き加工を省略できる。加えて、第2組立体の第1組立体に対する組立を、より少ない手間で簡便に行える。従って、上記の開量制限装置によれば、全体装置の構造の簡素化と組立の容易化とを同時に実現して、装置全体の製造に要するコストを削減できる。さらに、窓2が閉じ位置から急激に開放操作されるような場合でも、ストッパー部26の接当面27をベース6の受面14で面接触状に受止めて、受面14が変形するのを解消できるので、ベース6に衝撃荷重が集中するのを解消して、開量制限装置の耐久性を向上できる。
【0038】
上記の実施例では、係合突起29が曲げ加工で形成してある場合について説明したがその必要はなく、係合突起29は曲げ加工以外に、半抜き加工、バーリング加工、絞り加工、切起し加工のいずれかひとつで形成してあってもよい。詳しくは、
図10(a)に示すように、牽制アーム8のアーム壁に半抜き加工を施して円形突起状の係合突起29を形成し、あるいは、
図10(b)に示すように、牽制アーム8のアーム壁にバーリング加工を施して丸筒状の係合突起29を形成することができる。
【0039】
また、
図11(a)に示すように、牽制アーム8のアーム壁に切起こし加工を施してL字状の係合突起29を形成し、あるいは
図11(b)に示すように、牽制アーム8のアーム壁に切起こし加工を施して台形状の係合突起29を形成することができる。
【0040】
さらに、
図12(a)に示すように、牽制アーム8のアーム壁に絞り加工や曲げ加工を施して樋体状の係合突起29を形成し、あるいは、
図12(b)に示すように牽制アーム8のアーム壁に絞り加工を施して湾曲する樋体状の係合突起29を形成し、あるいは、
図12(c)に示すように、牽制アーム8のアーム壁に絞り加工を施して三角リブ状の係合突起29を形成することができる。以上の変形例から理解できるように、係合突起29は牽制アーム8のアーム壁と一体に形成してある限り、その形状や構造は自由に選定できる。なお、
図12においては係合突起29が内外方向へ連続する突起として形成するので、ベース6の側縁リブ12に切欠を形成して、係合突起29が切欠から内外へ出入りできるようにするとよい。
【0041】
受面14と接当面27の接当構造は、
図13ないし
図16に示すように変更することができる。
図13においては、ストッパー部26の先端をL字状に折曲げて接当面27を形成し、受面14と接当面27の接触面積を大きくして、受面14に作用する衝撃荷重を分散させ、ベース6の耐久性を向上できるようにした。
【0042】
図14においては、ガイド溝10の溝底壁を溝上端側へ折曲げて受面14を形成し、受面14と接当面27の接触面積を大きくして、受面14に作用する衝撃荷重を分散させ、ベース6の耐久性を向上できるようにした。
【0043】
図15においては、ガイド溝10を囲む周囲壁の上端面と、スライド枠部34の上端面で受面14を構成して、ストッパー部26の接当面27を受け止めるようにした。この場合には、上記の接当構造と同様に、受面14と接当面27の接触面積を大きくして、受面14に作用する衝撃荷重を分散させることができる。
【0044】
図16(a)においては、ストッパー部26の接当面27を、ガイド溝10を囲む周囲壁の上端面と、スライド枠部34の上端面と、補強板38の上端面にわたって設けた受面14で受け止めるようにした。この場合には、上記の接当構造と同様に、受面14と接当面27の接触面積を大きくして、受面14に作用する衝撃荷重を分散させることができる。
図16(b)においては、ストッパー部26の接当面27を、ガイド溝10を囲む周囲壁の上端面と、補強板38の上端に折曲げ形成した受壁38aにわたって設けた受面14で受け止めるようにした。この場合には、上記の接当構造と同様に、受面14と接当面27の接触面積を大きくして、受面14に作用する衝撃荷重を分散させることができる。また、スライド枠部34の上端面の中央部分を受壁38aで覆って、スライド枠部34を保護できる利点もある。以上の実施例から理解できるように、受面14はベース6にのみ設けてあってもよく、ベース6とスライダー32の両者にわたって設けてあってもよい。
【0045】
本発明に係る開量制限装置は、揺動窓以外に突出し窓、内倒し窓、縦回転窓、横回転窓等の窓にも支障なく適用することができる。上記の実施例では、牽制アーム8に係合突起29を形成し、操作腕36の連結壁41に操作溝42を形成したが、牽制アーム8に操作溝42を形成し、操作腕36の連結壁41に係合突起29が形成してあってもよい。上記の実施例とは逆に、窓2にベース6および牽制アーム8を配置し、窓枠1にアーム連結体9が配置してあってもよい。必要があれば、ストッパー部26にゴム製のキャップを装着して、窓2が風に煽られて急開放するときの衝撃をキャップで吸収することができる。ヘ支軸7は、ステンレス製の丸軸状素材にヘッダー加工を施して断面が正方形状、あるいは長方形状に形成してあってもよい。