(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記マークは、前記第2の面に形成された所定形状のアルミ層の少なくとも一部と、前記アルミ層の上に形成されたロゴマークとを含む、請求項1に記載のトレーディングカード。
前記電子部品において、前記アンテナは、他の部品に比較して、前記第2の面により近い位置に配置される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトレーディングカード。
前記光沢加工として、前記キャラクタが表記されている面上に形成された樹脂材料に対する部分的または全体的な加工が施される、請求項8に記載のトレーディングカード。
前記主部に表記されているキャラクタに対応付けられたデータは、前記キャラクタを特定するための識別情報を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載のトレーディングカード。
前記主部に表記されているキャラクタに対応付けられたデータは、前記キャラクタが利用可能なアプリケーションまたは前記キャラクタが利用可能なアプリケーションのシリーズを示す識別情報を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載のトレーディングカード。
前記記憶部は、さらなるデータの書き込みが制約されている第一記憶領域と、前記制約が設けられていない第二記憶領域とを含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載のトレーディングカード。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に電子商取引で使用されるカード(単一種)とは異なる意味のカードとして、トレーディングカード(trading card/collectable card)がある。トレーディングカードは、さまざまに異なる絵柄が描かれたカードであって、収集したり交換したりすることが目的とされる。つまり、トレーディングカードは、その表面に描かれた絵柄の交換または収集を意図して、製造販売されるカードである。
【0005】
従来のトレーディングカードは、主として観賞用であり、その表面に描かれた絵柄そのものに重点が置かれていた。これに対して、本発明は、トレーディングカードに新たな観点からの付加価値(趣向性等)を与えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施の形態に従うトレーディングカードは、板状の紙の層からなる主部と、主部に内包された非接触通信を行なうための電子部品とを含む。電子部品は、非接触通信に係る無線信号を送受信するためのアンテナと、主部に表記されているキャラクタに対応付けられたデータを格納し、さらなるデータの書き込みが制約されている第一記憶領域と、制約が設けられていない第二記憶領域とを含む記憶部と、非接触通信によって外部装置から受信したデータを第二記憶領域に書き込む回路とを含む。主部の一方面には、複数のキャラクタのうちいずれかのキャラクタと、キャラクタに関連付けられる情報と、遊びのための情報とが表記されている。主部の他方面には、アンテナの配置された位置に、アンテナの位置を示すマークが表記されている。キャラクタに対応付けられたデータは、キャラクタを特定するための識別情報と、キャラクタが利用可能なアプリケーションまたはキャラクタが利用可能なアプリケーションのシリーズを示す識別情報とを含む。
【0007】
別の実施の形態に従うトレーディングカードは、少なくとも一方面に、複数のキャラクタのうちいずれかのキャラクタが表記されている主部と、主部に内包された非接触通信を行なうための電子部品とを含む。電子部品は、主部に表記されているキャラクタに対応付けられたデータを格納する記憶部と、非接触通信によって外部装置から受信したデータを記憶部に書き込む回路とを含む。
【0008】
キャラクタとともに、キャラクタを特定するための識別情報が表記されていてもよい。
キャラクタとともに、誤認識検知用の情報が表現されてもよい。
【0009】
キャラクタとともに、遊びのための情報が表記されてもよい。
主部に表記されているキャラクタに対応付けられたデータは、キャラクタを特定するための識別情報を含んでもよい。
【0010】
主部に表記されているキャラクタに対応付けられたデータは、キャラクタが利用可能なアプリケーションまたはキャラクタが利用可能なアプリケーションのシリーズを示す識別情報を含んでもよい。
【0011】
電子部品は、電子部品に固有の識別情報を含でもよい。
記憶部は、さらなるデータの書き込みが制約されている第一記憶領域と、制約が設けられていない第二記憶領域とを含んでもよい。
【0012】
第一記憶領域は、データの書き込みが制約されているが、データの読み出しが可能な読出専用領域であってもよく、前記第二記憶領域は、データの書き込みおよび読み出しが可能な書込可能領域でもよい。
【0013】
第一記憶領域にはキャラクタIDが保存されてもよい。
電子部品は、非接触通信に係る無線信号を送受信するためのアンテナをさらに含んでもよく、主部のキャラクタが表記されている面とは異なる面上であって、アンテナの配置された位置に、アンテナの位置を示すマークが表記されていてもよい。
【0014】
マークは、主部のキャラクタが表記されている面とは異なる面に形成された所定形状のアルミ層の少なくとも一部と、アルミ層の上に形成されたロゴマークとを含んでいてもよい。
【0015】
アンテナは、主部の主面の中央部からずれた位置に配置されてもよい。
アンテナの全体がトレーディングカードの長手方向中心線よりも上方または下方にあってもよい。
【0016】
主部の少なくとも一部は、紙の層で構成されてもよい。
キャラクタが表記されている面上には、光沢加工が施されてもよい。
【0017】
光沢加工として、キャラクタが表記されている面上に形成された樹脂材料に対する部分的または全体的な加工が施されていてもよい。
【0018】
別の実施の形態に従うトレーディングカードセットは、上述のいずれかに記載のトレーディングカードを複数含む。複数のトレーディングカードの各々には、少なくとも一部が互いに異なるキャラクタが表記されてもよい。
【0019】
別の実施の形態に従うトレーディングカードセットは、上述のいずれかのトレーディングカードの少なくとも1つと、少なくとも1つのトレーディングカードをその内部に収納する袋部と、非接触通信に係る電磁波を低減し、袋部の内部に収納されたトレーディングカードに内包された電子部品による非接触通信が行なわれることを妨げるシールド手段とを含でいてもよい。
【0020】
シールド手段は、少なくとも2枚はトレーディングカードの主面の垂直方向に沿って並べて配置され、その表面に導電性部材が設けられた板状部材を含んでいてもよい。
【0021】
シールド手段は、トレーディングカードとともに袋部の内部に収納され、金属層を有するカードであってもよい。
【0022】
シールド手段は、袋部の内面に設けられた金属層であってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本実施の形態は、トレーディングカードに新たな観点からの付加価値を与えることができるとともに、トレーディングカードの趣向性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0026】
[A.トレーディングカードのおもて面]
まず、本実施の形態に従うトレーディングカードについて説明する。
図1は、本実施の形態に従うトレーディングカードの一例を示す模式図である。
図1には、3つのトレーディングカード100A,100B,100C(以下、「トレーディングカード100」とも総称する。)のおもて面を模式的に示す。本明細書においては、説明の便宜上、主たる絵柄が描かれている面を「おもて面」とし、「おもて面」の反対側の面を「うら面」と称す。
【0027】
トレーディングカード100は、少なくとも一方面に、複数のキャラクタのうちいずれかのキャラクタが表記されている板状の主部を含む。より具体的には、トレーディングカード100Aでは、おもて面に相当する第1表面部材101A上に、キャラクタ102Aが描かれている。トレーディングカード100Bでは、おもて面に相当する第1表面部材101B上に、キャラクタ102Bが描かれている。トレーディングカード100Cでは、おもて面に相当する第1表面部材101C上に、キャラクタ102Cが描かれている。すなわち、本実施の形態に従うトレーディングカード100では、その価値を生じる絵柄として、キャラクタ102A〜102C(以下、「キャラクタ102」とも総称する。)が表記されている。キャラクタ102A,102B,102Cにそれぞれ対応させて、キャラクタ102A,102B,102Cのキャラクタ名104A,104B,104Cも描かれている。
【0028】
実際には、
図1に例示される3つのキャラクタだけではなく、より多くのキャラクタが用意されている。そして、複数のキャラクタのそれぞれに対して予め設定された出現確率(発生割合)に従って印刷されて、トレーディングカード100として製造される。ここで、それぞれのキャラクタに予め設定される出現確率は、互いに同一ではなく、各キャラクタに設定される個性(性格、特徴、ストーリー上の位置付けなど)などを考慮して、それぞれ設定される。例えば、複数のキャラクタのうち、特定のキャラクタについては、トレーディングカード100への出現確率を他のキャラクタに比較して大幅に低くするようなことも可能である。このように出現確率が低い、すなわち製造数が少ないキャラクタが描かれたトレーディングカード100は、「プレミアムカード」、「レアカード」、「お宝カード」などと称されて、他のトレーディングカード100に比較してより高い価格で取引されることもある。
【0029】
例えば、
図1に示されるトレーディングカード100A〜100Cのうち、トレーディングカード100Cに描かれるキャラクタ102Cの出現確率が低いとする。すなわち、トレーディングカード100Cは、プレミアムカードであり、このようなプレミアムカードに対しては、その表面がキラキラするような加工(光沢加工120)が施してある。このような光沢加工120をその表面に施すことによって、トレーディングカード100を手にするユーザに対して、「プレミアム」感を与えることができる。
【0030】
このような光沢加工120は、各種の方法を用いて実現すればよく、本実施の形態においては、第1表面部材101上にニスを塗布するとともに、一部のニスの厚みを薄くし、部分的に屈折率を異ならせることで、キラキラ感を実現するラメ加工を採用する。すなわち、複数のキャラクタ102のうち特定のキャラクタ102が表記されている第1表面部材101では、キャラクタ102が表記されている面上に形成された樹脂材料に対する部分的または全体的な加工が施されることによって、反射率が異ならせてあり、これによって、光沢加工120を実現する。但し、このような光沢加工の別の方法として、(非接触通信が阻害されない範囲において、)微小な金属片等の反射材を第1表面部材101上に塗布し、光を乱反射させて光沢(キラキラ感)を実現したり、また、いわゆるホログラム印刷を第1表面部材101上に施したりする方法も考えられる。これらの光沢加工により、いわゆるプレミア感(希少性)をユーザに与えることや観賞性を高めることができ、ユーザ間でのカードの交換・収集を促すことができる。
【0031】
さらに、トレーディングカード100のおもて面には、キャラクタ102に加えて、キャラクタ番号106A〜106Cと、サイコロ絵柄108A〜108Cと、ジャンケン絵柄110A〜110Cとが描かれている。さらに、トレーディングカード100のおもて面の下部には、キャラクタ特定情報112A〜112Cも描かれている。
【0032】
キャラクタ番号106A〜106Cおよびキャラクタ特定情報112A〜112Cは、対応するキャラクタ102A〜102Cをそれぞれ特定するための情報である。逆に言えば、キャラクタ番号106A〜106Cまたはキャラクタ特定情報112A〜112Cの番号を指定すれば、対応するキャラクタ102を一意に特定できる。すなわち、トレーディングカード100のおもて面には、キャラクタ102とともに、キャラクタ102に関連付けられる情報(キャラクタ番号106A〜106Cおよびキャラクタ特定情報112A〜112C)が表記されている。すなわち、トレーディングカード100のおもて面には、キャラクタ102とともに、キャラクタ102を特定するための識別情報が表記されている。あるいは、トレーディングカード100のおもて面には、キャラクタ102とともに、誤認識検知用の情報が表現されている。キャラクタ特定情報112A〜112Cのより詳細な内容および用途については、後述する。
【0033】
一方、サイコロ絵柄108A〜108Cは、複数のトレーディングカード100を用いて、複数人で何らかのゲームを行なうといった用途に用いることができる。また、ジャンケン絵柄110A〜110Cについても同様に、複数のトレーディングカード100を用いて、複数人でジャンケンを行なうといった用途に用いることができる。すなわち、トレーディングカード100のおもて面には、キャラクタ102とともに、遊びのための情報(サイコロ絵柄108A〜108Cおよびジャンケン絵柄110A〜110C)が表記されている。
【0034】
このような遊びのための情報としては、各キャラクタ102の体力ゲージ値や攻撃/防御力値などを用いてもよい。
【0035】
[B.非接触通信機能]
本実施の形態に従うトレーディングカード100は、非接触通信機能が実装されている。この非接触通信機能により、トレーディングカード100に新たな観点からの付加価値が与えられる。本実施の形態においては、非接触通信の一例として、トレーディングカード100とNFCリーダライタとの間でいわゆるNFC(Near field communication)規格に基づく通信が行なわれる場合を例として説明する。本明細書において、非接触通信とは、一例としてNFCリーダライタにある一方の装置からの電波(例えば、電磁誘導)によって、トレーディングカード100側にある他方の装置に起電力を発生させる通信方式を指す。トレーディングカード100側にある装置は、発生した起電力によって動作することが可能である(基本的には、電源を有していないが、電源を有する場合も想定し得る)。
【0036】
非接触通信においては、トレーディングカード100とNFCリーダライタとが接近した場合(典型的には両者の距離が数センチ以下または数十センチ以下となった場合)に通信可能となる。また、非接触通信では、両者間の通信が確立している間(NFCリーダライタに何らかのトレーディングカード100が接近している間)は電波が送出され続ける。なお、一例として電波によって通信する方式について説明したが特にこれに限られず光でもよいし、他の媒体を用いた通信でもよくその方式については何ら限定しない。
【0037】
この非接触通信を行なうための構成は、トレーディングカード100の内部に配置されている。すなわち、非接触通信を行なうための電子部品は、トレーディングカード100の主部に内包されている。
【0038】
非接触通信を実装することで、トレーディングカード100をNFCリーダライタにかざすことで、トレーディングカード100に格納されている情報を読み出すことができるとともに、トレーディングカード100に格納されている情報を更新する(あるいは、新たな情報を書き込む)ことができる。
【0039】
より具体的には、トレーディングカード100の内部には、主部に表記されているキャラクタ102に対応付けられたデータを格納する記憶部と、非接触通信によって外部装置から受信したデータを記憶部に書き込む回路とを含む。一実装例として、記憶部および書き込む回路を含む電子部品は、RFID(Radio Frequency IDentification)インレイの形で、トレーディングカード100の内部に配置される。以下、電子部品の構成について、トレーディングカード100のうら面と関連付けて説明する。
【0040】
[C.トレーディングカードのうら面]
図2は、本実施の形態に従うトレーディングカード100のうら面の構成例を示す模式図である。
図2を参照して、トレーディングカード100のうら面に相当する第2表面部材103上に、非接触通信に用いられるアンテナの位置を示す提示絵柄130が描かれる。すなわち、キャラクタ102が表記されている面(おもて面)とは異なる面(うら面)上であって、アンテナの配置された位置に、アンテナの位置を示すマーク(提示絵柄130)が表記されている。当該マークの存在により、ユーザは、非接触通信を行なうためにトレーディングカード100のどの部分をNFCリーダライタに近接させるべきか、一目で理解することができるようになり、カードを用いて非接触通信を行なう際の利便性が向上する。また、キャラクタ102が表記されている面とは異なる面に当該マークを付すことにより、描かれたキャラクタのデザイン性を損なうことなく、アンテナの位置を確認することができるようになる(ひいては、趣向性も向上する。)。
【0041】
なお、
図2には、トレーディングカード100のおもて面に描かれるキャラクタ102に依存することなく、うら面のデザインが共通化された例を示すがこれに限られない。すなわち、うら面にも、それぞれ異なった絵柄やデザインを施してもよく、例えば、おもて面に描かれているキャラクタ102に関連付けた絵柄やデザインを施してもよい。
【0042】
より具体的には、提示絵柄130は、アルミ層132と、アルミ層132上に形成された印刷層134とからなる。
【0043】
図3は、
図2に示すA−A線に対応するトレーディングカード100の断面図を示す模式図である。
図3に示される各層の厚みは、必ずしも実際の値に対応するものではなく、説明の便宜上、実際の厚みより厚くなるようにあるいは薄くなるように描画されている。一例として、トレーディングカード100全体の厚みは、0.3mm〜1.0mm程度に設計される。
【0044】
図3を参照して、トレーディングカード100は、主部として、おもて面に対応する第1表面部材101と、うら面に対応する第2表面部材103とを含む。つまり、トレーディングカード100の主部は、実質的に、第1表面部材101および第2表面部材103に相当する。第1表面部材101および第2表面部材103は、その表面に対して各種のデザインを施すために、印刷用紙を用いることができる。すなわち、トレーディングカード100の主部の少なくとも一部は、紙の層で構成される。
【0045】
第1表面部材101と第2表面部材103との間には、RFIDインレイ140が配置される。RFIDインレイ140は、非接触通信に必要な回路およびアンテナを一体化した電子部品である。より具体的には、RFIDインレイ140は、主として、緩衝用フィルム142と、アンテナ144と、ICチップ146とを含む。
【0046】
緩衝用フィルム142は、耐荷重に応じた樹脂が用いられるが、例えば、PET(polyethylene terephthalate)樹脂を用いてもよい。アンテナ144は、非接触通信に係る無線信号を送受信する。より具体的には、アンテナ144は、緩衝用フィルム142の面に沿って多数回に亘って巻かれた導線からなり、ICチップ146と電気的に接続される。ICチップ146は、後述するように、主として、アンテナ144を介した電波(コマンドを含む)の受信、およびアンテナ144からの電波(コマンドレスポンスを含む)の送信を行なう送受信回路と、制御回路とを含む。
【0047】
うら面には、アンテナ144が配置される位置に対応付けて、提示絵柄130が設けられる。
図2には、略正方形の提示絵柄130を示すが、任意の形状を採用できる。例えば、提示絵柄130を円形、五角形、六角形、八角形などの形状に構成してもよい。上述したように、提示絵柄130は、アルミ層132と、アルミ層132上に形成された印刷層134とからなる。アルミ層132については、典型的には、アルミ蒸着によって形成され、印刷層134については、アルミ蒸着後に印刷(インクの塗布)によって形成される。印刷層134に描かれるマークとしては、トレーディングカード100を象徴する、あるいは、トレーディングカード100を製造または販売する者を象徴するマークである、ロゴマークを用いることもできる。
【0048】
このように、アンテナ144の位置を示すマークは、キャラクタ102が表記されている面(おもて面)とは異なる面(うら面)に形成された所定形状のアルミ層132の一部と、アルミ層132の上に形成されたロゴマーク(印刷層134に描かれるマークの一部)とを含む。
【0049】
なお、
図3には、ICチップ146がおもて面側に配置され、アンテナ144がうら面側に配置される構成例を示すが、ICチップ146とアンテナ144との位置関係は逆であってもよい。(すなわち、うら面側から見てICチップ146、アンテナ144、緩衝用フィルム142の順で配置されてもよい。なお、その場合には、おもて面の内側面上に緩衝用フィルム142が配置されることになる。)。但し、後述するように、トレーディングカード100のおもて面に描かれたキャラクタ102を見せつつ、NFCリーダライタとの間で通信を行なうような使用形態では、アンテナ144に入射する電波強度を確保するために、アンテナ144はうら面により近くにあってもよい。
【0050】
また、
図3には、アンテナ144の略中心位置に対応付けてICチップ146が配置されている構成例を示すが、アンテナ144とICチップ146との面内での位置関係は、適宜設計できる。すなわち、アンテナ144に対して、ICチップ146を偏心させた位置に配置してもよい。
【0051】
さらに、RFIDインレイ140自体も任意の位置に配置できる。
図4は、本実施の形態に従うトレーディングカード100におけるRFIDインレイ140の配置例を示す模式図である。
【0052】
図4(A)には、アンテナ144およびICチップ146を含むRFIDインレイ140をトレーディングカード100の略中央部に配置した例を示す。
図4(A)に示す配置例によれば、トレーディングカード100の略中央部にアンテナ144を含むRFIDインレイ140が配置されるので、ユーザがトレーディングカード100をNFCリーダライタにかざす際に、戸惑う可能性を低減できる。
【0053】
図4(B)には、アンテナ144およびICチップ146を含むRFIDインレイ140をトレーディングカード100の左右方向において中心であって、上下方向において端側(外側)に配置した例を示す。
図4(B)に示すように、RFIDインレイ140をトレーディングカード100の中央部からずらして配置することで、トレーディングカード100を折り曲げた場合(または、撓ませた場合)の、RFIDインレイ140に生じる変位(あるいは、応力)をより低減できる。そのため、RFIDインレイ140が、トレーディングカード100の変形に伴う、外力によって破損する可能性を低減できる。
【0054】
図4(C)には、アンテナ144およびICチップ146を含むRFIDインレイ140をトレーディングカード100の左右方向および上下方向のいずれにおいても端側(外側)に配置した例を示す。
図4(C)に示す配置例では、
図4(B)に示す配置例に比較して、トレーディングカード100の変形に伴ってRFIDインレイ140に生じる外力の大きさを低減できる。そのため、よりRFIDインレイ140が外力によって破損する可能性を低減できる。
【0055】
図4(B)および
図4(C)に示すように、RFIDインレイ140(アンテナ144およびICチップ146)の破損の可能性を低減する観点からは、トレーディングカード100の主面の中央部からずれた位置に配置することもあり得る。例えば、アンテナ144の全体がトレーディングカード100の長手方向中心線よりも上方または下方にあってもよい。
【0056】
[D.使用形態の一例]
次に、本実施の形態に従うトレーディングカード100の使用形態の一例について説明する。
図5は、本実施の形態に従うトレーディングカード100の使用形態の一例を示す模式図である。
【0057】
図5には、携帯型ゲーム装置1をNFCリーダライタとして使用する例を示す。携帯型ゲーム装置1は、2画面を有する折り畳み可能な構成を採用しており、下側のディスプレイ2に非接触通信に用いる電波を送受信するためのアンテナが内蔵されているとする。典型的には、ユーザは、片方の手で携帯型ゲーム装置1を把持しつつ、もう一方の手でトレーディングカード100を下側のディスプレイ2にかざすことで、トレーディングカード100と携帯型ゲーム装置1との間で情報の遣り取りが行なわれる。トレーディングカード100から読み出されたデータを用いて、携帯型ゲーム装置1でのゲーム進行を行なったり、携帯型ゲーム装置1でのゲーム進行に応じて、またはその結果などをトレーディングカード100に書き込んだりすることができる。
【0058】
トレーディングカード100から読み出されたデータは、どのように利用されてもよく、かつ、トレーディングカード100へ書き込むデータは、どのように取得または生成されてもよい。すなわち、トレーディングカード100との間で遣り取りされるデータは、携帯型ゲーム装置1で実行される任意の情報処理と関連付けることが可能である。
【0059】
図5には、説明の便宜上、携帯型ゲーム装置1をNFCリーダライタとして用いる構成について例示したが、非接触通信(NFC)が可能な装置であれば、どのような装置を用いてトレーディングカード100との間でデータを遣り取りしてもよい。
【0060】
[E.回路構成]
次に、トレーディングカード100の主部(第1表面部材101および第2表面部材103)に内包されているRFIDインレイ140の回路構成について説明する。
【0061】
図6は、本実施の形態に従うトレーディングカード100に内包されたRFIDインレイ140の回路構成を示す模式図である。
図6を参照して、電子部品であるRFIDインレイ140は、非接触通信に係る無線信号を送受信するためのアンテナ144と、アンテナ144と電気的に接続されているICチップ146とを含む。ICチップ146は、送受信回路147と、送受信回路147と電気的に接続されている制御回路148とを含む。制御回路148は、記憶部149を含む。記憶部149は、トレーディングカード100の主部に表記されているキャラクタ102に対応付けられたデータを格納する。制御回路148は、非接触通信によって外部装置から受信したデータを記憶部149に書き込む回路を含む。
【0062】
図7は、
図6に示す制御回路148に内蔵される記憶部149のデータ構造の一例を示す模式図である。
図7を参照して、記憶部149は、共有領域149Aと、書込可能領域149Bとを含む。共有領域149Aは、さらなるデータの書き込みが制約されている記憶領域であり、書込可能領域149Bは、当該制約が設けられていない記憶領域である。例えば、共有領域149Aはデータが読み出されるためだけの領域(読出専用領域)であってデータの書き込み(データの上書き)が不可となる制約が設定されており、書込可能領域149Bでは当該制約が設定されておらず、データの書き込みを行なうことができる。但し、書込可能領域であっても、データの書き込みを行なう前に、書き込まれるデータのフォーマットの適否のチェックや、書き込まれるデータ群の書き込み順が正しいかどうかのチェックといった簡易な確認程度は行われ得る。
【0063】
共有領域149Aには、キャラクタ102に対応付けられたデータである、キャラクタIDおよびシリーズIDを含む。すなわち、共有領域149AにはキャラクタIDが保存されている。
【0064】
キャラクタIDは、各トレーディングカード100に描かれているキャラクタ102を特定するための識別情報である。キャラクタIDは、特定のアプリケーション(例えば、ゲームアプリケーション等)において、キャラクタ102をユニークに特定できるように設定される。この場合には、各アプリケーションには、キャラクタIDとキャラクタ102との対応関係を含んでいる。いずれのアプリケーションの実行中、トレーディングカード100から何らかのキャラクタIDが読み出されると、予め保持している対応関係を参照して、キャラクタIDに対応するキャラクタの情報(キャラクタ画像など)を決定する。なお、カードに描かれているのが同一のキャラクタであっても、ポーズや外観等の差異により、別々のキャラクタIDを各カードに設定しておき、対応するキャラクタ画像などについてもそれぞれ異なるものを決定することもあり得る。
【0065】
あるいは、複数のアプリケーションの間において、キャラクタ102をユニークに特定できるように設定されるようにしてもよい。この場合には、複数のアプリケーション間で、キャラクタIDとキャラクタ102との対応関係を共通に保持するようにしておいてもよい。あるいは、ネットワークを利用できる場合には、それぞれのアプリケーションが共通に利用できるサーバにアクセスして、トレーディングカード100から読み出されたキャラクタIDに対応するキャラクタの情報(キャラクタ画像など)を決定する。
【0066】
シリーズIDは、各トレーディングカード100に描かれているキャラクタ102を利用可能なアプリケーションまたは利用可能なアプリケーションのシリーズを示す識別情報の一例である。より具体的には、シリーズIDは、各トレーディングカード100に描かれているキャラクタ102が利用可能な1または複数のアプリケーションを特定する識別情報である。利用可能なアプリケーションが1つである場合には、シリーズIDは、実質的に、1つのアプリケーションを特定することになる。これに対して、利用可能なアプリケーションが複数である場合には、シリーズIDは、利用可能なアプリケーションのシリーズを特定することになる。
【0067】
キャラクタIDおよびシリーズIDは、NFCリーダライタ(本実施の形態においては、携帯型ゲーム装置1)からの通常のコマンドでは、書き込みまたは更新ができないようにプロテクトまたは暗号化されている。すなわち、各トレーディングカード100に描かれているキャラクタ102との対応関係が維持されるように、さらなるデータの書き込みまたは更新が制約されている。
【0068】
これに対して、書込可能領域149Bは、トレーディングカード100に描かれたキャラクタ102を用いたアプリケーションが書き込みや更新ができる領域である。書込可能領域149Bには、アプリケーションによる処理により生成されるデータなどが適宜書き込まれる。なお、複数のアプリケーションが書込可能領域149Bに対してデータを書き込むと、データの混在による不具合が生じる可能性もあるので、ユーザが特定の操作によって指定した単一のアプリケーションのみが書込可能領域149Bに対してアクセスできるようにしてもよい。書込可能領域149Bに対してアクセス可能なアプリケーションは、事後的に変更することもできる。
【0069】
さらに、制御回路148は、RFIDインレイ(あるいは、ICチップ146)に対してユニークに割り当てられる。再度
図6を参照して、制御回路148は、シリアル番号148aを内部に格納しており、NFCリーダライタなどからの指令に応答して、その格納しているシリアル番号148aの値を応答する。すなわち、電子部品であるRFIDインレイ140は、RFIDインレイ140に固有の識別情報を含む。このような識別情報は各種の認証処理に用いることができる。
【0070】
[F.トレーディングカードセットおよび不正な読み取りを防止する機能]
次に、上述したような、本実施の形態に従うトレーディングカード100の販売形態について説明する。通常、トレーディングカードは、1または複数枚を1つのパッケージに入れて、その表面に描かれた絵柄が見えない状態で販売される。一般的に、トレーディングカードは、その絵柄によって価値が決まるため、購入者は、自分の購入したパッケージにどのような絵柄が描かれたトレーディングカードが入っているのを楽しみにすることができる。
【0071】
本実施の形態に従うトレーディングカード100を販売する際には、同一パッケージ内でキャラクタ102の重複がないように複数のトレーディングカード100が選択される。すなわち、本実施の形態に従うトレーディングカードセット(販売時点の状態)は、複数のトレーディングカード100を含んでおり、複数のトレーディングカード100の各々には、少なくとも2枚は互いに異なるキャラクタ102が表記されている。
【0072】
上述したように、本実施の形態に従うトレーディングカード100は、非接触通信機能が実装されており、パッケージに入れて販売されている状態であっても、何らかのNFCリーダライタで格納されている情報を読み出すことができれば、中に入っているトレーディングカード100のキャラクタを特定できてしまう。また、パッケージに入れて販売されている状態で情報が読み出されてしまった場合、カードを購入しなくてもアプリケーション上で当該情報を利用して遊戯等ができてしまう。このような不正な読み取りを防止するために、パッケージの外部からその内部にあるトレーディングカード100に対する電波によるアクセスを遮断してもよい。
【0073】
すなわち、本実施の形態に従うトレーディングカードセットは、少なくとも1つのトレーディングカード100と、それらの少なくとも1つのトレーディングカード100をその内部に収納するパッケージ(袋部)とに加えて、パッケージ(袋部)の外部からの電磁波がパッケージ(袋部)の内部に収納されたトレーディングカード100へ到達することを妨げるシールド機能が付加される。すなわち、シールド機能は、非接触通信に係る電磁波を低減し、パッケージ(袋部)に収納されたトレーディングカード100に内包された電子部品による非接触通信が行なわれることを妨げる。以下、このようなシールド機能のいくつかの実装例について説明する。
【0074】
(f1:第1の実装例)
図8は、本実施の形態に従うトレーディングカード100に対する不正な読み取りを防止する機能の第1の実装例を示す模式図である。
図8を参照して、シールド機能の第1の実装例として、複数のトレーディングカード100の間に、導電性をもつカードを混ぜておく。すなわち、複数のトレーディングカード100(
図8に示す例では、3枚のトレーディングカード100A〜100C)をパッケージ200に封入したトレーディングカードセットを示す。パッケージ200は、ピロー状に封印される。
【0075】
3枚のトレーディングカード100Aと100Bの間または100Bと100Cの間に、アルミカード210が配置される。すなわち、トレーディングカード100A〜100Cおよびアルミカード210のセット220をパッケージ200に封入した状態で、トレーディングカードセットとして販売してもよい。すなわち、シールド機能を発揮する部材としては、少なくとも1つのトレーディングカード100の主面の垂直方向に沿って並べて配置され、その表面に導電性部材(例えば、アルミ)が設けられた板状部材(アルミカード210)を含む。
【0076】
アルミカード210は、例えば、印刷用紙に対してアルミ蒸着などの手法でアルミ層をその両表面に形成したものである。アルミカード210の少なくとも片方の表面全体に亘ってアルミ層を形成してもよい。但し、その表面に任意の電極パターンを形成してもよい。例えば、渦巻き状の電極パターンなどを用いることで、電極パターンに渦電流を発生させ、電磁波がトレーディングカード100へ到達することをより効率的に防止できる。また、カードの表面全体をアルミ層が覆う必要はなく、アンテナ部周辺のみ等、カード上の一部のみを覆う構成であってもよい。なお、製造コストなどの観点からは、アルミであってもよいが、任意の導電性をもつ材料(例えば、任意の金属)を用いて表面層を形成すればよい。このように、シールド機能を発揮する部材としては、トレーディングカード100とともにパッケージ(袋部)の内部に収納され、金属層を有するカード(アルミカード210)を含む。
【0077】
例えば、3枚のトレーディングカード100毎に1枚のアルミカード210を配置するようにしてもよい。また、より多くのトレーディングカード100をパッケージ200に封入する場合には、2枚以上のアルミカード210を所定枚数毎に混ぜ込むことも考えられる。
【0078】
なお、アルミカード210の表面には、トレーディングカード100の関する説明書のスペースや、トレーディングカード100またはそれに関連する商品についての説明書や広告のスペースとして用いることができる。
【0079】
図8に示すセット220(トレーディングカード100A〜100Cおよびアルミカード210)においてシールド機能を発揮させるためには、カード間を密着させておく必要がある。そのため、パッケージ200の内側断面形状は、セット220の外側断面形状に対して隙間(マージン)が小さくなるように設計され得る。
【0080】
(f2:第2の実装例)
図9は、本実施の形態に従うトレーディングカード100に対する不正な読み取りを防止する機能の第2の実装例を示す模式図である。
図10は、
図9に示すパッケージの断面模式図である。
【0081】
図9および
図10を参照して、パッケージ250の内面全体には、シールド機能を発揮するための導電性部材層252が形成されている。導電性部材層252の外側には、例えば、樹脂などの層が形成されている。なお、シールド機能を発揮するためには、導電性部材層252は所定の厚みをもつように形成される。すなわち、本実施の形態に従うパッケージ250(袋部)は、シールド手段として、その内面に設けられた金属層を含む。
【0082】
図9および
図10に示す第2の実装例では、複数のトレーディングカード100の間を密着させる必要がないので、パッケージ250の内側断面形状を複数のトレーディングカード100の外側断面形状に対して少し余裕をもって形成してもよい。
【0083】
(f3:第3の実装例)
図11は、本実施の形態に従うトレーディングカード100に対する不正な読み取りを防止する機能の第3の実装例を示す模式図である。
図3を参照して、3枚のトレーディングカード100A〜100Cは、セットにされた状態で、導電性を有する網状の袋部270に封入されてもよい。この場合には、網状の袋部270に封入された3枚のトレーディングカード100A〜100Cを、さらに非透光性の外袋に封入することになる。
【0084】
(f4:第4の実装例)
シール状の金属膜を、トレーディングカード100の全体、またはアンテナ144のまわりに直接貼り付けるようにしてもよい。
【0085】
[G.製造工程]
次に、本実施の形態に従うトレーディングカード100の製造工程について説明する。
【0086】
図12は、本実施の形態に従うトレーディングカード100の製造工程の一例を示す模式図である。
図12を参照して、トレーディングカード100の製造工程は、印刷工程、切断工程、画像認識工程、および、情報書き込み工程を含む。
【0087】
印刷工程では、典型的には、複数から予め定められた出現確率に従ってランダムに選択された複数の印刷パターンが印刷用紙に印刷される。各印刷パターンは、トレーディングカード100のおもて面またはうら面のデザインに対応する。すなわち、複数のトレーディングカード100がランダムに面付けされる。同一のトレーディングカード100が同一の印刷用紙に対して面付けされないように、排他処理がなされている。なお、面付けされる位置に対応付けて、複数のRFIDインレイ140が規則的に予め配置されている。但し、おもて面およびうら面にそれぞれ対応する一組の印刷済の用紙を用意し、それらの間にRFIDインレイ140を規則的に配置した上で、両者を張り合わせてもよい。
【0088】
続いて、印刷用紙が所定の大きさに切断されて、トレーディングカード100が生成される。この状態において、各トレーディングカード100に内包されるRFIDインレイ140には、何らのデータも書き込まれていないので、おもて面に印字されるキャラクタ特定情報112(
図1参照)を光学的に読み取って、各トレーディングカード100に描かれたキャラクタ102に関連付けられる情報を書き込む。
【0089】
具体的には、画像認識工程において、切断後のトレーディングカード100のおもて面に存在しているキャラクタ特定情報112(
図1参照)が読み取られ、その値(文字または数値)が認識される。そして、その認識情報に基づいて、対応する識別情報(キャラクタIDおよびシリーズID)が記憶部149の共有領域149A(
図7参照)に書き込まれる(情報書き込み工程)。この情報書き込み工程を経て、本実施の形態に従うトレーディングカード100が完成する。
【0090】
この画像認識工程に用いられるキャラクタ特定情報112(
図1参照)は、各トレーディングカード100のおもて面に描かれたキャラクタ102を特定するための識別情報に加えて、誤認識を防止するための付加情報を含んでもよい。すなわち、キャラクタ102に関連付けられる情報の一部であるキャラクタ特定情報112は、キャラクタ102を特定するための識別情報と、誤認識検知用の情報とを含んでもよい。このような誤認識検知用の情報を含ませることで、描かれたキャラクタ102に対応する情報とは異なる情報が誤ってトレーディングカード100に書き込まれることを防止できる。
【0091】
[H.利点]
本実施の形態は、トレーディングカードに新たな観点からの付加価値を与えることができるとともに、トレーディングカードの趣向性を高めることができる。
【0092】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。