(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
水中油型乳化組成物は、肌に塗布した際に爽やかでみずみずしい感触が得られることから、肌に直接適用される皮膚化粧料等の皮膚外用剤の基剤として広く用いられている。なかでも、スキンケア、ボディケアにおいて紫外線から皮膚を保護することが日常的に行われるようになり、そのようなUVケア化粧料においても水中油型乳化組成物を基剤とするものの重要性が増している。
【0003】
一方、金属酸化物粉末は、紫外線から皮膚を保護する紫外線散乱剤としての機能を有することが知られているが、それ以外にも、塗布時の使用性を向上させたり、肌の彩色やシミ、ソバカス等を隠蔽したりする機能を有しており、従来から各種化粧料に広く配合されている。近年では、きしみのなさ、耐水性、化粧持ち、分散性等を向上させる目的で、表面を疎水化処理した金属酸化物が用いられている。
【0004】
疎水性微粒子酸化チタンや疎水性微粒子酸化亜鉛などの疎水化処理金属酸化物粉末を水中油型乳化組成物中に配合する場合には、低HLBの分散剤や粉砕エネルギーの強い湿式ビーズミル等の特別な分散設備を用いて揮発性油分中に分散させ、それを乳化させるのが一般的である。しかし、十分な紫外線防御能を得るために粉末を多配合するためには、その粉末を分散させるための油分を多量に配合する必要があり、その結果、使用性が油っぽくなり、水中油型乳化組成物が本来有しているみずみずしさが損なわれることがある。
【0005】
例えば、特許文献1には、疎水化処理した酸化亜鉛を特別な分散装置を使用することなく安定に分散させるために、酸化亜鉛の疎水化処理に特定の化合物(オクチルトリエトキシシラン又はジメチルポリシロキサン)を用い、これを特定の油分(液状高級脂肪酸)に特定の分散剤(カルボキシル基含有シリコーン又は糖エステル)で分散させた日焼け止め水中油型乳化化粧料が記載されている。しかし、疎水化処理した酸化亜鉛を安定に分散させるためには多量の揮発性油分が必要であり、結果として総油分量が増えるためみずみずしい使用性を実現しにくい。
【0006】
また、特許文献2には、増粘剤としてイオン性水溶性高分子化合物を用いた水中油型乳化組成物に疎水化処理された粉末粒子を安定に配合するために、粉末粒子を疎水性粉末粒子とし、さらに、特定のポリエーテル変性シリコーンを油相に配合してイオン溶出を防止することが記載されている。
この組成物においては、ポリエーテル変性シリコーンはシリコーン油と疎水性粉末粒子を含む油相をゲル化するためのゲル化剤として作用し、油相中の疎水性粉末粒子からのイオン溶出を防ぐことによって水相中のイオン性高分子による増粘を安定化している。しかし、油相中での粉末の分散は従来の機械力によって行われているため、疎水性粉末粒子を十分に分散させるためには、分散媒として多量のシリコーン油を配合しなければならず、総油分量が増えてみずみずしい使用性を実現しにくいのは特許文献1と同様である。さらに、疎水性粉末粒子が油相中の油を吸収することで疎水性粉末特有のなめらかな使用感が損なわれる場合がある。
【0007】
一方、上記特許文献2以外にも、ポリエーテル変性シリコーンを用いて水中油型乳化組成物の安定化を図る試みがなされている(特許文献3〜5)。特許文献3には、ポリエーテル変性シリコーン、所定量の体質顔料、及びUV−A領域に吸収能を持つ紫外線吸収剤を組み合わせて配合することにより、べたつきがなく、みずみずしい使用感であり、安定で、なおかつ高いSPFを達成することが記載されている。特許文献4には、HLB(Si)5〜10のポリエーテル変性シリコーンを界面活性剤として用い、さらに所定量のエタノール、親水性増粘剤、及びポリオールを配合して水中油型乳化物とすることにより、皮膚に塗布した後に優れた耐水性が得られることが記載されている。特許文献5には、特許文献4と同様の安定した系において油溶性紫外線吸収剤の水分散物を水相に配合することにより当該紫外線吸収剤を油相に配合した場合より紫外線防御効果が向上したことが記載されている。
しかし、特許文献3〜5のいずれにも、疎水化処理金属酸化物を高配合する方法については何ら教示されていない。逆に、特許文献3には、疎水化処理を施したタルクを配合した場合には疎水化処理していないタルクを配合した場合に比較して乳化安定性が悪くなることが示され(比較例4)、特許文献5では、微粒子酸化チタンを配合すると使用性が低下することが記載されている(比較例2)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の水性化粧料は、(A)HLB(Si)が5〜14のポリエーテル変性シリコーンと、(B)親水性増粘剤と、(C)ポリオール及び/又はエチルアルコールと、(D)特定の疎水性粉末とを必須成分として含有する。以下、本発明について詳述する。
なお、本発明において、水性化粧料とは、化粧料全体の50質量%以上を水が占める化粧料を意味し、(1)基剤が水性成分のみからなる化粧料(実質的に水性成分と粉末成分とからなる化粧料)の態様、及び、(2)水性成分を外相とする水中油型乳化化粧料の態様を含む。即ち、「粉末が水相に分散している」とは、前記(1)の態様では化粧料全体に分散していること、前記(2)の態様では外相(水相)に分散していることを意味する。
【0014】
<(A)HLB(Si)が5〜14のポリエーテル変性シリコーン>
本発明の水性化粧料における(A)ポリエーテル変性シリコーンは、ポリオキシエチレン(POE)及びポリオキシプロピレン(POP)から選択されるポリオキシアルキレン基を有するシリコーン誘導体である。特に、下記一般式で表されるポリエーテル変性シリコーンが好ましい。
【化1】
上記式中、mは1〜1000、好ましくは5〜500であり、nは1〜40である。また、m:nは200:1〜1:1であることが好ましい。また、aは5〜50、bは0〜50である。
【0015】
ポリエーテル変性シリコーンの分子量は、特に限定されないが、好適には3000〜60000、特に好適には3000〜40000の範囲である。低分子量のポリエーテル変性シリコーンを使用することにより、特に優れた使用性を実現することができる。
【0016】
本発明に使用されるポリエーテル変性シリコーンは、そのHLB(Si)が5〜14、好ましくは7〜14のものから選択される。ここで言うHLB(Si)とは、下記の計算式で求められる値である。
【数1】
【0017】
(A)ポリエーテル変性シリコーンは、従来から化粧料等に用いられているものから選択される1種又は2種以上を使用することができる。具体例としては、PEG/PPG−19/19ジメチコン、PEG/PPG−30/10ジメチコン、PEG−12ジメチコン、PEG−11メチルエーテルジメチコン等が挙げられる。
【0018】
本発明で使用する(A)ポリエーテル変性シリコーンは市販されているものでもよく、例えば、
・商品名BY11−030(東レ・ダウコーニング社製:PEG/PPG−19/19ジメチコン、HLB(Si)=7.7)、
・商品名SH3773M(東レ・ダウコーニング社製:PEG−12ジメチコン、HLB(Si)=7.7)、
・商品名BY25−339(東レ・ダウコーニング社製:PEG/PPG−30/10ジメチコン、HLB(Si)=12.2)、
・商品名KF6011(信越化学工業株式会社製:PEG−11メチルエーテルジメチコン、HLB(Si)=12.7)
等を挙げることができる。
【0019】
(A)ポリエーテル変性シリコーンの配合量は、本発明の水性化粧料全量に対して、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.4質量%以上、又は0.5質量%以上であり、5質量%以下、4質量%以下、又は3質量%以下とするのが好ましい。具体的な配合量範囲としては、0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。配合量が配合量が0.1質量%未満である場合、(D)疎水性粉末が均一に分散した安定な組成物が得られない場合があり、5質量%を超えて配合した場合には、使用性がべたつくことがある。
【0020】
<(B)親水性増粘剤>
本発明の水性化粧料における(B)親水性増粘剤は、化粧品に通常使用されるものであれば特に限定されない。例えば、天然又は半合成の水溶性高分子、合成の水溶性高分子、無機の水溶性高分子等を挙げることができる。
【0021】
天然又は半合成の水溶性高分子としては、多糖類及びその誘導体(水溶性アルキル置換多糖誘導体を含む)が好ましく用いられる。具体例としては、例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグリカン、ブルラン等の微生物系高分子等;カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等が挙げられる。
【0022】
合成の水溶性高分子はイオン性又はノニオン性の水溶性高分子を含み、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)等のビニル系高分子;ポリエチレングリコール(分子量1500、4000、6000)等のポリオキシエチレン系高分子;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体共重合系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド化合物、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(商品名「ペミュレンTR−1」)等のアクリル系高分子;ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等が挙げられる。
【0023】
ポリアクリルアミド化合物は、特に2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(以下、「AMPS」と略す場合がある。)、アクリル酸およびその誘導体の中から選ばれる1種又は2種以上を構成単位として含むホモポリマー、コポリマー又はクロスポリマーからなるポリアクリルアミド化合物を包含する。
このようなポリアクリルアミド化合物の具体例としては、ビニルピロリドン/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)共重合体、ジメチルアクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)共重合体、アクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、メチレンビスアクリルアミドでクロスリンクさせたジメチルアクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のクロスポリマー、ポリアクリルアミドとポリアクリル酸ナトリウムの混合物、アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)共重合体、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリルアミド/アクリル酸アンモニウム共重合体、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム共重合体等が挙げられる。ただし、これらの例示に限定されるものではない。
【0024】
前段落における塩としては、アルカリ金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩、有機アミン類塩(例えば、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等)などが好適例として挙げられる。これらのポリアクリルアミド化合物は、1種または2種以上を用いることができる。
【0025】
これらのポリアクリルアミド化合物は、合成したものでも市販品でもよい。例えば、ビニルピロリドン/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)共重合体としては、「ARISTOFLEX AVC」(Clariant社製)、アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)共重合体としては、「SIMULGEL EG」(SEPIC社製)、「SIMULGEL EPG」(SEPIC社製)、アクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩共重合体としては、「SIMULGEL 600」(SEPIC社製)、アクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)としては、「SEPIGEL 305」(SEPIC社製)、「SEPIGEL 501」(SEPIC社製)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩のホモポリマーとしては、「Hostacerin AMPS」(Clariant社製)、「SIMULGEL 800」(SEPIC社製)等が挙げられ、ジメチルアクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸としては、「SU−POLYMER G−1」(東邦化学工業(株)社製)等が挙げられる。
【0026】
本発明においては、ジメチルアクリルアミドとアクリロイルジメチルタウリン塩とのクロスポリマーが特に好ましく用いられ、具体的には(ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンNa)クロスポリマーが挙げられる。
【0027】
無機の水溶性高分子としては、例えばベントナイト、ケイ酸AlMg(商品名「ビーガム」)、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0028】
本発明の(B)親水性増粘剤としては、1種又は2種以上を組み合わせて配合することができる。特に、サクシノグリカン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース等の多糖類又はその誘導体及びポリアクリルアミド化合物から選択される少なくとも1種を含めるのが好ましい。
【0029】
本発明の水性化粧料における(B)親水性増粘剤の配合量は、化粧料全量に対して、0.01質量%以上、0.03質量%以上、0.05質量%以上、0.08質量%以上、又は0.1質量%以上であり、3質量%以下、2.5質量%以下、2質量%以下、又は1質量%以下とするのが好ましい。具体的な配合量範囲としては、0.01〜3質量%、好ましくは0.05〜2質量%、より好ましくは0.1〜1質量%である。配合量が0.01質量%未満であると疎水性粉末が均一に分散した安定な組成物が得られない場合があり、3質量%を超えて配合すると、塗布時に重い感触となる場合がある。
【0030】
<(C)ポリオール及び/又はエチルアルコール>
本発明の水性化粧料は、さらに(C)ポリオール及び/又はエチルアルコールを必須成分として含有する。
本発明で使用されるポリオールは、化粧品に通常用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール等を挙げることができる。
【0031】
本発明の水性化粧料における(C)ポリオール及び/又はエチルアルコールの配合量は、少なくとも(D)疎水性粉末の配合量の1/2以上であり、好ましくは1倍以上、1.5倍以上、2倍以上、2.5倍以上、又は3倍以上である。(D)疎水性粉末の配合量範囲に鑑みれば、水性化粧料全量に対して0.25質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、1.25質量%以上、1.5質量%以上である。配合量が少なすぎると安定な化粧料が得られない場合がある。また、配合量が多すぎると塗布時に重い感触となる場合があることから、典型的には、配合量の上限を本発明の水性化粧料全量に対して、40質量%以下、30質量%以下、又は20質量%以下とする。具体的な配合量範囲としては、0.25〜40質量%、1〜30質量%、1.5〜20質量%等とすることができる。
【0032】
<(D)疎水性粉末>
本発明の水性化粧料に配合する(D)疎水性粉末は、(D1)金属石鹸以外で疎水化処理された金属酸化物、(D2)疎水性の有機粉末、(D3)シリコーン粉末から選択される1種又は2種以上である。
【0033】
(D1)金属石鹸以外で疎水化処理された金属酸化物(以下、単に「疎水化処理金属酸化物」とも称する)は、金属酸化物粉末粒子を基材として、その表面に疎水化処理を施した粉末粒子である。
疎水化処理金属酸化物の基材としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化アルミニウム等が挙げられる。また、複数の基材からなる複合粉末粒子も用いることができる。
【0034】
これらの基材粉末粒子に対して施される疎水化処理としては、化粧料等に配合される粉末の表面処理として使用可能な種々の表面処理、例えば、フッ素化合物処理、シリコーン処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N−アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、アミノ酸処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理、シラン化合物又はシラザン化合物等を用いることができる。ただし、ステアリン酸アルミニウム等の金属石鹸で疎水化処理すると所望の分散性が得られない場合がある。従って、本発明における(D1)疎水化処理金属酸化物は「金属石鹸以外で疎水化処理された金属酸化物」を意味する。
【0035】
本発明における金属酸化物粉末の疎水化処理として特に好ましいのは、シリコーン処理又は脂肪酸デキストリン処理である。
シリコーン処理としては、メチルハイドロゲンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーンオイル;メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン等のアルキルシラン;トリフルオロメチルエチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシラン等による処理が挙げられる。
【0036】
脂肪酸デキストリン処理としては、パルミチン酸デキストリン等による処理が挙げられる。これらの疎水化処理は、常法に従って行うことができ、疎水化処理剤は1種でも2種以上を組み合わせてもよい。
【0037】
本発明で使用する(D1)疎水化処理金属酸化物は市販されているものでもよく、例えば、FINEX−50W−LP2、STR−100C−LP(堺化学工業株式会社製)、MPY−1133M、MZX−304OTS、MTY−110M3S(テイカ株式会社製)等を挙げることができる。
【0038】
(D2)疎水性の有機粉末としては、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリエステル粉末、ポリウレタン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、疎水化処理したセルロース粉やデンプン粉末等も用いることができる。なかでも、ポリメタクリル酸メチル粉末、ナイロン粉末、ポリウレタン粉末、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末からなる群から選択されるものが好ましい。
(D2)疎水性の有機粉末の市販品として、例えば、マツモトマイクロスフェアーM−330(松本油脂製薬株式会社製)、プラスティックパウダーD−400、プラスティックパウダーD−800(東色ピグメント株式会社製)等が挙げられる。
【0039】
(D3)シリコーン粉末としては、具体的には、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーやジメチコン/フェニルジメチコンクロスポリマー、ポリオルガノシルセスキオキサン、ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマー等のシリコーン樹脂粉末が挙げられる。市販品としては、トスパール2000B(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、トレフィルE−506(東レ・ダウコーニング社製)、KSP−101(信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0040】
本発明における(D)疎水性粉末の形状や大きさは特に限定されず、例えば、球状、板状、花びら状、薄片状、棒状、紡錘状、針状、不定形状等の形状を採ることが可能である。(D)疎水性粉末の大きさは、平均粒子径が球状粒子換算で2nm〜5μm程度のものが好ましく用いられる。粉末形状が球状のものを用いると、使用性に優れると同時に、光の反射を利用したしわ隠し効果や肌荒れ改善効果を付与することもできる。(D1)疎水化処理金属酸化物は紫外線散乱剤としても作用し、なかでも微粒子状(平均粒子径=約1μm以下)の酸化チタン又は酸化亜鉛が好ましい。
【0041】
本発明の水性化粧料における(D)疎水性粉末の配合量は、化粧料全量に対して、0.5質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、又は5質量%以上であり、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、又は20質量%以下である。具体的な配合量範囲としては、0.5〜35質量%、好ましくは3〜25質量%、より好ましくは5〜20質量%である。配合量が0.5質量%未満であると粉末を含有させたことによる効果が十分に発揮されず、30質量%を超えて配合すると、きしみ感、よれ、べたつき等、使用性に問題を生じる傾向がある。
【0042】
本発明の水性化粧料は、前記成分に加えて、水性化粧料に配合し得る他の任意成分を本発明の効果を阻害しない範囲で含有することができる。他の任意成分としては、限定されないが、例えば、上記以外の増粘剤、保湿剤、油剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、中和剤、酸化防止剤、防腐剤、キレート剤、エモリエント剤、植物抽出液、香料、色素、各種薬剤などを挙げることができる。
【0043】
本発明の水性化粧料は、水性化粧料を構成する基剤が水性成分のみ形態である場合には、(A)ポリエーテル変性シリコーン、(C)ポリオール及び/又はエチルアルコール、(D)疎水性粉末を攪拌混合して粉末部を調製し、これを(B)親水性増粘剤を含む水相部(基剤)に添加することによって調製することができる。
また、水性化粧料が水中油型乳化組成物の形態である場合には、(B)親水性増粘剤を含む水相部と、油相部とをそれぞれ調製し、油相部を水相部に加えて乳化して水中油型乳化組成物(基剤)を調製し、一方で、(A)ポリエーテル変性シリコーン、(C)ポリオール及び/又はエチルアルコール、(D)疎水性粉末を攪拌混合して粉末部を調製し、これを前記乳化物(基剤)に混合することによって調製することができる。
【0044】
本発明の水性化粧料は、(D)疎水性粉末を水相に安定に分散させることができるため、水性化粧料本来のみずみずしさを保持したまま、(D)疎水性粉末の有する優れたなめらかさ、耐水性、化粧持ちを付与することができる。また、(D)疎水性粉末として、しわ隠し効果や肌荒れ改善効果を有するものを配合した場合には、肌質改善効果も期待できる。また、(D)疎水性粉末として疎水性微粒子酸化チタンや疎水性微粒子酸化亜鉛などの紫外線防御能を持つ粉体(紫外線散乱剤)を用いた場合には、使用性の高い日焼け止め化粧料が得られる。水中油型乳化物の形態の水性化粧料において、疎水性粉末として紫外線散乱剤を配合し、油相に紫外線吸収剤を配合すると、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤とが協働して作用して紫外線防御効果が相乗的に向上する。ただし、みずみずしい使用感を維持するために、紫外線吸収剤を含む油相成分配合量は20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、5質量%以下、又は3質量%以下とするのが好ましい。本発明の水性化粧料は、水相中に紫外線散乱剤が均一に分散されているので、油溶性の紫外線散乱剤の配合量が少量でも十分な紫外線防御能が得られる。
【実施例】
【0045】
以下に具体例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例等における配合量は特に断らない限り質量%を示す。
【0046】
(実施例1〜4及び比較例1〜3)
下記の表1に掲げた組成を有する水相部、粉末部をそれぞれ均一になるまで攪拌混合し、粉末部を水相部に添加することにより水性化粧料を調製した。得られた化粧料を外観観察及び光学顕微鏡(400倍)を用いて観察することにより、以下の基準に従って粉末の分散安定性を評価した。
<評価基準>
A:疎水性粉末が油分中に均一に分散していた
B:疎水性粉末が外観上は均一に分散していたが、光学顕微鏡を用いて調べると凝集した部分がわずかに観察された
C:疎水性粉末の一部の凝集が外観上で観察された
D:疎水性粉末のほとんどが凝集した
【0047】
【表1】
【0048】
実施例1〜4に示すように、HLB(Si)が5〜14の範囲のポリエーテル変性シリコーンを用いた場合には疎水性粉末の水相への分散が可能であったが、HLB(Si)が5未満の比較例1では疎水性粉末を分散できなかった。また、ポリエーテル変性シリコーンを炭化水素系の界面活性剤に置換すると、当該界面活性剤のHLBが高くても(HLB=14)良好に分散することはできなかった(比較例2)。さらに、ポリエーテル変性シリコーンも界面活性剤も使用しない場合にも疎水性粉末を分散することはできなかった(比較例3)。
【0049】
(実施例5〜13及び比較例4)
下記表2及び表3に掲げる組成を有する水性化粧料を上記実施例1と同様の方法で調製し、前記基準に従って各化粧料の分散安定性を評価した。それらの結果を表2及び表3に併せて示す。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
実施例5〜7に示すように、金属石鹸以外で表面疎水化処理した金属酸化物からなる疎水性粉末は本発明の系で水相中に良好に分散された。特に、シリコーン処理をした金属酸化物粉末を用いた場合に優れた分散性を示した。しかし、比較例4に示すように、金属石鹸(ステアリン酸アルミニウム)処理をしたものは良好に分散できなかった。また、実施例8〜13に示すように、疎水性の有機粉末及びシリコーン粉末を用いた場合には、いずれも均一に分散することができた。
【0053】
(実施例14及び比較例5)
下記表4に掲げる水相部、油相部をそれぞれ70℃に加熱して完全溶解した。油相部を水相部に加えて、乳化機で乳化し冷却した。この時、比較例5では乳化前に粉末部を水相に混合したが、実施例14では冷却後の水中油型乳化組成物に攪拌混合した粉末部を混合した。
得られた組成物を化粧下地として使用し、その際のみずみずしさ、なめらかさ、のびの軽さ、化粧もちを専門評価パネル10名により、以下の基準で評価した。
<評価基準>
A:優れていると回答したパネルが8〜10名。
B:優れていると回答したパネルが5〜7名。
C:優れていると回答したパネルが4名以下。
【0054】
【表4】
【0055】
実施例14に示すように、シリコーン処理した金属酸化物やシリコーン粉末を水相に分散させた本発明に係る化粧下地は、水中油型乳化組成物のみずみずしさを保持しながら、疎水性粉末特有のなめらかさ、のびの軽さ、化粧もちに優れることを示した。一方、比較例5に示すように、疎水性粉末に代えて親水性粉末を配合した場合には、なめらかさ、のびの軽さ、化粧もちが不十分であることが確認された。
【0056】
以下に、本発明の水性化粧料の処方例を挙げる。本発明はこれらの処方例によって何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。尚、配合量は全て水性化粧料に対する質量%で表す。
【0057】
処方例1:美白化粧水
(成分名) 配合量(%)
イオン交換水 残量
グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 2.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
カルボキシビニルポリマー 0.2
キサンタンガム 0.05
トラネキサム酸 2.0
4−メトキシサリチル酸カリウム塩 1.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
酢酸トコフェロール 0.1
PEG−11メチルエーテルジメチコン
*4 1.0
球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末 5.0
トリエタノールアミン 適量
酸化防止剤 適量
防腐剤 適量
【0058】
処方例2:化粧水
(成分名) 配合量(%)
イオン交換水 残量
エチルアルコール 5.0
グリセリン 3.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
(ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンNa)
クロスポリマー 0.4
サクシノグリカン 0.1
PEG−12ジメチコン
*3 1.0
オクチルトリエトキシシラン処理酸化チタン 4.0
球状ポリメタクリル酸メチル粉末 1.0
キレート剤 適量
緩衝剤 適量
防腐剤 適量
香料 適量
【0059】
処方例3:乳液
(成分名) 配合量(%)
イオン交換水 残量
エチルアルコール 3.0
(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー
0.4
カルボキシメチルセルロース 0.05
グリセリン 5.0
エリスリトール 2.0
ジプロピレングリコール 7.0
ベヘニルアルコール 1.0
バチルアルコール 0.5
スクワラン 6.0
ジメチルポリシロキサン 2.0
マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル 0.5
イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 1.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン 1.0
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
PEG−12ジメチコン
*3 1.0
球状ナイロン粉末 3.0
ウレタン樹脂粉末 3.0
防腐剤 適量
香料 適量