(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543248
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】人工椎間板装置及び関連する使用方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20190628BHJP
【FI】
A61F2/44
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-531886(P2016-531886)
(86)(22)【出願日】2014年7月31日
(65)【公表番号】特表2016-525433(P2016-525433A)
(43)【公表日】2016年8月25日
(86)【国際出願番号】US2014049043
(87)【国際公開番号】WO2015017614
(87)【国際公開日】20150205
【審査請求日】2017年5月12日
(31)【優先権主張番号】13/955,477
(32)【優先日】2013年7月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】バラスブラマニアン,アナンド
(72)【発明者】
【氏名】ベネット,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ハンセル,ノア
【審査官】
小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0110240(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0184766(US,A1)
【文献】
特表2008−546477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重凸状上表面及び凹状下表面を有する上端板と、
二重凸状下表面を有する下端板と、
前記上端板と前記下端板との間に配設されるコア組立体と、
前記上端板及び前記下端板の両方の外表面上に配設される支持組立体であって、前記上端板を前記下端板に結合するように構成される、支持組立体と、を備え、
前記支持組立体が、
前記上端板の外表面に配設される第1の溝と、
前記下端板の外表面に配設される第2の溝と、を含む、人工椎間板。
【請求項2】
前記コア組立体が、
前記上端板の前記凹状下表面に接触するように構成される凸状上表面を備える上コアと、
前記上コア及び前記下端板を接続するように構成される可撓性下コアと、を含む、請求項1に記載の前記人工椎間板。
【請求項3】
前記支持組立体が、前記第1及び第2の溝内に配設される鞘を更に含む、請求項1に記載の前記人工椎間板。
【請求項4】
前記第1の溝内に配設される少なくとも1つの開孔と、
前記第2の溝内に配設される少なくとも1つの開孔と、
前記鞘ならびに前記第1及び第2の溝の両方の前記少なくとも1つの開孔を通して配設される複数の締結具と、を更に含む、請求項3に記載の前記人工椎間板。
【請求項5】
前記上端板の前記上表面上に位置付けられる第1の鋸歯状キールと、
前記下端板の前記下表面上に位置付けられる第2の鋸歯状キールと、を更に備える、請求項1に記載の前記人工椎間板。
【請求項6】
前記上端板及び下端板のうちの少なくとも1つが、骨の上方成長を亢進するように構成される、請求項5に記載の前記人工椎間板。
【請求項7】
前記上端板または前記下端板の前記二重凸状表面のうちの少なくとも1つから延びる突起であって、部分的に球状、部分的に樽形、または部分的に円柱状である、突起を更に含む、請求項5に記載の前記人工椎間板。
【請求項8】
前記上端板、前記コア組立体、及び前記下端板が、第1の軸に沿って積み重なり、
前記第1の鋸歯状キールまたは第2の鋸歯状キールが、前記第1の軸に沿って、前記突起よりも更に外側に延びる、請求項7に記載の前記人工椎間板。
【請求項9】
人工椎間板を有する人工椎間板組立体であって、
二重凸状上表面及び凹状下表面を有する上端板と、
二重凸状下表面を有する下端板と、
前記上端板及び前記下端板にしっかりと固定されるコア組立体であって、前記上端板及び前記下端板が、前記コア組立体の弾性のみによって互いに対して関節運動する、コア組立体と、を備え、
前記人工椎間板の外部表面が、前記人工椎間板が椎体間に設置されたときに、前記外部表面が骨の上方成長を促進しないように構成される、前記人工椎間板組立体。
【請求項10】
1対の椎体の間に前記人工椎間板を保持するように構成される被覆板を更に含む、請求項9に記載の前記人工椎間板組立体。
【請求項11】
前記被覆板が、形状記憶材料から形成される、請求項10に記載の前記人工椎間板。
【請求項12】
前記コア組立体が、外表面から延びる少なくとも1つの固定機構であって、
前記コア組立体と同一の材料から形成され、
圧縮力が適用されると、静止位置から半径方向内向きに圧縮されるように構成され、かつ
前記圧縮力が除去されると、前記静止位置に向かって移動する、固定機構を含む、請求項9に記載の前記人工椎間板。
【請求項13】
前記上端板または前記下端板の前記二重凸状表面のうちの少なくとも1つから延びる突起であって、部分的に球状、部分的に樽形、または部分的に円柱状である、突起を更に含む、請求項9に記載の前記人工椎間板。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本開示の様々な実施形態は一般的に人工椎間板装置ならびに関連するシステム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、患者の椎間円板を修復及び/または交換するための装置、システム、及び方法に関する。
【0002】
〔背景技術〕
脊椎は、椎骨として知られるいくつかの個々の骨で構成される。椎骨は、脊椎の異なる領域において、サイズ、形状、及び機能が異なる。頸椎は首の骨を成し、頭の動作のうちのほとんどを提供する。胸椎は肋骨の錨としての役割を果たし、比較的不動である。脊椎の基部に位置付けられる腰椎は最も大きい椎骨であり、躯幹の動作及び関節運動を可能にする。
【0003】
隣接する椎骨の間にあるのが椎間円板であり、これは線維性の外部分及びゼラチン状の内部分からなる。椎間板は、椎骨を互い対して移動させ、関節運動させる。それらはまた、転倒または頭の殴打からなど、脊椎に対して打撃があるとき衝撃吸収体としての役割も果たす。特に、椎間円板は、少なくとも6つの異なる運動または自由度、すなわち、腰から前向きの折り曲げである屈曲と、腰から後向きの折り曲げである伸展と、側方折り曲げまたは横への傾きと、片側または反対側への回転またはねじれである軸回転と、軸圧縮、垂直伸展、または脊椎に沿った圧縮としても知られ得る軸偏向と、1つの椎骨が、隣接する椎骨に対するその角度を変えずに、隣接する椎骨に対して前向きまたは後向きに摺動するときの前方/後方(A/P)への並進運動と、が可能である。
【0004】
椎間円板は、加齢、外傷、または疾患の結果として傷害または損傷され得る。椎間板は、乾燥され得るか、または他の方法によって構造を緩化もしくは弱化され得、これは変性椎間板障害(DDD)として知られる病態である。椎間板ヘルニアは、外部分内に裂傷を発生しており、内部分(例えば、内部のゼラチン状部分)が押し出されるものである。いずれの場合も、損傷した椎間板は、かつては可能にしたような動作をもはや可能にせず、これが患者に疼痛及び/または違和感を引き起こし得る。例えば、椎骨がそれらの正常かつ健康な位置から出て移動するにつれて、神経が圧縮されるため、患者は慢性の、及びある事例には衰弱性の疼痛を発症し得る。
【0005】
歴史的に、DDDまたは椎間板ヘルニアなどの病態にある傷害した椎間板は、脊椎固定によって治療され得る。脊椎固定はまた、腫瘍、骨折、ならびに脊柱側弯症及び脊柱後弯症などの病態の治療としても示され得る。固定手順において、損傷した椎間板を除去するために椎間板切除が実行され、隣接する椎骨は、ロッド、ワイヤ、または他の器具類と一緒になって物理的に連結される。骨移植片は椎骨間に配置され得、数ヶ月かけて椎骨はともに成長する。典型的な合併症患者は、彼女の運動の範囲は、元の病態または傷害によってより制限されていたため、移動性のいかなる損失にも気付かない。
【0006】
それにも関わらず、固定された椎骨場所間の運動の欠如は、周囲の椎骨及び椎間円板に対するストレスを増大した。この増大したストレスは、早期の失敗またはこれらの構成要素に対する傷害につながり、更なる治療を必要とし得る。更に、固定手順は、背開手術及び長期の回復期間を必要とする主要な手術であり得る。これらの理由から、それは典型的に、重度の場合または他の治療選択肢が失敗したときのために保留される、最終手段の治療である。
【0007】
最小観血的手順及び人工椎間板交換を含む脊椎開固定手順の代替手段は、開発及び実践の様々な段階にあるが、これらの代替手段は、未だ広範な採用を見出していない。最小観血的手順は、小切開の使用、器具の遠隔制御操作、及び内視鏡または類似したアクセス装置を通した観察に関与する。これらの手順は、患者に対するより少ない外傷、及び改善した回復時間をもたらし得る。最小観血的手術はまた、傷害した椎間円板を交換するために使用され得る。損傷または疾患した椎間板の上下の椎骨を固定する代わりに、例えば、椎間板は人工または義装椎間板と交換され得る。現在の義装椎間板は、同等の、またはより良好な病態の治療を提供しながら、相当する固定手順よりも大きな範囲の運動を提供し得る。
【0008】
しかしながら、現在の人工椎間板は、手術手順の後に偶発的な分離を受け得る、複数の連動した構成要素を有し得る。そのような分解は、修正するための追加の手順を必要とし得る。したがって、6つすべての動作の程度を可能にし、1つ以上の程度に沿った動作を制限し、非前方手術手順と適合し、増大した耐久性を有する人工椎間板に対する必要性が存在する。
【0009】
〔発明の概要〕
本開示は、人工椎間板の実施形態及び関連する使用方法に関する。
【0010】
一実施形態によると、人工椎間板は、二重凸状上表面及び凹状下表面を有する上端板と、二重凸状下表面を有する下端板と、を含み得る。人工椎間板はまた、上端板と下端板との間に配設されるコア組立体と、上端板及び下端板の両方の外表面上に配設される支持組立体と、を含み得る。支持組立体は、上端板を下端板に結合するように構成され得る。
【0011】
本開示の様々な実施形態は、以下の態様のうちの1つ以上を含み得る。すなわち、コア組立体が、上端板の凹状下表面に接触するように構成される凸状上表面を備える上コアと、上コア及び下端板に接続するように構成される可撓性下コアと、を含み得ることと、支持組立体が、上端板の外表面に配設される第1の溝と、下端板の外表面に配設される第2の溝と、を含み得ることと、支持組立体が、第1及び第2の溝内に配設される鞘を更に含み得ることと、第1の溝内に配設される少なくとも1つの開孔と、第2の溝内に配設される少なくとも1つの開孔と、鞘ならびに第1及び第2の溝の両方の少なくとも1つの開孔を通して配設される複数の締結具と、を含み得ることと、上端板の上表面上に位置付けられる第1の鋸歯状キールと、下端板の下表面上に位置付けられる第2の鋸歯状キールと、を備え得ることと、上端板及び下端板のうちの少なくとも1つが、骨の上方成長を亢進するように構成され得ることと、上端板または下端板の二重凸状表面のうちの少なくとも1つから延びる突起であって、部分的に球状、部分的に樽形、または部分的に円柱状である、突起を更に含み得ることと、上端板、コア組立体、及び下端板が、第1の軸に沿って積み重なり得、第1の鋸歯状キールまたは第2の鋸歯状キールが、第1の軸に沿って、突起よりも更に外側に延び得ることと、である。
【0012】
一実施形態によると、人工椎間板組立体は人工椎間板を含み得る。人工椎間板は、二重凸状上表面及び凹状下表面を有する上端板と、二重凸状下表面を有する下端板と、を含み得る。人工椎間板はまた、上端板及び下端板に固定されるコア組立体を含み得る。上端板及び下端板は、コア組立体の弾性のみによって互いに対して関節運動し得る。
【0013】
本開示の様々な実施形態は、以下の態様のうちの1つ以上を含み得る。すなわち、人工椎間板の外部表面が、人工椎間板が椎体間に設置されるたき、外部表面が骨の上方成長を促進しないように構成され得ることと、1対の椎体の間に人工椎間板を保持するように構成される被覆板を含み得ることと、被覆板が、形状記憶材料から形成され得ることと、コア組立体が、外表面から延びる少なくとも1つの固定機構であって、コア組立体と同一の材料から形成され、圧縮力が適用されると、静止位置から半径方向内向きに圧縮されるように構成され、圧縮力が除去されると、静止位置に向かって移動する、固定機構を含み得ることと、上端板または前記下端板の二重凸状表面のうちの少なくとも1つから延びる突起であって、部分的に球状、部分的に樽形、または部分的に円柱状である、突起を含み得ることと、である。
【0014】
更なる一実施形態によると、人工椎間板を患者内に設置する方法は、二重凸状上表面及び凹状下表面を有する上端板を有する人工椎間板を含み得る。人工椎間板はまた、二重凸状下表面を有する下端板と、上端板及び下端板に固定されるコア組立体と、を含み得る。上端板及び下端板は、コア組立体の弾性のみによって互いに対して関節運動し得る。本方法は、椎骨の椎間板輪内に開口を形成することと、損傷した椎骨の椎間板物質を、開口を通して除去することと、を含み得る。本方法はまた、開口を通して人工椎間板を1対の隣接する椎体の間に挿入することと、人工椎間板を椎体間に固定することと、を含み得る。
【0015】
本開示の様々な実施形態は、以下の態様のうちの1つ以上を含み得る。すなわち、人工椎間板を椎体間に固定することが、被覆板を、椎骨の椎間板輪のうちの少なくとも1つ及び椎体のうちの1つの内周に固定して、開口を被覆することを含み得ることと、人工椎間板を椎体間に固定することが、被覆板を、椎骨の椎間板輪のうちの少なくとも1つ及び椎体の対のうちの少なくとも1つに縫合することを更に含み得ることと、コア組立体が、外表面から延びる少なくとも1つの固定機構を含み得、人工椎間板を挿入することが、固定機構に圧縮力を適用することを更に含み得、人工椎間板を椎体間に固定することが、固定機構に適用された圧縮力を解放して、固定機構を、椎骨の椎間板輪のうちの少なくとも1つ及び椎体のうちの1つの内周に対して固定させることを含み得ることと、人工椎間板を椎体間に固定することが、固定機構を、椎骨の椎間板輪のうちの少なくとも1つ及び椎体の対のうちの少なくとも1つに縫合することを更に含み得ることと、である。
【0016】
〔図面の簡単な説明〕
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、様々な例示的実施形態を図示し、説明とともに、開示される実施形態の原理を説明する役割を果たす。
【0017】
図1は、本開示の一実施形態に従う人工椎間板の分解立体図の図示である。
【0018】
図2は、本開示の一実施形態に従う人工椎間板の断面図の図示である。
【0019】
図3は、本開示の一実施形態に従う人工椎間板の側面透視図の図示である。
【0020】
図4は、
図3の人工椎間板の部分分解立体側面透視図の図示である。
【0021】
図5は、本開示の一実施形態に従う人工椎間板の側面透視図の図示である。
【0022】
図6は、本開示の一実施形態に従う被覆板の前面透視図の図示である。
【0023】
図7は、本開示の一実施形態に従う、インビボで、椎体間に設置される、
図5の人工椎間板の透視図の図示である。
【0024】
図8は、本開示の一実施形態に従う、インビボで、椎体に隣接して設置される、
図6の被覆板の透視図の図示である。
【0025】
図9は、本開示の別の実施形態に従う人工椎間板の側面透視図の図示である。
【0026】
図10は、本開示の一実施形態に従って、第1の構成にありながら、インビボで、椎体間に部分的に設置される、
図9の人工椎間板の透視図の図示である。
【0027】
図11は、本開示の一実施形態に従って、第2の構成にありながら、インビボで、椎体間に設置される、
図9の人工椎間板の透視図の図示である。
【0028】
図12は、本開示の一実施形態に従う端板の透視図の図示である。
【0029】
図13は、本開示の一実施形態に従う端板の透視図の図示である。
【0030】
図14は、本開示の一実施形態に従う端板の透視図の図示である。
【0031】
〔発明を実施するための形態〕
これより本開示の実施形態への参照が詳細になされ、これらの実施例は添付の図面に図示される。可能な場合はなるべく、同一または類似の部分を指すために、図面を通して同一の参照番号が使用される。
【0032】
本開示の一態様によると、人工椎間板100は、天然椎間円板によって与えられる6つの動作の程度のうちの6つすべてを提供することが可能であり得る。この種類の人工椎間板の一例を、
図1の分解立体図に示す。人工椎間板100は、上端板110、上コア120、下コア130、及び下端板140を含み得る。上端板110及び下端板140は、数ある中でも、例えば、チタンまたはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの強固な生体適合性材料から形成され得る。上端板110及び下端板14を含む、骨に接触する構成要素は、骨の上方成長を促進するために、チタン及び/またはヒドロキシアパタイトプラズマスプレーコーティングで処理され得、それぞれの構成要素と根底にある骨(例えば、椎体)との間の接続の強度及び安定性を改善する。任意の他の好適なコーティングもまた、上端板110または下端板140のいずれかの上に提供され得る。所望される場合、そのようなコーティングは治療剤を含み得る。上端板100及び/または下端板140はまた、インビボでの可視化を容易にするための放射線不透過性標識を含み得る。下コア130は、例えば、椎間板100をその垂直軸に沿って圧縮させ得る、ポリカーボネートウレタン(PCU)または別の好適なポリマーなどのポリマーから形成され得る。
【0033】
軸101は、人工椎間板100の3次元の配向を表し得る。例えば、X軸は、椎間板100の前方/後方軸と、またはそれに対して平行に、ほぼ整列され得る。Y軸は、椎間板100の上/下軸に対して実質的に平行であり得る。Y軸はまた、脊椎の垂直軸をいくぶん示し得、これは一般的に単に脊椎の軸と称され得る。Z軸は、椎間板100の側方軸に対してほぼ平行であり得る。
【0034】
上端板110は上部または上表面111を有し得る。上端板110は可変性の断面を有し得る。上表面111は二重凸状、すなわち、左から右に及び前から後ろに湾曲し得るか、または別の好適な構成を有し得る。この湾曲は、表面111に部分的にドーム状または球状の形状を与え得る。湾曲は、隣接する椎体の端板の天然の湾曲に対して相補的であり得、表面111と椎体との間の解剖学的適合を提供し得る(
図1には図示せず)。1つ以上の鋸歯状キール112は、上表面111上に位置付けられ得、ある角度で上表面111から延び得る。各キール112は、椎間板100の前方/後方軸に沿っておよそ整列される長軸方向の軸を有し得る。椎間板切除が完了すると、損傷した天然椎間板または損傷した椎間板材を除去して、溝またはチャネルが椎体(図示せず)に切り込まれて、各キール112を受容する。各キール112は上表面111と一体的に形成され得るか、あるいは好適な固定機構、例えば接着剤によって上表面111に取り付けられ得る。各キール112は、キールの長軸方向の軸に対して垂直の、例えば通孔などの1つ以上の孔または開口(図示せず)を有し得る。これらの孔または開口は、端板と椎体との間の接続または界面を強化し得る、骨の内部成長のための開孔を提供し得る。任意の他の数のキール112が代替的に利用され得るものの、いくつかの実施形態において、上表面111は3つのキール112を含み得る。複数のキール112のうちのそれぞれは、残りの複数のキール112と同一の寸法を有し得る。あるいは、所与のキール112は、他のキール112とは異なる寸法を有し得る。例えば、上表面111上のキールの非共線スペーシングなどの他の構成が代替的に利用され得るものの、複数のキール112のうちのすべては共通の軸に沿って延び得る。所望される場合、いくつかの実施形態において、キール112は複数の列及び/または行に配列され得る。キール112は、骨の内部成長/上方成長を亢進するための好適なコーティングまたは他の幾何学的特徴(例えば、逆とげまたは他の突起)を含み得る。キール112は異なる長さ、幅、及び/または他の寸法を有し得る。
【0035】
上コア120は、ドーム状または湾曲した上接合表面121を有し得る。表面121は、上端板110の凹状下表面11
3に接触するように構成され得る。上コア120はまた、下コア130の対応する部分と接合する下表面122を有し得る。上コア120は、例えば、チタン、コバルト・クロム・モリブデン(Co−Cr−Mo)合金、セラミック、またはPEEKなどの、接触に耐えるために好適な硬質材料から作製され得る。上コア112は、例えば滑沢コーティングなどの、相対運動を容易にするための好適なコーティングを含み得る。
【0036】
他の形状もまた企図されるものの、下コア130は一般的に円柱状の形状であり得る。下コア130の上表面131は、上コア120の空洞の対応する特徴(図示せず)に取り付けるための接合ノブ132とともに、実質的に凹状であり得る。下コア130は、接合溝134によって上部側133及び下部側135に分割され得る。接合溝134は、下コア130を下端板140に取り付けるのに役立ち得る。
【0037】
下端板140は、その上表面141に形成される接合ソケット142を有し得る。接合ソケット142は、下コア130の接合溝134に対して相補的である接合縁143を含み得る。接合ソケット142は、下コア130の下部部分に対して相補的である全体的な形状を有し得る。下コア130は、接合ソケット142内にフィットし、それによって保持され得る。下端板140は更に、形状、構造、設計、及び/または構成においてキール112に実質的に類似し得る、1つ以上の鋸歯状キール144を有し得る。所与のキール144は、椎間板100の前方/後方軸に沿っておよそ整列される長軸方向の軸を有し得る。所与のキール144はまた、上端板110に関して以上に記載するように、骨の内部成長を促進するために、キール144の長軸方向の軸に対して垂直の、1つ以上の孔または開口(図示せず)を有し得る。下端板140は、上表面111に関して以上に記載するように、二重凸状である下表面(図示せず)を有し得るか、または別の好適な構成を有し得る。
【0038】
図3及び4を参照すると、人工椎間板100は支持組立体300を含み得る。支持組立体300は、上端板110の側表面内に配設される第1の溝302(
図4)と、下端板140の側表面内に配設される第2の溝304と、を含み得る。第1及び第2の溝302、304は、整列され、類似した構成を有し得る。あるいは、所望される場合、第1及び第2の溝302は異なる構成を有し得る。いくつかの実施形態において、溝は、人工椎間板100の4つすべての側面上にあり得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、溝は、2つのより長い側面上にのみ配設され得る。第1及び第2の溝302、304はそれぞれ、少なくとも1つの内腔306を含み得る。示される実施形態において、第1及び第2の溝302、304の両方はそれぞれ、例えば、止め金などの締結部材310を受容するように構成される2つの内腔306を含む。人工椎間板100が完全に組み立てられるとき、溝302及び304は、鞘308を受容するように構成され得る。つまり、第1及び第2の溝302、304の組み合わせは、人工椎間板100が組み立てられた構成にあるときの鞘308と実質的に同一の幾何学を有し得る。内腔306は、少なくとも1つの締結部材310を受容するように構成され得る。鞘308はまた、第1及び第2の溝302、304内に配設される内腔306の場所に実質的に対応する、複数の内腔(図示せず)を含み得る。鞘308は、半可撓性ポリエチレンテレフタラート(PET)または別の好適な材料で形成され得る。鞘308は、鞘を人工椎間板100に取り付けることを容易にするための、接着剤または他の好適な固定機構を更に含み得る。締結部材310は、任意の好適な生体適合性材料で形成され得る。いくつかの実施形態において、支持組立体300は、人工椎間板100の可撓性を限定し得る、及び/または例えば人工椎間板100の構成要素を互いから分離するか、もしくは他の方法で人工椎間板100を分解し得る剪断力を限定し得る。いくつかの実施形態において、支持組立体300は、人工椎間板100の屈曲、伸展、及び側方折り曲げを限定し得る。
【0039】
人工椎間板100は、人工椎間板100の構成要素の互いに対する運動を更に限定するために、追加の支持組立体300を含み得る。一実施形態において、人工椎間板100は、互いに実質的に平行である2つの支持組立体300を含み得る。しかしながら、所望される場合、任意の他の好適な数の支持組立体300が代替的に利用され得る。追加の支持組立体300は、上端板110及び下端板140の任意の側表面に沿って配設され得る。鞘308は、内腔306を通して挿入するための杭を代替的に含み得、締結部材310の必要性を排除する。別の代替的な実施形態において、内腔306は排除され得、鞘308上に配設される孔を通して挿入するために、杭は第1及び第2の溝302、304から、または医療装置100から伸び得る。
【0040】
本開示の一実施形態に従う人工椎間板500を、
図5に描写する。人工椎間板500は、上端板510と、下端板520と、上端板510と下端板520との間に配設されるコア530と、を含み得る。コア530は、端板510及び520のうちの1つまたは両方にしっかりと固定され得る。いくつかの実施形態において、人工椎間板500のすべての表面は、椎間板輪または他の椎体を穿通しないように、非外傷性であり得る。上端板510及び下端板520は、数ある中でも、例えば、チタンまたはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの強固な生体適合性材料から形成され得る。コア530は、例えば、コア530に圧縮及び動作を提供して、上端板510及び下端板520をコア530の天然弾性のみによって互いに対して関節運動させるように構成される、シリコーン、PCU、または他の好適な粘弾性材料などの任意の好適なポリマーで形成され得る。つまり、いくつかの実施形態において、上端板510及び下端板520はそれぞれ、コア530と面一となり得る。上端板510及び下端板520のうちのそれぞれは二重凸状、すなわち、左から右に及び前から後ろに湾曲し得る。一実施形態において、上端板510及び下端板520の外部及び/または骨接触表面は、上端板510及び下端板520がインビボでの骨の上方成長を促進しないように、かつ所与の椎体に対して自由に摺動及び/または関節運動するように、滑面及び/または未処置のままであり得る。したがって、人工椎間板500は、インビボで、その中心、例えばコア530で、及びその外部接触表面、例えば人工椎間板500の頭側端及び尾側端でのみ運動を有するように構成され得る。いくつかの実施形態において、上端板510、下端板520、及びコア530は、(例えば、骨の内部成長/上方成長を亢進するために)異なる断面、放射線不透過性材料、及び/または幾何学的特徴を含み得る。いくつかの実施形態において、プラズマスプリング(図示せず)が上端板510及び/または下端板520上に配設され得る。人工椎間板500は、前方/後方手順が代替的に利用され得るものの、直接側方手順によって患者に挿入され得る。代替的な一実施形態において、上端板510及び下端板520は、骨の上方成長を促進するために、チタン及び/またはヒドロキシアパタイト・プラズマ・スプレーコーティングで処理され得、それぞれの構成要素と根底にある骨(例えば、椎体)との間の接続の強度及び安定性を改善する。所望される場合、いくつかの実施形態において、人工椎間板500は治療コーティングを含み得る。
【0041】
本開示の一実施形態に従う被覆板600を、
図6に描写する。被覆板600は、例えば、ニチノールまたは別の好適な可撓性もしくは超弾性材料などの形状記憶材料から形成され得る。複数の特徴、例えば突起602は、被覆板600の外表面から延び得る。各突起602は非外傷性であり、異なる断面を有し得る。各突起602は、被覆板600の、椎間板輪または椎体に対するインビボでの縫合を容易にするように構成される開孔604を含み得る。任意の他の好適な数の突起が代替的に利用され得るものの、示される実施形態において、被覆板600は4つの突起602を有する。代替的な一実施形態において、複数の開孔604は、非外傷性、例えば丸い角を有して、あらゆる突起602の必要性を排除する被覆板600の表面内に配設され得る。
【0042】
図7において、椎間板交換手順中の第1の椎体702及び第2の椎体704を示す。椎間板切除の後、物質が、第1の椎体702と第2の椎体704との間の損傷した椎骨の椎間板を囲む、前靱帯及び/または外帯から除去され、椎間板輪708内に開口706を形成していてもよい。椎間板(例えば、椎間板神経核)からの損傷した物質は除去され得、好適な手順によって、人工椎間板500が第1の椎体702と第2の椎体704との間に挿入され得る。
図8に見られるように、被覆板600は、開口706の椎間板切除を被覆して、第1の椎体702と第2の椎体704との間の人工椎間板500の固定を維持するために利用され得る。つまり、被覆板600は、手順が完了した後、人工椎間板500が駆逐されることを防ぎ得る。被覆板600は、開口706を通して被覆板600を挿入するために、折り曲げられ得るか、または折り畳まれ得る。組み立てられた構成、または設置された構成において、被覆板600は、第1及び第2の椎体702、704の外周内に配設され得る。圧縮力または折り曲げ力が解放され、被覆板600が開口706を通して挿入されると、被覆板600及び/または突起602は、椎体702、704の内周に向かって付勢し、人工椎間板が開口706を通って吐き出されることを防ぎ得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの突起602は第1の椎体702に対して固定され得る一方で、少なくとも1つの他の突起602は第2の椎体704に対して固定され得る。いくつかの実施形態において、被覆板600を第1及び第2の椎体702、704に追加的にまたは代替的に固定するために、縫合は開孔604を通して配置され得る。いくつかの実施形態において、人工椎間板500を配置に維持するために、被覆板600は人工椎間板500に偏り得る。
【0043】
いくつかの実施形態において、人工椎間板500は、摩耗粉を引き起こし得る部品を有さない、簡潔な設計を有する移植片を提供し得る。いくつかの実施形態において、粘弾性コア530の特性は、衝撃力を吸収するための、移植片レベルでの動的運動を可能にし得る。人工椎間板500の設置は比較的容易で反復可能であり、他の人工椎間板の設置と比較してより少ない血液損失を有し得る。いくつかの実施形態において、被覆板600は、患者の全余寿命などの長期間、人工椎間板500を固定し得る。被覆板600の形状及び可撓性特性は、被覆板600に、所与の患者の特定の脊髄幾何学の天然の湾曲を模倣させ得る。例えば、被覆板600は、第1及び第2の椎体702、704の天然の湾曲及び特定の幾何学を模倣し得る。いくつかの実施形態において、所望される場合、被覆板600は、他の移植片とともに、またはあるいは、椎間板神経核または他の損傷した物質ではなく椎間板輪708を修復するための手順において、使用され得る。
【0044】
本開示の一実施形態に従う人工椎間板900を、
図9に描写する。人工椎間板900は、上端板910と、下端板920と、上端板910と下端板920との間に配設されるコア930と、を含み得る。上端板910、下端板920、及びコア930は、コア930が外表面またはコア930から延びる少なくとも1つの固定機構940を更に含み得る以外は、
図5に関して記載した上端板510、下端板520、及びコア530に実質的に類似し得る。固定機構940は、開孔950を有する少なくとも1つの突起を含み得、コア930と実質的に同一の材料から形成され得る。代替的な一実施形態において、所望される場合、固定機構は、コア930とは異なる材料または材料の組み合わせから作製され得る。2つの角に描写されるものの、固定機構940は、人工椎間板900のエッジ上の任意の位置に位置付けられ得る。
【0045】
図10において、椎間板交換手順中の第1の椎体1002及び第2の椎体1004を示す。椎間板切除の後、物質が、第1の椎体1002と第2の椎体1004との間の損傷した椎骨の椎間板を囲む、前靱帯及び/または外帯から除去され、椎間板輪1008内に開口1006を形成していてもよい。例えば、椎間板神経核などの損傷した物質は椎骨椎間板から除去され得、好適な手順によって、人工椎間板900が第1の椎体1002と第2の椎体1004との間に挿入され得る。突起940は、開口1006を通した、椎体1002と椎体1004との間への人工椎間板900の挿入を可能にするために、
図8に示すようにともに圧縮及び/または縫合され得る。挿入後、圧縮力が解放されるか、または縫合が切断され得、その後突起940は、
図11に示すように、それらの初期静止位置に向かって、及び椎間板輪1008及び/または第1及び第2の椎体1002、1004の内周に向かって移動(例えば、跳ね返る)され得る。
【0046】
いくつかの実施形態において、突起940は、人工椎間板900を、第1の椎体1002と第2の椎体1004との間に、例えば患者の余寿命などの長期間固定し得る。突起940の形状及び可撓性特性は、人工装置900に、所与の患者の脊椎の天然の湾曲を模倣させ得る。開孔950は、人工椎間板900を固定するための追加の機構を更に提供し得る。
【0047】
例示的端板1200を、
図12に描写する。所望される場合、端板1200は上端板または下端板であり得る。端板1200は、外表面1210を有し得る。表面1210は、二重凸状、すなわち、左から右に及び前から後ろに湾曲し得るか、別の好適な構成を有し得る。この湾曲は、表面1210に部分的にドーム状または球状の形状を与え得る。湾曲は、椎体の端板の天然の湾曲に対して相補的であり得、表面1210と椎体との間の解剖学的適合を提供し得る(
図12には図示せず)。1つ以上の鋸歯状キール1220は、表面1210上に位置付けられ得る。各キール1220は、人工椎間板を組み込む端板1200の前方/後方軸に沿っておよそ整列される長軸方向の軸を有し得る。あるいは、端板1200は、いかなるキール1220をも有さない滑表面を有し得る。端板1200は、二重凸状表面1210から、端板1200の長軸方向の軸に対して実質的に垂直な方向(例えば、脊椎のY軸または垂直軸に沿って外側)に延びる突起1230を更に含み得る。所望される場合、他の形状が代替的に利用され得るものの、突起1230は部分的に球状またはドーム形であり得る。いくつかの実施形態において、他の好適な構成が代替的に利用され得るものの、キール1220は、Y軸に沿って、表面1210から突起1230よりも更に外側に延び得る。所望される場合、端板1200は異なる断面を有し得る。突起1230は表面1210と一体であり得るか、または好適な機構によって取り付けられ得る。更に、突起1230は、例えば、窪みまたは隆起などの幾何学的特徴を含み得る。端板1200の第1の軸に沿って延びるものとして描写される一方で、突起1230は、代替的に、第1の軸に対して実質的に垂直である端板1200の第2の軸に沿って延び得る。
【0048】
図12に関して記載される外表面1210及びキール1220に実質的に類似する、外表面1310及び1つ以上の鋸歯状キール1320を有する例示的な端板1300を、
図13に描写する。あるいは、端板1300は、いかなるキール1320をも有さない滑表面を有し得る。端板1300は、二重凸状表面1310から、端板1300の長軸方向の軸に対して実質的に垂直な方向(例えば、脊椎のY軸または垂直軸に沿って外側)に延びる突起1330を更に含み得る。突起1330は一般的に部分的に樽形で、可変性の半径を有し得、互いの鏡像である1対の凸状表面1340によって画定され得る。しかしながら、所望される場合、他の好適な形状が代替的に利用され得る。いくつかの実施形態において、他の好適な構成が代替的に利用され得るものの、キール1320は、Y軸に沿って、表面1310から突起1330よりも更に外側に延び得る。所望される場合、端板1300は異なる断面を有し得る。突起1330は表面1310と一体であり得るか、または好適な機構によって取り付けられ得る。更に、突起1330は、例えば、窪みまたは隆起などの幾何学的特徴を含み得る。端板1300の第1の軸に沿って延びるものとして描写される一方で、突起1330は、代替的に、第1の軸に対して実質的に垂直である端板1300の第2の軸に沿って延び得る。
【0049】
図12に関して記載される外表面1210及びキール1220に実質的に類似する、外表面1410及び1つ以上の鋸歯状キール1420を有する例示的な端板1400を、
図14に描写する。あるいは、端板1400は、いかなるキール1420をも有さない滑表面を有し得る。端板1400は、二重凸状表面1410から、端板1400の長軸方向の軸に対して実質的に垂直な方向(例えば、脊椎のY軸または垂直軸に沿って外側)に延びる突起1430を更に含み得る。突起1430は、一般的に部分的に円柱状であり得る。しかしながら、所望される場合、他の好適な形状が代替的に利用され得る。いくつかの実施形態において、他の好適な構成が代替的に利用され得るものの、キール1420は、Y軸に沿って、表面1410から突起1430よりも更に外側に延び得る。所望される場合、端板1400は異なる断面を有し得る。突起1430は表面1310と一体であり得るか、または好適な機構によって取り付けられ得る。更に、突起1430は、例えば、窪みまたは隆起などの幾何学的特徴を含み得る。端板1400の第1の軸に沿って延びるものとして描写される一方で、突起1430は、代替的に、第1の軸に対して実質的に垂直である端板1400の第2の軸に沿って延び得る。
【0050】
突起1230、1330、及び1430は、端板1200、1300、及び1400を利用して人工椎間板の挿入を容易にし得、嵌入を低減し得る。突起1230、1330、及び1430は、上端板及び/または下端板に沿って配設され得、それぞれの脊髄の椎骨端板の最も凹状の部分における荷重負荷の支持を提供し得る。
【0051】
本開示のいくつかの実施形態に適用可能な1つの考慮は、椎間板位置に関わらず、同一の程度の回転を維持するための願望を含み得る。これは、義装/人工椎間板が、経椎間孔アプローチを通して椎間円板の空間に配置されるときに当てはまり得る。義装椎間板は、椎体の前方−後方軸及び/または椎体の内側−側方軸のいずれかから片寄った角度で椎骨空間内に位置するため、義装椎間板の関節運動する表面間に均一な自由度を提供して、前方−後方方向及び内側−側方方向の自然な動作を考慮に入れること、ならびに結合した運動に対する均一な自由度を提供することが望ましくあり得る。この動作の自由度は、椎間板の形状、その止め具、及び他の構造的特徴が、他の方向の自由度よりも大きくある特定の方向の自由度を限定しないように、義装椎間板の形状との組み合わせで設計され得る。
【0052】
本開示の実施形態のうちのいくつかにおける別の考慮は、異なる移植アプローチを補完する、義装椎間板の形状の設計を企図する。例えば、矩形の義装椎間板は、斜角での挿入のために特に良好に構成され得る。経椎間孔窓は小さいため、矩形の義装椎間板は、椎間円板の空間への椎間板のより容易な挿入を可能にする細いプロファイルを提供し得る。更に、これらの特有の形状はまた、椎間円板の空間の骨との安定した接触を形成するために十分な椎間板表面区域を提供し得る。更に、特定のサイズは、それらのそれぞれの動作が安定するような、関節運動する表面のための十分な区域を提供することによって、椎間板そのものの改善した安定性を提供し得る。これらの要因のうちのいくつかまたはすべては、椎間板を経椎間孔移植、すなわち前方−後方または内側−側方アプローチに対する斜角での移植のために特に良好に好適にする形状特性を有する、椎間板設計につながり得る。約2対1の長さ対幅の比率を有する義装椎間板が、該椎間板が経椎間孔窓内にフィットし、骨の接触及び関節運動表面区域の接触のための最適な接触区域を提供するという点において、経椎間孔移植にとって特に良好に好適であるということが見出されている。したがって、他の好適な構成もまた企図されるものの、例えば、一実施形態において、義装椎間板は30mmの長さ及び15mmの幅を有し得る。代替的な実施形態において、義装椎間板は、約26〜34mmの長さ及び約13〜16mmの幅を有し得る。
【0053】
本明細書に記載される各実施形態に関して、様々な表面の特定の方向及び構成は、修正または相互交換され得る。したがって、上部端板は下部端板であり得、逆も真である。同様に、止め具は、いずれかまたは両方の端板上に形成され得る。したがって、キールは、両方の端板上にあっても、または端板上になくてもよい。更に、本開示の義装椎間板は、例えば、骨の内部成長/上方成長を亢進するか、またはそれに役立つ、チタンスプレーもしくは他のコーティングまたは表面沈着物を含む、任意の数の他の特徴を更に含み得る。同様に、端板自体は、全体的または部分的に、骨の内部成長/上方成長を亢進する材料で形成されるか、またはそのような材料を含み得る。また、金属上に金属がある設計が企図される1つの種類であるものの、本明細書に開示される様々な実施形態は、任意の特定の材料からなる構築物に限定されない。
【0054】
あらゆる実施形態において説明されるあらゆる態様は、本明細書に説明されるあらゆる他の実施形態とともに使用され得る。本明細書に説明される各装置及び器具は、例えば、椎骨の椎間板交換手順などの好適な医療手順において使用され得、任意の好適な体内腔及び体腔を通して進入され得る。
【0055】
開示されるシステム及びプロセスにおいて、本発明の範囲から逸脱せずに様々な修正及び変更がなされ得ることが、当業者にとって明らかになるであろう。本発明の他の実施形態は、本明細書の考慮及び本明細書に開示される本発明の実施から、当業者にとって明らかになるであろう。本明細書及び実施例は、例示的なもののみであると見なされることが意図される。以下の開示は、いくつかの他の例示的な実施形態を特定する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、様々な例示的実施形態を図示し、説明とともに、開示される実施形態の原理を説明する役割を果たす。
【
図1】本開示の一実施形態に従う人工椎間板の分解立体図の図示である。
【
図2】本開示の一実施形態に従う人工椎間板の断面図の図示である。
【
図3】本開示の一実施形態に従う人工椎間板の側面透視図の図示である。
【
図4】
図3の人工椎間板の部分分解立体側面透視図の図示である。
【
図5】本開示の一実施形態に従う人工椎間板の側面透視図の図示である。
【
図6】本開示の一実施形態に従う被覆板の前面透視図の図示である。
【
図7】本開示の一実施形態に従う、インビボで、椎体間に設置される、
図5の人工椎間板の透視図の図示である。
【
図8】本開示の一実施形態に従う、インビボで、椎体に隣接して設置される、
図6の被覆板の透視図の図示である。
【
図9】本開示の別の実施形態に従う人工椎間板の側面透視図の図示である。
【
図10】本開示の一実施形態に従って、第1の構成にありながら、インビボで、椎体間に部分的に設置される、
図9の人工椎間板の透視図の図示である。
【
図11】本開示の一実施形態に従って、第2の構成にありながら、インビボで、椎体間に設置される、
図9の人工椎間板の透視図の図示である。
【
図12】本開示の一実施形態に従う端板の透視図の図示である。
【
図13】本開示の一実施形態に従う端板の透視図の図示である。
【
図14】本開示の一実施形態に従う端板の透視図の図示である。