特許第6543264号(P6543264)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6543264商用車で使用されるバネブレーキアクチュエータ、レリーズボルト及びこのようなボルトの前記バネブレーキアクチュエータでの使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543264
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】商用車で使用されるバネブレーキアクチュエータ、レリーズボルト及びこのようなボルトの前記バネブレーキアクチュエータでの使用方法
(51)【国際特許分類】
   B60T 13/38 20060101AFI20190628BHJP
【FI】
   B60T13/38
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-558695(P2016-558695)
(86)(22)【出願日】2015年4月17日
(65)【公表番号】特表2017-515717(P2017-515717A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】EP2015000811
(87)【国際公開番号】WO2015172862
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2018年4月13日
(31)【優先権主張番号】14001699.9
(32)【優先日】2014年5月14日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】315014327
【氏名又は名称】ヴァブコ・ヨーロッパ・ベスローテン・フェンノートシャップ・メット・ベペルクテ・アーンスプラーケレクヘイト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ドブロヴォルスキ・バルトシュ
(72)【発明者】
【氏名】グジェシュチュク・ミハウ
(72)【発明者】
【氏名】ショズダ・アンドジェイ
【審査官】 竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−151213(JP,A)
【文献】 特表平11−511091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/00 −13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にパーキング又は緊急のバネブレーキアクチュエータであり、商用車で使用されるバネブレーキアクチュエータ(1)であって、当該バネブレーキアクチュエータが、
−シリンダハウジングベースを有するシリンダハウジング(3)と、
−ブレーキ力を作用させるための前記シリンダハウジング内に配置されたバネブレーキピストン(11)と、
−前記シリンダハウジングベースと前記バネブレーキピストンの間に配置され、前記シリンダハウジングベースから離れるように前記バネブレーキピストンを押すのに有効な圧縮バネ(9)と、
−ネジ部(37)を有する、好ましくはハーフレリーズボルトであるブレーキレリーズボルト(19)と、
−前記ネジ部(37)に螺合し、前記圧縮バネの力に対して前記バネブレーキピストンを移動させるのに適合された回転ナットと、
−前記ブレーキレリーズボルトに固定して取り付けられ、前記回転ナットを前記ネジ部に沿って移動させるのに有効な固定ナット(31)と
を含み、前記バネブレーキピストンが、前記回転ナットに対して当接するよう適合されたフランジ部を含んでいる前記バネブレーキアクチュエータにおいて、
前記シリンダハウジングベースから離れるように延びる前記シリンダハウジング内に突出部(27)が設けられていること、及び前記回転ナットと前記固定ナットの間の位置において前記ブレーキレリーズボルト上に配置され、前記バネブレーキピストン(11)の所定のストローク位置において前記突出部(27)に当接するように適合されたストッパ(25)が設けられていることを特徴とするバネブレーキアクチュエータ。
【請求項2】
前記ストッパ(25)及び前記突出部(27)が、前記圧縮バネ(9)が前記バネブレーキピストン(11)にとってゼロストローク位置へ到達するのに十分離れて圧縮される場合に互いに当接するように互いに配置されていることを特徴とする請求項1記載のバネブレーキアクチュエータ(1)。
【請求項3】
前記ストッパ(25)及び前記突出部(27)が、これらストッパ(25)及び突出部(27)が互いに当接するときに、前記シリンダハウジングベース(5)及び/又は前記バネブレーキピストン(11)の前記フランジ部(23)が弾性的に変形するように互いに配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載のバネブレーキアクチュエータ(1)。
【請求項4】
前記ブレーキレリーズボルト(19)における前記ネジ部(37)が、第1のネジ方向を有する第1のネジ部であり、前記ブレーキレリーズボルト(19)が、前記第1のネジ部について逆の方向を有する第2のネジ部(35)を更に含んでいることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のバネブレーキアクチュエータ(1)。
【請求項5】
前記ストッパ(25)が、前記ブレーキレリーズボルト(19)における前記第1のネジ部と第2のネジ部(37,35)の間に配置されていることを特徴とする請求項4記載のバネブレーキアクチュエータ(1)。
【請求項6】
前記ブレーキレリーズボルト(19)の前記第2のネジ部(35)が、前記シリンダハウジングベース(5)に設けられた対応するネジ部に螺合していることを特徴とする請求項5記載のバネブレーキアクチュエータ(1)。
【請求項7】
前記突出部(27)が、前記シリンダハウジングベース(5)の開口部に固定して取り付けられたボス(29)として形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のバネブレーキアクチュエータ(1)。
【請求項8】
前記ボス(29)が、
・溶接、
・はんだ付け、
・螺着、及び
・嵌合
のうち少なくともいずれかによって前記シリンダハウジングベース(5)に取り付けられていることを特徴とする請求項7記載のバネブレーキアクチュエータ(1)。
【請求項9】
前記ストッパ(25)が、前記ブレーキレリーズボルト(19)におけるショルダ(41)として形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のバネブレーキアクチュエータ(1)。
【請求項10】
前記ストッパ(25)が、前記ブレーキレリーズボルトにおける前記第1のネジ部と前記第2のネジ部(37,35)の間の円すい状の移行部を有するショルダとして形成されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のバネブレーキアクチュエータ(1)。
【請求項11】
前記ストッパ(25)が、
・シーガーリング、
・バネリング、
ブレーキレリーズボルトに嵌合されたリング、及び
・ワッシャ
のうち少なくともいずれかとして形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のバネブレーキアクチュエータ(1)。
【請求項12】
前記固定ナット(31)が、シヤーピン(32)によって前記ブレーキレリーズボルト(19)に対して回転自在に固定されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のバネブレーキアクチュエータ(1)。
【請求項13】
特にハーフレリーズボルトであり、請求項1〜12のいずれか1項に記載のバネブレーキアクチュエータ(1)における使用のためのブレーキレリーズボルト(19)であって、
−第1のネジ方向を有し、バネブレーキシリンダハウジング(3)内で回転ナット(21)の対応するネジ部と螺合するように適合された、第1のネジ部(37)と、
−前記第1のネジ方向とは逆のネジ方向を有し、前記バネブレーキアクチュエータ(1)のシリンダハウジングベース(5)の開口部に固定して取り付けられたボス(29)に設けられた対応するネジ部と螺合するように適合された第2のネジ部(35)と、
−前記ブレーキレリーズボルト(19)に固定して取り付けられた固定ナット(31)と
を含む前記ブレーキレリーズボルト(19)において、
前記第1のネジ部と前記第2のネジ部(37,35)の間の位置で前記ブレーキレリーズボルト(19)上に配置され、前記バネブレーキピストン(11)の所定のストローク位置で前記シリンダハウジングベース(5)から離れるように延びる前記シリンダハウジング(3)内に設けられた突出部(27)に当接するように適合されたストッパ(25)が設けられていることを特徴とするブレーキレリーズボルト。
【請求項14】
シリンダハウジングベース(5)とバネブレーキピストン(11)の間に配置された圧縮バネ(9)に対してバネブレーキアクチュエータ(1)の前記バネブレーキピストン(11)を移動させるための、請求項13記載のブレーキレリーズボルト(19)の使用方法であって、前記圧縮バネ(9)が、前記シリンダハウジングベース(5)から離れるように前記バネブレーキピストン(11)を押すのに有効である前記使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にパーキング又は緊急のバネブレーキアクチュエータであり、商用車で使用されるバネブレーキアクチュエータであって、当該アクチュエータが、シリンダハウジングベースを有するシリンダハウジングと、ブレーキ力を作用させるための前記シリンダハウジングに配置されたバネブレーキピストンと、前記シリンダハウジングベースと前記スプリングブレーキピストンの間に配置され、前記ベースから離れるように前記バネブレーキピストンを押すのに有効な圧縮バネと、ネジ部を有する、好ましくはハーフレリーズボルトであるブレーキレリーズボルトと、前記ネジ部に螺合し、前記圧縮バネの力に対して前記バネブレーキピストンを移動させるのに適合された回転ナットと、前記ボルトに固定して取り付けられ、前記回転ナットを前記ネジ部に沿って移動させるのに有効な固定ナットとを含み、スプリングブレーキピストンが、前記回転ナットに対して当接するよう適合されたフランジ部を含んでいる前記バネブレーキアクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
典型的には例えば左ネジである第1のネジ部及び例えば右ネジである第2のネジ部を含むハーフレリーズボルト(half−release bolt)を用いる場合には、回転ナットが好ましくは第1のネジ部と協働し、固定ナットが第2のネジ部と協働する。
【0003】
上述のタイプのバネブレーキアクチュエータは、フットブレーキと緊急ブレーキシステム及びパーキングブレーキシステムとの組み合わされた機能を提供するために、特にダイヤフラム機構と組み合わせて商用車産業では広く用いられている。本発明の観点では、シリンダハウジングでの圧縮バネの機能は特に重要である。いわゆるレリーズ位置において操作される場合には、バネブレーキアクチュエータは、対応する圧力チャンバにおいて正圧を作用させることで圧縮された状態にある圧縮バネを保持する。
【0004】
例えばハンドブレーキバルブの作動によって、対応する圧力チャンバの排気をすることで、圧力チャンバが排気される。続いて降下が起こり、圧力が圧縮バネの応答範囲へ達すると、バネの力がチャンバ内の残留圧力に打ち勝ち、ブレーキシステムのプッシュロッド及びピストンへ伝達されるべきバネ力となる。このようにして、バネ力はホイールブレーキへ伝達される。
【0005】
通常、圧縮バネの作動後には、レリーズ位置は、対応する圧力チャンバの加圧及びバネをその圧縮された状態へ戻すように移動させることで復帰され得る。しかしながら、これが望まれないか、又は不可能な状況が存在する。したがって、上述のタイプのバネブレーキアクチュエータは、ブレーキレリーズボルト、ネジキャップ又はボルトに固定して取り付けられた固定ナット、バネ作動されるピストンを移動させるための回転ナット及びバネ自体を圧縮された状態へ戻すバネから成る機械式レリーズ機構を含んでおり、回転ナットの運動は、回転ナット及びブレーキレリーズボルトの回転によって生じる。
【0006】
オペレータがレリーズボルトを回転させればさせるほど、バネの圧縮が強くなり、オペレータは圧縮バネを更にレリーズ位置へ動かす。したがって、ネジ抵抗が大きくなり、それゆえオペレータはトルクを作用させる必要がある。実際には、システムが一般的に十分に機能している間は、圧縮バネがそのレリーズ位置へ到達していれば、既に作用された大きなトルクによりオペレータが認識しないという場合が起こり得る。そして、オペレータは、回転ナットを更に移動させる更に大きなトルクを作用させることがあり得る。しかしながら、圧縮バネは最大圧縮の状態を超えて圧縮され得ないため、レリーズボルトへの継続したトルクの作用はブレーキレリーズボルト、回転ナット及び/又は圧縮バネを介して作用される力へ最終的に向けられたシリンダハウジングへの潜在的なダメージにつながる。この問題は、ハーフレリーズボルトを用いる場合に大きくなる。ボルトの回転ごとのピストンの運動は、標準的なレリーズボルトによって作動されるピストンの運動の数倍、例えば3倍であり得る。そのため、トルク増大は、ハーフレリーズボルトが過度に回転する場合にはかなり急であるとともに、より少ない回転によってより大きなダメージにつながってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、誤操作により生じるダメージのリスクを低減する上述のタイプのバネブレーキアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、請求項1によるバネブレーキアクチュエータを提供することでこの課題を達成するものである。特に、本発明は、この課題を、バネブレーキアクチュエータが、シリンダハウジングベースから離れるように延びるシリンダハウジング内への突出部と、回転ナットと固定ナットの間の位置においてレリーズボルト上に配置され、バネブレーキピストンの所定のストローク位置において突出部に当接するように適合されたストッパとを含む実施例において達成される。本発明は、操作安全性を改善するために最終ストップ位置に到達しており、したがってレリーズボルトの更なる回転を停止すべきであることをオペレータに信頼性をもって表示する手段を設けることが有益であるという発見に基づくものである。明確な触覚によるフィードバックがオペレータにとって最終ストップへ到達したことを認識する非常に信頼性のある方法であることが分かった。この触覚によるフィードバックは、ストッパがレリーズボルトへ当接することによって提供される。ストッパがシリンダハウジングの内部に設けられた突出部へ到達及び当接すると、レリーズボルトを更に回転させようとすると急激なトルクの上昇がオペレータによって感じ取られる。ハウジングにおける突出部へのレリーズボルトにおけるストッパの直接的な当接によって、オペレータは、最終ストップへ到達した後にバネへ圧縮力を更に作用させず、その代わりに、レリーズボルトからの力をストッパを介して直接突出部に作用させるのみであり、圧縮バネ及び/又はシリンダハウジングベースへのダメージが回避される。操作安全性及び誤操作のリスクは、この措置によって大幅に低減される。
【0009】
本発明の別の実施例では、ストッパ及び突出部が、圧縮バネがバネブレーキピストンにとってゼロストローク位置へ到達するのに十分離れて圧縮される場合に互いに当接するように互いに配置されている。いわゆるゼロストローク位置は、圧縮バネがレリーズ位置にあり、ピストンが対応してシリンダハウジング内に収容されている位置を規定している。好ましくは、最終ストップは、ピストンがゼロストローク位置に到達したとき、又はその直後に、必要以上にオペレータがレリーズボルトへ作用させることができる回転数が制限されるように達成される。ゼロストローク位置への到達後のあり得る正確な回転数は、バネブレーキアクチュエータの寸法及び公差適用範囲により異なり得る。しかし、典型的には、前記ゼロストローク位置の到達後のあり得る回転数は、一桁の範囲である。
【0010】
好ましくは、ストッパ及び突出部が、これらストッパ及び突出部が互いに当接するときに、シリンダハウジングベース及び/又はバネブレーキピストンのフランジ部が弾性的に変形するように互いに配置されている。本発明に関しては、弾性変形は塑性変形を伴わない純粋な弾性変形と理解される。
【0011】
好ましい実施例では、レリーズボルトにおけるネジ部が、第1のネジ方向を有する第1のネジ部であり、このレリーズボルトが、第1のネジ部について逆の方向を有する第2のネジ部を更に含んでいる。例えば、第1のネジ方向は左ネジであり、一方、第2のネジ方向は右ネジであり得る。
【0012】
好ましくは、ストッパが、レリーズボルトにおける第1のネジ部と第2のネジ部の間に配置されている。
【0013】
さらに、レリーズボルトの第2のネジ部が、シリンダハウジングベースに設けられた対応するネジ部に螺合していることが好ましい。
【0014】
バネブレーキアクチュエータの好ましい実施例では、突出部が、シリンダハウジングベースの開口部に固定して取り付けられたボスとして形成されている。好ましくは、ボスが、溶接、はんだ付け、螺着、及び嵌合のうち少なくともいずれかによってシリンダハウジングベースに取り付けられている。突出部は、好ましくは貫通孔のような中空円筒部を含んでおり、第2のネジ部は前記中空円筒部の内側に配置されている。
【0015】
好ましい実施例では、ストッパが、レリーズボルトにおけるショルダとして形成されている。ストッパをショルダとして直接レリーズボルトに形成することは、オペレータによって触覚によるフィードバックとして感じ取られるトルクの急激な上昇に至る非常に大きな力の伝達を許容する非常に強固な一体設計を提供するものである。好ましくは、ストッパが、レリーズボルトにおける第1のネジ部と第2のネジ部の間の円すい状の移行部を有するショルダとして形成されている。この円すい状の形状は、突出部内及びレリーズボルト上でのネジの不意のダメージを回避する有益な機能を有している。
【0016】
上述の一体設計の代替として、好ましくは、ストッパが、シーガーリング(seeger ring)、バネリング、ボルトに嵌合されたリング、及びワッシャのうち少なくともいずれかとして形成されている。
【0017】
これらの交換可能なストッパ部分は、市場において容易に入手可能であるとともに、信頼性をもって及び迅速にレリーズボルトへ組み込まれることが可能であり、後者の経済的な製造に結び付くものである。
【0018】
好ましい別の実施例では、固定ナットが、シヤーピンによってレリーズボルトに対して回転自在に固定されている。シヤーピンは、好ましくは、オペレータが過剰なトルクを固定ナットへ作用させると破断し、破壊されるように設定されている。ここで、過剰なトルクは、通常はオペレータが作用させるトルクよりも大きいもののボルト又は突出部のネジへのダメージがまだ生じない大きさのあらかじめ設定された大きさとして規定されている。このようなシヤーピンを用いることで、更なるトルクの作用及びねじ込みがシヤーピンの破壊によって不可能となり、固定ナットとレリーズボルトの間の力の伝達がもはやなされない。この実施例の更なる特別な利点は、シヤーピンがなくなるため、レリーズボルトへ作用される過剰な大きさの力が外部から迅速に視認可能であることにある。
【0019】
好ましい別の実施例によれば、ストッパ及び/又は突出部は、ストッパ及び突出部が互いに接触するときにそれぞれ突出部又はストッパへマークを付すために適合されたマーカを含んでいる。優先的には、マーカはストッパ上及び/又は突出部上における球体として形成されているとともに、それぞれの反対側の部分において引っかき部好ましくは刻印部を形成することに適合されている。このようにして、ピストンへの過剰な力の作用をさかのぼって検出する信頼性のある手段が提供される。更なる利点は、マークがアクチュエータハウジング内に形成されているという事実にある。したがって、マークはオペレータ自身には見えず、オペレータはレリーズ機構の誤用を隠すことを意図してマークをごまかすことができない。
【0020】
別の形態によれば、本発明は、特にハーフレリーズボルトであり、上記好ましい実施例のいずれかによるバネブレーキアクチュエータにおける使用のためのレリーズボルトであって、第1のネジ方向を有し、バネブレーキシリンダハウジング内で回転ナットの対応するネジ部と螺合するように適合された、第1のネジ部と、第1のネジ方向とは逆のネジ方向を有し、バネブレーキアクチュエータのシリンダハウジングベースに設けられた対応するネジ部と螺合するように適合された第2のネジ部と、レリーズボルトに固定して取り付けられた固定ナットとを含む前記レリーズボルトに関するものでもある。
【0021】
本発明は、第1のネジ部と第2のネジ部の間の位置でレリーズボルト上に配置され、バネブレーキピストンの所定のストローク位置でシリンダハウジングベースから離れるように延びるシリンダハウジング内に設けられた突出部に当接するように適合されたストッパが設けられていることによって上述の課題を達成するものでもある。
【0022】
好ましくは、固定ナットは、シヤーピンによってレリーズボルトに回転可能に固定されている。
【0023】
本発明によるレリーズボルトの特別な利点については、本発明によるバネブレーキアクチュエータに関する上述のコメントにおいて言及されている。
【0024】
上述のバネブレーキアクチュエータの好ましい実施例は、本発明によるレリーズボルトの好ましい実施例でもある。
【0025】
別の形態においては、本発明は、シリンダハウジングベースとバネブレーキピストンの間に配置された圧縮バネに対してバネブレーキアクチュエータのバネブレーキピストンを移動させるための、レリーズボルトの使用方法であって、圧縮バネが、シリンダハウジングベースから離れるようにバネブレーキピストンを押すのに有効である前記使用方法に関するものでもある。
【0026】
本発明は、前記操作のための上述の好ましい実施例のうちいずれかによるボルトの使用を提案することで上述の課題を達成するものである。
【0027】
本発明のより完全な理解のために、本発明を添付の図面に基づいてより詳細に説明する。詳細な説明は、本発明の好ましい実施例を図示及び記載するものであるか、又は本発明の好ましい実施例とみなされる。当然、形状又は詳細についての様々な修正及び変更を本発明の趣旨から逸脱しない限り容易に行うことができる。したがって、本発明は、図示及び記載される正確な形態及び詳細に限定されるものでもなければ、開示された本発明全体より少ないものに限定されるものでもなく、特許請求の範囲に記載されたものである。さらに、本発明を開示する明細書、図面及び特許請求の範囲に記載された特徴は、単独で又は組み合わせて考慮される本発明にとって本質的なものであり得る。特に、特許請求の範囲における参照符号は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。「含む」という用語は、他の要素又はステップを排除するものではない。「1つの」という記載は複数のものを排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の1つの実施例によるバネブレーキアクチュエータの概略的な断面図である。
図2a図1のバネブレーキアクチュエータのレリーズ機構の異なる動作状態を示す図である。
図2b図1のバネブレーキアクチュエータのレリーズ機構の異なる動作状態を示す図である。
図3a図1によるバネブレーキアクチュエータのシリンダハウジングの異なる詳細な概略断面図である。
図3b図1によるバネブレーキアクチュエータのシリンダハウジングの異なる詳細な概略断面図である。
図4a】特に図1のバネブレーキアクチュエータのレリーズボルトである、本発明の1つの実施例についてのレリーズボルトの異なる概略側面図における詳細を示す図である。
図4b】特に図1のバネブレーキアクチュエータのレリーズボルトである、本発明の1つの実施例についてのレリーズボルトの異なる概略側面図における詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1には、本発明の原理によるバネブレーキアクチュエータ1の概略的な断面図が示されている。このバネブレーキアクチュエータ1は、シリンダハウジング3を含んでいる。シリンダハウジング3内には、バネ負荷された部分7及び圧力チャンバ13が配置されている。バネ負荷された部分7は、図1の左側ではシリンダハウジングベース5上で支持され、反対側ではバネブレーキピストン11上で支持された圧縮バネ9を含んでおり、図1では、バネブレーキピストンは圧力チャンバ13内の正圧によって解放位置に保持されている。
【0030】
バネブレーキピストン11は、バネブレーキアクチュエータ1のダイヤフラム17へ作用させるために適用され、加えられた力をプッシュロッド15へ伝達するものであり、このプッシュロッドは、今度は加えられた力をホイールブレーキへ伝達するものである。
【0031】
バネブレーキアクチュエータ1は、更に機械式のレリーズ機構を含んでいる。このレリーズ機構は、レリーズボルト19を含んでいる。回転ナット21が、レリーズボルト19と螺合しているとともにレリーズボルト19に沿ってレリーズボルト19の回転運動の際に移動するように適合されている。回転ナット21は、当該回転ナットがフランジ部23へ到達するまでバネブレーキピストン11のキャビティ内で回転なしに移動するように適合されており、回転ナットはフランジ部を越えて更に移動することはできない。
【0032】
レリーズボルトは、シヤーピン32を用いてこれに固定して設けられた固定ナット31を含んでいる。レリーズボルト19は、ボス29を用いてシリンダハウジング3内へ螺着されている。ボス29は、内側円筒部を有する雌ネジを支持する突出部27を有している。レリーズボルト19は、突出部27と当接するように適合されたストッパ25を含んでいる。
【0033】
図2a及び図2bには、レリーズ機構のための運動の2つの異なる状態が示されている。特に、図2aには、ストッパ25がボス29の突出部27と接触していない場合の状態でレリーズボルトが示されている。
【0034】
一方、図2bには、第2の状態におけるレリーズボルトが示されている。この状態では、固定ナット31は、レリーズボルト19が(図2a、図2bの)左手側へ前進するよう十分に回転されている。レリーズボルト19上のストッパ25は、ボス29の突出部27に対して当接している。回転ナット21は、第1のネジ方向を有する第1のネジ状部分に沿って回転することでフランジ部23へ到達している。レリーズボルト19上の第2のネジ部35は、好ましくは逆のネジ方向を有している。図2bに示された状態では、固定ナット31へのトルクの更なる作用が突起部27によって少なくともかなりの部分まで受け止められる。このようにして、フランジ部23への回転ナットの更なる運動が回避されているとともに、それぞれフランジ部23及び/若しくはレリーズボルト19又は回転ナット21へのダメージも回避される。ボス29の剛性により、固定ナットを回転させるトルクについての増大がオペレータによって即座に知覚される。
【0035】
オペレータによって加えられたトルクがそれにもかかわらず固定ナット31において増大する場合には、シヤーピン32が破損し、オペレータによって過剰なトルクが加えられたことの他の明確な指標を提供し、レリーズ機構及びバネブレーキアクチュエータ1の内部の部品の更なるダメージも回避するものである。
【0036】
図3aには、シリンダハウジング3の概略的な断面図が示されている。シリンダハウジングベース5は、凹部38を備えている。この凹部38内には、ボス29がはめ込まれている。シリンダハウジング3に対するボス29の締結は、模範的に図3bに示されている。ボス29は、例えば溶接によって取付部39においてシリンダハウジングベース5に固定されている。
【0037】
図3bから更に分かるように、ボス29は突出部27の周囲において角度βを有する面取り部40を含んでいる。
【0038】
図4a,図4bには、レリーズボルト19がより詳細に示されている。図示の実施例におけるレリーズボルト19はショルダ41の形状のストッパ25を含んでおり、このショルダは、角度αを有する円すい形状となっている。角度αと角度βが同一であれば特に好ましい。
【0039】
ストッパ25は、レリーズボルト19の第1のネジ部37と第2のネジ部35の中間に配置されている。
【符号の説明】
【0040】
1 バネブレーキアクチュエータ
3 シリンダハウジング
5 シリンダハウジングベース
7 バネ負荷された部分
9 圧縮バネ
11 バネブレーキピストン
13 圧力チャンバ
15 プッシュロッド
17 ダイヤフラム
19 レリーズボルト
21 回転ナット
23 フランジ部
25 ストッパ
27 突出部
29 ボス
31 固定ネジ
32 シヤーピン
35 第2のネジ部
37 第1のネジ部
39 取付部
40 面取り部
41 ショルダ
α、β 角度
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b