特許第6543271号(P6543271)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6543271ポリウレタンフォームを調製するための配合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543271
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】ポリウレタンフォームを調製するための配合物
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/48 20060101AFI20190628BHJP
   C08G 18/63 20060101ALI20190628BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20190628BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20190628BHJP
   C08G 18/79 20060101ALI20190628BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20190628BHJP
【FI】
   C08G18/48 004
   C08G18/48 041
   C08G18/63 020
   C08G18/10
   C08G18/76 057
   C08G18/79 070
   C08G101:00
【請求項の数】15
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-567253(P2016-567253)
(86)(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公表番号】特表2017-516897(P2017-516897A)
(43)【公表日】2017年6月22日
(86)【国際出願番号】MX2014000212
(87)【国際公開番号】WO2015183065
(87)【国際公開日】20151203
【審査請求日】2017年12月8日
(31)【優先権主張番号】MX/A/2014/006476
(32)【優先日】2014年5月29日
(33)【優先権主張国】MX
(73)【特許権者】
【識別番号】515129386
【氏名又は名称】ダウ キミカ メキシカーナ エセ・アー・デ・セ・ウベ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】フアン・マヌエル・ヘルナンデス・ガルシア
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/135746(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/48
C08G 18/10
C08G 18/63
C08G 18/76
C08G 18/79
C08G 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンフォームを調製するための配合物であって、
(a)2つの異なるポリオキシプロピレンポリオール、エチレンオキシドキャップされたポリエーテルポリオール、及び担体ポリオール及びその中で分散されるポリマー粒子を含有する分散液または溶液であるコポリマーポリオールを含む、ポリオール組成物と、
(b)イソシアネート末端プレポリマー組成物であって、前記プレポリマー組成物の総重量に基づき、10〜48重量%のイソシアネート含有量を有し、(b1)ジフェニルメタンジイソシアネート、(b2)カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、(b3)ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、及び(b4)該イソシアネート末端プレポリマー組成物を調製するために用いられるポリエーテルポリオールの反応生成物を含む、イソシアネート末端プレポリマー組成物と、を含む、前記配合物。
【請求項2】
前記ポリオール組成物は、
(a1)2〜3.8の官能価及び85〜2,000の当量を有する、第1のポリオキシプロピレンポリオールと、
(a2)4.5〜8の官能価及び100〜175の当量を有する、第2のポリオキシプロピレンポリオールと、を含む、請求項1に記載の前記配合物。
【請求項3】
前記ポリオール組成物は、前記ポリオール組成物の総重量に基づき、
(a1)10〜23重量%の前記第1のポリオキシプロピレンポリオールと、
(a2)3〜15重量%の前記第2のポリオキシプロピレンポリオールと、
(a3)70〜2,500の当量及び10〜25重量%のオキシエチレン含有量を有す
る、30〜60重量%のエチレンオキシドキャップされたポリエーテルポリオールと、
(a4)5〜40重量%の、担体ポリオール及びその中で分散されるポリマー粒子を含有する分散液または溶液であるコポリマーポリオールと、
(a5)潜在性触媒と、
(a6)水と、を含む、請求項2に記載の前記配合物。
【請求項4】
前記ポリオール組成物は、(a1)15〜20重量%の前記第1のポリオキシプロピレンポリオールと、(a2)4.5〜10重量%の前記第2のポリオキシプロピレンポリオールと、(a3)35〜55重量%の前記エチレンオキシドキャップされたポリエーテルポリオールと、(a4)10〜35重量%の前記コポリマーポリオールと、を含む、請求項3に記載の前記配合物。
【請求項5】
前記第1のポリオキシプロピレンポリオールは、2〜3.5の官能価及び450〜1500の当量を有する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の前記配合物。
【請求項6】
前記第2のポリオキシプロピレンポリオールは、4.9〜7の官能価及び100〜160の当量を有する、請求項2〜5のいずれか1項に記載の前記配合物。
【請求項7】
前記第1のポリオキシプロピレンポリオール及び前記第2のポリオキシプロピレンポリオールの総濃度は、前記ポリオール組成物の総重量に基づき、15〜28重量%である、請求項2〜6のいずれか1項に記載の前記配合物。
【請求項8】
前記潜在性触媒は、アミン触媒である、請求項3〜7のいずれか1項に記載の前記配合物。
【請求項9】
前記ポリオール組成物は、1グラム当たり80〜110ミリグラムの水酸化カリウムの総平均ヒドロキシル価を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の前記配合物。
【請求項10】
前記イソシアネート末端プレポリマー組成物は、前記プレポリマー組成物の総重量に基づき、
(b1)25〜45重量%のジフェニルメタンジイソシアネート、
(b2)15〜35重量%のカルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、
(b3)5〜30重量%のポリメチレンポリフェニルイソシアネート、
(b4)2〜4.2の官能価、800〜3,000の当量、及び40〜77重量%のオ
キシエチレン含有量を有する、10〜25重量%のポリエーテルポリオール、
の反応生成物を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の前記配合物。
【請求項11】
100重量部の前記ポリオール組成物当たり、52〜90重量部の前記イソシアネート末端プレポリマー組成物を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の前記配合物。
【請求項12】
(a)2つの異なるポリオキシプロピレンポリオール、エチレンオキシドキャップされたポリエーテルポリオール、及び担体ポリオール及びその中で分散されるポリマー粒子を含有する分散液または溶液であるコポリマーポリオールを含む、ポリオール組成物、ならびに
(b)イソシアネート末端プレポリマー組成物であって、前記プレポリマー組成物の総重量に基づき、10〜48重量%のイソシアネート含有量を有し、(b1)ジフェニルメタンジイソシアネート、(b2)カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、(b3)ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、及び(b4)該イソシアネート末端プレポリマー組成物を調製するために用いられるポリエーテルポリオールの前記反応生成物を含む、イソシアネート末端プレポリマー組成物、の反応生成物を含む、ポリウレタンフォーム。
【請求項13】
ASTM D 3574方法に従って、50〜110キログラム毎立方メートルの密度を有する、請求項12に記載の前記ポリウレタンフォーム。
【請求項14】
ASTM D 3574方法に従って、5〜10キロパスカルの圧縮力撓み値を有する、請求項12または13に記載の前記ポリウレタンフォーム。
【請求項15】
ポリウレタンフォームから作られる多層構造を調製するための方法であって、
ポリマーフィルムを鋳型中に配置することと、
(a)ポリオール組成物及び(b)イソシアネート末端プレポリマー組成物を混合し、配合物を形成することと、
前記配合物を前記鋳型に分注することと、
前記配合物を硬化させ、前記ポリマーフィルムに付着したポリウレタンフォームを形成することと、を含み、
(a)前記ポリオール組成物は、前記ポリオール組成物の総重量に基づき、(a1)2〜3.8の官能価及び85〜2,000の当量を有する、10〜23重量%の第1のポリオキシプロピレンポリオールと、
(a2)4.5〜8の官能価及び100〜175の当量を有する、3〜15重量%の第2のポリオキシプロピレンポリオールと、
(a3)70〜2,500の当量及び10〜25重量%のオキシエチレン含有量を有する、30〜60重量%のエチレンオキシドキャップされたポリエーテルポリオールと、
(a4)5〜40重量%の、担体ポリオール及びその中で分散されるポリマー粒子を
含有する分散液または溶液であるコポリマーポリオールと、
(a5)潜在性触媒と、
(a6)水と、を含み、
(b)前記イソシアネート末端プレポリマー組成物は、前記プレポリマー組成物の総重量に基づき、10〜48重量%のイソシアネート含有量を有し、かつ(b1)ジフェニルメタンジイソシアネート、(b2)カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、(b3)ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、及び(b4)該イソシアネート末端プレポリマー組成物を調製するために用いられるポリエーテルポリオールの反応生成物を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンフォームを調製するための配合物に関する。本発明はまた、自動車用途に好適であるポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
軟質ポリウレタンフォームは、緩衝、断熱、エネルギー吸収、及び密閉などの多くの用途で広く使用される。具体的には、軟質ポリウレタンフォームは、エネルギーを吸収することが可能な自動車部品を製造するのに有用である。
【0003】
例えば、自動車フェンダーは、美的感覚のため、ならびに車輪及び前ブレーキ系を泥及び道路の破片から防ぐためのものである。ポリウレタンフォームフェンダーは通常、2つのポリマー(例えば、ポリウレタンまたはポリエチレン)フィルム層と、それらの間にあるポリウレタンフォームの層とを含む。フェンダーで使用するためのポリウレタンフォームは、フェンダーの剥離を回避するために、ポリマーフィルム層に対する十分な接着性を有することが必要とされる。
【0004】
フェンダー用の現在のポリウレタンフォームは通常、120〜150キログラム毎立方メートル(kg/m)の密度を有する。得られるフェンダーの費用及び重量を低減するために、ポリウレタンフォームの密度を低減することが望ましい。その一方で、そのような密度の低減は、硬度、表面外観、及び加工特性などの他の特性を損なうべきではない。フェンダーは概して、成形によって生成される。そのような方法において、ポリマーフィルムは、鋳型中に配置される。ポリオール(複数可)、イソシアネート(複数可)、発泡剤(複数可)、及び他の任意の添加物が混合され、発泡性配合物を形成する。次いで、そのような発泡性配合物は鋳型に注入され、ポリマーフィルムが鋳型の内表面内に裏打ちされる。重合によって、ポリウレタンフォームが形成され、膨張し、鋳型の形状をとる。発泡性配合物を硬化させた後、得られたフェンダーは、脱型される。発泡性配合物は、十分な取り扱い時間と迅速な加工のバランスをとるために、正しい反応性を有するべきである。発泡性配合物は通常、鋳型が閉鎖される前に鋳型の各空洞を充填するのに十分長い初期反応時間、及び鋳型の閉鎖後60以内にフォームが脱型されるのに十分速い硬化時間の両方を有することが必要とされる。このように形成されるフォームは、望ましくは、後のフォーム破砕ステップが必要とされないように自己破砕性フォームである。そうでなければ、フォーム破砕のために別の加工ステップが必要とされ、それは生成時間及び費用の両方を増加させ、得られるフェンダーの美的欠陥を引き起こす可能性がある。
【0005】
したがって、現在のポリウレタンフォームよりも低い密度を有し、迅速な加工と十分な取り扱い時間の正しいバランスをもたらす所望の反応性を有し、フェンダーで使用されるときに剥離しないために、ポリマーフィルムに対する十分な接着性を有し、硬度及び表面外観などのフェンダーに対する産業要件を満たし、かつ自己破砕性である、ポリウレタンフォームを調製するための配合物を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、全ての所望の特徴を有する新規の配合物を提供する。本発明の配合物は、2つの異なるポリオキシプロピレンポリオールを含む。そのような配合物から作られるポリウレタンフォームは、ASTM D 3574方法によって決定されるように、50〜110キログラム毎立方メートル(kg/m)の密度を有する。そのようなポリウレタンフォームは、Ford Laboratory Test Method BN 151−05 Method Bに従って、少なくとも9ニュートン(N)のポリマーフィルムに対する引き剥がし接着強度を示す。ポリマーフィルムに付着したそのようなポリウレタンフォームを含む多層構造は、50〜70℃の鋳型温度で、80秒以内に肉眼で観察可能な外板剥離なしで脱型されることが可能である。本発明の配合物は、自動車フェンダーに有用なポリウレタンフォームを調製するのに特に好適である。
【0007】
第1の態様において、本発明は、
(a)2つの異なるポリオキシプロピレンポリオールを含む、ポリオール組成物、ならびに
(b)イソシアネート末端プレポリマー組成物であって、プレポリマー組成物の総重量に基づき、10〜48重量パーセント(重量%)のイソシアネート含有量を有し、(b1)ジフェニルメタンジイソシアネート、(b2)カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、(b3)ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、及び(b4)第3のポリエーテルポリオールの反応生成物を含む、イソシアネート末端プレポリマー組成物を含む、ポリウレタンフォームを調製するための配合物である。
【0008】
第2の態様において、本発明は、
(a)2つの異なるポリオキシプロピレンポリオールを含む、ポリオール組成物、ならびに
(b)イソシアネート末端プレポリマー組成物であって、プレポリマー組成物の総重量に基づき、10〜48重量%のイソシアネート含有量を有し、(b1)ジフェニルメタンジイソシアネート、(b2)カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、(b3)ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、及び(b4)第3のポリエーテルポリオールの反応生成物を含む、イソシアネート末端プレポリマー組成物、の反応生成物を含む、ポリウレタンフォームである。
【0009】
第3の態様において、本発明は、第2の態様のポリウレタンフォームから作られる多層構造を調製するための方法である。本方法は、
ポリマーフィルムを鋳型中に配置することと、
(a)ポリオール組成物及び(b)イソシアネート末端プレポリマー組成物を混合し、配合物を形成することと、
配合物を鋳型に分注することと、
配合物を硬化させ、ポリマーフィルムに付着したポリウレタンフォームを形成することと、を含み、
(a)ポリオール組成物は、ポリオール組成物の総重量に基づき、(a1)2〜3.8の官能価及び85〜2,000の当量を有する、10〜23重量%の第1のポリオキシプロピレンポリオールと、
(a2)4.5〜8の官能価及び100〜175の当量を有する、3〜15重量%の第2のポリオキシプロピレンポリオールと、
(a3)70〜2,500の当量及び10〜25重量%のオキシエチレン含有量を有する、30〜60重量%のエチレンオキシドキャップされたポリエーテルポリオールと、
(a4)5〜40重量%のコポリマーポリオールと、
(a5)潜在性触媒と、
(a6)水と、を含み、
(b)イソシアネート末端プレポリマー組成物は、プレポリマー組成物の総重量に基づき、10〜48重量%のイソシアネート含有量を有し、(b1)ジフェニルメタンジイソシアネート、(b2)カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、(b3)ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、及び(b4)第3のポリエーテルポリオールの反応生成物を含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のポリウレタンフォームを調製するための配合物は、(a)少なくとも2つの異なるポリオキシプロピレンポリオールを含む、ポリオール組成物を含む。「ポリオキシプロピレンポリオール」は、本明細書において、プロピレンオキシド及び開始剤のみの重合生成物であるポリオールを指す。2つの異なるポリオキシプロピレンポリオールである第1及び第2のポリオキシプロピレンポリオールは、異なる官能価を有する。
【0011】
本発明において有用なポリオール組成物は、1つ以上の第1のポリオキシプロピレンポリオールを含む。第1のポリオキシプロピレンポリオールは、2〜3.8、2〜3.5、または2〜3の官能価を有してもよい。第1のポリオキシプロピレンポリオールは、85以上、150以上、250以上、またはさらには450以上、かつ同時に、2,000以下、1,500以下、1,000以下、またはさらには800以下の当量を有してもよい。当量は、反応部位当たりのポリオールの重量である。当量は、ポリオールの官能価によって分割されるポリオールの数平均分子量に等しい(ヒドロキシル、第一級アミン、及び第二級アミン基の組み合わされた数)。好適な市販の第1のポリオキシプロピレンポリオールとしては、例えば、全てThe Dow Chemical Companyから入手可能なVORANOL(商標)2110及びVORANOL 220−110ポリオールが挙げられる。
【0012】
第1のポリオキシプロピレンポリオールの濃度は、ポリオール組成物の総重量に基づき、10重量%以上、12重量%以上、またはさらには15重量%以上、かつ同時に、23重量%以下、22重量%以下、またはさらには20重量%以下であってもよい。
【0013】
本発明において有用なポリオール組成物はまた、1つ以上の第2のポリオキシプロピレンポリオールを含む。第2のポリオキシプロピレンポリオールは、4.5以上、4.6以上、4.9以上、またはさらには5以上、かつ同時に、8以下、7.5以下、7以下、またはさらには5.9以下の官能価を有してもよい。第2のポリオキシプロピレンポリオールは、100以上、120以上、130以上、またはさらには140以上、かつ同時に、170以下、160以下、またはさらには155以下の当量を有してもよい。
【0014】
第2のポリオキシプロピレンポリオールは、例えば、ソルビトール開始またはスクロース開始ポリオールであってもよい。好適な市販の第2のポリオキシプロピレンポリオールとしては、例えば、全てThe Dow Chemical Companyから入手可能なVORANOL 360、VORANOL 202、VORANOL 370、VORANOL 446、VORANOL 520、及びVORANOL RN 482ポリオールが挙げられる。
【0015】
第2のポリオキシプロピレンポリオールの濃度は、ポリオール組成物の総重量に基づき、3重量%以上、3.5重量%以上、4重量%以上、またはさらには4.5重量%以上、かつ同時に、15重量%以下、12重量%以下、10重量%以下、7重量%以下、またはさらには5重量%以下であってもよい。
【0016】
第1のポリオキシプロピレンポリオール及び第2のポリオキシプロピレンポリオールの総濃度は、ポリオール組成物の総重量に基づき、15重量%以上、またはさらには17重量%以上、かつ同時に、28重量%以下、またはさらには25重量%以下であってもよい。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明において有用なポリオール組成物は、エチレンオキシドキャップされたポリエーテルポリオールの総重量に基づき、10〜25重量%のオキシエチレン含有量を有する、1つ以上のエチレンオキシドキャップされたポリエーテルポリオールをさらに含む。そのようなエチレンオキシドキャップされたポリエーテルポリオールの調合は、当該技術分野においてよく知られており、概して、ヒドロキシルまたはアミン含有開始剤を使用したプロピレンオキシドの重合、続いて、エチレンオキシドを用いたキャッピングを含む。エチレンオキシドキャップされたポリエーテルポリオールのオキシエチレン含有量は、本明細書において、重合エチレンオキシドの含有量を指し、エチレンオキシドキャップされたポリエーテルポリオールの重量に基づき、12重量%以上、またはさらには15重量%以上、かつ同時に、22重量%以下、またはさらには20重量%以下であってもよい。
【0018】
本発明において有用なエチレンオキシドキャップされたポリエーテルポリオールは、2以上、2.5以上、またはさらには3以上、かつ同時に、7以下、6以下、またはさらには4.2以下の官能価を有してもよい。エチレンオキシドキャップされたポリエーテルポリオールは、200以上、800以上、またはさらには1,000以上、かつ同時に、2,500以下、2,300以下、またはさらには2,000以下の当量を有してもよい。好適な市販のエチレンオキシドキャップされたポリエーテルポリオールとしては、例えば、全てThe Dow Chemical Companyから入手可能なVORANOL CP 6001、VORANOL 4240、及びSPECFLEX(商標)NC 630ポリオールが挙げられる。
【0019】
存在する場合、エチレンオキシドキャップされたポリエーテルポリオールの濃度は、ポリオール組成物の総重量に基づき、30重量%以上、35重量%以上、またはさらには40重量%以上、かつ同時に、60重量%以下、55重量%以下、またはさらには50重量%以下であってもよい。
【0020】
本発明において有用なポリオール組成物は、1つ以上のコポリマーポリオールをさらに含んでもよい。そのようなコポリマーポリオールは通常、担体ポリオール及びその中で分散されるポリマー粒子を含有する分散液または溶液である。コポリマーポリオールは、担体ポリオール中のポリマー粒子の安定した分散を形成するために、フリーラジカル触媒の存在下で、担体ポリオール中で溶解または分散される1つ以上のエチレン性不飽和モノマーを重合させることによって生成され得る。本発明の一実施形態では、コポリマーポリオールは、スチレン及びアクリロニトリル粒子のコポリマーを含む。コポリマーポリオール中の担体ポリオールは、500以上、1,800以上、またはさらには2,200以上の当量を有する、ポリエーテルポリオールであってもよい。担体ポリオールは、ジオール、トリオール、またはこれらの混合物であってもよい。好適な担体ポリオールの例としては、両方ともThe Dow Chemical Companyから入手可能なVORANOL 4703及びVORANOL 1900ポリオールが挙げられる。
【0021】
本発明において有用なコポリマーポリオールは概して、コポリマーポリオールの総重量に基づき、5〜65重量%または22〜50重量%のポリマー固形含有量を有する。コポリマーポリオールは、ASTM D4274方法に従って、1グラムの試料当たり15〜40ミリグラム(mg KOH/g)の水酸化カリウム、または21〜30mg KOH/gの平均ヒドロキシル(OH)価を有してもよい。好適な市販のコポリマーポリオールとしては、例えば、全てThe Dow Chemical Companyから入手可能なSPECFLEX NC 701、VORALUX(商標)HL 400、及びVORANOL 3943ポリオールが挙げられる。
【0022】
存在する場合、コポリマーポリオールの濃度は、ポリオール組成物の総重量に基づき、5重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、またはさらには20重量%以上、かつ同時に、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、またはさらには25重量%以下であってもよい。
【0023】
本発明において有用なポリオール組成物はまた、潜在性(遅延作用)触媒を含んでもよい。「潜在性」または「遅延作用」触媒は、本明細書において、徐々に開始し、後に活性が増加する所望の特性を示す触媒を指す。潜在性触媒は、好ましくは、アミン触媒である。潜在性触媒は、少なくとも1つの潜在性ゲル触媒、少なくとも1つの潜在性発泡触媒、またはこれらの混合物を含んでもよい。潜在性発泡触媒は、ポリオール(複数可)とイソシアネート(複数可)の発熱反応の熱によって熱的に活性化されてもよい。本発明において有用な潜在性発泡触媒は、カルボン酸ブロック第3級アミンエーテルなどのカルボン酸でブロックされた第3級アミンであってもよい。潜在性ゲル触媒は、ポリオール(複数可)とイソシアネート(複数可)との間の反応速度を増加させ、寸法安定性を促進するために使用され得る。潜在性ゲル触媒は、脂環式第3級アミン及び脂肪族第3級アミンを含む、時間遅延特性を有するポリウレタン技術分野において既知の任意の第3級アミン触媒であってもよい。好適な潜在性ゲル触媒の例としては、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン及びN,N’−ジメチル−N,N’−ジイソプロピルヘキサメチレンジアミンなどの非ブロック脂肪族ゲル触媒;トリエチレンジアミン、N−エチルまたはメチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチルモルホリン、N−ブチルモルホリン、N,N’−ジメチルピペラジン、ビス−(ジメチルアミノ−アルキル)−ピペラジン、及び1,2−ジメチルイミダゾールの酸ブロックアミンなどの有機酸ブロック脂肪族、脂環式、または複素環第3級アミン触媒が挙げられる。好適な市販の潜在性触媒としては、例えば、Air Products Corporationから入手可能なビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エーテルベースのDABCO(商標)BL−17触媒、Momentive Performance Materialsから入手可能なNIAX(商標)A−300及びNIAX A−400第3級アミン触媒が挙げられる。
【0024】
存在する場合、ポリオール組成物中の潜在性触媒の濃度は、ポリオール組成物の総重量に基づき、0.01重量%以上、0.1重量%以上、またはさらには0.2重量%以上、かつ同時に、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、またはさらには3重量%以下であってもよい。
【0025】
本発明において有用なポリオール組成物はまた、上記の潜在性触媒とは異なる追加の触媒を含んでもよい。追加の触媒は、第3級アミン化合物、イソシアネート反応基を有するアミン、及び有機金属化合物を含んでもよい。追加の触媒は、好ましくは、第3級アミン触媒、有機スズ触媒、またはこれらの混合物を含む。好適な第3級アミン化合物の例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−ココ−モルホリン、モルホリン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、3−メトキシ−N−ジメチルプロピルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−ジメチルイソプロピルプロピレンジアミン、N,N−ジエチル−3−ジエチルアミノ−プロピルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルピペラジン、1−メチル−4−ジメチルアミノエチル−ピペラジン、1,4−ジアゾビシクロ[2,2,2]オクタン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N−ジモルホリンジエチルエーテル、ペンタメチレンジアミン、及びこれらの混合物が挙げられる。好適な市販のアミン触媒としては、例えば、Air Productsから入手可能なDABCO 33LVトリエチレンジアミン触媒、Momentive Performance Materialsから入手可能なNIAX A−4アミン触媒が挙げられる。好適な有機スズ触媒の例としては、オクタン酸第一スズ、オレイン酸第一スズ、塩化第二スズ、ジラウリン酸ジメチルスズ、及びジラウリン酸ジブチルスズが挙げられる。有機スズ触媒は概して、1つ以上の第3級アミン触媒と併用される。好適な市販の有機スズ触媒としては、例えば、Air Productsから入手可能なDABCO T−95触媒(オクタン酸第一スズ)、及びDABCO T−9触媒(ジラウリン酸ジブチルスズ)が挙げられる。
【0026】
存在する場合、追加の触媒の濃度は、ポリオール組成物の総重量に基づき、0.1重量%以上、1重量%以上、またはさらには1.5重量%以上、かつ同時に、6重量%以下、5重量%以下、またはさらには4重量%以下であってもよい。
【0027】
本発明において有用なポリオール組成物はまた、1つ以上のポリエステルポリオールを含んでもよい。ポリエステルポリオールは、多価アルコールとポリカルボン酸またはそれらの無水物の反応生成物を含んでもよい。ポリカルボン酸またはそれらの無水物は、脂肪族、脂環式、芳香族及び/または複素環であってもよい。好適なポリカルボン酸の例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、グルタコン酸、α−ヒドロムコン酸、β−ヒドロムコン酸、α−ブチル−α−エチル−グルタル酸、α,β−ジエチルコハク酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリト酸、1,4−シクロヘキサン−ジカルボン酸、またはこれらの混合物が挙げられる。好適な多価アルコールの例としては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,7−ヘプタンジオール、グリセロール;1,1,1−トリメチロールプロパン、1,1,1−トリメチロールエタン、ヘキサン−1,2,6−トリオール、α−メチルグルコシド、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、スクロース、メチルグリコシド、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、またはこれらの混合物が挙げられる。使用される場合、ポリエステルポリオールの濃度は、ポリオール組成物の総重量に基づき、0.1重量%以上、0.5重量%以上、またはさらには0.8重量%以上、かつ同時に、10重量%以下、5重量%以下、またはさらには4重量%以下であってもよい。
【0028】
本発明において有用なポリオール組成物は、ASTM D 4274方法に従って、80mg KOH/g以上、85mg KOH/g以上、またはさらには90mg KOH/g以上、かつ同時に、110mg KOH/g以下、105mg KOH/g以下、またはさらには101mg KOH/g以下の総平均OH価を有してもよい。
【0029】
本発明において有用なポリオール組成物は、発泡剤をさらに含んでもよい。好ましくは、発泡剤は水である。水の濃度は、ASTM D 4672方法によって測定されるように、ポリオール組成物の総重量に基づき、1重量%以上、2重量%以上、2.5重量%以上、またはさらには3重量%以上、かつ同時に、5重量%以下、4.5重量%以下、4重量%以下、またはさらには3.5重量%以下であってもよい。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明において有用なポリオール組成物は、ポリオール組成物の総重量に基づき、(a1)10〜23重量%の第1のポリオキシプロピレンポリオールと、(a2)3〜15重量%の第2のポリオキシプロピレンポリオールと、(a3)70〜2500の当量及び10〜25重量%のオキシエチレン含有量を有する、30〜60重量%のエチレンオキシドキャップされたポリエーテルポリオールと、(a4)5〜40重量%のコポリマーポリオールと、(a5)潜在性触媒と、(a6)水とを含む。いくつかの好ましい実施形態では、ポリオール組成物は、ポリオール組成物の総重量に基づき、(a1)15〜20重量%の第1のポリオキシプロピレンポリオールと、(a2)4.5〜10重量%の第2のポリオキシプロピレンポリオールと、(a3)35〜55重量%のエチレンオキシドキャップされたポリエーテルポリオールと、(a4)10〜35重量%のコポリマーポリオールと、(a5)潜在性触媒と、(a6)水とを含む。
【0031】
本発明において有用なポリオール組成物はまた、1つ以上の界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤は、シリコンベースの化合物であってもよい。好適な界面活性剤の例としては、シリコーン油;ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーなどの有機シリコーン−ポリエーテルコポリマー;またはこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、有機シリコーン界面活性剤が使用される。好適な市販の有機シリコーン界面活性剤としては、例えば、全てEvonik Industriesから入手可能なTEGOSTAB(商標)B 8462、TEGOSTAB B 8404、TEGOSTAB B 8871、及びTEGOSTAB B 8715LF界面活性剤;両方ともAir Productsから入手可能なDABCO DC 198及びDABCO DC 5043界面活性剤;両方ともMomentive Performance Materialsから入手可能なNIAX L−627及びNIAX L−618界面活性剤;またはこれらの混合物が挙げられる。界面活性剤は概して、ポリオール組成物の総重量に基づき、0.01〜7重量%または0.1〜6重量%の量で使用される。
【0032】
本発明において有用なポリオール組成物は、1つ以上の鎖延長剤及び/または架橋剤をさらに含んでもよい。架橋剤は、1分子当たり少なくとも3つのイソシアネート反応基、及び1イソシアネート反応基当たり400未満の当量を有してもよい。好適な架橋剤の例としては、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ、ジ、またはトリ(イソプロパノール)アミン、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びソルビトールが挙げられる。存在する場合、ポリオール組成物の総重量に基づく架橋剤の量は概して、0.1重量%以上またはさらには0.5重量%以上であり、かつ同時に、概して、10重量%以下またはさらには3重量%以下である。鎖延長剤は、1分子当たり2つのイソシアネート反応基、及び1イソシアネート反応基当たり400未満の当量を有してもよい。好適な鎖延長剤の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ビス(3−クロロ−4−アミノフェニル)メタン、及び2,4−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエンが挙げられる。存在する場合、鎖延長剤は、典型的には、ポリオール組成物の総重量に基づき、1〜50重量%または3〜25重量%の量で使用される。
【0033】
本発明の配合物はまた、(b1)ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、(b2)カルボジイミド変性MDI、(b3)ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、及び(b4)第3のポリエーテルポリオールの反応生成物を含む、イソシアネート末端プレポリマー組成物を含む。
【0034】
本発明において有用なイソシアネート末端プレポリマー組成物は、イソシアネート末端プレポリマー組成物の重量に基づき、10〜48重量%のイソシアネート含有量を有する、プレポリマー組成物を提供するために、化学量論的に過剰のイソシアネートの混合物と第3のポリエーテルポリオールの反応生成物であってもよい。イソシアネート(NCO)含有量は、本明細書において、ASTM D 445方法に従って測定される。イソシアネート末端プレポリマー組成物のNCO含有量は、イソシアネート末端プレポリマー組成物の総重量に基づき、15重量%以上またはさらには20重量%以上であってもよく、かつ同時に、35重量%以下、30重量%以下、またはさらには27重量%以下であってもよい。
【0035】
イソシアネート末端プレポリマー組成物を調製するために使用されるMDIは、4,4’−、2,4’−、もしくは2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、またはこれらの混合物であってもよい。2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物が使用されてもよい。プレポリマー組成物の総重量に基づくMDIの総濃度は概して、25重量%以上、またはさらには28重量%以上であり、かつ同時に、概して、45重量%以下、またはさらには42重量%以下である。
【0036】
イソシアネート末端プレポリマー組成物を調製するために使用されるカルボジイミド変性MDIは、上記のMDIの1つ以上のカルボジイミド変性異性体を含んでもよい。イソシアネート末端プレポリマー組成物を調製するために使用されるカルボジイミド変性MDIの濃度は、プレポリマー組成物の総重量に基づき、15重量%以上、17重量%以上、またはさらには19重量%以上、かつ同時に、35重量%以下、32重量%以下、またはさらには30重量%以下であってもよい。
【0037】
イソシアネート末端プレポリマー組成物を調製するために使用されるポリメチレンポリフェニルイソシアネートは、2以上、2.2以上、またはさらには2.3以上、かつ同時に、3以下、2.8以下、またはさらには2.7以下の平均イソシアネート官能価を有してもよい。ポリメチレンポリフェニルイソシアネートは、250以上、270以上、またはさらには290以上、かつ同時に、400以下、380以下、またはさらには360以下の数平均分子量を有してもよい。好適な市販のポリメチレンポリフェニルイソシアネートとしては、全てThe Dow Chemical Companyから入手可能なPAPI(商標)PB−219、PAPI 27、VORANATE(商標)M229、VORANATE 220、VORANATE 290、VORANATE M595、及びVORANATE M600イソシアネートが挙げられる。
【0038】
イソシアネート末端プレポリマー組成物を調製するために使用されるポリメチレンポリフェニルイソシアネートの濃度は、プレポリマー組成物の総重量に基づき、5重量%以上、10重量%以上、またはさらには15重量%以上、かつ同時に、30重量%以下、25重量%以下、またはさらには23重量%以下であってもよい。
【0039】
イソシアネート末端プレポリマー組成物を調製するために使用される第3のポリエーテルポリオールは、当該技術分野において既知の任意のポリエーテルポリオールであってもよい。第3のポリエーテルポリオールは、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドの1つ以上のコポリマーを含んでもよい。第3のポリエーテルポリオールは、第3のポリエーテルポリオールの総重量に基づき、40重量%以上、45重量%以上、またはさらには50重量%以上、かつ同時に、77重量%以下、70重量%以下、またはさらには65重量%以下のオキシエチレン含有量を有してもよい。第3のポリエーテルポリオールは、2以上、2.6以上、またはさらには3以上、かつ同時に、4.2以下、4以下、またはさらには3.8以下の官能価を有してもよい。第3のポリエーテルポリオールは、800以上、1,000以上、またはさらには1,650以上、かつ同時に、3000以下、2,800以下、またはさらには2,600以下の当量を有してもよい。第3のポリエーテルポリオールは、第3のポリエーテルポリオールの総OH含有量に基づき、40%以上またはさらには50%以上、かつ同時に、80%以下またはさらには70%以下の第1級OH含有量を有してもよい。
【0040】
イソシアネート末端プレポリマー組成物を調製するために使用される第3のポリエーテルポリオールの濃度は、プレポリマー組成物の総重量に基づき、5重量%以上、10重量%以上、またはさらには15重量%以上、かつ同時に、30重量%以下、25重量%以下、またはさらには20重量%以下であってもよい。
【0041】
好適な市販のイソシアネート末端プレポリマーとしては、例えば、The Dow Chemical Companyから入手可能なSPECFLEX NE 136及びSPECFLEX NE 141プレポリマーが挙げられる。
【0042】
イソシアネート(b1)、(b2)、及び(b3)、ならびに上記の第3のポリエーテルポリオール(b4)は、プレポリマー組成物を調製するために、当該技術分野において既知の任意の条件下で反応し得る。プレポリマーを形成するためのこの反応は、触媒の存在下で実施されてもよい。触媒は、本明細書において、ポリオール組成物中の上記の追加の触媒であってもよい。反応は、20〜100℃で実施されてもよく、完了までに1〜6時間かかってもよい。
【0043】
本発明において有用なイソシアネート末端プレポリマー組成物は、100重量部のポリオール組成物当たり、52重量部以上、60重量部以上、またはさらには70重量部以上、かつ同時に、95重量部以下、90重量部以下、またはさらには85重量部以下の量で存在してもよい。
【0044】
本発明の配合物は、以下の添加物のうちのいずれか1つまたは組み合わせをさらに含んでもよい:色素及び着色剤、難燃剤、酸化防止剤、表面改質剤、生物抑制剤、臭気マスキング剤、酸化防止剤、紫外線(UV)安定剤、帯電防止剤、及び粘度調整剤。
【0045】
本発明の配合物は、20〜29秒のクリーム時間を有してもよい。本発明の配合物は、55〜95秒または70〜94秒のゲル時間を有してもよい。本発明の配合物の上昇時間と指触乾燥時間との間の期間は、少なくとも650秒または少なくとも670秒であってもよい。クリーム時間、ゲル時間、上昇時間、及び指触乾燥時間は、本明細書において、以下の実施例に記載される手混合試験方法によって測定される。
【0046】
本発明のポリウレタンフォームは、上記のポリオール組成物、上記のイソシアネート末端プレポリマー組成物、及びいくつかの実施形態では、上記の他の任意の成分の反応生成物を含む。
【0047】
本発明のポリウレタンフォームは、(a)上記のポリオール組成物、(b)上記のイソシアネート末端プレポリマー組成物、及びいくつかの実施形態では、上記の他の任意の成分を組み合わせることによって調製されてもよい。本発明の配合物中の成分は、任意の便利な方法で、例えば、噴霧装置、静的ミキサありもしくはなしの混合ヘッド、または容器を使用することによって、一緒に混合されてもよい。概して、ポリオールは、「B」側を形成するために、水、潜在性触媒、及び任意の成分と組み合わされ、次いで、「B」側は、重合反応及び発泡を開始するために、イソシアネート末端プレポリマー組成物(「A」側)と接触させられる。
【0048】
本発明の配合物中の全ての成分が、ポリウレタンフォームを生成するための当該技術分野において既知の任意の方法で、組み合わされ、鋳型または空洞に導入されてもよい。本発明の一実施形態では、ポリウレタンフォームは、混合注入ヘッドを使用することによって調製され、配合物の2つの「側」は、組み合わされ、混合され、次いで、鋳型または空洞が充填されるために注入される。鋳型または空洞が単一の注入点から充填されると同時に、別の点から真空に引く、いわゆる「1回」注入が特に望ましい。高圧プロセスが、本発明のポリウレタンフォームを調製するのに使用されてもよい。
【0049】
一実施形態では、本発明のポリウレタンフォームは、成形ポリウレタンフォームである。成形ポリウレタンフォームは、本発明の配合物を閉鎖された鋳型に移動させることによって作成され得、そこで、成形フォームを生成するために発泡反応が起こる。本発明の配合物の硬化を促進するために鋳型が加熱される「熱成形」プロセスが使用されてもよい。本発明のポリウレタンフォームは、脱型後に空隙を形成せず、肉眼によって観察可能な表面欠陥はない。脱型後、得られたポリウレタンフォームは、生成後フォーム破砕ステップを必要としない。
【0050】
いくつかの実施形態では、本発明のポリウレタンフォームは、ASTM D 3574方法によって測定されるように、50キログラム毎立方メートル(kg/m)以上、55kg/m以上、60kg/m以上、またはさらには65kg/m以上の密度を有する。「密度」は、本明細書において、ポリウレタンフォームの成形密度を指す。同時に、ポリウレタンフォームの密度は、110kg/m以下、105kg/m以下、100kg/m以下、またはさらには95kg/m以下であってもよい。
【0051】
本発明のポリウレタンフォームは、ASTM D 3574方法に従って、2〜12キロパスカル(KPa)の圧縮力撓み(CFD)値から明らかなような所望の硬度を有する。ポリウレタンフォームのCFD値は、4KPa以上、5KPa以上、またはさらには6KPa以上、かつ同時に、10KPa以下またはさらには8KPa以下であってもよい。
【0052】
本発明のポリウレタンフォームは、自己破砕性フォームである。「自己破砕性フォーム」は、生成後フォーム破砕ステップを必要としないフォームを指す。
【0053】
本発明のポリウレタンフォームは、基板上にコーティングされるポリウレタンフォームを含む多層構造を形成するのに好適である。基板は、紙、金属、プラスチック、木板、または他の一般的に使用される基板であってもよい。多層構造は積層されてもよい。本発明の多層構造は、自動車車両用の本体(フレーム)、ボンネット、ドア、フェンダー、計器パネル、ミラー筐体、バンパー、及びトリムなど、自動車車両(例えば、自動車、トラック、及びトラクター)用途において有用である。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明の多層構造は、ポリマーフィルムの2つの層と、それらの間にある上記のポリウレタンフォームとを備える。ポリウレタンフォームは、ポリマーフィルムに直接付着してもよい。特に好適なポリマーフィルムとしては、ポリウレタンフィルム、ポリエチレンフィルム、またはこれらの組み合わせが挙げられる。そのような多層構造は、Ford Laboratory Test Method BN 151−05 Method Bによって決定されるように、少なくとも9Nの引き剥がし接着強度を有する。概して、ポリマーフィルムの厚さは、10〜60ミクロン、15〜55ミクロン、または20〜50ミクロンであってもよい。ポリウレタンフォーム層の厚さは、概して、30〜70ミリメートル(mm)、35〜65mm、または40〜60mmであってもよい。多層構造の厚さは、概して、30〜70mm、35〜65mm、または40〜60mmであってもよい。
【0055】
一実施形態では、上記のポリウレタンフォームから作られる多層構造を調製するための方法は、以下を含む:ポリマーフィルムを鋳型中に配置することと、(a)上記のポリオール組成物、(b)上記のイソシアネート末端プレポリマー組成物、及び任意に、上記の添加物を混合し、本発明の配合物を形成することと、配合物を鋳型に分注することと、配合物を硬化させ、ポリマーフィルムに付着したポリウレタンフォームを形成することとを含む。本発明の一実施形態では、任意に真空下で、ポリマーフィルムの2つの片がそれぞれ鋳型の上部及び下部中に配置される。いくつかの好ましい実施形態では、ポリエチレンフィルム及びポリウレタンフィルムが使用される。ポリマーフィルムを配置する前に、鋳型は、50〜70℃または55〜65℃の温度に加熱されてもよい。本方法は、得られた多層構造を鋳型から脱型するステップをさらに含んでもよい。多層構造は、鋳型温度が50〜70℃または55〜65℃で維持されるとき、配合物を鋳型に分注した後、80秒以下で脱型されることが可能である。多層構造は、75秒以下で脱型されてもよい。本発明の方法は、後のフォーム破砕ステップがない。得られた多層構造は、肉眼によって観察可能な表面欠陥がないか、または実質的になく、自動車産業における美的要件を満たす。
【実施例】
【0056】
本発明のいくつかの実施形態が、ここで以下の実施例に記載され、全ての部及び百分率は、別段の定めがない限り、重量による。以下の材料が実施例で使用される。
【0057】
DABCO KTM(商標)60触媒は、Air Productsから入手可能な非酸ブロックで活性制御された第3級アミンである。
【0058】
TOYOCAT(商標)D 60触媒は、Tosohから入手可能な表面硬化性アミン触媒である。
【0059】
Air Productsから入手可能なDABCO DC−1触媒は、遅延作用スズ触媒及びアミン触媒のブレンドである。
【0060】
DABCO T−12触媒は、Air Productsから入手可能なジラウリン酸ジブチルスズ触媒である。
【0061】
DABCO 33 LV触媒は、Air Productsから入手可能な第3級アミン触媒である。
【0062】
Momentive Performance Materialsから入手可能なNIAX A−4触媒は、水/イソシアネート反応を促進するためのアミン触媒ブレンドである。
【0063】
NIAX A−300触媒は、Momentive Performance Materialsから入手可能な第3級アミン遅延作用触媒である。
【0064】
ギ酸は、Quimica Industrial Olympusから入手可能である。
【0065】
グリセリンは、Pochteca Materias Primasから入手可能である。
【0066】
The Dow Chemical Companyから入手可能なSPECFLEX NC 701コポリマーポリオールは、共重合スチレン及びアクリロニトリルを含有し、約40重量%の固体及び約22mg KOH/gのOH価を有する、グラフトポリエーテルポリオールである。
【0067】
The Dow Chemical Companyから入手可能なVORANOL CP 6001ポリオールは、3の官能価、2,040の当量、及び約15重量%のオキシエチレン含有量を有する、グリセロール開始エチレンオキシドキャップされたポリオキシプロピレンポリオールである。
【0068】
The Dow Chemical Companyから入手可能なVORANOL 4240ポリオールは、2の官能価及び4,000の平均分子量を有する、エチレンオキシドキャップされたポリオキシプロピレンポリオールである。
【0069】
The Dow Chemical Companyから入手可能なSPECFLEX NC 630ポリオールは、4.2の官能価、1,810の当量、及び15.5重量%のオキシエチレン含有量を有する、エチレンオキシドキャップされたポリエーテルポリオールである。
【0070】
Coimから入手可能なDIEXTER(商標)G 156 t−63ポリオールは、890の当量及び63mg KOH/gのOH価を有する、ポリエステルポリオールである。
【0071】
The Dow Chemical Companyから入手可能なVORANOL 2110ポリオールは、2の官能価、510の当量、及び110mg KOH/gのOH価を有する、ポリオキシプロピレンポリオールである。
【0072】
The Dow Chemical Companyから入手可能なVORANOL 370ポリオールは、6.9の官能価、152の当量、及び369mg KOH/gのOH価を有する、ポリオキシプロピレンポリオールである。
【0073】
TEGOSTAB B 8715界面活性剤は、Evonik Industriesから入手可能なシリコンベースの界面活性剤である。
【0074】
The Dow Chemical Companyから入手可能なPAPI 94イソシアネートは、MDIを含有し、約2.3の官能価、約131のイソシアネート当量、及び約32重量%のNCO含有量を有する、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートである。
【0075】
イソシアネート1は、The Dow Chemical Companyから入手可能なSPECFLEX NE 170イソシアネートである。それは、27.6〜29.2重量%のNCO含有量を有する、グリコールとジフェニルメタンジイソシアネートの反応生成物を含む、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート及びイソシアネート末端プレポリマーのブレンドである。
【0076】
イソシアネート2は、The Dow Chemical Companyから入手可能なSPECFLEX NE 396イソシアネートである。それは、MDI及びポリメチレンポリフェニルイソシアネートを含有するイソシアネート混合物とポリエーテルポリオールの反応生成物を含む、30.1〜31.6重量%のNCO含有量を有する、イソシアネート末端プレポリマーである。
【0077】
イソシアネート3は、The Dow Chemical Companyから入手可能なVORALUX HE 134イソシアネートである。それは、MDI及びポリメチレンポリフェニルイソシアネートを含有するイソシアネート混合物とポリエーテルポリオールの反応生成物を含む、29.4〜30.2重量%のNCO含有量を有する、イソシアネート末端プレポリマーである。
【0078】
イソシアネート4は、The Dow Chemical Companyから入手可能なSPECFLEX NE 136イソシアネートである。それは、プレポリマー組成物の総重量に基づき、約36.8重量%のメチレンジフェニルジイソシアネート、約23.2重量%のカルボジイミド変性メチレンジフェニルジイソシアネート、及び約23.2重量%のポリメチレンポリフェニルイソシアネートを含有するイソシアネート混合物と、3の官能価、2568の当量、及び61〜65重量%のオキシエチレン含有量を有する約16.8重量%のポリエーテルポリオールの反応生成物を含む、25〜27重量%のNCO含有量を有する、イソシアネート末端プレポリマーである。
【0079】
以下の標準的な解析装置及び方法が実施例で使用される。
【0080】
ヒドロキシル(OH)価
ポリオールのOH価は、ASTM D4274方法に従って測定される。
【0081】
イソシアネート(NCO)含有量
イソシアネート化合物のイソシアネート(NCO)含有量は、ASTM D 445方法に従って測定される。
【0082】
引き剥がし接着強度試験
多層構造の引き剥がし接着強度は、Ford Laboratory Test Method BN 151−05 Method Bに従って測定される。多層構造が9N以上の引き剥がし接着強度を有する場合、多層構造は、引き剥がし接着強度試験に合格する。引き剥がし接着強度が9N未満である場合、多層構造は、引き剥がし接着強度試験に不合格となる。
【0083】
少なくとも3つの試料が試験に使用される。試料は、50mmの幅、及び100mmの最小の剥離を可能にするのに十分な長さを有する。引き剥がし接着強度試験は、以下のように引張試験機を使用して実施される。
【0084】
1.フォームから面材料を分離する。以下のステップ(1)〜(4)として進める。接着強度が決定された後、フォームに向けて各試料を保持する。
(1)試料の長さの方向に約40mmの距離にわたって、各試験試料の幅に沿って、下地材料から面材料(コーティングまたはラミネート)を手動で分離する。これは、好適な溶媒を使用して必要に応じて補助されてもよい。
(2)引張試験機の反対側のクランプから25mmの距離に、引きクランプを設置する。固定クランプ中に分離した面材料を、そして引きクランプ中に下地材料を固定し、試料の縦軸がクランプの閉鎖したジョーと直角をなすようにする。締め付け方法は、滑りまたは材料の損傷がないことを確実にするべきである。油圧で閉鎖された平坦面のクランプは、十分であることがわかっている。
(3)機械を起動し、125mm/分の速度で試料を分離し、少なくとも100mmの分離距離に対してデータが得られることを確実にする。チャート式記録計またはインターフェースで接続されたコンピュータによって測定が行われてもよい。
(4)トラバースの最初及び最後の10%に対するデータを無視し、ピーク及びトラフの平均値を決定する。
【0085】
2.面材料に対して分離した試験試料の反対側の端部において、フォームから下地材料を手動で分離する。固定クランプ中に分離した下地材料を、そして引きクランプ中に分離したフォーム及び面材料を固定する。上記のステップ(1)〜(4)として進める。
【0086】
3.接着強度に対する試験後、試験試料上でフォームの両側を検査する。フォーム部分が剥離中に破断し、一部のフォームがいずれかの表面に付着することを可能にしたかどうかを決定する。これが生じた場合、その試験試料の「フォーム引き裂き」が生じた片側または両側に対して、「フォーム引き裂き」と表記する。「フォーム引き裂き」が1つの試験試料の片側のみで生じた場合、この結果を無視し、残りの2つの試料のその側に対する平均接着強度を報告する。「フォーム引き裂き」が2つまたは3つの試料の同じ側で生じた場合、その側に対する接着強度をフォーム引き裂きとして報告する。
【0087】
4.フォームを破断することなく、面材料または下地材料のいずれかからフォームを手動で分離することが不可能である場合、これが生じる片側または両側に対する接着強度を「フォーム引き裂き」として報告する。
【0088】
圧縮力撓み(CFD)
ポリオール組成物及びイソシアネート成分(総重量:740グラム)を、高圧機(圧力:14MPa)中で混合し、次いで、60℃で11リットルの鋳型に注入する。3分後、得られるフォームを脱型し、試験前約24時間、室温で配置する。フォームのCFD値を、ASTM D 3574−03方法に従って測定する。この試験は、フォーム試料の頂部全領域にわたって50%の圧縮をもたらすために必要な力を測定することからなる。
【0089】
反応性測定
(1)手混合実験によって測定される反応性
ポリオール組成物及びイソシアネート成分(総重量:80グラム)を、3500回転毎分(rpm)でジフィー型ミキサを使用して、室温(22〜25℃)において10秒間、1リットルの容器中で混合する。いったん全ての成分が混合されると、得られる混合物の反応性を決定する。
【0090】
(2)高圧機実験によって測定される反応性
ポリオール組成物及びイソシアネート成分(総重量:80グラム)を、Krauss Maffei高圧機(圧力:11〜18MPa、温度:30℃)中で混合し、次いで、室温で1リットルの容器に注入し、得られる混合物の反応性を決定する。
【0091】
クリーム時間は、ポリオール組成物及びイソシアネート成分の混合開始から、フォームが上昇し始めるまでの期間によって測定される。
【0092】
ゲル時間は、ポリオール組成物及びイソシアネート成分の混合開始から、フォームの1〜2センチメートルの深さにスチール針または舌圧子を挿入した後、材料の長い紐が引き出され得るまでの期間によって測定される。
【0093】
カップ上部時間は、ポリオール組成物及びイソシアネート成分の混合開始から、得られる混合物が容器の上端に到達するまでの期間によって測定される。
【0094】
上昇時間は、ポリオール組成物及びイソシアネート成分の混合開始から、フォームが上昇を止めるまでの期間によって測定される。
【0095】
指触乾燥時間は、ポリオール組成物及びイソシアネート成分の混合開始から、フォームがもはや接触に対して粘着性がなくなるまでの期間によって測定される。
【0096】
実施例(Ex)1及び比較例(Comp Ex)A〜D
4.95リットルのシリンダー鋳型を使用して、表1に示される実施例1及び比較例A〜Dの配合物から作られるフォームの自己破砕特性を測定した。鋳型は鋳型圧力を測定するのに適合し、鋳型の下部に弁を有した。弁は、鋳型を開放する前に圧力を放出するために開放され得る。鋳型を加熱し、60℃で維持した。各配合物のポリオール組成物及びイソシアネート成分(総重量:331グラム)を3500rpmでジフィー型ミキサを使用して、10秒間25℃で手混合した。次いで、得られる混合物を性能試験のために鋳型に注入した。
【0097】
最大圧力は、ポリオール組成物及びイソシアネート成分を混合した4分後の鋳型圧力であった。
【0098】
最小圧力を以下のように決定した:ポリオール組成物及びイソシアネート成分を混合した後4分後に、鋳型の下部の弁を開放した。1分後、鋳型圧力を測定し、最小圧力として定義した。自己破砕性フォームは、0の最小圧力を有すると予測される。
【0099】
上記の特性は表2に示される。比較例A〜Cの配合物から作られるフォームは、閉鎖フォームであった。比較例Dの配合物から作られるフォームは、崩壊した。実施例1の配合物から作られるフォームは、0の最小圧力(5分)を示した。それは、本発明の配合物から作られるフォームが自己破砕性フォームであることを示す。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
実施例(Ex)2及び比較例E〜J
表1に示される実施例1と同じ配合物に基づき、手混合実験を用いて実施例2を調製した。表3に示される配合物に基づき、手混合実験を用いて比較例E〜Jを調製した。
【0103】
上記の手混合試験方法によって測定される上記の配合物の反応性は、表4に示される。比較例Eの配合物から作られるポリウレタンフォームは、フォーム表面に空洞を有した。比較例Fの配合物に対する反応時間は、十分な取り扱い時間を可能にするには短すぎた。比較例Gの配合物に対する反応時間は、許容するにはあまりに長かった。比較例Iの配合物から作られるフォームは、崩壊した。比較例H及びJ、ならびに実施例2の配合物の全てが、所望の反応時間を示した。
【0104】
実施例2の配合物から作られるフォームの硬度もまた、上記の試験方法に従って決定した。そのようなフォームは、6〜8KPaのCFD値を有する十分な硬度を有した。
【0105】
【表3】
【0106】
【表4】
【0107】
多層構造1ならびに比較多層構造A及びB
表5に示される配合物に基づき、多層構造1ならびに比較多層構造A及びBを調製した。
【0108】
4つの空洞を有する二つ割りの1.22リットルの鋳型を加熱し、60℃で維持した。次いで、一片のポリウレタンフィルム(厚さ:0.001インチ(25ミクロン))を、真空系を使用して鋳型の下部に配置した。もう一片のポリウレタンフィルムを鋳型の上部に手動で配置した。各配合物のポリオール組成物及びイソシアネート成分(総重量:(2グラム)をKrauss Maffei高圧機中で混合し、次いで、60℃で維持された鋳型の空洞に注入した。混合物が第1の空洞に注入されてから20秒後、鋳型を閉鎖した。60秒後、得られる多層構造を脱型した。多層構造中のフォームの密度を、ASTM D 3574方法に従って測定した。
【0109】
配合物、得られたフォーム及び多層構造の特性は、表5に示される。比較例Hの配合物は、鋳型の4つの空洞を充填することが可能であった。しかしながら、そのような配合物から作られるフォームは、手でポリウレタンフィルムから容易に剥離された(比較多層構造A)。それは、比較例Hの配合物から作られるフォームが、ポリウレタンフィルムに対して非常に不十分な接着性を有したことを示す。
【0110】
比較例Jの配合物は、鋳型の4つの空洞を充填することが可能であった。しかしながら、そのような配合物から作られる比較多層構造Bは、Ford Laboratory Test Method BN 151−05 Method Bに従って、9N未満の引き剥がし接着強度を示し、したがって引き剥がし接着強度試験に不合格であった。
【0111】
上記の高圧機試験方法によって測定される実施例1の配合物の反応性は、表5に示される。この配合物は、鋳型の4つの空洞を充填することが可能であった所望の反応性を示した。実施例1の配合物から作られるフォームは、55kg/mの成形密度を有した。そのようなフォームを含む多層構造1は、80秒で脱型されることが可能であり、肉眼によって観察可能な表面欠陥はなかった。多層構造1は、Ford Laboratory Test Method BN 151−05 Method Bに従った9Nの引き剥がし接着強度要件を満たした。それは、本発明の配合物から作られるフォームが、ポリウレタンフィルムに対して十分な接着性を有したことを示す。
【0112】
多層構造2
表1に示される実施例1の配合物に基づき、多層構造2を調製した。二つ割りの4.95リットルの鋳型を加熱し、60℃で維持した。次いで、一片のポリエチレンフィルム(厚さ:40ミクロン)を、鋳型の上部に配置した。配合物のポリオール組成物及びイソシアネート成分(総重量:272グラム)をOMS高圧機中で混合し、次いで、60℃で維持された鋳型に注入した。混合物が鋳型に注入されてから20秒後、鋳型を閉鎖した。60秒後、得られる多層構造を脱型した。多層構造2中のフォームの密度を、ASTM D 3574方法に従って測定した。
【0113】
得られたフォーム及び多層構造2の特性は、表5に示される。実施例1の配合物は、鋳型を充填することが可能であった所望の反応性を示した。実施例1の配合物から作られるフォームは、55kg/mの成形密度を有した。そのようなフォームを含む多層構造2は、80秒で脱型されることが可能であり、肉眼によって観察可能な表面欠陥はなかった。多層構造2は、12Nの引き剥がし接着強度を達成し、Ford Laboratory Test Method BN 151−05 Method Bに従った9Nの引き剥がし接着強度要件を満たした。それは、本発明の配合物から作られるフォームが、ポリエチレンフィルムに対して十分な接着性を有したことを示す。
【0114】
【表5】
なお、本発明は次の実施態様を含む。
(1)ポリウレタンフォームを調製するための配合物であって、
(a)2つの異なるポリオキシプロピレンポリオールを含む、ポリオール組成物と、
(b)イソシアネート末端プレポリマー組成物であって、前記プレポリマー組成物の総重量に基づき、10〜48重量%のイソシアネート含有量を有し、(b1)ジフェニルメタンジイソシアネート、(b2)カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、(b3)ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、及び(b4)第3のポリエーテルポリオールの反応生成物を含む、イソシアネート末端プレポリマー組成物と、を含む、前記配合物。
(2)前記ポリオール組成物は、
(a1)2〜3.8の官能価及び85〜2,000の当量を有する、第1のポリオキシプロピレンポリオールと、
(a2)4.5〜8の官能価及び100〜175の当量を有する、第2のポリオキシプロピレンポリオールと、を含む、上記(1)に記載の前記配合物。
(3)前記ポリオール組成物は、前記ポリオール組成物の総重量に基づき、
(a1)10〜23重量%の前記第1のポリオキシプロピレンポリオールと、
(a2)3〜15重量%の前記第2のポリオキシプロピレンポリオールと、
(a3)70〜2,500の当量及び10〜25重量%のオキシエチレン含有量を有する、30〜60重量%のエチレンオキシドキャップされたポリエーテルポリオールと、
(a4)5〜40重量%のコポリマーポリオールと、
(a5)潜在性触媒と、
(a6)水と、を含む、上記(2)に記載の前記配合物。
(4)前記ポリオール組成物は、(a1)15〜20重量%の前記第1のポリオキシプロピレンポリオールと、(a2)4.5〜10重量%の前記第2のポリオキシプロピレンポリオールと、(a3)35〜55重量%の前記エチレンオキシドキャップされたポリエーテルポリオールと、(a4)10〜35重量%の前記コポリマーポリオールと、を含む、上記(3)に記載の前記配合物。
(5)前記第1のポリオキシプロピレンポリオールは、2〜3.5の官能価及び450〜1500の当量を有する、上記(2)〜(4)のいずれか1項に記載の前記配合物。
(6)前記第2のポリオキシプロピレンポリオールは、4.9〜7の官能価及び100〜160の当量を有する、上記(2)〜(5)のいずれか1項に記載の前記配合物。
(7)前記第1のポリオキシプロピレンポリオール及び前記第2のポリオキシプロピレンポリオールの総濃度は、前記ポリオール組成物の総重量に基づき、15〜28重量%である、上記(2)〜(6)のいずれか1項に記載の前記配合物。
(8)前記潜在性触媒は、アミン触媒である、上記(3)〜(7)のいずれか1項に記載の前記配合物。
(9)前記ポリオール組成物は、1グラム当たり80〜110ミリグラムの水酸化カリウムの総平均ヒドロキシル価を有する、上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の前記配合物。
(10)前記イソシアネート末端プレポリマー組成物は、前記プレポリマー組成物の総重量に基づき、
(b1)25〜45重量%のジフェニルメタンジイソシアネート、
(b2)15〜35重量%のカルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、
(b3)5〜30重量%のポリメチレンポリフェニルイソシアネート、
(b4)2〜4.2の官能価、800〜3,000の当量、及び40〜77重量%のオ
キシエチレン含有量を有する、10〜25重量%の前記第3のポリエーテルポリオール、の反応生成物を含む、上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の前記配合物。
(11)100重量部の前記ポリオール組成物当たり、52〜90重量部の前記イソシアネート末端プレポリマー組成物を含む、上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の前記配合物。
(12)(a)2つの異なるポリオキシプロピレンポリオールを含む、ポリオール組成物、ならびに
(b)イソシアネート末端プレポリマー組成物であって、前記プレポリマー組成物の総重量に基づき、10〜48重量%のイソシアネート含有量を有し、(b1)ジフェニルメタンジイソシアネート、(b2)カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、(b3)ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、及び(b4)第3のポリエーテルポリオールの前記反応生成物を含む、イソシアネート末端プレポリマー組成物、の反応生成物を含む、ポリウレタンフォーム。
(13)ASTM D 3574方法に従って、50〜110キログラム毎立方メートルの密度を有する、上記(12)に記載の前記ポリウレタンフォーム。
(14)ASTM D 3574方法に従って、5〜10キロパスカルの圧縮力撓み値を有する、上記(12)または(13)に記載の前記ポリウレタンフォーム。
(15)ポリウレタンフォームから作られる多層構造を調製するための方法であって、
ポリマーフィルムを鋳型中に配置することと、
(a)ポリオール組成物及び(b)イソシアネート末端プレポリマー組成物を混合し、配合物を形成することと、
前記配合物を前記鋳型に分注することと、
前記配合物を硬化させ、前記ポリマーフィルムに付着したポリウレタンフォームを形成することと、を含み、
(a)前記ポリオール組成物は、前記ポリオール組成物の総重量に基づき、(a1)2〜3.8の官能価及び85〜2,000の当量を有する、10〜23重量%の第1のポリオキシプロピレンポリオールと、
(a2)4.5〜8の官能価及び100〜175の当量を有する、3〜15重量%の第2のポリオキシプロピレンポリオールと、
(a3)70〜2,500の当量及び10〜25重量%のオキシエチレン含有量を有する、30〜60重量%のエチレンオキシドキャップされたポリエーテルポリオールと、
(a4)5〜40重量%のコポリマーポリオールと、
(a5)潜在性触媒と、
(a6)水と、を含み、
(b)前記イソシアネート末端プレポリマー組成物は、前記プレポリマー組成物の総重量に基づき、10〜48重量%のイソシアネート含有量を有し、かつ(b1)ジフェニルメタンジイソシアネート、(b2)カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、(b3)ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、及び(b4)第3のポリエーテルポリオールの反応生成物を含む、前記方法。