特許第6543281号(P6543281)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6543281両面または片面加工機、および両面または片面加工機を動作させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543281
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】両面または片面加工機、および両面または片面加工機を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 41/06 20120101AFI20190628BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20190628BHJP
   B24B 7/17 20060101ALI20190628BHJP
   B24B 49/08 20060101ALI20190628BHJP
   B24B 49/14 20060101ALI20190628BHJP
   B24B 49/04 20060101ALI20190628BHJP
   B24B 37/08 20120101ALI20190628BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20190628BHJP
   B24B 37/12 20120101ALI20190628BHJP
   H01L 21/304 20060101ALN20190628BHJP
【FI】
   B24B41/06 L
   B24B7/04 A
   B24B7/17 Z
   B24B49/08
   B24B49/14
   B24B49/04 Z
   B24B37/08
   B24B37/10
   B24B37/12
   !H01L21/304 621A
   !H01L21/304 621C
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-15455(P2017-15455)
(22)【出願日】2017年1月31日
(65)【公開番号】特開2017-140695(P2017-140695A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2017年10月11日
(31)【優先権主張番号】10 2016 102 223.3
(32)【優先日】2016年2月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517033148
【氏名又は名称】ラップマスター ヴォルターズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】ボラー ハンスペーター
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−233948(JP,A)
【文献】 特開平10−058315(JP,A)
【文献】 特開2004−314192(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0273765(US,A1)
【文献】 特開2008−044098(JP,A)
【文献】 特開平09−193003(JP,A)
【文献】 特開2008−221460(JP,A)
【文献】 特開2006−055984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B41/00−51/00
B24B5/00−7/30
B24B37/00−37/34
H01L21/304
G11B5/84−5/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
状の下部作業ディスク(16)および上部対向軸受エレメントを有する、両面または片面加工機であって、
前記下部作業ディスク(16)および前記上部対向軸受エレメントは互いに対して回転駆動されることができ、
前記下部作業ディスク(16)および前記上部対向軸受エレメントの間に、作業ギャップ(18)が平坦なワークの両面または片面を機械加工するために形成され、前記下部作業ディスク(16)に局所的な変形を発生するための手段が備えられ
前記下部作業ディスク(16)に局所的な変形を発生するための前記手段は、流体圧手段であり、
前記下部作業ディスク(16)は下部支持ディスク(12、12’)に固定され、
前記下部作業ディスク(16)に局所的な変形を発生する前記手段は、環状の圧力容積(32)内に前記下部作業ディスク(16)に所定の局所的な変形を発生する圧力をかけるように制御されることができる流体供給源に接続された前記下部支持ディスク(12、12’)と前記下部作業ディスク(16)との間に形成された前記環状の圧力容積(32)を有し、
前記下部作業ディスク(16)を冷却するための温度制御流体を伝導する温度制御チャネル(42)が、少なくとも前記下部支持ディスク(12、12’)の中に、または前記下部作業ディスク(16)の中に形成されて、前記流体供給源に接続されていることを特徴とする両面または片面加工機。
【請求項2】
さらに制御装置が、前記下部作業ディスク(16)に局所的な変形を発生するための前記手段を作動させるために備えられていることを特徴とする、請求項1に記載の両面または片面加工機。
【請求項3】
前記上部対向軸受エレメントは環状の上部作業ディスク(14)で形成されることができ、
前記作業ディスク(14、16)は互いに同軸に配置され、互いに対して回転駆動されることができ、
前記平坦なワークの両面または片面を機械加工するために、前記作業ギャップ(18)が前記作業ディスク(14、16)の間に形成されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の両面または片面加工機。
【請求項4】
前記下部作業ディスク(16)は、その内縁の領域およびその外縁の領域のみで前記下部支持ディスク(12、12’)に固定されることを特徴とする、請求項1から3の1つに記載の両面または片面加工機。
【請求項5】
距離測定装置が、前記作業ギャップの厚さおよび/または前記作業ディスクの前記変形を測定するために備えられていることを特徴とする、請求項3に記載の両面または片面加工機。
【請求項6】
前記距離測定装置は、前記作業ギャップ(18)内の少なくとも1つの場所において前記下部作業ディスク(16)および前記下部作業ディスク(16)を保持する下部支持ディスクの間の距離を測定する少なくとも1つの距離測定センサ(22’)を有することを特徴とする、請求項に記載の両面または片面加工機。
【請求項7】
前記距離測定装置は、前記作業ギャップ(18)内の少なくとも2つの点において前記下部作業ディスク(16)、および前記上部対向軸受エレメントの間の前記距離を測定する少なくとも2つの距離測定センサ(20、22、および24)を有することを特徴とする、請求項またはに記載の両面または片面加工機。
【請求項8】
前記下部作業ディスク(16)に所定の局所的な変形が生成されるように、前記距離測定装置から受け取った測定値に応じて前記下部作業ディスク(16)に局所的な変形を発生するための前記手段を作動させる制御装置(26)を備えることを特徴とする、請求項から7の1つに記載の両面または片面加工機。
【請求項9】
前記上部対向軸受エレメントに、全体的な変形を発生させるための手段をさらに備えることを特徴とする、請求項8に記載の両面または片面加工機。
【請求項10】
前記制御装置(26)は、前記上部対向軸受エレメントに前記全体的な変形を発生させる手段も作動させるように設計されていることを特徴とする、請求項に記載の両面または片面加工機。
【請求項11】
前記上部対向軸受エレメントは、上部支持ディスク(10、10’)に固定された前記上部作業ディスク(14)であり、前記上部作業ディスク(14)を変形する前記手段は、前記上部支持ディスク(10、10’)が吊り下げられる支持リングを有し、
制御可能な手段が、前記支持リングと、前記支持リングの半径方向外側に位置する前記上部支持ディスク(10、10’)のリング部との間に配置され、それによって力発生器に支援された半径方向の力を前記支持リングの全周に渡って前記上部支持ディスク(10、10’)に印加し、
前記制御装置(26)は、前記距離測定装置によって測定された距離値、または圧力測定装置によって測定された圧力値に応じて、前記力発生器の前記力を調整することを特徴とする、請求項または10の1つに記載の両面または片面加工機。
【請求項12】
前記温度制御チャネル(42)は前記圧力容積(32)に接続されることを特徴とする、請求項1から11の1つに記載の両面または片面加工機。
【請求項13】
ワークを目標の形状になるように処理する間に、前記下部作業ディスク(16)が局所的に変形されることを特徴とする、請求項3、5、6、7、8、9、10または11の1つに記載の両面または片面加工機を動作させるための方法。
【請求項14】
前記作業ディスク(14、16)の間の距離が前記作業ギャップ(18)内の少なくとも1つの場所で測定され、
前記局所的な変形が前記測定値に応じて生成されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ワークを処理する間に、前記作業ギャップ(18)が前記目標の形状となるように、前記上部作業ディスク(14)もまた全体的に変形されることを特徴とする、請求項13または14の1つに記載の方法。
【請求項16】
少なくとも前記下部作業ディスク(16)の作業面は、少なくとも前記下部作業ディスク(16)の作業面が、材料を削除し研磨するように機械加工されることで、調整され、
前記下部作業ディスク(16)は、材料を除去する処理の間に局所的に変形されることを特徴とする、請求項1から12の1つに記載の両面または片面加工機における少なくとも1つの下部作業ディスクを調整するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは環状の下部作業ディスクおよび上部対向軸受エレメントを有する両面または片面加工機に関し、下部作業ディスクおよび上部対向軸受エレメントは互いに対して回転駆動されることができ、平坦なワークの両面または片面を機械加工するために、作業ギャップが下部作業ディスクおよび上部対向軸受エレメントの間に形成される。さらに本発明は、そのような両面または片面加工機を動作させる方法に関し、また両面または片面加工機の少なくとも1つの下部作業ディスクを調整する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ウェハのような平坦なワークが両面加工機の両面で同時に機械加工される。そのために、両面加工機は上部作業ディスクおよび下部作業ディスクを有し、その間に作業ギャップが形成され、処理中に機械加工されるべきワークがその中に誘導される。上部作業ディスクは上部支持ディスクに固定され、下部作業ディスクは下部支持ディスクに固定される。機械加工のために、少なくとも1つの作業ディスクをその支持ディスクとともに回転駆動して、作業ディスクの間に相対的な回転を起こす。両面加工機は、いわゆるローターディスクが誘導されることで知られる。ローターディスクは一般に、機械加工すべきワークを円形の開口部の中に浮かせた状態で収容する。ローターディスクも、作業ディスクが相対的に回転する間に、適切な運動力学によって、作業ギャップ内で回転するようになっている。その結果、ワークは作業ギャップ内でサイクロイド軌道に沿って移動する。これによって、特に一貫した表面加工が達成される。
【0003】
ここで問題とするこの種の加工機では、加工中に生じる処理熱によって作業ディスクの間の作業ギャップに変化が生じる。特に、作業ディスクに熱関連の変形が起こり、そのためギャップ形状が規定された形状から逸脱する。これは、機械加工の結果に悪影響を与える。これは、いわゆる最高品質のウェハの非常に高い機械加工要件に特に当てはまる。
【0004】
DE10 2004 040 429 B4により、作業ディスクの温度を制御することにより、生じる処理熱による悪影響を緩和することが知られている。支持ディスクや作業ディスクには、冷却水などのそれ相応の温度制御流体を導くチャネルが形成される。しかし実際には、これらの温度制御装置は機械加工の最大限の精度要件を常に満たすとは限らない。
【0005】
さらに上部支持ディスクおよびそれに取り付けられる上部作業ディスクを機械的に変形する装置が、DE10 2006 037 490 B4によって知られている。この装置によれば、上部作業ディスクの当初平坦であった作業面をわずかに凹状の表面にすることができる。逆に、上部作業ディスクの当初わずかに凸状であった作業面を平坦または凹状の面にすることができる。この上部作業ディスクを全体的に変形する方法によっても、処理熱によって処理中に生じる理想ギャップ形状からの逸脱をいくらか補償することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】DE10 2004 040 429 B4
【特許文献2】DE10 2006 037 490 B4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
説明された従来技術から出発して、本発明の目的は、処理中に生じる避けられない処理熱があっても最適な機械加工結果が得られる両面または片面の加工機、および最初に言及した種類の方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、独立請求項1、16、および19によってこの目的を達成する。従属請求項、明細書、および図面には、有利な設計が記載されている。上記で言及した種類の両面または片面加工機について、本発明は下部作業ディスクに局所的な変形を発生させる手段を備えることでその目的を達成する。そのような両面または片面加工機を動作させる方法について、本発明はワークを目標の形状になるように処理する間に、下部作業ディスクを局所的に変形することによりその目的を達成する。
【0009】
加工機は例えば、研磨機や、ラップ仕上げ機や、研削機であってもよい。作業ギャップが、下部作業ディスクと、片面加工機での単純な重りや加圧シリンダなどの対向軸受エレメント、または両面加工機での上部作業ディスクとの間に形成され、ウェハなどの機械加工されるべきワークの両面または片面が機械加工される。加工機は、両面型または片面型であってもよい。両面加工機は、作業ギャップの中で好ましくは同時にワークの下面および上面を機械加工することができる。そのため、両作業ディスクはワークの表面を機械加工する作業面を有する。片面加工機は対照的に、ワークの片面のみを機械加工し、ここではワークの下面が下部作業ディスクによって機械加工される。この場合、下部作業ディスクのみがワークの表面を機械加工する作業面を有する。この場合の対向軸受エレメントは、下部作業ディスクによる機械加工に対応する対向軸受を形成するように作用するのみである。
【0010】
ワークは機械加工のために、作業ギャップに配置されたローターディスクの中の開口部の中に既知の方法で浮いた状態で収容されている。下部作業ディスクおよび対向軸受エレメントは処理中に、例えば上部および/または下部の駆動軸および少なくとも1つの駆動モータによって互いに対して回転駆動される。下部作業ディスクも上部対向軸受エレメントも、その後反対方向に回転駆動されることができる。しかし、上部対向軸受エレメントおよび下部作業ディスクの一方のみを回転駆動することも可能である。例えば、両面加工機では、ローターディスクに配置されたワークが作業ギャップ中でサイクロイド軌道を描くように、ローターディスクは作業ギャップでのこの相対的な回転の間に適切な運動力学によって回転するように動かされる。例えば、ローターディスクは、その外縁および/または内縁上に、例えば下部作業ディスクの、関連する歯とかみ合う歯を有する。そのような、いわゆる遊星運動力学による機械がよく知られている。
【0011】
下部作業ディスクは環状に設計され、対向軸受エレメントまたは上部作業ディスクも環状に設計されることができる。下部作業ディスク、および上部作業ディスクなどの上部対向軸受エレメントは、その中に環状の作業ギャップが形成される対向する環状の作業面を有する。作業面は、研磨布などの作業被膜で覆われることができる。作業ディスクを保持するいかなる支持ディスクも環状に設計され、あるいは作業ディスクが固定される環状の支持部を少なくとも有することができる。作業ディスク当たり2つ以上の支持ディスクを設けることもできる。
【0012】
本発明によれば、下部作業ディスクを、特に局所的に凹状および凸状に、局所的に変形することが可能な手段が設けられる。局所的な凹状または凸状の変形は、例えばDE10 2006 037 490 B4から周知の全体的な凹状または凸状の変形とは区別されなければならない。局所的な変形では、凹状または凸状の変形、またはそれぞれの形状は、例えば環状の作業ディスクの内縁および外縁の間で半径方向に現れる。下部作業ディスクが環状でなければ、凹状または凸状の変形、またはそれぞれの形状は、作業ディスクの中心および外縁の間で半径方向に現れる。全体的な変形では、半径方向で見た凹状または凸状の形状は、作業ディスクの直径の全体に渡って生じるだけである。もっぱら全体的な変形では、環状の作業ディスクの内縁および外縁の間での半径方向、または環状でない作業ディスクの中心および外縁の間での半径方向で、作業ディスクは対照的に平坦である。図4乃至図6を参照して、下記に作業ディスクの局所的な変形と全体的な変形との違いを説明する。
【0013】
本発明によれば、下部作業ディスクの局所的な形状が、実装、幾何学的および構造的な縁辺条件によって決まる最大凹形状と最大凸形状との間のなめらかな調節が基本的に可能である。下部作業ディスクはまた十分薄い厚さを有し、その表面積、特にその環状の幅すなわちその旋回半径に応じて変形されることができる。最大に変形した領域における、すなわち例えば環状の作業面上の中間部に延びる架空の円に沿った、下部作業ディスクの最大凹形状と最大凸形状との間の差は、例えば約200μmである。
【0014】
本発明により下部作業ディスクを半径方向で調整することが可能になれば、機械加工中の温度に影響を与えることにより、ギャップの変化はより効率的に補償される。機械加工処理の間、様々なギャップ形状でワークを最適に機械加工することができる。本発明は、例えば450mm以上の直径を有する大型のウェハなどの大型のワークの場合に特に有利である。ここでは、ローターディスクに配置されるワークは1つだけある。さらに、本発明は、回転速度、特定の負荷、および研磨機の研磨量などの処理パラメータを広い範囲に渡ってより効果的に変更することが可能であり、生じる処理熱がよりよく補償されるので、機械加工をさらに最適化できる。機械加工による時間当たりの摩蝕も大きくすることができる。下部作業ディスクの本発明に係る変形によって、環状の幅の半径方向の形状を調整することができる。例えば、上部対向軸受エレメントまたは上部作業ディスクの半径方向の形状が機械加工の開始時にわずかに凹面である場合、最善の平行作業ギャップ形状を復元するために下部作業ディスクは凸方向に変形される。それ以降の機械加工処理中に、上部対向軸受エレメントまたは上部作業ディスクの半径方向の形状が、生じた処理熱によって凸方向に変化すれば、下部作業ディスクはそれ相応の変形によってこれを補償し、最善の平行作業ギャップ形状を復元する。
【0015】
本発明によれば、機械加工の前に下部作業ディスクの局所的な変形を静的に調整することが考えられる。下部作業ディスクに局所的な変形を発生させるための手段を作動させる制御装置を設けることも可能である。そして例えば、オペレータは制御装置に所望の局所的な変形を保存しておくことができる。また、機械加工のために制御装置によって設定される、機械の特定の処理パラメータに対する特定の作業ディスク形状を指定することも考えられる。
【0016】
一実施形態によれば、上部対向軸受エレメントは、好ましくは、環状の上部作業ディスクによって形成され、作業ディスクは互いに同軸に配置され、互いに対して回転駆動され、平坦なワークの両面または片面を機械加工するために、作業ギャップが作業ディスクの間に形成される。特に、加工機は両面加工機であってもよい。下部作業ディスクに局所的な変形を発生させるための手段は、原理的には流体圧手段、および/または空圧手段、および/または機械的な手段であってもよい。
【0017】
付加的な実施形態によれば、下部作業ディスクは下部支持ディスクに固定され、下部作業ディスクに局所的な変形を発生させる手段は、下部作業ディスクに所定の局所的な変形を発生させる圧力容積に圧力をかけるように制御される流体供給源に接続された下部支持ディスクと下部作業ディスクとの間に形成された環状の圧力容積を有する。流体は液体であり、特に水であってもよい。圧力容積に流体を導入することにより、支持ディスクに比べて薄い作業ディスクに圧力がかかり、作業ディスクを変形させる。特に、作業ディスクはそのため、圧力容積に低い圧力を設定すれば局所的に凹状の形状に、中程度の圧力を設定すれば局所的に平坦な形状に、そして高い圧力を設定すれば局所的に凸状の形状に変化する。局所的な凸状または凹状の変形、またはそれぞれの形状は、環状の下部作業ディスクの内縁および外縁の間で、特に半径方向に現れる。圧力容積は変化可能な圧力容積である。下部作業ディスクは、異なる圧力によって生じる圧力容積の容積に応じて変形する膜を形成する。下部作業ディスクを局所的に変形するために圧力容積にかかる圧力は例えば、0.4バールから1.5バールの範囲内である。
【0018】
圧力流体供給源は、圧力容積に接続された少なくとも1つの圧力ラインに接続された圧力流体貯蔵器を有する。例えば制御装置が圧力容積内に所望の圧力を起こすために作動させるポンプおよび制御弁が、圧力ラインの中に配置される。さらに、圧力流体供給源は圧力容積中の圧力を直接的にまたは間接的に測定し、また測定値を制御装置に送る圧力測定装置を有する。圧力容積内の圧力流体供給源を適切に作動させることにより、所望の作業ギャップ形状に必要な圧力が調整される。一般に、作業ギャップの平行度が高いこと、すなわち半径方向の全範囲で作業ディスク間の距離が一定であることが望ましい。
【0019】
他の実施形態によれば、下部作業ディスクは、その外縁の領域およびその内縁の領域のみで下部支持ディスクに固定される。既に説明したように、作業ディスクは特に環状である。そして環状の圧力容積は、下部作業ディスクおよび下部支持ディスクの間に形成される。上述の実施形態では、下部作業ディスクは下部作業ディスクに接するその半径方向外側およびその半径方向内側の領域のみで下部支持ディスクに固定され、例えば分離された円に沿ってネジ止めされる。対照的に、これらの縁領域の間の部分では、作業ディスクは支持ディスクに固定されない。特に、環状の圧力容積はこの領域内に形成される。このように、作業ディスクは、圧力容積内に適切な圧力をかけることによって所望のとおり変形されるために必要な可動性を有する。作業ディスクの支持ディスクへの取り付け方法は、可能であれば作業ディスクの全表面に渡って特定の変形を実現するために、内縁および外縁上の接触面ができるだけ狭くなるように選択される。
【0020】
他の実施形態によれば、作業ギャップの厚さおよび/または作業ディスクの変形を測定するために、さらに距離測定装置が設けられる。距離測定装置は、作業ギャップの少なくとも1箇所に、作業ギャップの厚さおよび/または作業ギャップの変形を測定する少なくとも1つの距離測定センサを有する。例えば、少なくとも1つの距離測定センサは、下部作業ディスクと、ここでは膜として作用する下部作業ディスクを保持する下部支持ディスクとの間の距離を測定する。そして距離測定センサは、下部作業ディスクが局所的に最も変形している半径に、特に作業ディスクの中間部に配置されることが好ましい。距離測定センサはまた、下部作業ディスクおよび上部対向軸受エレメントの間の距離、または作業ディスク間の距離を測定し、例えば上部作業ディスク内に配置される。さらに距離測定装置は、半径方向に離間した少なくとも2つの位置に、作業ギャップの厚さを測定する少なくとも2つの距離測定センサを有する。例えば、距離測定センサは下部作業ディスクおよび対向軸受エレメントの間の距離、または作業ディスク間の距離を測定する。距離測定センサは、例えば作業ギャップの縁の領域、および作業ギャップの中間部に配置される。
【0021】
他の実施形態によれば、距離測定装置は、作業ギャップ形状の測定を改善するために、作業ギャップの半径方向に離間した少なくとも3つの点において作業ギャップの厚さを測定する少なくとも3つの距離測定センサを有する。この場合、距離測定センサは作業ギャップの内縁、外縁、および中間部で距離を測定することができる。全ての距離測定センサは、下部作業ディスクおよび上部対向軸受エレメントの間の距離、または作業ディスク間の距離を測定することができ、例えば上部作業ディスクの中に配置されることができる。しかしながら、距離測定装置の上記で説明した実施形態の組み合わせにおいては、例えば内縁および外縁上の距離測定センサは下部作業ディスクおよび上部対向軸受エレメントの間の距離、または作業ディスク間の距離を測定することもでき、作業ディスクの中間部の距離測定センサは下部作業ディスクおよびそれを保持する下部支持ディスクの間の距離を測定することもできる。
【0022】
他の実施形態によれば、所定の局所的な変形が下部作業ディスクに生じるように、距離測定装置から受け取った測定値に応じて下部作業ディスクに局所的な変形を発生させる手段を作動させる制御装置が設けられる。特に、制御装置は、下部作業ディスクに所定の局所的な変形を起こす圧力を圧力容積の中に発生させるために、流体供給源を作動させることができる。本実施形態では、制御装置が距離測定装置から測定値を入力して、下部作業ディスクの局所的な変形を制御する。制御装置は、距離測定装置によって測定された値に基いて、作業ギャップの形状が所定の形状から逸脱したことを認識すると、作業ギャップが所定の形状にできるだけ近い形状に戻るように、局所的な変形を発生させる手段を作動させる。本発明に係るこの制御は特に、両面または片面加工機の生産動作中に自動的に行われることができる。
【0023】
さらに、上部対向軸受エレメント、特に上部作業ディスクに全体的な変形を発生させる手段を設けることができる。制御装置は、上部対向軸受エレメントを変形させる手段も作動させるように設計されることができる。制御装置はまた、距離測定装置から得られる測定値に応じて作動させることができる。
【0024】
少なくとも3つの距離測定センサが、作業ギャップの半径方向に離間した少なくとも3つの点における距離を測定できるように設けられていれば、作業ギャップの内縁および外縁に設けられた距離測定センサの照合によって、上部作業ディスクを全体的に変形させて作業ギャップを全体的に調整することができる。内側および外側の距離測定センサの間に配置された、第三の、中間部の距離測定センサは、作業ディスクの内縁および外縁の間の半径方向の上部および下部作業ディスクの平行度、すなわち局所的な平行度を監視する。この局所的な平行度はまた、下部作業ディスクが適切に変形することによって最適に調整されることができる。一般的に、上部作業ディスクおよび/または下部作業ディスクを適切に変形して、距離測定センサによって測定される距離値を全て同じ値にすることを目的とする。
【0025】
他の実施形態によれば、上部対向軸受エレメントは上部支持ディスクに固定された上部作業ディスクであり、上部作業ディスクを変形させる手段は、上部支持ディスクが吊り下げられる支持リングを有し、制御可能な手段が、支持リングと、支持リングの半径方向の外側に位置する支持ディスクのリング部との間に配置され、それによって力発生器に支援された半径方向の力を支持リングの全周に渡って支持ディスクに印加し、制御装置は、距離測定装置によって測定された距離値に応じて、または圧力測定装置に測定された圧力値によって力発生器における力を調整する。支持リングは、上部支持ディスクおよび上部作業ディスクを回転駆動する上部作業軸に回転可能に接続されることができる。
さらに、周方向に延びる細幅の環状のチャネルが支持リングおよびリング部の間に設けられ、また力発生器は環状のチャネルに接続された圧力発生器であり、環状のチャネル内に所定の圧力を発生させる。
【0026】
さらに、ピストンを有するシリンダが支持リング上に配置され、ピストンは支持リング内の円筒形の孔と相互作用し、横孔を通じて環状のチャネルに接続され、また液圧媒体が環状のチャネルおよび円筒形の孔の中に収容されている。ピストンは、液圧源からの制御可能な圧力によって作動する。特に、その作動は油空圧式であり得る。上部作業ディスクを全体的に変形するための前述の実施形態は、原則的にDE10 2006 037 490 B4から知られており、本発明においてそれに類似する方法で使われることができる。
【0027】
他の実施形態によれば、温度制御流体を伝導する温度制御チャネルが少なくとも下部支持ディスクの中に、または下部作業ディスクの中に、また好ましくは上部支持ディスクまたは上部作業ディスクの中に形成されることができる。温度制御チャネルは、ラビリンスのように設計されることができる。温度制御流体、特に水のような温度制御液が、温度を制御するために、特に作業ディスク(複数可)を冷却するために、機械が作動する間、温度制御チャネルを通じて誘導される。これにより、作業ディスクの熱関連の変形がある程度緩和される。
【0028】
特に簡便に設計された実施形態によれば、下部作業ディスクまたは下部支持ディスクに形成された温度制御チャネルは圧力容積に接続される。この場合、適切な制御弁が設けられ、それによって圧力容積内にかかる圧力が制御される。特に、それにより圧力容積の圧力を、例えば温度制御チャネル内の圧力より小さいか同じに調整する。制御装置は、制御弁も作動させることができる。
【0029】
本発明はまた、本発明に係る両面または片面加工機の少なくとも1つの下部作業ディスクを調整する方法によってその目的を実現し、少なくとも下部作業ディスクの作業面、また好ましくは上部作業ディスクの作業面は、少なくとも下部作業ディスクの作業面、また好ましくは上部作業ディスクの作業面が、材料を除去し、好ましくは研磨するように機械加工されることで、調整され、材料を除去するように機械加工する間に、下部作業ディスクが局所的に変形される。
【0030】
避けられない製造上の、および実装上の公差が生じた場合は、特に両面加工機では、作業ディスクは最初の稼働の前に調整される必要がある。これは現在では、作業ディスクが以降の処理のための所望の形状になるまで、長時間に渡って材料を除去するように機械加工される複雑なラップ仕上げ工程によって達成されている。下部作業ディスクは本発明に係る前述の方法で局所的に変形され、例えば局所的に凸形状になるので、調整手順は大幅に短縮される。特に、ラップ仕上げの代わりに研磨処理を選択することができる。こうして作業ディスクを、かなり短時間に、以降の工程のための所望の形状にすることができる。本発明に係る方法においては、本方法で用いられる加工機で他の加工機のための作業ディスクを調整することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の例示的な実施形態が、図面に基づいて以下に詳細に説明される。以下の図面は、極めて概略的に描かれているものである。
図1】第一の動作状態における、本発明に係る両面加工機の一部の断面図である。
図2図1の第二の動作状態における図である。
図3図1の第三の動作状態における図である。
図4】本発明に係る両面加工機の他の実施形態に係る一部の断面図である。
図5】作業ディスクを例示する平面図である。
図6】作業ディスクの全体的な変形を例示する、図5のA−B線に沿った断面図である。
図7】作業ディスクの局所的な変形を例示する、図5のA−B線に沿った断面図であり、見やすくするためにセグメントb)およびc)では断面図の半分だけを示す。
【0032】
特に明記しない限り、同じ参照番号は図面において同じ対象を指す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1乃至図3に単に例として図示された両面加工機は、環状の上部支持ディスク10および環状の下部支持ディスク12を有する。環状の上部作業ディスク14は上部支持ディスク10に固定され、環状の下部作業ディスク16は下部支持ディスク12に固定される。環状の作業ディスク14、16の間に環状の作業ギャップ18が形成され、処理中にウェハなどの平坦なワークの両面が機械加工される。両面加工機は例えば、研磨機や、ラップ仕上げ機や、研削機であってもよい。
【0034】
上部支持ディスク10、およびそれに伴う上部作業ディスク14、および/または下部支持ディスク12、およびそれに伴う下部作業ディスク16は、少なくとも1つの駆動モータとともに、例えば上部駆動軸および/または下部駆動軸を有する適切な駆動装置によって、互いに対して回転駆動されることができる。駆動装置はそれ自体公知であり、明瞭化のためさらなる説明はしない。機械加工されるワークは、公知の方法で作業ギャップ18中の回転ディスクの中に浮いた状態で保持される。遊星運動力学のような適切な運動力学によって、ローターディスクもまた、支持ディスク10、12、または作業ディスク14、16の相対的な回転中に作業ギャップ18を通じて回転することが確保される。温度制御チャネルが、上部作業ディスク14または上部支持ディスク10の中に、そして場合により下部作業ディスク16または下部支持ディスク12の中にも形成されて、温度制御チャネルを通じて水などの温度制御液のような温度制御流体が処理中に伝導される。これ自体も公知であり、さらなる説明はしない。
【0035】
図1乃至図3に示す両面加工機はさらに距離測定装置を有するが、これ自体も公知でありさらなる説明はしない。距離測定装置は例えば、光学的または電磁気学的(渦電流センサなど)に機能する。図示された例では、距離測定装置は例えば、作業ギャップ中の半径方向に離間した3つの位置において上部作業ディスク14と下部作業ディスク16との間の距離を測定する3つの距離測定センサを有する。距離測定センサの配置は、図1で矢印20、22、および24で示される。図から分かるように、参照番号20で示す距離測定センサは、作業ギャップ18の半径方向外側縁の領域で、上部作業ディスク14と下部作業ディスク16との間の距離を測定する。参照番号24で示す距離測定センサは、作業ギャップ18の半径方向内側縁の領域で、上部作業ディスク14と下部作業ディスク16との間の距離を測定する。参照番号22で示される距離測定センサは、作業ギャップ18の中間部で、上部作業ディスク14と下部作業ディスク16との間の距離を測定する。図2では、参照番号22’で示す距離測定センサは、作業ギャップの中間部で下部作業ディスク16と下部支持ディスク12との間の距離を測定する。この距離測定センサは図1に示す距離測定センサに代えて使用されることができ、または図1に示す距離測定センサと組み合わせて使用されることができる。例えば、図1に示す距離測定センサ22を距離測定センサ22’に代えることができる。図3、4における距離測定センサは、明瞭化のため図示されない。参照番号20、22,および24、または22’で示す距離測定センサの測定値は制御装置26に入力される。
【0036】
この場合の下部作業ディスク16は、その外側縁の領域およびその内側縁の領域で下部支持ディスク12に固定されているだけであり、図1で参照番号28、30で示すように、例えばそれぞれの場合の分離された円に沿ってネジ止めされる。これらの固定場所28、30の間の部分では対照的に、下部作業ディスク16は下部支持ディスク12に固定されていない。代わりに、下部支持ディスク12と下部作業ディスク16との間において、これらの固定場所28、30の間には環状の圧力容積32が位置している。圧力容積32は動的圧力ライン34によって、液体貯蔵器などの加圧流体貯蔵器、特に水貯蔵器(図示せず)に接続される。動的圧力ライン34の中には、制御装置26が作動させる、ポンプおよび制御弁が配置されている。このように、圧力容積32に導入された流体は、圧力容積32内で、下部作業ディスク16に作用する所望の圧力まで加圧される。圧力容積32内で支配的な圧力は、圧力測定装置(図示せず)によって測定される。圧力測定装置からの測定値もまた制御装置26に入力され、制御装置26は圧力容積32内に所定の圧力を設定することができる。
【0037】
固定場所28、30の間の部分は自由に動くことができるため、圧力容積32内に十分高い圧力を設定することにより、図2で参照番号36の点線で示すように下部作業ディスク16は局所的に凸形状になる。図1のように下部作業ディスク16が平坦な形状を有する動作状態の時の圧力容積32内の圧力をpとすると、図2に示す下部作業ディスク16の36における凸状の変形は、圧力をp>pに設定することにより達成できる。一方、圧力容積32内の圧力をp<pに設定すると、図3で参照番号38の点線で示すように、下部作業ディスク16の局所的な凹状の変形が達成される。
半径方向から見ると、下部作業ディスク16は、固定場所28の領域の内縁と固定場所30の領域の外縁との間で、局所的な凸形状(図2)または局所的な凹形状(図3)となることが分かる。
【0038】
この下部作業ディスク16の局所的な半径方向の変形に加え、上部作業ディスク14を全体的に変形する手段を設けることができる。これらの手段は、上記で説明されたように設計されるか、またはDE10 2006 037 490 B4で説明されているように設計されることができる。上部支持ディスク10およびそれに固定される上部作業ディスク14は、上部作業ディスク14の作業面の全体的な凹状または凸状形状が上部作業ディスク14の断面の全体に渡って生じるように、全体的に変形される。これに対して、上部作業ディスク14は、その半径方向内縁と半径方向外縁との間で平坦であることができる。上部作業ディスク14の形状を調整する手段もまた、制御装置26が作動させる。
【0039】
作業ギャップ18内でワークが機械加工される間、距離測定センサ20、22、および24、または22’は、それぞれの測定場所で例えば一定の間隔で、上部作業ディスク14と下部作業ディスク16との間の距離、または下部作業ディスク16と下部支持ディスク12との間の距離を測定し、それらの測定値を制御装置26に送る。制御装置26が、指定された作業ギャップ形状または作業ディスクの指定された変形からの逸脱、特に上部および下部作業ディスク14、16の作業面の間の最適な平行度からの逸脱を認識すると、所望の最適な作業ギャップ形状を実現するために、制御装置26は、上部作業ディスク14の形状を調整する手段および/または圧力容積32のための圧力流体供給源を制御して、下部作業ディスク16を適切な方法で変形する。
【0040】
図4は、図1乃至図3に示す両面加工機のような原理で設計された、他の実施形態に係る両面加工機を示す。図4に示す例は、2つの上部支持ディスクすなわち支持ディスク10および支持ディスク10’、さらに2つの下部支持ディスクすなわち支持ディスク12および支持ディスク12’が図4に備えられたことのみが、図1乃至図3に示す例とは異なる。上部作業ディスク14は、ここでは上部支持ディスク10に対して保持された上部支持ディスク10’に固定される。下部作業ディスク16は、図1乃至図3を参照して説明した方法で、ここでは下部支持ディスク12に対して保持された下部支持ディスク12’に固定される。迷路状の冷却ラインが、参照番号40で図4の上部支持ディスク10’に示される。下部支持ディスク12’に形成される迷路状の冷却ラインは、参照番号42で示される。動作中、水などの冷却液が冷却ライン40、42を通じて伝導される。下部冷却ライン42はさらに、スロットル孔44を通じて圧力容積32に接続される。圧力容積32および下部冷却ライン42は、図示した例では、例えば3系統の分配器を介して同じ圧力流体供給源から供給される。3系統の分配器は、制御圧力制御弁によって設定された圧力に保たれる下部冷却ライン42に供給することができる。圧力容積32にも、冷却ライン42からスロットル孔44を介して冷却液が供給される。3系統の分配器の第三の接続部は圧力容積32に接続され、圧力容積32内の動的圧力は、制御装置26にパイロット制御される圧力制御弁によって制御される。最大の動的圧力は、冷却ライン42内の圧力に相当する。
【0041】
さらに、本発明に係る作業ディスクの局所的な変形と従来技術から知られている作業ディスクの全体的な変形との違いを、図5乃至図7を参照して説明する。図5は、本発明に係る両面または片面加工機で用いられる環状の作業ディスクの平面図を示す。作業ディスクの直径は、図5に示す点Aおよび点Bの間の距離である。旋回半径すなわち環状の作業ディスクのリング幅は、点Aおよび点A’の間または点Bおよび点B’の間の距離である。
【0042】
図6のセグメントa)は、上部作業ディスクの全体的な凹状の変形を示す。図6のセグメントc)は、上部作業ディスクの全体的な凸状の変形を示し、図6のセグメントb)は、全体的な変形のない上部作業ディスクを示す。図6に示すもっぱら全体的な変形では、点Aおよび点A’の間の距離または点Bおよび点B’の間の距離は異なる変形の状態でも目に見えては変わらない、すなわち作業ディスクの作業面は、内縁A’および外縁Aの間、または内縁B’および外縁Bの間で平坦である。しかしながら、図6に示す異なる状態では、作業ディスクの軸方向の距離hは、図6の内縁A’またはB’と、外縁AまたはBとの間で変化する、すなわち上下方向に変化する。全体的な変形がなければ、この距離はh=0(セグメントb))となる。凹状の変形では、この距離はh>0(セグメントa))となり、凸状の変形ではh<0(セグメントc))となる。
【0043】
図7は(もっぱら)局所的な変形を示し、明瞭化のために上部作業ディスクに対するものである。図6のセグメントb)と同様に、上部作業ディスクに変形のない状態を図7のセグメントa)に示す。図7のセグメントb)は上部作業ディスクの局所的な凹状変形を示し、セグメントc)は上部作業ディスクの局所的な凸状変形を示す。図7のセグメントb)およびc)に特に見られるように、凹状または凸状の形状が、作業ディスクの内縁A’および外縁Aの間に、または内縁B’および外縁Bの間に半径方向に、すなわち、旋回半径すなわちリング幅に渡って生じる。図7に示す局所的な変形では、作業面の中間部、および作業面の内縁A’および外縁A(または内縁B’および外縁B)の間をつなぐ直線のような作業面の任意の点の間の距離h’は0ではない。図7のセグメントb)に示す凹状変形の場合はh’>0である。図7のセグメントc)に示す凸状変形の場合はh’<0である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7