(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543295
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】眼内レンズ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/16 20060101AFI20190628BHJP
【FI】
A61F2/16
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-98612(P2017-98612)
(22)【出願日】2017年5月18日
(65)【公開番号】特開2018-192025(P2018-192025A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2017年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】513133918
【氏名又は名称】大▲がんな▼ 晋也
(74)【代理人】
【識別番号】100177714
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昌平
(72)【発明者】
【氏名】大▲がんな▼ 晋也
【審査官】
小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3198597(JP,U)
【文献】
特開昭61−087546(JP,A)
【文献】
特開2016−174762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部と、少なくとも2つの支持部とを備え、
該支持部は、一端が該光学部の外周縁に接合された第一部材と、該第一部材の他端に埋設された第二部材からなり、該第一部材の材質は、該第二部材の材質と比較して軟質であり、該光学部と該支持部が、該第二部材と同じ材質からなる接合部材で接合されたことを特徴とする眼内レンズ。
【請求項2】
前記光学部にトーリック面を有することを特徴とする請求項1記載の眼内レンズ。
【請求項3】
前記第一部材の材質は、シリコン又はアクリルであることを特徴とする請求項1又は2記載の眼内レンズ。
【請求項4】
前記第二部材の材質は、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン又はポリイミドであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の眼内レンズ。
【請求項5】
前記第一部材の少なくとも一部の領域における厚さbが該領域における幅aに対し肉厚であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の眼内レンズ。
【請求項6】
前記支持部の先端に、孔の面が前記光学部の平面に対して垂直方向となる孔部を形成していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の眼内レンズ。
【請求項7】
前記孔部から更に先端側に、先端に向けて先細り形状の板状部を備えていることを特徴とする請求項6記載の眼内レンズ。
【請求項8】
前記支持部の先端に、前記光学部の平面と同一平面上に円形の円状部を形成していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の眼内レンズ。
【請求項9】
前記支持部の先端であって該支持部の中心軸に対して外側に複数の半円状部を形成していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の眼内レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部の回転を抑制することが可能な眼内レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
眼内レンズは、一般に、円盤型の光学部と、この光学部を保持する支持部とから構成される。支持部は、複数を有するが、多くの場合一対を成し、光学部の一端から外側に張り出すように形成されている。
【0003】
眼内レンズの支持部は、光学部を支えるために水晶体嚢などに接触させ固定させる。この際、支持部は光学部を所定の位置に固定すると共に嚢の収縮などからの力が光学部に伝わり光学部の中心位置が動くことを防がなくてはならない。そのため支持部は十分に撓むための柔軟性を持ち、力を吸収して光学部の中心位置がずれることを防ぐ機能が必要となる。眼内レンズの支持部に関し、例えば特許文献1において、支持部の材質としてポリメチルメタクリレート(以下、「PMMA」ともいう)を用いた眼内レンズが開示されている。かかるPMMAを用いることで光学部の中心位置を所定の場所に固定することが可能となる。
【0004】
ところで、従来、眼内レンズは白内障手術の際に単焦点又は多焦点の眼内レンズが広く使われている。単焦点又は多焦点の眼内レンズの場合、眼内に挿入された眼内レンズは光学部の中心位置が動くことを防ぐことが出来れば機能を十分に発揮できた。
【0005】
しかし近年、眼内レンズは近視、遠視だけでなく乱視の矯正にも利用範囲が広がり、この場合、光学部に特定軸の光を屈折させるトーリック面を有することもある。光学部にトーリック面を有する場合には、光学部が適切な位置から回転して軸がずれると光学的な歪みが生じて光学的特性が低下する。そのため、眼内レンズにおける光学部の中心位置を維持することの他に、円周方向、つまり回転方向の位置を適切に維持することも重要となってくる。したがって、眼内レンズの支持部には中心位置保持の機能に加え、特定軸の光の屈折のみを調節するために眼内レンズの回転防止の機能も要求されるようになってきた。
【0006】
そこで、特許文献2に示すように、支持部における近傍領域に凹部を設けた眼内レンズが提案されている。かかる支持部によって、嚢の収縮などによる力が光学部に伝わるのを抑制して眼内レンズの回転を防ぐことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−155944号公報
【特許文献2】実登第3198597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1では、支持部全体が同じ材質からなることから支持部全体に力が伝わり、結果として光学部にも力が伝わってしまい、眼内レンズ自体の回転を防ぐには十分ではなかった。また、上記特許文献2では、支持部の素材がシリコンであることから、光学部を固定する機能を維持するために支持部を厚くする必要があり、支持部を嚢の内側だけに配置させて眼内レンズを固定せざるを得なくなり、支持部を嚢の外側に配置させて眼内レンズを固定することが困難であった。
【0009】
そこで本発明の課題は、嚢の収縮時の力を吸収可能な支持部を有し、光学部が回転しにくく嚢の内側及び外側へも固定できる眼内レンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下に示すとおりのものである。
(1)光学部と、少なくとも2つの支持部とを備え、
該支持部は、一端が該光学部の外周縁に接合された第一部材と、該第一部材の他端に埋設された第二部材からなり、該第一部材の材質は、該第二部材の材質と比較して軟質であることを特徴とする眼内レンズ。
(2)前記光学部にトーリック面を有することを特徴とする上記(1)記載の眼内レンズ。
(3)前記第一部材の材質は、シリコン又はアクリルであることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の眼内レンズ。
(4)前記第二部材の材質は、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン又はポリイミドであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか記載の眼内レンズ。
(5)前記光学部と前記支持部が、前記第二部材と同じ材質からなる接合部材で接合されたことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか記載の眼内レンズ。
(6)前記第一部材の少なくとも一部の領域における厚さbが該領域における幅aに対し肉厚であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか記載の眼内レンズ。
(7)前記支持部の先端に、孔の面が前記光学部の平面に対して垂直方向となる孔部を形成していることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか記載の眼内レンズ。
(8)前記孔部から更に先端側に、先端に向けて先細り形状の板状部を備えていることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか記載の眼内レンズ。
(9)前記支持部の先端に、前記光学部の平面と同一平面上に円形の円状部を形成していることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか記載の眼内レンズ。
(10)前記支持部の先端であって該支持部の中心軸に対して外側に複数の半円状部を形成していることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか記載の眼内レンズ。
【発明の効果】
【0011】
本発明の眼内レンズでは、支持部における第一部材が曲がることで嚢の収縮による力を吸収し、光学部の中心位置がずれるのを抑制できるだけでなく、光学部の回転を抑制することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第一の形態に係る眼内レンズの平面図である。
【
図2A】第二の形態に係る眼内レンズの部分平面図である。
【
図2B】第二の形態に係る眼内レンズの部分側面図である。
【
図3】第二の形態に係る眼内レンズの第一部材と第二部材と接合部材の斜視図である。
【
図4A】第三の形態に係る眼内レンズの平面図である。
【
図4B】第三の形態に係る眼内レンズの第一部材の斜視図である。
【
図4C】第三の形態に係る眼内レンズの別の態様の部分平面図である。
【
図5A】支持部の先端に孔部を設けた例による第二部材の部分側面図である。
【
図5B】支持部の先端に孔部及び板状部を設けた例による第二部材の部分側面図である。
【
図6】支持部の先端に円状部を設けた例による眼内レンズの部分平面図である。
【
図7】支持部の先端に円状部を3つ設けた例による眼内レンズの部分平面図である。
【
図8】支持部の先端に半円状部を3つ設けた実施例による眼内レンズの部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0014】
本発明の第一の形態に係る眼内レンズ20は、
図1に示すように、トーリック面を有する光学部1と、2つの支持部2とを備え、支持部2は、一端が光学部1の外周縁に接合された第一部材3と、第一部材3の他端に埋設された第二部材5からなり、第一部材3の材質は、第二部材5の材質と比較して軟質である眼内レンズである。なお、
図1及び後述する
図2A、2B、3、4A、4C、6、7、8において、第二部材5は第一部材3に、接合部材11は一端が光学部1に、他端が第一部材3に埋め込まれているが、視認しやすいように第一部材3と接合部材11を黒色に着色して表示している。
【0015】
上記眼内レンズ20の全長L(眼内レンズに力が加わっていない状態の最大全長)は特に制限されないが、好ましくは11〜14mm、より好ましくは12.5〜13.5mmである
【0016】
光学部1の直径は特に制限されないが、好ましくは5〜7mmであり、より好ましくは5.5〜6.5mmである。
【0017】
光学部1の材質はアクリルであるが、シリコン、ハイドロジェルなどを用いてもよい。なお、アクリルとしては疎水性アクリルを使用することが好ましいが、疎水性と親水性の両方の性質を持つハイブリッドタイプのアクリルを用いても良い。また、アクリルには、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの重合体を含むが、PMMAは含まない。
【0018】
上記光学部1は薄膜扁平の円板状である。単焦点又は多焦点レンズであってもよく、また、トーリック面を有していてもよい。光学部1にトーリック面を有していれば、特定軸の光の屈折のみを調節することが可能である。また、光学部1は上記のとおりアクリル、シリコン、ハイドロジェルなどで形成されるため、眼科手術等で折り曲げられても、その後、元来の形状に回復する。
【0019】
上記支持部2は、一端が光学部1の外周縁に接合された第一部材3と、第一部材3の他端に埋設された第二部材5からなる。第一部材の材質はシリコン、第二部材の材質はPMMAであり、第一部材3の材質は、第二部材5の材質と比較して軟質である。ここで第一部材3の材質は、シリコンに限らず、アクリルであってもよく、第二部材5の材質はPMMAに限らずポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリプロピレン(PP)又はポリイミドであってもよい。シリコンとPMMAとは密着性が高いことから、第一部材3の材質がシリコンであり、第二部材5の材質がPMMAの組み合わせであることが好ましい。第一部材3の材質は、第二部材5の材質と比較して軟質であることにより、支持部2にその先端部分5aが受けた力は第一部材3が変形することで吸収され、かかる力が光学部1に伝わることを防ぎ、その結果、光学部1の回転が抑制される。そのため、例えば光学部1にトーリック面を有している場合にも光学部1の回転が抑制され、乱視矯正用の眼内レンズとすることも可能である。なお、「第一部材3の材質は、第二部材5の材質と比較して軟質」とは、第一部材3の材質は、第二部材5の材質と比較して柔軟性が高いことを意味する。
【0020】
図1に示す第一部材3の長さは2.5mmであり先端に向けて先細り形状となっており、断面が円で、該円の直径は、光学部1との接合部において0.5mm、先端において0.25mmである。中心から先端側は、支持部2の円周の一方向へ向けて湾曲している。なお、第一部材の長さは、1〜5mmの範囲、好ましくは2〜4mmとすることができる。
【0021】
第二部材5は断面が円で直径が0.2mm、長さ6mmの線形状であり、支持部2の円周の一方向へ向けて湾曲しており、一端が第一部材3の先端に埋設されており、他端が光学部1の中心に対して略点対称の場所かつ支持部2と同一平面上に位置している。
【0022】
第二部材5の直径は0.1〜0.3mmとすることができ、かかる径とすることで支持部を嚢の内側にも外側にも配置することができる。また、第二部材5の長さは1〜8mmとすることができる
【0023】
支持部2における第一部材3は、その一端が光学部1の外周縁であって、光学部1の中心から点対称の位置に一体形成されて接合されている。なお、
図1では支持部2が2つであるが、3つ以上有していてもよく、この場合も、各支持部2における第一部材3は、その一端が光学部1の外周縁であって、光学部1の中心から点対称の位置に一体形成されて接合さればよい。かかる点対称の位置に一体形成されて接合されることによって、光学部1の中心位置を維持することが容易となる。
【0024】
従来の眼内レンズは支持部2が単一の材質で形成されるものが広く使われていたが、単一素材とした場合、嚢が収縮する際や、外部から物理的な力が加わった際や、硝子体圧から何らかの力が伝わった際に支持部で力を吸収しきれずに該力が光学部に伝わり、光学部が回転してしまうという問題があった。トーリック面を光学部に備えていない眼内レンズであれば、たとえ光学部が回転したとしても、中心の位置がずれなければ問題がない。しかしながら、トーリック面を光学部に備えている場合には、光学部の回転により光学的な歪みが生じてしまうこととなる。本発明の眼内レンズ20では、支持部2おける第一部材3が曲がって嚢が収縮する際の力や外部からの物理的な力や硝子体圧からの力を支持部2で吸収し、光学部1の回転を抑制することが可能となるため、光学部1にトーリック面を有する場合でも有さない場合でも適用することが可能となる。換言すれば、光学部1におけるトーリック面の有無に影響なく支持部2を設計及び製造することが可能となる。
【0025】
本発明の第二の形態に係る眼内レンズ20を
図2、3に示す。
図2Aは眼内レンズ20の部分平面図、
図2Bは眼内レンズ20の部分側面図、
図3は第一部材3と第二部材5と接合部材11の斜視図である。
図2A、B、3に示す眼内レンズ20は、第一部材3と光学部1の間に第二部材5と同じPMMAからなる接合部材11を備えている。かかる接合部材11は、一端が光学部1に、他端が第一部材3に埋設されており、断面が円形で直径が0.2mmの線形状である。
【0026】
接合部材11は、PMMAに限らずポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリプロピレン(PP)又はポリイミドであってもよく、第二部材5と同じ材質でも異なる材質であってもよいが、同じ材質であることが好ましい
【0027】
図2、3において、第一部材3の一部の領域における厚さ、すなわち光学部1の平面に対する垂直方向の厚さbは、同領域における幅、すなわち光学部1の平面と同一平面上かつ接合部材11の延伸方向に対する垂直方向の幅aに対して肉厚、言い換えれば上記厚さbに対する幅aを薄く設定でき、具体的には、例えば上記厚さbは上記幅aの1〜3倍、好ましくは1.2〜2.5倍の範囲で設定できる。かかる構成により、支持部の先端5aに光学部1の中心方向に力が加わったとしても、支持部2が第一部材3の一部の領域を軸として光学部1の平面に対して略平行に折りたたまれるように湾曲することで、光学部1の平面のずれを抑制することが可能となる。
【0028】
本発明の第三の形態に係る眼内レンズ20を
図4Aに示す。
図4Aに示すように、第一部材3に減肉部6を備えている。かかる減肉部6を備えることで、嚢が収縮する際の力を第一部材3で吸収しやすく、かつ支持部2や支持部の先端5aが第一部材3の一部の領域を軸として光学部1の平面に対して略平行に折りたたまれるように湾曲することで、光学部1の平面のずれを抑制すると共に回転を一層抑制しやすい構成となっている。減肉部6の替わりに、第一部材3における光学部側に切り込み線や穴を設けてもよい。
図4Aにおける第一部材3の斜視図を
図4Bに示す。また、
図4Cに示す眼内レンズ20では、支持部2を構成する第二部材5が第一部材3に比して短く構成されている。第二部材5は眼内の嚢に接触する部分のみの長さがあればよく、その長さは適宜決めることができる。
【0029】
次に、支持部の先端5aの形状について
図5〜8により説明する。
図1〜4では支持部の先端5aの形状は先端以外と同じ線形状であったが、
図5Aに示す眼内レンズ20は、支持部の先端5aに孔の面が光学部1の平面に対して垂直方向になるように外径が0.3mmの孔部7を形成している。孔部7における孔は、縫着の際に用いる針が貫通できればよく、例えば直径0.2〜2mmの円を挙げることができる。なお、孔の形状は円形に限らず、楕円形であっても、多角形であってもよい。この孔部7により眼科手術の際に縫着用糸を通すことができ、縫着用レンズに適用が可能となる。なお、
図5Bに示すように孔部7から更に先端側が先端に向けて先細り形状の板状部8を備えていてもよい。上記孔部や板状部により、支持部の先端5aが嚢との接触面積を大きくし眼内レンズ20の回転を抑制する効果もある。
【0030】
図6に示す眼内レンズ20は、支持部の先端5aに、直径が0.6mmであって、光学部1の平面と同一平面上に円形の円状部9を形成している。この円状部9により支持部2の嚢への固定機能を高めて眼内レンズ20の回転を抑制させる効果が期待できる。また、円状部9は厚さが第二部材5の直径と同じ扁平状あっても、直径が0.6mmの球状であってもよい。
【0031】
図7に示す眼内レンズ20は、上記円状部9を3つ形成して数珠状となっている。この3つの円状部9により支持部2の嚢への固定機能をより高めて光学部1の回転を抑制させることができると共に、隣り合う円状部9の間に縫着用糸を通して支持部2と嚢とを逢着することができ、縫着用レンズとして適用が可能となる。なお、円状部9は3つに限らず複数であればよく、2つでも4つでも5つでも6つ以上でもよい。
【0032】
図8に示す眼内レンズ20は、支持部の先端5aであって支持部2の中心軸に対して外側に直径が0.3mmの半円状部10を3つ形成している。この3つの半円状部10により支持部2の嚢への固定機能をより高めて光学部1を安定させることができると共に、隣り合う半円状部10の間に縫着用糸を通すことができ、縫着用レンズに適用が可能となる。なお、半円状部10は3つに限らず複数であればよく、2つでも4つでも5つでもよい。
【0033】
上記半円状部10は、支持部2における光学部1の中心から最も離れた位置Pよりも先端側に設けることが好ましい。この場合には、支持部2を嚢の外に逢着する際に、支持部の先端5aが光学部1の中心と上記位置Pを結ぶ直線上よりも外側(支持部2の先端側)へ引っ張られても湾曲した支持部2が延びることで逢着することが可能となる。また、半円状部10は、光学部1の中心と上記位置Pを結ぶ直線上から外側へ設けることで嚢との接触する力を大きくし、その結果、湾曲した支持部2の動きを抑制し、光学部の回転を抑制できる。なお、上記孔部7や円状部9も、半円状部10と同様に支持部2における光学部1の中心から最も離れた位置Pよりも先端側に設けることが好ましい。
【符号の説明】
【0034】
1 光学部
2 支持部
3 第一部材
5 第二部材
5a 支持部の先端
6 減肉部
7 孔部
8 板状部
9 円状部
10 半円状部
11 接合部材
20 眼内レンズ