(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記自己の移動体に対向して走行するオブジェクト、前記自己の移動体との相対速度の絶対値あるいは相対速度変化の絶対値が所定の値より小さいオブジェクト、前記自己の移動体よりも速度が遅いオブジェクト、又は静止しているオブジェクトに対応するモデルを特定し、特定された当該モデルには、前記効果を加えない、請求項1又は2に記載の移動体位置情報認識表示装置。
【背景技術】
【0002】
自動車などの移動体に設置されたカメラを用いて撮影した画像を処理して、移動体を様々な方向から見たときと近似した画像に変換する画像変換技術が存在する。移動体に搭載された複数個のカメラを用いて撮影した画像を合成し、この移動体の周囲の一定範囲の領域の画像を鳥観図のように生成する、いわゆる「アラウンドビューモニター」(登録商標)などの技術がある。このような画像合成技術は、移動体の運転席からは見えにくい位置にある他の移動体、物体などをモニタに表示してドライバに示すことにより、例えばバックでの運転時や縦列駐車の運転時のときなどにおいて利用されている。
【0003】
上述のような画像合成技術は、実際の撮影画像を変換して車内の表示装置に表示している。このため、撮影している対象が、一時的に他の移動体にさえぎられたり、カメラの死角に入ったりした場合に、その対象を表示することができない場合がある。
【0004】
また、移動体の走行を映像として記録するドライブレコーダが存在する。このドライブレコーダは、通常移動体のフロントガラス付近に1台設置され、映像の記録のために大容量の記憶装置を必要とする。
以下に、従来の技術について説明する。
【0005】
入力装置と、仮想モデルデータベースと、仮想モデル変換装置と、仮想モデル再構成装置と、仮想モデル処理装置と、制御装置又は表示装置とから構成される装置であって、仮想モデル変換装置は、入力装置から取得した複数の対象物に関する情報を認識し、仮想モデルデータベースから対応する仮想モデルを特定し、置換する。仮想モデル再構成装置は、対象物及びそれらの関係を仮想空間において対応する仮想モデル及びそれらの関係に再構成する。仮想モデル処理装置は、再構成された仮想モデル及びこれらの関係を基礎として、仮想モデル及びこれらの関係を理解、判断し、制御装置又は表示装置に指令する技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、ナビゲーション装置内に記憶された地図情報を用い走行道路形状を生成することで、より現実的な道路表示を可能にし、自車両の表示位置をディスプレイ内の所定の一点に固定するように演算し、自車位置を示すマーク及び追従車の位置を示すマーク、さらに追従車両以外の周辺車両位置を示すマークを道路上に重ねて表示するように動作することで、自車両と周辺車両の距離間隔が容易に判別できるようにする技術が存在する(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、他車の相対位置を表示する場合に、CCDカメラなどの画像情報を利用して、他の車両の車種等を通信処理のデータで受けることにより、その車両の三次元情報及び周囲の地図情報(地形情報)をデータベースから読出し、自車と他車との相対位置の検出結果に基づいて、車両と地形の三次元モデルをリアルタイムで測定結果に合わせて配置して描画させることで、人口現実的な仮想画像として表示装置に表示させる。視点を移動させて自由に移動させた視点からの状態を表示させることができ、例えば、表示画面の一部に操作レバーを表示し、その操作レバーを上下左右の好みの方向に操作させることで視点を移動させることができる。上方に視点を移動させると、高い位置から全体の状況を立体的に把握でき、直前の車両の陰になって見えなかった前方の車両の存在を三次元的に確認することができる。また、視点を道路の横方向から見るような位置に移動させると、自車やその前後に存在する他車の状態を側方から客観的に表示させることができるようにする技術が存在する(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
また、視点変換画像生成手段が、視点変換画像のうち車両に相当する部分に、車両を模って描かれた車両モデル画像を合成する技術が存在する(例えば、特許文献4参照)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、一実施形態における仮想空間及び現実の移動体に設置されたセンサ類の例を示す図である。
【0018】
図1(A)に示された仮想空間150は、
図1(B)に示された現実の移動体100Rに設置されたカメラ(101aないし101d)からの周辺オブジェクトの映像情報、レーダ103による周辺オブジェクトの相対速度及び位置等の情報、無線アンテナ105で受信されたGPSの情報及び無線ネットワークに接続された他のシステムからの諸情報、現実の移動体100R内に設置された速度計、加速度計、ジャイロなどのセンサ類(不図示)等から得られた移動体100Rの情報等に基づいて構築される。
【0019】
上記のカメラ(101aないし101d)、レーダ103、無線アンテナ105及び速度計などのセンサ類(不図示)は、例示であって、その他適切な情報収集装置が利用され得る。またこれらの情報収集のための装置は、現実の移動体100Rの車内又は車外の何れに設置されてもよい。
【0020】
図1(A)における仮想空間150は、
図1(B)に示される現実の移動体100Rに対応する仮想移動体100が仮想カメラ130の撮像方向の略中央に位置するように仮想カメラ130が設定されていることが望ましい。仮想カメラ130は、仮想カメラ130の仮想的な撮像系によって、仮想空間150を二次元画像に変換する場合に用いられる様々なパラメータを設定することができる。仮想カメラ130のパラメータとしては、例えば仮想カメラ130の仮想空間上での位置、撮像方向、焦点距離、画角等である。被写界深度は、仮想的なレンズ系の焦点の合う深度を示すパラメータであるが、本実施例の場合には、被写界深度はパンフォーカスに(すなわち、仮想カメラ130から何れの距離に存在する仮想的なオブジェクトに対しても焦点が合うように)設定されていることが望ましい。
【0021】
図1(A)には、上記諸情報から現実の移動体100Rの周辺に走行している実空間上の他の移動体及び静止物体等が認識される。実空間上の他の移動体及び静止物体等は、本発明の実施形態によって3Dモデルデータベースが参照され、それぞれ仮想モデルに対応付けられて仮想空間150内に配置される。
【0022】
図1(A)の仮想空間には、トラック110、自動車112、バス114、路肩のポール120が、現実の移動体100Rに対応する仮想空間内の仮想移動体100の周囲に配置されている。仮想空間150内に存在するこれらの仮想的なモデルは、仮想移動体100に対して現実の空間に存在するオブジェクトの各々に対応しており、それらと現実の移動体100Rとの相対的な動きに応じて常に仮想空間150内を相対的に移動している。
【0023】
本実施形態では、仮想カメラ130の仮想的な撮像系は、常に仮想移動体100を、画面の中央に置くように、仮想移動体100と同じ方向に移動して、仮想撮像系が、仮想移動体100を画面中央に置かれるように仮想移動体100を追随するようになっていることが望ましい。なお、仮想カメラ130と仮想移動体100との相対的な距離及び仮想カメラの撮像系のパラメータは、現実の移動体100Rに搭乗しているオペレータ(ドライバ)の指示により自由に設定できるようになっていることが望ましい。仮想カメラ130の撮像する映像を、現実の移動体100Rのオペレータ(ドライバ)等が見ることができるように運転席の近傍に表示装置が設置されることが望ましい。
【0024】
なお、認識された二輪車や人間なども、仮想空間に置くことができる。したがって、本実施形態においては、ドライバの運転において認識されることが必要となる現実のオブジェクトについては、仮想空間内に配置できるように、認識できるオブジェクトの網羅性を担保しておくことが望ましい。
なお、仮想空間に現実の移動体100Rに対する対向車については、
図1(A)に描かれていないが、対向車についても認識対象とすることが望ましい。
【0025】
図2は、一実施形態の機能ブロック図である。移動体計測部210は、現実の移動体100R内に設置された速度計、加速度計、ジャイロなどのセンサ類(不図示)等からの情報を受け取る。移動体計測部210で得られた現実の移動体100Rの情報は仮想空間構築部250に送られる。
【0026】
周辺オブジェクト計測部220は、現実の移動体100Rに設置されたカメラ(101aないし101d)からの周辺の他の移動体及びオブジェクトの映像情報、レーダ103による周辺の他の移動体及びオブジェクトの相対速度及び位置等の情報、無線アンテナ105で受信されたGPSの情報及び無線ネットワークに接続された他のシステムからの諸情報(道路情報、道路の設置されたカメラからの映像等)を受け取る。周辺オブジェクト計測部220で受け取られた情報は仮想空間構築部250及びオブジェクト認識部230に送られる。
【0027】
オブジェクト認識部230は、周辺オブジェクト計測部220で受け取られた情報を基にして、周辺に存在する他の移動体及び路上のポール等のオブジェクトを認識し、認識された結果を仮想空間構築部250に送る。
【0028】
仮想空間構築部250は、カーナビゲーションデータベース270から道路の形状を取得し、仮想空間150に道路のモデルを形成する。また、仮想空間構築部250は、移動体計測部210からの情報を基にして、現実の移動体100Rに対応する仮想移動体100を仮想空間150に形成された仮想的な上記の道路に位置させ、現実の移動体100Rに対応する速度で仮想的な上記道路を走行させる。仮想移動体100の三次元形状は、仮想空間構築部250に保存されていてもよく、或いは3Dモデルデータベース240から取得されてもよい。
【0029】
更に仮想空間構築部250はオブジェクト認識部230から得られた情報を基にして、周辺の他の移動体及びオブジェクトに対応する仮想モデルを3Dモデルデータベースから取得する。仮想空間構築部250は、得られた周辺の他の移動体及びオブジェクトに対応する仮想モデルを仮想空間に置く。仮想空間構築部250は、周辺の他の移動体及びオブジェクトに対応する仮想モデルを、周辺オブジェクト計測部220の情報を基にして、仮想モデルの各々を仮想的な道路に走行させる。
また、仮想空間構築部250は、仮想空間の情報をレンダリング部260及びレコーダ部280に送る。
【0030】
レンダリング部260は、オペレータ(ドライバ)から指示された仮想カメラ指示情報を基にして、仮想カメラ130のパラメータを設定し、仮想空間150を撮像した情報を、レンダリング部260に送る。
【0031】
レンダリング部260は、仮想空間150を仮想カメラ130から撮像した二次元映像を生成する。生成された二次元映像は、表示装置に送られる。レンダリング部は、仮想移動体100と相対的に移動している周辺の他の移動体に関して、前記相対速度が容易に識別できるように、周辺の移動体の残像を細切れ的に表示したり又は周辺の移動体の所定時間だけ過去の映像を、例えば過去の映像になるほど透明度を増加させて二次元画像に重畳して表示したりしてもよい。あるいは、周辺の移動体の移動状況がわかるように、周辺の移動体に軌跡(ブレ)を付加するようにしてもよい。どの程度過去の残像又は過去の他の移動体の映像までを表示させるかは、あらかじめ定めておくか、オペレータ(ドライバ)の指示に基づいて適宜変更してもよい。
なお、自己の移動体、対向して走行する移動体、自己の移動体との相対速度の絶対値あるいは相対速度変化の絶対値が所定の値より小さい移動体、自己の移動体よりも速度が遅い移動体、又は静止しているオブジェクト等については、残像、過去の映像等を表示させないようにしたり、或いはこれらの移動体のうちの一部の移動体又はオブジェクトについて残像、過去の映像等を表示させないようにしたり、移動体又はオブジェクトの種類或いは性質に応じて、表示の効果を異ならせるようにしたりすることができる。
【0032】
レコーダ部280は、時々刻々と変化する仮想空間の情報をメモリ704又は記憶媒体760に蓄積する。レコーダ部に蓄積される情報は、仮想空間150の情報であるため、現実の走行映像を記録するドライブレコーダよりも、より圧縮された情報を記録することができる。このため、消費する記憶容量を削減することができる。また、記録された時々刻々変化する仮想空間の情報は、仮想カメラを移動させることにより、後に記録情報を再生するときに、視点を変えて仮想空間を二次元画像でディスプレイに表示させることができる。
【0033】
図3は、一実施形態における第1の表示画像の例を示す図である。
図3の画像は、仮想カメラ130が仮想空間150を撮像した画像である。現在時刻における仮想移動体100、現在時刻における周辺移動体310、現在時刻に路肩に存在するポール330が表示されている。
図2において、残像312、残像314及び残像316は、周辺移動体310の残像の画像である。
【0034】
例えば、残像312は、現在時刻よりも時間dだけ過去の周辺移動体310の残像であってもよい。そして、残像312は、周辺移動体310よりも透明度をΔ%増加させた画像であってもよい。したがって、残像312は、周辺移動体310よりも透明度をΔ%増加させた画像であり、常に周辺移動体310よりも時間dだけ過去の画像であってもよい。この場合、残像312は仮想移動体100よりも相対速度が速ければ、周辺移動体310を追随しているように見えることとなる。なお、上記の記載において、「透明度」とは、透明度100%が完全な透明を意味し、透明度0%が完全な不透明を意味する語として用いている。
【0035】
あるいは、残像312は、ある時刻よりも所定の時間だけ過去の周辺移動体310の瞬間的な画像であって透明度をΔ%だけ増加させた画像であってもよい。すなわち、周辺移動体310は、所定のインターバル時間dで、残像を残すようにさせることとしてもよい。この場合、残像312は仮想移動体100よりも相対速度が速ければ、周辺移動体310が、所定のインターバルd毎に、周辺移動体100の静止画であって、透明度をΔ%増加させた静止画を残しながら移動しているように見えることとなる。
【0036】
残像314は、残像312よりも時間dだけ、過去の画像であって、更に透明度をΔ%増加させた画像であり、残像316は、残像314よりも時間dだけ、過去の画像であって、更に透明度をΔ%増加させた画像であってもよい。なお、透明度を増加させる値は、それぞれの残像で異なってもよい。また、残像のインターバルdがそれぞれの残像で異なっていてもよい。なお、残像をいくつ残すかは、あらかじめ定めておいてもよい。あるいは、透明度を増加させた際に透明度が100%以上になった場合には、残像を消すとともに、描画対象から除外してもよい。
【0037】
このように、周辺画像310の残像を残して、映像を生成することにより、周辺移動体310が、仮想移動体100と相対的にどのような速度で移動しているかを知ることができる。
【0038】
なお、上述の説明では、仮想移動体100の速度が変化しても、画像において静止しているように仮想カメラ130を移動させた場合を例に説明したが、仮想移動体100が移動するように画像を生成してもよい。
【0039】
図3の例では、1つの仮想移動体100のみを示したが、複数の仮想移動体を同様に表示するようにしてもよい。また、対向車をも表示させてもよい。仮想移動体310は、四輪車に限られず、二輪車、自転車などであってもよい。
【0040】
残像312、残像314、残像316は、仮想移動体100と相対的な関係を保って表示されるようにすることが望ましい。したがって、残像は、静止している道路或いは路肩のポールとの相対的な位置関係が保たれないこととなってもよい。
なお、静止している路肩のポール330は、残像を残さないように表示させることが望ましい。
図4は、一実施形態における第1の表示画像の変形例を示す図である。
【0041】
図4におけるブレの画像360は、残像312、残像314及び残像316等にぼかしの効果を加えて、周辺移動体310の動きの様子を表現したものである。ブレの画像は、上述の処理以外にも多様な処理によって表現できることは言うまでもない。このような効果を表示することによって、オペレータ(ドライバ)に対して、より分かりやすい映像が提供できる。
【0042】
図5は、一実施形態における第2の表示画像の例を示す図である。
図5は、周辺移動体410の速度が、仮想移動体100よりも遅いトラックの場合の例を示している。この場合には、現在時刻の周辺移動体410が表示されており、過去にさかのぼるにつれて、残像412、残像414、残像416が、周辺移動体410の前に表示されるようになる。なお、このトラックのように、周辺移動体410の速度が仮想移動体100よりも遅い場合には、残像412、残像414及び残像416を表示させないようにしてもよい。このように周辺移動体410の速度が仮想移動体100よりも遅い場合には、残像がトラックのフロント部分に重なるため、人間にとってトラック(周辺移動体410)の形状が認識しづらくなる場合がある。そのため、このような状況においては、残像を表示させないようにすることで、人間にとって、トラック(周辺移動体410)の移動の状況よりもトラックの形状をはっきりと認識させることができる場合がある。また、周辺移動体410と仮想移動体100との相対速度の絶対値が所定の値より小さい場合には、残像の重なりが強くなり、人間にとってトラックの形状が認識しづらくなる場合がある。そのため、このような状況においては、残像を表示させないようにすることで、人間にとって、トラックの移動の状況よりもトラックの形状をはっきりと認識させることができる場合がある。
このように、仮想移動体100に対する周辺移動体410の相対速度が特定の条件を満たす場合に、周辺移動体100の表示に与える効果を変化させるようにしてもよい。
インターバル時間d及び透明度Δ%については、
図3と同様であるので、説明を省略する。
図6は、一実施形態における周囲の移動体の残像の表示の第1のフローチャートである。以下に各ステップについて、説明する。
【0043】
[ステップS500]本実施形態の処理フローは、所定のインターバルで割り込みにより開始される。なお、処理の開始の契機は、割り込みに限定されるものではない。処理はステップS510に進む。
[ステップS510]ステップ510は、ステップS526との間に存在する各ステップの処理を、周辺のオブジェクト全てについて繰り返す。
【0044】
[ステップS512]例えば、現実の移動体100Rに搭載されているカメラからの映像に基づいてパターン認識により認識されたオブジェクトが、新たなものであるかが判断される。新たなものであれば(「はい」)、ステップS514に進む。既に認識済みであり、新たなものでない場合には(「いいえ」)、ステップS516に進む。
【0045】
[ステップS514]新たなオブジェクトを判定し、対応する仮想モデルを特定する。認識されるべきオブジェクトが新たなものである場合には、パターン認識、機械学習の技術等を用いて、どのような車種であるか、或いはどのようなオブジェクトであるかが判定され、対応するモデルが特定される。パターン認識においては、例えば移動体であれば、ヘッドライトの位置、車体の様々なデザインなどの特徴に基づいて、その特徴に最も合致する車種を特定する。特定された車種に基づいて、3Dモデルデータベース240から、特定された車種の3Dモデルを検索し取得する。静止している路上のポール330についても特徴を抽出し、オブジェクトの認識を行い、3Dモデルの検索及び取得が行われる。取得された3Dモデルは、仮想空間を構築する際及びレンダリングの際に利用される。次にステップS516に進む。
【0046】
[ステップS516]オブジェクトを判定し仮想モデルを特定する。認識された1つ以上のオブジェクトの位置に基づいて、仮想空間150内の適切な位置に仮想モデルを配置する。次にステップS518に進む。
[ステップS518]レコーダにおいて仮想空間を記録する。オペレータ(ドライバ)等により、仮想空間を記録することが指示されている場合には、その時刻における仮想空間をメモリ704又は記憶媒体760に記憶する。次にステップS520に進む。
【0047】
[ステップS520]現在時刻から時間dだけ前の周辺の移動体のモデルの位置が特定される。この場合の位置とは、仮想移動体100との相対的な位置を保持するようにすることが望ましく、静止している道路又は路肩のポール330との位置関係がずれてもよい。このようにすることによって、オペレータ(ドライバ)は、自己の仮想移動体100と周辺の他の移動体との過去の位置関係を把握することができる。次にステップS522に進む。
【0048】
[ステップS522] 現在時刻から時間2dだけ前の周辺の移動体のモデルの位置が特定される。その他の処理は、ステップS520と同様である。次にステップS524に進む。
【0049】
[ステップS524] 現在時刻から時間3dだけ前の周辺の移動体のモデルの位置が特定される。その他の処理は、ステップS520と同様である。なお、
図6に示す実施形態では、現在時刻から時間3dだけ前の周辺の移動体の処理だけを示したが、どれだけ過去までの移動体のモデルを処理するかは、あらかじめ定めておけばよい。したがって、実施形態の処理は、
図6に限定されるものではない。次にステップS526に進む。
【0050】
[ステップS526]他の未処理のオブジェクトが存在する場合には、ステップS510に戻る。他の未処理のオブジェクトが存在しなければ、ステップS528に進む。
【0051】
[ステップS528]仮想空間150に対して、仮想カメラ130から撮像した二次元映像がレンダリングされる。なお、時間dだけ過去のモデルについては、現在時刻の周辺移動体よりも、透明度をΔ%だけ増加させ、時間2dだけ過去のモデルについては透明度を2Δ%だけ増加させ、時間3dだけ過去のモデルについては透明度を3Δ%だけ増加させてレンダリングを行って、
図3に示される画像を取得することができる。なお、過去のモデルを一定のインターバルd毎に生成するようにした例を示したが、インターバルは一定でなくてもよい。また、透明度についても、所定の割合で透明度を増加させるのではなく、表示装置の特性などを考慮して、それぞれの過去のモデルの透明度を個別に変化させてもよい。
【0052】
以上の処理を行うことによって、
図3に示されるように、現在における周辺移動体310の画像に追随するように、時間dだけ現在より過去の時刻における周辺移動体312が、Δ%だけ透明度を増加させて表示されるようになる。過去の周辺移動体314及び過去の周辺移動体316についてもすでに説明したとおりであるので、説明を省略する。
【0053】
図6の処理を用いることにより、過去の複数の時点における周辺移動体(312、314、316)が、滑らかに周辺移動体310に追随して移動するように映像が生成される。
【0054】
図6の処理を行うことによって、仮想移動体100との関係で周辺移動体がどのように相対的に移動しているかを、オペレータ(ドライバ)に対して、より分かりやすく表示することができる。
なお、
図4のように、ブレを表示させるためには、過去の複数の時点における周辺移動体(312、314、316)をぼかして表示させるようにしてもよい。あるいは、
図7に示す過去の残像をぼかして表示するようにしてもよい。なお、ブレの表現については、これらの手法に限定されるものではない。
【0055】
図7は、一実施形態における周囲の移動体の残像の表示の第2のフローチャートである。以下に各ステップについて、説明する。
[ステップS600] 本実施形態の処理フローは、所定のインターバルで割り込みにより開始される。なお、処理の開始の契機は、割り込みに限定されるものではない。処理はステップS610に進む。
[ステップS610]ステップ610は、ステップS626との間に存在する各ステップの処理を、周辺のオブジェクト全てについて繰り返す。
【0056】
[ステップS612]例えば、現実の移動体100Rに搭載されているカメラからの映像に基づいてパターン認識により認識されたオブジェクトが、新たなものであるかが判断される。新たなものであれば(「はい」)、ステップS614に進む。既に認識済みであり、新たなものでない場合には、ステップS616に進む。
【0057】
[ステップS614] 新たなオブジェクトを判定し、対応する仮想モデルを特定する。認識されるべきオブジェクトが新たなものである場合には、パターン認識の技術を用いて、どのような車種であるか、或いはどのようなオブジェクトであるかが判定され、対応するモデルが特定される。パターン認識においては、例えば移動体であれば、ヘッドライトの位置、車体の様々なデザインなどの特徴に基づいて、その特徴に最も合致する車種を特定する。特定された車種に基づいて、3Dモデルデータベースから、特定された車種の3Dモデルを検索し取得する。静止している路上のポール330についても特徴を抽出し、オブジェクトの認識を行い、3Dモデルの検索及び取得が行われる。取得された3Dモデルは、仮想空間を構築する際及びレンダリングの際に利用される。次にステップS616に進む。
【0058】
[ステップS616] オブジェクトを判定し仮想モデルを特定する。認識された1つ以上のオブジェクトの位置に基づいて、仮想空間150内の適切な位置にモデルを配置する。次にステップS618に進む。
【0059】
[ステップS618]レコーダにおいて仮想空間を記録する。オペレータにより、仮想空間を記録することが指示されている場合には、その時刻における仮想空間をメモリ704又は記憶媒体760に記憶する。次にステップS620に進む。
【0060】
[ステップS620]インターバルの時間d1が経過したかがチェックされる。インターバルの時間d1が経過した場合(「はい」)には、インターバルの計測をゼロリセットして、ステップS622に進む。インターバルの時間d1が経過していない場合(「いいえ」)には、ステップS624に進む。
【0061】
[ステップS622] 周辺の移動体については現在時刻のモデルの描画を残像として残す。ステップS622に進む。このステップによって、残像は、インターバルの時間d1毎に順次複数個生成されることになる。
【0062】
[ステップS624] 複数の残像の各々の透明度をΔ%増加させる。透明度が100%以上になった残像は描画対象から除外してもよい。残像は、仮想移動体100との位置関係を維持することが望ましい。なお、透明度が100%以上にならなくても、所定の時間だけ過去の残像は描画対象から除外するようにしてもよい。なお、レンダリングは、ステップS628においてまとめて行うことができる。ステップS626に進む。
【0063】
[ステップS626] 他の未処理のオブジェクトが存在する場合には、ステップS610に戻る。他の未処理のオブジェクトが存在しなければ、ステップS628に進む。
【0064】
[ステップS628] 仮想空間150に対して、仮想カメラ130から撮像した二次元映像がレンダリングされる。なお、時間d1だけ過去の残像については透明度をΔ%だけ増加させ、時間2dだけ過去の残像については透明度を2Δ%だけ増加させ、時間3dだけ過去の残像については透明度を3Δ%だけ増加させてレンダリングを行って、
図3に示される画像を取得することができる。なお、残像を一定のインターバルd1毎に生成する例を示したが、インターバルは一定でなくてもよい。また、透明度についても、所定の割合で透明度を増加させるのではなく、表示装置の特性などを考慮して、それぞれの過去のモデルの透明度を個別に変化させてもよい。
【0065】
以上の処理を行うことによって、
図3に示されるように、現在における周辺移動体310の画像が、複数の残像を残すように、時間d1だけ隔てて、順にΔ%だけ透明度を更に増加させて表示されるようになる。
図7の処理を用いることにより、周辺移動体312の残像(312、314、316)が、インターバル時間d1毎に生成される。
【0066】
図7の処理を行うことによって、仮想移動体100との関係で周辺移動体がどのように相対的に移動しているかを、オペレータ(ドライバ)に対して、より分かりやすく表示することができる。
【0067】
<ハードウエア構成>
図8は、一実施形態のハードウエア構成700を示す図である。
【0068】
ハードウエア構成700は、CPU702、メモリ704、通信制御装置706、入力インタフェース708、表示制御部710、外部メモリ制御部712及び出力インタフェース714を有する。
【0069】
そして、通信制御装置706には、インターネット、CAN731(コントローラエリアネットワーク)などのネットワークが接続される。入力インタフェース708には、タッチ感知センサ740、GPS742、カメラ744などが接続される。表示制御部710には、ディスプレイ750が接続される。外部メモリ制御部712は、記憶媒体760を読み書きすることができる。出力インタフェースには、スピーカ770などが接続される。
記憶媒体760は、RAM、ROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク、メモリーカード等であってもよい。
【0070】
以上説明した実施形態のプログラムは、ハードウエア構成700を備えるコンピュータにより実行され得る。また,実施形態のプログラムは,コンピュータに実行させる方法として,インプリメントされてもよい。本実施形態のプログラムの一部又は全部は、オペレーティングシステムにより実行されてもよい。また、プログラムの一部がハードウエアにより実現されてもよい。プログラムは記憶媒体760又はメモリ704に記憶されてもよい。
なお,上述の実施形態において,プログラムのステップは、矛盾のない限り,同時に,又は順序を入れ替えて実行されてもよい。
以上の実施形態は,ハードウエアの装置としてインプリメントされ得る。
以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることは言うまでもない。