(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。一つまたは複数の例示的な実施形態において、傾きセンサまたは推定装置が、回転する偏心質量を支持するロータを有するモータまたはその他のアクチュエータの電流を感知するためのセンサを含む。センサは、モータ電流を表すセンサ出力信号を検出器回路に提供し、検出器回路は、モータ電流の同期成分の振幅に少なくとも部分的に基づいて、重力(例えば、垂直)軸に対するロータ軸の傾き角度を表す傾き角度出力信号または値を提供する。
【0025】
幾つかの実施形態において、検出器回路は、電流の速度同期成分の振幅を表す出力信号を提供するようにセンサ出力信号を復調するための同期復調器、および、傾き角度出力信号または値を提供する第2の回路を含む。幾つかの実装において、プロセッサが、直交復調器出力信号を受信し、同期成分の絶対値を表す振幅値を算出し、算出された振幅に基づいて傾き角度出力信号または値を提供する。また、幾つかの実施形態において、プロセッサは、復調器出力に従ってモータ電流角度値を算出し得、また、算出されたモータ電流角度値および算出された振幅値に少なくとも部分的に基づいて、傾き角度出力信号または値を提供し得る。幾つかの実施形態において、ロータの回転を表す信号を検出器回路に提供するために第2のセンサが含まれる。様々な実装において、位相ロックループ(PLL)またはその他の適切な回路が、同期成分の周波数を判定し得る。幾つかの実施形態において、センサ出力信号の低周波数成分を除去するために、バンドパスフィルタまたはハイパスフィルタなど、フィルタ回路が用いられ得る。
【0026】
その他の実施形態において、検出器回路は、傾き角度出力信号または値を提供する増幅器を備える積分器回路を含み、幾つかの実装が、積分器回路に入力を提供するために、センサ出力信号の低周波数成分を除去するためのフィルタ回路を含む。
【0027】
幾つかの実施形態において、検出器回路は、センサ出力信号の低周波数成分を除去するためのフィルタ回路、および、傾き角度出力信号または値を提供するために、フィルタされた信号を整流するための整流器回路を含む。
【0028】
幾つかの実施形態における検出器回路は、センサ出力信号の検出されたピークに従って傾き角度出力信号または値を提供するためのピーク検出器回路を含む。幾つかの実装において、センサ出力信号の低周波数成分を除去するためにフィルタ回路が提供され得、フィルタ回路は、フィルタされた信号をピーク検出器回路の入力に提供する。幾つかの実装において、位相検出器回路がモータ電流角度を検出し、位相検出器回路はモータ電流角度を表す位相信号を提供し、また、ピーク検出器回路からの傾き角度出力信号および位相検出器回路からの位相信号に少なくとも部分的に基づいて、デジタル傾き角度出力値を算出するためにプロセッサが用いられる。
【0029】
幾つかの実施形態において、第2のセンサは、ロータの回転を表す信号を提供し、位相検出器回路が、一定の方向に対するロータ軸の回転角度を検出し、また、第2のセンサからの位置信号とモータ電流の同期成分とに少なくとも部分的に基づいて、一定の方向に対して傾斜するロータ軸の方向を表す傾き方向信号または値を提供する。
【0030】
さらなる態様によれば、或るシステムが、ベースに対して一定の位置に搭載される少なくとも一つのモータを含み、また、ベースの平面に対して所定の角度で延在するロータ軸を規定するロータを含み、偏心質量が当該ロータによって支持されている。このシステムはさらに、センサおよび検出器回路を有する傾きセンサ装置と共に、ロータを回転させるためにモータ電流を提供するための電源を含む。センサは、モータ電流を表すセンサ出力信号を提供するように作用し、検出器回路は、モータ電流の同期成分の振幅に少なくとも部分的に基づいて、重力軸に対するロータ軸の角度を表す傾き角度出力信号または値を提供する。幾つかの実施形態は、2つ以上の偏心質量モータおよび関連する検出器回路を含み、モータハウジングが、互いに対して所定の非ゼロ角度で延在する第1および第2のロータ軸を備えて、ベースの平面に対して一定の位置に搭載される。或る回路が、検出器回路から、第1および第2の傾き角度出力信号または値を受信し、検出器回路からの第1および第2の傾き角度出力信号または値に少なくとも部分的に基づいて、重力軸に対するベースの平面のベース傾き角度を表す傾き角度出力を提供する。
【0031】
例示的な実施形態の更なる態様によれば、或る方法が、重力軸に対する構造の傾き角度を推定する。この方法は、構造上の一定の位置におけるロータ軸(例えば、偏心質量モータ)の周りを回転するように適合される偏心質量を有するアクチュエータを提供すること、ロータ軸の周りで偏心質量を回転させること、アクチュエータ電流を感知すること、および、感知された電流の同期成分に少なくとも部分的に従って、構造傾き角度を推定することを含む。幾つかの実施形態において、傾き角度は、低周波数成分を除去するために、および、偏心質量の回転速度に関連する周波数でアクチュエータ電流の振動を表す同期成分信号を提供するために、電流感知信号をフィルタリングすることによって、ならびに、同期成分信号の振幅を判定して、同期成分信号の振幅を推定された傾き角度値と相関させることによって、推定される。
【0032】
図1は、重力(例えば、垂直)軸Gに対する、関連する偏心質量アクチュエータ(例えば、モータ)110の傾き角度θyを感知するための傾きセンサ装置100を含むシステムを示す。一実施形態におけるモータ110は、ロータ120を含むDCブラシモータであり、ロータ120は、給電されるとロータ軸140の周りを回転し、また、偏心質量130を支持する。
図1に示すように、例示的な実施形態におけるロータ120および偏心質量130は、
図1において矢印により示される方向に回転し、偏心質量130は、回転角度θeで配置されている。動作において、モータ110は、電源150からモータリード111および112を介するDC電流によって駆動され、例示的な実施形態における電源150は、概ね一定の回転速度でモータ110を動作させるように、概ね一定のDC電流Imを提供する。
【0033】
偏心質量モータ110は、任意の適切な手段を用いて、ベース構造101に対して概ね一定の位置または場所に置かれるハウジングを含み、ロータ軸140は、ベース101の平面に対して所定の角度(例えばこの例では180°)で延在する。この例において、モータ110は、ロータ角度140がベース101の平面に対して概ね垂直または直角の状態で置かれ、また、この例におけるベース101は、或る面を規定する概ね平らな頂部面101tを提供するが、この例の傾きセンサ装置100は、ベース構造101の任意のプロファイル表面上に置かれる偏心質量モータ110に関連して用いられ得る。一実施形態において、ベース101は印刷回路基板であるが、その他の実施形態が可能である。別の例において、偏心質量モータ110は、携帯電話、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ロボット構造、または可動機械構成要素の、筐体またはハウジングの一部を形成するベース101上またはその中に置かれる。
【0034】
偏心質量モータ110は、傾き角度θyを検出または推定するために用いられ、また、消費者電子デバイスにおいて触覚フィードバックまたはその他の有用な機能を提供するなど、ホストシステムにおいてさらなる機能性を提供し得る。例示的な実施形態において、電源150は、傾き角度推定または検出を可能とするように概ね連続的にモータ電流Imを提供するように制御され、また、電源150は常時動作され得る(但し、必須ではない)。例えば、ホストシステムプロセッサ(図示せず)が、電源150の触覚フィードバック動作を開始するように傾きセンサ装置100と、およびそれゆえ、着信の通知など、何らかのホストシステム機能を実装するように偏心質量モータ110と、動作可能に結合(例えば、直接的または間接的に接続)され得、および、所定のモータ電流Imおよびそれゆえ所定の回転モータ速度で、随時(または連続的に)、傾き角度感知動作をその他の方式で開始し得る。例示的な実施形態において、電源150はDCモータ電流Imを提供するDC源であるが、これは、全ての可能な実施形態の厳格な要件ではない。また、重力軸Gに対する非ゼロ角度θyでの偏心質量モータ110の動作は、モータ電流Im上にAC同期成分を導入し、この同期電流成分の振幅は角度θyに関連して変化する。
【0035】
モータ電流Imは、検出器回路180の入力182へのモータ電流Imを表すセンサ出力信号170(例えば、図示するような差動電圧信号、または、他の実施形態におけるシングルエンド信号)を提供するために、センサ160(例えば、第2のモータリード112と負の電力源接続との間に結合される直列感知レジスタRS)を用いて感知される。モータ電流Imを表すセンサ出力信号170を提供するための、磁流センサ(図示せず)または任意の適切な手段を用いるなど、その他の実施形態が可能である。検出器回路180は、モータ電流Imの同期成分の振幅に少なくとも部分的に基づいて、重力軸Gに対するロータ軸140の角度θyを表す傾き角度出力信号または値190を提供する出力184を有する。(例えば)スマートフォンおよびタブレットコンピュータ用の表示スクリーンの選択的な調整を含む、出力信号または値190の使用に対して、および/または、重力軸Gに対する、ベース101を含む構造の傾き角度θyを知ることが望ましい、航空学、ロボット工学、または製造システムを含む任意の応用例に対して、様々な応用例が可能である。傾きセンサ装置100は、偏心質量130を、ロータ軸140の周りで回転させるためのモータ電流Imの供給によって、重力軸Gに対する構造の傾き角度を推定するために、電流の流れImを感知するために、および、感知された電流Imの同期成分に少なくとも部分的に従って構造の傾き角度を推定するために用いられ得る。
図1にさらに示すように、三次元空間における軸140の方向は、ロータ軸140と重力軸Gとの間の角度を表す傾き角度θy、および、傾斜したロータ軸140と、
図1に示した真北Nなどの水平基準との間の角度を示す回転角度または傾き方向角度θydの両方を特徴付けることによって推定され得る。幾つかの実施形態において、θyおよびθydの両方を確認するために、複数の偏心質量モータシステムおよび対応する検出器回路180が用いられ得ることが、
図11〜
図14に関連して下記でさらに説明される。
【0036】
図2はグラフ200および210を提供し、グラフ200および210はそれぞれ、偏心質量モータ110および関連するロータ軸140が重力軸Gに対して徐々に傾斜されるときの、モータ電流Imの同期成分202および傾きセンサ出力信号212を時間「t」の関数として示す。
図2の例に示すように、モータ電流Imの同期成分202は、傾き角度に概ね比例して変化する包絡線または振幅(例えば、ピークツーピーク振幅)を有する概ね正弦波の波形であり、質量130の偏心は、0°傾き角度θyで、モータ110に如何なる付加的なトルク荷重も導入しないが、角度θyの非ゼロ値は、モータ負荷に、ロータ120の各回転周期における正弦波の増加および減少を経験させる。また、非ゼロ角度θyでのモータの偏心負荷は、グラフ200に示すように、モータ電流Imにおける正弦波の増加及び減少を引き起こし、こうした増加および減少は、ロータ回転と同期し、それゆえモータ速度ωと同期する。また、傾き角度θyの増加の結果、モータ電流Imの同期成分のピークツーピーク振幅の対応する増加となる。
【0037】
検出器回路180(例えば、
図1)は、同期成分振幅に従って、信号および/またはデジタル値190として傾き角度出力を提供するために、モータ電流のこの正弦波または同期成分202を評価する。検出器回路180の異なる実装が可能であり、以下でいくつかの例が図示および説明される。このように、検出器回路180は、センサ出力信号170に従って、モータ電流Imの同期成分の振幅に少なくとも部分的に基づいて傾き角度θyを表すアナログ電圧または電流信号190を提供するために、アナログ回路要素を用い得る。他の実施形態において、アナログ回路要素が、一つまたは複数のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSP、プログラマブル論理)を含むデジタル回路要素と結合され得、および/または、プロセッサ回路が、センサ出力信号170を直接的に受信するため、および、プログラム命令に従って傾き角度θyを表す傾き角度値190を生成するために分析を行うために適切なアナログ‐デジタルコンバータ回路要素と共に用いられ得、また、デジタル‐アナログ変換回路が、傾き角度θyを表す、結果のアナログ傾き角度出力信号190を生成するために用いられ得る。上述のように、出力信号または値190は、傾きセンサ装置100および関連するモータ110が設置された電子デバイスのホストプロセッサなど、任意の適切なシステムによって用いられ得る。
【0038】
図3は、傾きセンサ装置実施形態100を示し、傾きセンサ装置実施形態100は、(a)直交出力310aおよび310bなど、モータ電流Imの同期成分の振幅を表す一つまたは複数の復調器出力310を提供するための同期復調器回路300、および、(b)一つまたは複数の復調器出力信号310に少なくとも部分的に基づいて、検出器回路出力184において傾き角度出力信号190を提供するための第2の回路320を含む。この例において、同期復調器300は、モータ電流Imの同期成分の振幅および位相を表す出力310aおよび310bを提供するために、センサ出力信号170を選択的に復調する。
図3の実施形態において、位相ロックループPLL330の入力が、センサ出力信号170を受信するように検出器回路入力182と動作可能に結合され、PLL330は、モータ電流Imの同期成分の周波数ωを判定するように動作する。この例におけるPLL330は、モータ電流Imの同期成分周波数を表す信号または値ωを、同期復調器300への入力として提供する出力を有する。同期復調器が、例えば偏心モータ110の既知の動作中のモータ速度に対応する、一定の復調周波数ωを用いて、一つまたは複数の出力310を生成するように復調を行うその他の実施形態が可能である。また、更なる実施形態が、周波数信号または値ωを、同期復調器300への入力として能動的に提供するために、異なる周波数感知回路要素を用い得る。
【0039】
図4は、
図3の同期復調器300の実施形態の更なる詳細を示し、第2の回路320が、傾き角度θyを表す傾き角度出力信号または値190を提供するためのプロセッサ412を含む。一つの可能な実装において、同期復調器回路300は、例えば、リターンモータリード112に接続された入力により、センサ出力信号170を直接的に受信する。別の実施形態において、検出器回路要素180は、センサ出力信号170の低周波数成分を除去するためのハイパスフィルタ(HPF)またはバンドパスフィルタ(BPF)など、フィルタ回路420を含む。
図4の例において、フィルタ回路420は、センサ出力信号170を受信するように検出器回路入力182と結合される入力、および、センサ出力信号170に基づくフィルタされた出力信号を、同期復調器300の入力に提供するように結合される出力を含む。同期復調器300は、モータ電流Imの同期成分の振幅および位相を表す、直交形態の復調器出力信号310a(Iq)および310b(Id)を提供するように、フィルタ回路420からのフィルタされた出力信号を選択的に復調するように作用する。
【0040】
図4における復調器回路300は、第1および第2の乗算器400aおよび400bを含み、それぞれが(例えば、直接的に、または、任意の提供されるフィルタ回路420を介して)センサ出力信号170を受信し、第1の乗算器400aは、受信された入力信号を正弦関数信号SINωtで乗算し、その場合、周波数ωは、(例えば、電源150からの一定のDC出力のため、仮定された一定のモータ速度動作に基づくなど)所定の周波数であり得、または、周波数信号ωは、
図3に示すようなPLLまたはその他の回路330などの外部回路から受信され得る。第2の乗算器400bは、入力信号を余弦関数COSωtで乗算する。乗算器の出力はそれぞれ、対応する乗算器出力から、対応する演算増幅器402(例えば、第1のチャンネルにおける増幅器402a、および、第2のチャンネルにおける増幅器402b)の反転(−)入力に接続される入力レジスタR1を含む増幅器回路に提供される。各チャンネルにおけるフィードバック回路がコンデンサCを含み、コンデンサCは、反転入力と増幅器出力端子との間の第2のレジスタR2と並列に接続され、および、増幅器出力は、それぞれ、直交IqおよびダイレクトIdの復調された電流信号310aおよび310bを、第1および第2の回路320への入力として提供する。
【0041】
図4にさらに示すように、第2の回路320は、一体または個別のアナログ‐デジタル(A/D)コンバータを備えるプロセッサ回路410を含む。一つの可能な実装において、A/Dコンバータは、アナログ直交信号310aおよび310bを受信し、これらを変換して、対応するデジタル値を、プロセッサによる使用のための一連のサンプルとして提供する。また、この例における第2の回路320は、データおよびプログラム命令414の記憶のため、および、逆正弦(ARCSIN)関数を判定するためのルックアップテーブル(LUT)416を記憶するため、電子メモリ412を含む。この例におけるプロセッサ410は、任意の適切な処理技法によりプログラム414の命令に従って、傾き角度θyを表す傾き角度出力値190を検出器回路出力184において提供する。一つの可能な実施形態において、プロセッサプログラム414は、プロセッサ410に、復調器出力310に基づいて次の式を解かせる。
|Im|=SQRT(Id
2+Iq
2) 式(1)
角度(Im)=ATAN(Iq/Id)=θim 式(2)
ASIN(|Im|/|Imax|)=θy 式(3)
【0042】
前述の
図2のグラフ200に示すように、同期成分信号は、傾き角度θyと共に変化する振幅を有する概ね正弦波の波形を含む。上記の式(1)を解くと、直交信号310のサンプルの所与のセットのための絶対値振幅(|Im|)が提供され、また、式(2)における角度演算は、同期復調器の正に向かうゼロ交差に対するモータ電流角度を示す、対応するロータ角度または位相角度値θimを提供する。この情報により、プログラムされたプロセッサ410は、ルックアップテーブル416にアクセスし、ルックアップテーブル416は、所与の絶対値振幅|Im|のための傾き角度θy、および、モータ電流角度θimに対応する値、または、絶対値振幅|Im|および絶対最大電流値|Imax|に基づく値を示し、または、これは、幾つかの実施形態において上記式(3)を用いて算出され得る。それゆえ、傾き角度θyは、直交信号310のための2つのサンプルのセットに基づいて、時間的に任意の地点で算出され得る。他の実施形態において、プロセッサは、好ましくは同期成分の複数サイクルにわたる(例えば、ロータ120の複数旋回にわたる)多数のサンプルの平均またはピーク振幅値を判定するようにプログラムされ、また、モータ電流角度θimを算出する必要なく、対応するパラメトリック式(3)またはLUT416を用いて、結果の振幅値を対応する傾き角度θyと相関させる。このように、異なる傾き角度θyに関して上述の
図2に示された同期成分202における全体的な振幅変化、および、そのような振幅変化の傾き角度変化との相関(グラフ210)は、傾き角度θyを推定するための如何なる位相角度情報の使用も必要とせずに、同期(例えば、モータ)周波数の一つまたは複数のサイクルにわたって、ピーク検出またはその他の適切な技法によって評価され得る。
【0043】
また、電源150からの一定のDC電圧出力による、概ね一定の速度ωでのDCモータの動作は、一般に、或る非ゼロDC電流がモータを流れる結果となり、同期成分が、そのようなDCオフセット量に付加される。幾つかの実施形態において、同期周波数よりもはるかに高いサンプルレートで複数のサンプルを得るプロセッサ410が、DC成分を効率的に取り除くように、および、残りの同期(AC)成分振幅を分析するようにプログラムされる。また、様々な実施形態において、ハイパスまたはバンドパスフィルタ420が、同期成分の復調またはその他の評価の前に、(例えば、モータ電流Imにおける任意の概ね一定のDCオフセットを含む)低周波数成分を除去するために、
図4に示すようなハードウェアにおける(および/または、プロセッサ実行ファームウェアまたはソフトウェアにおける)同期周波数を下回るカットイン周波数を備えて実装され得る。例えば、他の可能な実装において、ルックアップテーブル416(および/または、上記のグラフ210における相関曲線など)は、任意のDCオフセット成分を組み込むように改変され得、それゆえ、モータ電流Imの同期成分振幅の評価を可能とする。
【0044】
図5は、別の傾きセンサ装置実施形態を示し、検出器回路180は、モータ電流Imの同期成分に少なくとも部分的に従って傾き角度出力信号190を提供するためのリセット可能な積分器回路500を含む。この実装において、角度情報は、傾き角度θyを推定するのに必要なく、一つまたは複数のモータ旋回に関して回路要素500により提供される積分が、同期成分の振幅に基づいた信号を提供する。一つの実装において、積分器回路500は、ハイパスまたはバンドパスフィルタ502を含み、ハイパスまたはバンドパスフィルタ502は、センサ出力信号170を受信し、フィルタされた信号503を演算増幅器ベースの積分器回路に提供する。別の実施形態において、フィルタ回路502は省かれ、積分器回路がセンサ出力信号170を直接的に受信する。
図5に示すように、ハイパスまたはバンドパスフィルタ502は、センサ出力信号170の低周波数成分を除去するように動作し、また、バンドパスフィルタの場合には、モータ速度または周波数を上回る(モータ電流Imの同期成分の周波数を上回る)高周波数成分を除去する。フィルタ回路502は、フィルタされた信号を、(Rlと結合された反転入力を有する増幅器も含む)積分器回路要素のレジスタRlに提供するように結合される出力と、演算増幅器504の反転入力および出力間に結合されるフィードバックコンデンサCとを有し、増幅器504は、増幅器出力をサンプルホールド(S/H)回路512に提供し、サンプルホールド(S/H)回路512は、スイッチ514、演算増幅器516、並びに、レジスタ518およびコンデンサ520により形成されるRCローパスフィルタを含み、演算増幅器516は傾き角度出力190を提供する。積分器実施形態500は、リセット可能であり、また、ゼロ交差検出器(ZCD)回路などの制御回路510からの制御信号508に従って動作される第1のスイッチ506を含み、ゼロ交差検出器(ZCD)回路は、センサ出力信号170のゼロ交差に応答して、積分器コンデンサCを放電するようにスイッチ506を選択的に閉じるために信号508を提供するように動作可能である。一つの可能な実装において、ゼロ交差検出器制御回路510は、フィルタされたセンサ出力信号170の半サイクルにわたって積分するため、フィルタ回路502の出力での電圧の正の半サイクルの間、スイッチ506を閉じるように信号508を選択的に提供する。他の可能な実装が、負の半サイクルまたは半サイクルの所定の部分の間、スイッチ506を閉じることを提供し、また、その他の変形が可能である。また、幾つかの実施形態における制御回路510は、積分器回路入力170の電圧のゼロ交差に少なくとも部分的に基づいて(例えば、直接、またはフィルタ回路502の後に)、スイッチ506の閉鎖の前に増幅器504の出力を選択的にサンプルするように、サンプルホールドスイッチ514を動作させる。このように、一つの制御信号508が、スイッチ506および514を動作させるために用いられ得、一方のスイッチは通常開いており、他方は通常閉じられている。その他の例において、制御回路510は、個別のスイッチ506および514を動作させるために個別のスイッチング制御信号を提供し得る。動作において、(フィルタされたかどうかにかかわらず)受信された信号の積分は、同期成分の振幅を表し、そしてそれゆえ回路500における積分による傾き角度θyを表す電圧信号出力190、および、サンプルホールド回路512を用いた後続のサンプリングを提供する。
【0045】
図6は、別の傾きセンサ装置実施形態を示し、検出器回路180は、センサ出力信号170の低周波数成分を除去するためのハイパスフィルタ回路600、および、フィルタされた信号を整流するための整流器回路612を含む。バンドパスフィルタが用いられる(図示せず)その他の実施形態が可能である。フィルタ回路600は、センサ出力信号170を受信するように検出器回路入力182に結合される第1の端子を備えるDCブロッキング静電容量602と共に、レジスタ604を介して静電容量602に結合される反転(−)入力と接地ノードに接続される非反転入力とを有する増幅器606を含む。増幅器606の反転入力および出力610間にフィードバックレジスタ608が結合され、増幅器606は、フィルタされた信号を整流器回路612に提供する。例示的な実施形態における整流器は、整流ダイオードのフルブリッジ構成を含み、傾き角度θyを表す電圧など、整流された傾き角度出力信号190を提供する。他の実施形態が、受動フィルタ回路600を用い、受動フィルタ回路600は、一つのブロッキング静電容量と、一つの整流ダイオードなどの、その後に続く能動または受動整流器とを含む。幾つかの実施形態において、(例えば、
図6に示すように、レジスタ616およびコンデンサ618を含む)出力フィルタ回路614が整流器出力を安定させ、フィルタ回路614の出力は、傾き角度θyを表す電圧信号である傾き角度出力信号190を提供する。
【0046】
図7は別の傾きセンサ装置実施形態を示し、この実施形態は、センサ出力信号170の検出されたピークに従って、ロータ軸140と重力軸Gとの間の傾き角度θyを表す傾き角度出力信号190を提供するための能動ピーク検出器回路を含む。また、
図7の例は、位相検出器回路720を含み、位相検出器回路720は、モータ電流角度θimを示す出力信号736を提供する。幾つかの実施形態においては、位相検出器回路720が省かれ、傾き角度信号190が、傾き角度θyを表すものとしてホストシステムによって用いられる。この例はまた、センサ出力信号170の低周波数成分を除去するための、ハイパスフィルタまたはバンドパスフィルタなど、入力フィルタ回路702を含む。また、幾つかの実装において、プロセッサ回路740が、関連するA/Dコンバータによる変換のための信号190を受信し、プロセッサ740は、デジタル出力190として提供され得る、θyを表す傾き角度値を判定するために、関連する電子メモリ742におけるルックアップテーブル744をインデクシングする。また、様々な実装において、プロセッサ740は、モータ電流角度θimを表す、位相検出器回路720からのアナログ電圧信号736を獲得および変換し、変換されたθyおよびθim値を用いて、プロセッサ740によりホストシステム(図示せず)にデジタル値として提供される傾き角度出力値190を獲得するためにルックアップテーブル744をインデクシングする。他の実施形態において、A/Dコンバータ回路740が、変換されたθyおよびθimデジタル値190および736を、同様の処理のためにホストシステムに提供する。
【0047】
図7に示すように、フィルタ回路702は、センサ出力信号170を受信するように検出器回路入力182と結合されるフィルタ入力と、フィルタされた信号I
bp(t)を、ピーク検出器回路700の入力704に、およびまた、任意に含まれる位相検出器回路720に提供するように結合されるフィルタ出力とを含む。ピーク検出器入力704は、フォロアとして構成される演算増幅器706の非反転入力と結合(例えば、接続)され、出力ダイオード708が、第1の増幅器出力に接続されるアノードと、第2のフォロア増幅器716の非反転入力に出力信号を提供するカソードとを有し、第2のフォロア増幅器716の出力は、傾き角度出力信号190を提供する。増幅器716の非反転入力と回路接地との間に静電容量714が結合され、静電容量714と並列にスイッチ710が接続される。制御回路720が、センサ出力信号170のゼロ交差に応答して静電容量714を放電するように、スイッチ710を閉じることによりピーク検出器回路700を選択的にリセットするように動作する。この実装において、制御回路712は、コンデンサ714の電圧をリセットするためにスイッチ710を閉じるように、および、ピーク検出器入力ノード704の電圧の正の半サイクルの間にのみ閉じたままにするように作用するゼロ交差検出回路を用いて実装され得る。
図7にさらに示すように、位相検出器回路720の例は、出力724を備えるゼロ交差検出回路722を含み、出力724は、ヒステリシスを備えるゼロ交差検出信号I
zc(t)を、フリップフロップ726のセット(S)入力に提供するように結合される。フリップフロップ726のリセット(R)入力が、インデックス回路728からの出力730に結合され、フリップフロップ出力732(Q)が、モータ電流角度θimを表すロータ角度(位相角度)出力信号736を提供するための任意選択のローパスフィルタ734に提供される。
【0048】
図8において、グラフ800、810、820、830、および840は、
図7の位相検出器回路720における様々な信号波形を示す。グラフ800は、バンドパスフィルタされた信号波形802(I
bp(t))の例を示し、任意のDCオフセットがフィルタ回路702の動作により除去された状態の、モータ電流Imの同期成分を示す。グラフ810は、ゼロ交差検出器出力波形812(I
zc(t))を示し、フィルタされた信号波形802の検出されたゼロ交差に応答して、ハイに向かうパルスエッジおよびローに向かうパルスエッジが交互に発生している。インデックス回路出力波形822がグラフ820に示されており、幾つかの実施形態において、インデックス回路出力波形822は、ロータ120が基準位置を通る(例えば、下記の
図9および
図10に示すように、偏心質量130と関連する永久磁石1000が、センサ900を通る)各同期サイクルの間に示されるように、パルスを提供するようにモータ電流Imの同期成分と同期される。グラフ830におけるフリップフロップ出力波形832は、ゼロ交差検出器出力波形812のハイに向かうパルスエッジと、対応するインデックスパルス波形822の立ち上がりエッジとの間の時間に概ね対応するパルス幅834を有する。フリップフロップ回路726からのQ出力をローパスフィルタリングすることは、位相角度信号波形842に、フリップフロップ出力パルス832の幅834に概ね対応する振幅を提供する。位相検出器回路720は、インデックス信号822に対して、フィルタされた信号の位相に比例するアナログ電圧を提供する。その他の可能な実施形態において、プロセッサ回路740は、位相角度値θimを算出し、それをデジタル出力736として提供するように、フリップフロップ出力波形パルス832のデューティーサイクルまたはパルス幅834を測定するため、フリップフロップ出力732を直接的に受信し得る。
【0049】
図9は、傾きセンサ装置実施形態100が、偏心質量130の回転を検出するためのホールセンサ900を含む、別の例示的なシステムを示す。
図10は、
図9におけるロータによる偏心質量130の回転と、偏心質量130の永久磁石100の通過を検出するためのホールセンサ900を示す。
図9および
図10に示すように、ホールセンサ900は、永久磁石1000の近接の検出に基づいて傾きセンサ装置100の検出器回路180にセンサ信号を提供するように、一つまたは複数のワイヤまたは回路基板トレース902を介して結合される。ピックアップコイル感知、或いは、磁石1000の存否のその他の方式での検出など、代替的な実装が可能である。また、他の実施形態において、誘導センサが偏心質量130の回転を検出するために用いられ得る。
【0050】
図11は、上述のような傾きセンサ装置100を含む別の傾きセンサシステムを示し、この傾きセンサシステムにおいて、3つの偏心質量モータ110a、110b、および110cが、頂部側または表面101tおよび底部側または表面101bを有するベース101の頂部または上側表面101tの平面に対して所定または固定の角度で、対応するロータ軸140a、140b、および140cを備えて配置される。この例において、モータ110の各々は、偏心質量130a、130b、および130cを備える対応するロータを含み、また、モータリードが、対応するモータ電流Im1、Im2、およびIm3を表す対応するセンサ出力信号170a、170b、および170cを提供するように、傾きセンサ装置100における対応するセンサに接続される。ロータ軸140a、140b、および140cは、互いに対して非ゼロ角度で配置される。この例において、ロータ軸140は、漸次、互いから45°オフセットされ、第3のロータ軸140cは、ベース101の平面に本質的に平行であり、ロータ軸140bは45°オフセットされ、第1のロータ軸140aは、ベース101の頂部表面101tの平面に概ね垂直である。
【0051】
図12は、互いに対して異なる角度で、ベース101の平面と平行に配置されたロータ軸140を備える複数の偏心質量モータ110を有する、別のシステム実施形態を示す。例えば、
図11および
図12の構成が組み合わされるその他のシステム実施形態が考慮され、そうしたシステムは、重力軸に対して、三次元空間におけるベース101の曖昧でない角度位置を検出するための複数のモータ110を提供する。このように、システムは、ロボット工学またはその他の機械制御または動き制御応用例に、および、ゲームコントローラ応用例、無線制御の乗り物応用例、航空応用例、およびナビゲーションシステムに特に有利である。
【0052】
図13は、3つの偏心質量モータ110a、110b、および110cを含むシステムにおける別の可能な構成を示し、ロータ軸は、ベース101の平面に対して異なる角度で配置されており、また、
図11にも示したように、互いから45°増分で漸次角度的に離間されている。
図14において、グラフ1400、1410、1420、1430、1440、1450、および1460は、同期モータ電流成分曲線1402、1422、および1442、並びに、それぞれ、個々の偏心質量振動モータ110a、110b、および110cのための対応する傾き角度信号波形1410、1430、および1450を示す。また、
図14におけるグラフ1460は、重力角度Gに対する装置の傾き角度θy(
図1)を表す出力信号波形1462を示す。
図1で述べたように、重力軸Gと、ベース101の平面に垂直であるロータ軸140との間の角度オフセットθyは、ベース101の平面と水平面との間の角度偏差を表すベース傾き角度θbに相関し、また、傾きセンサ装置100は、重力軸Gにまたは重力軸に対して垂直の水平面に関連するベース構造101の傾き角度θbを評価するために用いられ得る。
【0053】
図13および
図14に示すように、大きな角度範囲にわたって所与の構造的ベース101のための推定された傾き角度を提供するために、上述の技法および回路要素を用いて複数の偏心質量モータ110が用いられ得る。このように、
図13におけるモータ110の45°のオフセットにより、曖昧性除去(disambiguation)回路1300(
図13)を用いる曖昧性除去が、角度検出または推定範囲を90°を越えて拡張し得る。グラフ1400、1420、および1440に示すように、モータ電流の同期成分は、包絡線正弦波波形を提供し、この波形は、傾きのための90°の角度回転ごとに繰り返され、
図11〜
図13の技法は、90°よりも小さい値(例えば、45°)の、複数の偏心質量モータ110のスタッガードオフセットを提供する。
図14は、典型的に用いられるベース101を有するデバイスの一例を示し、ベース面は厳密に水平であり、これにより、
図13に示した「Y」軸は、重力軸Gにデフォルトで垂直であり、
図14における水平目盛上の0°の破線垂直線により示される。
【0054】
一例において、(例えば、
図13におけるベースが、
図13における「Y」軸の周りを時計回りに30°回転することによる)、重力軸に対して+30°の有効角度θyでのベース101の位置決めが、
図14において破線1470として示され、第1の偏心質量モータ110aのための傾き角度出力信号波形1412は、+30°または−30°に対応するレベルまたは振幅である。従って、(
図13に示すように配置される)一つの偏心質量モータ110aの提供により、ベース101が、Y軸の周りを時計回りまたは反時計回りに、そうした量だけ回転されたかどうかについて、曖昧な情報が提供される。しかし、
図14のグラフ1430に示すように、第2の偏心質量モータ110bのための傾き角度出力信号波形1432は、+30°および−30°の2つの別個の振幅またはレベルを有する。
図13における傾きセンサ装置100は、重力軸Gに対する、または水平面に対する、ベース101の平面の角度θbを表す単一の傾き角度出力信号または値を提供するために、曖昧性除去回路要素1300を含む。また、曖昧性除去回路1300と共に、2つ又はそれ以上の非平行面における複数の角度−オフセットセンサ(例えば、偏心質量モータまたはアクチュエータ)の使用により、
図1における重力軸Gに対する傾き角度値θy(および/または、重力軸Gに対する構造的ベース101の角度θb)と、上記の
図1に示すような真北Nなど、水平基準に対するモータ軸140の角度を表す回転角度または傾き方向角度θydとの両方の識別が可能となる。
【0055】
図13における回路1300は、傾き角度出力信号または値190a、190b、および190cを受信するように検出器回路180a、180bおよび180cに動作可能に結合され、また、傾き角度出力信号または値190a、190b、および190cに少なくとも部分的に基づいて、重力軸(例えば、G)に対するベース101の平面のベース傾き角度θbを表す傾き角度出力信号または値190を提供するように作用する。上記の例に続いて、一つの実施形態における回路1300は、真のベース傾き角度θbに関するマッチング情報を識別するために、様々な傾き角度出力信号波形1412、1432、および1452を比較するための比較回路要素(アナログおよび/またはデジタル)を含む。例えば、上記の状況において、曖昧性除去回路1300は、第1の検出器回路180aからの信号波形1412に対応する2つの可能な角度値+30°および−30°を認識するように、およびまた、第2の検出器回路180bからの信号波形1432に対応する2つの可能な角度値+30°および+75°を認識するように動作し得る。この例において、曖昧性除去回路1300は、第1および第2の波形1412および1432により示されるマッチング値(例えば、+30°)に対応するベース傾き角度θbを表す出力信号または値190を提供する。
図14に示すように、第3の偏心質量モータ110cの提供により、曖昧でない角度範囲がさらに広がり、また、重力軸に対する傾き角度θbの曖昧でない角度測定のために、複数の角度的にオフセットされた偏心質量モータ110が提供される様々な実施形態が考慮され、その場合、オフセットされた偏心質量モータ110のそのようなグルーピングが、三次元空間における曖昧でない傾き角度検出または推定を提供するために、(例えば、ベース101の平面に平行、およびベース101の平面に垂直の)2つの概ね直交する面において提供され得る。
【0056】
図15は、別の傾きセンサ装置実施形態100を示し、別の傾きセンサ装置実施形態100は、重力軸Gに対する傾き角度信号または値190(θy)に加えて、ホールセンサ900の感知面からロータ軸の中心へ延在する軸1600に対する傾き方向角度信号または値1508(θyd)を提供するための、検出器回路180における位相検出器回路1500を含む。この例において、検出器回路180は、ハイパスフィルタ/バンドパスフィルタ回路502、ゼロ交差検出器回路510、リセット可能な積分器回路500、ならびに、
図5に関連して概して上述したように傾き角度信号または値190を提供するサンプルおよびホールド回路512を含む。また、位相検出器回路1500は、正のゼロ交差検出回路1502を含み、正のゼロ交差検出回路1502は、ゼロ交差検出器回路510から出力508を受信し、リセット(「R」)入力信号1503をRSフリップフロップ1504に提供する。フリップフロップ1504への「セット」(「S」)入力は、ホールセンサ900からの出力信号902が供給され、フリップフロップ1504「Q」出力1505が、ローパスフィルタ回路1506に入力を提供する。それゆえ、ローパスフィルタの出力は、偏心質量130がロータ軸140の周りを回転するときの、モータ電流Imの同期成分の正のゼロ交差と、ホールセンサ900の感知面を過ぎた磁石1000の通過との間の位相差を表す。
【0057】
ホールセンサ信号900は、偏心質量磁石1000がセンサ900と近接するとき、ハイに向かうパルスエッジを提供し、また、センサ900により提供されるパルスが、磁石1000がセンサ900の感知範囲内にある時間を表す幅を有する。従って、ホールセンサ出力信号パルスの立ち上がり(一例において、ハイに向かう)エッジは、偏心質量130が、ホールセンサ900の感知面からロータ120に向かって延在する軸1600と整合することを示す。この基準方向1600に対して、装置100は、傾き方向信号または値θyd 1508を識別し得る。このように、ロータ軸140が重力軸Gと平行である場合、モータ電流Imが本質的にゼロ同期成分を有するので、傾き角度θyは、上述したように0°である。
【0058】
しかし、
図16〜
図18も参照すると、一例の方位におけるモータ110は、
図16および
図17に示すように、軸1600と本質的に平行の方向におけるセンサへ向かって、方向1602に傾斜され(重力軸Gは、軸1600に沿っている)、
図17は、ホールセンサ面からロータ120の軸140へ軸1600に対して0°傾き方向θyd 1508で、
図16におけるように方位付けられる装置の上面図を示す。
図18のグラフ1800、1802、1804、1806、および1808は、
図16および
図17に示すように方位付けられる装置により傾き方向信号または値を判定するための、
図15の傾きセンサ装置における、それぞれ、信号波形503、902、1503、1505、および1508を示す。
図16および
図17の方位において、モータ電流Imの同期成分(
図18のグラフ1800における波形503)は、ホールセンサ信号902の立ち上がりエッジが生成されるとき(グラフ1802における波形902)、ゼロを通って増加する。この時点で、偏心質量130は、その最低の垂直位置にあり、また、増加している。また、正のゼロ交差検出回路1510(
図15)は、ホールセンサ出力信号902の立ち上がりエッジとの整合(グラフ1802)において、フリップフロップリセット信号の立ち上がりエッジ(
図18のグラフ1804における波形1503)を提供し、それゆえ、フリップフロップ出力(グラフ1806における波形1505)はローのままであり、また、ローパスフィルタされた信号出力波形1508(グラフ1808におけるθyd)はゼロであり、それゆえ、センサ−ロータ軸1600に対して0°での傾き方向を示す。このようにして、
図15の傾きセンサ100は、重力軸Gに対する傾き角度信号または値190(θy)、および、センサ面−ロータ軸または方向1600に対する傾き方向角度信号または値1508(θyd)の両方を識別する。それゆえ、装置100は、重力軸Gからの傾きの量(例えば、ベクトルの大きさを表すθy)、および、固定方向に対する角度傾き方向(例えば、上から見たときのベクトル角度を表すθyd)の極座標表示を提供するために用いられ得る。
【0059】
図19のシステム図および
図20の上面図は、ホールセンサ面からロータ軸140へ軸1600に対して70°傾き方向θydでの、別の可能な方位1602における装置を示す。また、グラフ1800〜1808は、装置のこの位置のための対応する信号波形503、902、1503、1505、および1508を示す。この例において、モータトルクが公称値を介して上昇し(
図21におけるモータ電流同期成分曲線503における立ち上がりゼロ交差)、立ち上がりエッジをトリガするポイントは、グラフ1802におけるセンサ出力信号波形902の立ち上がりエッジに続く、パルス波形1503(グラフ1804)における70°の相対的な位相角度である。従って、フリップフロップ1504(
図15)に提供されるセットおよびリセット信号は、適時にオフセットされ、また、
図21に示すように、グラフ1806におけるQ出力信号波形1505は、パルスに非ゼロ期間を提供する。ローパスフィルタ回路1506(
図15)を介するパルス信号1505のローパスフィルタリングは、ホールセンサ900の感知位相とロータ120の軸140との間の軸方向1600に対する装置の傾き方向に対応して、70°傾き方向θydを表すグラフ1808において、非ゼロ出力信号波形1508を提供する。このように、センサ装置は、有利にも、傾きθyおよび傾き方向θydの量の表示を提供する。
【0060】
特許請求の範囲内で、説明された実施形態における改変が可能であり、その他の実施形態が可能である。