特許第6543350号(P6543350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6543350振動断片に適する自動断片収集装置及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543350
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】振動断片に適する自動断片収集装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/06 20060101AFI20190628BHJP
【FI】
   G01N1/06 F
   G01N1/06 H
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-549378(P2017-549378)
(86)(22)【出願日】2017年3月18日
(65)【公表番号】特表2018-510344(P2018-510344A)
(43)【公表日】2018年4月12日
(86)【国際出願番号】CN2017077159
(87)【国際公開番号】WO2017148449
(87)【国際公開日】20170908
【審査請求日】2017年10月3日
(31)【優先権主張番号】201610296722.5
(32)【優先日】2016年5月6日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510268554
【氏名又は名称】▲華▼中科技大学
【氏名又は名称原語表記】HUAZHONG UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】▲ごん▼輝
(72)【発明者】
【氏名】袁菁
(72)【発明者】
【氏名】江涛
(72)【発明者】
【氏名】▲どん▼磊
(72)【発明者】
【氏名】駱清銘
【審査官】 西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0019725(US,A1)
【文献】 特表平08−501874(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/202998(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01094310(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00− 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緩衝液入れたタンク、前記タンクにある振動断片機、一端口が振動断片機にせん断された断片に向き、他端がフォワード/リバースモータ搭載のポンプと接続する配管No.1(前記配管No.1にバルブNo.1、ポンプとバルブNo.1との間にフィルターがある)及び一端が前記配管No.1のバルブNo.1とフィルタとの間に接続された配管No.2(前記配管No.2にバルブNo.2がある)を含むことを特徴とする振動断片に適する自動断片収集装置。
【請求項2】
前記配管No.2の他端に分配器、分配器の下に穴あきプレートがあることを特徴とする請求項1に記載の振動断片に適する自動断片収集装置。
【請求項3】
前記分配器にリング状のフィルターがあり、リング状のフィルターの径が穴あきプレートにおける穴の穴径と等しいことを特徴とする請求項2に記載の振動断片に適する自動断片収集装置。
【請求項4】
前記振動断片機がブレード固定具及びブレード固定具に取り付けられたブレードを含み、前記ブレード固定具に中空の通り穴があり、前記通り穴の一端がブレードに向き、他端が前記配管No.1と通じることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の振動断片に適する自動断片収集装置。
【請求項5】
3軸アームも含み、前記バルブNo.1、バルブNo.2及び分配器がそれぞれ3軸アームにあることを特徴とする請求項2に記載の振動断片に適する自動断片収集装置。
【請求項6】
前記ポンプが配管No.3によりタンクと通じることを特徴とする請求項5に記載の振動断片に適する自動断片収集装置。
【請求項7】
オイルトラップを含み、前記穴あきプレートが前記オイルトラップに取り付けられ、前記オイルトラップが配管No.4により前記タンクと通じることを特徴とする請求項6に記載の振動断片に適する自動断片収集装置。
【請求項8】
請求項5に記載の装置により自動的に断片収集を達成する方法であって、
バルブNo.2を閉じ、バルブNo.1を開け、ポンプのモータがフォワードとなるようにし、振動断片機にせん断された断片が緩衝液につれて配管No.1に流れ込み、フィルターが断片を阻止し、断片が配管No.1から排出できないようにするステップと、
バルブNo.1を閉じ、バルブNo.2を開け、ポンプのモータがリバースとなるようにし、配管No.1にある断片が緩衝液につれて配管No.2から分配器に流れ込むステップと、
3軸アームが分配器を駆動し、分配器が穴あきプレートの穴と正確に合わせ、前記断片が穴に流れ込むようにするステップと、
前記のステップを繰り返し、断片を穴あきプレートの各穴に入れるステップと
を含むことを特徴とする自動断片収集方法。
【請求項9】
分配器にあるリング状のフィルターが断片を阻止し、断片が穴あきプレートの穴から溢れ出ることができないようにし、穴から溢れ出た緩衝液がオイルトラップに収集され、配管No.4を経てタンクに流れ戻すことを特徴とする請求項8に記載の自動断片収集方法。
【請求項10】
ポンプのモータのフォワードの場合、吸い出された緩衝液が配管No.3を経てタンクに吸い入れられることを特徴とする請求項9に記載の自動断片収集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物断片の調製機器、具体的に、振動断片に適する自動断片収集装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の生物研究及び医学検査で、振動断片機で生物組織を所定の厚さの薄い断片に作り、染色やイメージングを行い、更になる処理及び観察をすることが普通である。普通、液体の周囲で振動断片を行い、それによる断片が液体に漂うので、手工で断片を選出し、穴あきプレートなどの収集容器に入れることが必要である。サンプルに関する大量、重複の断片には人の当直または重複の断片収集が必要であるので、効率が低い。よって、振動断片中に自動的に断片を収集して穴あきプレートなどの収集容器に入れる振動断片に適する自動断片収集装置が必要である。
【0003】
特許文献1にコンベアベルトで自動的に断片を収集する装置を開示した。コンベアベルトで超薄断片機からの樹脂埋め込みの組織断片を貼り付け、ローラーなどで断片が貼り付けられたコンベアベルトを収集、保存する装置である。空気における樹脂埋め込みサンプルに対する超薄断片とは違い、液体環境で振動断片を行い、それによる柔軟な組織断片がコンベアベルトに貼り付けられないので、そのコンベアベルト形の断片収集装置は振動断片に適しない。特許文献2に流れを制御して自動的に断片を収集する装置を開示した。流れ及び異なる水の回路で断片を穴あきプレートに収集する装置であるが、並行する複数の水の回路の構成が重複し、非常に複雑であり、毎度に生成した断片が正確に対応する管路に入ることを保証しがたく、断片の収集効率を影響を及ぼす。
【0004】
まとめていうと、従来の振動断片機に適する断片収集装置は構成が複雑である同時に、振動断片機に関する大量の改造及び添加が必要である。これらの課題が実際の利用でこの方法の拡張と利用を制限するので、簡単、効率の高い振動断片に適する自動断片収集装置の開発が課題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許US20100093022
【特許文献2】米国特許US20130019725
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は目的が前記の従来の技術の短所を克服し、振動断片に適する自動断片収集装置及びその方法を提供することにあり、振動断片中に発生したサンプル断片に対する自動収集に達成でき、断片の操作効率を向上できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
緩衝液入れたタンク、前記タンクにある振動断片機、一端口が振動断片機にせん断された断片に向き、他端がフォワード/リバースモータ搭載のポンプと接続する配管No.1(前記配管No.1にバルブNo.1、ポンプとバルブNo.1との間にフィルターがある)及び一端が前記配管No.1のバルブNo.1とフィルタとの間に接続された配管No.2(前記配管No.2にバルブNo.2がある)を含む振動断片に適する自動断片収集装置。
【0008】
前記の技術方案において、前記配管No.2の他端に分配器、分配器の下に穴あきプレートがある。
【0009】
前記の技術方案において、前記分配器にリング状のフィルターがあり、リング状のフィルターの径が穴あきプレートにおける穴の穴径と等しい。
【0010】
前記の技術方案において、前記振動断片機がブレード固定具及びブレード固定具に取り付けられたブレードを含み、前記ブレード固定具に中空の通り穴があり、前記通り穴の一端がブレードに向き、他端が前記配管No.1と通じる。
【0011】
また、本発明による装置は3軸アームも含み、前記バルブNo.1、バルブNo.2及び分配器がそれぞれ3軸アームにある。
【0012】
前記の技術方案において、前記ポンプが配管No.3によりタンクと通じる。
【0013】
更に、本発明による装置はオイルトラップも含み、前記穴あきプレートが前記オイルトラップに取り付けられ、前記オイルトラップが配管No.4により前記タンクと通じる。
【0014】
なお、本発明では前記装置により自動的に断片収集を達成し、下記のステップを含む方法も提供する。
【0015】
バルブNo.2を閉じ、バルブNo.1を開け、ポンプのモータがフォワードとなるようにし、振動断片機にせん断された断片が緩衝液につれて配管No.1に流れ込み、フィルターが断片を阻止し、断片が配管No.1から排出できないようにする。
【0016】
バルブNo.1を閉じ、バルブNo.2を開け、ポンプのモータがリバースとなるようにし、配管No.1にある断片が緩衝液につれて配管No.2から分配器に流れ込む。
【0017】
3軸アームが分配器を駆動し、分配器が穴あきプレートの穴と正確に合わせ、前記断片が穴に流れ込むようにする。
【0018】
前記のステップを繰り返し、断片を穴あきプレートの各穴に入れる。
【0019】
前記のステップで、分配器にあるリング状のフィルターが断片を阻止し、断片が穴あきプレートの穴から溢れ出ることができないようにし、穴から溢れ出た緩衝液がオイルトラップに収集され、配管No.4を経てタンクに流れ戻す。
【0020】
前記の方法において、ポンプのモータのフォワードの場合、吸い出された緩衝液が配管No.3を経てタンクに吸い入れられる。
【発明の効果】
【0022】
1、振動断片中のサンプル断片の自動収集に達成し、人の当直が不要であるので、効率を向上できる。
【0023】
2、構成が簡単であるので、異なる振動断片機と協力しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明による振動断片に適する自動断片収集装置の最適な実例の構成図
図2】本発明による振動断片に適する自動断片収集装置の最適な実例の3次元構成図
図3】実例用振動断片機の構成図
図4】本発明による装置で自動的に断片を収集するプロセスチャート
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、図及び実例により本発明について更に詳細な説明をする。
【0026】
本実例において、振動断片に適する自動断片収集装置は構成が図1の通りであり、タンク15を含み、タンク15に緩衝液22があり、生物サンプル16も振動断片機も緩衝液22にあり、液体環境で断片を行うようにする。本実例用振動断片機は構成が図2の通りであり、ブレード固定具19及びブレード固定具19にあるブレード18を含み、ナットをネジ穴(25、26)に入れ、ブレード18を締め付け、ブレード固定具19に通り穴20があり、通り穴20の下端がブレード18のブレードに向く。
【0027】
本実例において、振動断片に適する自動断片収集装置は三方リザーバ3、配管10、配管11、配管12、配管13、配管14及び穴あきプレート6も含む。
【0028】
その中、配管10の一端が三方リザーバ3の通路No.1、他端が通り穴の上端20と接続し、通り穴20の側に配管10としっかり接続するための膨張端27がある。配管10に配管10の通じ・遮断を制御するためのバルブNo.1があり、バルブNo.1が電磁ピンチバルブであってもいい。
【0029】
配管12の一端が三方リザーバ3の通路No.2と接続し、他端に分配器4が接続され、穴あきプレート6が分配器4の下部にあり、分配器4にリング状のフィルター5があり、リング状のフィルター5の径が穴あきプレート6の穴径と等しく、分配器4が穴あきプレート6の穴に入れてから、リング状のフィルター5が回りの内壁と接触できる。配管にバルブNo.2があり、バルブNo.2が配管12の通じ・遮断を制御し、電磁ピンチバルブであってもいい。穴あきプレート6がオイルトラップ7にあり、オイルトラップ7が配管14によりタンク15と通じる。
【0030】
配管11の一端が三方リザーバ3の通路No.3と接続し、接続箇所にフィルター8、他端にフォワード/リバースモータ搭載のポンプ9がある。ポンプ9が配管13によりタンク15と通じる。
【0031】
断片に対する自動、快速、連続的収集に達成するために、本実例振動断片に適する自動断片収集装置は3軸アーム28も含み、バルブNo.1、バルブNo.2、三方リザーバ3及び分配器4が3軸アーム28にある(図3参照)。
【0032】
本実例における自動断片収集装置の各部品について下記の通りに説明する。バルブNo.1及びバルブNo.2は電磁ピンチバルブ、三方リザーバ3及び分配器4はプラスチック製、リング状のフィルター5及びフィルター8はステンレス製、穴あきプレート6はポリスチレン製24穴板、オイルトラップ7及びタンク15はアルミニウム製、ポンプ9はブラシレスDCモータに駆動されるギヤポンプ、流量調節範囲が50〜1000 ml/min、配管10、配管11、配管12、配管13及び配管14はシリコーンチューブ、内径が6.4 mm、外径が9 mm、ブレード18はElectron Microscopy Sciences社製ジルコニアブレード、ブレード固定具19はステンレス製、3軸アーム28はYamaha社製形番T6L-T5L-T4Lの3軸アームである。
【0033】
図4は本実例における振動断片に適する自動断片収集装置のプロセスチャートである。次に、本実例装置の各部品により実例装置の動作過程について詳細に説明する。
【0034】
ステップS1:バルブNo.2を閉じ、バルブNo.1を開け、ポンプ9が低速フォワードを行い、ポンプのモータのフォワードの場合の液体流れ方向23に沿う低速、安定な流れが形成し、緩衝液22が通り穴20下端の口から通り穴に入り、通り穴20の上端から順序に配管10、三方リザーバ3、フィルター8、配管11、ポンプ9及び配管13を経てからタンク15に流れ戻すようにする。
【0035】
ステップS2:振動断片機がブレード18を駆動して生物サンプル16に対する断片を行い、断片中に生成したサンプル断片17がポンプのモータのフォワードの場合の液体流れ方向23の低速安定な流れに推されて通り穴20下端の口から通り穴に入る。サンプル断片17が引いて割れることを避けるために、流れ速度が緩い。
【0036】
ステップS3:ブレード18により生物サンプル16全断面に対する断片を完成してから、ポンプ9の回転数が向上し、ポンプのモータのフォワードの場合の液体流れ方向23に沿う高速安定な流れが形成し、サンプル断片17が流れに推されて配管10により三方リザーバ3に入り、フィルター8によりサンプル断片17を阻止し、サンプル断片17が三方リザーバ3から配管11に入らないようにする。
【0037】
ステップS4:バルブNo.1を閉じ、バルブNo.2を開け、ポンプ9のモータが高速リバースを行い、方向24に沿う高速、安定な流れが形成し、緩衝液がタンク15から順序に配管13、ポンプ9、配管11、フィルター8、三方リザーバ3、配管12及び分配器4を経て穴あきプレート6の穴に入り、サンプル断片17がポンプのモータリバース場合の液体流れ方向24に沿う高速安定な流れに推されて三方リザーバ3から配管12及び分配器4を経て穴あきプレート6の穴に入り、分配器4にあるリング状のフィルター5がサンプル断片17を阻止し、サンプル断片17が穴あきプレート6の穴から溢れ出ないようにし、余った緩衝液がオイルトラップ7に収集され、配管14を経てタンク15に流れ戻す。
【0038】
ステップS5:3軸アーム28により分配器4を上げ、穴あきプレート6の次の穴に移し、分配器4を当該穴に入れ、分配器4にあるリング状のフィルター5が穴壁としっかり接触するようにする。
【0039】
ステップS6:続いて断片を収集するかを判断する。続いて断片を収集する場合、断片収集を完成するまでステップS1〜S5を繰り返し、断片収集を完成した場合、次のステップに移す。
【0040】
ステップS7:断片収集を停止する。
【0041】
前記の過程の自動化に達成するために、IPCでそれぞれバルブNo.1、バルブNo.2、ポンプ9及び3軸アーム28を制御して前記の動作過程に達成する。IPCで前記の電気部品の自動動作を制御するのはこの分野の常用技術手段であるので、ここで贅言しない。
【符号の説明】
【0042】
1・・・バルブNo.1
2・・・バルブNo.2
3・・・三方リザーバ
4・・・分配器
5・・・リング状のフィルター
6・・・穴あきプレート
7・・・オイルトラップ
8・・・フィルター
9・・・ポンプ
10・・・配管
11・・・配管
12・・・配管
13・・・配管
14・・・配管
15・・・タンク
16・・・生物サンプル
17・・・サンプル断片
18・・・ブレード
19・・・レード固定具
20・・・通り穴
21・・・通り穴上端
22・・・緩衝液
23・・・ポンプのモータのフォワードの場合の液体流れ方向
24・・・ポンプのモータのリバースの場合の液体流れ方向
25・・・ネジ穴
26・・・ネジ穴
27・・・通り穴の膨張端
28・・・3軸アーム
図1
図2
図3
図4