特許第6543357号(P6543357)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543357
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】電子エアロゾル供給システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20060101AFI20190628BHJP
【FI】
   A24F47/00
【請求項の数】20
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2017-568256(P2017-568256)
(86)(22)【出願日】2016年6月10日
(65)【公表番号】特表2018-524984(P2018-524984A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】GB2016051730
(87)【国際公開番号】WO2017001818
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2018年2月9日
(31)【優先権主張番号】1511349.1
(32)【優先日】2015年6月29日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513305995
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ ホールディングス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】フレイザー、ローリー
(72)【発明者】
【氏名】ディケンズ、コリン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン、シッダールタ
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/131058(WO,A1)
【文献】 特表2017−506915(JP,A)
【文献】 特表2015−504653(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/023967(WO,A1)
【文献】 特表2012−529936(JP,A)
【文献】 特開2006−059640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
A61M 11/00 − 19/00
A61L 9/00 − 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料液からエアロゾルを発生するためのエアロゾル供給システムであって、
原料液の貯蔵部と、
平面加熱エレメントを含む平面気化器であって、原料液を前記貯蔵部から前記気化器の気化面付近に毛細管現象によって引き込むようになっている気化器と、
前記加熱エレメントに電流を誘導して前記加熱エレメントを誘導加熱することで前記気化器の気化面付近にある前記原料液の一部を気化するよう動作可能な誘導加熱コイルとを含み、使用されているとき平面加熱エレメントの少なくとも1つの領域において誘導加熱コイルによって生成される磁場は、平面加熱エレメントの面にほぼ垂直であり、
気化器は、加熱エレメントの少なくとも一部を囲む多孔質材料をさらに含むシステム。
【請求項2】
多孔質材料は繊維状材料でできていることを特徴とする請求項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項3】
多孔質材料は原料液を貯蔵部から気化器の気化面付近に毛細管現象によって引き込むようになっていることを特徴とする請求項またはに記載のエアロゾル供給システム。
【請求項4】
多孔質材料は貯蔵部から気化器の気化面付近に引き込まれた原料液を吸収して原料液を気化器の気化面付近に後の気化のために保存するようになっていることを特徴とする請求項乃至いずれか1項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項5】
加熱エレメントは導電性の多孔質材料でできていて、前記加熱エレメントは原料液を前記貯蔵部から前記気化器の気化面付近に毛細管現象によって引き込むようになっていることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項6】
気化器は、周縁部によって接続された互いに対向する第1および第2の面を含み、気化器の気化面は前記第1の面と第2の面のうち少なくとも一方の少なくとも一部を含むことを特徴とする請求項1乃至いずれか1項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項7】
気化器の気化面は、気化器の第1の面の少なくとも一部を含み、原料液は貯蔵部から気化面付近に気化器の第2の面との接触によって引き込まれることを特徴とする請求項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項8】
気化器の気化面は気化器の第1の面および第2の面のそれぞれの少なくとも一部を含み、原料液は貯蔵部から気化面付近に気化器の周縁部の少なくとも一部との接触によって引き込まれることを特徴とする請求項またはに記載のエアロゾル供給システム。
【請求項9】
気化器は原料液の貯蔵部の壁を画定することを特徴とする請求項1乃至いずれか1項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項10】
気化器の気化面は気化器の一面で原料液の貯蔵部の反対側にあることを特徴とする請求項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項11】
エアロゾル供給システムは使用者がエアロゾル供給システムで吸入したときに空気が引き込まれる空気流路を含み、空気流路は気化器を通る通路を通ることを特徴とする請求項1乃至1いずれか1項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項12】
気化器および/または気化器を含む加熱エレメントは平面状の輪の形状であることを特徴とする請求項1乃至1いずれか1項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項13】
追加の平面加熱エレメントを含む追加の平面気化器をさらに含み、この追加の平面気化器は原料液を貯蔵部から追加の気化器の気化面付近に毛細管現象によって引き込むようになっていることを特徴とする請求項1乃至1いずれか1項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項14】
誘導加熱コイルは、追加の加熱エレメントに電流を誘導して追加の加熱エレメントを誘導加熱することで追加の気化器の気化面付近にある原料液の一部を気化するようさらに動作可能であるか、エアロゾル供給システムは、追加の加熱エレメントに電流を誘導して追加の加熱エレメントを誘導加熱することで追加の気化器の気化面付近にある原料液の一部を気化するよう第1の誘導加熱コイルとは独立に動作可能な追加の誘導加熱コイルを含むことを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項15】
気化器と追加の気化器はエアロゾル供給システムの長手方向軸に沿って隔てられていることを特徴とする請求項1または1に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項16】
気化器は原料液の前記貯蔵部の壁を画定し、追加の気化器は原料液の貯蔵部の別の壁を画定することを特徴とする請求項1乃至1いずれか1項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項17】
気化器と追加の気化器はそれぞれ貯蔵部の互いに対向する端部の壁を画定することを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項18】
原料液からエアロゾルを発生するエアロゾル供給システムで使用するためのカートリッジであって、
原料液の貯蔵部と、
平面加熱エレメントを含む平面気化器であって、原料液を前記貯蔵部から前記気化器の気化面付近に毛細管現象によって引き込むようになっている気化器とを含み、
前記平面加熱エレメントは、前記エアロゾル供給システムの誘導加熱コイルからの誘導電流の影響を受けて前記加熱エレメントを誘導加熱することで前記気化器の気化面付近にある前記原料液の一部を気化し、カートリッジがエアロゾル供給システムに使用されているとき平面加熱エレメントの少なくとも1つの領域において誘導加熱コイルによって生成される磁場は、平面加熱エレメントの面にほぼ垂直になるように平面加熱エレメントは向けられ、
気化器は、加熱エレメントの少なくとも一部を囲む多孔質材料をさらに含む、カートリッジ。
【請求項19】
原料液からエアロゾルを発生するためのエアロゾル供給システムであって、
原料液保存手段と、
平面加熱エレメント手段を含む気化器手段であって、原料液を前記原料液保存手段から前記平面加熱エレメント手段に毛細管現象によって引き込むための気化器手段と、
前記平面加熱エレメント手段に電流を誘導して前記平面加熱エレメント手段を誘導加熱することで前記平面加熱エレメント手段付近にある前記原料液の一部を気化する誘導加熱手段とを含み、使用されているとき平面加熱エレメントの少なくとも1つの領域において誘導加熱手段によって生成される磁場は、平面加熱エレメントの面にほぼ垂直であり、
気化器手段は、加熱エレメント手段の少なくとも一部を囲む多孔質材料をさらに含む
システム。
【請求項20】
原料液からエアロゾルを発生する方法であって、
原料液の貯蔵部と、平面加熱エレメントを含み、加熱エレメントの少なくとも一部を囲む多孔質材料をさらに含む平面気化器であって、原料液を前記貯蔵部から前記気化器の気化面付近に毛細管現象によって引き込む気化器とを提供することと、
誘導加熱コイルを駆動して前記加熱エレメントに電流を誘導して前記加熱エレメントを誘導加熱し、前記気化器の気化面付近にある前記原料液の一部を平面加熱エレメントの面にほぼ垂直な磁場を平面加熱エレメントの少なくとも1つの領域において発生させることによって気化することとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電子ニコチン送達システム(例えば電子タバコ)などの電子エアロゾル供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は従来の電子タバコ10の一例を示す概略図である。この電子タバコはほぼ円柱形で長手方向軸(破線LA)に沿って延びており、2つの主要構成要素、即ちコントロールユニット20とカトマイザー(カートリッジ式アトマイザー)30とを含む。カトマイザーは、ニコチンなどの液剤の貯蔵部を含む内部チェンバーと、気化器(ヒーターなど)と、マウスピース35とを含む。カトマイザー30は、貯蔵部からヒーターへ少量の液体を輸送する芯またはそれに似た設備をさらに含んでもよい。コントロールユニット20は電子タバコ10に電力を供給する充電式バッテリーと、電子タバコを全体的に制御する回路基板とを含む。ヒーターが回路基板に制御されてバッテリーから電力を受けると、ヒーターはニコチンを気化させ、次いでこの蒸気(エアロゾル)はマウスピース35を介して使用者によって吸入される。
【0003】
図1に示すように、コントロールユニット20およびカトマイザー30は長手方向軸LAと平行な方向に分離することによって互いに取り外し可能であるが、装置10の使用時には、コントロールユニット20とカトマイザー30を機械的・電気的に接続する接続部(図1で25Aおよび25Bとして概略的に示す)によって接合される。コントロールユニット20の電気コネクターはカトマイザーとの接続に用いられるが、コントロールユニットをカトマイザー30から取り外すと、充電装置(図示せず)を接続するためのソケットとしても機能する。カトマイザー30はニコチンの供給が尽きるとコントロールユニット20から取り外して処分(必要であれば別のカトマイザーと交換)できる。
【0004】
図2および図3は、それぞれ図1の電子タバコのコントロールユニット20およびカトマイザー30の概略図を示す。なお、図2および図3では、明確にするために様々な部品や細部(例えば配線やより複雑な成形など)を省略した。図2に示すように、コントロールユニット20は、電子タバコ10に給電するためのバッテリーまたはバッテリー210と、電子タバコ10を制御するための(マイクロ)コントローラなどのチップとを含む。このコントローラは小型のプリント回路基板(PCB)215に取り付けられており、PCB215はセンサユニットをさらに含む。使用者がマウスピースで吸入すると、1つ以上の吸気孔(図1および図2では図示せず)から電子タバコに空気が吸い込まれる。センサユニットはこの空気流を検知し、この検知に反応してコントローラはバッテリー210からカトマイザー30内のヒーターに電力を供給する。
【0005】
図3に示すように、カトマイザー30は、マウスピース35からカトマイザーをコントロールユニット20に接合するためのコネクター25Aへとカトマイザー30の中心(長手方向)軸に沿って延びている空気路161を含む。この空気路161の周辺にはニコチン含有液の貯蔵部170が設けられている。この貯蔵部170は、例えば液に浸した綿または発泡体を設けることによって実施されてもよい。カトマイザーはさらに、貯蔵部170の液体を加熱して空気路161を流れマウスピース35から出る蒸気を発生するためのコイルヒーター155を含む。ヒーターはライン166および167を介して給電される。ライン166および167はコネクター25Aを介してバッテリー210の互いに反対極(正極と負極、またはその逆)に接続される。
【0006】
コントロールユニットの一端は、コントロールユニット20をカトマイザー30のコネクター25Aに接続するためのコネクター25Bを含む。コネクター25Aおよび25Bは、コントロールユニット20とカトマイザー30との間の機械的・電気的接続をもたらす。コネクター25Bは2つの電気端子、即ち外部接点240と内部接点250を含み、これらは絶縁体260で分離されている。コネクター25Aは同様に絶縁体172で分離された内部電極175と外部電極171を含む。カトマイザー30をコントロールユニット20に接続すると、カトマイザー30の内部電極175および外部電極171は、コントロールユニット20の内部接点250および外部接点240にそれぞれ係合する。内部接点250は、内部電極175が内部接点250を押してコイルばね255を圧縮するようにコイルばね255に取り付けられており、それによってカトマイザー30をコントロールユニット20に接続したときに良好な電気接触を確実に得るのに役立つ。
【0007】
カトマイザーのコネクターには、電子タバコの長手方向軸から互いに逆方向に延びる2つの突起即ちタブ180A、180Bが設けられている。これらのタブは、カトマイザー30をコントロールユニット20に接続するための差込接続具を提供するのに用いられる。当然のことながら、他の実施形態では、コントロールユニット20とカトマイザー30との間に他の接続形態(はめ込み式の接続具やねじ接続など)を使用してよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、カトマイザー30は一般に、液体貯蔵部170を使い切ると処分され、新しいカトマイザーが購入され取り付けられる。これに対し、コントロールユニット20は次々とカトマイザーを換えて再使用できる。従って、カトマイザーのコストを比較的低く保つことが特に望ましい。このための一手法は、(i)コントロールユニット、(ii)気化器部品、および(iii)液体貯蔵部に基づく、3つの部分からなる装置を構成することであった。この3つの部分からなる装置では、コントロールユニットおよび気化器はいずれも再利用できるのに対し、最後の部分である液体貯蔵部のみが使い捨て式である。しかし、3つの部分からなる装置を有することによって製造と使用者の操作の両方で複雑さが増す可能性がある。さらに、このような3つの部分からなる装置では、貯蔵部からヒーターに液体を輸送するために図3に示すタイプの芯材の構成を施すのは難しい可能性がある。
【0009】
別の手法はカトマイザー30を使い捨て式でなく詰め替え式にすることであるが、カトマイザーを詰め替え式にすると潜在的な問題が起こる。例えば、使用者は、カトマイザーに不適切な液体(電子タバコの供給元によって提供されていないもの)を詰め替えようとする可能性がある。この不適切な液体は、電子タバコ自体に損傷を与えるか、場合によっては有毒な蒸気を発生することにより、質の低い消費者経験をもたらす可能性および/または危険である可能性がある。
【0010】
このように、既存の手法では、使い捨て式部品のコストを削減する(または上記使い捨て式部品の必要性を回避する)ことに関してはあまり成功していない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は添付の特許請求の範囲に定義される。
特定の実施形態の第1の態様によれば、原料液からエアロゾルを発生するためのエアロゾル供給システムが提供される。このエアロゾル供給システムは、原料液の貯蔵部と;平面加熱エレメントを含む平面気化器であって、原料液を前記貯蔵部から前記気化器の気化面付近に毛細管現象によって引き込むようになっている気化器と;前記加熱エレメントに電流を誘導して前記加熱エレメントを誘導加熱することで前記気化器の気化面付近にある前記原料液の一部を気化するよう動作可能な誘導加熱コイルとを含む。
【0012】
特定の実施形態の第2の態様によれば、原料液からエアロゾルを発生するエアロゾル供給システムで使用するためのカートリッジが提供される。このカートリッジは、原料液の貯蔵部と;平面加熱エレメントを含む平面気化器であって原料液を前記貯蔵部から前記気化器の気化面付近に毛細管現象によって引き込むようになっている気化器とを含み、前記平面加熱エレメントは、前記エアロゾル供給システムの誘導加熱コイルからの誘導電流の影響を受けて前記加熱エレメントを誘導加熱することで前記気化器の気化面付近にある前記原料液の一部を気化する。
【0013】
特定の実施形態の第3の態様によれば、原料液からエアロゾルを発生するためのエアロゾル供給システムが提供される。このエアロゾル供給システムは、原料液保存手段と;平面加熱エレメント手段を含む平面気化器手段であって原料液を前記原料液保存手段から前記平面加熱エレメント手段に毛細管現象によって引き込むための気化器手段と;前記平面加熱エレメント手段に電流を誘導して前記平面加熱エレメント手段を誘導加熱することで前記平面加熱エレメント手段の付近にある前記原料液の一部を気化する誘導加熱手段とを含む。
【0014】
特定の実施形態の第4の態様によれば、原料液からエアロゾルを発生する方法が提供される。この方法は、原料液の貯蔵部と、平面加熱エレメントを含む平面気化器であって原料液を前記貯蔵部から前記気化器の気化面付近に毛細管現象によって引き込む気化器とを提供することと;誘導加熱コイルを駆動して前記加熱エレメントに電流を誘導して前記加熱エレメントを誘導加熱することで前記気化器の気化面付近にある前記原料液の一部を気化することとを含む。
【0015】
当然のことながら、本発明の第1の態様およびその他の態様に関連して上述した本発明の特徴事項および態様は、本発明のその他の態様による本発明の実施形態にも同等にあてはまり、上記の特定の組み合わせに限らずそれらの実施形態と適宜組み合わせられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照し説明するが、これらの実施形態は例示に過ぎない。
図1】既知の電子タバコの一例を示す概略(分解)図である。
図2図1の電子タバコのコントロールユニットの概略図である。
図3図1の電子タバコのカトマイザーの概略図である。
図4】本発明のいくつかの実施形態による電子タバコを示す概略図であり、カートリッジと組み合わせられたコントロールユニット(上)、コントロールユニット自体(中)、およびカートリッジ自体(下)を示す。
図5】本発明のいくつかの他の実施形態による電子タバコを示す概略図である。
図6】本発明のいくつかの他の実施形態による電子タバコを示す概略図である。
図7】本発明のいくつかの実施形態による図4図5、および図6に示すような電子タバコの制御電子機器の概略図である。
図7A】本発明のいくつかの実施形態による図6に示すような電子タバコの制御電子機器の一部の概略図である。
図7B】本発明のいくつかの実施形態による図6に示すような電子タバコの制御電子機器の一部の概略図である。
図7C】本発明のいくつかの実施形態による図6に示すような電子タバコの制御電子機器の一部の概略図である。
図8】本開示の特定の例示的実施形態による誘導加熱組立体を含むエアロゾル供給システムの概略図である。
図9】本開示の様々な例示的実施形態による、図8のエアロゾル供給システムに使用するための加熱エレメントの概略図である。
図10】本開示の様々な例示的実施形態による、図8のエアロゾル供給システムに使用するための加熱エレメントの概略図である。
図11】本開示の様々な例示的実施形態による、図8のエアロゾル供給システムに使用するための加熱エレメントの概略図である。
図12】本開示の様々な例示的実施形態による、図8のエアロゾル供給システムに使用するための加熱エレメントの概略図である。
図13】本開示の様々な例示的実施形態による原料液貯蔵部と気化器の様々な構成を概略的に示す。
図14】本開示の様々な例示的実施形態による原料液貯蔵部と気化器の様々な構成を概略的に示す。
図15】本開示の様々な例示的実施形態による原料液貯蔵部と気化器の様々な構成を概略的に示す。
図16】本開示の様々な例示的実施形態による原料液貯蔵部と気化器の様々な構成を概略的に示す。
図17】本開示の様々な例示的実施形態による原料液貯蔵部と気化器の様々な構成を概略的に示す。
図18】本開示の様々な例示的実施形態による原料液貯蔵部と気化器の様々な構成を概略的に示す。
図19】本開示の様々な例示的実施形態による原料液貯蔵部と気化器の様々な構成を概略的に示す。
図20】本開示の様々な例示的実施形態による原料液貯蔵部と気化器の様々な構成を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
特定の実施例および実施形態の態様および特徴事項を本明細書で記載・説明する。特定の実施例および実施形態のいくつかの態様および特徴事項は従来のように実施されてもよいが、簡潔にするためそれらについては詳細に記載・説明しない。従って、当然のことながら、本明細書に記載の装置および方法の態様および特徴事項で詳細な説明のないものは、その態様および特徴事項を実施するための任意の従来技術に従い実施されてもよい。
【0018】
上記のように、本開示は電子タバコなどのエアロゾル供給システムに関する。以下の説明で「電子タバコ」という用語を使用する場合があるが、この用語は「エアロゾル(蒸気)供給システム」と互換的に使用できる。
【0019】
図4は本発明のいくつかの実施形態による電子タバコ410を示す概略図である(なお、「電子タバコ」という用語は本明細書では「電子蒸気供給システム」、「電子エアロゾル供給システム」など他の同様の用語と互換的に使用される)。電子タバコ410はコントロールユニット420とカートリッジ430を含む。図4はカートリッジ430と組み合わせられたコントロールユニット420(上)、コントロールユニット自体(中)、およびカートリッジ自体(下)を示す。なお、明確にするために様々な実行例の詳細(例えば内部配線など)は省略されている。
【0020】
図4に示すように、電子タバコ410は中心の長手方向軸(LA(破線で示す)とする)を有するほぼ円柱形である。なお、円柱の断面(即ち線LAに垂直な面)は、必要に応じて円形、楕円形、正方形、長方形、六角形、その他の規則的または不規則な形状であってよい。
【0021】
カートリッジ430の一方の端部にはマウスピース435があり、電子タバコ410の(長手方向軸に関して)反対側の端部は先端424と表示されている。カートリッジ430のマウスピース435と長手方向に対向する端部は参照番号431で示され、コントロールユニット420の先端424と長手方向に対向する端部は参照番号421で示される。
【0022】
カートリッジ430は、長手方向軸に沿って動かすことでコントロールユニット420との係合・取り外しができる。より詳細には、カートリッジの端部431はコントロールユニット421の端部との係合・取り外しができる。従って、端部421をコントロールユニット係合部、端部431をカートリッジ係合部と呼ぶ。
【0023】
コントロールユニット420はバッテリー411と回路基板415を含み、それによって電子タバコは制御機能を有する(例えばコントローラ、プロセッサ、ASIC、またはこれらに似た形態の制御チップを備えることによって)。バッテリーは一般に円柱形であり、電子タバコの長手方向軸LAに沿って、または少なくともその近くに、中心軸を有する。図4では回路基板415はバッテリー411から長手方向にカートリッジ430とは反対方向に離して描かれているが、当業者は回路基板415について他にも様々な位置(例えばバッテリーの反対側の端)があることを認識している。さらに、回路基板415はバッテリーの態様に沿って置かれる可能性もある(例えば、電子タバコ410は長方形の断面を有し、回路基板は電子タバコの一方の外壁に隣接して配置され、即ちバッテリー411は電子タバコ410の反対側の外壁に向かって僅かにずれている)。なお、さらに、回路基板415から得られる機能(以下にさらに詳細に記載する)を複数の回路基板に分けてもよく、および/またはPCBに取り付けられていない装置に分けてもよく、これらの追加の装置および/またはPCBを電子タバコ410に適切に配置できる。
【0024】
バッテリーまたは電池411は一般に再充電式であり、1つ以上の再充電機構が支持されていてもよい。例えば、先端部424および/または係合端部421、および/または電子タバコの態様に沿って充電接続部(図4では図示せず)が設けられていてもよい。さらに、電子タバコ410は、1つ以上の再充電接続部またはソケットを介した再充電に加えて(またはその代わりに)バッテリー411の誘導再充電を提供してもよい。
【0025】
コントロールユニット420は、コントロールユニットの係合端部421から長手方向軸LAに沿って延びる管部440を含む。管部440の外側は一般にコントロールユニット420の外壁またはハウジング全体の一部であってもよい外壁442、内側は内壁424によって画定される。空洞426はコントロールユニット420の管部の内壁424と係合端部421によって形成されている。この空洞426は、(図4の上の図に示されているように)コントロールユニットと係合する際、カートリッジ430の少なくとも一部を受け入れ、収容できる。
【0026】
管部の内壁424および外壁442は、長手方向軸LAの周りに形成される環状の空間を画定する。この環状の空間には、コイル(加熱コイルまたは駆動コイル)450が中心軸を電子タバコ410の長手方向軸LAと実質的に整列した状態で配置されている。コイル450はコイルに給電するバッテリー411およびコイルを制御する回路基板415と電気接続されるため、動作時にコイル450はカートリッジ430を誘導加熱することができる。
【0027】
カートリッジは液剤(一般にニコチンを含む)を含む貯蔵部470を含む。この貯蔵部はカートリッジの外壁476と内管または内壁472(これらはいずれも電子タバコ410の長手方向軸LAと実質的に整列されている)の間に形成された、カートリッジの実質的に環状の領域を有する。液剤は貯蔵部470に自由な状態で保持されてもよく、あるいは、貯蔵部470は液体を貯蔵部に保持しやすいように何らかの構造体または材料(例えばスポンジ)を含んでいてもよい。
【0028】
外壁476は、断面積がより少ない部分476Aを有する。このことにより、カートリッジ430をコントロールユニット420と係合するためにカートリッジのこの部分476Aはコントロールユニットの空洞426に受け入れられる。外壁の残りの部分は、貯蔵部470内の空間がより広くなるよう、さらには電子タバコが連続した外面を有するよう、より大きな断面積を有する。即ち、カートリッジ壁476は、コントロールユニット420の管部440の外壁442と実質的に同一平面である。しかし、当然のことながら、電子タバコ410のその他の実行例では、(図4に示す平滑な外面と比較して)より複雑な/構造化された外面を有してもよい。
【0029】
内管472の内側は、マウスピース435によって得られる吸気口461A(コントロールユニットと係合するカートリッジの端部431に位置する)から排気口461Bまでの空気流の方向に延びる通路461を画定する。中央の通路461(即ちカートリッジ全体の空気流の中)にはヒーター455および芯454が配置されている。図4に見られるように、ヒーター455は駆動コイル450のほぼ中央に配置されている。詳細には、ヒーター455の長手方向軸方向の位置は、カートリッジ430の断面積がより小さな部分476Aの開始部の段差がコントロールユニット420の管部440の端部(マウスピース435に近い方)に接するようにする(図4の上の図に示すとおり)ことで調節できる。
【0030】
ヒーター455は誘導加熱組立体のサセプタ(または加熱エレメント)として使用できるように金属製である。より詳細には、誘導加熱組立体は、(バッテリー411によって適切に給電され、かつPCB415上のコントローラによって適切に制御されると)周波数変動の高い磁場を発生する駆動コイル(加熱コイル)450を含む。この磁場はヒーター455のあるコイル中央(即ち空洞426)で最も強力である。磁場が変化すると、導電性ヒーター455で渦電流が誘起されて加熱エレメント455で抵抗加熱が起こる。なお、磁場の高周波変動により渦電流が加熱エレメント表面に集中する(表皮効果による)ため、加熱エレメントの実効抵抗、ひいてはその結果得られる加熱効果が高くなる。
【0031】
さらに、加熱エレメント455は一般に、(鉄系)鋼のような高い透磁率を有する磁性材料(単なる導電性材料ではなく)であるように選択される。この場合、渦電流による抵抗損失は磁気履歴損失(磁区が繰り返し反転することにより起こる)によって補われ、駆動コイル450から加熱エレメント455への電力がより効率的に伝達される。
【0032】
ヒーターの少なくとも一部分は芯454に囲まれている。芯は、蒸発のために貯蔵部470からヒーター455に液体を輸送するよう機能する。芯は、任意の適切な材料(例えば耐熱性の繊維状材料)で作製されてよく、一般的に、通路461から延びて内管472の穴を通り貯蔵部470に到達する。芯454は、貯蔵部から通路461への液漏れを自由に防ぐ(貯蔵部自体に適切な材料を有することでこの液体保持を補助してもよい)という点で、制御された方法でヒーター455に液体を供給するようになっている。代わりに、芯454は、ヒーター455が駆動されるまで貯蔵部470内および芯454自体に液体を保持し、ヒーター455が駆動されると芯454によって保持されていた液体は気化して気流となり、その後通路461に沿って移動し、マウスピース435を通って出る。芯454は次いで貯蔵部470からさらに液体を引き込み、カートリッジが使い切られるまでこの手順はその後の気化(および吸入)とともに繰り返される。
【0033】
図4では芯454を加熱エレメント455とは別個のもの(加熱エレメントを包囲してはいるが)として示しているが、実行例によっては、加熱エレメント455と芯454を組み合わせて一つの部品(芯454としても(ヒーターとしても)機能できる繊維状の多孔質鋼材で作製した加熱エレメントなど)としてもよい。また、図4では加熱エレメント455を支持するように芯454を示しているが、他の実施形態では、加熱エレメント455は、例えば(加熱エレメントによる支持の代わりに、またはそれに加えて)管472の内側に取り付けることによって別個の支持体を備えていてもよい。
【0034】
ヒーター455は実質的に平面状、かつコイル450の中心軸および電子タバコの長手方向軸LAに垂直であってもよい。というのも、誘導は主にこの面で起こるからである。図4はヒーター455および芯454が内管472の全直径に及ぶことを示しているが、一般的にヒーター455および芯454は空気路461の断面全体を覆わない。代わりに、一般には空間が設けられ、空気が吸気口461Aからヒーター455および芯454の周辺を通って内管全体を流れ、ヒーターによって発生した蒸気を取り込むことができる。例えば、長手方向軸LAに沿って見ると、ヒーターおよび芯は、通路461に沿って空気が流れるように中心に穴(図4には図示せず)を有する「O字状の」構成を有してもよい。他にも、「Y字状」または「X字状」など、多くの構成が可能である(なお、このような実行例では、より誘導が起こりやすいように「Y字」または「X字」の腕の部分を比較的広くする)。
【0035】
図4は、吸気口461Aを覆うようにカートリッジの係合端部431を示しているが、カトマイザーのこの端部に1つ以上の穴(図4には図示せず)を設けて所望の吸気量を通路461に引き込めるようにしてもよい。なお、さらに、図4に示す構成ではカートリッジ430の係合端部431とコントロールユニットの対応する係合端部421との間にわずかな間隙422が存在する。吸気口461Aを通じてこの間隙422から空気を出すことができる。
【0036】
この電子タバコは空気が最初に間隙422に入るようにする1つ以上の経路を有してもよい。例えば、カートリッジの外壁476Aと管部440の内壁444との間に十分な間隔を設け、空気が間隙422に移動できるようにしてもよい。このような間隔はカートリッジが空洞426に密着していない場合に自然に発生する可能性がある。あるいは、この空気流を助ける1つ以上の空気経路をこれらの壁の一方または両方に沿ってわずかな溝として設けてもよい。別の可能性は、コントロールユニット420のハウジングに1つ以上の穴を設け、最初に空気をコントロールユニットに引き込み、次いでコントロールユニットから間隙422に通過させることである。例えば、コントロールユニットに空気を取り込むための穴は、図4の矢印428Aおよび428Bで示すように配置されてもよく、係合端部421は空気がコントロールユニット420から出て間隙422に入る(そしてそこからカートリッジ430に入る)ための1つ以上の穴(図4には図示せず)を有してもよい。他の実行例では、間隙422を省略してもよく、空気流は、例えばコントロールユニット420から吸気口461Aを通りカートリッジ430まで直接通過してもよい。
【0037】
この電子タバコは、誘導加熱組立体のための1つ以上の駆動機構(即ち、加熱エレメント455を加熱する駆動コイル450の動作を誘導するため)を有する。1つの可能な駆動機構はコントロールユニットにボタン429を設けることであり、使用者はこのボタンを押してヒーターを駆動してもよい。このボタンは、機械装置、タッチセンサ式パッド、スライド式コントローラなどであってもよい。ヒーターは、使用者がボタン429を押し続けるかそれ以外の方法で積極的に駆動している限り、電子タバコを1回吸うのに適した最大駆動時間(一般には数秒)に従い駆動され続けてもよい。この最大駆動時間に達すると、コントローラは過熱を防ぐために誘導ヒーターを自動的に停止させてもよい。また、コントローラは連続駆動の間に強制的に最小間隔(ここでも一般には数秒間)をあけることもできる。
【0038】
誘導加熱組立体はまた、使用者の吸入によって起こる空気流によって駆動されてもよい。詳細には、コントロールユニット420は吸入によって起こる空気流(または圧力降下)を検知するための空気流センサを有していてもよい。空気流センサは次いでこの検知をコントローラに通知でき、それに応じて誘導ヒーターが作動される。誘導ヒーターは、空気流が検知され続ける限り、ここでも上記のように最大駆動時間(および一般には喫煙間の最小間隔)に従い作動したままであってよい。
【0039】
ボタン429を設ける代わりに、空気流によるヒーターの駆動を利用してもよく(従ってボタン429は省略してもよい)、あるいは、電子タバコは動作するのに二重駆動、即ち空気流の検知とボタン429の押下の両方を必要としてもよい。二重駆動が必要であることは、電子タバコの意図されない駆動に対する予防手段を得るのに役立つ。
【0040】
当然のことながら、空気流センサの使用は一般に、検知に適した、吸入時にコントロールユニットを通過する空気流を含む(この空気流からは使用者が最終的に吸入する空気流の一部しか得られない場合でも)。このような空気流が吸入時にコントロールユニットを通過しない場合、ボタン429を駆動に用いてもよいが、コントロールユニット420の表面(全体ではなく)を通過する空気流を検知する空気流センサを設けることも可能な場合がある。
【0041】
カートリッジをコントロールユニット内に保持できる様々な方法がある。例えば、コントロールユニット420の管部440の内壁444と、断面積のより小さな外壁476Aのそれぞれに、相互係合のためのねじ山(図4には図示せず)を設けてもよい。はめ込み式の接続具やラッチ機構(おそらく解除ボタンまたは同様のものを有する)など、他の形態の機械的係合を用いてもよい。さらに、コントロールユニットは以下に説明するような固定機構を提供する追加の部品を有してもよい。
【0042】
一般に、図4の電子タバコ410の場合、コントロールユニット420へのカートリッジ430の取り付けは図1図3の電子タバコ10の場合よりも単純である。詳細には、電子タバコ410に誘導加熱を利用することにより、カートリッジ430とコントロールユニット420との接続が機械的接続だけでよくなり、抵抗ヒーターへの配線との電気接続までする必要はない。その結果、必要に応じて、カートリッジおよびコントロールユニットのハウジングに適切なプラスチック成形品を用いることで機械的接続を実施してもよい。対照的に、図1図3の電子タバコ10では、カトマイザーおよびコントロールユニットのハウジングは、何らかの形で金属製のコネクターに結合されなければならない。さらに、図1図3の電子タバコ10のコネクターは、コントロールユニットとカトマイザーとの確実で接触抵抗の低い電気的接続を確保するために、比較的正確に作られなければならない。対照的に、電子タバコ410のカートリッジ430とコントロールユニット420との純粋な機械的接続を得るための製造公差は、一般により大きい。これらの要因すべては、カートリッジの製造の単純化と、ひいてはこの使い捨て式の(消耗品である)部品のコストの削減に役立つ。
【0043】
さらに、従来の抵抗加熱は、繊維芯に巻いた金属製加熱コイルを使用する場合が多いが、このような構造体の製造を自動化するのは比較的難しい。対照的に、誘導加熱エレメント455は、一般には何らかの形態の金属製円盤(または他の実質的に平面状の部品)に基づいており、自動製造工程に組み込みやすい構造である。このことも使い捨て式カートリッジ430の製造コストの削減に役立つ。
【0044】
誘導加熱の別の利点は、従来の電子タバコは抵抗加熱コイルに電源ワイヤを結合するのに、はんだを使用する可能性があることである。しかし、このような電子タバコの動作中にコイルから発生した熱によって、はんだから望ましくない成分が揮発し、後に使用者によって吸入されるかもしれないという懸念がある。対照的に、誘導加熱エレメント455に結合するためのワイヤはなく、従ってカートリッジにはんだを使用しなくてもよい。また、従来の電子タバコのような抵抗加熱コイルは、一般に直径の比較的小さなワイヤを含む(抵抗と、ひいては加熱効果を高めるため)。しかし、このような細いワイヤは比較的繊細であるため、何らかの機械的酷使および/または潜在的な局所過熱とそれによる融解によって損傷を受けやすい可能性がある。対照的に、誘導加熱に用いられる円盤状の加熱エレメント455は、一般にそのような損傷に対してより堅牢である。
【0045】
図5および図6は、本発明のいくつかの他の実施形態による電子タバコを示す概略図である。繰り返しを避けるため、図5および図6に示す外観で図4に示すのとほぼ同じものについては、図5および図6の特定の特徴を説明するのに重要である場合を除き、ここでは説明しない。また、図4図6で下2桁が同じ参照番号は一般に同一または類似(あるいは対応する)部品を示すものとする(参照番号の上1桁はその参照番号を含む図に対応する)。
【0046】
図5の電子タバコでは、コントロールユニット520は概ね図4のコントロールユニット420と似ているが、カートリッジ530の内部構造は、図4のカートリッジ430の内部構造とはいくらか異なる。従って、液体貯蔵部470が中央の空気流路461を囲んでいる図4の電子タバコ410の場合のように中央に空気流路を有するのではなく、図5の電子タバコ510では、空気路561はカートリッジの中心の長手方向軸(LA)からずれている。具体的には、カートリッジ530は、カートリッジ530の内部空間を2つの部分に分ける内壁572を含む。第1の部分は内壁572と外壁576の一方の部分で画定され、液剤の貯蔵部570を収容する空間を設けている。第2の部分は内壁572と外壁576の反対側の部分で画定され、電子タバコ510を通る空気路561を画定している。
【0047】
また、電子タバコ510は芯をもたず、加熱エレメント(サセプタ)としても貯蔵部570からの液体の流れを制御する芯としても機能する多孔質加熱エレメント555に依存している。この多孔質加熱エレメントは、例えば、鋼繊維を焼結またはそれ以外の方法で結合させた材料で作られてよい。
【0048】
加熱エレメント555は貯蔵部570の端部でカートリッジのマウスピース535とは反対側の端部に位置し、貯蔵部チェンバーのこの端部側の壁の一部または全体を構成していてもよい。加熱エレメントの一方の面は貯蔵部570内の液体と接しており、反対側の面は空気路561の一部とみなすことができる空気流領域538に接している。具体的には、この空気流領域538は加熱エレメント555とカートリッジ530の係合端部531との間に位置する。
【0049】
使用者がマウスピース535で吸入すると、間隙522からカートリッジ530の係合端部531を通って領域538に空気が吸い込まれる(図4の電子タバコ410に関して説明したのと同様である)。この空気流(および/または使用者によるボタン529の押下)に応じてコイル550が駆動されてヒーター555に給電し、これによってヒーター555は貯蔵部570の液体から蒸気を発生する。この蒸気は次いで吸入によって起きた空気流に引き込まれ、通路561に沿って(矢印で示されるように)移動し、マウスピース535から出る。
【0050】
図6の電子タバコでは、コントロールユニット620は図4のコントロールユニット420とほぼ似ているが、ここでは2個の(より小さな)カートリッジ630Aおよびカートリッジ630Bを収容している。これらのカートリッジのそれぞれは、図4のカートリッジ420の断面積のより小さな部分476Aと構造的に似ている。しかし、カートリッジ630Aおよび630Bのそれぞれの長手方向の範囲は、図4のカートリッジ420の断面積のより小さな部分476Aのわずか半分であり、それによって2個のカートリッジは図4の電子タバコ410の空洞426に対応する電子タバコ610の領域に収容されることができる。さらに、コントロールユニット620の係合端部621は、例えば、カートリッジ630Aおよび630Bを図6に示す位置に維持する(間隙領域622を閉じるのではなく)1つ以上の支柱またはタブ(図6には図示せず)を備えてもよい。
【0051】
電子タバコ610では、マウスピース635をコントロールユニット620の一部とみなしてよい。具体的には、マウスピース635は、コントロールユニット620の残りの部分に締め外しまたは留め外しできる着脱式のキャップまたは蓋として設けられてもよい(あるいは他の任意の適切な固定機構を用いることができる)。マウスピースキャップ635は、新しいカートリッジを挿入したり古いカートリッジを取り出したりするためにコントロールユニット635の残りの部分から取り外された後、電子タバコ610を使用するためにコントロールユニットに再び固定される。
【0052】
電子タバコ610の個々のカートリッジ630A、630Bの動作は、それぞれ対応する貯蔵部670A、670Bへと延びている芯654A、654Bを含む点で、電子タバコ410のカートリッジ430の動作と似ている。さらに、各カートリッジ630A、630Bはそれぞれ、対応する芯654A、654Bに収容されている加熱エレメント655A、655Bを含み、コントロールユニット620が備えている対応するコイル650A、650Bによって駆動されてもよい。ヒーター655A、655Bは、カートリッジ630A、630Bの両方を通ってマウスピース635へと抜ける共通の通路661に向けて液体を気化させる。
【0053】
例えば、異なるカートリッジ630Aおよび630Bを用いて電子タバコ610に異なる風味剤を提供してもよい。また、電子タバコ610は2個のカートリッジを収容しているように図示されているが、当然のことながら、装置によってはより多くの数のカートリッジを収容していてもよい。さらに、カートリッジ630Aと630Bは互いに同じ寸法であるが、装置によっては異なる寸法のカートリッジを収容していてもよい。例えば、電子タバコはニコチン系の液体を有する1個の大きなカートリッジと、必要に応じて風味剤またはその他の添加剤を提供する1個以上の小さなカートリッジとを収容していてもよい。
【0054】
場合によっては、電子タバコ610は可変個数のカートリッジを収容(かつそれらと動作)できてもよい。例えば、マウスピース635に向かって長手方向軸方向に伸びようとするばねまたは他の弾性装置がコントロールユニット係合端部621に取り付けられていてもよい。従って、図6のカートリッジの1つを取り外した場合、このばねは、信頼できる動作のために確実に残りのカートリッジがしっかりとマウスピース側に保たれるようにするのに役立つ。
【0055】
電子タバコが複数のカートリッジを有する場合、一つの選択肢は、それらすべてをカートリッジの長手方向の範囲に及ぶ1個のコイルで駆動することである。あるいは、図6に示すようにカートリッジ630A、630Bに対してそれぞれ対応する個々のコイル650A、650Bが存在してもよい。さらなる可能性として、1個のコイルの異なる部分を選択的に駆動して複数のコイルが存在するように似せ(模倣し)てもよい。
【0056】
電子タバコがそれぞれのカートリッジに対応する複数のコイルをもつ(実際に別個のコイルであっても1個のより大きなコイルの異なる部分で模倣されていてもよい)場合、電子タバコを作動させる(例えば、吸入による空気流の検知および/または使用者によるボタンの押下によって)ことですべてのコイルが駆動されてもよい。しかし、電子タバコ410、510、610では、複数のコイルを選択的に駆動させるようになっていて、作動させるコイルを使用者が選択または特定できる。例えば、電子タバコ610は、駆動に応じてコイル650Aのみが駆動されコイル650Bは駆動されないモードまたはユーザ設定を有してもよい。これにより、次いでコイル650Bではなくコイル650Aの液剤に基づき蒸気が発生する。このことにより、使用者は任意の所与の吸入に対して供給される蒸気に関して、電子タバコ610の動作のより高い柔軟性を得ることができる(が使用者はその特定の吸入のためだけに異なるカートリッジを物理的に取り出したり挿入したりする必要はない)。
【0057】
当然のことながら、図4図6の電子タバコ410、510、および610の様々な実行例は単なる例であり、網羅的であるように意図されたものではない。例えば、図5に示すカートリッジ設計を図6に示すような複数のカートリッジを含む装置に組み込んでもよい。当業者は、例えば様々な実行例の様々な特徴事項を融合するか適合させることによって、また、より一般的には特徴事項を適宜追加、交換、および/または除去することによって達成できる、他の多くの様々な変更を認識している。
【0058】
図7は、図4図6に示す本発明のいくつかの実施形態による電子タバコ410、510、610の主な電子部品を示す概略図である。カートリッジ430内に位置する加熱エレメント455を除き、残りの構成要素はコントロールユニット420内に位置する。当然のことながら、コントロールユニット420は再使用できる装置であるため(使い捨て式、即ち消耗品であるカートリッジ430とは対照的に)、コントロールユニットの製造に関連する単発的なコストの負担は許容範囲である(これはカートリッジの製造に関連する反復的コストとしては許容範囲ではないであろう)。コントロールユニット420の部品は回路基板415に取り付けられていてもよく、コントロールユニット420に別々に収容されていて回路基板自体に物理的に取り付けられることなく回路基板415(有する場合)と連携して動作してもよい。
【0059】
図7に示すように、コントロールユニットはマイクロUSBインタフェースなどの再充電コネクターまたはソケット725に連結された充電式バッテリー411を含む。このコネクター725によってバッテリー411を再充電できる。代わりに、または加えて、コントロールユニットは無線接続によるバッテリー411の再充電を提供してもよい(誘導充電などによって)。
【0060】
コントロールユニット420は、圧力センサまたは空気流センサ716に連結されたコントローラ715(プロセッサまたは特定用途向け集積回路(ASIC)など)をさらに含む。コントローラは、以下により詳細に記載するように、センサ716による空気流の検知に応じて誘導加熱を有効にしてもよい。さらに、コントロールユニット420は、上述のようにボタン429をさらに含み、このボタンを用いて誘導加熱を有効にしてもよい。
【0061】
図7はさらに、電子タバコ用の通信/ユーザーインタフェース718を示す。これは、特定の実行例による1つ以上の設備を含んでよい。例えば、ユーザーインタフェースは、例えば誤動作、電池の充電状態などを示すために使用者に出力を行う1個以上のライトおよび/またはスピーカを含んでもよい。インタフェース718は、外部装置(スマートフォン、ラップトップコンピュータ、コンピュータ、ノート型コンピュータ、タブレットなど)との無線通信(Bluetooth(登録商標)または近距離無線通信(NFC)など)も提供してよい。電子タバコはこの通信インタフェースを利用して装置の状態や使用統計などの情報を使用者が素早くアクセスできるように外部装置に出力してもよい。さらに、通信インタフェースを利用して電子タバコが指示(ユーザーが外部装置に入力した構成設定など)を受信できてもよい。例えば、ユーザーインタフェース718およびコントローラ715を利用して、上述のように異なるコイル650A、650B(またはその一部分)を選択的に駆動するよう電子タバコに指示してもよい。場合によっては、通信インタフェース718は無線通信用のアンテナとして機能する加熱コイル450を使用してもよい。
【0062】
コントローラは必要に応じて1つ以上のチップを用いて実施されてもよい。コントローラ715の動作の少なくとも一部は、コントローラで動くソフトウェアプログラムによって全般的に制御される。このようなソフトウェアプログラムは、コントローラ715自体に内蔵されていても別個の部品として提供されてもよいROMなどの不揮発性メモリ(図示せず)に保存されていてもよい。コントローラ715は、必要な場合はROMにアクセスして個々のソフトウェアプログラムをロードし実行してよい。
【0063】
コントローラは装置が適切に駆動されているときまたはそうでないとき(例えば、吸入が検知されたかどうか、および吸入の最大時間を超過していないかどうか)を決定することによって電子タバコの誘導加熱を制御する。電子タバコを蒸気吸入のために駆動するようコントローラが決定した場合、コントローラはバッテリー411がインバータ712に給電するよう準備する。インバータ712は、バッテリー411からの直流出力を、一般に比較的高周波数(例えば1MHz)(ただし、5kHz、20kHz、80kHz、または300kHz、あるいは2つのこのような値で定義される任意の範囲など、その他の周波数を代わりに用いてもよい)の交流電流信号に変換するようになっている。次に、この交流信号は必要に応じて適切なインピーダンス整合(図7では図示せず)を経てインバータから加熱コイル450を通る。
【0064】
加熱コイル450を、例えばコンデンサ(図7では図示せず)と並列接続で組み合わせることによって何らかの形態の共振回路に組み込み、インバータ712の出力をこの共振回路の共振周波数に同調させてもよい。この共振によって比較的高い電流が加熱コイル450に発生し、それによって比較的強い磁場が加熱エレメント455に発生して迅速かつ効果的に加熱エレメント455を加熱し、所望の蒸気またはエアロゾルの出力が発生する。
【0065】
図7Aは、いくつかの実行例による複数のコイルを有する電子タバコ610の制御電子機器の一部を示す(明確にするため、この複数のコイルに直接関連しない制御電子機器の外観は省略されている)。図7Aは、電源782A(一般にバッテリー411と図7のインバータ712に対応する)と、スイッチ構成781Aと、図6に示されている(が図7Aには含まれていない)2個のコイル650A、650B(それぞれ対応する加熱エレメント655A、655Bと関連する)を示す。このスイッチ構成は、図7AにA、B、Cで示す3個の出力装置を有する。2個のコイル650Aと650Bの間に電流路が存在することも想定される。
【0066】
誘導加熱組立体を動作させるには、これらの3個の出力装置のうち2個を閉じ(電流が流れるように)、残りの出力装置は開いておく(電流が流れないように)。出力装置AおよびCを閉じると両方のコイル、ひいては両方の加熱エレメント655A、655Bが駆動され、AおよびBを閉じると加熱コイル650Aのみが選択的に駆動され、BおよびCを閉じると加熱コイル650Bのみが駆動される。
【0067】
加熱コイル650Aおよび650Bを単に1個の全体的なコイル(共に作動しているか停止している)として扱うこともできるが、例えば図7の実行例によって得られるような加熱コイル650Aおよび650Bの一方または両方を選択的に駆動する能力は、以下を含む複数の利点を有する。
a)所与の喫煙について蒸気成分(例えば風味剤)を選択できる。従って、加熱コイル650Aのみを駆動すると貯蔵部670Aのみから蒸気が発生し、加熱コイル650Bのみを駆動すると貯蔵部670Bのみから蒸気が発生し、両方の加熱コイル650A、650Bを駆動すると両方の貯蔵部670A、670Bからの蒸気の組み合わせが発生する。
b)所与の喫煙について蒸気量を制御できる。例えば、貯蔵部670Aと貯蔵部670Bが実際に同じ液体を含む場合、両方の加熱コイル650A、650Bを駆動することによって片方の加熱コイルを単独で駆動する場合に比べて濃い(蒸気濃度が高い)煙を発生できる。
c)バッテリー(充電)寿命を延ばすことができる。既に述べたように、図6の電子タバコに1個のカートリッジ(例えば630B)だけが入っている(カートリッジ630Aも入っているのではなく)ときにこの電子タバコを操作することができてもよい。この場合、カートリッジ630Bに対応し、後に貯蔵部670Bの液体を気化するのに用いられる加熱コイル650Bのみを駆動するのがより効率的である。これに対しカートリッジ630A(入っていない)に対応する加熱コイル650Aは駆動されない(このカートリッジおよび関連する加熱エレメント650Aが電子タバコ610には存在しないため)場合、このことによって蒸気出力量を減らすことなく電力消費が節約される。
【0068】
図6の電子タバコ610は別個の加熱エレメント655A、655Bをそれぞれ対応する加熱コイル650A、650Bに対して有するが、実行例によっては、異なる加熱コイルは1個の(より大きな)加熱エレメントまたはサセプタの異なる部分を駆動してもよい。従って、このような電子タバコでは、異なる加熱エレメント655A、655Bは、異なる加熱コイルが共有するさらに大きなサセプタの異なる部分を表してもよい。加えて(または代わりに)、複数の加熱コイル650A、650Bは、図7Aに関して先に述べたように個々の部分を選択的に駆動できる1個の全体的な駆動コイルの異なる部分を表してもよい。
【0069】
図7Bは、複数の加熱コイル650A、650Bの選択性を提供する別の実行例を示す。従って図7Bでは、加熱コイルは互いに電気的に接続されておらず、各加熱コイル650A、650Bはそれぞれ(別々に)、スイッチ構成781Bを通る一対の独立した接続部によって電源782Bに連結されていることが想定される。具体的には、加熱コイル650Aはスイッチ接続部A1およびA2によって電源782Bに連結されており、加熱コイル650Bはスイッチ接続部B1およびB2によって電源782Bに連結されている。この図7Bの構成は、図7Aに関して先に述べたのと同様の利点を提供する。さらに、図7Bの構造を3個以上の加熱コイルと共に動作するよう容易に拡大することもできる。
【0070】
図7Cは、複数の加熱コイル(この場合は650A、650B、および650Cと示された3個のコイル)の選択性を提供する別の実行例を示す。各加熱コイルは、対応する電源782C1、782C2、および782C3に直接接続されている。図7の構成は、任意の1個の加熱コイル650A、650B、650Cの、あるいは任意の加熱コイル対の同時の、あるいは3個の加熱コイルすべての同時の、選択的駆動を提供してもよい。
【0071】
図7Cの構成では、電源782の少なくともいくつかの部分は、異なる加熱コイル650のそれぞれを再現していてもよい。例えば、各電源782C1、782C2、782C3は固有のインバータを含んでもよいが、それらは1個の最終的な電源(バッテリー411など)を共有していてもよい。この場合、バッテリー411は図7Bに示すものと似た(ただし交流電流ではなく直流電流用の)スイッチ構成を介してインバータに接続されていてもよい。あるいは、電源782から加熱コイル650までのそれぞれの対応する電力線に、加熱コイルを駆動するために閉じる(またはこのような駆動を防ぐために開く)ことのできる個々の固有のスイッチを備えてもよい。この構成では、異なる線に亘るこれらの個々のスイッチの集合をスイッチ構成の別の形態とみなすことができる。
【0072】
図7A図7Cのスイッチ切替を管理または制御できる方法は様々である。場合によっては、使用者はスイッチ構成を直接設定する機械的または物理的スイッチを操作してもよい。例えば、電子タバコ610は外部ハウジングにスイッチ(図6では図示せず)を含んでもよく、このスイッチによってカートリッジ630Aをある設定で駆動でき、かつカートリッジ630Bを別の設定で駆動できる。スイッチの別の設定では、両方のカートリッジを共に駆動できるようにしてもよい。あるいは、コントロールユニット610は、各カートリッジに関連する別個のボタンを有してもよく、使用者は所望のカートリッジのボタン(あるいは、両方のカートリッジを駆動する場合には両方のボタンの可能性もある)を押す。別の可能性として、電子タバコのボタンまたは他の入力装置を用いてより濃い煙を選択し(結果的に両方またはすべての加熱コイルを駆動し)てもよい。このようなボタンを用いて風味剤の追加を選択してもよく、スイッチ切替によってその風味剤に関連する加熱コイルを(一般にはニコチンを含む基本液に関する加熱コイルに加えて)動作させてもよい。当業者はこの他にもこのようなスイッチ切替の可能な実行例が分かっている。
【0073】
電子タバコによっては、スイッチ構成を直接的に(例えば機械的または物理的に)制御するのではなく、使用者が図7の通信/ユーザーインタフェース718(あるいは任意のその他の類似の設備)によってスイッチ構成を設定してもよい。例えば、このインタフェースによって使用者は異なる風味剤またはカートリッジ(ならびに/あるいは異なる濃さのレベル)の使用を特定できてもよく、その結果、コントローラ715は使用者の入力に従いスイッチ構成781を設定できる。
【0074】
さらなる可能性として、スイッチ構成は自動的に設定されてもよい。例えば、電子タバコ610は、カートリッジ630Aの所定位置にカートリッジがない場合、加熱コイル650Aの駆動を防いでもよい。即ち、このようなカートリッジがない場合、加熱コイル650Aは駆動されない(それによって例えば電力を節約する)ようになっていてもよい。
【0075】
カートリッジの有無を検知するのに利用できる機構は様々である。例えば、コントロールユニット620はカートリッジを関連する位置に挿入することで機械的に操作されるスイッチを備えてもよい。カートリッジが適切な位置にない場合、スイッチは対応する加熱コイルが給電されないように設定される。別の手法は、カートリッジが所与の位置に挿入されているかどうかを検知するための何らかの光学的または電気的設備をコントロールユニットに設けることである。
【0076】
なお、装置によっては、一度カートリッジが適切な位置にあると検知されたら、対応する加熱コイルはいつでも駆動できる状態である(例えば、喫煙(吸入)の検知に応じていつでも駆動される)。自動でもあり使用者による制御を受けるスイッチ構成を有する他の装置では、カートリッジが適切な位置にあると検知された場合でも、後に使用者による設定(または上述の同様のもの)によってそのカートリッジが任意の所与の喫煙の際に駆動可能かどうかが決定されてもよい。
【0077】
図7A〜7Cの制御電子機器について、図6に図示したような複数のカートリッジの使用と関連して説明したが、これらを複数の加熱エレメントを有する1個のカートリッジに関して使用してもよい。即ち、制御電子機器は、1個のカートリッジに含まれるこれらの複数の加熱エレメントのうち1個以上を選択的に駆動できる。このような手法によっても上記の利点を得ることができる。例えば、カートリッジが複数の加熱エレメントを含み1個の共有の貯蔵部のみを含む場合、あるいは、複数の加熱エレメントを含み、各加熱エレメントが対応する貯蔵部を有しかつ各貯蔵部がすべて同じ液体を含む場合、駆動する加熱エレメントを増減することにより使用者は一吸いで得られる蒸気量を増減できる。同様に、1個のカートリッジが複数の加熱エレメントを含み、各加熱エレメントが固有の液体を含む貯蔵部を個別に有する場合、異なる加熱エレメント(またはその組み合わせ)を駆動することにより使用者は異なる液体(またはその組み合わせ)からの蒸気を選択的に消費できる。
【0078】
電子タバコによっては、様々な加熱コイルおよびその対応する加熱エレメント(別個の加熱コイルおよび/または加熱エレメントとして実施されるか、より大きな駆動コイルおよび/またはサセプタの一部として実施されるかにかかわらず)を互いに実質的に同じものにし、均質な構成としてもよい。あるいは、不均質な構成を用いてもよい。例えば、図6の電子タバコ610について、一方のカートリッジ630Aは、他方のカートリッジ630Bに比べて低温に加熱するように、および/または少量の蒸気を出力するようになっていてもよい(より低い加熱電力を供給することによって)。例えば一方のカートリッジ630Aがニコチンを含有する主液剤を含み、他方のカートリッジ630Bは風味剤を含む場合、カートリッジ630Aがカートリッジ630Bよりも多くの蒸気を出力することが望ましい場合がある。また、各加熱エレメント655の動作温度は、気化される液体に応じて調整されてもよい。例えば、動作温度は特定のカートリッジの関連する液体を気化するのに十分高くなければならないが、一般には、その液体を化学分解(解離)するほど高くはない。
【0079】
加熱コイルと加熱エレメントの様々な組み合わせに対して様々な動作特性(例えば温度)をもたせて不均質な構成を作る方法は種々ある。例えば、加熱コイルおよび/または加熱エレメントの物理パラメータ、例えば寸法、形状、材料、コイルの巻き数を適宜変えてもよい。加えて(または代わりに)、例えば交流周波数および/または供給電流を変えることによって加熱コイルおよび/または加熱エレメントの動作パラメータを変えてもよい。
【0080】
上述の例示的な実施形態については、加熱エレメント(誘導サセプタ)が誘導ヒーター駆動コイルによって発生する磁場に対して比較的均一な応答(加熱エレメントでどのように電流が誘導されるかという点で)をする例を中心に説明した。即ち、加熱エレメントは比較的均質であるため、加熱エレメントでは比較的均一な誘導加熱が起こり、結果として加熱エレメント表面全体でほぼ均一な温度が生じる。しかし、本開示のいくつかの例示的な実施形態によれば、代わりに、加熱エレメントの異なる領域は駆動コイルがもたらす誘導加熱に対して異なる応答(駆動コイルの動作時に加熱エレメントの異なる領域で発生する熱の量の点で)をするように加熱エレメントを構成してもよい。
【0081】
図8は、例示的なエアロゾル供給システム(電子タバコ)300を非常に概略的な断面で表している。このエアロゾル供給システムには、加熱エレメント(サセプタ)310を周囲の芯材/マトリックスに埋め込んだ気化器305が組み込まれている。図8のエアロゾル供給システムの加熱エレメント310は誘導加熱に対する感受性が異なる領域を含むが、この点を除けば、図8の構成の多くの外観は本明細書に記載の他の様々な構成の説明と似ており、その説明から理解される。システム300が使用中でエアロゾルを発生しているとき、加熱エレメント310の感受性の異なる領域の表面は、誘導電流の流れによって異なる温度に加熱される。実行例によっては、加熱エレメント310の異なる領域を異なる温度に加熱するのが望ましい場合がある。というのも、原料液剤の様々な成分が異なる温度でエアロゾル化/気化する可能性があるためである。このことは、温度範囲の異なる加熱エレメント(サセプタ)を備えることは原料液中の様々な成分を同時にエアロゾル化するのに役立つ可能性があることを意味する。即ち、加熱エレメントの異なる領域を、液剤の様々な成分を気化するのにより適した温度に加熱できる。
【0082】
このように、エアロゾル供給システム300はコントロールユニット302とカートリッジ304を含み、誘導加熱に対して空間的に不均一な応答をする加熱エレメント310を備える点以外は、本明細書に記載の実行例のいずれかに全体的に基づいていてもよい。
【0083】
コントロールユニットは、電源に加え駆動コイル306と、駆動コイル306を駆動し本明細書に記載の誘導加熱のために磁場を発生させる制御回路(図8では図示せず)とを含む。
【0084】
カートリッジ304はコントロールユニット302の凹部に収められており、加熱エレメント310を含む気化器305と、液剤(原料液)314(この液剤を加熱エレメント310で気化してエアロゾルを発生させる)を含む貯蔵部312と、マウスピース308(システム300の使用時にこのマウスピースからエアロゾルを吸入できる)とを含む。カートリッジ304は壁構造(図8で全体的に網掛けで示す)を有する。この壁構造は、液剤314用の貯蔵部312を画定し、加熱エレメント310を支持し、カートリッジ304を通る空気流路を画定する。液剤は、貯蔵部312から加熱エレメント310付近(より具体的には加熱エレメントの気化面付近)に運ばれて本明細書に記載の方法のいずれかに従って気化してもよい。空気流路は、使用者がマウスピース308で吸入すると、空気がコントロールユニット302の本体の吸気口316からカートリッジ304内に入り、加熱エレメント310を通過してマウスピース308を抜けるようになっている。従って、加熱エレメント310によって気化された液剤314の一部分は加熱エレメント310を通過する空気流に取り込まれ、発生したエアロゾルはマウスピース308を通ってシステム300を出て使用者に吸入される。例示的な空気流路を図8の一連の矢印318で概略的に示す。しかし、当然のことながら、コントロールユニット302およびカートリッジ304の正確な構成(例えばシステム300を通る空気流路の構成、システムが再使用式のコントロールユニットおよび交換式のカートリッジ組立体を含むかどうか、ならびに駆動コイルと加熱エレメントがシステムの同じ構成要素の部品として設けられているか異なる構成要素の部品として設けられているかどうかなどの点)は、本明細書に記載の不均一な誘導電流応答を有する(即ち、異なる領域が駆動コイルからの誘導電流に対し異なる感受性を有する)加熱エレメント310の動作の根本的な原理には重要ではない。
【0085】
従って、図8に概略的に示されたエアロゾル供給システム300は、この例では、システム300のカートリッジ304部分に加熱エレメント310、システム300のコントロールユニット302部分に駆動コイル306を含む誘導加熱組立体を含む。使用中(即ちエアロゾルの発生中)、駆動コイル306は、本明細書の他の箇所で説明されているような誘導加熱の原理に従い、加熱エレメント310に電流を誘導する。これにより加熱エレメント310は加熱され、加熱エレメント310の気化面(即ち、隣接するエアロゾル前駆物質を気化させるのに十分な温度に加熱された加熱エレメント表面)付近のエアロゾル前駆物質(即ち液剤314)の気化によってエアロゾルが発生する。加熱エレメントは駆動コイルからの誘導電流に対する感受性の異なる領域を含んでおり、加熱エレメントのこの感受性の異なる領域の気化面範囲は、駆動コイルが誘導した電流によって異なる温度に加熱される。上述のように、このことは異なる温度で気化/エアロゾル化する液剤成分を同時にエアロゾル化するのに役立つ。駆動コイルからの誘導加熱に対する応答が異なる領域(即ち、使用中の加熱量が異なる/異なる温度に達する領域)を有するように加熱エレメント310を構成できる多くの様々な方法がある。
【0086】
図9Aおよび図9Bはそれぞれ、本開示の一実施形態の一実行例による、誘導電流に対する感受性の異なる領域を含む加熱エレメント330の平面図と断面図を概略的に示す。即ち、図8に概略的に示されているシステムの一実行例では、加熱エレメント310は図9Aおよび図9Bの加熱エレメント330に対応する構成を有する。図9Bの断面図は(図示されている面は90度回転しているが)図8の加熱エレメント310の断面図に対応し、図9Aの平面図は、駆動コイル306によって発生した磁場と平行(即ち、エアロゾル供給システムの長手方向軸と平行)な方向に沿った加熱エレメントの図に対応する。図9Bの断面は、図9Aの図の中央にある横線に沿って描かれている。
【0087】
加熱エレメント330はほぼ平面状(この例では平坦)である。より具体的には、図9Aおよび図9Bの例の加熱エレメント330は、ほぼ平坦かつ円盤状である。この例の加熱エレメント330は、図9Aの面の上から見ても下から見ても同じに見えることから、図9Aの面に関して対称である。
【0088】
加熱エレメントのサイズ特性は、例えば加熱エレメントが実施されるエアロゾル供給システムの全体的な大きさと所望のエアロゾル発生速度を考慮し、目下の具体的な実行例に従って選択できる。例えば、ある特定の実行例では、加熱エレメント330は、約10mmの直径および約1mmの厚さを有してよい。他の例では、加熱エレメント330は、3mm〜20mmの範囲の直径と約0.1mm〜5mmの厚さを有してよい。
【0089】
加熱エレメント330は、電磁気特性の異なる材料を含む第1の領域331と第2の領域332を含み、従って誘導電流に対する感受性の異なる領域を備えている。第1の領域331はほぼ円盤状で加熱エレメント330の中心をなし、第2の領域332はほぼ円形環状で第1の領域331を囲んでいる。第1および第2の領域を一つに接合してもよく、圧入配置に維持してもよい。あるいは、第1および第2の領域を互いに接着しなくてもよいが、例えば両方の領域を周囲の詰め物/芯材に埋め込むことで独立して定位置に維持してもよい。
【0090】
図9Aおよび図9Bの特定の例では、第1の領域331と第2の領域332は、誘導電流に対して異なる感受性を有する異なる組成の鋼でできていることが想定される。例えば、この異なる領域は、銅、アルミニウム、亜鉛、黄銅、鉄、スズ、および鋼(例えばANSI304の鋼)の群から選択される異なる材料でできていてもよい。
【0091】
任意の所与の実行例における特定の材料は、使用時に加熱エレメント全体に所望の温度変化を起こすのに適切な、誘導電流に対する感受性の違いを考慮して選択できる。特定の加熱エレメント構成の応答を設計段階でモデル化または実験によって試験し、所望の動作特性(例えば通常の使用中に得られる様々な温度と、その異なる温度が生じる領域の構成(例えば寸法および配置)に関して)を有する加熱エレメント構成の提供に役立ててもよい。この点に関して、所望の動作特性(例えば所望の温度範囲)自体は、使用される液剤の特性と組成および所望のエアロゾル特性についてモデル化または実験による試験を行い決定してもよい。
【0092】
当然のことながら、図9Aおよび図9Bの加熱エレメント330は誘導電流に対する感受性の異なる領域を設けるべく異なる材料を含む加熱エレメントの一構成例にすぎない。他の例では、加熱エレメントは材料の異なる3つ以上の領域を含んでよい。さらに、異なる材料を含む領域の特定の空間配置は、図9Aおよび図9Bのほぼ同心円上の配置とは異なってもよい。例えば、別の実行例では第1および第2の領域は加熱エレメントの二等分(またはその他の割合)を含んでもよく、例えば各領域はほぼ平面状の半円形であってよい。
【0093】
図10Aおよび図10Bはそれぞれ、本開示の一実施形態の別の実行例による、誘導電流に対する感受性の異なる領域を含む加熱エレメント340の平面図と断面図を概略的に示す。これらの図の向きは上記の図9Aおよび図9Bの向きに対応する。加熱エレメントは、例えばANSI304の鋼、および/または別の適切な(即ち十分な誘導特性と液剤に対する耐性を有する)材料(銅、アルミニウム、亜鉛、黄銅、鉄、スズ、および他の鋼など)でできていてもよい。
【0094】
ここでも加熱エレメント340はほぼ平面状であるが、図9Aおよび図9Bの例と異なり、加熱エレメント340のほぼ平面状の形状は平坦ではない。即ち、加熱エレメント340は、断面で見ると(即ち加熱エレメント340の最大の表面に垂直に見ると)、凹凸(隆起/ひだ)を含む。この1つ以上の凹凸は、例えば加熱エレメント用の平坦な鋳型を曲げるかプレス加工することによって形成されてもよい。例えば図10Aおよび図10Bの例の加熱エレメント340はほぼ波形の円盤状であり、この特定の例では1つの「波」を含む。即ち、凹凸の特徴的な波の大きさはほぼ円盤の直径に一致する。しかし、他の実行例では、加熱エレメントの表面全体により多くの凹凸が存在してもよい。さらに、この凹凸は異なる構成で設けられてもよい。例えば、加熱エレメントの一方から他方に向かうのではなく、凹凸を同心円状に配置し、例えば一連の円形の隆起/ひだを含むようにしてもよい。
【0095】
加熱エレメント340がエアロゾル供給システムで使用されているとき、駆動コイルによって発生する磁場に対する加熱エレメント340の向きは、磁力線Bで概略的に示されるように、磁場が図10Aの面にほぼ垂直であり、かつ図10Bの面に縦に並ぶような向きである。磁力線Bは、図10Bでは上向きに概略的に示されているが、当然のことながら、磁場の方向は、駆動コイルに印加される時変信号に従って図10Bの向きに対して上下に(即ち上から反対向きに)交代する。
【0096】
従って、加熱エレメント340は、加熱エレメントの面が駆動コイルによって生成される磁場に対して異なる角度を示す場所を含む。例えば、特に図10Bを参照すると、加熱エレメント340は、加熱エレメント340の面が局所磁場Bにほぼ垂直である第1の領域341と、加熱エレメント340の面が局所磁場Bに対して傾斜している第2の領域342とを含む。第2の領域342の傾斜の角度は加熱エレメント340の凹凸の形状に依存する。図10Bの例では、最大傾斜は約45°程度である。当然のことながら、第1の領域341と第2の領域342以外にも、磁場に対してさらに別の傾斜角を示す他の加熱エレメント領域が存在する。
【0097】
駆動コイルによって発生する磁場に対して異なる角度に向けられた加熱エレメント340の異なる領域は、誘導電流に対する感受性、ひいては加熱の程度が異なる領域を提供する。このことは、誘導加熱に関する基礎物理に従っており、それにより誘導磁場に対する平面加熱エレメントの向きが誘導加熱の程度に影響を及ぼしている。より詳細には、磁場が加熱エレメントの面に対してほぼ垂直である領域は、磁場が加熱エレメントの面に対して傾斜している領域に比べて誘導電流に対する感受性の程度が大きい。
【0098】
例えば、第1の領域341では磁場は加熱エレメントの面に対してほぼ垂直であるため、この領域(図10Aの平面図ではほぼ縦縞に見える)は、磁場が加熱エレメントの面に対してより傾斜している第2の領域342(同じく図10Aの平面図ではほぼ縦縞に見える)よりも高い温度に加熱される。加熱エレメントのこれ以外の領域は、その位置での加熱エレメントの面と局所磁場の方向との傾斜角度に従って加熱される。
【0099】
加熱エレメントのサイズ特性は、ここでも、例えば加熱エレメントが実行例されるエアロゾル供給システムの全体的な大きさと所望のエアロゾル発生速度を考慮し、目下の具体的な実行例に従って選択できる。例えば、ある特定の実行例では、加熱エレメント340は、約10mmの直径および約1mmの厚さを有してよい。加熱エレメントの凹凸は、加熱エレメントが駆動コイルによる磁場に対して90°(即ち垂直)から約10°程度の範囲の傾斜角度を有するように選択されてよい。
【0100】
加熱エレメントの異なる領域の磁場に対する特定の傾斜角度範囲は、使用時に加熱エレメント全体に所望の温度変化(特性)を起こすのに適切な、誘導電流に対する感受性の違いを考慮して選択できる。特定の加熱エレメント構成の応答(例えば凹凸の形状が加熱エレメントの温度特性にどのように影響するかについて)を設計段階でモデル化または実験によって試験し、所望の動作特性(例えば通常の使用中に得られる様々な温度と、その異なる温度が生じる領域の空間構成(例えば寸法および配置)に関して)を有する加熱エレメント構成の提供に役立ててもよい。
【0101】
図11Aおよび図11Bはそれぞれ、本開示の一実施形態の別の実行例による、誘導電流に対する感受性の異なる領域を含む加熱エレメント350の平面図と断面図を概略的に示す。これらの図の向きは上記の図9Aおよび図9Bの向きに対応する。加熱エレメントは、例えばANSI304の鋼、および/または上述のような別の適切な材料でできていてもよい。
【0102】
ここでも加熱エレメント350はほぼ平面状であり、この例では平坦である。より詳細には、図11Aおよび図11Bの例の加熱エレメント350は、複数の開口部を有するほぼ平坦な円盤状である。この例では、複数の開口部354は加熱エレメント350を貫通する4個の正方形の穴を含む。開口部350は、例えば適切に構成されたパンチで加熱エレメント用の平坦な鋳型をプレス加工することによって形成されてもよい。開口部354は、加熱エレメント350内の誘導電流の流れを遮る壁によって画定されているため、電流密度の異なる領域が生じる。この例では、壁はサセプタ(加熱エレメント)の本体の開口部/穴に関連することから、この壁を加熱エレメントの内壁と呼ぶことができる。しかし、図12Aおよび図12Bに関連して以下でさらに説明するように、いくつかの他の実施例では、またはこれに加えて、加熱エレメントの外面を画定する外壁によって同様の機能を与えることができる。
【0103】
加熱エレメントのサイズ特性は、例えば加熱エレメントが実施されるエアロゾル供給システムの全体的な大きさと所望のエアロゾル発生速度を考慮し、目下の具体的な実行例に従って選択できる。例えば、ある特定の実行例では、加熱エレメント350は、約10mmの直径および約1mmの厚さを有し、開口部は約2mmの特徴的な寸法を有してよい。他の例では、加熱エレメント330は約3mm〜20mmの範囲の直径および約0.1mm〜5mmの厚さを有してよく、1つ以上の開口部は直径の約10%〜30%の特徴的な寸法を有してよいが、場合によってはこれより小さくても大きくてもよい。
【0104】
図8の構成の駆動コイルは加熱エレメントの面に対してほぼ垂直な時間変動磁場を発生し、電場を発生して加熱エレメントに誘導電流(一般に方位方向)を起こす。従って、図9Aに示されているような円対称の加熱エレメントでは、誘導電流密度は加熱エレメント周囲の様々な方位角でほぼ均一である。しかし、図11Aの加熱エレメント350の穴354に関連する壁のように円対称性を乱す壁を含む加熱エレメントの場合、電流密度は様々な方位角でほぼ均一ではなく乱れるため、加熱エレメントの異なる領域で電流密度の違い、ひいては加熱量の違いが生じる。
【0105】
このように、加熱エレメント350は誘導電流の影響をより受けやすい位置を含む。というのも、壁によって電流がそれらの位置に迂回されて電流密度がより高くなるからである。例えば、特に図11Aを参照すると、加熱エレメント350は、開口部354の1つに隣接する第1の領域351と、開口部の1つに隣接しない第2の領域352とを含む。一般に、第1の領域351の電流密度は第2の領域352の電流密度とは異なる。というのも、第1の領域351付近の電流は、隣接する開口部354によって迂回/遮断されるからである。当然のことながら、これらは説明のために特定された2つの例示的な領域に過ぎない。
【0106】
本来は方位角を持つ電流の流れを遮断する壁を提供する開口部354の特定の構成は、使用時に加熱エレメント全体に所望の温度変化(特性)を起こすのに適切な、加熱エレメント全体の誘導電流に対する感受性の違いを考慮して選択できる。特定の加熱エレメント構成の応答(例えば開口部が加熱エレメントの温度特性にどのように影響するかについて)を設計段階でモデル化または実験によって試験し、所望の動作特性(例えば通常の使用中に得られる様々な温度と、その異なる温度が生じる領域の空間構成(例えば寸法および配置)に関して)を有する加熱エレメント構成の提供に役立ててもよい。
【0107】
図12Aおよび図12Bはそれぞれ、本開示の一実施形態のさらに別の実行例による、誘導電流に対する感受性の異なる領域を含む加熱エレメント360の平面図と断面図を概略的に示す。ここでも、加熱エレメントは例えばANSI304の鋼、および/または上述のような別の適切な材料でできていてもよい。これらの図の向きは上記の図9Aおよび図9Bの向きに対応する。
【0108】
ここでも加熱エレメント360はほぼ平面状である。より詳細には、図12Aおよび図12Bの例の加熱エレメント360はほぼ平坦な星形の円盤状であり、この例では五稜星形である。星の各頂点は、方位方向ではない(即ち、加熱エレメントは動径成分を有する方向に延びている壁を含む)加熱エレメント360の外(周)壁によって画定される。加熱エレメントの周壁は駆動コイルによる時間変動磁場によって発生した電場の方向に平行ではないため、概ね図11Aおよび図11Bの加熱エレメント350の開口部354に関連する壁について先に記載したとおりに、この周壁は加熱エレメントの電流の流れを遮断するように作用する。
【0109】
加熱エレメントのサイズ特性は、例えば加熱エレメントが実施されるエアロゾル供給システムの全体的な大きさと所望のエアロゾル発生速度を考慮し、目下の具体的な実行例に従って選択できる。例えば、ある特定の実行例では、加熱エレメント360は、加熱エレメントの中心から3mm〜5mm延びており等間隔に配置された5個の点(即ち、星の各頂点からの動径方向の範囲は約2mmである)を含んでよい。他の例では、突起(即ち、図12Aの例の星の頂点)は異なる寸法を有してもよく、例えば1mm〜20mmの範囲で延びていてもよい。
【0110】
上述のように、図8の構成の駆動コイルは加熱エレメント360の面に対してほぼ垂直な時間変動磁場を発生し、電場を発生して加熱エレメントに誘導電流(一般に方位方向)を起こす。従って、図12Aの加熱エレメント360の星形パターンの頂点(あるいは正方形または長方形など、より単純な形状)に関連する外壁のように円対称性を乱す壁を含む加熱エレメントの場合、電流密度は様々な方位角でほぼ均一ではなく乱れており、加熱エレメントの異なる領域で加熱量の違い、ひいては温度の違いが生じる。
【0111】
このように、加熱エレメント360は誘導電流の異なる位置を含む。というのも、壁によって電流の流れが遮断されるためである。例えば、特に図12Aを参照すると、加熱エレメント360は、外壁の1つに隣接する第1の領域361と、外壁の1つに隣接しない第2の領域362とを含む。当然のことながら、これらは説明のために特定された2つの例示的な領域に過ぎない。一般に、第1の領域361の電流密度は第2の領域362の電流密度とは異なる。というのも、第1の領域361付近の電流は、加熱エレメントの隣接する方位方向でない壁によって迂回/遮断されるからである。
【0112】
誘導電流に対する感受性の異なる位置(即ち、誘導加熱の量の点で駆動コイルに対する応答が異なる領域)を有する他の例の加熱エレメント構成について説明したのと同様に、本来は方位角を持つはずの電流の流れを遮断する加熱エレメントの周壁の特定の構成は、使用時に加熱エレメント全体に所望の温度変化(特性)を起こすのに適切な、誘導電流に対する感受性の違いを考慮して選択できる。特定の加熱エレメント構成の応答(例えば方位方向でない壁が加熱エレメントの温度特性にどのように影響するかについて)を設計段階でモデル化または実験によって試験し、所望の動作特性(例えば通常の使用中に得られる様々な温度と、その異なる温度が生じる領域の空間構成(例えば寸法および配置)に関して)を有する加熱エレメント構成の提供に役立ててもよい。
【0113】
電流の流れを遮断する、方位方向でない縁/壁によって誘導電流に対する感受性の異なる位置を設けるという点で、図11Aおよび図11Bの加熱エレメント350と図12Aおよび図12Bの加熱エレメント360の動作がほぼ同じ原理に基づくことが理解される。これらの2つの例の違いは、壁が内壁である(即ち加熱エレメントの穴に関連する)か、外壁である(即ち加熱エレメントの外縁に関連する)かである。さらに、当然のことながら、図11Aおよび図12Aの特定の壁構成は単なる例として示されたものであり、電流の流れを遮断する壁をなす他の多くの様々な構成が存在する。例えば、図12Aに示されているような星形の構成ではなく、別の例では、この部分は溝状の開口部(例えば外縁から内向きに延びる、即ち加熱エレメントに存在する穴)を含んでもよい。より一般的には、重要なことは、加熱エレメントは時間変動磁場によって発生する電場の方向に平行でない壁を備えていることである。このように、駆動コイルがほぼ均一で平行な磁場を発生するようになっている構成(例えばソレノイド様の駆動コイル)の場合、駆動コイルはコイル軸に沿って延び、駆動コイルによって発生する磁場はこのコイル軸に関してほぼ円対称であるが、加熱エレメントはコイル軸に関して円対称ではない(回転によっては対称である場合もあるがすべての回転で対称とは限らないという意味で)形状を有する。
【0114】
このように、エアロゾル供給システムの誘導加熱組立体の加熱エレメントに、誘導電流に対する感受性、ひいては加熱の程度の異なる領域を設けることで加熱エレメント全体に異なる温度分布をもたらすことのできる複数の異なる方法について以上に説明した。上述のように、状況によっては、このことが気化対象液剤の気化温度/特性の異なる様々な成分を容易に同時に気化できるようにするために望ましい場合がある。
【0115】
当然のことながら、上述の手法の多くの変形形態と、誘導電流に対する感受性の異なる位置を設ける他の多くの方法がある。
【0116】
例えば、実行例によっては、加熱エレメントは異なる領域で異なる加熱の程度を提供するために、電気抵抗の異なる領域を含んでもよい。このことは、電気抵抗の異なる様々な材料を含む加熱エレメントによって提供されてもよい。別の実行例では、加熱エレメントは異なる領域に物理特性の異なる材料を含んでもよい。例えば、駆動コイルによって発生した磁場に平行な方向で異なる厚さを有する加熱エレメント領域および/または異なる多孔性を有する加熱エレメント領域が存在してもよい。
【0117】
例によっては、加熱エレメント自体は均一でもよいが、駆動コイルは、使用時に発生した磁場が加熱エレメント全体で異なるようになっていてもよい。即ち、有効な加熱エレメントの異なる領域は誘導電流に対して異なる感受性を有するようになっていてもよい、というのは駆動コイルの使用時に加熱エレメントで発生した磁場は異なる位置で異なる強さを有するからである。
【0118】
さらに、当然のことながら、本開示の様々な実施形態に従い、誘導電流に対する感受性の異なる領域を提供するように特性を調整された加熱エレメントを、本明細書に記載の気化器の他の特徴と共に提供してもよい。例えば、誘導電流に対する感受性の異なる領域を有する加熱エレメントは、使用時に液剤源から液剤を毛細管現象によって運び、加熱エレメントによって気化した液剤を戻すようになっている多孔性材料でできていてもよく、および/または使用時に液剤源から液剤を毛細管現象によって運び、加熱エレメントによって気化した液剤を戻すようになっている芯構成要素に隣接して提供されてもよい。
【0119】
さらに、当然のことながら、誘導電流に対する感受性の異なる領域を含む加熱エレメントは本明細書に記載の種類のエアロゾル供給システムでの使用に限定されず、より一般的に任意のエアロゾル供給システムの誘導加熱組立体で使用できる。従って、本明細書に記載の様々な例示的実施形態は再使用式のコントロールユニット302と交換式のカートリッジ304を含む2つの部分からなるエアロゾル供給システムに重点を置いているが、他の例では、感受性の異なる領域を有する加熱エレメントを、交換式カートリッジを含まない使い捨て式または詰め替え式のエアロゾル供給システムで使用してもよい。同様に、本明細書に記載の様々な例示的実施形態は、再使用式コントロールユニット302に駆動コイル、交換式カートリッジ304に加熱エレメントを備えるエアロゾル供給システムに重点を置いているが、別の実行例では、駆動コイルを交換式カートリッジに設け、コントロールユニットとカートリッジが駆動コイルに電力をつなぐ適切な電気的インタフェースを有するようにしてもよい。
【0120】
さらに当然のことながら、実行例によっては、加熱エレメントは図9図12の加熱エレメントの2つ以上の特徴事項を含んでもよい。例えば、加熱エレメントは、様々な材料(例えば図9A図9Bに関して上に記載されたもの)および凹凸(例えば図10A図10Bに関して上に記載されたもの)を含んでもよく、他の特徴事項の組み合わせについても同様である。
【0121】
さらに当然のことながら、誘導ヒーター駆動コイルに対する応答の異なる領域を有する上記のサセプタ(加熱エレメント)のいくつかの実施形態は液剤を含むエアロゾル前駆物質に重点を置いているが、本明細書に記載の原理による加熱エレメントは、他の形態のエアロゾル前駆物質、例えば固体材料またはゲル材料と共に用いられてもよい。
【0122】
このようにエアロゾル供給システムでエアロゾル前駆物質からエアロゾルを発生するための誘導加熱組立体について記載した。この誘導加熱組立体は、加熱エレメントと、前記加熱エレメントに電流を誘導して前記加熱エレメントを加熱し、前記加熱エレメントの表面付近のエアロゾル前駆物質を気化するようになっている駆動コイルとを含み、前記加熱エレメントは、前記駆動コイルによる誘導電流に対する感受性の異なる領域を含み、使用時に感受性の異なる前記領域における前記加熱エレメントの表面は前記駆動コイルによる誘導電流によって異なる温度に加熱される。
【0123】
図13は、例えば上記の種類の、本開示の特定の実施形態によるエアロゾル供給システムで使用するための気化器組立体500の概略断面を示す。気化器組立体500は、平面気化器505と原料液504の貯蔵部502を含む。この例の気化器505は、例えばガラス繊維織物材料などの非導電性の繊維状材料でできた芯材/詰め物基質508で囲まれた、ANSI304の鋼または上述のような他の適切な材料でできた平面円盤形の誘導加熱エレメント506を含む。原料液504は、電子タバコで一般に用いられる種類の電子タバコ用液剤(E-liquid formulation)(例えば、グリセリン、水、および/またはプロピレングリコールを含む溶媒に0〜5%のニコチンを溶解したもの)を含んでもよい。原料液は風味剤をさらに含んでよい。この例の貯蔵部502は原料液が自由な状態である空間を有するが、他の例では、貯蔵部は原料液をエアロゾル発生器/気化器に運ぶことが必要になるときまで原料液を保持するための多孔質の基質または任意の他の構造を含んでもよい。
【0124】
図13の気化器組立体500は、例えば、本明細書に記載の種類のエアロゾル供給システム用の交換式カートリッジの一部であってもよい。例えば、図13の気化器組立体500は、図8の例示的なエアロゾル供給システム300に示されている気化器305と原料液314の貯蔵部312に対応してもよい。このように、気化器組立体500は電子タバコのカートリッジ内に、使用者がカートリッジ/電子タバコで吸入すると空気がカートリッジを通って気化器の気化面全体に引き込まれるように配置されている。気化器の気化面は、気化した原料液が周囲の空気流へ解放される面であり、図13の例では気化器505の最も左の面である(当然のことながら、「左」や「右」という記載や向きを示す同様の用語は、説明しやすくするため図に示されている方向を指すのに用いられ、使用に任意の特定の向きが必要であることを示すよう意図するものではない)。
【0125】
気化器505はほぼ平面状/シート状であるという意味で平面気化器である。従って、気化器505は周縁部によって接続された互いに対向する第1および第2の面を含み、この第1および第2の面の平面における気化器の寸法、例えば気化器の面の長さまたは幅は、気化器の厚み(即ち第1の面と第2の面との間の隔たり)に比べて、例えば2倍より大きく、3倍より大きく、4倍より大きく、5倍より大きく、あるいは10倍よりも大きい。当然のことながら、気化器はほぼ平面状であるが、必ずしも平坦な平面状ではなく、例えば図10Bの加熱エレメント340について描かれているような湾曲または凹凸を含んでもよい。気化器505の一部である加熱エレメント506は、気化器505が平面気化器であるのと同様に、平面加熱エレメントである。
【0126】
具体例を示すため、図13に概略的に示す気化器組立体500を、図13の断面図の面の中心を通る横軸に関してほぼ円対称であり、かつ約12mmの特徴的な直径と約30mmの長さを有し、気化器505は約11mmの直径と約2mmの厚みを有し、加熱エレメント506は約10mmの直径と約1mmの厚みを有するとする。ただし、当然のことながら、例えばエアロゾル供給システムの全体的な寸法を考慮して、気化器組立体のその他の寸法および形状を目下の実行例に従い採用できる。例えば、いくつかの他の実行例ではこれらの例示的な値の10%〜200%の範囲の値を採用してもよい。
【0127】
原料液(電子タバコ用液)504用の貯蔵部502は、例えば1つ以上のプラスチック成形片を含んでもよい本体部分(図13に網掛けで示す)を含むハウジングで画定される。本体部分は貯蔵部502の側壁および端壁をなし、気化器505は貯蔵部502の別の端壁をなす。気化器505は多くの様々な方法で貯蔵部のハウジング本体部分に支持されていてもよい。例えば、気化器505は貯蔵部のハウジング本体部分の端部に圧入および/または接着されていてもよい。これに代わって、または加えて、別個の固定機構を設けてもよく、例えば適切なクランプ構成を用いてよい。
【0128】
このように、図13の気化器組立体500は、原料液504の貯蔵部と、平面加熱エレメント506を含む平面気化器505とを含む、原料液からエアロゾルを発生するためのエアロゾル供給システムの一部をなしていてもよい。気化器505、特に図13の例では加熱エレメント506を囲む芯材508を貯蔵部502内の原料液504に接触させておくことで、気化器は原料液を貯蔵部から気化器の気化面付近に毛細管現象によって引き込む。気化器組立体500を有するエアロゾル供給システムの誘導加熱コイルは、加熱エレメント506に電流を誘導して加熱エレメントを誘導加熱し、気化器の気化面付近の原料液の一部を気化し、気化した原料液を気化器の気化面周辺を流れる空気に解放するように動作できる。
【0129】
気化器がほぼ平面状であり、誘導加熱されるほぼ平面状の加熱エレメントを含み、かつ原料液を気化器の気化面に引き込むようになっている図13の構成は、本明細書に記載の種類の誘導加熱気化器に原料液を供給するための単純でありながらも効率的な構成を提供する。特に、ほぼ平面状の気化器を用いることで、比較的低い熱質量で比較的大きな気化面を有することのできる構成が得られる。このことは、エアロゾル発生の開始時の昇温時間をより早くし、エアロゾル発生の停止時の降温時間をより早くするのに役立つ可能性がある。状況によっては、使用者の待機時間を短縮するため、より早い昇温時間が望ましい可能性があり、状況によっては、使用者が吸入を停止した後に気化器の残留熱がエアロゾルの発生を進行中にするのを避けるため、より早い降温時間が望ましい可能性がある。実際にこのようにエアロゾルの発生が進行すると原料液や電力の浪費につながり、エアロゾル供給システム内で原料液が凝結する可能性がある。
【0130】
図13の例では、気化器505は非導電性の多孔質材料508を含むことで、毛細管現象によって貯蔵部から気化面に原料液を引き込む機能を備える。この場合、加熱エレメント506は、例えば中実円盤などの無孔の導電材料でできていてもよい。しかし、他の実行例では、加熱エレメント506は、貯蔵部から気化面に原料液を運ぶのにも関与するように多孔質材料でできていてもよい。図13の気化器505では、多孔質材料508は加熱エレメント506を完全に囲んでいる。この構成では、多孔質材料508の部分から加熱エレメント506のいずれかの面までは異なる機能を有するとみなすことができる。詳細には、加熱エレメント506と貯蔵部502内の原料液504との間の多孔質材料508の部分は貯蔵部から気化器の気化面付近への原料液の引き込みに主に関与してよく、加熱エレメントの反対側の面の多孔質材料508の部分(即ち図13の左)は貯蔵部から気化器の気化面付近へ引き込まれた原料液を吸収してその原料液を後の気化のために気化器の気化面付近に保存/保持してもよい。
【0131】
従って、図13の例では、気化器の気化面は、少なくとも気化器の最も左の面の一部分を含み、原料液は、気化器の最も右の面との接触によって貯蔵部から気化面付近へ引き込まれる。加熱エレメントが中実材料でできている例では、気化面への原料液の毛細管流は加熱エレメント506の周縁部の多孔質材料508を通って気化面に到達してもよい。加熱エレメントが多孔質材料でできている例では、気化面への原料液の毛細管流は、さらに加熱エレメント506を通ってもよい。
【0132】
図14は、例えば上記のような、本開示の別の特定の実施形態によるエアロゾル供給システムで使用するための気化器組立体510の概略断面を示す。図14の気化器組立体510の様々な外観は、対応する参照番号の付いた図13の気化器組立体500の構成要素と類似しており、それらから理解できる。しかし、気化器組立体510は、原料液504の貯蔵部512の反対側の端部に追加の気化器515が設けられている(即ち、気化器と別の気化器とはエアロゾル供給システムの長手方向軸に沿って隔てられている)点で気化器組立体500とは異なる。従って、貯蔵部512の本体(図14に網掛けで示す)は、実際には図13と関連して先に記載された第1の気化器505と、貯蔵部512の反対側の端部にある本質的には気化器505と同じである第2の気化器515とがなす壁によって両端が閉じられた管でできている。従って、第2の気化器515は、気化器505が多孔質材料508で囲まれた加熱エレメント506を含むのと同様に、多孔質材料518で囲まれた加熱エレメント516を含む。第2の気化器515の機能は、図13に関連して気化器505について先に説明したとおりであり、唯一の違いは気化器が連結されている貯蔵部504の端部である。図14の手法を用いて、より大量の蒸気を発生することができる。というのも、気化器505と気化器515の両方を通る適切に構成された空気流路によって気化面の面積がより大きくなる(実際、図13の1個の気化器を含む構成によって得られる気化面の面積の倍)からである。
【0133】
例えば図14に示されているようにエアロゾル供給システムが複数の気化器を含む構成では、各気化器は同じ誘導加熱コイルで駆動されても別々の誘導加熱コイルで駆動されてもよい。即ち、例によっては1つの誘導加熱コイルは複数の気化器の加熱エレメントに電流を誘導するように同時に動作できてもよく、他の例によっては複数の気化器はそれぞれ別個かつ独立して駆動できる誘導加熱コイルに関与し、複数の気化器のうちの異なる気化器をそれぞれ独立して駆動できてもよい。
【0134】
図13および図14の例示の気化器組立体500および510では、各気化器505、515には気化器の平らな面と接している原料液を供給する。しかし、他の例では、気化器の周縁部(例えば図15に示されているようなほぼ環状の構成)と接している原料液を気化器に供給してもよい。
【0135】
例えば、図15は、本開示の別の特定の実施形態によるエアロゾル供給システムで使用するための気化器組立体520の概略断面を示す。図15の気化器組立体520の様々な外観で他の図に示された例示の気化器組立体の対応する外観と類似していてそれらから理解できるものについては、簡潔にするためここでは説明しない。
【0136】
図15の気化器組立体520も、ほぼ平面状の気化器525と原料液524の貯蔵部522とを含む。この例では、貯蔵部522はほぼ環状の断面を気化器組立体520の領域に含み、気化器525は貯蔵部522の中心部分に、気化器525の外縁が貯蔵部のハウジング(図15に網掛けで概略的に示す)の壁に沿って延びて貯蔵部内の液体524に接触するように取り付けられている。この例の気化器525は、例えばガラス繊維織物材料などの非導電性の繊維状材料でできた芯材/詰め物マトリックス528で囲まれた、ANSI304の鋼または上述のような他の適切な材料でできた平面状の環状円盤形の誘導加熱エレメント526を含む。従って、図15の気化器525は、気化器の中心を通る通路527(この通路を通って気化器の使用時に空気を引き込むことができる)を有する点を除き、図13の気化器505とほぼ一致する。
【0137】
図15の気化器組立体520も、例えば、本明細書に記載の種類のエアロゾル供給システム用の交換式カートリッジの一部であってもよい。例えば、図15の気化器組立体520は、図4の例示的なエアロゾル供給システム/電子タバコ410に示されている芯454、加熱エレメント455、貯蔵部470に一致してもよい。このように、気化器組立体520は電子タバコのカートリッジの一セクションであり、使用者がカートリッジ/電子タバコで吸入すると空気がカートリッジを通り気化器525の通路527を通って引き込まれる。気化器の気化面は、気化した原料液が周囲の空気流へ解放される面であり、図15の例では気化器組立体520の中心を通る空気路に接している、気化器の面に一致する。
【0138】
具体例を示すため、図15に概略的に示す気化器525を、約12mmの特徴的な直径と約2mmの厚みを有し、通路527は2mmの直径を有するとする。加熱エレメント526は、約10mmの直径と約1mmの厚みを有し、通路の周囲に直径4mmの穴を有するとする。ただし、当然のことながら、気化器のその他の寸法および形状を目下の実行例に従い採用できる。例えば、いくつかの他の実行例ではこれらの例示的な値の10%〜200%の範囲の値を採用してもよい。
【0139】
原料液(電子タバコ用液)524用の貯蔵部522は、例えば1つ以上のプラスチック成形片を含んでもよい本体部分(図15に網掛けで示す)を含むハウジングで画定される。成形片はほぼ管状の貯蔵部内壁をなし、この内壁に、気化器525の周縁部が貯蔵部ハウジングの管状の内壁を通って延びて原料液524に接触するように気化器525が取り付けられている。気化器525は多くの様々な方法で貯蔵部のハウジング本体部分の所定位置に支持されていてもよい。例えば、気化器525は貯蔵部のハウジング本体部分の対応する開口部に圧入および/または接着されていてもよい。これに代わって、または加えて、別個の固定機構を設けてもよく、例えば適切なクランプ構成を用いてよい。気化器が収められる貯蔵部ハウジングの開口部は、液漏れを防ぐため貯蔵部ハウジングの開口部を封止する際に多孔質材料528本来の圧縮性が役立つように、気化器よりもやや小さくてもよい。
【0140】
このように、図13および図14の気化器組立体と同様、図15の気化器組立体520は、原料液524の貯蔵部と、平面加熱エレメント526を含む平面気化器525とを含む、原料液からエアロゾルを発生するためのエアロゾル供給システムの一部をなしていてもよい。気化器525、特に図15の例では加熱エレメント526を囲む多孔質芯材528を気化器の周縁部にある貯蔵部522内の原料液524に接触させておくことで、気化器525は原料液を貯蔵部から気化器の気化面付近に毛細管現象によって引き込む。気化器組立体520を有するエアロゾル供給システムの誘導加熱コイルは、平面状の環状加熱エレメント526に電流を誘導して加熱エレメントを誘導加熱し、気化器の気化面付近の原料液の一部を気化し、気化した原料液を貯蔵部522で画定される中央の管と気化器525を通る通路527とを流れる空気に解放するように動作できる。
【0141】
気化器がほぼ平面状であり、誘導加熱されるほぼ平面加熱エレメントを含み、かつ原料液を気化器の気化面に引き込むようになっている図15の構成は、本明細書に記載の種類のほぼ環状の液体貯蔵部を有する誘導加熱気化器に原料液を供給するための単純でありながらも効率的な構成を提供する。
【0142】
図15の例では、気化器525は非導電性の多孔質材料528を含むことで、毛細管現象によって貯蔵部から気化面に原料液を引き込む機能を備える。この場合、加熱エレメント526は、例えば中実円盤などの無孔の材料でできていてもよい。しかし、他の実行例では、加熱エレメント526は、貯蔵部から気化面に原料液を運ぶのにも関与するように多孔質材料でできていてもよい。
【0143】
従って、図15の例では、気化器の気化面は、少なくとも気化器の左および右の面それぞれの一部を含み、原料液は、少なくとも気化器の周縁部の一部との接触によって貯蔵部から気化面付近へ引き込まれる。加熱エレメントが多孔質材料でできている例では、気化面への原料液の毛細管流は、さらに加熱エレメント526を通ってもよい。
【0144】
図16は、例えば上記のような、本開示の別の特定の実施形態によるエアロゾル供給システムで使用するための気化器組立体530の断面を概略的に示す。図16の気化器組立体530の様々な外観は、図15の気化器組立体520の対応する構成要素と類似しており、それらから理解できる。しかし、気化器組立体530は、原料液534の入った貯蔵部ハウジング532を通る中央の通路に沿って異なる長手方向位置に設けられた2個の気化器535A、535Bを有する点で気化器組立体520とは異なる。各気化器535Aと535Bは、それぞれ多孔質芯材538A、538Bに囲まれた加熱エレメント536A、536Bを含む。各気化器535A、535Bと、それらと貯蔵部532内の原料液534との連携の方法は図15の気化器525と、気化器と貯蔵部522内の原料液524との連携の方法と一致してもよい。図16の例の機能と複数の気化器を設ける目的は、概ね図14の複数の気化器を含む気化器組立体510に関連して先に述べたとおりであってよい。
【0145】
図17は、例えば上記のような、本開示の別の特定の実施形態によるエアロゾル供給システムで使用するための気化器組立体540の概略断面を示す。図17の気化器540の様々な外観は、対応する番号を付けられた図13の気化器組立体500の構成要素と類似しており、それらから理解できる。しかし、気化器組立体540は、図13の気化器505に比べて改良された気化器545を有する点で気化器組立体500とは異なる。詳細には、図13の気化器505では加熱エレメント506は多孔質材料508で両面を囲まれているが、図17の例では、気化器545は一方の面、具体的には貯蔵部502内の原料液504に面する面のみを多孔質材料548で囲まれた加熱エレメント546を含む。この構成では、加熱エレメント546は、網目状の鋼繊維などの導電性の多孔質材料でできており、気化器の気化面は加熱エレメント546の外向き(図17の最も左に示す)の面である。従って、原料液504は貯蔵部502から気化器の気化面に、多孔質材料548と多孔質加熱エレメント546を通る毛細管現象によって引き込まれてもよい。図17の気化器を含む電子エアロゾル供給システムの動作は、それ以外の点では他の誘導加熱式エアロゾル供給システムに関連して概ね本明細書に記載したとおりであってよい。
【0146】
図18は、例えば上記の種類の、本開示の別の特定の実施形態によるエアロゾル供給システムで使用するための気化器組立体550の概略断面を示す。図18の気化器組立体550の様々な外観は、対応する番号を付けられた図13の気化器組立体500の構成要素と類似しており、それらから理解できる。しかし、気化器組立体550は、図13の気化器505に比べて改良された気化器555を有する点で気化器組立体500とは異なる。詳細には、図13の気化器505では加熱エレメント506は多孔質材料508で両面を囲まれているが、図18の例では、気化器555は一方の面、具体的には貯蔵部502内の原料液504と反対側の面のみを多孔質材料558で囲まれた加熱エレメント556を含む。加熱エレメント556も、焼結された/網目状の鋼材などの導電性の多孔質材料でできている。この例の加熱エレメント556は、貯蔵部502のハウジングの開口部の全幅に広がり、実質的に多孔質封止材となるようになっており、貯蔵部のハウジングの開口部への圧入によって所定位置に支持されていてもよく、および/または所定位置に接着されていてもよく、および/または別個のクランプ機構を含んでもよい。多孔質材料558は実質的に気化器555の気化面をなす。従って、原料液504は貯蔵部502から気化器の気化面に、多孔質加熱エレメント556を通る毛細管現象によって引き込まれてもよい。図18の気化器を含む電子エアロゾル供給システムの動作は、それ以外の点では他の誘導加熱式エアロゾル供給システムに関連して概ね本明細書に記載したとおりであってよい。
【0147】
図19は、例えば上記の種類の、本開示の別の特定の実施形態によるエアロゾル供給システムで使用するための気化器組立体560の概略断面を示す。図19の気化器組立体560の様々な外観は、対応する番号を付けられた図13の気化器組立体500の構成要素と類似しており、それらから理解できる。しかし、気化器組立体560は、図13の気化器505に比べて改良された気化器565を有する点で気化器組立体500とは異なる。詳細には、図13の気化器505では加熱エレメント506は多孔質材料508で囲まれているが、図19の例では、気化器565は多孔質材料で囲まれておらず、加熱エレメント566で構成されている。この構成でも、加熱エレメント566は焼結された/網目状の鋼材などの導電性の多孔質材料でできている。この例の加熱エレメント566は、貯蔵部502のハウジングにある開口部の全幅に広がり、実質的に多孔質封止材となるようになっており、貯蔵部のハウジングの開口部への圧入によって所定位置に支持されていてもよく、および/または所定位置に接着されていてもよく、および/または別個のクランプ機構を含んでもよい。加熱エレメント546は実質的に気化器565の気化面をなし、さらに原料液504を貯蔵部502から気化器の気化面に毛細管現象によって引き込む機能を提供してもよい。図19の気化器を含む電子エアロゾル供給システムの動作は、それ以外の点では他の誘導加熱式エアロゾル供給システムに関連して概ね本明細書に記載したとおりであってよい。
【0148】
図20は、例えば上記の種類の、本開示の別の特定の実施形態によるエアロゾル供給システムで使用するための気化器組立体570の概略断面を示す。図20の気化器組立体570の様々な外観は、対応する番号を付けられた図15の気化器組立体520の構成要素と類似しており、それらから理解できる。しかし、気化器組立体570は、図15の気化器525に比べて改良された気化器575を有する点で気化器組立体520とは異なる。詳細には、図15の気化器525では加熱エレメント526は多孔質材料528で囲まれているが、図20の例では、気化器575は多孔質材料で囲まれておらず、加熱エレメント576で構成されている。この構成でも、加熱エレメント576は焼結された/網目状の鋼材などの導電性の多孔質材料でできている。加熱エレメント576の外縁は、貯蔵部522のハウジングに設けられ対応した寸法を有する、液剤との接触をもたらす開口部へ延びるようになっており、圧入および/または接着および/または別個のクランプ機構によって所定位置に支持されていてもよい。加熱エレメント546は実質的に気化器575の気化面をなし、さらに原料液524を貯蔵部522から気化器の気化面に毛細管現象によって引き込む機能を提供する。図20の気化器を含む電子エアロゾル供給システムの動作は、それ以外の点では他の誘導加熱式エアロゾル供給システムに関連して概ね本明細書に記載したとおりであってよい。
【0149】
このように、図13図20は、電子タバコなどの電子エアロゾル供給システムの誘導加熱気化器で使用するための複数の異なる例示の液体供給機構を示す。当然のことながら、これらの例は本開示のいくつかの実施形態に従って採用されてもよい原理を示すものであり、他の実行例ではこれらの原理や同様の原理を含む異なる構成が提供されてもよい。例えば、当然のことながら、これらの構成は円対称である必要はなく、一般には目下の実行例に従い他の形状および寸法を採用してもよい。また、当然のことながら、異なる構成の様々な特徴事項を組み合わせてもよい。例えば、図15では気化器を貯蔵部522の内壁に取り付けてあるが、別の例ではほぼ環状の気化器を環状の貯蔵部の一方の端部に取り付けてもよい。即ち、図13に示されているような「端部キャップ」と呼べるような構成を環状の貯蔵部に対して用いることによって端部キャップが図13図14、および図17図19の実施例のように円盤ではなく環状の輪でできているようにしてもよい。さらに、当然のことながら、図17図18図19、および図20の例示の気化器を、例えば図15および図16に示す複数の気化器を含む気化器組立体にも同等に用いてよい。
【0150】
さらに、当然のことながら、図13図20に示すような気化器組立体は本明細書に記載の種類のエアロゾル供給システムでの使用に限定されず、より一般的に、任意の誘導加熱式エアロゾル供給システムに用いることができる。従って、本明細書に記載の様々な例示的実施形態は再使用式のコントロールユニットと交換式カートリッジを含む2つの部分からなるエアロゾル供給システムに重点を置いているが、他の例では、図13図20を参照して本明細書に記載したような気化器を、交換式カートリッジを含まず1つの部分からなる使い捨て式または詰め替え式のシステムであるエアロゾル供給システムで使用してもよい。
【0151】
また、当然のことながら、いくつかの実行例に従い、図13図20を参照して先に記載した例示の気化器組立体の加熱エレメントは、例えば図9図12に関連して先に記載した例示の加熱エレメントのいずれかに対応してもよい。即ち、図13図20に示されている構成は、上述のように誘導加熱に対して不均一な応答を有する加熱エレメントを含んでもよい。
【0152】
このように、原料液からエアロゾルを発生するためのエアロゾル供給システムについて記載した。このエアロゾル供給システムは、原料液の貯蔵部と;平面加熱エレメントを含む平面気化器であって、原料液を前記貯蔵部から前記気化器の気化面付近に毛細管現象によって引き込むようになっている気化器と;前記加熱エレメントに電流を誘導して前記加熱エレメントを誘導加熱することで前記気化器の気化面付近にある前記原料液の一部を気化するよう動作可能な誘導加熱コイルとを含む。例によっては、気化器は、前記平面加熱エレメント(サセプタ)の少なくとも一部を囲み、かつ貯蔵部の原料液と接触している多孔質の詰め物/芯材(例えば非導電性の繊維状材料)をさらに含み、原料液を貯蔵部から気化器の気化面付近に引き込む機能を提供するか、少なくともそれに関与する。例によっては、平面加熱エレメント(サセプタ)は、それ自体が多孔質材料でできていて原料液を貯蔵部から気化器の気化面付近へ引き込む機能を提供するか、少なくともそれに関与してもよい。
【0153】
様々な問題を解決して技術を進歩させるため、本開示は、特許請求された発明が実施され得る様々な実施形態を例示によって示す。本開示の利点および特徴事項は実施形態の代表的な事例のものに過ぎず、網羅的および/または排他的ではない。これらは特許請求された発明を理解しやすくし、教示するために提示されたに過ぎない。なお、本開示の利点、実施形態、実施例、機能、特徴事項、構造、および/または他の態様は特許請求の範囲によって定義される本開示に対する限定、あるいは特許請求の範囲の均等物に対する限定と考えられるべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく他の実施形態を用いてもよいし改良を行ってもよい。様々な実施形態は、開示された構成要素、部品、特徴事項、部分、工程、手段などを本明細書に具体的に記載された以外の様々な組み合わせで適切に含むか、それらで構成されるか、本質的にそれらで構成されてもよい。従って、当然のことながら、特許請求の範囲に明記されている以外の組み合わせで従属請求項の特徴事項を独立請求項の特徴事項と組み合わせてもよい。本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求されるかもしれない他の発明を含んでよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20