(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543361
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
A63F 13/52 20140101AFI20190628BHJP
A63F 13/55 20140101ALI20190628BHJP
A63F 13/847 20140101ALI20190628BHJP
A63F 13/46 20140101ALI20190628BHJP
A63F 13/30 20140101ALI20190628BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20190628BHJP
【FI】
A63F13/52
A63F13/55
A63F13/847
A63F13/46
A63F13/30
G06T19/00 300A
【請求項の数】30
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-10946(P2018-10946)
(22)【出願日】2018年1月25日
(62)【分割の表示】特願2016-145245(P2016-145245)の分割
【原出願日】2014年5月14日
(65)【公開番号】特開2018-102931(P2018-102931A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2018年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233778
【氏名又は名称】任天堂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100130269
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 盛規
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慎太郎
【審査官】
田辺 正樹
(56)【参考文献】
【文献】
スーパーマリオスタジアム ファミリーベースボール,週刊ファミ通,日本,株式会社エンターブレイン,2008年 7月 4日,第23巻第27号,Pages 119-122
【文献】
「スーパーマリオスタジアム ファミリーベースボール」レビュー,ITmedia Gamez [Online],2008年 7月10日,Pages 1-4,URL,http://gamez.itmedia.co.jp/games/articles/0807/10/news009_2.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F9/24、13/00−13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの操作入力を受け付ける操作入力受付手段を備えた情報処理システムを、
前記操作入力受付手段にて受け付けた前記操作入力に基づいて仮想空間内の自キャラクタに描画動作をさせることで、前記仮想空間の描画領域を前記自キャラクタの対応色で色付けするゲーム進行手段として機能させる情報処理プログラムであって、
前記ゲーム進行手段は、前記自キャラクタが前記自キャラクタの対応色に色付けされた領域にいるときに、前記自キャラクタが前記自キャラクタの対応色に色付けされていない領域にいるときとは異なる、前記自キャラクタの表示制御及び/又は第1の移動制御を行う情報処理プログラム。
【請求項2】
前記ゲーム進行手段は、前記仮想空間内の敵キャラクタに描画動作を行わせることで、前記仮想空間の描画領域を前記自キャラクタの対応色と異なる対応色で色付けする、請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記ゲーム進行手段は、前記表示制御として、前記自キャラクタを、前記自キャラクタの対応色に応じた表示に変更する、請求項1又は2に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記ゲーム進行手段は、前記表示制御として、前記自キャラクタが前記自キャラクタの対応色に色付けされた領域にいるときに、前記自キャラクタを、前記自キャラクタの対応色に同化した表示に変更する、請求項3に記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記ゲーム進行手段は、前記第1の移動制御として、前記自キャラクタが前記自キャラクタの対応色に色付けされていない領域にいるときよりも、前記自キャラクタの移動速度を速くする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
前記ゲーム進行手段は、前記自キャラクタが前記敵キャラクタの対応色に色付けされた領域にいるときに、前記自キャラクタが前記自キャラクタの対応色に色付けされた領域にいるときとは異なる、前記自キャラクタの第2の移動制御を行う、請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
前記ゲーム進行手段は、前記第2の移動制御として、前記自キャラクタが前記自キャラクタの対応色に色付けされた領域にいるときよりも、前記自キャラクタの移動速度を遅くする、請求項6に記載の情報処理プログラム。
【請求項8】
前記ゲーム進行手段は、前記自キャラクタが、前記自キャラクタの対応色に色付けされていない領域であって、かつ前記敵キャラクタの対応色に色付けされていない領域にいるときに、前記自キャラクタの第3の移動制御を行う、請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項9】
前記ゲーム進行手段は、前記操作入力に基づいて前記仮想空間内の前記自キャラクタに描画動作をさせ、前記描画動作に応じた前記仮想空間の描画領域を前記自キャラクタの対応色で色付けする、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の情報処理プログラム。
【請求項10】
前記ゲーム進行手段は、前記操作入力に基づいて前記仮想空間内で前記自キャラクタを移動させ、前記自キャラクタの前記仮想空間内の位置に応じた描画領域を前記自キャラクタの対応色で色付けする、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の情報処理プログラム。
【請求項11】
前記ゲーム進行手段は、一又は複数の仲間ユーザの操作入力に基づいて、前記自キャラクタの対応色で前記仮想空間の描画領域を色付けする、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の情報処理プログラム。
【請求項12】
前記ゲーム進行手段は、一又は複数の相手ユーザの操作入力に基づいて、前記敵キャラクタの対応色で前記仮想空間の描画領域を色付けする、請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項13】
前記情報処理システムを、さらに、前記自キャラクタの対応色の描画状態と前記敵キャラクタの対応色の描画状態とに基づいて、対戦判定をする対戦判定手段として機能させる、請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項14】
前記対戦判定手段は、前記自キャラクタの対応色で色付けされた領域の面積と、前記自キャラクタの対応色とは異なる敵キャラクタの対応色で色付けされた領域の面積とを比較することで前記対戦判定を行う、請求項13に記載の情報処理プログラム。
【請求項15】
前記情報処理システムはさらに、通信手段を備え、
前記ゲーム進行手段は、前記操作入力受付手段にて受け付けた前記操作入力に基づいて、前記仮想空間に前記自キャラクタの対応色で色付けするための描画イベントを示す自キャラクタ描画イベントデータを生成し、
前記通信手段は、前記自キャラクタ描画イベントデータを相手ユーザの情報処理システムに送信するとともに、相手ユーザの操作入力に基づいて生成された、前記仮想空間に敵キャラクタの対応色で色付けするための描画イベントを示す敵キャラクタ描画イベントデータを受信し、
前記ゲーム進行手段は、前記自キャラクタ描画イベントデータ及び前記敵キャラクタ描画イベントデータに基づいて、前記自キャラクタの対応色及び前記敵キャラクタの対応色で前記仮想空間の描画領域を色付けする、請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項16】
前記自キャラクタ描画イベントデータ及び前記敵キャラクタ描画イベントデータは、対応色で色付けする前記仮想空間の描画領域の位置及び色に関する情報を含む、請求項15に記載の情報処理プログラム。
【請求項17】
前記自キャラクタ描画イベントデータ及び前記敵キャラクタ描画イベントデータは、イベントの時刻を示す情報を含み、
前記ゲーム進行手段は、前記仮想空間において、前記自キャラクタの対応色と前記敵キャラクタの対応色との色付けが重なる場合には、前記時刻の情報に基づいて色付けを行う、請求項15又は16に記載の情報処理プログラム。
【請求項18】
前記通信手段は、インターネット経由で通信を行う、請求項15ないし17のいずれか一項に記載の情報処理プログラム。
【請求項19】
前記ゲーム進行手段は、前記操作入力に基づいて前記仮想空間内の前記自キャラクタに敵キャラクタに対する攻撃を行わせる、請求項1ないし18のいずれか一項に記載の情報処理プログラム。
【請求項20】
前記ゲーム進行手段は、前記自キャラクタに描画動作をさせることで、前記敵キャラクタに対する攻撃を行わせる、請求項19に記載の情報処理プログラム。
【請求項21】
前記ゲーム進行手段は、前記自キャラクタの前記敵キャラクタに対する攻撃が成功すると、前記仮想空間の描画領域を前記自キャラクタの対応色で色付けする、請求項19又は20に記載の情報処理プログラム。
【請求項22】
前記ゲーム進行手段は、前記自キャラクタの前記敵キャラクタに対する攻撃が成功すると、前記仮想空間内の前記敵キャラクタの周辺の領域を前記自キャラクタの対応色で色付けする、請求項21に記載の情報処理プログラム。
【請求項23】
前記ゲーム進行手段は、前記仮想空間の前記自キャラクタの対応色及び敵キャラクタの対応色の描画状態を示す俯瞰画像を表示する、請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項24】
前記ゲーム進行手段は、ゲーム中に前記操作入力受付手段が受け付けた操作入力に基づいて前記描画状態を示す前記俯瞰画像を表示する、請求項23に記載の情報処理プログラム。
【請求項25】
前記仮想空間は、三次元空間である、請求項1ないし24のいずれか一項に記載の情報処理プログラム。
【請求項26】
前記ゲーム進行手段は、前記三次元空間内の地面に前記対応色を描画する、請求項25に記載の情報処理プログラム。
【請求項27】
前記操作入力に基づいて複数種類の描画イベントのうちのいずれかが発生し、前記描画イベントの種類は前記描画領域の形状に対応している、請求項1ないし26のいずれか一項に記載の情報処理プログラム。
【請求項28】
ユーザの操作入力を受け付ける操作入力受付手段と、
前記操作入力受付手段にて受け付けた前記操作入力に基づいて仮想空間内の自キャラクタに描画動作をさせることで、前記仮想空間の描画領域を前記自キャラクタの対応色で色付けするゲーム進行手段と、を備え、
前記ゲーム進行手段は、前記自キャラクタが前記自キャラクタの対応色に色付けされた領域にいるときに、前記自キャラクタが前記自キャラクタの対応色に色付けされていない領域にいるときとは異なる、前記自キャラクタの表示制御及び/又は第1の移動制御を行う情報処理システム。
【請求項29】
ユーザの操作入力を受け付ける操作入力受付手段と、
前記操作入力受付手段にて受け付けた前記操作入力に基づいて仮想空間内の自キャラクタに描画動作をさせることで、前記仮想空間の描画領域を前記自キャラクタの対応色で色付けするゲーム進行手段と、
を備え、
前記ゲーム進行手段は、前記自キャラクタが前記自キャラクタの対応色に色付けされた領域にいるときに、前記自キャラクタが前記自キャラクタの対応色に色付けされていない領域にいるときとは異なる、前記自キャラクタの表示制御及び/又は第1の移動制御を行う情報処理装置。
【請求項30】
ユーザの操作入力を受け付ける操作入力受付ステップと、
前記操作入力受付ステップにて受け付けた前記操作入力に基づいて仮想空間内の自キャラクタに描画動作をさせることで、前記仮想空間の描画領域を前記自キャラクタの対応色で色付けするゲーム進行ステップと、
を備え、
前記ゲーム進行ステップは、前記自キャラクタが前記自キャラクタの対応色に色付けされた領域にいるときに、前記自キャラクタが前記自キャラクタの対応色に色付けされていない領域にいるときとは異なる、前記自キャラクタの表示制御及び/又は第1の移動制御を行う情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間内のキャラクタを制御するゲームを提供する情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置、及び情報処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザが操作入力手段を操作して仮想空間内のキャラクタを制御して行うゲームが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−28277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のゲームは、仮想空間内のキャラクタを制御して、障害や敵キャラクタからの攻撃をかわし、あるいは敵キャラクタを攻撃しながらキャラクタの目的地への移動を目指すゲームや、仮想空間においてキャラクタに与えられる試練(冒険、難題、探索、戦闘など)を乗り越えて目的の達成を目指すゲーム等であった。
【0005】
本発明は、仮想空間内のキャラクタを制御して行う新規のゲームを提供することを目的とする。なお、以下では、ユーザが自分の操作によって制御するキャラクタを「自キャラクタ」という。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施の形態の情報処理システムは、ユーザの操作入力を受け付ける操作入力受付手段と、前記操作入力受付手段にて受け付けた前記操作入力に基づいて情報処理を行う情報処理手段とを備え、前記情報処理手段は、前記操作入力に基づいて仮想空間内の自キャラクタを制御することで、前記自キャラクタの対応色を前記仮想空間に描画するゲーム進行手段と、前記自キャラクタの対応色とは異なる敵キャラクタの対応色の前記仮想空間への描画状態と前記自キャラクタの対応色の前記仮想空間への描画状態とに基づいて、対戦判定をする対戦判定手段とを備えた構成を有している。この構成により、仮想空間内では、自キャラクタを制御することで自キャラクタの対応色で仮想空間が描画され、その描画状態と敵キャラクタの対応色の描画状態とに基づいて対戦判定がされる。
【0007】
前記ゲーム進行手段は、前記操作入力に基づいて前記仮想空間内の前記自キャラクタに描画動作をさせ、前記描画動作に応じた前記仮想空間の描画領域に前記自キャラクタの対応色を描画してよい。この構成により、自キャラクタの描画動作に応じた描画領域に対応色を描画できる。
【0008】
前記ゲーム進行手段は、前記操作入力に基づいて前記仮想空間内で前記自キャラクタを移動させ、前記自キャラクタの前記仮想空間内の位置に応じた描画領域に前記自キャラクタの対応色を描画してよい。この構成により、自キャラクタの仮想空間内の位置に応じた描画領域に対応色を描画できる。
【0009】
前記ゲーム進行手段は、一又は複数の仲間ユーザの操作入力に基づいて、前記自キャラクタの対応色を前記仮想空間に描画してよい。この構成により、他のユーザとの協力プレイが可能となる。
【0010】
前記ゲーム進行手段は、一又は複数の相手ユーザの操作入力に基づいて、前記敵キャラクタの対応色を前記仮想空間に描画してよい。この構成により、他のユーザとの対戦プレイが可能となる。
【0011】
前記対戦判定手段は、前記自キャラクタの対応色の描画面積と、前記敵キャラクタの対応色の描画面積とを比較することで対戦判定を行ってよい。この構成により、描画面積の広狭で勝敗を決定することができる。なお、プレイ時間が所定の時間に達したときに描画面積が比較されて対戦判定がされてよい。
【0012】
上記の情報処理システムは、さらに、通信手段を備えていてよく、前記ゲーム進行手段は、前記操作入力受付手段にて受け付けた前記操作入力に基づいて、前記仮想空間に前記自キャラクタの対応色を描画するための描画イベントの内容を示す自キャラクタ描画イベントデータを生成してよく、前記通信手段は、前記自キャラクタ描画イベントデータを相手ユーザの情報処理システムに送信するとともに、相手ユーザの操作入力に基づいて生成された、前記仮想空間に前記敵キャラクタの対応色を描画するための描画イベントの内容を示す敵キャラクタ描画イベントデータを受信してよく、前記ゲーム進行手段は、前記自キャラクタ描画イベントデータ及び前記敵キャラクタ描画イベントデータに基づいて、前記自キャラクタの対応色及び前記敵キャラクタの対応色を前記仮想空間に描画してよい。この構成により、他のユーザ(相手ユーザ)との通信型対戦ゲームが実現する。仮想空間に対応色を描画するための描画データはその容量が比較的大きいため、通信型の対戦ゲームにおいて描画データを頻繁に送受信することで描画状態を共有することは現実的でない。これに対して、上記の構成によれば、比較的容量の大きい描画データではなく、比較的容量の小さい描画イベントの内容を示す描画イベントデータを送受信するので、通信型の対戦ゲームで大容量のデータを送受信することなく、複数のユーザの情報処理システムにおいて描画状態を共有することができる。
【0013】
前記自キャラクタ描画イベントデータ及び前記敵キャラクタ描画イベントデータは、対応色を描画する前記仮想空間の位置及び色の情報を含んでよい。この構成により、自キャラクタ描画イベントデータ及び敵キャラクタ描画イベントデータの容量を小さくできる。なお、各キャラクタの対応色が既知である場合は、キャラクタ又はキャラクタの属するチームの情報が即ち色の情報となる。
【0014】
前記自キャラクタ描画イベントデータ及び前記敵キャラクタ描画イベントデータは、イベントの時刻を示す情報を含んでよく、前記ゲーム進行手段は、前記仮想空間において、前記自キャラクタの対応色と前記敵キャラクタの対応色との描画が重なる場合には、前記時刻の情報に基づいて描画を行ってよい。この構成により、伝送遅延によって、敵キャラクタ描画イベントデータの受信が遅れたとしても、自キャラクタ描画イベントデータとの前後関係を正確に把握できる。このことは、相手ユーザの情報処理システムにおいても同様であり、即ち、相手ユーザの情報処理システムおいて自キャラクタ描画イベントデータの受信が遅れたとしても、敵キャラクタ描画イベントデータとの前後関係を正確に把握でき、その前後関係や自キャラクタのユーザの情報処理システムと一致する。
【0015】
前記通信手段は、インターネット経由で通信を行ってよい。この構成により、インターネットを介して他のユーザとの対戦プレイ又は協力プレイをできる。
【0016】
前記ゲーム進行手段は、前記操作入力に基づいて前記仮想空間内の前記自キャラクタを制御して、前記敵キャラクタに対する攻撃を行ってよい。この構成により、攻撃を伴う対戦型のゲームを実現できる。
【0017】
前記ゲーム進行手段は、前記自キャラクタの前記敵キャラクタへの攻撃が成功すると、前記仮想空間に前記自キャラクタの対応色を描画してよい。この構成により、敵キャラクタへの攻撃によって、自キャラクタの対応色の描画範囲を広げることができる。
【0018】
前記ゲーム進行手段は、前記自キャラクタの前記敵キャラクタへの攻撃が成功すると、前記仮想空間内の前記敵キャラクタの周辺の領域に前記自キャラクタの対応色を描画してよい。この構成により、敵キャラクタの攻撃によって、その敵キャラクタの周辺を自キャラクタの対応色とすることができる。
【0019】
前記ゲーム進行手段は、前記操作入力に基づいて前記仮想空間の全体の前記自キャラクタの対応色及び前記敵キャラクタの対応色の描画結果を表示してよい。この構成により、ユーザは、自キャラクタの対応色及び敵キャラクタの対応色の描画結果を確認することができる。
【0020】
前記仮想空間は、三次元空間であってよい。この構成により、三次元空間内での描画ゲームを実現できる。
【0021】
前記ゲーム進行手段は、前記三次元空間内の地面に前記対応色を描画してよい。
【0022】
本発明の一実施の形態の情報処理プログラムは、ユーザの操作入力を受け付ける操作入力受付手段を備えた情報処理システムを、前記操作入力受付手段にて受け付けた前記操作入力に基づいて情報処理を行う情報処理手段として機能させるための情報処理プログラムであって、前記情報処理手段は、前記操作入力に基づいて仮想空間内の自キャラクタを制御することで、前記自キャラクタの対応色を前記仮想空間に描画するゲーム進行手段と、前記自キャラクタの対応色とは異なる敵キャラクタの対応色の前記仮想空間への描画状態と前記自キャラクタの対応色の前記仮想空間への描画状態とに基づいて、対戦判定をする対戦判定手段とを備えた構成を有している。この構成によっても、仮想空間内では、自キャラクタを制御することで自キャラクタの対応色で仮想空間が描画され、その描画状態と敵キャラクタの対応色の描画状態とに基づいて対戦判定がされる。
【0023】
本発明の一実施の形態の情報処理装置は、ユーザの操作入力を受け付ける操作入力受付手段と、前記操作入力受付手段にて受け付けた前記操作入力に基づいて情報処理を行う情報処理手段とを備え、前記情報処理手段は、前記操作入力に基づいて仮想空間内の自キャラクタを制御することで、前記自キャラクタの対応色を前記仮想空間に描画するゲーム進行手段と、前記自キャラクタの対応色とは異なる敵キャラクタの対応色の前記仮想空間への描画状態と前記自キャラクタの対応色の前記仮想空間への描画状態とに基づいて、対戦判定をする対戦判定手段とを備えた構成を有している。この構成によっても、仮想空間内では、自キャラクタを制御することで自キャラクタの対応色で仮想空間が描画され、その描画状態と敵キャラクタの対応色の描画状態とに基づいて対戦判定がされる。
【0024】
本発明の一実施の形態の情報処理方法は、ユーザの操作入力を受け付ける操作入力受付ステップと、前記操作入力受付手段にて受け付けた前記操作入力に基づいて仮想空間内の自キャラクタを制御することで、前記自キャラクタの対応色を前記仮想空間に描画するゲーム進行ステップと、前記自キャラクタの対応色とは異なる敵キャラクタの対応色の前記仮想空間への描画状態と前記自キャラクタの対応色の前記仮想空間への描画状態とに基づいて、対戦判定をする対戦判定ステップとを備えた構成を有している。この構成によっても、仮想空間内では、自キャラクタを制御することで自キャラクタの対応色で仮想空間が描画され、その描画状態と敵キャラクタの対応色の描画状態とに基づいて対戦判定がされる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、仮想空間内では、自キャラクタを制御することで自キャラクタの対応色で仮想空間が描画され、その描画状態と敵キャラクタの対応色の描画状態とに基づいて対戦判定がされ、このような新規のゲームを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施の形態における情報処理システムの構成を示すブロック図
【
図2】本発明の実施の形態における自キャラクタがインク銃の発射によって地面を塗っているシーンの画面例を示す図
【
図3】(a)本発明の実施の形態における敵キャラクタに攻撃をしようとしているシーンの画面例を示す図 (b)本発明の実施の形態における敵キャラクタへの攻撃が成功して敵キャラクタの周辺が攻撃をした自キャラクタの対応色に塗られているシーンの画面例を示す図
【
図4】(a)本発明の実施の形態におけるキャラクタが地面に塗られたインクに同化する前のシーンの画面例を示す図 (b)本発明の実施の形態におけるキャラクタが地面に塗られたインクに同化した後のシーンの画面例を示す図
【
図5】本発明の実施の形態における俯瞰画面例を示す図
【
図6】本発明の実施の形態における仮想空間の地面が描画される例を示す図
【
図7】本発明の実施の形態における描画イベントデータによって描画が行われる例を示す図
【
図8】本発明の実施の形態における描画状態の不一致を説明する図
【
図9】本発明の実施の形態における描画状態の不一致を説明する図
【
図10】(a)本発明の実施の形態における時刻情報を用いて仮想空間に対応色を描画する例を説明する図 (b)本発明の実施の形態における時刻情報を用いて仮想空間に対応色を描画する例を説明する図
【
図11】(a)本発明の実施の形態における時刻情報を用いて仮想空間に対応色を描画する例を説明する図 (b)本発明の実施の形態における時刻情報を用いて仮想空間に対応色を描画する例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態の情報処理システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態の情報処理システム100は、仮想空間内で自キャラクタを制御することで自キャラクタの対応色で仮想空間を描画し、その描画状態と敵キャラクタの対応色の描画状態とに基づいて対戦判定を行うゲームを提供する。情報処理システム100は、操作入力手段としてのコントローラ11と、情報処理手段としての情報処理部12と、通信手段としての送受信部13と、出力手段として映像を表示する表示部14とを備えている。出力手段は、さらに、音声を出力するスピーカ、振動することで動力を出力するバイブレータを含んでいてもよい。
【0029】
なお、
図1では、コントローラ11と情報処理部12と送受信部13と表示部14を含む情報処理システム100が一体の装置として構成されている例を示しているが、これらが複数の装置に分散されており、必要に応じて互いの間で有線又は無線で情報の授受が行われてもよい。例えば、情報処理システム100は、コントローラ11と情報処理部12と送受信部13と表示部14をすべて含む携帯型のゲーム装置であってよく、情報処理部12と送受信部13とが一体となったゲーム装置本体と、近距離無線通信によってゲーム装置本体と通信するコントローラ11と、ケーブルを介してゲーム装置本体からの表示データを受信して出力する表示部14とからなるものであってもよい。また、情報処理装置12がネットワーク上に存在していてもよい。
【0030】
情報処理部12は、コントローラ11に入力された操作入力及び送受信部13にて受信した相手ユーザや仲間ユーザの情報処理システム100からのデータに基づいてゲームを進行させるゲーム進行部121と、ゲーム進行部121によるゲームの結果に基づいて対戦判定を行う対戦判定部122と、ステンシルバッファ123と、デプスバッファ124とを備えている。
【0031】
情報処理部12のゲーム進行部121及び対戦判定部122は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)を含む汎用のプロセッサが本発明の実施の形態の情報処理プログラムとしてのゲームプログラムを実行することで実現される。ゲームプログラムは、可搬媒体によって提供され、情報処理部12が可搬媒体からゲームプログラムを読み出して実行することでゲーム進行部121及び対戦判定部122が実現される。また、送受信部13を介して受信され、情報処理部12がゲームプログラムをインストールして実行することでゲーム進行部121及び対戦判定部122が実現されてもよい。
【0032】
送受信部13は、インターネット等の通信ネットワークを介して他の情報処理システム100に各種のデータを送信し、また、通信ネットワークを介して他の情報処理システム100から送信されたデータを受信する。本実施の形態では、特に、後述する描画イベントデータが送受信部13によって通信ネットワーク経由で送受信される。送受信部13は、有線通信のためのインターフェースを備えていてよいし、無線通信のための通信モジュールを備えていてもよい。表示部14は、情報処理部12のGPUによって生成されたグラフィックデータを出力する。
【0033】
ゲーム進行部121によって進行されるゲーム及び対戦判定部122によって行われる対戦判定について説明する。本実施の形態のゲームでは、自キャラクタ及び敵キャラクタにそれぞれ異なる色が対応付けられている。各キャラクタに対応付けられた色を対応色という。ゲームでは、三次元の仮想空間内で自キャラクタを操作して、地面を自キャラクタの対応色で塗り、敵キャラクタも同様に地面に敵キャラクタの対応色で塗る。
【0034】
自キャラクタには他のユーザ(仲間ユーザ)が操作する一又は複数の仲間キャラクタがいてもよい。この場合、自キャラクタと仲間キャラクタで自チームが構成され、自キャラクタの対応色と仲間キャラクタの対応色とは同じである。これにより、複数のユーザによる協力プレイが可能となる。また、敵キャラクタにもその仲間キャラクタがいてよく、この場合はそれらのキャラクタによって敵チームが構成され、敵チームに属するキャラクタの対応色は同じである。
【0035】
さらに、キャラクタが三以上の複数のチームに分かれていてもよく、その場合はチームごとに異なる対応色が設定され、自キャラクタと同一のチームに属するキャラクタが仲間キャラクタとなり、その他のチームが敵チームとなり、敵チームに属するキャラクタが敵キャラクタとなる。本実施の形態では、自キャラクタと複数の仲間キャラクタからなる自チームと、複数の敵キャラクタからなる敵チームとが対戦をする例を説明する。以下では、自チームの対応色を「自色」ともいい、敵チームの対応色を「敵色」ともいう。
【0036】
また、敵キャラクタは、自キャラクタ及びその仲間キャラクタの動作及びゲームプログラムに基づいてゲーム進行部121がゲームプログラムに従って動作してもよいし、他のユーザの操作入力に従って動作してもよい。敵キャラクタが他のユーザの操作入力に基づいて動作する場合は、他のユーザとの対戦プレイが実現される。本実施の形態では、他のユーザが敵キャラクタを操作する例を説明する。
【0037】
また、仲間キャラクタについても、自キャラクタ及び敵キャラクタの動作及びゲームプログラムに基づいてゲーム進行部121がゲームプログラムに従って動作してもよいし、他のユーザの操作入力に従って動作してもよい。仲間キャラクタが他のユーザの操作入力に基づいて動作する場合は、他のユーザとの協力プレイが実現される。
【0038】
自キャラクタ、仲間キャラクタ、及び敵キャラクタを含む各キャラクタは、共通の三次元仮想空間内を移動できる。また、各キャラクタは、仮想空間内で向きを変えることもできる。さらに、各キャラクタは、自色のインクを持っており、仮想空間内の自分がいる位置の周辺の地面を自色のインクで塗ることができる。なお、本実施の形態において、ゲーム中に仮想空間の地面に各キャラクタの対応色が着色されていくことについて、三次元仮想空間内で展開されるゲームに着目するときには、「対応色(のインク)で地面を塗る」等の表現をし、情報処理部12における情報処理に着目するときは、「地面に対応色を描画する」等の表現をする。
【0039】
ユーザは自キャラクタを操作することで描画イベントを発生させて、仮想空間の地面を塗ることができる。具体的には仮想空間内の自キャラクタの位置、向き、描画イベントの種類に応じた領域が、その対応色で塗られる。描画イベントの種類としては、「インク銃の発射」、「ローラによる塗布」、「敵キャラクタへの攻撃」がある。描画イベントの種類は、描画される領域の形状に対応している。
【0040】
「インク銃の発射」では、自キャラクタの位置を起点としてそこから自キャラクタが向いている方向にインクを発射したときのインクの着水領域にインクが塗られる。インク銃の発射には複数種類の発射方法があってよく、発射方向も左右だけでなく上下にも調整可能であってよく、発射強度が調整可能であってもよい。
図2は、自キャラクタがインク銃の発射によって地面を塗っているシーンの画面例である。「ローラによる塗布」では、自キャラクタが仮想空間を移動することで、移動方向にローラの幅をもって地面にインクが塗られる。ローラには複数種類の幅があってよい。
【0041】
「敵キャラクタへの攻撃」は、敵キャラクタに向けてインク銃を発射することをいい、発射したインクが敵キャラクタに命中すると攻撃の成功となる。攻撃が成功すると、攻撃を受けた敵キャラクタはその周辺に、攻撃をしたキャラクタの対応色のインクをまき散らす。これによって、攻撃を受けた敵キャラクタの周辺の地面が、攻撃をしたキャラクタの対応色に塗られる。このように、敵キャラクタへの攻撃によっても、自色の描画範囲を拡大することができる。
【0042】
図3(a)及び(b)は、自キャラクタが敵キャラクタへの攻撃に成功して敵キャラクタの周辺が自色に塗られているシーンの画面例である。具体的には、
図3(a)は敵キャラクタに攻撃をしようとしているシーンの画面例であり、
図3(b)は敵キャラクタへの攻撃が成功して敵キャラクタの周辺が攻撃をした自キャラクタの対応色に塗られているシーンの画面例である。
【0043】
「インク銃の発射」の描画イベントは、描画イベントの種類(インクの発射)、キャラクタの位置、発射方向(左右又は左右上下)、(複数ある場合には)インク銃種類、(調整可能である場合は)強度、及びインクの色(そのキャラクタの対応色)によって定義される。また、「ローラによる塗布」の描画イベントは、描画イベントの種類(ローラによる塗布)、キャラクタの位置、移動方向、(複数ある場合には)ローラの幅、及びインクの色(そのキャラクタの対応色)によって定義される。また、「敵キャラクタへの攻撃」の描画イベントは、描画イベントの種類(敵キャラクタへの攻撃)、敵キャラクタの位置、及びインクの色(攻撃をしたキャラクタの対応色)によって定義される。
【0044】
各キャラクタは、仮想空間内を移動する際に、自チームの対応色のインクで塗られた領域内では、ユーザの操作に従ってインクに同化して姿を消すことができる。キャラクタは、インクに同化して姿を消した状態では、仮想空間内を高速に移動することができる。自キャラクタが姿を消すことで、敵キャラクタを操作するユーザの画面には自キャラクタが表示されなくなる。
図4は、キャラクタが地面に塗られたインクに同化するシーンの画面例であり、具体的には、
図4(a)は同化する前のシーンの画面例であり、
図4(b)は同化した後のシーンの画面例である。また、自キャラクタは、敵チームの対応色で塗られた領域内では、移動速度が遅くなる。このように、ゲーム進行部121は、自キャラクタがいる位置の描画状態に応じて、コントローラ11からの入力操作に対する当該キャラクタの移動制御を行う。即ち、ゲーム進行部121は、自キャラクタがいる位置の描画状態に応じた速度で当該キャラクタを移動させる。
【0045】
また、ゲーム進行部121は、ゲーム中にユーザにより所定の操作がされると、その時点での仮想空間全体の各チームの対応色の描画状態を表示する。具体的には、ゲーム進行部121は、仮想空間を俯瞰した画面において各チームの対応色を示す。
図5は、俯瞰画面例を示す図である。この俯瞰画面と同時に、各チームの描画範囲の大きさをグラフや数値で表してもよい。
【0046】
仮想空間において、いったんあるチームの対応色で塗られた地面は、その上から他のチームの対応色で塗ることで、塗り替えることができる。即ち、仮想空間の地面は、最後に塗られた色で描画され、敵色に塗られた領域であっても、その上から自色を塗ることで、その領域は自色となり、その逆も同様である。
【0047】
ゲーム進行部121において、仮想空間への対応色による描画(着色)は、仮想空間のどの部分(ピクセル)にどのチームの対応色を描画するかを示す描画データによって行われる。ゲーム進行部121は、仮想空間の全体を覆う大きさのテクスチャに対して、描画データに従ってインクの色を書き込んでいき、それを仮想空間に投影することで、仮想空間への描画を行う。具体的には、ゲーム進行部121は、インクの色をテクスチャに書き込む際には、描画データとして、チームを表す符号をステンシルバッファ123に書き込み、あるチームの対応色について描画を行う場合には、そのチームを表す符号と一致する情報がステンシルバッファ123に書き込まれているときだけそのチームの対応色を描画するという命令を、GPUを通して実行する。
図6は、仮想空間の地面が描画される例を示す図である。描画の状態は、3200×3200ピクセルのテクスチャで表される。
【0048】
敵キャラクタや仲間キャラクタを操作する他のユーザと通信によって対戦ゲームや協力ゲームを行う場合に、描画データを頻繁に送受信すると、描画データの容量は比較的大きいため、それらのすべてを常時送受信する方法では、他のユーザとの間で描画状態の共有が困難である。
【0049】
そこで、複数のユーザが通信によってゲームを行う場合に描画状態を共有するために、各情報処理システム100は、ゲーム中に、描画イベントの発生に応じて、送受信部13から他のユーザの情報処理システム100に、データ量が比較的大きい描画データではなく、データ量が比較的小さい描画イベントデータを生成して送信し、他のユーザの情報処理システム100からも、描画データではなく、描画イベントデータを受信する。描画イベントデータとは、描画データを生成するために描画イベントの内容を示すデータであり、ゲーム進行部121は、描画イベントデータに基づいて描画データを生成する。このように、描画データではなく描画イベントデータを送受信することで通信型の対戦ゲームを行うので、通信の負荷を大きくすることなく、複数のユーザにおいて常時描画状態を共有できる。
【0050】
ゲーム進行部121は、コントローラ11にて受け付けた操作入力に基づいて、仮想空間に自キャラクタの対応色を描画するための描画イベントの内容を示す自キャラクタ描画イベントデータを生成する。送受信部13は、ゲーム進行部121で生成された自キャラクタ描画イベントデータを他のユーザの情報処理システム100に送信するとともに、他のユーザの情報処理システム100から他のユーザが操作する敵キャラクタや仲間キャラクタの描画イベントデータを受信する。
【0051】
図7は、描画イベントデータによって描画が行われる例を示す図である。この例では、描画イベントは、中心位置、半径、色によって定義されるものとし、描画は円形状の塗りつぶしによって行われるものとする。
図7の例では、「位置:(3,4)、半径:5m、色:オレンジ」という描画イベントデータによって領域A71がオレンジ色に塗られ、「位置:(6,5)、半径:4m、色:ブルー」という描画イベントデータによって領域A72が青色に塗られ、「位置:(6,3)、半径:2m、色:ブルー」という描画イベントによって領域A73が青色に塗られ、「位置:(4,7)、半径:3m、色:オレンジ」という描画イベントデータによって領域A74がオレンジ色に塗られ、「位置:(7,7)、半径:1m、色:ブルー」という描画イベントデータによって領域A75が青色に塗られている。
【0052】
通信型の対戦ゲームや協力ゲームにおいて、複数のキャラクタがほぼ同時に重複した領域に着色(描画)をすると、通信ネットワークにおける伝送遅延によって、複数のユーザ間で描画状態の不一致が生じることがある。
図8及び
図9は描画状態の不一致を説明する図である。
図8に示すように、自キャラクタが領域A81を自色で塗るという描画イベントが発生した直後に、敵キャラクタが領域A81に一部重複する領域A82を当該敵キャラクタの対応色で塗るという描画イベントが発生した場合において、自キャラクタのユーザ側のゲーム進行部121は、自キャラクタによる描画イベントに従って領域A81を自色に塗り、その後に敵キャラクタの描画イベントデータを受信すると、自色で塗った領域A81との重複領域を敵色で塗り替えるようにして領域A82に敵色を塗ることになる。
【0053】
一方、同様に自キャラクタが領域A81を自色で塗るという描画イベントが発生した直後に、敵キャラクタが領域A81に一部重複する領域A82を当該敵キャラクタの対応色で塗るという描画イベントが発生した場合にも、敵キャラクタのユーザ側では、
図9に示すように、当該敵キャラクタの対応色で塗るという描画イベントに従って当該敵キャラクタの対応色で領域A82を塗り、その後に自キャラクタの描画イベントデータが届いた場合には、領域A82の一部を自色に塗り替えるように領域A81に自キャラクタの対応色を塗ってしまう。こうなると、自キャラクタのユーザ側(
図8)と敵キャラクタのユーザ側(
図9)とで、重複領域の描画状態(即ち、何色になっているか)が食い違ってしまう。なお、実際には自キャラクタが領域A81を自色で塗るという描画イベントが発生した直後に敵キャラクタが領域A82を当該敵キャラクタの対応色で塗るという描画イベントが発生しているので、本来はすべてのユーザにおいて
図8の描画状態とすべきである。
【0054】
このような描画状態の不一致を回避するために、描画イベントデータは、描画イベントの内容を示す情報に加えて、その描画イベントの発生時刻の情報を含んでいる。描画イベントの内容を示す情報は、例えば、上記で説明した描画イベントを定義するための情報であってよい。ゲーム進行部121は、自ら生成した描画イベントデータ及び外部から取得した敵キャラクタの描画イベントデータに従って仮想空間の該当領域を塗るが、このとき描画イベントの発生時刻の情報を仮想空間のテクスチャに対応する3200×3200のデプスバッファ124に記録し、より後に発生した描画イベントの情報が残されるようにする。これによって、通信に起因する遅延によって、描画イベントの発生の順番と、ゲーム進行部121で描画イベントに従って仮想空間に描画する処理の順番とが前後してしまっても、最終的な描画状態は、どのユーザの情報処理システム100においても一致することになる。
【0055】
図10は、時刻情報を用いて仮想空間に対応色を描画する例を説明する図である。
図10は、領域A101をオレンジ色で塗る描画イベントが、領域A101と一部重複する領域A102を青色で塗る描画イベントより先に生じた場合を示している。
図10(a)及び(b)では、左側に描画される仮想空間を示し、右側にデプスバッファ124に記憶されるデプス値を示している。この例では、ゲーム進行部121は、まず
図10(a)に示すように領域A101をオレンジ色で塗る描画イベントを処理し、その後に
図10(b)に示すように領域A102を青色で塗る描画イベントを処理するものとし、領域A101を塗る描画イベントの描画イベントデータは「位置:(2,5)、半径:5m、色:オレンジ、時刻:90」であり、領域A102を塗る描画イベントの描画イベントデータは「位置:(8,5)、半径:5m、色:ブルー、時刻:100」である。
【0056】
図10(a)に示すように、ゲーム進行部121は、領域A101にオレンジ色を描画し、デプスバッファ124には、領域A101に対応する位置に時刻90に対応するデプス値90を記憶する。次に、ゲーム進行部121は、
図10(b)に示すように、領域A102に青色を描画し、デプスバッファ124には、領域A102に対応する位置に時刻100に対応するデプス値100を記憶する。このとき、領域A101と領域102とが重複する領域については、デプス値100である青色の方がデプス値90であるオレンジ色よりも上になるように、即ち最終的に描画するのがデプス値の大きい(描画イベントの発生時刻がより後の)ものとなるように、青色を描画する。
【0057】
図11は、時刻情報を用いて仮想空間に対応色を描画する別の例を説明する図である。
図11も、
図10の例と同様に、領域A101をオレンジ色で塗る描画イベントが、領域A101と一部重複する領域A102を青色で塗る描画イベントより先に生じた場合を示している。但し、この例では、ゲーム進行部121は、まず
図11(a)に示すように領域A102を青色で塗る描画イベントを処理し、その後に
図11(b)に示すように領域A101をオレンジ色で塗る描画イベントを処理している。各描画イベントデータの内容は
図10の例と同じである。
【0058】
図11(a)に示すように、ゲーム進行部121は、領域A102に青色を描画し、デプスバッファ124には、領域A102に対応する位置に時刻90に対応するデプス値90を記憶する。次に、ゲーム進行部121は、領域A101にオレンジ色を描画し、デプスバッファ124には、領域A101に対応する位置に時刻100に対応するデプス値100を記憶する。このとき、仮に時刻を考慮しないのであれば、描画の順に上塗りがされて、領域A101と領域102とが重複する領域は、後に描画処理がされたオレンジ色で描画されることになる。しかしながら、本実施の形態のゲーム進行部121は、領域101と領域102との重複領域については、デプス値100である青色の方がデプス値90であるオレンジ色よりも上になるように、即ち最終的に描画するのがデプス値の大きい(描画イベントの発生時刻がより後の)ものとなるように、青色を描画する。
【0059】
なお、実際のゲームにおいては、発生時刻の値に、当該描画イベントを発生させたキャラクタごとに異なるオフセット値を加えた数値がデプス値として利用される。例えば、デプス値が時刻から整数の単位で与えられる場合には、各キャラクタに、0.1、0.2、0.3・・・・のように、時刻に基づくデプス値の最小単位のよりも小さく、かつキャラクタごとに異なるオフセット値が各キャラクタに付与される。換言すれば、複数のキャラクタによる描画イベントが同時刻に生じた場合に、いずれのキャラクタによる描画イベントを先にするかが、あらかじめ決められている。これによって、複数のキャラクタにおいて、描画すべき領域が少なくとも一部で重複する複数の描画イベントデータが同時に発生した場合にも、デプス値は同一にならず、最終結果が一意に定まることが保証される。
【0060】
対戦判定部122は、ゲームが終了した時点での自色の描画状態と敵色の描画状態とを比較して対戦判定を行う。具体的には、対戦判定部122は、自色で塗られた地面の範囲と敵色で塗られた地面の範囲とを比較して、自色で塗られた地面の範囲がより広い場合は自チームの勝利と判定し、敵色で塗られた地面の範囲がより広い場合は敵チームの勝利と判定する。即ち、対戦判定部122は、色を塗った範囲の広狭によって勝敗を判定する。チームが複数ある場合には、最も広い範囲をそのチームの対応色で塗ったチームが勝利と判定される。なお、ゲームは開始から所定時間が経過した時点で終了となる。
【0061】
具体的には、上述のように、ゲーム進行部121による描画は、描画データとしてステンシルバッファ123にピクセルごとに記憶されたチームを表す符号によって行われるので、対戦判定部122は、ゲームの終了時点でのこのピクセル数をカウントすることで、各チームの対応色の面積を取得し、これらを比較する。
【0062】
以上のように、本実施の形態の情報処理システムによれば、仮想空間内で自キャラクタを制御することで自キャラクタの対応色で仮想空間を描画し、その描画状態と敵キャラクタの対応色の描画状態とに基づいて対戦判定がされるという新規のゲームが提供される。
【0063】
なお、上記の実施の形態では、キャラクタがインクを塗る面を仮想空間の「地面」のみとしたが、本発明の実施の形態はこれに限られない。キャラクタがインクを塗る面は、仮想空間内の、キャラクタが移動する通路の壁面、天井等であってもよく、また、任意の物体でよい。
【0064】
また、上記の実施の形態では、複数のユーザが通信によってゲームを行う場合に描画状態を共有するために、データ量が比較的大きい描画データではなく、データ量が比較的小さい描画イベントデータを送受信するとともに、複数のユーザ間での描画状態の不一致が生じないように、描画イベントデータに描画イベントの発生時刻の情報を含めたが、描画イベントデータではなく、描画イベントの発生時刻の情報とともに描画データを送受信してもよい。この場合にも、送受信されるデータのデータ量は大きくなるものの、上記で説明した複数のユーザ間での描画状態の不一致は回避できる。
【符号の説明】
【0065】
100 情報処理システム
11 コントローラ(操作入力部)
12 情報処理部(情報処理手段)
121 ゲーム進行部(ゲーム進行手段)
122 対戦判定部(対戦判定手段)
123 ステンシルバッファ
124 デプスバッファ
13 送受信部(通信手段)
14 表示部(出力手段)