(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御回路は、前記選択されていないメモリセルが前記より低いレベルで駆動される間に前記ソフト消去を行い、且つ前記ソフト消去の開始後に指定の時間にわたり前記選択されていないメモリセルの電圧をフロートさせるように構成される、請求項1に記載の機器。
前記メモリセルは、ワード線のセット(WLL0〜WLL10)に接続され、且つ直列接続されたメモリセルのセット(700n〜703n、710n〜713n、720n〜723n、730n〜733n)内に配置され、
直列接続されたメモリセルの各セットは、チャネル(665)、ソース端(613)、及び前記ソース端における選択ゲートトランジスタを含み、
前記ソース端は、基板(611)のpウェル(611b)に接触し、及び
前記ソフト消去を行うために、前記制御回路は、前記pウェル及び前記直列接続されたメモリセルのセットの前記ソース端における前記選択ゲートトランジスタにバイアスをかけて、前記pウェルから前記チャネル内にホールを通過させるように構成される、請求項1又は2に記載の機器。
前記メモリセルは、ワード線のセット(WLL0〜WLL10)に接続され、且つ直列接続されたメモリセルのセット(700n〜703n、710n〜713n、720n〜723n、730n〜733n)内に配置され、
直列接続されたメモリセルの各セットは、チャネル(665)、ソース端(613)、及び前記ソース端における選択ゲートトランジスタを含み、
前記ソース端は、基板(611)のpウェル(611b)に接触し、及び
前記ソフト消去を行うために、前記制御回路は、ゲートからドレインへの負電圧で前記選択ゲートトランジスタにバイアスをかけるように構成される、請求項1又は2に記載の機器。
前記メモリセルは、ワード線のセットに接続され、且つ直列接続されたメモリセルのセット(700n〜703n、710n〜713n、720n〜723n、730n〜733n)内に配置され、
直列接続されたメモリセルの各セットは、チャネル(665)、ソース端(613)、及び選択ゲートトランジスタを含み、及び
前記ソフト消去を行うために、前記制御回路は、前記直列接続されたメモリセルのセットの前記選択ゲートトランジスタにバイアスをかけて、ゲート誘導ドレインリークによって前記チャネル内にホールを生成するように構成される、請求項1又は2に記載の機器。
前記動作は、読出動作であって、前記センシングが前記選択されたメモリセルのデータ状態を読み出すことを備える読出動作を含む、又はプログラム動作であって、前記センシングが前記選択されたメモリセルの検証テストを備えるプログラム動作を含む、請求項1〜9の何れか一項に記載の機器。
接続されたメモリセルのセット(700n〜703n、710n〜713n、720n〜723n、730n〜733n)の選択されていないメモリセルにパス電圧を印加しながら、前記接続されたメモリセルのセット内の選択されたメモリセルにセンス電圧を印加するステップと、
前記センス電圧が印加されている間、前記選択されたメモリセルをセンスするステップと、
前記センスするステップ後、前記選択されていないメモリセルの制御ゲート電圧を前記パス電圧からより低いレベルに駆動し、前記接続されたメモリセルのセットのチャネルの電圧のダウンカップリングを引き起こすステップと、
前記より低いレベルで前記制御ゲート電圧を駆動しながら、前記チャネルの前記電圧を消滅させるために前記チャネル内にホール電流を生成するステップと、
前記ホール電流を生成した後、前記選択されていないメモリセルの前記制御ゲート電圧をフロートさせるステップと
を含む方法。
前記ホール電流を生成する前記ステップは、前記接続されたメモリセルのセットの選択ゲートトランジスタにバイアスをかけて、ゲート誘導ドレインリークを引き起こすステップを含む、請求項13に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
メモリ装置内の読出動作の精度を改善するための技法が提供される。対応するメモリ装置も提供される。
【0008】
一部のメモリ装置では、ブロック又はサブブロック内のNANDストリングにおいて見られるようにメモリセルが互いに結合される。各NANDストリングは、ビット線に接続されるNANDストリングのドレイン側にある1つ又は複数のドレイン側SGトランジスタ(SGDトランジスタ)と、ソース線に接続されるNANDストリングのソース側にある1つ又は複数のソース側SGトランジスタ(SGSトランジスタ)との間で直列接続される幾つかのメモリセルを含む。更に、制御ゲートの役割を果たす共通制御ゲート線(例えば、ワード線)と共にメモリセルを配置することができる。ブロックのソース側からブロックのドレイン側にワード線のセットが延びる。メモリセルは、他の種類のストリング内で且つ他の方法で接続することができる。
【0009】
メモリセルは、ユーザデータを記憶することができるデータメモリセルと、ユーザデータを記憶することができないダミーメモリセル又は非データメモリセルとを含み得る。ダミーメモリセルにはダミーワード線が接続される。チャネル勾配の段階的遷移をもたらすために、メモリセルのストリングのドレイン端及び/又はソース端に1つ又は複数のダミーメモリセルを設けることができる。
【0010】
プログラミング動作中、メモリセルはワード線のプログラミング順序に従ってプログラムされる。例えば、プログラミングは、ブロックのソース側にあるワード線から開始し、ブロックのドレイン側にあるワード線に進み得る。1つの手法では、各ワード線を完全にプログラムしてから次のワード線に進む。例えば、第1のワード線WL0が、プログラミングが完了するまで1つ又は複数のプログラミングパスを使用してプログラムされる。次に、第2のワード線WL1が、プログラミングが完了するまで1つ又は複数のプログラミングパスを使用してプログラムされ、その後も同様に続く。プログラミングパスは、増加するプログラム電圧のセットを含み得る。プログラム電圧は、
図9に示すようなそれぞれのプログラムループ又はプログラム−検証の反復内でワード線に印加される。メモリセルのプログラミングが完了したかどうかを判定するために各プログラム電圧後に検証動作を行うことができる。メモリセルに対するプログラミングが完了すると、その後のプログラムループ内で他のメモリセルに対するプログラミングが続行する間、そのメモリセルは更なるプログラミングから保護することができる。
【0011】
メモリセルは、サブブロックのプログラミング順序に従ってプログラムされうる。そこでは、1つのサブブロック又はブロックの一部分内のメモリセルがプログラムされてから別のサブブロック内のメモリセルがプログラムされる。
【0012】
各メモリセルは、プログラムコマンド内の書込データによるデータ状態に関連し得る。自らのデータ状態に基づき、メモリセルは消去状態のまま留まるか、又はプログラム済みデータ状態にプログラムされる。例えば、1ビット/セルのメモリ装置では、消去状態とプログラム済み状態とを含む2個のデータ状態がある。2ビット/セルのメモリ装置では、消去状態とA、B、及びCデータ状態と呼ばれる3個のより高位のデータ状態とを含む4個のデータ状態がある。3ビット/セルのメモリ装置では、消去状態とA、B、C、D、E、F、及びGデータ状態と呼ばれる7個のより高位のデータ状態とを含む8個のデータ状態がある(
図8A参照)。4ビット/セルのメモリ装置では、消去状態と15個のより高位のデータ状態とを含む16個のデータ状態がある。それらのデータ状態はS0、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、S11、S12、S13、S14、及びS15データ状態と呼ばれ、S0は消去状態である。
【0013】
メモリセルをプログラムした後、読出動作内でデータを再び読み出すことができる。読出動作は、ワード線に接続されるセルが導電状態にあるか非導電状態にあるかをセンス回路が判定する間、一連の読出電圧をワード線に印加することを含み得る。セルが非導電状態にある場合、メモリセルのVthが読出電圧を上回る。読出電圧は、隣接するデータ状態の閾値電圧レベル間にあることが予期されるレベルに設定される。
【0014】
しかし、メモリセルのVthは読出動作が行われる時点に応じて変わり得ることが認められている。例えば、Vthは、読出動作を行うときのワード線のカップリングアップ状態に応じてメモリセル内で変わり得る。ワード線がカップリングアップされていない「第1の読出」条件を定めることができ、ワード線がカップリングアップされている「第2の読出」条件を定めることができる。
【0015】
メモリ装置内の起動イベントの後、メモリセルは第1の読出条件にあり得る。使用するためにメモリ装置に電源投入するとき、不良ブロックを検査する動作が行われ得る。この動作は、ワード線に0V又は他の低電圧を印加することを含む。その結果、ワード線電圧のいかなるカップリングアップも放電される。
【0016】
ワード線は、ワード線電圧が低レベルに設定される場合にもブロック内で放電され得る。これは、別のブロック内で動作が行われる間、そのブロックが非活性状態にあるときに生じ得る。ワード線は次第に放電するため、セルは最後のセンス動作からかなりの時間が経過した後に第1の読出条件にあることもできる。ワード線のカップリングアップは、不注意なプログラミング又は消去によるセル内のVthシフトを引き起こす。第1の読出条件にある間、ワード線は著しくカップリングアップされないため、このVthは生じない。
【0017】
最後のセンス動作の直後、例えば、数秒又は数分後に読み出しが行われるとき、セルは第2の読出条件にあり得る。第2の読出条件にある間、ワード線が相対的に強くカップリングアップされているため、ワード線電圧によるセルのプログラミング又は消去及び対応するVthのシフトがある。具体的には、カップリングアップ電圧を有するワード線は、カップリングアップ電圧を下回る相対的に低いVthを有するセル、例えば、下位のプログラム済みデータ状態にあるセルの弱いプログラミングを引き起こすことができ、従ってそれらのセルに関するVthのアップシフトをもたらす。更に、カップリングアップ電圧を上回る相対的に高いVthを有するセル、例えば、より高いプログラム済みデータ状態にあるセルの弱い消去がある可能性もあり、従ってそれらのセルに関するVthのダウンシフトをもたらす。
【0018】
ワード線を放電すると、セルは第2の読出条件から第1の読出条件に次第に、例えば、1時間かけて徐々に遷移する。
【0019】
ワード線電圧のカップリングアップは、プログラミング動作に関連して行われる検証動作等のセンス動作又はプログラミング動作の完了後に行われる読出動作の電圧によって引き起こされる。セルのセンシングは、選択されたワード線にセンス電圧(例えば、読出/検証電圧)を印加することを含む。同時に、読出パス電圧を選択されていないワード線に印加し、後にステップダウンする。このステップダウンは、容量結合によりチャネル電圧を一時的に減らす。チャネル電圧がその基準レベルまで再び上昇すると、かかる上昇は、やはり容量結合によるワード線電圧の上昇又はカップリングアップを引き起こす。下位データ状態にあるセルでは、セルの電荷捕獲材料内に捕獲される電子が放出されてチャネルに戻るときにVthが徐々に低下する。高位データ状態にあるセルでは、電子がチャネルから除去されるときにVthが徐々に上昇する。
図8Aを参照されたい。
【0020】
読出動作を行うとき、セルが第1の読出条件にあるか第2の読出条件にあるか、又は場合によりその2つの条件間の何れにあるかは分からない。1つの手法は、起動イベント又は前回のセンス動作からの経過時間を追跡することである。しかし、環境要因及びプロセス変動等の他の要因が関連し得るため、この経過時間は、ワード線がカップリングアップされているかどうか、又はカップリングアップの程度を正確に示さない場合がある。更に、各ブロックを別々に追跡する必要がある。
【0021】
本明細書で提供する技術は上記の及び他の問題に対処する。
【0022】
図1Cは、本明細書で開示する様々な特徴を示す。第1の特徴は、ワード線のカップリングアップ状態を検出し、且つそれに応じて読出電圧を設定することを含む(ブロック10)。第2の特徴は、読出動作の直前に読出前電圧パルスを印加することを含む(ブロック11)。第3の特徴は、ブロック内の全てのワード線に電圧パルスを周期的に印加することを含む(ブロック12)。この印加は、読出コマンドと独立に行うことができ、メモリセルの閾値電圧を第2の読出条件にリフレッシュすることを含む。第4の特徴は、読出動作又はプログラミング動作の直後にソフト消去を行うことを含む(ブロック13)。
【0023】
他の様々な特徴及び利益について以下で説明する。
【0024】
図1Aは、メモリ装置の一例のブロック図である。不揮発性記憶システム等のメモリ装置100は1個又は複数個のメモリダイ108を含み得る。メモリダイ108は、メモリセルアレイ等、メモリセルのメモリ構造126、制御回路110、及び読出/書込回路128を含む。メモリ構造126は、行デコーダ124によりワード線によって、及び列デコーダ132によりビット線によってアドレス指定可能である。読出/書込回路128は複数のセンスブロック51、52、...、53(センス回路)を含み、メモリセルのページを並列に読み出し又はプログラムすることを可能にする。典型的には、コントローラ122が1個又は複数個のメモリダイ108と同じメモリ装置100(例えば、リムーバブル記憶カード)内に含まれる。コントローラは、メモリダイから分離されていてもよい。コマンド及びデータがホスト140とコントローラ122との間でデータバス120を介して転送され、コントローラと1個又は複数個のメモリダイ108との間でライン118を介して転送される。
【0025】
メモリ構造は2D又は3Dとすることができる。メモリ構造は、3Dアレイを含む1つ又は複数のメモリセルアレイを含み得る。メモリ構造は、ウェーハ等の単一の基板(内にではなく)上に複数のメモリ平面が介在基板なしに形成されるモノリシック3Dメモリ構造を含み得る。メモリ構造は、シリコン基板上にアクティブ領域が配置されたメモリセルアレイの1つ又は複数の物理レベル内にモノリシックに形成される任意の種類の不揮発性メモリを含み得る。メモリ構造は、その関連する回路が基板上にあろうと基板内にあろうと、メモリセルの動作に関連する回路を有する不揮発性メモリ装置内にあり得る。
【0026】
制御回路110は、読出/書込回路128と連携してメモリ構造126上でのメモリ操作を行い、ステートマシン112、オンチップアドレスデコーダ114、及び電力制御モジュール116を含む。ステートマシン112は、メモリ操作のチップレベル制御を行う。ステートマシンは、以下で更に論じるように最後のセンス動作からの経過時間を求めるためのクロック112aを含み得る。以下で更に説明するように、例えば、読出電圧のセットのために記憶領域113を設けることができる。概して、記憶領域は動作上のパラメータ及びソフトウェア/コードを記憶し得る。例えば、
図13E及び
図16Aに関して以下で説明するように、ワード線に電圧パルスを周期的に印加する時点を決定するためにタイマ113aを使用することができる。温度センサ115も設けることができる。
図1Dを参照されたい。
【0027】
一実施形態では、ステートマシンがソフトウェアによってプログラム可能である。他の実施形態では、ステートマシンがソフトウェアを使用せず、完全にハードウェア(例えば、電気回路)によって実装される。
【0028】
オンチップアドレスデコーダ114は、デコーダ124及び132によって使用されるハードウェアアドレスに対する、ホスト又はメモリコントローラによって使用されるアドレスとの間のアドレスインタフェースを提供する。電力制御モジュール116は、メモリ操作中にワード線、選択ゲート線、及びビット線に供給される電力及び電圧を制御する。電力制御モジュール116は、ワード線、SGSトランジスタ及びSGDトランジスタ、並びにソース線のためのドライバを含み得る。
図24を参照されたい。1つの手法では、センスブロックがビット線ドライバを含み得る。SGSトランジスタはNANDストリングのソース端にある選択ゲートトランジスタであり、SGDトランジスタはNANDストリングのドレイン端にある選択ゲートトランジスタである。
【0029】
一部の実装形態では、要素の一部を組み合わせることができる。様々な設計において、メモリ構造126以外の要素の1つ又は複数を(単独で又は組合せで)、本明細書に記載のプロセスのステップを含む本明細書に記載の技術を実行するように構成される少なくとも1つの制御回路と考えることができる。例えば、制御回路は、制御回路110、ステートマシン112、デコーダ114及び132、電力制御モジュール116、センスブロック51、52、...、53、読出/書込回路128、コントローラ122等の何れか1つ又は組合せを含み得る。
【0030】
オフチップコントローラ122(一実施形態では電気回路である)は、プロセッサ122c、ROM122a及びRAM122b等の記憶装置(メモリ)、並びにエラー訂正符号(ECC)エンジン245を含み得る。ECCエンジンは、幾つかの読出エラーを訂正することができる。
【0031】
メモリインタフェース122dを設けることもできる。ROM、RAM、及びプロセッサと通信するメモリインタフェースは、コントローラとメモリダイとの間の電気的インタフェースを提供する電気回路である。例えば、メモリインタフェースは、信号の形式又はタイミングを変え、バッファを提供し、サージを隔離し、I/Oをラッチすること等ができる。プロセッサは、メモリインタフェース122dを介して制御回路110(又はメモリダイの他の任意の要素)にコマンドを発行することができる。
【0032】
記憶装置は命令のセット等のコードを含み、プロセッサは、本明細書に記載の機能を提供するために命令のセットを実行するように動作することができる。或いは又は加えて、1つ又は複数のワード線内のメモリセルの確保された領域等、プロセッサはメモリ構造の記憶装置126aのコードにアクセスすることができる。
【0033】
例えば、コードは、プログラミング動作、読出動作、消去動作等のためにメモリ構造にアクセスするためにコントローラによって使用され得る。コードは、起動コード及び制御コード(例えば、命令のセット)を含み得る。起動コードは起動プロセス又は始動プロセス中にコントローラを初期化し、コントローラがメモリ構造にアクセスすることを可能にするソフトウェアである。コードは、1つ又は複数のメモリ構造を制御するためにコントローラによって使用され得る。電源投入されると、プロセッサ122cが起動コードを実行のためにROM122a又は記憶装置126aから取り出し、起動コードがシステム要素を初期化し、制御コードをRAM122b内にロードする。制御コードがRAM内にロードされると、その制御コードはプロセッサによって実行される。制御コードは、メモリの制御及び割り当て、命令の処理の優先順位付け、入力ポート及び出力ポートの制御等の基本タスクを行うためのドライバを含む。
【0034】
概して、制御コードは、以下で更に論じるフローチャートのステップを含む本明細書に記載の機能を実行し、以下で更に論じるものを含む電圧波形を与えるための命令を含み得る。制御回路は、本明細書に記載の機能を実行するために命令を実行するように構成され得る。
【0035】
一実施形態では、ホストが、1個又は複数個のプロセッサと、本明細書に記載の方法を実行するように1個又は複数個のプロセッサをプログラムするためのプロセッサ可読コード(例えば、ソフトウェア)を記憶する1つ又は複数のプロセッサ可読記憶装置(RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、固体メモリ)とを含む計算装置(例えば、ラップトップ、デスクトップ、スマートフォン、タブレット、デジタルカメラ)である。ホストは、1個又は複数個のプロセッサと通信する追加のシステムメモリ、1つ若しくは複数の入力/出力インタフェース、及び/又は1つ若しくは複数の入力/出力装置も含み得る。
【0036】
NANDフラッシュメモリに加えて他の種類の不揮発性メモリも使用することができる。
【0037】
半導体メモリ装置は、動的ランダムアクセスメモリ(「DRAM」)装置又は静的ランダムアクセスメモリ(「SRAM」)装置等の揮発性メモリ装置、抵抗ランダムアクセスメモリ(「ReRAM」)、電気的消去プログラム可能読取専用メモリ(「EEPROM」)、フラッシュメモリ(EEPROMの部分集合と考えることもできる)、強誘電体ランダムアクセスメモリ(「FRAM(登録商標)」)、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(「MRAM」)等の不揮発性メモリ装置、並びに情報を記憶することができる他の半導体素子を含む。メモリ装置のそれぞれの種類は異なる構成を有し得る。例えば、フラッシュメモリ装置はNAND構成又はNOR構成によって構成することができる。
【0038】
メモリ装置は、受動素子及び/又は能動素子から任意の組合せで形成することができる。非限定的な例として、受動半導体メモリ素子がReRAM装置素子を含み、ReRAM装置素子は、一部の実施形態では、アンチヒューズ材料又は相変化材料等の抵抗率切替記憶素子と、任意選択的にダイオード又はトランジスタ等のステアリング素子とを含む。更に、非限定的な例として、能動半導体メモリ素子は、一部の実施形態ではフローティングゲート、導電性ナノ粒子、電荷蓄積誘電材料等の電荷蓄積領域を含む素子を含むEEPROM及びフラッシュメモリ装置素子を含む。
【0039】
複数のメモリ素子が直列接続されるように、又は各素子が個々にアクセス可能であるように複数のメモリ素子を構成することができる。非限定的な例として、NAND構成のフラッシュメモリ装置(NANDメモリ)は、典型的には、直列接続されるメモリ素子を含む。NANDストリングは、メモリセル及びSGトランジスタを含む直列接続トランジスタのセットの一例である。
【0040】
NANDメモリアレイは、アレイが複数のメモリストリングで構成されるように構成することができ、ストリングは単一のビット線を共用しグループとしてアクセスされる複数のメモリ素子で構成される。或いは、メモリ素子は、各素子が個々にアクセス可能であるように構成することができる(例えば、NORメモリアレイ)。NANDメモリ構成及びNORメモリ構成は例であり、メモリ素子は他の方法で構成されてもよい。
【0041】
2Dメモリ構造又は3Dメモリ構造等、基板内に及び/又は基板上に位置する半導体メモリ素子は二次元又は三次元で構成することができる。
【0042】
2Dメモリ構造では、半導体メモリ素子が単一の面内に又は単一のメモリ装置平面内に配置される。典型的には、2Dメモリ構造では、メモリ素子が、メモリ素子を支持する基板の主要面にほぼ平行に広がる面内に(例えば、x−y方向の面内に)配置される。基板は、メモリ素子の層がその上に又はその中に形成されるウェーハとすることができ、又はメモリ素子の形成後にメモリ素子に取り付けられるキャリア基板とすることができる。非限定的な例として、基板はシリコン等の半導体を含み得る。
【0043】
メモリ素子は、複数の行及び/又は列において等、規則的なアレイで単一のメモリ装置平面内に配置することができる。但し、メモリ素子は不規則又は非直交の構成で配列してもよい。メモリ素子は、ビット線及びワード線等、2つ以上の電極又は接触線をそれぞれ有し得る。
【0044】
3Dメモリアレイは、メモリ素子が複数の面又は複数のメモリ装置平面を占有し、それにより三次元の(即ちx、y、及びz方向の(z方向はほぼ鉛直であり、x方向及びy方向は基板の主要面に対してほぼ平行である))構造を形成するように構成される。
【0045】
非限定的な例として、3Dメモリ構造は複数の2Dメモリ装置平面のスタックとして垂直に構成することができる。別の非限定的な例として、3Dメモリアレイは、複数の垂直列(例えば、基板の主要面に対してほぼ鉛直に、即ちy方向に延びる列)として、各列が複数のメモリ素子を有する状態で構成することができる。列は2D構成で、例えば、x−y面内に配置することができ、垂直にスタックされる複数のメモリ面上に素子を有するメモリ素子の3D構成をもたらす。三次元のメモリ素子の他の構成も3Dメモリアレイを構成し得る。
【0046】
非限定的な例として、3D NANDメモリアレイでは、単一の水平(例えば、x−y)メモリ装置平面内にNANDストリングを形成するためにメモリ素子を互いに結合することができる。或いは、複数の水平メモリ装置平面を横断する垂直NANDストリングを形成するためにメモリ素子を互いに結合することができる。他の3D構成も考えることができ、一部のNANDストリングは単一のメモリ平面内のメモリ素子を含むのに対し、他のストリングは複数のメモリ平面に及ぶメモリ素子を含む。3Dメモリアレイは、NOR構成及びReRAM構成でも設計することができる。
【0047】
典型的には、モノリシック3Dメモリアレイでは、単一の基板上に1つ又は複数のメモリ装置平面が形成される。任意選択的に、モノリシック3Dメモリアレイは、1つ又は複数のメモリ層を少なくとも部分的に単一の基板内に有する場合もある。非限定的な例として、基板はシリコン等の半導体を含み得る。モノリシック3Dアレイでは、アレイの各メモリ装置平面を構成する層が、アレイの基礎となるメモリ装置平面の層上に概して形成される。但し、モノリシック3Dメモリアレイの隣接するメモリ装置平面の層は共用することができ、又はメモリ装置平面間の介在層を有し得る。
【0048】
複数のメモリ層を有する非モノリシックメモリ装置を形成するために、2Dアレイを別々に形成し、後に一緒にパッケージ化することができる。例えば、別々の基板上にメモリ平面を形成し、次いでそれらのメモリ平面を互いの上にスタックすることによって非モノリシックスタックメモリを構築することができる。基板はスタック前に薄くするか又はメモリ装置平面から除去することができるが、メモリ装置平面は最初に別々の基板上に形成されるため、結果として生じるメモリアレイはモノリシック3Dメモリアレイではない。更に、複数の2Dメモリアレイ又は3Dメモリアレイ(モノリシック又は非モノリシック)を別々のチップ上に形成し、後に一緒にパッケージ化してスタックチップメモリ装置を形成することができる。
【0049】
メモリ素子を動作させ、メモリ素子と通信するために関連する回路が概して必要とされる。非限定的な例として、メモリ装置はメモリ素子を制御し駆動してプログラミング及び読出等の機能を果たすために使用される回路を有し得る。この関連する回路は、メモリ素子と同じ基板上に及び/又は別個の基板上にあり得る。例えば、メモリの読書き動作のためのコントローラが、別個のコントローラチップ上に及び/又はメモリ素子と同じ基板上に位置し得る。
【0050】
本技術は、記載した2D及び3Dの例示的構造に限定されず、本明細書に記載し当業者によって理解される技術の趣旨及び範囲に含まれる全ての関連するメモリ構造を対象として含むことを当業者であれば理解するであろう。
【0051】
図1Bは、メモリセル200の一例を示す。このメモリセルは、ワード線電圧Vwlを受信する制御ゲートCG、電圧Vdにあるドレイン、電圧Vsにあるソース、及び電圧Vchにあるチャネルを含む。
【0052】
図1Dは、
図1Aの温度センス回路115の一例を示す。この回路は、pMOSFET131a、131b、及び134、バイポーラトランジスタ133a及び133b、並びに抵抗R1、R2、及びR3を含む。I1、I2、及びI3は電流を表す。Voutputは、アナログ−デジタル(ADC)変換器129に与えられる温度に基づく出力電圧である。Vbgは温度に依存しない電圧である。電圧レベル生成回路135は、幾つかの電圧レベルを設定するためにVbgを使用する。例えば、基準電圧が抵抗分圧回路によって幾つかのレベルに分圧され得る。
【0053】
ADCはVoutputを電圧レベルと比較し、電圧レベルの中の最も近い一致を選択し、対応するデジタル値(VTemp)をプロセッサに出力する。これはメモリ装置の温度を示すデータである。1つの手法では、ROMヒューズ123が一致する電圧レベルを温度に相関させるデータを記憶する。次いで、プロセッサは、その温度を使用してメモリ装置内の温度に基づくパラメータを設定する。
【0054】
Vbgは、トランジスタ131bの両端間のベースエミッタ電圧(Vbe)と抵抗R2の両端間の電圧降下とを加えることによって得られる。バイポーラトランジスタ133aは、トランジスタ133bよりも広い(N倍の)面積を有する。PMOSトランジスタ131a及び131bの大きさは等しく、電流I1及びI2がほぼ等しいように電流ミラー構成で配置される。Vbg=Vbe+R2xI2、及びI1=Ve/R1が成立し、従ってI2=Ve/R1となる。その結果、Vbg=Vbe+R2xkT 1n(N)/R1xqが成立し、ここで、Tは温度であり、kはボルツマン定数であり、qは電荷の単位である。トランジスタ134のソースは供給電圧Vddに接続され、トランジスタのドレインと抵抗R3との間のノードは出力電圧Voutputである。トランジスタ134のゲートは、トランジスタ131a及び131bのゲートと同じ端子に接続され、トランジスタ134を通る電流はトランジスタ131a及び131bを流れる電流をミラーリングする。
【0055】
図2は、コントローラ122の更なる詳細を示す、メモリ装置100の一例のブロック図である。本明細書で使用するとき、フラッシュメモリコントローラはフラッシュメモリ上に記憶されるデータを管理し、コンピュータ又は電子装置等のホストと通信する装置である。フラッシュメモリコントローラは、本明細書に記載の特定の機能に加えて様々な機能を有し得る。例えば、フラッシュメモリコントローラは、フラッシュメモリをフォーマットしてメモリが適切に動作していることを確実にし、不良のフラッシュメモリセルを打ち出し、将来の故障セルと置換される予備メモリセルを割り当てることができる。予備セルの一部は、フラッシュメモリコントローラを動作させ、他の機能を実装するためのファームウェアを保持するために使用することができる。動作面では、ホストがフラッシュメモリとの間でデータを読み書きする必要があるとき、ホストはフラッシュメモリコントローラと通信する。データを読み書きすべき論理アドレスをホストが提供する場合、フラッシュメモリコントローラはホストから受信される論理アドレスをフラッシュメモリ内の物理アドレスに変換することができる。(或いは、ホストが物理アドレスを提供してもよい)。フラッシュメモリコントローラは、これだけに限定されないが、ウェアレベリング(さもなければ繰り返し書き込まれる特定のメモリブロックの消耗を回避するために書込みを分散させること)及びガーベッジコレクション(ブロックが満杯となった後、全ブロックを消去し再利用することができるように有効なデータページのみを新たなブロックに移すこと)等の様々なメモリ管理機能も行うことができる。
【0056】
コントローラ122と不揮発性メモリダイ108との間のインタフェースは、任意の適切なフラッシュインタフェースとすることができる。一実施形態では、メモリ装置100がセキュアデジタル(SD)カード又はマイクロセキュアデジタル(マイクロSD)カード等のカードによるシステムであり得る。代替的実施形態では、メモリシステムが埋込みメモリシステムの一部であり得る。例えば、パーソナルコンピュータ内に設置される固体ディスク(SSD)ドライブ等の形態でフラッシュメモリをホスト内に埋め込むことができる。
【0057】
一部の実施形態では、メモリ装置100がコントローラ122と不揮発性メモリダイ108との間に単一のチャネルを含み、本明細書に記載の内容は単一のメモリチャネルを有することに限定されない。
【0058】
コントローラ122は、ホストとインタフェースするフロントエンドモジュール208、1つ又は複数の不揮発性メモリダイ108とインタフェースするバックエンドモジュール210、及び次に詳細に説明する機能を実行する他の様々なモジュールを含む。
【0059】
コントローラの要素は、他の要素と共に使用するように設計されるパッケージ化された機能ハードウェアユニット(例えば、電気回路)、プロセッサ、例えば、マイクロプロセッサ若しくは関連機能の特定の機能を通常実行する処理回路によって実行可能なプログラムコード(例えば、ソフトウェア又はファームウェア)の一部、又は例えば、より大きいシステムとインタフェースする自己完結型のハードウェア若しくはソフトウェア要素の形態を取り得る。例えば、各モジュールは、特定用途向け集積回路(ASIC)、書替え可能ゲートアレイ(FPGA)、回路、デジタル論理回路、アナログ回路、ディスクリート回路の組合せ、ゲート、他の任意の種類のハードウェア、又はそれらの組合せを含み得る。或いは又は加えて、各モジュールは、本明細書に記載の機能をコントローラが実行するためにプロセッサをプログラムするための、プロセッサ可読装置(例えば、メモリ)内に記憶されるソフトウェアを含み得る。
図2に示す構造は、
図1Aに示したコントローラ122の要素(例えば、RAM、ROM、プロセッサ、インタフェース)を使用することができる(又は使用しなくてもよい)実装形態の一例である。
【0060】
コントローラ122は、メモリセル又はメモリブロックを再調整するために使用されるリコンディション回路212を含み得る。再調整することは、以下で説明するように不安定なワード線の保守を行う一環としてデータをその現在位置においてリフレッシュすること、又はデータを新たなワード線若しくはブロック内に再プログラムすることを含み得る。
【0061】
コントローラ122のモジュールを再び参照し、バッファマネージャ/バスコントローラ214が、ランダムアクセスメモリ(RAM)216内のバッファを管理し、コントローラ122の内部バスの調停を制御する。RAMは、DRAM及び/又はSRAMを含み得る。DRAM即ち動的ランダムアクセスメモリは、メモリが電荷形式で記憶される一種の半導体メモリである。DRAM内の各メモリセルは、トランジスタ及びコンデンサで作られる。データはコンデンサ内に記憶される。コンデンサはリークによって電荷を失い、従ってDRAMは揮発性装置である。データをメモリ内に保つために、装置を定期的にリフレッシュする必要がある。対照的に、SRAM即ち静的ランダムアクセスメモリは給電されている限り値を保持する。
【0062】
読取専用メモリ(ROM)218はシステム起動コードを記憶する。
図2ではコントローラから離れて位置しているものとして図示するが、他の実施形態では、RAM216及びROM218の一方又は両方がコントローラ内に位置し得る。更に、他の実施形態では、RAM及びROMの一部がコントローラ122内及びコントローラ外の両方に位置し得る。更に、一部の実装形態では、コントローラ122、RAM216、及びROM218が別個の半導体ダイ上に位置し得る。
【0063】
フロントエンドモジュール208は、ホスト又は次のレベルの記憶域コントローラとの電気的インタフェースを提供するホストインタフェース220及び物理層インタフェース(PHY)222を含む。ホストインタフェース220の種類の選択は、使用されているメモリの種類によって決まり得る。ホストインタフェース220の例は、これだけに限定されないが、SATA、SATA Express、SAS、ファイバチャネル、USB、PCIe、及びNVMeを含む。ホストインタフェース220は、データ、制御信号、及びタイミング信号の転送を概して促進する。
【0064】
バックエンドモジュール210は、ホストから受信したデータバイトを符号化し、不揮発性メモリから読み出したデータバイトを復号しエラーを訂正するエラー訂正コントローラ(ECC)エンジン224を含む。コマンドシーケンサ226は、不揮発性メモリダイ108に伝送されるプログラムコマンドシーケンス及び消去コマンドシーケンス等のコマンドシーケンスを生成する。RAID(独立ダイの冗長アレイ)モジュール228はRAIDパリティの生成及び障害データの回復を管理する。RAIDパリティは、メモリ装置100内に書き込まれているデータのための完全性保護の更なるレベルとして使用することができる。一部の事例では、RAIDモジュール228がECCエンジン224の一部であり得る。RAIDパリティは、通称によって暗示されるように追加のダイとして加えることができるが、例えば、追加の面、追加のブロック、又はブロック内の追加のワード線として既存のダイ中に加えることもできることに留意されたい。メモリインタフェース230は、コマンドシーケンスを不揮発性メモリダイ108に与え、不揮発性メモリダイからステータス情報を受信する。フラッシュ制御層232は、バックエンドモジュール210の全体的な動作を制御する。
【0065】
メモリ装置100の追加の要素は、不揮発性メモリダイ108のメモリセルのウェアレベリングを行うメディア管理層238を含む。このメモリシステムは、外部の電気的インタフェース、外部のRAM、抵抗、コンデンサ、コントローラ122とインタフェースし得る他の要素等の他のディスクリート要素240も含む。代替的実施形態では、物理層インタフェース222、RAIDモジュール228、メディア管理層238、及びバッファ管理/バスコントローラ214の1つ又は複数がコントローラ122内で不要な任意選択的な要素である。
【0066】
フラッシュエラー及びホストとのインタフェースを扱うことができるフラッシュ管理の一部として、フラッシュ変換層(FTL)又はメディア管理層(MML)238が統合され得る。具体的には、MMLはフラッシュ管理内のモジュールとすることができ、NAND管理の内部的特性に関与し得る。具体的には、MML238は、ホストからの書込みをダイ108のメモリ構造126、例えば、フラッシュメモリへの書込みに変換するメモリ装置ファームウェア内のアルゴリズムを含み得る。MML238は、1)フラッシュメモリの耐久性が限られている場合があること、2)フラッシュメモリがページの倍数単位でのみ書き込むことができること、及び/又は3)フラッシュメモリはブロックとして消去されない限り書き込むことができないことを理由に必要とされ得る。MML238は、ホストにとって認識できない可能性があるフラッシュメモリのこれらの潜在的制約を理解する。従って、MML238はホストからの書込みをフラッシュメモリ内への書込みに変換しようと試みる。MML238を使用して不安定ビットを識別し、記録することができる。この不安定ビットの記録は、ブロック及び/又はワード線(ワード線上のメモリセル)の正常性を評価するために使用することができる。
【0067】
コントローラ122は、1つ又は複数のメモリダイ108と接続し得る。一実施形態では、(共にメモリ装置100を構成する)コントローラ及び複数のメモリダイが固体ドライブ(SSD)を実装し、SSDはネットワーク接続ストレージ(NAS)装置等としてホスト内のハードディスクドライブをエミュレートし、置換し、又はその代わりに使用され得る。加えて、SSDはハードドライブとして機能するように作られなくてもよい。
【0068】
図3は、
図1Aのメモリ構造126の3D構成の一例における、ブロックのセットを含むメモリ装置600の透視図である。基板上には、メモリセル(記憶素子)のブロックの例BLK0、BLK1、BLK2、及びBLK3、並びにブロックが使用するための回路を有する周辺領域604がある。例えば、回路は、ブロックの制御ゲート層に接続され得る電圧ドライバ605を含み得る。1つの手法では、ブロック内で共通の高さにある制御ゲート層が共通に駆動される。基板601は、回路の信号を運ぶために導電路によってパターン形成される1つ又は複数の下部金属層と共に、ブロックの下の回路も保持することができる。ブロックは、メモリ装置の中間領域602内に形成される。メモリ装置の上部領域603内には、回路の信号を運ぶために1つ又は複数の上部金属層が導電路によってパターン形成される。各ブロックはスタックされたメモリセル領域を含み、スタックの交互のレベルはワード線を表す。1つのあり得る手法では、各ブロックが対向する層状の側面を有し、その側面から上部金属層まで垂直の接点が上向きに延びて導電路への接続を形成する。一例として4個のブロックを図示するが、x及び/又はy方向に広がる2つ以上のブロックを使用することができる。
【0069】
1つのあり得る手法では、ブロックが面内にあり、面のx方向の長さは1つ又は複数の上部金属層内でワード線への信号経路が延びる方向(ワード線又はSGD線方向)を表し、面のy方向の幅は1つ又は複数の上部金属層内でビット線への信号経路が延びる方向(ビット線方向)を表す。z方向はメモリ装置の高さを表す。ブロックは複数の面内に配置することもできる。
【0070】
図4は、
図3のブロックの1つの一部分の断面図の一例を示す。このブロックは、交互の導電層と誘電体層とのスタック616を含む。この例では、導電層がデータワード線層(又はワード線)WLL0〜WLL10に加えて、2つのSGD層、2つのSGS層、及び4つのダミーワード線層(又はワード線)WLD1、WLD2、WLD3、及びWLD4を含む。誘電体層はDL0〜DL19としてラベル付けしてある。更に、NANDストリングNS1及びNS2を含むスタックの領域を示す。各NANDストリングは、ワード線に隣接するメモリセルを形成する材料で埋められるメモリホール618又は619を包含する。スタックの領域622を
図6でより詳細に示す。
【0071】
スタックは基板611を含む。1つの手法では、ソース線SLの一部が、ブロック内のメモリセルの各ストリングのソース端と接触する基板内のn型ソース拡散層611aを含む。1つのあり得る実装形態では、n型ソース拡散層611aがp型ウェル領域611b内に形成され、そのp型ウェル領域611bが更にはn型ウェル領域611c内に形成され、そのn型ウェル領域611cが更にはp型半導体基板611d内に形成される。1つの手法では、n型ソース拡散層が面内のブロックの全てによって共用され得る。
【0072】
NS1は、スタックの下端616bにソース端613を有し、スタックの上端616aにドレイン端615を有する。ローカルインタコネクト617等のローカルインタコネクトをスタックにわたり周期的に与えることができる。ローカルインタコネクトは、ソース線/基板をスタック上の線に接続する等のためにスタック中に広がる金属で満たされたスリットであり得る。スリットはワード線の形成中に使用し、後に金属で満たすことができる。ローカルインタコネクトは、絶縁領域617b内の導電性領域617a(例えば、金属)を含む。ビット線BL0の一部も図示している。導電性ビア621が、NS1のドレイン端615をBL0に接続する。
【0073】
1つの手法では、メモリセルのブロックが交互の制御ゲート層と誘電体層とのスタックを含み、スタック内で垂直に延びるメモリホール内にメモリセルを配置する。
【0074】
1つの手法では、各ブロックが階段状のエッジを含み、かかるエッジでは垂直のインタコネクトがSGS層、WL層、及びSGD層を含む各層に接続し、電圧源への水平経路まで上向きに延びる。
【0075】
この例は、2つのSGDトランジスタ、2つのドレイン側ダミーメモリセル、2つのソース側ダミーメモリセル、及び2つのSGSトランジスタを一例として各ストリング内に含む。概して、ダミーメモリセルの使用は任意選択的であり、1つ又は複数を設けることができる。更に、1つ又は複数のSGDトランジスタ及び1つ又は複数のSGSトランジスタをメモリストリング内に設けることができる。
【0076】
絶縁領域620を設けてSGD層の一部を互いに分離して、独立に駆動される1つのSGD線をサブブロックごとに提供することができる。この例では、ワード線層が2つの隣接するサブブロックにとって共通である。
図7Bも参照されたい。別のあり得る実装形態では、絶縁領域620が基板まで延びてワード線層を分離する。この場合、各サブブロック内でワード線層が分かれている。しかし、何れの場合にも、ブロックのワード線層をその端部において互いに結合することができ、そのため、
図7Bに示すようにそれらのワード線層はブロック内で共通に駆動される。
【0077】
図5は、
図4のスタック内のメモリホール/ピラー径のグラフを示す。縦軸は
図4のスタックに整列され、メモリホール618及び619内の材料によって形成されるピラーの幅(wMH)、例えば、直径を示す。かかるメモリ装置では、スタックを貫通してエッチングされるメモリホールが非常に高い縦横比を有する。例えば、約25〜30の深さ対直径比が一般的である。メモリホールは円形の断面を有し得る。エッチングプロセスが原因で、メモリホール及びその結果生じるピラー幅がホール長に沿って一様でない場合がある。典型的には、メモリホールの上から下にかけて直径が次第に小さくなる(実線)。即ち、メモリホールが先細りになり、スタックの下部において狭まる。一部の事例では、選択ゲート付近のホールの上部において僅かな狭まりが生じ、そのため、直径が僅かに広くなってからメモリホールの上から下にかけて次第に小さくなる(長破線)。例えば、この例では、メモリホールの幅はスタック内のWL9のレベルにおいて最大である。メモリホールの幅はWL10のレベルにおいて僅かに小さく、WL8からWL0のレベルにおいて次第に小さくなる。
【0078】
メモリホール及びその結果生じるピラーの直径が不均一であることにより、メモリセルのプログラミング速度及び消去速度がメモリホールに沿うメモリセルの位置に基づいて変わり得る。メモリホールの下部における直径が相対的に小さい場合、トンネル酸化物にわたる電界が相対的に強く、そのため、メモリホールの相対的に小さい直径の部分に隣接するワード線内のメモリセルでプログラミング速度及び消去速度が速くなる。従って、ワード線のカップリングアップ量及び放電量は、メモリホールの相対的に大きい直径の部分に隣接するワード線内のメモリセルよりも相対的に多い。
【0079】
短破線によって表す別のあり得る実装形態では、スタックが2つの層で作られる。それぞれのメモリホールと共に下層が最初に形成される。次いで、下層内のメモリホールと整列されるそれぞれのメモリホールと共に上層が形成される。各メモリホールは先細りになっており、そのため、スタックの下部から上部にかけて幅が増加し、その後、減少し、再び増加する二重に先細りになったメモリホールが形成される。
【0080】
図6は、
図4のスタックの領域622の詳細図を示す。ワード線層とメモリホールとの交点において、メモリセルが様々なスタックレベルにおいて形成される。この例では、SGDトランジスタ680及び681がダミーメモリセル682及び683並びにデータメモリセルMCの上に設けられる。例えば、原子層堆積を使用し、メモリホール630の側壁(SW)に沿って且つ/又は各ワード線層内に幾つかの層を堆積することができる。例えば、メモリホール内の材料によって形成される各ピラー699又は列は、窒化珪素(Si
3N
4)又は他の窒化物等の電荷捕獲層663又は膜、トンネル層664(トンネル酸化物)、(例えば、多結晶シリコンを含む)チャネル665、及び誘電体コア666を含み得る。ワード線層は、ブロッキング酸化物/ブロック高誘電率材料660、金属バリア661、及びタングステン等の導電性金属662を制御ゲートとして含み得る。例えば、制御ゲート690、691、692、693、及び694が設けられる。この例では、金属を除く層の全てがメモリホール内に与えられる。他の手法では、層の一部が制御ゲート層中にあり得る。追加のピラーが様々なメモリホール内に同様に形成される。ピラーはNANDストリングの柱状アクティブ領域(AA)を形成し得る。
【0081】
メモリセルがプログラムされると、メモリセルに関連する電荷捕獲層の一部内に電子が蓄積される。これらの電子は、チャネルから及びトンネル層を介して電荷捕獲層中に引き込まれる。蓄積される電荷量に比例して(例えば、その増加に伴って)メモリセルのVthが上昇する。消去動作中、電子はチャネルに戻る。
【0082】
メモリホールのそれぞれは、ブロッキング酸化物層、電荷捕獲層、トンネル層、及びチャネル層を含む複数の環状層で埋めることができる。メモリホールのそれぞれのコア領域は母材で埋められ、複数の環状層はメモリホールのそれぞれの中でコア領域とワード線との間にある。
【0083】
チャネル長が基板上に形成されないため、NANDストリングはフローティングボディチャネルを有すると考えることができる。更に、NANDストリングは、スタック内で互いの上にあり且つ誘電体層によって互いに分離される複数のワード線層によって与えられる。
【0084】
図7Aは、
図4と一致する3D構成のサブブロック内のNANDストリングの図の一例を示す。各サブブロック内のワード線に沿ってx方向に広がるメモリセルの一例を示す。簡潔にするために、各メモリセルを立方体として示す。SB0は、NANDストリング700n、701n、702n、及び703nを含む。SB1は、NANDストリング710n、711n、712n、及び713nを含む。SB2は、NANDストリング720n、721n、722n、及び723nを含む。SB3は、NANDストリング730n、731n、732n、及び733nを含む。NANDストリングのセットにビット線が接続される。例えば、ビット線BL0がNANDストリング700n、710n、720n、及び730nに接続され、ビット線BL1がNANDストリング701n、711n、721n、及び731nに接続され、ビット線BL2がNANDストリング702n、712n、722n、及び732nに接続され、ビット線BL3がNANDストリング703n、713n、723n、及び733nに接続される。各ビット線にセンス回路を接続することができる。例えば、センス回路400、400a、400b、及び400cがビット線BL0、BL1、BL2、及びBL3にそれぞれ接続される。NANDストリングは、基板から上向きに延びる垂直のメモリストリング、例えば、垂直ストリングの例である。
【0085】
プログラミング及び読出は、一度に1つのワード線内の及び1つのサブブロック内の選択されたセルずつ行うことができる。これは、各選択されたセルをそれぞれのビット線及び/又はソース線によって制御することを可能にする。例えば、SB0内のメモリセルのセットの一例795はWLL4に接続される。同様に、セット796、797、及び798は、SB1、SB2、及びSB3内のデータメモリセルを含み、且つWLL4に接続される。
【0086】
図7Bは、
図4と一致するブロックのセットの一例におけるワード線層及びSGD層を示す。ブロックBLK0、BLK1、BLK2、及びBLK3を示す。各ブロック内のワード線層(WLL)をSGD線の例と共に示す。各サブブロック内に1つのSGD線が設けられる。BLK0は、サブブロックSB0、SB1、SB2、及びSB3を含む。各円はメモリホール又はストリングを表す。サブブロックはx方向に延び、実際には数千ものメモリストリングを含む。加えて、図示したものよりも更に多くのブロックが基板上に連続的に配置される。ワード線層及びSGD/SGS層は行デコーダ
2401から電圧を得ることができる。
図24A及び
図24Bを参照されたい。
【0087】
図8Aは、第2の読出条件と比較した第1の読出条件における、8個のデータ状態を使用するメモリセルのVth分布の一例を示す。8個のデータ状態は例示に過ぎず、4個、16個、17個以上等の他の数を使用することができる。Er、A、B、C、D、E、F、及びGの状態に関して、第2の読出条件におけるVth分布820、821、822、823、824、825、826、及び827のそれぞれが得られ、第1の読出条件における820a、821a、822a、823a、824a、825a、826a、及び827aのそれぞれが得られる。A、B、C、D、E、F、及びGの状態に関して、プログラム検証電圧VvA、VvB、VvC、VvD、VvE、VvF、及びVvGのそれぞれが得られる。更に図示されているのが、第2の読出条件における読出電圧VrAH、VrBH、VrCH、VrDH、VrEL、VrFL、及びVrGLのそれぞれ、並びに第1の読出条件における読出電圧VrAL、VrBL、VrCL、VrDL、VrEH、VrFH、及びVrGHのそれぞれである。更に図示されているのが、111、110、100、000、010、011、001、及び101のそれぞれのビットの符号化の一例である。ビット形式はUP/MP/LPである。消去動作中は消去検証電圧VvErが使用される。
【0088】
この例は、第2の読出条件と比較した第1の読出条件に関するVth分布のシフトが、データ状態が相対的に低い又は高い場合にデータ状態が中域のときよりも相対的に大きいことを示す。このシフトは、漸減又は漸増するデータ状態で次第に大きくなり得る。一例では、第1の読出条件において、VrAL、VrBL、VrCL、及びVrDLの読出電圧がA、B、C、及びDのそれぞれの相対的に低い状態にとって最適であり、VrEH、VrFH、及びVrGHの読出電圧がE、F、及びGのそれぞれの相対的に高い状態にとって最適である。同様に、第2の読出条件において、VrAH、VrBH、VrCH、及びVrDHの読出電圧がA、B、C、及びDのそれぞれの相対的に低い状態にとって最適であり、VrEL、VrFL、及びVrGLの読出電圧がE、F、及びGのそれぞれの相対的に高い状態にとって最適である。従って、1つのあり得る実装形態では、下位状態に関して状態ごとの2つの読出電圧の低い方が第1の読出条件内で最適であり、高位の状態に関して状態ごとの2つの読出電圧の高い方が第1の読出条件内で最適である。
【0089】
最適な読出電圧は、概して隣接するデータ状態のVth分布の中間である。従って、Vth分布がシフトするときに最適な読出電圧もシフトする。
【0090】
第1の読出条件は、最後のプログラミング動作又は読出動作後に長い遅延があるときに生じ得る。シーケンスの一例は、ブロックをプログラムし、1時間待つ、次いでそのブロックを読み出すことである。第1の読出条件は、電源切断/電源投入があるときにも生じ得る。シーケンスの一例は、ブロックをプログラムし、電源切断/電源投入し、次いでそのブロックを読み出すことである。第1の読出条件は、他のブロックのプログラム又は読出があるときにも生じ得る。シーケンスの一例は、1つのブロックをプログラムし、別のブロックをプログラムし、次いでその1つのブロックを読み出すことである。
【0091】
図8Bは、データの下位ページ、中位ページ、及び上位ページのビットシーケンス並びに関連する読出電圧の一例を示す。この事例では、メモリセルは、8個のデータ状態の1つにおける3ビットのデータをそれぞれ記憶する。状態ごとのビットの割当ての一例を示す。下位ビット、中位ビット、又は上位ビットは、下位ページ、中位ページ、又は上位ページのそれぞれのデータを表し得る。消去状態Erに加えて、7個のプログラム済みデータ状態A、B、C、D、E、F、及びGを使用する。これらのビットシーケンスと共に、VrA及びVrEの読出電圧(例えば、制御ゲート又はワード線電圧)を使用してメモリセルを読み出すことによって下位ページのデータを決定することができる。Vth<=VrA又はVth>VrEが成立する場合には下位ページ(LP)ビット=1である。VrA<Vth<=VrEが成立する場合にはLP=0である。概して、読出電圧が印加されている間、メモリセルはセンス回路によってセンスすることができる。メモリセルがセンス時に導電状態にある場合、その閾値電圧(Vth)は読出電圧を下回る。メモリセルが非導電状態にある場合、そのVthは読出電圧を上回る。
【0092】
データページを読み出すために使用する読出電圧は、状態ごとの符号化ビット(コード語)内の0から1への遷移又は1から0への遷移によって決定される。例えば、LPビットはErとAとの間で1から0に遷移し、DとEとの間で0から1に遷移する。従って、LPの読出電圧はVrA及びVrEである。
【0093】
中位ページのデータは、読出電圧VrB、VrD、及びVrFを使用してメモリセルを読み出すことによって決定することができる。Vth<=VrB又はVrD<Vth<=VrFが成立する場合には中位ページ(MP)ビット=1である。VrB<Vth<=VrD又はVth>VrFが成立する場合にはMP=0である。例えば、MPビットはAとBとの間で1から0に遷移し、CとDとの間で0から1に遷移し、EとFとの間で1から0に遷移する。従って、MPの読出電圧はVrB、VrD、及びVrFである。
【0094】
上位ページのデータは、VrC及びVrGの読出電圧を使用してメモリセルを読み出すことによって決定することができる。Vth<=VrC又はVth>VrGが成立する場合には上位ページ(UP)ビット=1である。VrC<Vth<=VrGが成立する場合にはUP=0である。例えば、UPビットは、BとCとの間で1から0に遷移し、FとGとの間で0から1に遷移する。従って、UPの読出電圧はVrC及びVrGである。読出電圧はVrA、VrB、VrC、VrD、VrE、VrF、及びVrGとして示しており、これらのそれぞれは第1の読取値又は第2の読取値の何れか最適な方を表し得る。
【0095】
図9は、プログラミング動作の一例の波形を示す。横軸はプログラムループ(PL)数を示し、縦軸は制御ゲート又はワード線電圧を示す。概して、プログラミング動作は選択されたワード線にパルス列を印加することを含むことができ、パルス列は複数のプログラムループ又はプログラム−検証反復を含む。プログラム−検証反復のプログラム部分はプログラム電圧を含み、プログラム−検証反復の検証部分は1つ又は複数の検証電圧を含む。
【0096】
1つの手法では、各プログラム電圧が2つのステップを含む。更に、この例ではインクリメンタルステップパルスプログラミング(ISPP)を使用し、ISPPではプログラム電圧が各連続プログラムループ内で固定又は可変の刻み幅を使用して上昇する。この例は、プログラミングが完了する単一のプログラミングパス内でISPPを使用する。ISPPは、マルチパス動作の各プログラミングパス内で使用することもできる。
【0097】
波形900は、プログラミングのために選択されたワード線に対して、及び関連する不揮発性メモリセルのセットに対して印加される一連のプログラム電圧901、902、903、904、905、...、906を含む。一例として、検証されているターゲットデータ状態に基づき、各プログラム電圧後に1つ又は複数の検証電圧を与えることができる。プログラム電圧と検証電圧との間に、選択されたワード線に0V印加することができる。例えば、A状態の検証電圧VvA及びB状態の検証電圧VvBのそれぞれ(波形910)をプログラム電圧901及び902のそれぞれの後に印加することができる。A状態の検証電圧VvA、B状態の検証電圧VvB、及びC状態の検証電圧VvC(波形911)をプログラム電圧903及び904のそれぞれの後に印加することができる。不図示の幾つかの更なるプログラムループ後、E状態の検証電圧VvE、F状態の検証電圧VvF、及びG状態の検証電圧VvG(波形912)を最後のプログラム電圧906後に印加することができる。
【0098】
図10Aは、ワード線電圧のカップリングアップを示す、プログラミング動作における波形の一例のグラフを示す。図示の期間は1回のプログラム−検証反復を表す。横軸は時間を示し、縦軸はワード線電圧Vwlを示す。プログラム電圧1000がt0〜t4で選択されたワード線に印加され、Vpgmの振幅に達する。不所望のカップリング効果を有し得る単一の大きい遷移を回避するために、プログラム電圧はVpass等の中間レベルにおいて一時的に停止し得る。選択されたワード線のセルに対してセンシング(例えば、検証)動作を行うことができるように、パス電圧1005がt0〜t19で選択されていないワード線に印加され、導電状態のセルを与えるのに十分高いVpassの振幅に達する。パス電圧は、上昇部分、例えば、Vpassにおける固定振幅部分、及び下降部分を含む。任意選択的に、t0までにVpassに到達するように、パス電圧をプログラム電圧と比べて早く上昇させることができる。
【0099】
選択されたワード線に検証電圧1010を印加する。この例では、7個の検証電圧の全てを順次印加する。この例では8レベルのメモリ装置を使用する。VvA、VvB、VvC、VvD、VvE、VvF、及びVvGの検証電圧をt8、t9、t10、t11、t12、t13、及びt14のそれぞれにおいて印加する。各検証電圧中、センス回路を活性化することができる。t15〜t16で、波形はVvGから0V又は他の定常レベルまで減少する。
【0100】
選択されていないワード線では、Vpassの減少はセルを導電状態から非導電状態に遷移させる。具体的には、VpassがカットオフレベルVcutoff(t18における点線)を下回るとき、セルのチャネルがカットオフになり、例えば、セルが非導電になる。セルが非導電になると、そのセルは制御ゲートが一方のプレートであり、チャネルがもう一方のプレートであるコンデンサとしての役割を果たす。セルは、Vcg<Vcutoff又はVcg<(Vth+Vsl)が成立するときに非導電になり、Vcgはセルの制御ゲート電圧(ワード線電圧)であり、Vthはセルの閾値電圧であり、Vslはソース線電圧であり、従って、ソース線電圧は、ほぼセルのソース端子における電圧である。最も高いプログラム済み状態、例えば、G状態にあるセルでは、Vthは、
図8A内のVth分布827又は827aにおけるVvGもの低さ(又はプログラミング後の電荷損失により更に低いもの)とすることができ、G状態の上方端におけるVthの高さとすることができる。従ってVcutoffは、VvG+Vslの低さ、又はG状態の上方端の+Vslの高さとすることができる。
図10Bのグラフ1015によって示すように、パス電圧1005がVcutoffから0Vまで減少するとき、チャネルは同様の量だけ容量的にカップリングダウンされる。
【0101】
チャネルがカットオフされる間の電圧振幅は、Vslが大きいほど大きくなる。しかし、Vch=Vslであるため、Vchの最小ダウンカップリングレベルは本質的にVslと無関係である。例えば、Vsl=1Vの状態でのワード線電圧の6Vの振幅(例えば、Vcutoff=6V)は、Vsl=0Vの状態でのワード線電圧の5Vの振幅(例えば、Vcutoff=5V)とほぼ同じVchの最小ダウンカップリングレベルをもたらす。
【0102】
グラフ1012は、t19〜t20でのワード線電圧のカップリングアップを表す。このカップリングアップは、相対的に迅速に起きているものとして図示されているが、これは正確な縮尺ではない。実際には、例えば、t5〜t19での検証動作に約100マイクロ秒かかり得るのに対し、ワード線のカップリングアップは10ミリ秒等のミリ秒領域内ではるかに長くかかり得る。
【0103】
図10Bは、
図10Aに対応するチャネル電圧(Vch)のグラフを示す。選択されていないメモリストリング(現在のプログラムループ内でプログラムされるセルを有さないストリング)では、プログラム電圧中、例えば、t0〜t4でVchが8V等のレベルまでブーストされる(不図示)。このブーストは、非導電状態にある選択されていないストリングのSGDトランジスタ及びSGSトランジスタを提供してVchをフロートさせることによって実現される。ワード線にVpass及びVpgmを印加するとき、容量結合によってVchがより高くカップリングされる。選択されたメモリストリング(現在のプログラムループ内でプログラムされるセルを有するストリング)では、プログラム電圧中にVchが図示のように概して接地される。
【0104】
検証電圧中、選択されたメモリストリングではVchが最初に例えば約1Vであり得る。選択されたメモリストリングのチャネルでは、VchはVslとほぼ同じである。Vslは、使用されるセンシングの種類に基づいて設定される。例は、Vslが約1Vである負のセンシング、及びVslが約0Vであり負のワード線電圧が使用される正のセンシングを含む。本明細書に記載の技術は、Vslのレベル又は使用するセンシングの種類に関係なく適用される。
【0105】
チャネルはt18〜t19に最小レベルまで容量的にカップリングダウンされ、その後、t19〜t20に例えば0Vの最終レベルに戻り始める。t19から開始してワード線の電圧がフロートすることが認められる場合、Vchの上昇によって電圧(グラフ1012)がより高く容量的にカップリングされる。ワード線の電圧はVwl_coupled_upのピークレベルまでフロートし、それにより第2の読出条件に達する。例えば、Vcutoffを6Vとすることができ、そのため、チャネルに結合されるワード線電圧の6V(例えば、6−0V)の変化がある。Vchの1Vの初期値及び90%のカップリング比では、最小Vchは、例えば、約1−6x0.9=−4.4Vであり得る。従って、セルのワード線、例えば、制御ゲートに結合されるVchの4.4Vの上昇がある。Vwl_coupled_upは、約4.4x0.9=4Vであり得る。ワード線の電圧は、ワード線ドライバからワード線を絶つことによってフロートされる。
【0106】
図10Cは、ワード線電圧のカップリングアップを示す、読出動作における波形の一例のグラフを示す。何れもセンス動作であり、何れもワード線電圧のカップリングアップをもたらし得るため、読出動作は検証動作と同様である。横軸は時間を示し、縦軸はワード線電圧Vwlを示す。パス電圧1115、1116、及び1117がt0〜t3、t4〜t8及びt9〜t12でそれぞれ選択されていないワード線に印加され、Vpassの振幅を有する。パス電圧は、上昇部分、Vpassの部分、及び下降部分を含む。読出電圧は、
図8A及び
図8Bに一致する下位ページ、中位ページ、及び上位ページのそれぞれについて別個の(VrAH及びVrELのレベルにおける)波形1120、(VrBH、VrDH、及びVrFLのレベルにおける)波形1121、及び(VrCH及びVrGLのレベルにおける)波形1122をそれぞれ含む。読出電圧は一例として第2の読出条件に最適化され、選択されたワード線に印加される。この例では8レベルのメモリ装置を使用する。
【0107】
先に論じたように、選択されていないワード線では、Vpassの減少がセルを導電状態から非導電状態に遷移させる。t13における点線は、G状態のセルが非導電になるときを示す。パス電圧1117がVcutoffから0Vに減少するとき、
図10Dのグラフ1035によって示すようにチャネルは同様の量だけ容量的にカップリングダウンされる。チャネル電圧がt14後に上昇すると、ワード線電圧がフロートされ、Vwl_coupled_upまでより高くカップリングされる。
【0108】
図10Dは、
図10Cに対応するチャネル電圧(Vch)のグラフを示す。チャネルはt13〜t14にVch_minの最小レベルまで容量的にカップリングダウンされ、その後、t14〜t15に例えば0Vの最終レベルに戻り始める。t14から開始してワード線の電圧がフロートすることが認められる場合、Vch(グラフ1035)の上昇によって電圧(グラフ1032)がより高く容量的にカップリングされる。先に論じたように、ワード線の電圧はVwl_coupled_upのピークレベルまでフロートする。
【0109】
図10Eは、ワード線のカップリングアップ電圧の減衰を示す
図10Cの波形を示す。時間尺度は
図10A〜
図10Dと異なり、1時間以上等の更に長い期間を表す。グラフ1123は、期間t0〜t1内の(
図10Cの波形1120〜1122に対応する)読出電圧を示す。グラフ1123aは、(
図10Cの波形1115〜1117に対応する)パス電圧を示す。グラフ1125は、(期間t1〜t2内の)カップリングによるカップリングアップレベル(Vwl_coupled_up)へのVwlの上昇と、その後に続く期間t2〜t3内のVwlの減衰を示す。概して、Vwlの上昇は減衰の期間に比べて相対的に迅速に生じる。
【0110】
図10Fは、
図10Eと一致するチャネル電圧のグラフを示す。期間t1〜t2内で低下後に上昇が続く(グラフ1126)。t2〜t3においてVchは約0Vである(グラフ1127)。
【0111】
図10Gは、
図10E及び
図10Fと一致する、カップリングアップワード線に接続されるメモリセルのVthのグラフを示す。A状態等、データ状態の一例にあるセルでは、t0〜t1でVthが初期レベルVth_initialにある。これは第1の読出条件を表す。t1〜t2に、Vchの上昇と同時にVthがカップリングによってVth_coupled_upのピークレベルまで上昇する(グラフ1128)。これは第2の読出条件を表す。次いで、t1〜t3にVthがVth_initialまで徐々に減少して戻る。
【0112】
図11Aは、センス動作内で制御ゲート電圧を下げたときにコンデンサとしての役割を果たすメモリセル上の制御ゲート電圧及びチャネル電圧を示す。ファーストリード問題はワード線の面又は層が3Dでスタックされることによって引き起こされ、かかるスタックではメモリセルのチャネルがフロートし、2DフラッシュNAND構造に見られるように基板に結合されない。ワード線のカップリング及び酸化物−窒化物−酸化物(ONO)層内の電子捕獲がファーストリード問題の根源である。
【0113】
先に論じたように、読出/検証動作後、ワード線に印加される読出パス電圧(Vpass)がランプ下降する場合、例えば、5VのVthを有するG状態のセルはVpassが5Vまで下がるときにチャネルをカットオフする。その後、VpassがVssまで更に下がるとき、フローティングチャネルの電位が負値に押し下げられる。次に、正電荷を引き付けることによって読出動作が完了した後に上記のチャネル内の負電圧(約−4.5V)が上昇する。データワード線はフロートしているため、チャネルをチャージアップするのに必要なホールの量は相対的に少なく、そのため、(90%のカップリング比を仮定して)選択されたワード線及び選択されていないワード線を約4Vまで迅速にカップリングアップすることができる。ワード線上の電位はしばらく約4Vに留まる。これは、トンネルONO層内に電子を引き付け捕獲し、下位データ状態又は上位データ状態のそれぞれに関するVthのアップシフト又はダウンシフトを引き起こす。従って、フローティングチャネルの電位に対するワード線のカップリングにより、ワード線電圧が読出動作後に約4Vまで上昇する。
【0114】
上のプレートは制御ゲート又はワード線を表し、下のプレートはチャネルを表す。コンデンサ1040は、ワード線電圧が8V(Vpass)から5V(VvG又はそれよりも僅かに高い等のVcutoff)まで減少し、Vch=0Vであるときのメモリセルを表す。コンデンサ1042は、ワード線電圧が0Vに達し、そのため、Vchが約−4.5Vまでダウンカップリングされるときのメモリセルを表す。コンデンサ1044は、関連するワード線電圧がフロートし始めるときのメモリセルを表す。コンデンサ1046は、関連するワード線電圧が、第2の読出条件のVwl_coupled_upに達するときのメモリセルを表す。メモリセルのVthが4Vを下回る(例えば、セルが消去状態又は下位のプログラム済み状態にある)場合、メモリセルのVthが増加するようにメモリセルが弱くプログラムされる。メモリセルのVthが4Vを上回る(例えば、セルが上位のプログラム済み状態にある)場合、メモリセルのVthが減少するようにメモリセルが弱く消去される。コンデンサ1048はかなりの時間、例えば、1時間以上が経過し、ワード線が第1の読出条件まで放電された後のメモリセルを表す。
【0115】
データワード線電圧がフロートする場合、チャネルをチャージアップするのに必要なホールの量は相対的に少ない。その結果、選択されたワード線を例えば約4Vまで相対的に迅速にカップリングアップすることができる。選択されたワード線上の電位はしばらく約4Vに留まり、トンネル酸化物−窒化物−酸化物(ONO)層内に捕獲された電子を引き付け、Vthのアップシフトを引き起こす。次の読出動作までの待ち時間が十分長い場合、ワード線のカップリングアップ電位が放電され、捕獲された電子が放出される。第1の読出条件が再び生じる。
【0116】
図11Bは、弱いプログラミング中の電荷捕獲領域内への電子注入を示す、
図6のメモリセルMCの一部分を示す。メモリセルは、制御ゲート694、金属バリア661a、ブロッキング酸化物660a、電荷捕獲層663、トンネル層664、チャネル665、及び誘電体コア666を含む。ワード線電圧が上昇したことにより、電荷捕獲層内に電子(電子の一例1050参照)を引き付け、Vthを上昇させる電界(E)が作り出される。この弱いプログラミングは、電気絶縁体が電気を伝え得るプールフレンケル効果によって引き起こすことができる。これは、トラップを通る一種の電子トンネリングである。弱い消去も同様に、電荷捕獲層から電子を退け、Vthを減少させる電界を伴う。
【0117】
図12Aは、センス動作の終了時にワード線を放電する直前のメモリストリング1200の一例の構成を示す。例えば、これは、ワード線電圧が例えば
図10Aのt17及び
図10Cのt12においてVpassからランプ下降し始める直前である。前述の通り、ファーストリード問題は、高いVthのセル(例えば、G状態のセル)がワード線の放電中にチャネルをカットオフすることによって引き起こされる。Vchは、放電するワード線によってカップリングダウンされる。その後、ホールがチャネルに入ってチャネル電圧を消滅させ、例えば、Vchが負電圧から約0Vまで上昇する。この上昇はワード線電圧を例えば約4Vまでカップリングアップする。この上昇したワード線電圧は、トンネル酸化物と多結晶シリコンチャネルとの間の境界面における電子捕獲、並びにメモリセルの電荷捕獲層内の電荷再分配をやがて引き起こし、セルの一部のVthを第2の読出条件まで高める。1時間以上等の幾らかの時間が経過した後、又はワード線が幾らかの時間にわたって定常電圧に曝される場合、ワード線は次第に約0Vまで放電して戻る。この放電は、SGSトランジスタによる及び基板内への漏電による。その後、セルは第1の読出条件に戻る。最適な読出レベルは、セルが第1の読出条件にあるか第2の読出条件にあるか、又はその間の何れにあるかに基づいて変わる。読出レベルが第1の読出条件について最適化され、第2の読出条件がある場合、又は読出レベルが第2の読出条件について最適化され、第1の読出条件がある場合には多数の読出エラーが生じる。
【0118】
メモリストリング1200は、pウェル1205とビット線1202との間に延び、SGSトランジスタ制御ゲート1210とSGDトランジスタ制御ゲート1216との間にメモリセル制御ゲート1211、1212、1213、...、1214、及び1215を含む。このストリングは、メモリ膜層1203(例えば、電荷捕獲層内のトンネル層)内のチャネル領域1204を含む。中央の誘電体コア1201も図示する。このストリングは断面図で示しており、制御ゲート及び層がメモリホールを包み込む。更に、一例として、制御ゲート1211及び1215を有するメモリセルは、この例で最も高い状態であるG状態にプログラムされ、制御ゲート1212〜1214を有するメモリセルは任意の状態にある。
【0119】
SGD制御ゲートはVsgd、例えば、3〜4Vの電圧であり、メモリセル制御ゲート1211〜1215はVpass、例えば、8〜10Vの電圧であり、SGS制御ゲートはVsgs、例えば、3〜4Vの電圧であり、pウェルは1V(Vsl)であることができ、ビット線は1〜2Vであり得る。センス動作のためにセンス回路を活性化した結果、電子の例(「e−」)がビット線からチャネルに入る。これは、約0Vのチャネル電圧をもたらす。ワード線の放電又はランプ下降中、G状態のセルがカットオフし(非導電になり)、前述の通りチャネル電圧をフロートさせ、ダウンカップリングさせる。
【0120】
図12Bは、センス動作の終了時にワード線を放電した直後のメモリストリングの一例の構成を示す。電子の数が減ったことによって表されているようにこの時点でチャネル電圧は負であり(Vch<0V)、制御ゲートのそれぞれが0Vに達する。ビット線電圧も0Vに設定することができる。
【0121】
図12Cは、ワード線がチャネルによってカップリングアップされるときのメモリストリングの一例の構成を示す。負のチャネル電圧はSGSトランジスタにわたる横電界を引き起こし、かかる横電界はホールがpウェルからチャネルに徐々に入ることをもたらす。ホールはSGSトランジスタにわたる電界を消滅し、電子と結合し、0Vに向けてチャネル電圧を徐々に上昇させる。この時点ではワード線電圧がフロートしており、そのため、ワード線電圧はVchが上昇するときにカップリングアップされる。これを「より高くフロートしている」という表示によって示す。
【0122】
図12Dは、ワード線のカップリングアップが完了したときのメモリストリングの一例の構成を示す。この事例ではチャネルが完全に消滅しており、そのため、Vch=0Vである。ワード線電圧は、例えば、約4Vのカップリングアップレベルにある。
【0123】
図13Aは、
図1C内のブロック10と一致するプロセスの一例を示す。この特徴は、ワード線のカップリングアップ状態を検出し、且つそれに応じて読出電圧を設定することを含む。ステップ1300は、例えば、選択されたワード線に接続されるブロック内の選択されたメモリセルのための読出コマンドを受信することを含む。例えば、そのコマンドは、ホストからコントローラ122において受信され得る。他の事例では、読出コマンドがメモリ装置100(
図1A)内で内部的に生成される。ステップ1301は、ブロック内のワード線電圧をセンスすることを含む。1つの手法では、センスされるワード線がブロック内で予め決められており、必ずしも選択されたメモリセルに接続される選択されたワード線と同じではない。1つ又は複数のワード線をセンスすることが可能である。例えば、1つ又は複数のワード線の電圧の評価を行うように電圧検出器を構成することができる。更なる詳細例について、
図24Bを参照されたい。ステップ1302は、センスされるワード線レベルに基づいて読出電圧のセットを選択することを含む。センスされるワード線レベルは、メモリセルが第1の読出条件にあるか第2の読出条件にあるか、又はその間の何れにあるかを示す。例えば、
図13B〜
図13Dを参照されたい。ステップ1303は、選択した読出電圧のセットを使用してブロック内の読出動作を行うことを含む。この手法では、読出エラーを最小限に抑える最適な読出電圧のセットをワード線の現在のカップリングアップ状態に基づいて選択することができる。
【0124】
図13Bは、様々なデータ状態のVthシフトに対する時間のグラフを示す。前述の通り、第1の読出条件では、1つ又は複数の下位状態ではVthのダウンシフトを認めることができ、1つ又は複数の中域状態ではVthの変化は実質的に認められず、1つ又は複数の上位状態ではVthのアップシフトを認めることができる。これらのシフトは、第2の読出条件内のVthレベルに対するものである。
【0125】
時点t=0は、セルが第1の読出条件にある間のセンス動作の時点を表す。各プログラム済みデータ状態について、ワード線が放電され、セルのVthが第2の読出条件のVthから相対的に離れているため、読出電圧のシフトはこの時点において大きさの点で最大である。時間が0からtfに進むにつれてシフトは大きさの点で徐々に減少する。1つの手法では、tfにおいて0Vのシフトが実現され得る。A、B、C、D、E、F、及びGとしてラベル付けしたプログラム済み状態について別々のグラフを示し、A、B、C、Dのグラフはダウンシフトを示しており、E、F、及びGのグラフはアップシフトを示している。この例は8個のデータ状態を示すが、他の数のデータ状態でも同様の傾向を認めることができる。
【0126】
図13Cは、読出電圧対検出ワード線電圧の傾向を示すグラフを示す。横軸は、
図24Bに示すような回路を使用してセンスすることができるワード線(WL)電圧を示す。縦軸は、プログラム済みデータ状態ごとの下位読出電圧及び高位読出電圧を含む、
図8Aと一致する読出電圧を示す。このグラフは、読出電圧が下位データ状態ではセンスされるWL電圧と共に上昇し、高位データ状態ではセンスされるWL電圧と共に減少することを示す。
【0127】
図13Dは、
図13Cの実装形態の一例において2セットの読出電圧が使用されている、読出電圧対検出ワード線電圧のグラフを示す。単純化した実装形態では、センスされるWL電圧を2つの範囲、即ち、基準電圧(Vref)未満又はVref超の一方に分類する。センスされるWL電圧がVrefを上回る場合、読出電圧VrAH、VrBH、VrCH、VrDH、VrEL、VrFL、及びVrGLを選択する。センスされるWL電圧がVrefを下回る場合、読出電圧VrAL、VrBL、VrCL、VrDL、VrEH、VrFH、及びVrGHを選択する。1つの手法では、最大カップリングアップワード線電圧に基づいてVrefを選択することができる。例えば、最大カップリングアップワード線電圧が約4Vの場合、Vrefはその約半分、即ち2Vとすることができる。
【0128】
図13Eは、
図1C内のブロック10と一致する別のプロセスの一例を示す。
図13Aの代替策として、このプロセスではブロックの周期的なポーリングを使用してそのブロックのワード線電圧を決定する。このプロセスは、読出コマンドの受信前にワード線電圧に関するデータエントリを記憶することができるために有用である。読出コマンドが受信されると、別のワード線電圧の検出を行うことなしに適切な読出電圧を直ちに決定することができる。検出されるワード線電圧が十分新しく、そのため、読出電圧を選択する際にそのワード線電圧を利用できるかどうかを確認することができる。
【0129】
ステップ1310は、タイマに従ってワード線電圧をセンスすることを含む。例えば、このステップは周期的に、例えば、数分ごと又は数時間ごとに行うことができる。ステップ1311は、ワード線電圧に関するデータエントリを記憶することを含む。次のセンス時よりも前に読出コマンドを受信しない場合、ステップ1310及び1311を繰り返す。ステップ1312でブロックのための読出コマンドを受信した場合、判定ステップ1313は、データエントリが新しいかどうか、例えば、指定の時間よりも古くないかどうかを判定する。判定ステップ1313が真の場合、ステップ1314がそのデータエントリに基づいて読出電圧のセットを選択し、ステップ1315がその読出電圧のセットを使用してブロック内の読出動作を行う。次いで、このプロセスはステップ1310で続行する。判定ステップ1313が偽の場合、ステップ1316がワード線電圧のセンシングを繰り返し、ステップ1317がワード線電圧に関する新たなデータエントリを記憶し、ステップ1318がタイマをリセットする。その後、ステップ1314及び1315に到達する。
【0130】
任意選択的に、読出電圧を選択するために常に最新のエントリが使用されるように判定ステップ1313が省略される。最新のエントリが有効であるようにワード線検出期間を十分短く設定することができる。
【0131】
図14Aは、
図1C内のブロック11と一致するプロセスの一例を示す。この特徴は、読出動作の直前に読出前電圧パルスを印加することを含む。ステップ1400は、例えば、選択されたワード線に接続される選択されたブロック内の選択されたメモリセルのための読出コマンドを受信することを含む。判定ステップ1401が、選択されたワード線に読出前電圧パルスを印加する条件が満たされているかどうかを判定する。この判定ステップは様々なデータ入力を考慮することができる。例えば、ブロック1401aは、ブロックを最後にセンスしてからの経過時間が閾値を上回るかどうかを示す。経過時間が閾値を上回る場合にはセルが第1の読出条件にあるように、この閾値は十分長いものとすることができる。ブロック1401aの入力が受信される場合、条件は満たされ得る。ブロック1401bは、ブロックの以前の読出が1つ又は複数の訂正不能エラーをもたらしたかどうかを示す。この以前の読出は、ステップ1400内で言及した読出コマンド以外の以前の読出コマンドに関連し得る。以前の読出における1つ又は複数の訂正不能エラーに応答し、データを読み出すために読出回復プロセスが使用されている場合がある。ブロック1401bの入力が受信される場合、条件は満たされ得る。
【0132】
ブロック内のメモリセルの以前の読出が1つ又は複数の訂正不能エラーをもたらしたという判定に応答し、電圧検出器に評価を行わせるように制御回路を構成することができる。
【0133】
ブロック1401cは、ブロック内のワード線電圧が閾値を下回るかどうかを示す。ワード線電圧が閾値を下回る場合にはセルが第1の読出条件にあるように、この閾値は十分低いものとすることができる。ワード線電圧は、
図13A及び
図24Bに関して論じた技術を使用してセンスすることができる。ブロック1401cの入力が受信される場合、条件は満たされ得る。
【0134】
判定ステップ1401が真の場合、ステップ1402は選択されたワード線に読出前電圧パルスを印加することを含み、ステップ1403は選択されたメモリセルを読み出すことを含む。
図15A及び
図15Bを参照されたい。一実装形態では、読出前電圧パルスを選択されたワード線に印加するが、選択されたブロック内の残りの選択されていないワード線には印加しない。別の実装形態では、読出前電圧パルスが更に選択されていないワード線の一部又は全てに同時に印加される。読出前電圧パルスは、とりわけ下位のプログラム済み状態にあるセルに対して弱いプログラミング又はソフトプログラミングを与える。パルスはセルにわたる電界を発生させ、この電界はパルスの持続時間及び振幅に比例して幾らかの電荷捕獲、従ってVthの幾らかの上昇を引き起こす。パルスの振幅及び持続時間によっては、パルスは高位状態にあるセルのVthを上昇させない場合がある。
【0135】
1つの選択肢では、ステップ1402aが、読出前電圧パルスの持続時間を固定持続時間に設定することを含む。読出前電圧パルスの振幅も固定振幅に設定することができる。別の選択肢では、ステップ1402bが、読出前電圧パルスの持続時間を経過時間に基づいて設定することを含む。読出前電圧パルスの振幅も経過時間に基づいて設定することができる。
図15Cを参照されたい。ステップ1402cは、読出前電圧パルスの持続時間を検出ワード線電圧に基づいて設定することを含む。読出前電圧パルスの振幅も検出ワード線電圧に基づいて設定することができる。
図15Dを参照されたい。ステップ1402dは、読出前電圧パルスの持続時間を温度に基づいて設定することを含む。読出前電圧パルスの振幅も検出温度に基づいて設定することができる。
図15Eを参照されたい。
【0136】
読出電圧が第2の読出条件について最適化される場合、読出前電圧パルスはセルを読み出す前にセルのVthを第2の読出条件に再び上昇させるのに有用である。
【0137】
図14Bは、
図1C内のブロック11と一致する別のプロセスの一例を示す。この事例では、初期読出に関する1つ又は複数の訂正不能エラーがない限り読出前電圧パルスを印加しない。ステップ1410は、選択されたメモリセルのための読出コマンドを受信することを含む。ステップ1411は、選択されたメモリセルを読み出すことを含む。1つの手法では、第2の読出条件について最適化される既定の読出レベルを使用する。判定ステップ1412が、1つ又は複数の訂正不能エラーがあるかどうか、例えば、ECCプロセスが全ての読出エラーを訂正できないかどうかを判定する。判定ステップ1412が偽の場合、ステップ1417で読出プロセスが終わる。判定ステップ1412が真の場合、ステップ1413は選択されたワード線に読出前電圧パルスを印加することを含む。ステップ1414は選択されたメモリセルを再び読み出し、判定ステップ1415は1つ又は複数の訂正不能エラーが依然としてあるかどうかを判定する。判定ステップ1415が偽の場合、ステップ1417で読出プロセスが終わる。判定ステップ1415が真の場合、ステップ1416は読出回復プロセスを行うことを含む。このプロセスは、読出電圧が高く及び/又は低くシフトされる反復読出試行を含み得る。
【0138】
任意選択的に、判定ステップ1415が真の場合、第2の読出前電圧パルスを印加することができる。第2の読出前電圧パルスの振幅及び/又は持続時間は、読出前電圧パルスの第1の印加の振幅及び/又は持続時間を上回り得る。
【0139】
ワード線電圧が十分長い時間にわたりフロートされる場合、訂正不能エラーをもたらす初期読出はワード線電圧のカップリングアップに幾らかの影響を有する。しかし、これは、読出動作時間を過度に延ばすことになる。セルのVthを上昇させる際、読出前電圧パルスのソフトプログラミングはワード線のカップリングアップよりも迅速に作用する。更に、読出前電圧パルスはブロック内の全てのワード線ではなく選択されたワード線に作用し得る。
【0140】
図15Aは、読出動作前に読出前電圧パルスが印加される、
図10Cと同様の読出動作における波形の一例のグラフを示す。
図10Cの波形1115〜1117、及び1120〜1122が繰り返される。読出前電圧パルス(グラフ1500)を読出波形の直前に印加する。読出前電圧パルスは、例えば、Vpassの振幅を有し得る。概して、パルスは、より大きい振幅及び/又はより長い持続時間を有する場合、セルのVthを上昇させる際により大きい影響を有する。読出前電圧パルスは、例えば、読出コマンドに応答してt0aからランプ上昇し、t0bからランプ下降し、そのため、持続時間はt0b〜t0aである。読出前電圧パルスが例えば0Vまでランプ下降した後、読出動作がt0から始まる。全体的な読出時間を最短にするために、読出前電圧パルスと読出動作との間の遅延を最小化することができる。読出前電圧パルスは、セルが読み出される前にセルのVthを上昇させるのを促進して読出エラーを減らす。グラフ1032によって示すように、読出動作後のワード線のカップリングアップも行うことができる。
【0141】
グラフ1500aは、電力消費量を減らすことができる読出前電圧パルスの選択肢を示す。この例では、読出前電圧パルスのランプ上昇率が読出動作中のその後のパス電圧のランプ上昇率を下回り得る。
【0142】
図15Bは、
図15Aに対応するチャネル電圧(Vch)のグラフを示す。グラフ1035aは、
図10Cのグラフ1035に対応する。
【0143】
図15Cは、
図14Aのプロセスのステップ1402bと一致する、読出前電圧パルスの持続時間及び/又は振幅対最後のセンス動作からの時間のグラフを示す。これは、最後の読出動作又は検証テストを含むプログラミング動作からの時間であり得る。読出前電圧パルスはメモリセルのVthの上昇を促進するため、持続時間及び/又は振幅は時間が増えるにつれて増加し、Vthはワード線電圧の放電によって次第に低下する。持続時間及び/又は振幅が大きい方が読出前電圧パルスの影響が大きくなる。持続時間は、例えば、約0.1ミリ秒〜200ミリ秒とすることができる。
【0144】
図15Dは、
図14Aのプロセスのステップ1402cと一致する、読出前電圧パルスの持続時間及び/又は振幅対検出ワード線電圧のグラフを示す。より低いWL電圧はワード線電圧が放電し、セルが第1の読出条件にあるか又は第1の読出条件に近いことを示すため、持続時間及び/又は振幅は検出WL電圧が減少するにつれて増加する。従って、メモリセルのVthを第2の読出条件に向けて再び上昇させるのを促進するために、より強い(より長い又はより大きい振幅の)読出前電圧が指示される。
【0145】
図15Eは、
図14Aのプロセスのステップ1402dと一致する、読出前電圧パルスの持続時間及び/又は振幅対温度のグラフを示す。即ち、パルスの持続時間及び/又は振幅は温度に反比例する。温度を明らかにするために
図1Aの温度センサ115を使用することができる。概して、低温では、より長いパルスの持続時間及び/又は振幅が必要である。(読出動作の直前に行われる)読出前の場合、メモリセルが第2の読出状態に突入するように読出前パルスを使用して電子を捕獲することが望まれる。電子を捕獲し、第1の読出状態から第2の読出状態にメモリセルを遷移させるのにかかる時間は低温では長くなる。トラップサイト間のホッピングに、低温ではより低速のメカニズムが関与すると考えられる。従って、低温ではより長いパルスの持続時間及び/又は振幅が好ましい。
【0146】
図15Fは、
図14Aのプロセスと一致する、エラー回数対プログラムパルス幅のグラフを両対数スケールで示す。このグラフは、第1の読出条件にあるセルを読み出すことによって得られた。パルスの持続時間が数ナノ秒等非常に短い場合、かかるパルスはエラー回数を大幅には減らさず、エラー回数はセルが第1の読出条件にあるときに予期される通りである。しかし、パルスの持続時間が数ミリ秒等まで長くなると、セルが第2の読出条件にあるときに予期される通りのレベルまでエラー回数が大幅に低減する。この例では、読出電圧が第2の読出条件について最適化されている。
【0147】
図16Aは、
図1C内のブロック12と一致するプロセスの一例を示す。この特徴は、ブロック内の全てのワード線に電圧パルスを周期的に印加することを含む。このプロセスは、読出前電圧パルスと同様の電圧パルスを使用し得る。1つの手法では、このプロセスは、選択されたワード線だけでなく1つ又は複数のブロック内の全てのワード線に電圧パルスを印加することができる。このプロセスは、読出コマンドと独立に行うことができる。パルスを周期的に発行させるコマンドをコントローラ内で定めることができる。そのコマンドが実行されると、1つの手法では、電圧ドライバ及び関連するパスゲート(
図24A及び
図24B)が1つ又は複数のブロック内の全てのワード線に電圧パルスを同時に印加するように構成される。別の手法は、1つ又は複数のブロック内の1つ又は複数のワード線に電圧パルスを同時に印加することである。
【0148】
様々な時点において様々なセットのブロックに電圧パルスが印加されるように、1つのダイ中に電圧パルスをずらすこともできる。この形態はピーク電流消費量を減らす。例えば、ブロックが複数の面(例えば、基板の様々なpウェル領域)内に配置される場合、一度に1つの面内にあるブロックずつパルスを印加することができる。又は、メモリ装置の構造によっては、一度に1つの面内にあるブロックの一部分ずつパルスを印加することができる。パルスは一度にブロックのセットずつ印加することができ、各セットは1つ又は複数のブロックを含む。
【0149】
図25に示すピーク電流消費量を減らす別の選択肢では、マルチダイメモリ装置内の複数のダイにわたって電圧パルスをずらすことができる。
【0150】
更に、SGSトランジスタ及びSGDトランジスタが導電状態にある状態で、Vbl=Vsourceに設定することによって電流消費量を減らすことができる。ストリングの両端が同じ電位にあるため、この形態は電流がストリング内を流れるのを防ぐ傾向がある。別の手法は、SGDトランジスタ又はSGSトランジスタを通過する電流がないように、SGDトランジスタ又はSGSトランジスタを(両方ではないが)カットオフすることである。チャネル電圧がフロートしていないように、SGSトランジスタ又はSGDトランジスタの一方は導電性であるべきである。
【0151】
数分に1回又は1時間に1回等、パルスは周期的に発行することができる。「周期的」という用語は、固定間隔並びに可変間隔を含むことが意図される。ワード線が放電し始めた場合、パルスはブロックを第2の読出条件に戻させる。パルスは、ブロックが第1の読出条件にあるか第2の読出条件にあるかを追跡することなしに実施することができる。一部の事例では、パルスの印加時に最近のセンス動作によってブロックが既に第2の読出条件にあることがある。この場合、パルスは殆ど又は全く影響がない可能性がある。他の事例では、ブロックが第1の読出条件に又は第1の読出条件の近くにあり得る。この場合、ブロックを第2の読出条件に戻す際にパルスが著しい影響を有し得る。1つの手法では、パルスを周期的に発行することがメモリ装置内の起動イベントに応答して開始され得る。このイベントはワード線の全てを0Vに、及び第1の読出条件に強制する。
【0152】
ステップ1600はタイマをスタートする。ステップ1601で、タイマがカウントを続ける。判定ステップ1602は、タイマが指定の期間までカウントしたかどうかを判定する。ブロック1602aは、例えば、高温の場合には期間が短いように、温度に基づいて期間を調節できることを示す。
図16Dを参照されたい。判定ステップ1602が偽の場合、ステップ1601を繰り返し、タイマがカウントを続行する。判定ステップ1602が真の場合、ステップ1603がタイマをリセットし、ステップ1604は、電圧パルスを使用して1つ又は複数のブロック内のメモリセルをリフレッシュすることを含む。リフレッシュすることは、少なくとも下位状態のセルのVthを第2の読出条件まで再び上昇させることを含む。ブロック1604aは、電圧パルスの持続時間及び/又は振幅を調節できることを示す。
図15C〜
図15Eのそれぞれに関して先に論じたように、例えば、この調節は最後のセンシングからの時間、WL電圧、及び温度に基づいて行うことができる。
【0153】
図16Bは、
図16Aのプロセスと一致する周期電圧パルスのグラフを示す。縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示す。パルスの例1610、1620、及び1630は、矢印1625によって表す持続時間及び矢印1626によって表す期間を有する。グラフ1611、1621、及び1631によって示すように、これらのパルス間でワード線電圧がカップリングアップされ、その後、減衰し始める可能性がある。読出動作及びプログラム動作等、ワード線への電圧印加を含む他の動作も周期電圧パルス間で行われ得る。図示の例では、各電圧パルスが共通の持続時間を有する。別の手法では持続時間が異なり得る。更に、図示の例では、共通の期間、例えば、パルス間の時間を使用して電圧パルスを示す。別の手法では期間が異なり得る。
【0154】
図16Cは、
図16Bと一致するチャネル電圧のグラフを示す。前述の通り、チャネル電圧は低くカップリングされ、その後、上昇し、ワード線のカップリングアップを引き起こし得る。例えば、パルス1610はt0においてランプ上昇し、t1においてランプ下降し、グラフ1616によって示すVchのダウンスパイクを引き起こす。パルス1620はt3においてランプ上昇し、t4においてランプ下降し、グラフ1627によって示すVchのダウンスパイクを引き起こす。パルス1630はt6においてランプ上昇し、t7においてランプ下降し、グラフ1636によって示すVchのダウンスパイクを引き起こす。ワード線電圧はt2、t5、及びt8から開始してカップリングアップされる。
【0155】
図16Dは、
図16Aのブロック1602aと一致する、パルス期間対温度のグラフを示す。前述の通り、この期間は高温の場合には短くすることができる。高温は、ワード線の放電率が最大である最悪の状況を表す。1つの手法では、この期間が室温を上回る温度では数分、例えば、1〜10分に設定され、室温以下では1〜2時間に設定される。
【0156】
図17Aは、
図1C内のブロック13と一致するプロセスの一例を示す。この特徴は、読出動作又はプログラミング動作の直後にソフト消去を行うこと(ブロック13)を含む。前述の通り、センス動作、例えば、読出又は検証テスト後にワード線電圧がフロートしている場合、ワード線電圧がチャネルによってカップリングアップされる。ステップ1700は、例えば、選択されたワード線に接続されるブロック内の選択されたメモリセルのための読出コマンド又はプログラムコマンドを受信することを含む。ステップ1701は、選択されたメモリセルの読出又は検証を行うことを含む。例えば、
図9に関して先に論じたように、検証動作はプログラミング動作に関連して行われる。ステップ1702は、ブロックのソフト消去を行うことを含む。
【0157】
読出コマンドを受信する前、ブロックは
図17B及び
図17Cに示すようなノーマル消去動作と、その後に続く
図9に示したようなプログラミング動作とにかけられた。プログラミングコマンドを受信する前、ブロックはノーマル消去動作にかけられた。
【0158】
図17Bは、ノーマル消去動作内で基板に印加される消去電圧の一例のグラフを示す。縦軸はVeraseを示し、横軸は消去ループ数を示す。VeraseはVinitの初期振幅を有し、次に続く各消去ループ内で振幅の点で上昇する。この例では、消去動作を完了するために合計3つのループを使用する。消去ループ1、2、及び3のそれぞれで消去電圧1711、1712、及び1713を印加する。Veraseは、例えば、ローカルインタコネクトによって基板(pウェル)に印加される電圧である。Veraseは、例えば、20〜25Vまでの振幅を有し得る。
【0159】
図17Cは、
図17Bと一致する、ブロック内のワード線に印加される検証電圧のグラフを示す。縦軸はVwl(ワード線電圧)を示し、横軸は消去ループ数を示す。消去検証電圧1714の一例を示す。この電圧(VvEr)は、例えば、0Vに近い振幅を有し得る。消去検証電圧は、典型的にはブロックの消去検証テストの一環として各消去電圧後に印加される。
【0160】
図18Aは、基板からチャネル内にホールが導入され、
図17のステップ1702と一致するソフト消去動作内でチャネルが消滅し始めるときの
図12Aのメモリストリング1200の一例の構成を示す。
図12Aの構成後、pウェル電圧が例えば5Vまで上げられ、チャネル電圧を消滅し始めるようにホール(「h+」)が基板からチャネルに入ることを引き起こす。
図19A〜
図19Dも参照されたい。SGSトランジスタの制御ゲートは、トランジスタがホールにとって導電状態にあるように、例えば、0Vに設定することができる。
【0161】
図12Aに比べて電子の数が減ったことによって表されているように電子がホールと結合し始める。この時間中、ワード線は0Vにおいて駆動することができ、そのため、ワード線はカップリングアップされない。SGDトランジスタの制御ゲートも0Vにおいて駆動することができる。このプロセスは、より小さい程度ではあるがノーマル消去動作内で起こることと同様であるため、ソフト消去と呼ばれる。例えば、
図17B及び
図17Cに図示するようなノーマル消去動作では、pウェルを例えば20〜25Vのはるかに高い電圧まで上昇させることができる。ノーマル消去動作は、十分高いチャネルからゲートへの電圧を与え、かかる電圧はセルの電荷捕獲層から電子を追い出し、プログラム済みセルのVthを消去状態のVthレベルまで下げる。典型的には、ノーマル消去動作ではセルを複数の反復内で消去する。各反復は、pウェル電圧を印加することと、その後に続く検証レベルVvEr(
図8A)を使用して検証テストを行うこととを含む。ソフト消去は、チャネルからゲートへの電圧がセルを消去するほど程十分高くはない点で異なる。更に、典型的には検証テスト又は複数の反復を使用することもない。更に、ソフト消去中のpウェル上の消去電圧の持続時間はノーマル消去中よりも短い場合がある。ソフト消去は、メモリセルを消去することなしにチャネルを消滅するのに十分なチャネルからゲートへの電圧を与える。
【0162】
1つの手法では、ソフト消去のpウェル電圧の振幅がノーマル消去の振幅の25〜50%未満であり、且つ/又はソフト消去のpウェル電圧の持続時間がノーマル消去の持続時間の25〜50%未満である。
【0163】
図18Bは、
図17のステップ1702及び
図18Aと一致するソフト消去動作内でチャネルが完全に消滅するときのメモリストリングの一例の構成を示す。チャネルは完全に消滅しており、そのため、Vch=0Vである。チャネルからのカップリングアップがないため、ワード線電圧はフロートしているが、約0Vに留まる。
【0165】
図19Aは、ソフト消去が後に続く読出動作における波形の一例のグラフを示す。
図19Bは、ソフト消去中のチャネル電圧を示す。
図19Cは、ソフト消去中のSGSトランジスタ電圧を示す。
図19Dは、ソフト消去中のpウェル電圧を示す。
図10Cの波形1115〜1117、及び1120〜1122が繰り返される。ソフト消去は、pウェル電圧Vp−wellが高められるt14〜t16(グラフ1930)に行われる。ソフト消去中はワード線が例えば0V(パス電圧よりも低いレベル)において駆動され(グラフ1033)、そのため、ワード線電圧はVchの上昇と共に更に高くフロートすることはない。続いてt17後、ワード線電圧がフロートされ得る(グラフ1034)。ワード線電圧はこの時点でフロートされるが、チャネル電圧が平衡状態(Vch=0V)に達しているため、ワード線電圧がより高いレベルにフロートすることはない。グラフ1910は、t13から開始してカップリングダウンされ、t15における0Vまで徐々に戻るチャネル電圧を示す。t16〜t17でVp−wellが再び0Vまでランプ下降される前にチャネル電圧がその遷移を完了したことを確実にするために、t16〜t15の時間的余裕を設ける。Vsgs(グラフ1920)はセンスが行われる間に高められ、Vwlもランプ下降するt12において0Vまでランプ下降する。
【0166】
基板上のpウェルの相対的に大きい静電容量により、Vp−wellをランプ上昇させるのにかかる時間はかなり長い場合がある。典型的には、pウェルは面内のブロックの下に広がる。次に記載する別の種類のソフト消去は、SGSトランジスタ及び/又はSGDトランジスタからゲート誘導ドレインリーク(GIDL)を使用してチャネル内にホールを導入する。この形態は、チャネルをより迅速にチャージアップしてソフト消去プロセスが消費する全体時間を短縮することができる。
【0167】
図20Aは、
図17のステップ1702と一致するソフト消去動作内のカップリングを使用してSGDトランジスタ及びSGSトランジスタの電圧が下げられる、センス動作の終了時にワード線を放電した直後のメモリストリングの一例の構成を示す。
図20A〜
図20Cでは、ソフト消去がGIDLを使用してソフト消去の時間を短縮する。GIDLソフト消去は、ゲートからドレイン/ソースへの負電圧でストリングのSGSトランジスタ及び/又はSGDトランジスタにバイアスをかけることを含む。ゲートからドレイン/ソースへの負電圧の振幅がより大きいとき、GIDLホール電流の量もより大きくなる。
【0168】
負電圧を使ってSGS制御ゲート及び/又はSGD制御ゲートを直接駆動するためにメモリ装置内で負電圧を得ることができない場合、隣接するワード線を使用し、SGS制御ゲート及び/又はSGD制御ゲート電圧を負のレベルまでダウンカップリングすることができる。この場合、隣接するワード線は非データワード線又はダミーワード線であり得る。例えば、制御ゲート1211はWLD4等のダミーワード線を表すことができ、制御ゲート1215はWLD2等のダミーワード線を表すことができる(
図4及び
図7A参照)。
【0169】
図21A〜
図21Dにおいて説明するように、ワード線電圧はワード線電圧のVpassのピークレベルから中間レベルVpassLまでランプ下降してから0Vの最終レベルまでランプ下降され得る。ワード線電圧がVpassからVpassLまでランプ下降されるとき、SGS制御ゲート及び/又はSGD制御ゲート電圧は、それらの制御ゲート電圧のピークレベルから0Vまでランプ下降される。その後、SGS制御ゲート及び/又はSGD制御ゲート電圧はフロートされ、例えば、電圧ドライバから切断され、それによりワード線電圧がVpassLから0Vまでランプ下降されるとき、それらの制御ゲート電圧が負のレベルまでダウンカップリングされる。例えば、VpassLを4.5Vとすることができ、それによりSGS制御ゲート及び/又はSGD制御ゲート電圧が約−4Vまでダウンカップリングされる。
図20Bを参照されたい。VpassLから0Vへの遷移は十分な量のダウンカップリングをもたらす一方、Vpassから0Vへの遷移はSGS制御ゲート及び/又はSGD制御ゲートへの過度なダウンカップリングをもたらし得る。相対的に多いGIDLホール電流を与えるために、VpassLは相対的に高くすることができる。
【0170】
図20Aは、ダミーワード線がVpassLから0Vに遷移する間、SGS制御ゲート及び/又はSGD制御ゲート電圧がどのように0Vから更に低くフロートされるかを示す。データワード線はチャネルからのカップリングによる変化を防ぐために0Vにおいて駆動される。この時点でチャネル電圧は負である。
【0171】
図20Bは、
図17のステップ1702と一致するソフト消去動作内の駆動負電圧を使用してSGDトランジスタ及びSGSトランジスタ電圧が下げられる、センス動作の終了時にワード線を放電した直後のメモリストリングの一例の構成を示す。メモリ装置内で負電圧を得ることができる場合、
図20Aのダウンカップリングプロセスを使用する代わりに、SGS制御ゲート及び/又はSGD制御ゲートを−4V等の負電圧で直接駆動することができる。
【0172】
図22A〜
図22Dにおいて説明するように、ワード線電圧はワード線電圧のVpassのピークレベルから0Vの最終レベルまでランプ下降され得る。SGS制御ゲート及び/又はSGD制御ゲート電圧はそれらの制御ゲート電圧のピークレベルから負のレベルまでランプ下降される。この時点でチャネル電圧は負である。
【0173】
図20Cは、GIDLを使用してSGDトランジスタ及びSGSトランジスタからチャネル内にホールが導入され、
図17のステップ1702及び
図20A又は
図20Bと一致するソフト消去動作内でチャネルが消滅し始めるときのメモリストリングの一例の構成を示す。この構成は、ダウンカップリング又は駆動負電圧の何れかにより、SGSトランジスタ及び/又はSGDトランジスタに適切なバイアスをかけることによってそれらのトランジスタからチャネル内にホールがどのように生成されるかを示す。チャネル電圧は消滅し始め、その後、
図18B等に示すように完全に消滅する。
【0174】
図21A〜
図21Dは、
図20A及び
図20Cと一致する、GIDLによるホールを生成するためにSGSトランジスタ及び/又はSGDトランジスタが負電圧までカップリングダウンされるソフト消去における波形を示す。
【0175】
図21Aは、
図20A及び
図20Cと一致する、パス電圧がVpassLまでランプ下降してから0Vまでランプ下降する、読出動作及びその後に続くソフト消去における波形の一例のグラフを示す。
図10Cの波形1115及び1116、並びに1120〜1122が繰り返される。波形1117aは、t12〜t14にワード線電圧がVpassのピークレベルと0Vとの間の中間レベルVpassLまでランプ下降することを除き、波形1117に対応する。t15においてVpassLから0Vまでランプ下降される前に所望のレベルに達していることを確実にするために、t14〜t15においてワード線電圧をVpassLに保つ。グラフ2110は、前述の通りチャネル電圧がダウンカップリングし、その後、上昇することを表す。
【0176】
t15においてワード線電圧がVpassLから0Vまでランプ下降されるとき、そのランプ下降はSGS制御ゲート及び/又はSGD制御ゲート電圧のダウンカップリングを図示の通り引き起こす。この時点のSGSトランジスタ及び/又はSGDトランジスタはGIDLによるホールをチャネル内に生成するようにバイアスがかけられ、そのため、t15〜t17にチャネルがチャージアップされ、ブロック内のメモリセルのソフト消去が行われる。ソフト消去中、ワード線電圧は、例えば、0Vにおいて駆動される(グラフ2111)。続いてt18後、ワード線電圧がフロートされ得る(グラフ2112)。
【0177】
図21Bは、ソフト消去の一例中のチャネル電圧を示す。グラフ2110は、t13から開始してカップリングダウンされ、t16における0Vまで徐々に戻るチャネル電圧を表す。t17でVsgd/Vsgsがもはやフロートされず、代わりに再び0Vにおいて駆動される前にチャネル電圧がその遷移を完了したことを確実にするために、t17〜t16の時間的余裕を設ける。
【0178】
図21Cは、ソフト消去の一例中のSGSトランジスタ及び/又はSGDトランジスタ電圧を示す。SGS制御ゲート及び/又はSGD制御ゲート電圧(グラフ2120)は、t13〜t14aに0Vまでランプ下降され、その後、(破線によって示すように)t14a〜t17においてフロートされる。
【0179】
図21Dは、ソフト消去の一例中のpウェル電圧を示す。t18において0Vまでランプ下降する前、Vp−well(グラフ2130)はソフト消去中1V等のレベルに留まり得る。
【0180】
図22A〜
図22Dは、
図20B及び
図20Cと一致する、SGSトランジスタ及び/又はSGDトランジスタを負電圧において駆動してトランジスタにバイアスをかけてGIDLによるホールを生成するソフト消去における波形を示す。
【0181】
図22Aは、読出動作及びその後に続くソフト消去における波形の一例のグラフを示す。
図21A〜
図21Dのソフト消去と比較し、このソフト消去プロセスはパス電圧をVpassLに保たないため、時間を短縮することができる。
図10Cの波形1115〜1117、及び1120〜1122が繰り返される。波形2110は、前述の通りチャネル電圧がt13においてダウンカップリングし、その後、上昇することを示す。
【0182】
t13〜t14にSGS制御ゲート及び/又はSGD制御ゲート電圧が負電圧までランプ下降され、それによりSGSトランジスタ及び/又はSGDトランジスタはGIDLによるホールをチャネル内に生成する。t14〜t16にチャネルがチャージアップされ、ブロック内のメモリセルのソフト消去が行われる。ソフト消去中、ワード線電圧は、例えば、0Vにおいて駆動される(グラフ2211)。続いてt17後、ワード線電圧がフロートされ得る(グラフ2212)。
【0183】
図22Bは、ソフト消去の一例中のチャネル電圧を示す。グラフ2210は、t13から開始してカップリングダウンされ、t15における0Vまで徐々に戻るチャネル電圧を示す。t16でVsgd/Vsgsが再び0Vまでランプ上昇される前にチャネル電圧がその遷移を完了したことを確実にするために、t16〜t15の時間的余裕を設ける。
【0184】
図22Cは、ソフト消去の一例中のSGSトランジスタ及び/又はSGDトランジスタ電圧を示す。SGS制御ゲート及び/又はSGD制御ゲート電圧(グラフ2220)は、t13〜t14に負値までランプ下降され、その後、t16から0Vまでランプ上昇される。
【0185】
図22Dは、ソフト消去の一例中のpウェル電圧を示す。t17において0Vまでランプ下降する前、Vp−well(グラフ2230)はソフト消去中1V等のレベルに留まり得る。
【0186】
図23は、
図1Aの列制御回路内のセンスブロック51のブロック図の一例を示す。この列制御回路は複数のセンスブロックを含むことができ、各センスブロックはそれぞれのビット線によって複数のメモリセルに対するセンシング、例えば、読出動作を行う。
【0187】
1つの手法では、センスブロックがセンス増幅器とも呼ばれる複数のセンス回路を含む。各センス回路は、データラッチ及びキャッシュに関連する。例えば、センス回路の例2350a、2351a、2352a、及び2353aは、キャッシュ2350c、2351c、2352c、及び2353cのそれぞれに関連する。1つの手法では、それぞれの異なるセンスブロックを使用してビット線の異なる部分集合をセンスすることができる。これは、センス回路に関連する処理負荷を分割し、各センスブロック内のそれぞれのプロセッサによって処理することを可能にする。例えば、センス回路コントローラ2360は、例えば16個のセンス回路及びラッチのセットと通信することができる。センス回路コントローラは、プレチャージ電圧を設定するための電圧を各センス回路に与えるプレチャージ回路2361を含み得る。センス回路コントローラは、メモリ2362及びプロセッサ2363も含み得る。
【0188】
図24Aは、メモリセルのブロックに電圧を与えるための回路の一例を示す。この例では、行デコーダ2401がブロック2410のセット内の各ブロックのワード線及び選択ゲートに電圧を与える。このセットは面内にあることができ、ブロックBLK0〜BLK7を含む。行デコーダは、ブロックを行デコーダに接続するパスゲート2422に制御信号を与える。典型的には、動作、例えば、プログラム、読出、又は消去は一度に1つの選択されたブロックずつ行われる。行デコーダは、グローバル制御線2402をローカル制御線2403(ワード線又は選択ゲート線)に接続することができる。制御線は導電路を表す。電圧源2420からグローバル制御線上に電圧が与えられる。電圧源は、グローバル制御線に接続するスイッチ2421に電圧を与えることができる。電圧源2420からスイッチ2421に電圧を通すために、パストランジスタ又は転送トランジスタとも呼ばれるパスゲート2424が制御される。電圧源2420は、例えば、ワード線(WL)、SGS制御ゲート、及びSGD制御ゲート上に電圧を与えることができる。
【0189】
本明細書に記載の機能を実行するために、行デコーダを含む様々な要素がステートマシン112又はコントローラ122等のコントローラからコマンドを受信し得る。
【0190】
ノーマル消去又はソフト消去において、ソース線電圧源2430は制御線2432によって基板内のソース線/拡散領域(pウェル)に消去電圧を与える。1つの手法では、ソース拡散領域2433がブロックにとって共通である。ビット線2442のセットもブロックによって共用される。ビット線電圧源2440がビット線に電圧を与える。1つのあり得る実装形態では、電圧源2420がビット線電圧源に近い。
【0191】
ワード線電圧検出器2460が、各ブロック内のワード線の1つに接続される。電圧検出器は、例えば、
図24B等に示すような動作可能な増幅器比較器を含み得る。
【0192】
図24Bは、
図13Aのプロセスと一致する、ワード線電圧を検出するための
図24Bと一致する回路の一例を示す。この回路は、ブロックの一例におけるワード線電圧検出に関係するため、
図24Aの回路の部分集合を含む。BLK0のワード線及び選択ゲート線(制御線)を図示する。各制御線にパスゲートが接続される。例えば、パスゲート2470がSGD0の制御線に接続される。パスゲートの制御ゲートが、共通経路2471に接続される。経路上の電圧が十分高い場合、制御線が行デコーダ2401によって電圧ドライバに接続される。経路上の電圧が十分低い場合、制御線が電圧ドライバから切断され、フロートされる。
【0193】
この例では、線2472上の制御信号がパスゲート2412を導電性にするのに十分高い場合、ワード線電圧検出器2460に接続される導電路2473によってワード線電圧がWLL4から得られる。ワード線電圧検出器は比較器を含み得る。比較器は、ワード線電圧Vwlを受信する非反転入力と、基準電圧Vref、正の電力供給+Vs、及び負の電力供給−Vsのそれぞれを受信する反転入力と、Voutを与える出力とを含む。Vwl>Vrefの場合にはVout=+Vsであり、Vwl<Vrefの場合にはVout=−Vsである。アナログ出力値をコントローラに与えることができ、コントローラはそのアナログ出力値を0ビット又は1ビットに変換してVwl>Vref又はVwl<Vrefをそれぞれ表す。ビット=0の場合、コントローラは1つの読出電圧のセットを選択することができる。ビット=1の場合、コントローラは別の読出電圧のセットを選択することができる。更に、VwlをVrefの様々な値と比較してVwlを3つ以上の範囲に分類することができる。Vwlが分類される範囲に基づいて対応する読出電圧のセットを選択することができる。
図13C及び
図13Dを参照されたい。
【0194】
1つの手法では、Vwlと第1のレベルを有する基準電圧との間で第1の比較を行う。次いで、Vwlと第1の比較に基づく第2のレベルを有する基準電圧との間で第2の比較を行う。例えば、Vrefは1V、2V、又は3Vの何れか1つに設定できると仮定する。第1の比較がVref=2Vを使用し得る。Vwl<2Vの場合、第2の比較はVref=1Vを使用し得る。このようにして、検出器がVwlを幾つかの範囲(例えば、0〜1V又は1〜2V)の1つに迅速に分類して、対応する読出電圧のセットを選択することを可能にし得る。
【0195】
Vrefと比較する電圧は、例えば、完全なワード線電圧Vwl又はワード線電圧の一部とすることができる。電圧検出器が周辺領域内にある場合があり、それによりワード線と検出器との間にRC遅延をもたらす感知できるほどの距離がある。更なる問題は、フローティング状態にあるワード線は導電路2473よりも小さい静電容量を有し得ることである。これらの問題は検出プロセス内で考慮することができる。例えば、検出器における2V未満の電圧がワード線における2Vの電圧に対応する場合がある。検出器の出力は、パスゲート2412によってワード線を検出器に接続した後の指定の時間に取ることができる。
【0196】
概して、ブロック内の1つのワード線の電圧を測定すれば十分である。端にあるワード線(例えば、WLL0又はWLL10)の電圧は縁効果の影響を受ける場合があるため、かかるワード線の使用は回避するのが有用である。一部の事例では、WLL0から始まるブロックの下部にある一部のワード線がプログラムされる一方、他の高位のワード線がプログラムされないように、ブロックを部分的にプログラムすることができる。セルのプログラム済み状態は、ワード線電圧の測定値に著しく影響を及ぼすべきではない。
【0197】
図25は、
図16Aのプロセスと一致する、一度に1個のダイずつ複数のダイに対して電圧パルスが実行されるメモリ装置2500を示す。一例として3個のメモリダイ2510、2520、及び2530を示す。オフダイ制御回路2502は、読出前動作の一環として等、電圧パルスを印加すべきであると決定し、それに応答し、ダイ2530等のダイの1つから開始してインタフェース2530dにコマンドを与えることによって電圧パルスの印加を開始する。そのコマンドに応答し、オンダイ制御回路2530cが、行デコーダ2530bに電圧パルスを与えるように電圧ドライバ2531に命令し、電圧ドライバからの電圧パルスをアレイ2530a内のワード線に切り替えるように行デコーダに命令する。オンダイ制御回路は、例えば、
図1Aの制御回路110であり得る。メモリダイ2530に対する操作が完了すると、メモリダイ2530はオフダイ制御回路に折り返し報告する。
【0198】
ダイ2520において印加すべき電圧パルスを引き起こす前に、オフダイ制御回路は10マイクロ秒等の僅かな待ち時間を履行することができる。オフダイ制御回路が、インタフェース2520dにコマンドを与える。そのコマンドに応答し、オンダイ制御回路2520cが、行デコーダ2520bに電圧パルスを与えるように電圧ドライバ2521に命令し、電圧ドライバからの電圧パルスをアレイ2520a内のワード線に切り替えるように行デコーダに命令する。メモリダイ2520に対する操作が完了すると、メモリダイ2520はオフダイ制御回路に折り返し報告する。
【0199】
最後に、オフダイ制御回路がダイ2510のインタフェース2510dにコマンドを与える。そのコマンドに応答し、オンダイ制御回路2510cが、行デコーダ2510bに電圧パルスを与えるように電圧ドライバ2511に命令し、電圧ドライバからの電圧パルスをアレイ2510a内のワード線に切り替えるように行デコーダに命令する。メモリダイ2510に対する操作が完了すると、メモリダイ2510はオフダイ制御回路に折り返し報告する。
【0200】
前述の通り、電圧パルスを一度に1個のダイずつ印加するため、電圧ドライバのピーク電力消費量が低減される。
【0201】
一実装形態では、機器が、メモリセルのブロックであって、メモリセルはワード線のセットに接続される、メモリセルのブロックと、ワード線のセットの1つ又は複数のワード線に接続される電圧検出器であって、1つ又は複数のワード線の電圧の評価を行うように構成される、電圧検出器と、電圧検出器と通信する制御回路であって、ブロック内の選択されたメモリセルを読み出すための読出電圧のセットを評価に基づいて決定するように構成される、制御回路とを含む。
【0202】
1つの方法は、ブロックの選択されたメモリセルに関与する読出コマンドに応答し、選択されたメモリセルを読み出す前に読出前電圧パルスを選択されたメモリセルに印加するための条件が満たされているかどうかを判定するステップと、条件が満たされている場合、選択されたメモリセルを読み出す前に読出前電圧パルスを選択されたメモリセルに印加するステップと、条件が満たされていない場合、選択されたメモリセルに読出前電圧パルスを印加することなしに選択されたメモリセルを読み出すステップとを含む。
【0203】
関係する別の機器は、上記のステップのそれぞれを実行するための手段を含む。この手段は、例えば、
図1A及び
図2のメモリ装置100の要素を含み得る。例えば、電力制御モジュール116は、メモリ操作中にワード線、選択ゲート線、及びビット線に供給される電力及び電圧を制御する。更に、この手段は、電圧ドライバ、スイッチ、及びパストランジスタを含む
図24A及び
図24Bの要素を含み得る。手段は、制御回路110及びコントローラ122等、
図1A及び
図2内の制御回路の何れかを更に含み得る。
【0204】
別の実装形態では、機器が、メモリセルのセットの閾値電圧をリフレッシュする時間を周期的に決定するためのタイミング手段であって、メモリセルのセットはメモリセルの1つ又は複数のブロックを含む、タイミング手段と、タイミング手段に応答して、1つ又は複数のブロックの各ブロックのメモリセルに接続されるワード線のセットに電圧パルスを印加するための手段とを含む。
【0205】
別の実装形態では、機器が、メモリセルのブロックと、ブロックの選択されたメモリセルに関与する読出コマンド又はプログラムコマンドに応答して選択されたメモリセルをセンスし、続いてメモリセルのブロックのソフト消去を行うように構成される制御回路とを含む。
【0206】
本発明の上記の詳細な説明は例示及び説明目的で示してきた。上記の説明は、網羅的であることも、本発明を開示した厳密な形態に限定することも意図されない。上記の教示に照らして、多くの修正形態及び改変形態が可能である。記載した実施形態は、本発明の原理及びその実用的応用を最も良く説明して、それにより様々な実施形態において及び考えられる特定の使用法に適した様々な修正形態と共に、当業者が本発明を最も良好に活用できるようにするために選択された。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定められることが意図される。
以下の項目は、本出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
[項目1]
メモリセルのブロック(BLK0〜BLK3)と、
前記ブロックの選択されたメモリセルのセンシングを含む動作を行うためのコマンドに応答して前記動作を行い、且つ前記動作後に前記メモリセルのブロックのソフト消去を行うように構成された制御回路(110、122)と
を含む機器。
[項目2]
前記選択されたメモリセルは、選択されていないメモリセルを含む直列接続されたメモリセルのセット(700n〜703n、710n〜713n、720n〜723n、730n〜733n)内に配置され、
直列接続されたメモリセルの各セットは、チャネル(665)を含み、
前記選択されたメモリセルの前記センシングを行うために、前記制御回路は、前記ブロックの選択されていないメモリセルにパス電圧を印加する間、前記選択されたメモリセルにセンス電圧(VvA〜VvG;VrA〜VrG)を印加するように構成され、
前記選択されたメモリセルの前記センシング後、前記制御回路は、前記パス電圧よりも低いレベルで前記選択されていないメモリセルの電圧を駆動し、前記チャネルのダウンカップリングを引き起こすように構成され、及び
前記制御回路は、前記チャネルがダウンカップリングされる間、前記ソフト消去を行うように構成される、項目1に記載の機器。
[項目3]
前記制御回路は、前記選択されていないメモリセルが前記より低いレベルで駆動される間に前記ソフト消去を行い、且つ前記ソフト消去の開始後に指定の時間にわたり前記選択されていないメモリセルの電圧をフロートさせるように構成される、項目2に記載の機器。
[項目4]
前記メモリセルは、ワード線のセット(WLL0〜WLL10)に接続され、且つ直列接続されたメモリセルのセット(700n〜703n、710n〜713n、720n〜723n、730n〜733n)内に配置され、
直列接続されたメモリセルの各セットは、チャネル(665)、ソース端(613)、及び前記ソース端における選択ゲートトランジスタを含み、
前記ソース端は、基板(611)のpウェル(611b)に接触し、及び
前記ソフト消去を行うために、前記制御回路は、前記pウェル及び前記直列接続されたメモリセルのセットの前記ソース端における前記選択ゲートトランジスタにバイアスをかけて、前記pウェルから前記チャネル内にホールを通過させるように構成される、項目1〜3の何れか一項に記載の機器。
[項目5]
前記メモリセルは、ワード線のセット(WLL0〜WLL10)に接続され、且つ直列接続されたメモリセルのセット(700n〜703n、710n〜713n、720n〜723n、730n〜733n)内に配置され、
直列接続されたメモリセルの各セットは、チャネル(665)、ソース端(613)、及び前記ソース端における選択ゲートトランジスタを含み、
前記ソース端は、基板(611)のpウェル(611b)に接触し、及び
前記ソフト消去を行うために、前記制御回路は、ゲートからドレインへの負電圧で前記選択ゲートトランジスタにバイアスをかけるように構成される、項目1〜3の何れか一項に記載の機器。
[項目6]
前記制御回路は、前記ブロックのための消去コマンドに応答して前記メモリセルのブロックのノーマル消去を行うように構成され、
前記ノーマル消去を行うために、前記制御回路は、前記基板及び前記直列接続されたメモリセルのセットの前記ソース端における前記選択ゲートトランジスタに第1の持続時間にわたってバイアスをかけるように構成され、及び
前記ソフト消去を行うために、前記制御回路は、前記基板及び前記直列接続されたメモリセルのセットの前記ソース端における前記選択ゲートトランジスタに、前記第1の持続時間の25〜50%未満である第2の持続時間にわたってバイアスをかけるように構成される、項目5に記載の機器。
[項目7]
前記制御回路は、前記ブロックのための消去コマンドに応答して前記メモリセルのブロックのノーマル消去を行うように構成され、
前記ノーマル消去を行うために、前記制御回路は、前記基板にバイアスを与え、且つ前記直列接続されたメモリセルのセットの前記ソース端における前記選択ゲートトランジスタにバイアスを与えるように構成され、
前記ソフト消去を行うために、前記制御回路は、前記基板にバイアスを与え、且つ前記直列接続されたメモリセルのセットの前記ソース端における前記選択ゲートトランジスタにバイアスを与えるように構成され、及び
前記ソフト消去中の前記基板に対する前記バイアスの大きさは、前記ノーマル消去中の前記基板に対する前記バイアスの大きさの25〜50%未満である、項目5に記載の機器。
[項目8]
前記メモリセルは、ワード線のセットに接続され、且つ直列接続されたメモリセルのセット(700n〜703n、710n〜713n、720n〜723n、730n〜733n)内に配置され、
直列接続されたメモリセルの各セットは、チャネル(665)、ソース端(613)、及び選択ゲートトランジスタを含み、及び
前記ソフト消去を行うために、前記制御回路は、前記直列接続されたメモリセルのセットの前記選択ゲートトランジスタにバイアスをかけて、ゲート誘導ドレインリークによって前記チャネル内にホールを生成するように構成される、項目1〜3の何れか一項に記載の機器。
[項目9]
前記ソフト消去を行うために、前記制御回路は、負電圧で前記選択ゲートトランジスタの制御ゲート(1210、1216)にバイアスをかけるように構成される、項目8に記載の機器。
[項目10]
前記制御回路は、前記チャネルの電圧が負電圧までダウンカップリングされる間、前記ソフト消去を行うように構成され、及び
前記ソフト消去は、前記チャネル内にホール電流を生成して、前記チャネルの前記負電圧を消滅させる、項目8又は9に記載の機器。
[項目11]
前記動作は、読出動作であって、前記センシングが前記選択されたメモリセルのデータ状態を読み出すことを備える読出動作を含む、又はプログラム動作であって、前記センシングが前記選択されたメモリセルの検証テストを備えるプログラム動作を含む、項目1〜10の何れか一項に記載の機器。
[項目12]
前記制御回路は、前記ブロックのための消去コマンドに応答して前記メモリセルのブロックのノーマル消去を行うように構成され、
前記ソフト消去は、単一の反復内で行われ、及び
前記ノーマル消去は、複数の反復内で行われる、項目1〜11の何れか一項に記載の機器。
[項目13]
前記制御回路は、前記ブロックのための消去コマンドに応答して前記メモリセルのブロックのノーマル消去を行うように構成され、
前記ソフト消去は、チャネルからゲートへの電圧であって、前記メモリセルのブロック内におけるメモリセルの閾値電圧を消去検証電圧未満に下げるのに十分高くない電圧を、前記メモリセルのブロックに与え、及び
前記ノーマル消去は、前記チャネルからゲートへの電圧であって、前記メモリセルのブロック内におけるメモリセルの閾値電圧を前記消去検証電圧未満に下げるのに十分高い電圧を、前記メモリセルのブロックに与える、項目1〜12の何れか一項に記載の機器。
[項目14]
接続されたメモリセルのセット(700n〜703n、710n〜713n、720n〜723n、730n〜733n)の選択されていないメモリセルにパス電圧を印加しながら、前記接続されたメモリセルのセット内の選択されたメモリセルにセンス電圧を印加するステップと、
前記センス電圧が印加されている間、前記選択されたメモリセルをセンスするステップと、
前記センスするステップ後、前記選択されていないメモリセルの制御ゲート電圧を前記パス電圧からより低いレベルに駆動し、前記接続されたメモリセルのセットのチャネルの電圧のダウンカップリングを引き起こすステップと、
前記より低いレベルで前記制御ゲート電圧を駆動しながら、前記チャネルの前記電圧を消滅させるために前記チャネル内にホール電流を生成するステップと、
前記ホール電流を生成した後、前記選択されていないメモリセルの前記制御ゲート電圧をフロートさせるステップと
を含む方法。
[項目15]
前記ホール電流を生成する前記ステップは、前記接続されたメモリセルのセットの選択ゲートトランジスタにバイアスをかけて、ゲート誘導ドレインリークを引き起こすステップを含む、項目14に記載の方法。