(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属管の下方先端部を階段状に加工し、この階段状加工寸法と前記主電極板周壁部内壁の階段状加工寸法とを一致したことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
前記蓋状絶縁体は、下方に伸延した周側壁の下端内側角部をテーパー状に切削形成し、前記蓋状絶縁体の下方開口縁部の開口径を開口に近づくに連れて徐々に拡幅したことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【背景技術】
【0002】
近年、FPD(Flat Panel Display)や太陽電池セル等の電子デバイスの製造において、プロセスガスをプラズマで励起・分解した気相状態を利用して基盤上に薄膜を堆積するPECVD(Plasma−Enhanced Chemical Vapor Deposision)技術が広く用いられている。
【0003】
PECVD装置は、低温で緻密な膜形成できる点、熱ダメージや層間相互拡散を抑制できる点、熱分解しにくい原料でも実用的な堆積速度が得られやすい点、熱分解温度の異なる複数種類の原料を用いて様々な組成比で薄膜を形成できる点等で、熱CVD装置に比べて有利である。
【0004】
一方、PECVD装置を用いた膜形成における対象基盤の面内均一性は、様々な要因を調整する必要が有り、特に、膜形成においては、対象基盤が大面積化するほど面内均一性の低下が顕著になる。
【0005】
PECVD装置による膜形成における対象基盤の面内均一性が低下する要因は、3つに大別して考えることができ、1つ目は、閉じられた減圧下の空間にプラズマ生成用周波電力を印加することにより発生する定在波、2つ目は、プラズマ処理空間におけるプロセスガスの分布の不均一、3つ目は対象基盤の表面温度の面内均一性である。
【0006】
1つ目の定在波が発生すると、プロセスガスが均一に分布していても、プラズマ処理空間に発生するグロー放電に斑が生じ、定在波が発生した場所には成膜されない。(λを周波数の波長とすると、1/4λ毎)すなわち、プラズマ処理空間には、プラズマ生成に用いる周波数の波長に応じた定在波が発生するため、使用周波数が高くなるほど定在波の間隔が短くなって影響が大きくなる。
【0007】
2つ目のプロセスガスの分布の不均一が発生すると、電極間が一様にグロー放電していても、プラズマ処理空間に発生する活性種に偏りが生じる。処理面積が大面積化するほど、プロセスガスの分布の不均一は発生しやすくなる。従来、プラズマ処理空間に導入するプロセスガスを複数の通気孔が設けられたシャワー板を通過させて分散させて供給することにより、基盤上に発生するプラズマの原料となるプロセスガス密度の面内均一性を向上させていたが、プロセスガスが面方向に十分に分散せず、ガス導入口直下の膜圧が厚くなりやすく、基盤上に形成する薄膜の厚さが不均一になるという問題があった。
【0008】
3つ目の基盤の表面温度の面内均一性は、対象基盤に成膜する膜厚分布や膜質に影響を及ぼす。加熱方法は、抵抗加熱のヒータープレート方式や、IR(InfraRed)ランプ等により、ゾーン分割した様々な制御を行っている。
【0009】
近年、FPD(Flat Panel Display)、太陽電池や半導体基盤の低温プロセスや大面積化の要請により、高周波を用いたPECVD、アッシング及び、エッチング装置等での面内均一性の向上を図るべく、様々なアプローチにより解決が試みられている(例えば、特許文献1,2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した特許文献1,2に記載のアプローチでは、PECVD装置を用いた大面積での膜形成の面内均一性の向上が十分ではなかった。
【0012】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、プラズマ処理による膜形成の面内均一性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の態様の1つは、反応容器内に配設した
主電極板と1以上の拡散板から構成された電極板と、前記反応容器内に前記電極板に対向させて平行に配設した対向電極と、前記電極板の前記対向電極に対向しない非対向側から接続され、前記反応容器外から前記電極板に周波電力を供給する伝送路と、前記反応容器内に配設されて前記電極板を内部に
密着して収容する蓋状絶縁体と、前記伝送路に設けてガス供給機能を果たすと共に、吊下げ状で前記電極板に貫通接続して
当該貫通部分において前記電極板に通電接続した金属管と、よりなるプラズマ処理装置である。
【0014】
このように構成したプラズマ処理装置においては、前記伝送路に設けてガス供給機能を果たすと共に、吊下げ状で前記電極板に貫通接続してなる金属管は、第1空間に露出した第1空間露出部を有しており、第1空間露出部には、複数のガス噴出口が周方向に沿って放射状に等間隔で6〜8個の穴を開けている。ガス噴出口は、金属管内に長さ(縦)方向に沿って形成されているガス供給路に連通している。これにより、ガス噴出口から噴出するプロセスガスは、第1空間において、主電極板及び第1拡散板の略面方向に沿って噴出する。
さらに、金属管には第1拡散板の下方に第2拡散板及びシャワー板を配設して第2空間及び第3空間を設け、各板には、後述する複数の小孔をいずれも板全体に万遍なく重複しないように分布形成している。
このような吊下げ状の構成にすることより、第1空間から複数の小孔を通って第2空間へ流入するプロセスガスは第2拡散板に沿って面方向に拡散され、第2空間から複数の小孔を通って第3空間へ流入するプロセスガスはシャワー板に沿って面方向に拡散される。
このため、ガス噴出口から電極板の面方向に沿って略全方位に噴出されたプロセスガスは、第1空間から第2空間、第3空間そしてプラズマ処理空間に到るまでに、各板の小孔を通過する度に面方向の分散性が向上してガス分布の一様性を徐々に向上させることができるため、プラズマ処理による膜形成の面内均一性を向上させることができる。
【0015】
本発明の選択的な態様の1つは、前記蓋状絶縁体の内底面には前記電極板の前記非対向側が密着し、前記蓋状絶縁体の内側面には前記電極板の側面が密着し、下方開口の前記蓋状絶縁体の周側壁を下方に伸延し、伸延した周側壁の開口縁部の突出長d1よりも突出長d1の突出端面と対向電極との隙間d2が狭くなるように電極板と対向電極の間隔を調整した状態でプラズマ処理を行うように構成したことを特徴とするプラズマ処理装置である。
【0016】
このように構成したプラズマ処理装置によれば、プラズマ処理空間におけるプロセスガスは、周波電力を印加することによりグロー放電が起き、グロー放電により分解、励起しプラズマ(電離気体)が生成される。このプラズマを前記蓋状絶縁体と前記対向電極とで形成されるプラズマ処理空間に閉じ込めが可能であり、プラズマ閉じ込めにより成膜効率、照射損傷(Radiation Damage)及びパーティクル(Particle)の低減等が顕著に向上する。
【0017】
本発明の選択的な態様の1つは、前記
主電極板の周縁部は前記対向電極に向けて階段状の主電極板周壁部で構成し、前記主電極板周壁部の階段状の内壁に前記
拡散板を電気的に連結し、前記電極板と主電極板周壁部とにより閉塞され
た密閉空間を構成したことを特徴とするプラズマ処理装置である。
【0018】
このように構成したプラズマ処理装置によれば、電極板は、対向電極のステージに近い側から、シャワー板、第2拡散板、第1拡散板、主電極板の順に並設され、下方に開放の主電極板周壁部の階段状の内壁にそれぞれ連結されて電気的に接続されている。各板の間の空間は、第1拡散板、第2拡散板及びシャワー板に形成される複数の小孔を除いて、隣接する板面と主電極板周壁部とにより閉塞され
た密閉空間を構成することができるため、前記複数の小孔を通してプロセスガスが表裏に流通可能としている。
【0019】
本発明の選択的な態様の1つは、前記金属管の下方先端部を階段状に加工し、この階段状加工寸法と前記主電極板周壁部内壁の階段状加工寸法とを一致したことを特徴とするプラズマ処理装置である。
【0020】
このように構成したプラズマ処理装置によれば、電極板の各板にそれぞれ金属管を連結することにより、電極板の各板が金属管に吊り下げ状に支持され、又、金属管の下方先端部は階段状に加工されていて、この階段状加工寸法と主電極板の主電極板周壁部内壁の階段状加工寸法を一致させることにより、これらの段差により電極板の各板の空間(間隔)を、その連結部位において維持することができる。
【0021】
本発明の選択的な態様の1つは、前記蓋状絶縁体は、下方に伸延した周側壁の下端内側角部をテーパー状に切削形成し、前記蓋状絶縁体の下方開口縁部の開口径を開口に近づくに連れて徐々に拡幅したことを特徴とするプラズマ処理装置である。
【0022】
このように構成したプラズマ処理装置によれば、プラズマ閉じ込めの実効を上げつつ、プラズマを閉じ込めたプラズマ処理空間に配置する成膜の対象物のサイズを有効的に大きくすることが可能になる。すなわち、蓋状絶縁体の開口縁部付近は、プロセスガスや活性種がプラズマ処理空間から流出する流出口に相当するところ、この流出口付近であれば、開口縁部を徐々に拡幅してプラズマ閉じ込め空間を実質的に拡張してもプロセスガスや活性種の密度に斑を生じにくい。
【0023】
本発明の選択的な態様の1つは、前記蓋状絶縁体の上面及び側面の一部が金属製シールドプレートで覆われており、前記金属製シールドプレートは前記蓋状絶縁体に連結した絶縁性連通路の側面を覆うシールドパイプを介してグランドに接続したことを特徴とするプラズマ処理装置である。
【0024】
このように構成したプラズマ処理装置によれば、前記蓋状絶縁体の上面及び上面から連続する側面の少なくとも一部をシールドプレートで覆うとともに、前記シールドプレートは絶縁性連通路の側面を覆うシールドパイプと連続接続してグランドに接続されているために、誘電絶縁体の表面にチャージアップする静電気を防止し、電極板の上面及び側面で発生するグロー放電を防止することにより、周辺外部(反応容器及び反応容器蓋の内面壁)への成膜を防ぐことができる。
【0025】
本発明の選択的な態様の1つは、前記吊下げ状で前記電極板に貫通接続した 金属管は、前記主電極板と1以上の拡散板及びシャワー板の全てを貫通して当該貫通部分において通電接続したことを特徴とするプラズマ処理装置である。
【0026】
このように構成したプラズマ処理装置によれば、金属管31の頭頂部にナット38により接続され、金属管31の連結部11a〜11dを通して1枚の電気的に一体になるよう連結された電極板11(主電極板12、第1拡散板13、第2拡散板14及びシャワー板15が連結されて電気的に一体の電極板とした。)に周波電力が供給される。
これにより、電極板11を構成する複数個所の各板12〜15へ入力する周波電力の周波数は一定になり、しかも電極板11の連結部11a〜11dへ入力する周波電力の位相も一致し、プラズマ処理空間PSに発生する定在波の抑制が可能であり、グロー放電の一様性を容易に向上することができる。
【0027】
本発明の選択的な態様の1つは、前記吊下げ状で前記電極板に貫通接続した金属管を、複数配設したことを特徴とするプラズマ処理装置である。
【0028】
このように構成したプラズマ処理装置によれば、前記吊下げ状で前記電極板11に貫通接続した金属管31を、複数配設し、当該金属管31と前記電極板11の連結部11a〜11dの接続距離のa〜jを全て1/4λ未満の距離になるようにすることにより、前記のようなプラズマ処理空間PSに発生する定在波の抑制が可能であり、グロー放電の一様性を容易に向上することができるため、周波電力が高周波化した場合及び/又は成膜面積の増大に対応するべく電極板11の面積を更に大面積化した場合等においても、電極板11において均一なグロー放電を実現可能となる。すなわち、パネルサイズの大型化に対応が可能である。
【0029】
なお、以上説明したプラズマ処理装置やプラズマ処理用反応容器の構造は、他の機器に組み込まれた状態で実施されたり、他の方法とともに実施されたりする等の各種の態様を含む。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、プラズマ処理によるプラズマ密度の面内均一性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
図1は、プラズマ処理装置の全体的な構成を示す斜視図、
図2は、プラズマ処理装置の断面構成を説明する図、
図3は、
図2の要部を拡大して示した図、
図4は、
図3の要部を更に拡大して示した図、
図5は、電極板を構成する各板の複数の小孔のサイズ及び位置関係を説明する図である。
【0033】
プラズマ処理装置1は、減圧下でプロセスガスGを高周波グロー放電にて分解し発生したプラズマを用いて半導体ウェーハ等の対象物に対する薄膜形成を行うための反応容器10、反応容器10にプラズマ発生用の周波電力(例えば、200KHz〜300MHzの範囲から選択された所定周波数の電力)を供給するための周波電力電源20及び、反応容器10にプロセスガスGを供給するためのガス供給部(不図示)から接続されてきたガス供給口30等を備えている。
【0034】
周波電力電源20は、周波電力電源20と反応容器10内の後述する電極板11とを電気的に接続して周波電力を電極板11へ伝送する伝送路としての同軸ケーブル21、整合器22、伝送板23、分配伝送板24及び、金属管31を有する。従って、周波電力は、周波電力電源20から同軸ケーブル21、整合器22、伝送板23、分配伝送板24、金属管31及び、反応容器10内の電極板11へと順次流れて供給される。このように形成された伝送路に於いて、整合器22は、周波電力電源20と反応容器10内のプラズマ処理空間PSとのインピーダンスのマッチング(整合)を行う。
【0035】
整合器22から出た伝送板23、分配伝送板24及び、金属管31の電極昇降プレート8の上側部位は、金属製のシールドボックス25(周波漏洩を防ぐ)内に収容され、また、金属管31の電極昇降プレート8の下側部位は、絶縁性の誘電体で囲われた絶縁性連通路26内に収容されている。絶縁性の誘電体としては、石英、アルミナセラミックス、ステアタイト及び四フッ化エチレン樹脂(PTFE)等が例示される。シールドボックス25は、グランドに接続されている。
【0036】
絶縁性連通路26は、反応容器10の内外を貫通して設けられており、その一部は反応容器10内に突出し、その一部は反応容器10外に突出し、更に反応容器10外に突出した絶縁性連通路26の先端部はシールドボックス25内に突出して設けられている。シールドボックス25内に配置した伝送板23は、シールドボックス25内外の分配伝送板24及び、整合器22に接続されている。また、分配伝送板24は、絶縁性連通路26内に収容されている金属管31に接続されている。シールドボックス25と反応容器10の間を接続する金属管31は、絶縁性連通路26、絶縁フランジ39及び、金属フランジ40等により覆われ真空シールされており、直接外部に露出しないように構成されている。また、絶縁性連通路26の外側は、金属製のシールドパイプ27によって覆われており、このシールドパイプ27もグランドに接続されている。
【0037】
すなわち、1つの周波電力電源20によって発生された周波電力が同軸ケーブル21を通り、1つの整合器22と伝送板23、分配伝送板24を介して金属管31により電極板11に供給される。
【0038】
電極板11は、本実施形態においては、主電極板12、第1拡散板13、第2拡散板14及び、シャワー板15の4枚の板状の部材を面平行に順次に並設して端部を互いに連結し電気的に接続した構成である。なお、電極板11の対向電極のステージ17は、(後述する基盤トレイ16が搭載される。)グランドに接続されている。
【0039】
電極板11は、対向電極のステージ17に近い側から、シャワー板15、第2拡散板14、第1拡散板13、主電極板12の順に並設してある。主電極板12は、その周縁部に対向電極のステージ17に向けて階段状に突設された主電極板周壁部12aを有しており、対向電極のステージ17側を開口した蓋状に形成されている。
【0040】
第1拡散板13、第2拡散板14及びシャワー板15は、主電極板12の主電極板周壁部12aの階段状の内壁にそれぞれ連結されて電気的に接続されており、各板の間の空間は、第1拡散板13、第2拡散板14及び、シャワー板15に形成される後述する複数の小孔を除いて、隣接する板面と主電極板周壁部12aとにより閉塞され
た密閉空間を構成している。以下では、主電極板12と第1拡散板13の間の空間を第1空間SP1、第1拡散板13と第2拡散板14の間の空間を第2空間SP2、第2拡散板14とシャワー板15の間の空間を第3空間SP3と呼ぶことにする。
【0041】
電極板11において、第1拡散板13及び第2拡散板14並びにシャワー板15には表裏に貫通する複数の小孔13a,14a,15aがそれぞれ形成されており、これら各板の複数の小孔13a,14a,15aを通して気体(プロセスガス)が表裏に流通可能になっている。
【0042】
ガス供給部(不図示)から供給されるプロセスガスGは、ガス供給口30、ガスパイプ32、ガス分配パイプ33、連結金具34、絶縁パイプ35、連結金具36及び、金属管31を経由して反応容器10内の電極板11に供給される。反応容器10内の電極板11に供給されたプロセスガスGは、主電極板12と第1拡散板13の間の第1空間SP1に供給される。第1空間SP1に供給されたプロセスガスGは、第1拡散板13の小孔13aを通って第2空間SP2へ流出し、第2空間SP2のプロセスガスGは、第2拡散板14の小孔14aを通って第3空間SP3へ流出し、第3空間SP3のプロセスガスGは、シャワー板15の小孔15aから、電極板11と対向電極のステージ17(基盤トレイ16が搭載される。)の間のプラズマ処理空間PSに供給される。プロセスガスGは、電極板11と対向電極のステージ17(基盤トレイ16が搭載される。)との間でグロー放電により、分解、励起され活性種(プラズマ)に変化する。
【0043】
反応容器10内には、電極板11のシャワー板15側に対向する台面を有する対向電極のステージ17が設けられる。ステージ17の上には、基盤トレイ16が搭載される。ステージ17は、基盤加熱ヒーターを内蔵し、グランドに接続されている。このように構成されたステージ17は、その台面(及び、台面に搭載される基盤トレイ16や、基盤トレイ16に載置される半導体基盤、等)を所望の温度領域に加熱することが可能である。ステージ17の台面及びこれに搭載される基盤トレイ16は、電極板11よりも幅広に形成されている。
【0044】
プラズマ処理装置1は、電極板11とステージ17の台面との間の距離を調節する駆動機構(不図示)を有しており、電極板11とステージ17の台面との間に形成されるプラズマ処理空間PSの高さを所望の高さに調整することができる。
【0045】
図2に示す例では、整合器22及びシールドボックス25を電極昇降プレート8の上に設置し、電極昇降プレート8は、反応容器蓋9に設置されている上下駆動機構(不図示)に載置されている。この機構により上部電極部(反応容器蓋9及び、溶接ベロー管37を除く上部全て)を上下に移動可能にする一方、反応容器10内におけるステージ17は、設置位置を固定(固定機構は不図示)しグランドに接続されている。
【0046】
このとき、絶縁性連通路26及びこれを外囲するシールドパイプ27の外側には、溶接ベローズ管37があり、シールドボックス25を載置した電極昇降プレート8と反応容器蓋9の間を溶接ベローズ管37(蛇腹状の金属伸縮管)により伸縮自在に密閉接続されている。これにより、電極昇降プレート8を上下に移動させた際、シールドボックス25と反応容器10の間の真空度を維持しつつ、反応容器10内で電極板11とステージ17の台面との間に形成されるプラズマ処理空間PSを所望の高さに調整することができる。
【0047】
なお、反応容器10の底部の何れかの位置には真空排気口(不図示)が設けられており、真空排気口には真空ポンプ(不図示)が連結されている。真空排気口と真空ポンプの間には、メイン排気バルブ、バイパス排気バルブ及び、APC(Auto Pressure Controller)等(不図示)が取り付けられている。そして、プラズマ処理中におけるプラズマ処理空間PS内の未反応プロセスガス及び活性種は、幅d2の周辺隙間(プラズマ閉じ込めギャップ)から流出して真空排気口を通り反応容器10外へ排出される。
【0048】
図3に示す例では、反応容器10へのプロセスガスGの供給は、ガス供給部(不図示)内部でガス圧力(減圧弁)、MFC(Mass Flow Controller)及びエアーオペレイトバルブ等(不図示)により、流量制御され、ガス供給口30、ガスパイプ32、ガス分配パイプ33、連結金具34、絶縁パイプ35及び、連結金具36を通して管状のガス供給路GPを有する金属管31に接続されている。金属管31は、絶縁性連通路26の内部に設けてある。この金属製のガス供給路GPのうち、絶縁性連通路26の端部からシールドボックス25内に露出した部位には金属板で構成された後述する分配伝送板24がナット38により接続されている。また、伝送板23は整合器22と金属管31を分配伝送板24により連結されており、整合器22から電極板11へ周波電力を供給する伝送路の一部を構成している。
【0049】
シールドボックス25内に突出した金属管31は、連結金具36により絶縁パイプ35が接続され、絶縁パイプ35の先端は、連結金具34によりガス分配パイプ33に接続され、ガス分配パイプ33は、ガスパイプ32により外部のガス供給口30と連結されている。これにより、ガス供給口30から供給されるプロセスガスGが、金属管31内のガス供給路GPを通って、反応容器10内のプラズマ処理空間PSへ供給される。
【0050】
周波電力伝送路の一部を構成する金属管31は、電極板11を構成する主電極板12、第1拡散板13、第2拡散板14及びシャワー板15のそれぞれに電気的に接続されている。これにより周波電力は、主電極板12、第1拡散板13、第2拡散板14及びシャワー板15に供給される。なお、電極板11の各板にそれぞれ金属管31を連結することにより、電極板11の各板が金属管31に吊り下げ状に支持され、又、金属管31の下方先端部は階段状に加工されていて、この階段状加工寸法と主電極板12の主電極板周壁部12a内壁の階段状加工寸法を一致させ、これらの段差により電極板11の各板の空間(間隔)が、その連結部位において維持される。
【0051】
ガス供給路GPを有する金属管31は、少なくとも電極板11を貫通しており、第1空間SP1に露出した第1空間露出部31aを有している。第1空間露出部31aには、複数のガス噴出口31bが周方向に沿って放射状に等間隔で6〜8個の穴を開けている。ガス噴出口31bは、金属管31内に長さ(縦)方向に沿って形成されているガス供給路GPに連通している。これにより、ガス噴出口31bから噴出するプロセスガスGは、第1空間SP1において、主電極板12及び第1拡散板13の略面方向に沿って噴出する。なお、金属管31内部にその長さ(縦)方向に沿って形成されているガス供給路GPは、金属管31においてガス供給口30とガス噴出口31b以外は閉塞されている。
【0052】
図3,
図4は、電極板11を構成する各板の複数の孔を説明する図である。
図5は、各板の複数の小孔の平面的な位置関係を示す図である。各板において、複数の小孔はいずれも板全体に万遍なく分布している。
【0053】
第1拡散板13、第2拡散板14及びシャワー板15の複数の小孔は、平面視、隣接配置される板と異なる位置関係で形成されている。すなわち、第1拡散板13の複数の小孔13aは、第2拡散板14の複数の小孔14aと重複しない位置に形成され、第2拡散板14の複数の小孔14aは、シャワー板15の複数の小孔15aと重複しない位置に形成されている。なお、
図3〜
図5には、第1拡散板13、第2拡散板14、シャワー板15の何れに形成される小孔も、平面視、互いに重複しない位置関係で形成した例を示している。
【0054】
これにより、第1空間SP1から複数の小孔13aを通って第2空間SP2へ流入するプロセスガスGは第2拡散板14に沿って面方向に拡散され、第2空間SP2から複数の小孔14aを通って第3空間SP3へ流入するプロセスガスGはシャワー板15に沿って面方向に拡散される。このため、ガス噴出口31bから電極板11の面方向に沿って略全方位に噴出されたプロセスガスGは、第1空間SP1から第2空間SP2、第3空間SP3そしてプラズマ処理空間PSに到るまでに、各板の小孔を通過する度に面方向の分散性が向上してガス分布の一様性が徐々に向上する。
【0055】
ここで、第1拡散板13の複数の小孔13aの径R1、第2拡散板14の複数の小孔14aの径R2、シャワー板15の複数の小孔15aの径R3の間には「R1>R2>R3」の関係が成立するように設計することが望ましく、複数の小孔13aによる第1拡散板13の開口率H1、複数の小孔14aによる第2拡散板14の開口率H2、複数の小孔15aによるシャワー板15の開口率H3の間には「H1<H2<H3」の関係が成立することが望ましい。このように各板の複数の孔の径や開口率を調整することにより、プロセスガスGの面方向における分散性を無理なく向上できる。具体的には、R1を1.5〜3.0mmとすると、R2は0.8〜2.5mm、R3は0.5〜1.5mm程度とする。
【0056】
また、主電極板12と第1拡散板13の間隔D1、第1拡散板13と第2拡散板14の間隔D2、第2拡散板14とシャワー板15の間隔D3の間には「D1>D2≒D3」の関係が成立するように設計することが望ましい。すなわち、主電極板12と第1拡散板13の間隔は、第1拡散板13と第2拡散板14の間隔や第2拡散板14とシャワー板15の間隔に比べて広くすることが望ましい。これにより、主電極板12と第1拡散板13の間に導入されたプロセスガスGは、面方向流れの自由度を向上させプロセスガスGの広域拡散能を重視している。一方、シャワー板15と第2拡散板14との間及び第1拡散板13と第2拡散板14との間では上流側板の複数の小孔から流出するプロセスガスGを当該小孔近くの下流側板の複数の小孔に分配する局所的拡散能を重視した構造とし、プロセスガスGの流入と流出による第1〜第3空間におけるガス分散を適切に調整できるようにしている。
【0057】
電極板11の上面及び側面は、誘電体により形成された
蓋状絶縁体としての絶縁プレート18に密着状態で覆われている。また、電極板11の側面を覆う絶縁プレート周壁部18aは、電極板11の下端よりも一定量だけ下方に延出する長さに形成されている。このため、電極板11は、電極板11の上面及び側面を覆う絶縁プレート18及び、絶縁プレート周壁部18aにより形成され下方開口の蓋状構造の内底に嵌め込み状に配設されている。また、絶縁プレート18は、上述した絶縁性連通路26と連続的に接続されている。
【0058】
また、絶縁プレート18の上面、及び、上面から連続する側面の少なくとも一部は、金属製のシールドプレート19により覆われている。このシールドプレート19は上述した絶縁性連通路26の側面を覆うシールドパイプ27と接続されており、グランドに接続されている。このように、電極板11を絶縁プレート18,絶縁プレート周壁部18a及び、シールドプレート19で覆うことにより、電極板11の上面及び側面で発生するグロー放電を防止し、周辺外部(反応容器10及び反応容器蓋9の内面壁)への成膜を防ぐことができる。むろん、これに連続接続されている絶縁性連通路26の側面においても同様である。また、シールドの目的は、誘電絶縁体の表面にチャージアップする静電気を防止する為でもあり、グランドに接続されている。
【0059】
ここで、電極板11と基盤トレイ16(対象基盤nが載置された)を搭載した対向電極のステージ17に対してプラズマ処理を行う状態としたとき、絶縁プレート周壁部18aの下方先端部の突出長d1(シールドプレート19の周壁部下方先端から突出した開口縁部の長さ)よりも、絶縁プレート周壁部18aの下方先端部の突出端と基盤トレイ16との周辺隙間d2の方が狭くなるように、電極板11と基盤トレイ16の間隔を調整する。周辺隙間d2は、例えば3〜15mm程度とする。また、絶縁プレート周壁部18aの下方先端部と基盤トレイ16の周辺隙間d2は一様に平行とし略均一とする。これにより、電極板11の下方面(シャワー板15側)を除き、外周辺部全てを絶縁プレート18及び、絶縁プレート周壁部18aにて囲われ、幅d2の周辺隙間を残してプラズマ処理空間PSを閉塞する。このプラズマ処理空間PSにおけるプロセスガスGは、周波電力を印加することによりグロー放電が起き、グロー放電により分解、励起しプラズマ(電離気体)が生成される。このプラズマをプラズマ処理空間PSに閉じ込めることができる。
【0060】
周波電力電源20から同軸ケーブル21により整合器22に接続され、整合器22から伝送板23、分配伝送板24及び、金属管31を経由して電極板11へ接続される。分配伝送板24は、四方に分岐した各枝部が金属管31に接続する。整合器22と分配伝送板24の間は、1本の伝送板23により接続されている。これにより、1台の周波電力電源20から出力される周波電力を、電気的に一体に構成された電極板11の複数個所に、並列入力することができる。
【0061】
なお、本実施形態では、分配伝送板24と金属管31との接続は、4本に分岐する場合を例にとり説明する。また、後述するように電極板11と金属管31の連結部を増やしてもよい。このとき整合器22と分配伝送板24とを接続する伝送板23は1本であるが、伝送板23と分配伝送板24の間に新たな分配伝送板(23a、23b、23c)を追加し分岐を段階的に複数設けて連結し(
図8、
図10、
図12を参照)増やす構成としてもよい。
【0062】
電極板11と金属管31の連結部11a〜11dは、電極板11の平面視において、伝送板23からの分岐数に応じた複数(
図8〜
図13)の略等分割された各分割領域の略中央に設けられている。
図6には、整合器22と電極板11との間の伝送板23、分配伝送板24及び、金属管31の接続を立体的な模式図で示し、
図7は、
図6の伝送板23、分配伝送板24が金属管31を通して電極板11に接続した概略平面図で、分配伝送板24分岐長さを等長符号で示してある。
【0063】
図6、
図7に示す例では、連結部11a〜11dは、電極板11の平面視において、略正方形に分割された各分割領域のそれぞれに設けられている。分配伝送板24の複数の枝板24a〜24dは、幅、長さ、厚み、抵抗値、等を略同等に揃えてあり、整合器22と金属管31の連結部11a〜11dの間をそれぞれ接続する伝送路の線路長及びインピーダンス等の電気的特性が略等価となるように調整してある。
【0064】
図6に示す例では、整合器22に接続される伝送板23、分配伝送板24は金属板である。分配伝送板24は、4枚の直交する羽根状の枝板(24a、24b、24c、24d)を分岐点Pから四方に延びて金属管31の頭頂部にナット38により連結されている。すなわち、1台の周波電力電源20から出力する周波電力は、同軸ケーブル21を通り、整合器22に接続され、伝送板23を経由して分配伝送板24にて四方に分岐され、各々金属管31の頭頂部にナット38により接続され、各々金属管31の連結部11a〜11dを通して1枚の電気的に一体になるよう連結された電極板11(主電極板12、第1拡散板13、第2拡散板14及びシャワー板15が連結されて電気的に一体の電極板とした。)に供給される。
【0065】
これにより、電極板11の複数個所へ入力する周波電力の周波数は一定になり、しかも電極板11の連結部11a〜11dへ入力する周波電力の位相も一致する。このため、周波電力電源20の周波数に合わせて、分配伝送板24の枝板(24a、24b、24c、24d)長さ及び、電極板11の連結部11a〜11dの位置(設置距離)を決定することにより、プラズマ処理空間PSに発生する定在波の抑制が可能であり、グロー放電の一様性を容易に向上することができる。
図6、
図8、
図10、
図12において、電極板11の連結部11a〜11dの接続距離をa〜jで示す。a〜jは全て、1/4λ未満の距離になるようにする。
【0066】
以上説明した分岐構造は、上述したように、多段的に複数の分岐部を設けることにより、電極板11への連結部の数を増加させること、すなわち、電極板11へ周波電力を供給する個所を増やすことができる。
図8〜
図13は、多段的に複数の分岐部を設けた伝送路の分岐構造の例を説明する図である。
図8、
図9は、分岐部を段階的に2つ設けて、1段目では二股分岐とし、2段目では上述した例と同様の4股分岐としてある。これにより、全体としては、8つに分岐する分岐構造を実現できる。同様に、
図10、
図11には、分岐部を段階的に3つ設けて、1段目及び2段目は二股分岐とし、3段目は上述した例と同様の4股分岐として、全体として16に分岐する分岐構造を実現してある。また、
図12、
図13には、分岐部を段階的に4つ設けて、1段目〜3段目は二股分岐とし、4段目は上述した例と同様の4股分岐として、全体として32に分岐する分岐構造を実現してある。このように、分岐数を増やすことにより、電極板11と伝送路23との連結部の数を適宜に増減変更可能であり、周波電力が高周波化した場合及び/又は成膜面積の増大に対応するべく電極板11の面積を更に大面積化した場合等においても、電極板11において均一なグロー放電を実現可能となる。
【0067】
プラズマ処理装置1単体を用いた成膜処理は上述した通りであるが、実際にプラズマ処理装置1を使用する際には、
図14及び
図15に示すように、複数のプラズマ処理装置1A〜XA(Xは自然数)を直列又は並列に配設したプラズマ処理システムとして使用する。
図14は、インライン方式のプラズマ処理システム、
図15は、クラスター方式のプラズマ処理システムである。以下では、
図14のインライン方式のプラズマ処理システムについて説明する。
【0068】
前工程より搬送されてきた基盤nは、ワークローダーWLDの基盤トレイ16に載置される。基盤nが載置された基盤トレイ16は、ゲートバルブG1を開き(OPEN)、ロードロック室LDに搬送され、ゲートバルブG1が閉じ(CLOSE)、ロードロック室LDを真空引きし、プラズマ処理装置1Aと同じ真空度になると、ゲートバルブG2が開き(OPEN)、基盤トレイ16がプラズマ処理装置1Aに搬送され、ゲートバルブG2が閉じ(CLOSE)、プラズマ処理装置1Aは、流量制御されたプロセスガスGが供給(ON)されプロセス圧力に調整されてから、周波電力が印加(ON)されプラズマ処理(成膜)がスタートする。この時、ステージ17は、予め設定されたプロセス温度(最適基盤温度)に調整されている。また、ゲートバルブG2が閉(CLOSE)された後、ロードロック室LDは大気圧に戻され、ゲートバルブG1が開き(OPEN)、つぎの基盤nがセットされた基盤トレイがロードロック室LDに搬送される。プラズマ処理装置1Aでプラズマ処理(成膜)が終了すると、プロセスガスG及び、周波電力の供給を停止(OFF)し、プラズマ処理装置1A内の残留ガスを排気後、つぎのプラズマ処理装置2Aに搬送され次々と処理(成膜)を繰り返し、アンロードロック室ULDに搬送される。アンロードロック室ULDに搬送された基盤トレイ16は、アンロードロック室ULDを大気圧に戻し後、最終ゲートバルブGX(Xは自然数)を開き(OPEN)、ワークアンローダーWULDに搬出される。そして最終ゲートバルブGXを閉じ(CLOSE)、アンロードロック室ULDを真空引きして待機すると同時にワークアンローダーWULDで基盤nを取り出し、取りだされた基盤nは次工程に移される。基盤nを取りだした基盤トレイ16は、リターン機構により、ワークローダーWLDに戻される。以上、このようにして順次処理(成膜)を行う。
【0069】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成等も含まれる。また,本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず,特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。