特許第6543444号(P6543444)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543444
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】カラーフィルター用赤色着色剤組成物
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20190628BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20190628BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20190628BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20190628BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20190628BHJP
   C09B 57/00 20060101ALN20190628BHJP
【FI】
   G02B5/20 101
   G03F7/004 505
   G03F7/004 501
   C09B67/20 F
   C09B67/20 L
   C09D17/00
   G02F1/1335 505
   G03F7/004 504
   !C09B57/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-161497(P2014-161497)
(22)【出願日】2014年8月7日
(65)【公開番号】特開2016-38463(P2016-38463A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105947
【氏名又は名称】サカタインクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】林 明
(72)【発明者】
【氏名】関 伸章
【審査官】 岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−195941(JP,A)
【文献】 特開2012−173369(JP,A)
【文献】 特開2011−162722(JP,A)
【文献】 特開2001−214085(JP,A)
【文献】 特開2008−046269(JP,A)
【文献】 特開2006−301100(JP,A)
【文献】 特表2004−522820(JP,A)
【文献】 特開2009−149707(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0200921(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
C09B 67/20
C09D 17/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピグメントレッド254、スルホン酸基を有する顔料分散助剤、染料、顔料分散剤、樹脂、リン酸基またはその塩を有する化合物、及び有機溶剤から主として構成されるカラーフィルター用赤色着色剤組成物であって、前記染料が、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド289よりなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、カラーフィルター用赤色着色剤組成物。
【請求項2】
前記リン酸基またはその塩を有する化合物の酸価が、10〜300mgKOH/gであることを特徴とする、請求項1記載のカラーフィルター用赤色着色剤組成物。
【請求項3】
前記リン酸基またはその塩を有する化合物の含有量が、前記染料100質量部に対して10〜1000質量部であることを特徴とする、請求項1又は2記載のカラーフィルター用赤色着色剤組成物。
【請求項4】
前記顔料が、微粒子化処理された顔料であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルター用赤色着色剤組成物。
【請求項5】
前記酸基を有する顔料分散助剤が、スルホン酸基を有する顔料分散助剤であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルター用赤色着色剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー表示装置のカラーフィルターの形成に用いられるカラーフィルター用赤色着色剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶表示装置等で利用されるカラーフィルターは、ガラスなどの透明な基板の表面に2種以上の異なる色相の微細な帯(ストライプ)を平行に配置したもの、あるいは微細な画素を縦横一定の配列で配置したものからなっている。画素サイズは、数10〜数100μmという微細な大きさであり、しかも色相毎に所定の順序で整然と配列される。
【0003】
カラー液晶表示装置は、バックライトからの白色光を上記のようなカラーフィルターを透過させて着色し、画面にカラー画像を表示する。したがって、カラーフィルターの基本的な性能として、高い透明性が必要とされる。そこで、従来、色特性の面で優れる染料を分子の状態で樹脂中に分散させて染色する、いわゆる染色法を用いること等により製造されていた。しかし、近年、用途の多様化にともない、耐熱性、耐光性といった信頼性の向上が要求されるようになると、それらの性能に限界がある染料のかわりに有機顔料が用いられるようになった。また、カラーフィルターの製造法についても、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィー法等の種々の方法が提案されている。
とりわけ、テレビモニター等の用途においては、高輝度化を可能とするような、また、全般的な画像の高精細化につながる高コントラスト化を可能とするような画素を有するカラーフィルターが要求されるようになっている。
【0004】
上記の輝度やコントラスト性能は、カラーフィルターの各色画素の中に分散されている顔料の種類に大きく依存し、とりわけ、ピグメントレッド254やピグメントレッド177等が頻繁に用いられる。
例えば、特許文献1においては、主赤色顔料のピグメントレッド254及びピグメントレッド177に対して、オレンジ色顔料を併用する系が提案されている。
特許文献2においては、ピグメントレッド254のコントラスト比及びピグメントレッド177の輝度を補うべく、ピグメントレッド176を使用する系が提案されている。
しかし、近年、テレビモニターの画素に求められる品質はますます高くなってきており、着色剤として顔料のみを有するカラーフィルター用着色剤組成物によっては、要求される性能を実現することが難しい。とりわけ、高い輝度を達成するために、カラーフィルター用着色剤組成物において、顔料と染料を併用することが提案されている。
特許文献3においては、顔料としてピグメントレッド254やピグメントレッド177を使用し、染料としてアシッドレッド289やアシッドレッド87等の変性物を使用する系が提案されているが、染料の変性工程が煩雑であり、労力とコストを要するため実用性に欠ける。
また、カラーフィルター用着色剤組成物において、顔料と染料を併用した場合、カラーフィルター用着色剤組成物の経時安定性が不十分となる傾向があり、また、カラーフィルターの作成におけるポストベーク工程の前後において、輝度が低下する傾向があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−223987号公報
【特許文献2】特開2009−237462号公報
【特許文献3】特開2012−194521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、テレビモニター等の表示装置のカラーフィルターに使用できる高い輝度を有し、且つ、ポストベーク処理によっても輝度の変化が小さいカラーフィルター用赤色着色剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、顔料、酸基を有する顔料分散助剤、染料、顔料分散剤、樹脂、リン酸基またはその塩を有する化合物、及び有機溶剤から主として構成される、カラーフィルターに使用できる高い輝度を有し、且つ、ポストベーク処理によっても輝度の変化が小さいカラーフィルター用赤色着色剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、
(1)顔料、酸基を有する顔料分散助剤、染料、顔料分散剤、樹脂、リン酸基またはその塩を有する化合物、及び有機溶剤から主として構成されるカラーフィルター用赤色着色剤組成物であって、前記顔料がジケトピロロピロール骨格を有し、前記染料が、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド289、およびC.I.アシッドレッド388よりなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、カラーフィルター用赤色着色剤組成物。
(2)前記リン酸基またはその塩を有する化合物の酸価が、10〜300mgKOH/gであることを特徴とする、(1)記載のカラーフィルター用赤色着色剤組成物。
(3)前記リン酸基またはその塩を有する化合物の含有量が、前記染料100質量部に対して10〜1000質量部であることを特徴とする、(1)又は(2)記載のカラーフィルター用赤色着色剤組成物。
(4)前記顔料が、微粒子化処理された顔料であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のカラーフィルター用赤色着色剤組成物。
(5)前記酸基を有する顔料分散助剤が、スルホン酸基を有する顔料分散助剤であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のカラーフィルター用赤色着色剤組成物。
なお、本明細書において、「酸価」は、試料をプロピレングリコールモノメチルエーテルで溶解又は分散し、25℃において、フェノールフタレインを指示薬として、水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定し、測定液が淡桃色を呈した点を終点として、下記式により算出される値である。
酸価(mgKOH/g)=56.1×V×C/m
V:滴定量(ml)、
C:滴定液の濃度(mol/l)、
m:試料の不揮発分重量(g)。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、輝度が優れると共に、ポストベーク処理によっても輝度の変化が小さいカラーフィルター用赤色着色剤組成物を得ることができる。
【0010】
上記の通り、カラーフィルター用赤色着色剤組成物において、顔料と染料を併用した場合、カラーフィルター用着色剤組成物の経時安定性が不十分となる傾向があり、また、カラーフィルターの作成におけるポストベーク工程の前後において、輝度が低下する傾向があった。
この傾向は、次のようなメカニズムによって考察される。すなわち、カラーフィルターの塗膜を形成する成分においては、染料分子は比較的低分子量であり、それゆえに、ポストベーク処理において加温された染料分子は熱運動しやすくなる。また、染料分子はスルホン酸塩のような高極性基を有しているので、熱運動した染料分子は、高極性基どうしの相互作用によって集合しやすくなる。その結果、ポストベーク処理後のカラーフィルター塗膜の中には、染料分子の集合体を含む領域と、染料分子を比較的少なく含む領域が発生する。ポストベーク処理後のカラーフィルターにバックライトの光を当てた時に、カラーフィルター塗膜の中で染料が比較的少ない領域を透過した光によって、低い輝度が観測される。
本発明によって、ポストベーク処理によっても輝度の変化を抑制できるのは、次のようなメカニズムによって考察される。すなわち、リン酸基またはその塩を含有する物質を、カラーフィルター用着色剤組成物に導入する事によって、染料分子が熱運動したとしても、リン酸基またはその塩によって、染料分子が有する高極性基どうしの相互作用が阻害されるので、ポストベーク処理後も、染料分子がカラーフィルター塗膜中に均一に存在しており、したがって、ポストベーク処理の前後で、輝度の変化が小さくなる。
【0011】
以下、本発明のカラーフィルター用赤色着色剤組成物について、その成分毎に具体的に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明はテレビモニター等の表示装置のカラーフィルター用赤色着色剤組成物に関する発明であり、そのカラーフィルター用赤色着色剤組成物としては、レジストでない組成物であっても良く、又はレジスト組成物であっても良い。
いずれにしても、本発明のテレビモニター等の表示装置のカラーフィルター用赤色着色剤組成物は、テレビモニター等の表示装置のカラーフィルターに使用される組成物であり、それによる本発明の効果として、高い輝度を有し、且つポストベーク処理によっても輝度の変化が小さいカラーフィルター用赤色着色剤組成物を提供することができる。
【0013】
(顔料)
本発明のカラーフィルター用赤色着色剤組成物は、顔料としてジケトピロロピロール骨格を有する顔料を使用する。具体的な例としては、C.I.ピグメントレッド254、臭素化されたC.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73、またはC.I.ピグメントオレンジ81等の顔料を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
ジケトピロロピロール骨格を有する顔料としては、C.I.ピグメントレッド254又はその臭素化物が好ましい。特にC.I.ピグメントレッド254を使用した場合には、必要な明度を得るための皮膜の厚さが薄く、かつ色特性(x,y,Y)が良好になる。
本発明におけるジケトピロロピロール骨格を有する顔料の使用量は、本発明の赤色着色剤組成物の全固形分に対して質量分率で、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは20〜50質量%である。
本発明のカラーフィルター用赤色着色剤組成物に高い明度やコントラストを付与するために、微粒子化処理した着色顔料を使用することが好ましい。微粒子化処理を行うことにより、着色顔料の一次粒子径を更に微細にかつ均一にすることができる。
上記微粒子化処理としては、例えば、未処理着色顔料、水溶性の無機塩(塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム等であって、好ましくは塩化ナトリウムで、使用する水溶性の無機塩の平均粒子径としては50μm以下のものが好ましい)、及び、上記水溶性の無機塩を実質的に溶解しない水溶性分散媒体(アルコキシアルコール類、グリコール類、エーテル類等)を含む混合物を、ニーダー、ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、特開2006−192385号公報に記載のプラネタリーミキサーである(株)井上製作所社製のトリミックス(商標名)、連続式一軸混練機である浅田鉄工(株)社製のミラクルKCK等の混練装置で混練した後、上記水溶性の無機塩及び上記水溶性分散媒体を除去するソルトミリングを行い、微粒子化処理を行うことが好ましい。
【0014】
(酸基を有する顔料分散助剤)
本発明のカラーフィルター用赤色着色剤組成物に使用する酸基を有する顔料分散助剤としては、顔料と同一または類似の分子構造を有する基本骨格に、有機溶剤との親和性を高める酸基を導入したものが好適である。このような顔料分散助剤は、顔料の微粒子化や分散の工程において、基本骨格の部分が顔料表面に吸着し、酸基が有機溶剤や顔料分散剤との親和力を高めることにより、顔料の分散時の微細化や分散後の経時分散安定性などを向上させる効果を有する。また、顔料分散助剤自身が有機溶剤中に溶解あるいは微粒子で分散状態になるものが、顔料表面のより広い範囲にわたって吸着することができるためにさらに好適である。
なかでも、酸基としてスルホン酸基を有する顔料分散助剤等を使用すると、良好な結果を得ることができる。
本発明のカラーフィルター用赤色着色剤組成物において、酸基を有する顔料分散助剤の使用量は、顔料100質量部に対して0.5〜30質量部である。上記酸基を有する顔料分散助剤の含有量が0.5質量部より小さいと顔料分散効果が低下し、一方、30質量部を超える場合は、顔料分散効果がそれ以上には向上しない。
【0015】
上記酸基を有する顔料分散助剤は、
(1)酸基を有する顔料分散助剤の非存在下で微粒子化処理された顔料を用いる場合は、微粒子化処理された顔料の分散時に着色顔料100質量部に対して酸基を有する顔料分散助剤を0.5〜30質量部、好ましくは3〜15質量部を使用する。
(2)酸基を有する顔料分散助剤の存在下で微粒子化処理した顔料を用いる場合は、顔料の微粒子化処理時に顔料の100質量部に対して顔料分散助剤を0.5〜30質量部、好ましくは3〜15質量部を使用し、微粒子化処理された顔料の分散時に顔料100質量部に対して酸基を有する顔料分散助剤を0〜29.5質量部、好ましくは0〜12質量部を使用する。
なお、微粒子化処理時に使用する酸基を有する顔料分散助剤の使用量と微粒子化処理した顔料の顔料分散時に使用する酸基を有する顔料分散助剤の使用量の合計は、顔料100質量部に対して酸基を有する顔料分散助剤を0.5〜30質量部、好ましくは3〜15質量部を使用する。
より具体的に酸基を有する顔料分散助剤として、スルホン酸基を有する顔料分散助剤を使用する場合について説明する。
顔料として赤色顔料であるC.I.ピグメントレッド254を分散させる際には、スルホン酸基を有する顔料分散助剤として、C.I.ピグメントレッド254と同一骨格のジケトピロロピロール骨格を有する顔料及び/又は色素のスルホン化物(C.I.ピグメントレッド254のスルホン化物、臭素化されたC.I.ピグメントレッド254のスルホン化物、C.I.ピグメントレッド255のスルホン化物、C.I.ピグメントレッド264のスルホン化物、C.I.ピグメントレッド272のスルホン化物、C.I.ピグメントオレンジ71のスルホン化物、C.I.ピグメントオレンジ73のスルホン化物、C.I.ピグメントオレンジ81のスルホン化物、等)及びC.I.ピグメントレッド2のスルホン化物から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸基を有する顔料分散助剤が使用され、中でもC.I.ピグメントレッド2のスルホン化物を使用することが好ましい。
【0016】
(染料)
本発明のカラーフィルター用赤色着色剤組成物に使用する染料としては、キサンテン系酸性染料が用いられる。キサンテン系酸性染料としては、C.I.アシッドレッド50、C.I.アシッドレッド51、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド 87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド388、アシッドローダミンG、C.I.アシッドバイオレット9、C.I.アシッドバイオレット9、C.I.アシッドバイオレット30を用いることが好ましい。中でも、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド289、またはC.I.アシッドレッド388を用いることが好ましい。
【0017】
(リン酸基またはその塩を有する化合物)
本発明のカラーフィルター用赤色着色剤組成物に使用するリン酸基またはその塩を有する化合物としては、例えばDISPERBYK−111、DISPERBYK−102、DISPERBYK−106(ビックケミー社製)、プライサーフA212C、プライサーフA215C、プライサーフA208F、プライサーフA208N、プライサーフA208B、プライサーフA219B、プライサーフA210D、プライサーフAL、プライサーフAL12H(第一工業製薬社製)等を使用することができる。
また、リン酸基またはその塩を有する重合性化合物と、その他の重合性化合物を共重合したポリマーも使用することができる。リン酸基またはその塩を有する重合性化合物としては、ライトエステルP−1M、ライトエステルP−2M(共栄社化学社製)等を使用することができる。
本発明のカラーフィルター用赤色着色剤組成物において、リン酸基またはその塩を有する化合物の使用量は、前記染料100質量部に対して10〜1000質量部であることが好ましく、50〜500質量部であることがより好ましい。上記リン酸基またはその塩を有する化合物の使用量が前記染料100質量部に対して10質量部より小さいか、または、1000質量部を超えると、カラーフィルター用着色剤組成物の経時安定性が不十分となる場合があり、また、カラーフィルターの作成におけるポストベーク工程の前後において、輝度が低下する場合がある。
本発明のカラーフィルター用赤色着色剤組成物において、リン酸基またはその塩を有する化合物の酸価は、10〜300mgKOH/gであることが好ましく、30〜250mgKOH/gであることがより好ましく、さらに50〜200mgKOH/gであることが好ましい。上記リン酸基またはその塩を有する化合物の酸価が10mgKOH/gより小さいか、または、300mgKOH/gより大きいと、カラーフィルター用着色剤組成物の経時安定性が不十分となる場合があり、また、カラーフィルターの作成におけるポストベーク工程の前後において、輝度が低下する場合がある。
【0018】
(顔料分散剤)
本発明のカラーフィルター用赤色着色剤組成物に使用する顔料分散剤としては、従来からカラーフィルター分野で使用されている顔料分散剤を使用することができる。
本発明のカラーフィルター用赤色着色剤組成物において、顔料分散剤の使用量は、着色顔料100質量部に対して1〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜60質量部である。上記顔料分散剤の含有量が1質量部より小さいと顔料分散効果が低下する場合があり、一方、100質量部を超える場合は、現像性が低下する等のおそれがある。
【0019】
顔料分散剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(1)ポリアミン化合物(例えば、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンポリイミン等の、ポリ(低級)アルキレンアミン等)のアミノ基及び/又はイミノ基と、遊離のカルボキシル基を有するポリエステル、ポリアミド及びポリエステルアミドからなる群より選択される少なくとも1種との反応生成物。
(2)分子内にポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖、及びポリアクリル側鎖からなる群より選択される少なくとも1種の側鎖と、塩基性窒素含有基とをそれぞれ少なくとも1つ有するカルボジイミド系化合物。
(3)ポリ(低級)アルキレンイミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の低分子アミノ化合物と、遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応生成物。
(4)ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に、メトキシポリエチレングリコール等のアルコール類やカプロラクトンポリエステル等の水酸基を1個有するポリエステル類、2〜3個のイソシアネート基反応性官能基を有する化合物、イソシアネート基反応性官能基と第3級アミノ基とを有する脂肪族又は複素環式炭化水素化合物を順次反応させてなる反応生成物。
(5)アルコール性水酸基を有するアクリレートの重合物にポリイソシアネート化合物とアミノ基を有する炭化水素化合物とを反応させた反応生成物。
(6)低分子アミノ化合物にポリエーテル鎖を付加させてなる反応生成物。
(7)イソシアネート基を有する化合物にアミノ基を有する化合物を反応させてなる反応生成物。
(8)ポリエポキシ化合物に遊離のカルボキシル基を有する線状ポリマー及び2級アミノ基を1個有する有機アミン化合物を反応させた反応生成物。
(9)片末端にアミノ基と反応し得る官能基を有するポリカーボネート化合物とポリアミン化合物との反応生成物。
(10)メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベンジルアクリレート等のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルから選択される少なくとも1種と、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアミド、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、アミノ基とポリカプロラクトン骨格を有するモノマー等の塩基性基含有重合性モノマーの少なくとも1種と、スチレン、スチレン誘導体、その他の重合性モノマーの少なくとも1種との共重合体。
(11)3級アミノ基、4級アンモニウム塩基等の塩基性基を有するブロックと塩基性官能基を有していないブロックとからなるアクリル系ブロック共重合体等。
(12)ポリアリルアミンにポリカーボネート化合物をマイケル付加反応させて得られる顔料分散剤。
(13)ポリブタジエン鎖と塩基性窒素含有基とをそれぞれ少なくとも1つ有するカルボジイミド系化合物。
(14)分子内にアミド基を有する側鎖と、塩基性窒素含有基とをそれぞれ少なくとも1つ有するカルボジイミド系化合物。
(15)エチレンオキサイド鎖とプロピレンオキサイド鎖を有する構成単位を有し、かつ四級化剤により四級化されたアミノ基を有するポリウレタン系化合物。
(16)分子内にイソシアヌレート環を有するイソシアネート化合物のイソシアネート基と、分子内に活性水素基を有し、かつ、カルバゾール環及び/又はアゾベンゼン骨格を有する化合物の活性水素基とを反応させて得られる化合物であって、該化合物の分子内の、イソシアヌレート環を有するイソシアネート化合物に由来するイソシアネート基と、イソシアネート基と活性水素基との反応により生じたウレタン結合及び尿素結合との合計に対するカルバゾール環とアゾベンゼン骨格の数が15〜85%である化合物。
【0020】
現在、カラーフィルター用赤色着色剤組成物を利用してカラーフィルターを製造する方法としてはレジスト法が主であるが、以後はレジスト法以外の方法にて用いるカラーフィルター用赤色着色剤組成物と、レジスト法に用いるカラーフィルター用赤色着色剤組成物に分けて、それぞれに含有される成分等について、以下に説明する。
【0021】
[A.レジスト法以外で利用されるカラーフィルター用赤色着色剤組成物]
本発明のカラーフィルター用赤色着色剤組成物がレジスト組成物でない場合について説明する。
本発明がカラーフィルター用赤色着色剤レジスト組成物ではない場合には、その組成物は活性エネルギー線硬化性を有することがなく、顔料、酸基を有する顔料分散助剤、染料、顔料分散剤、樹脂、リン酸基またはその塩を有する化合物、及び有機溶剤から主として構成される。
着色顔料、酸基を有する顔料分散助剤、顔料分散剤としては、上記のものを使用する。
【0022】
(樹脂)
本発明のカラーフィルター用赤色着色剤組成物に使用する樹脂としては、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が80%以上、好ましくは95%以上の樹脂を使用することができる。これらの樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、アルカリ可溶性樹脂等がある。これらは単独又は2種以上混合して用いることができる。
このような樹脂は、カラーフィルター用赤色着色剤組成物の全固形分に対して質量分率で、使用する樹脂の合計量で好ましくは5〜94質量%、より好ましくは20〜50質量%の範囲である。
熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム、エポキシ樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂については、後述のカラーフィルター用赤色着色剤レジスト組成物のところで詳述する。
【0023】
(有機溶剤)
本発明のカラーフィルター用赤色着色剤組成物に使用する有機溶剤としては、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系有機溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル系有機溶剤;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、δ−ブチロラクトン等のケトン系有機溶剤;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、蟻酸n−アミル等のエステル系有機溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶剤;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の含窒素系有機溶剤等を例示できる。これらは、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明のカラーフィルター用赤色着色剤組成物は、顔料、酸基を有する顔料分散助剤、染料、顔料分散剤、樹脂、リン酸基またはその塩を有する化合物、及び有機溶剤から主として構成され、これらの成分は、カラーフィルター用赤色着色剤組成物中、90〜100質量%を占める。
【0024】
(必要に応じて添加できる添加剤)
カラーフィルター用着色剤組成物の製造法に応じて、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜使用することができる。
【0025】
(本発明のカラーフィルター用赤色着色剤組成物の製造方法)
以上の材料を用いてレジスト法で使用されないカラーフィルター用赤色着色剤組成物を製造する方法を説明する。
【0026】
酸基を有する顔料分散助剤(好ましくはC.I.ピグメントレッド2のスルホン化物等)の存在下または非存在下で微粒子化処理されたC.I.ピグメントレッド254、酸基を有する顔料分散助剤(好ましくはC.I.ピグメントレッド2のスルホン化物等)、顔料分散剤、樹脂、リン酸基またはその塩を有する化合物、有機溶剤、必要に応じてその他の添加剤からなる混合物を得る。得られた混合物を、ロールミル、ニーダー、高速攪拌装置、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、高圧分散機などの各種分散機を用いて、混練・分散処理して、カラーフィルター用赤色着色剤組成物を得る。
【0027】
上記の製造方法において、酸基を有する顔料分散助剤の存在下で微粒子化処理された微粒子化顔料を使用する場合は、微粒子化顔料の分散時に酸基を有する顔料分散助剤を含有させなくても製造することは可能である。
また、上記の製造方法において、樹脂、リン酸基またはその塩を有する化合物は、混練・分散処理前及び/又は混練・分散処理後に加えることができる。
【0028】
[B.レジスト法で使用されるカラーフィルター用赤色着色剤組成物]
次に、本発明のカラーフィルター用赤色着色剤組成物がカラーフィルター用着色剤分散レジスト組成物として用いられる場合について説明する。
本発明がカラーフィルター用赤色着色剤レジスト組成物である場合には、その組成物は活性エネルギー線硬化性を有し、アルカリ現像可能なレジスト組成物であり、顔料、染料、酸基を有する顔料分散助剤、顔料分散剤、樹脂、リン酸基またはその塩を有する化合物、及び有機溶剤から主として構成され、前記樹脂としてアルカリ可溶性樹脂及び光重合性化合物を含むものである。
顔料、酸基を有する顔料分散助剤、顔料分散剤としては上記の通りに使用する。
【0029】
(樹脂としてのアルカリ可溶性樹脂)
本発明のカラーフィルター用赤色着色剤レジスト組成物に使用する樹脂としてのアルカリ可溶性樹脂としては、赤色顔料に対してバインダーとして作用し、かつカラーフィルターを製造する際に、その現像処理工程において用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に対して可溶性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、従来のものが使用できる。なかでも、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましく、特に1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体がより好ましい。
具体的には、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と共重合可能なスチレン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールメタクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、カルボエポキシジアクリレート等のモノマー、オリゴマー類の群から選ばれる少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体との共重合体を挙げることができる。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の酸価としては、現像特性の点から50〜300mgKOH/gが好ましい。
また、本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、通常、現像特性や有機溶剤への溶解性の点から1,000〜100,000が好ましい。なお、本発明において、上記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、GPCに基づいて得られるポリスチレン換算の重量平均分子量である。本発明において、装置としてはWater 2690(ウオーターズ社製)、カラムとしては PLgel 5μ MIXED−D(Polymer Laboratories社製)を用いる。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の使用量は、使用する顔料100質量部に対して1〜300質量部、好ましくは、10〜200質量部である。この場合、アルカリ可溶性樹脂の使用量が1質量部未満では、現像特性が低下するおそれがある。一方300質量部を超えると、相対的に着色剤濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となるおそれがある。
【0030】
(樹脂を形成する光重合性化合物)
本発明のカラーフィルター用赤色着色剤レジスト組成物に使用する樹脂を形成することができる光重合性化合物としては、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する単量体、オリゴマー等で、上記カラーフィルター用赤色着色剤組成物で記載したものと同じものを使用する。光重合性不飽和結合とは、後述する光重合開始剤が、紫外線や電子線等の活性エネルギー線により分解した際に発生するラジカルやカチオンの作用により、重合することのできる不飽和結合である。
これらの樹脂を形成することができる光重合性化合物は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明において、光重合性化合物の使用量は、カラーフィルター用赤色着色剤レジスト組成物中の全固形分に対して質量分率で、好ましくは3〜50質量%の範囲である。
【0031】
(光重合開始剤)
本発明の表示装置のカラーフィルター用赤色着色剤レジスト組成物に使用する光重合開始剤としては、紫外線や電子線等の活性エネルギー線を照射されることにより、ラジカルやカチオンを発生することのできるものであれば特に限定されず、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、ベンジル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、トリアジン系光重合開始剤等が挙げられる。これらの光重合開始剤は単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本発明において、上記光重合開始剤の含有量は、上記カラーフィルター用赤色着色剤レジスト組成物中の全固形分に対して質量分率で、好ましくは1〜20質量%の範囲である。
【0032】
(有機溶剤)
本発明の着色剤カラーフィルター用赤色着色剤レジスト組成物に使用する有機溶剤としては、従来から液晶カラーフィルターレジストの分野で使用されている有機溶剤が好適に使用できる。具体的には、常圧(1.013×102kPa)における沸点が100〜220℃のエステル系有機溶剤、エーテル系有機溶剤、エーテルエステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、芳香族炭化水素系有機溶剤、含窒素系有機溶剤等である。沸点が220℃を超える有機溶剤を多量に含有していると、塗布形成された塗膜をプレベークする際に有機溶剤が充分に蒸発せずに乾燥塗膜内に残存し、乾燥塗膜の耐熱性が低下するおそれがある。また、沸点100℃未満の有機溶剤を多量に含有していると、ムラなく均一に塗布することが困難になり、表面平滑性に優れた塗膜が得られなくなるおそれがある。
好ましい溶剤としては、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系有機溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル系有機溶剤;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、δ−ブチロラクトン等のケトン系有機溶剤;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、蟻酸n−アミル等のエステル系有機溶剤;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の含窒素系有機溶剤等を例示できる。これらは、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0033】
これらの有機溶剤の中でも、溶解性、分散性、塗布性等の点で、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、蟻酸n−アミル等が好ましく、より好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
【0034】
これらの有機溶剤は、上記アルカリ可溶性樹脂の溶解性、着色顔料の分散性、塗布性等の点から、本発明のカラーフィルター用赤色着色剤レジスト組成物中に、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上含有させることがより好ましい。
【0035】
本発明のカラーフィルター用赤色着色剤レジスト組成物は、着色顔料、酸基を有する顔料分散助剤、塩基性基を有する高分子顔料分散剤、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、硫酸バリウム及び有機溶剤から主として構成され、これらの成分は、カラーフィルター用赤色着色剤レジスト組成物中に、90〜100質量%占める。
【0036】
(必要に応じて添加できる添加剤)
本発明のカラーフィルター用赤色着色剤レジスト組成物は、必要に応じて、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜使用することができる。
【0037】
(本発明のカラーフィルター用赤色着色剤レジスト組成物の製造方法)
以上の材料を用いてカラーフィルター用赤色着色剤レジスト組成物を製造する方法を説明する。カラーフィルター用赤色着色剤レジスト組成物は、下記の製造方法により得ることができる。
【0038】
酸基を有する顔料分散助剤(好ましくはC.I.ピグメントレッド2のスルホン化物等)の存在下または非存在下で微粒子化処理されたC.I.ピグメントレッド254、酸基を有する顔料分散助剤(好ましくはC.I.ピグメントレッド2のスルホン化物等)、顔料分散剤、樹脂、リン酸基またはその塩を有する化合物、有機溶剤、必要に応じてその他の添加剤からなる混合物を得る。得られた混合物を、ロールミル、ニーダー、高速攪拌装置、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、高圧分散機などの各種分散機を用いて、混練・分散処理して、カラーフィルター用赤色着色剤組成物を得る。さらに光重合性化合物、光重合開始剤、必要に応じてアルカリ可溶性樹脂、有機溶剤、その他の添加剤を加えて本発明のカラーフィルター用赤色着色剤レジスト組成物を得る。
【0039】
上記の製造方法において、酸基を有する顔料分散助剤の存在下で微粒子化処理された微粒子化顔料を使用する場合は、微粒子化顔料の分散時に酸基を有する顔料分散助剤を含有させなくても製造することは可能である。
また、上記の製造方法において、樹脂、染料、リン酸基またはその塩を有する化合物は、着色剤組成物の作成時及び/又は着色剤組成物を作成後に加えることができる。
また、本発明のカラーフィルター用赤色着色剤組成物を使用して、カラーフィルターを製造する方法としては、それに必要な装置を含め、該着色剤組成物以外の構成として公知の手段を採用して製造することができる。
本発明の特定の組成を有するカラーフィルター用赤色着色剤組成物は、中でもその色特性(x,y,Y)として、色度xは0.6550が好ましい。yは0.322〜0.330が好ましく、0.322〜0.324がより好ましい。さらに明度であるY値は12.2以上、特に13.0以上がより好ましい。この範囲であるとさらに着色力及び/又は輝度を向上させることができる。
【実施例】
【0040】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味している。
【0041】
<顔料分散助剤>
(顔料分散助剤A:C.I.ピグメントレッド2のスルホン化物)
100ml三角フラスコに濃硫酸を30ml仕込み、マグネチックスターラーで撹拌しながらC.I.ピグメントレッド2を10質量部投入し、室温で30分撹拌した。1Lビーカーに水50質量部と氷50質量部の混合物を入れ、上記反応物をこの氷水中に注ぎ、マグネチックスターラーで30分撹拌した。これを減圧下で濾過・水洗し、得られた固体を乾燥させて、12質量部の顔料分散助剤Aを得た。
【0042】
<微粒子化処理された顔料>
(微粒子化顔料A:トリミックス処理されたC.I.ピグメントレッド254)
トリミックスTX−15(商品名、井上製作所製)のタンクにC.I.ピグメントレッド254を800質量部、粒径20μmの塩化ナトリウム8000質量部、ジエチレングリコール1920質量部を投入した。定格電流値9.3Aの70%となる範囲で、且つ45℃で3時間混練し、ソルトミリングを行った。次に得られた混練物1300質量部を3リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌しスラリー状とした。ろ過、水洗を繰り返し塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、40℃にて一昼夜乾燥し、95質量部の微粒子化顔料Aを得た。
【0043】
(顔料分散剤)
BYK−LPN21116(ビックケミー社製、アクリル系重合体、アミン価29)
【0044】
(リン酸基またはその塩を有する化合物)
BYK−111(ビックケミー社製、リン酸基含有共重合体、酸価136、不揮発分95%)
BYK−102(ビックケミー社製、リン酸基含有共重合体、酸価102、不揮発分99%)
BYK−106(ビックケミー社製、リン酸基含有共重合体の塩、酸価145、不揮発分91%)
リン酸基含有樹脂A(ベンジルメタクリレート/2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート共重合体、酸価50mgKOH/g、質量平均分子量:10,000)
リン酸基含有樹脂B(ベンジルメタクリレート/2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート共重合体、酸価200mgKOH/g、質量平均分子量:10,000)
リン酸基含有樹脂C(ベンジルメタクリレート/2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート共重合体、酸価20mgKOH/g、質量平均分子量:10,000)
リン酸基含有樹脂D(ベンジルメタクリレート/2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート共重合体、酸価300mgKOH/g、質量平均分子量:10,000)
【0045】
(樹脂)
アルカリ可溶性樹脂A(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、酸価120mgKOH/g、質量平均分子量:25,000)
【0046】
(有機溶剤)
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
DAA:ダイアセトンアルコール
【0047】
(光重合性化合物)
DPEHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(光重合開始剤)
イルガキュア369:2−ベンジル−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン
【0048】
<カラーフィルター用赤色着色剤組成物>
上記微粒子化処理顔料、酸基を有する顔料分散助剤、顔料分散剤、アルカリ可溶性樹脂、染料、リン酸基またはその塩を有する化合物、及び有機溶剤を表1の組成で、0.2mmΦのジルコニアビーズを用いてペイントコンディショナーで6時間混練し、カラーフィルター用赤色着色剤組成物1〜15を得た。
【0049】
【表1】
【0050】
<実施例1〜10及び比較例1〜5のレジスト法に使用するカラーフィルター用赤色着色剤組成物>
表2の顔料割合となるようにカラーフィルター用赤色着色剤レジスト原料を均一混合し、実施例1〜10及び比較例1〜5のレジスト法に使用するカラーフィルター用赤色着色剤組成物を得た。
【0051】
【表2】
【0052】
(評価)
<分散安定性>
実施例1〜10及び比較例1〜5のレジスト法に使用するカラーフィルター用赤色着色剤組成物について、それぞれガラス瓶に採り、密栓して室温で7日間保存した後の状態を下記評価基準に従って評価した。結果を表2に示す。
○:増粘、沈降物が共に認められない。
△:軽く振ると元に戻る程度の増粘や沈降物が認められる。
×:強く振っても元に戻らない程度の増粘や沈降物が認められる。
【0053】
<レジスト法に使用するカラーフィルター用赤色着色剤組成物の色特性及び輝度維持率の評価>
実施例1〜10及び比較例1〜5のレジスト法に使用するカラーフィルター用赤色着色剤組成物を、スピンコーターを用いてガラス基板上に塗布した。
次いで、100℃で3分間プレベークした後、高圧水銀灯で露光し、更に230℃で2時間ポストベークした。次いで、実施例1〜10及び比較例1〜5の各レジストの色特性(x,y,Y)を分光光度計(島津製作所社製、UV−2500PC、C光源2°視野)で測定した。実施例1〜10及び比較例1〜3では色度x=0.6550、y=0.3230のときの膜厚、輝度Y値を求めた。
また、輝度維持率を次のように定義した。
輝度維持率(%)=(プレベーク後の輝度/ポストベーク後の輝度)×100
【0054】
上記表2に示す結果によれば、本発明のカラーフィルター用赤色着色剤組成物である実施例1〜10によれば、本発明のカラーフィルター用赤色着色剤組成物の輝度が優れると共に、輝度維持率にも優れ、すなわち、ポストベーク処理によっても輝度の変化が小さいカラーフィルター用赤色着色剤組成物を得ることができた。
また、本発明のカラーフィルター用赤色着色剤組成物である実施例1〜10によれば、輝度維持率に優れるカラーフィルター用赤色着色剤組成物を得ることができた。
しかしながら、リン酸基またはその塩を有する化合物の酸価が不足する比較例1、リン酸基またはその塩を有する化合物の酸価が過剰である比較例2、リン酸基またはその塩を有する化合物を含有しない比較例3、及びリン酸基またはその塩を有する化合物の含有量が過剰である比較例4によると、分散安定性及び輝度維持率に劣る結果になった。
本発明のカラーフィルター用赤色着色剤組成物に染料を含有しない比較例5によると、分散安定性は良好であったが、輝度維持率に劣る結果になった。
このような結果によれば、本発明は特定の組成のカラーフィルター用赤色着色剤組成物とすることにより、分散安定性及び輝度に優れ、ポストベーク処理によっても輝度の変化が小さいという効果を奏することがわかる。