(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0012】
(特徴
1) 圧縮機に流入する冷媒の温度と、圧縮機から流出する冷媒の温度と、のうちの少なくとも一方に応じて、熱交換器における熱媒と冷媒との熱交換量を変化させることが好ましい。
【0013】
この構成によると、暖房システムは、冷媒の温度に応じて、適切に冷媒を加熱し得る。
【0014】
(第1実施例)
図1に示すように、本実施例の空調システム2は、ヒートポンプ空調装置4と、加熱装置6と、制御装置8と、を備えている。
【0015】
ヒートポンプ空調装置4は、冷媒を用いて、室外空気からの吸熱、室内空気からの吸熱、室外空気への放熱、及び、室内空気への放熱を行う。ヒートポンプ空調装置4で使用される冷媒は、例えば、R32やR410といったHFC冷媒や、R744といったCO
2冷媒等、通常の運転に伴って想定される温度域において液相状態と気相状態との間で相転移することの多い冷媒である。ヒートポンプ空調装置4は、圧縮機12と、室内端末14a、14bと、第1ファン16a、16bと、膨張弁18a、18bと、室外空気熱交換器20と、第2ファン22と、熱交換器24と、四方弁26と、第1循環路28(分流路28a、28bを含む)と、第1開閉弁30a、30bと、バイパス路32と、バイパス路開閉弁34と、第2開閉弁36と、を備えている。
【0016】
圧縮機12は、気相状態の冷媒を圧縮して送り出す。室内端末14a、14bは、それぞれ、第1ファン16a、16bによって送風される室内空気と、冷媒との間で熱交換をする。膨張弁18a、18bは、それぞれ、液相状態の冷媒を断熱膨張させて減圧する。室外空気熱交換器20は、第2ファン22によって送風される室外空気と、冷媒との間で熱交換をする。室外空気熱交換器20には、外気温を検出する外気温サーミスタ21が備えられている。熱交換器24は、後述の第2循環路50内を通過する熱媒と、第1循環路28内を通過する冷媒との間で熱交換する。四方弁26は、4つのポートa、b、c及びdを備えており、ポートaとポートbとが連通し、かつ、ポートcとポートdとが連通した暖房状態(図中の実線部参照)と、ポートaとポートdとが連通し、かつ、ポートbとポートcとが連通した冷房状態(図中の破線部参照)との間で切り換わる。
【0017】
第1循環路28は、冷媒を、圧縮機12と、室内端末14a、14bと、膨張弁18a、18bと、室外空気熱交換器20と、熱交換器24と、四方弁26と、の間で循環させる。上記の通り、第1循環路28は、分流路28a、28bを含む。分流路28aには、室内端末14a、膨張弁18a、及び、第1開閉弁30aが介装されている。分流路28bには、室内端末14b、膨張弁18b、及び、第1開閉弁30bが介装されている。第1開閉弁30aを開閉することにより、分流路28aを冷媒が通過可能な状態と、分流路28aを冷媒が通過不可能な状態とが切り換えられる。同様に、第1開閉弁30bを開閉することにより、分流路28bを冷媒が通過可能な状態と、分流路28bを冷媒が通過不可能な状態とが切り換えられる。バイパス路32は、室外空気熱交換器20をバイパスする経路である。バイパス路32の一端は、第1循環路28のうちの膨張弁18a、18bと室外空気熱交換器20との間の部分に接続されている。バイパス路32の他端は、第1循環路28のうちの室外空気熱交換器20と熱交換器24との間の部分に接続されている。バイパス路開閉弁34は、バイパス路32に介装されている。バイパス路開閉弁34を開閉することにより、バイパス路32を冷媒が通過可能な状態と、バイパス路32を冷媒が通過不可能な状態とが切り換えられる。第2開閉弁36は、第1循環路28のうち、バイパス路32によってバイパスされている室外空気熱交換器20を通る経路に介装されている。第2開閉弁36を開閉することにより、室外空気熱交換器20に冷媒が供給される状態と、供給されない状態とが切り換えられる。
【0018】
第1循環路28の各部には、第1循環路28内の各部の冷媒の温度を検出可能なサーミスタ40、42、44が備えられている。サーミスタ40、42は、それぞれ、圧縮機12への流入側と、圧縮機12からの流出側と、に備えられている。サーミスタ44は、熱交換器24と室外空気熱交換器20との間に備えられている。
【0019】
加熱装置6は、熱媒を用いて、第1循環路28内の冷媒を加熱する。加熱装置6で使用される熱媒は、例えば、不凍液(プロビレングリコール等)のように、通常の運転に伴って想定される温度域において液相状態から他の状態に相転移しない熱媒である。加熱装置6は、熱交換器24と、第2循環路50と、バーナ52と、循環ポンプ54と、流量調整弁56と、を備えている。
【0020】
第2循環路50は、熱媒を、熱交換器24とバーナ52との間で循環させる。バーナ52は、ガス等の燃料を燃焼させることによって発生する燃焼熱を利用して、第2循環路50を通過する熱媒を加熱する。循環ポンプ54は、第2循環路50内の熱媒を循環させる。熱交換器24は、第2循環路50のうちバーナ52よりも下流側の部分に備えられている。そのため、熱交換器24には、バーナ52で加熱された後の熱媒が供給される。流量調整弁56は、第2循環路50のうち熱交換器24よりも下流側であって、バーナ52の上流側の部分に介装されている。本実施例では、流量調整弁56は、ステッピングモータを内蔵しており、開度を調整することができる。流量調整弁56の開度を調整することにより、第2循環路50内を流れる熱媒の単位時間当たりの流量を調整して、熱交換器24における熱媒と冷媒の間の熱交換量(即ち、熱媒による冷媒の加熱量)を調整することができる。
【0021】
制御装置8は、CPU、ROM、RAM等を備えている。ROMには各種の運転プログラムが格納されている。RAMには、制御装置8に入力される各種信号や、CPUが処理を実行する過程で生成される種々のデータが一時的に記憶される。制御装置8では、CPUがROMやRAMに記憶された情報に基づいて、ヒートポンプ空調装置4及び加熱装置6の各構成要素の動作を制御する。また、制御装置8には、図示しないリモコンが接続されている。リモコンには、ユーザが空調システム2を操作するためのスイッチ、ユーザに空調システム2の動作状態を表示する液晶表示器等が設けられている。ユーザは、リモコンを介して、暖房又は冷房の開始及び終了等を指示することができる。また、ユーザは、リモコンを介して、暖房設定温度及び冷房設定温度を設定することもできる。
【0022】
次いで、空調システム2の動作について説明する。空調システム2は、暖房運転、及び、冷房運転を実行可能である。
【0023】
(暖房運転)
ユーザから暖房が指示されると、空調システム2は、ヒートポンプ空調装置4によって室内を暖房する暖房運転を行う。なお、以下では、
図1の室内端末14aが備えられている室内の暖房が指示され、室内端末14bが備えられている室内の暖房が指示されていない場合を例として暖房運転の内容を説明する。ユーザから暖房が指示されると、まず、制御装置8は、四方弁26を、ポートaとポートbとが連通し、かつ、ポートcとポートdとが連通した状態に切り替え(
図1の四方弁26における実線部参照)、第1開閉弁30aを開く。この際、第1開閉弁30bは閉じておく。続いて、制御装置8は、
図2の暖房運転処理を開始する。
【0024】
(暖房運転処理:
図2)
図2を参照して、暖房運転処理について説明する。暖房運転処理が開始されると、S10では、制御装置8は、所定タイミングが到来することを監視する。暖房運転処理開始直後のS10では、制御装置8は、所定タイミングが到来したと判断し(即ち、S10でYESと判断し)、S12に進む。以後、2度目以降のS10においては、制御装置8は、120秒毎に所定タイミングが到来したと判断し(即ち、S10でYESと判断し)、S12に進む。
【0025】
S12では、制御装置8は、外気温が第1の閾値Th1(例えば-5℃)以下であるか否かを判断する。第1の閾値Th1は、外気温がその温度以下である場合に圧縮機12単独で暖房運転を行うと、暖房能力が不足する可能性の高い温度である。外気温サーミスタ21の検出温度が第1の閾値Th1より高い場合、制御装置8は、S12でNOと判断してS14に進む。一方、外気温サーミスタ21の検出温度が第1の閾値Th1以下である場合、制御装置8は、S12でYESと判断してS16に進む。
【0026】
S14では、制御装置8は、バイパス路開閉弁34を閉じ、第2開閉弁36を開く。これにより、バイパス路32を冷媒が通過不可能であり、かつ、室外空気熱交換器20に冷媒が供給される状態に切り替えられる。また、制御装置8は、第1ファン16a及び第2ファン22を駆動するとともに、圧縮機12を駆動する。制御装置8は、循環ポンプ54とバーナ52を停止状態にする。なお、S14の時点で既にバイパス路開閉弁34が閉じられ、第2開閉弁36が開かれ、第1ファン16a、第2ファン22、及び、圧縮機12が駆動し、循環ポンプ54及びバーナ52が停止している場合には、制御装置8はその状態を維持する。S14を終えると、制御装置8は、S10に戻り、所定タイミングが再度到来することを監視する。
【0027】
S14で圧縮機12が駆動することによって、圧縮機12で加圧されて高温高圧となった気相状態の冷媒は、四方弁26を介して、分流路28aを通って、室内端末14aへ送られる。高温高圧の気相状態の冷媒は、室内端末14aでの室内空気との熱交換によって冷却されて凝縮し、液相状態となる。室内端末14aで液相状態となった冷媒は膨張弁18aへ送られる。膨張弁18aで減圧されて低温低圧となった液相状態の冷媒は、室外空気熱交換器20へ送られる。低温低圧の液相状態の冷媒は、室外空気熱交換器20での室外空気との熱交換によって加熱されて蒸発し、気相状態となる。気相状態となった冷媒は、熱交換器24を通過し、四方弁26を介して圧縮機12に戻される。この際、S14では加熱装置6が駆動しないため、熱交換器24を通過する際に冷媒が加熱されることはない。S14の処理の結果、第1循環路28内を上記のサイクルで冷媒が循環する(
図1の矢印72を含む実線矢印参照)。この結果、室内端末14aにおいて室内空気に放熱され、室内が暖房される。
【0028】
一方、S16では、制御装置8は、バイパス路開閉弁34を開き、第2開閉弁36を閉じる。これにより、バイパス路32を冷媒が通過可能であり、かつ、室外空気熱交換器20に冷媒が供給されない状態に切り替えられる。また、制御装置8は、第1ファン16aを駆動するとともに、圧縮機12を駆動する。さらに、制御装置8は、流量調整弁56の開度を所定の初期値に調整するとともに、循環ポンプ54とバーナ52とを駆動する。なお、S16の時点で既にバイパス路開閉弁34が開かれ、第2開閉弁36が閉じられ、第1ファン16a、圧縮機12、循環ポンプ54、及び、バーナ52が駆動している場合には、制御装置8はその状態を維持する。S16を終えると、S18に進む。
【0029】
S16で循環ポンプ54が駆動することによって、第2循環路50内で熱媒が循環する。熱媒は、バーナ52、熱交換器24、流量調整弁56、の順に通過する(
図1中の実線矢印参照)。また、バーナ52は、燃料の燃焼熱を利用して、第2循環路50内の熱媒を加熱する。バーナ52で加熱された高温の熱媒は、熱交換器24に供給され、第1循環路28を流れる冷媒と熱交換を行う(即ち、熱媒の熱を利用して冷媒を加熱する)。熱交換器24を通過した後の熱媒は、流量調整弁56を介してバーナ52に戻され、バーナ52によって再度加熱される。第2循環路50内を流れる熱媒の単位時間当たりの流量は、流量調整弁56の開度によって調整される。なお、本実施例の加熱装置6において、流量調整弁56を通過する熱媒は、熱交換器24を通過した後の比較的低温の熱媒である。そのため、流量調整弁56をバーナ52と熱交換器24の間の部分に設ける場合と比較して、流量調整弁56に加わる熱負荷が比較的少なく済むため、流量調整弁56の耐久性が向上する。
【0030】
また、S16で圧縮機12が駆動することによって、圧縮機12で加圧されて高温高圧となった気相状態の冷媒は、四方弁26を介して、分流路28aを通って、室内端末14aへ送られる。高温高圧の気相状態の冷媒は、室内端末14aでの室内空気との熱交換によって冷却されて凝縮し、液相状態となる。室内端末14aで液相状態となった冷媒は膨張弁18aへ送られる。膨張弁18aで減圧されて低温低圧となった液相状態の冷媒は、バイパス路32を通過して熱交換器24に供給される。低温低圧の液相状態の冷媒は、熱交換器24での第2循環路50内の熱媒との熱交換によって加熱されて蒸発し、気相状態となる。気相状態となった冷媒は、四方弁26を介して圧縮機12に戻される。S16の処理の結果、第1循環路28内を上記のサイクルで冷媒が循環する(
図1の矢印70を含む実線矢印参照)。この結果、室内端末14aにおいて室内空気に放熱され、室内が暖房される。
【0031】
S16の後のS18では、制御装置8は、サーミスタ40の検出温度(即ち、熱交換器24の通過後、圧縮機12に供給される前の冷媒の温度)が、第2の閾値Th2(例えば10℃)以下であるか否かを判断する。サーミスタ40の検出温度が第2の閾値Th2以下である場合、制御装置8は、S18でYESと判断し、S20に進む。一方、サーミスタ40の検出温度が第2の閾値Th2より高い場合、制御装置8は、S18でNOと判断し、S22に進む。
【0032】
S20では、制御装置8は、流量調整弁56の開度を所定量(例えば10ステップ分)大きくする。流量調整弁56の開度を大きくすることにより、第2循環路50内を流れる熱媒の単位時間当たりの流量を多くすることができる。その結果、熱交換器24における熱媒と冷媒の間の熱交換量(即ち、熱媒による冷媒の加熱量)を多くすることができる。S20を終えると、制御装置8は、S10に戻り、所定タイミングが再度到来することを監視する。
【0033】
S22では、制御装置8は、サーミスタ40の検出温度が、第2の閾値Th2より高温である第3の閾値Th3(例えば40℃)以上であるか否かを判断する。サーミスタ40の検出温度が第3の閾値Th3以上である場合、制御装置8は、S22でYESと判断し、S24に進む。一方、サーミスタ40の検出温度が第3の閾値Th3より低い場合、制御装置8は、S22でNOと判断し、S10に戻って所定タイミングが再度到来することを監視する。
【0034】
S24では、制御装置8は、流量調整弁56の開度を所定量(例えば10ステップ分)小さくする。流量調整弁56の開度を小さくすることにより、第2循環路50内を流れる熱媒の単位時間当たりの流量を少なくすることができる。その結果、熱交換器24における熱媒と冷媒の間の熱交換量(即ち、熱媒による冷媒の加熱量)を少なくすることができる。S24を終えると、制御装置8は、S10に戻り、所定タイミングが再度到来することを監視する。
【0035】
制御装置8は、ユーザから暖房の停止が指示されるまで、上記の暖房運転処理(S10〜S24の各処理)を繰り返し実行する。ユーザから暖房の停止が指示されると、制御装置8は、暖房運転処理を終了する。即ち、制御装置8は、駆動中の各要素(圧縮機12、第1ファン16、第2ファン22、循環ポンプ54、バーナ52等)を停止させる。この結果、空調システム2は、暖房運転を終了する。
【0036】
(冷房運転)
ユーザから冷房が指示されると、空調システム2は、ヒートポンプ空調装置4によって室内を冷房する冷房運転を行う。なお、以下では、
図1の室内端末14aが備えられている室内の冷房が指示され、室内端末14bが備えられている室内の冷房が指示されていない場合を例として冷房運転の内容を説明する。ユーザから冷房が指示されると、まず、制御装置8は、四方弁26を、ポートaとポートdとが連通し、かつ、ポートcとポートbとが連通した状態に切り替え(
図1の四方弁26における破線部参照)、第1開閉弁30aを開く。この際、第1開閉弁30bは閉じておく。また、制御装置8は、バイパス路開閉弁34を閉じ、第2開閉弁36を開く。これにより、バイパス路32を冷媒が通過不可能であり、かつ、室外空気熱交換器20に冷媒が供給される状態に切り替えられる。また、制御装置8は、第1ファン16a及び第2ファン22を駆動するとともに、圧縮機12を駆動する。
【0037】
圧縮機12が駆動することによって、圧縮機12で加圧されて高温高圧となった気相状態の冷媒は、四方弁26及び熱交換器24を介して、室外空気熱交換器20へ送られる。冷房運転中は、加熱装置6が駆動しないため、熱交換器24を通過する際に、冷媒が加熱されることはない。高温高圧の気相状態の冷媒は、室外空気熱交換器20での室外空気との熱交換によって冷却されて凝縮し、液相状態となる。室外空気熱交換器20で液相状態となった冷媒は、膨張弁18aへ送られる。膨張弁18aで減圧されて低温低圧となった液相状態の冷媒は、室内端末14aへ送られる。低温低圧の液相状態の冷媒は、室内端末14aでの室内空気との熱交換によって加熱されて蒸発し、気相状態となる。気相状態となった冷媒は、四方弁26を介して圧縮機12に戻される。これにより、第1循環路28内を上記のサイクルで冷媒が循環する(
図1の破線矢印参照)。この結果、室内端末14aにおいて室内空気の熱が吸熱されることに伴い、室内が冷房される。
【0038】
ユーザから冷房の停止が指示されると、制御装置8は、駆動中の各要素(圧縮機12、第1ファン16a、第2ファン22)を停止させる。これにより、空調システム2は、冷房運転を終了する。
【0039】
以上、本実施例の空調システム2の構成及び運転内容について説明した。本実施例では、空調システム2は、バーナ52と、第2循環路50と、循環ポンプ54と、熱交換器24を備える。上記の通り、本実施例の空調システム2は、暖房運転時に、外気温が第1の閾値Th1以下の場合(
図2の
S12でYES)に、熱交換器24において、バーナ52で加熱された熱媒の熱を利用して冷媒を加熱することができる。通常、バーナ52で加熱された熱媒の熱を利用して冷媒を加熱する場合の単位時間当たりの加熱量は、室外空気熱交換器20で室外空気と熱交換することで冷媒を加熱する場合の単位時間当たりの加熱量と比べて大きい。そのため、外気温が第1の閾値Th1以下である場合のように、圧縮機12で暖房運転を行うと暖房能力が不足する可能性が高い場合に、バーナ52を駆動させることにより、加熱能力を増加することができる。従って、本実施例の空調システム2によると、暖房能力が不足する事態の発生を抑制することができる。
【0040】
また、本実施例では、第2循環路50には、開度を調整することによって、第2循環路50内を循環する熱媒(即ち、熱交換器24を通過する熱媒)の単位時間当たりの流量を調整可能な流量調整弁56を備える。そのため、本実施例の空調システム2では、流量調整弁56の開度を調整することにより、熱交換器24における熱媒と冷媒との単位時間当たりの熱交換量を調整することができる。従って、この構成によると、バーナ52を駆動させる場合に、流量調整弁56の開度を調整することにより、バーナ52で発生した熱を利用して冷媒を加熱する際の加熱量を調整することができる。
【0041】
また、本実施例では、空調システム2は、
図2のS18〜S24に示すように、サーミスタ40の検出温度に応じて、流量調整弁56の開度を調整して、熱交換器24における熱媒と冷媒との単位時間当たりの熱交換量を調整する。そのため、本実施例の空調システム2は、冷媒の温度に応じて、適切に冷媒を加熱し得る。
【0042】
また、本実施例では、第1循環路28内を循環する冷媒は、通常の運転に伴って想定される温度域において液相状態と気相状態との間で相転移する冷媒である。このような性質を有する冷媒をバーナの燃焼熱で直接加熱する構成(以下では、「比較例の構成」と呼ぶ)を採用することも考えられる。しかしながら、比較例の構成を採用する場合、冷媒が気相状態と液相状態とが混合した状態である気液二相状態である間は、バーナの燃焼熱によって冷媒を加熱しても、冷媒は温度上昇しない(即ち、冷媒に加わる熱は冷媒の蒸発潜熱となる)が、冷媒が気相状態に移行した後は、冷媒がバーナの燃焼熱によって加熱されると、冷媒が急激に温度上昇する可能性がある(即ち、冷媒に加わる熱は顕熱となる)。そのため、比較例の構成を採用すると、冷媒の細かい温度調整が困難となる場合がある。この点、本実施例では、バーナ52の燃焼熱で冷媒を直接加熱する比較例の構成を採用せず、バーナ52の燃焼熱で第2循環路50内の熱媒を加熱し、熱交換器24において、熱媒と冷媒を熱交換することにより、冷媒を加熱している。即ち、バーナ52を用いて冷媒を加熱する際に、熱媒を介して間接的に冷媒を加熱する構成を採用している。本実施例では、熱媒は、通常の運転に伴って想定される温度域において液相状態から他の状態に相転移しない熱媒(例えば、不凍液等)である。熱媒は、バーナ52の燃焼熱で加熱されると、加熱された分だけ温度上昇する(即ち、熱媒に加わる熱は顕熱となる)。即ち、本実施例では、冷媒を直接バーナで加熱する比較例の構成を採用する場合に比べて、冷媒を加熱する際の細かい温度調整を容易に行い得る。従って、本実施例の空調システム2によると、比較例の構成を採用する場合に比べて、バーナ52の燃焼熱を利用して暖房運転を実行する場合に、冷媒を適切な温度に調整しやすくなる。
【0043】
ここで、本実施例の記載と請求項の記載との対応関係を説明しておく。空調システム2が「暖房システム」の一例である。バーナ52が「熱源機」の一例である。
【0044】
(
参考例)
図3に示すように、本
参考例の空調システム102は、第1実施例の空調システム2と、その基本的構成は共通する。
図3では、第1実施例の空調システム2と共通する要素を、
図1と同じ符号を用いて表し、詳しい説明を省略している。
図3に示す本
参考例の空調システム102では、ヒートポンプ空調装置104の構成の一部が、第1実施例の空調システム2とは異なっている。
【0045】
具体的には、本
参考例では、室外空気熱交換器20と熱交換器24が、並列に接続される。第1循環路128は、第1実施例と同様に分流路128a、128bを有している。ただし、本
参考例では、バイパス路132は、室外空気熱交換器20をバイパスするとともに、熱交換器24を通過する経路である。バイパス路132が熱交換器24を通過させる。バイパス路開閉弁34は、バイパス路132に介装されている。バイパス路開閉弁34を開閉することにより、バイパス路132を冷媒が通過可能な状態(即ち、熱交換器24に冷媒が供給される状態)と、バイパス路132を冷媒が通過不可能な状態(即ち、熱交換器24に冷媒が供給されない状態)とが切り換えられる。第2開閉弁36は、バイパス路132によってバイパスされている室外空気熱交換器20を通る経路に介装されている。第2開閉弁36を開閉することにより、室外空気熱交換器20に冷媒が供給される状態と室外空気熱交換器20に冷媒が供給されない状態と、が切り換えられる。
【0046】
(暖房運転)
本
参考例の空調システム102が実行する暖房運転の内容も、基本的には第1実施例と共通する。本
参考例でも、ユーザから暖房が指示されると、制御装置8は、四方弁26を、ポートaとポートbとが連通し、かつ、ポートcとポートdとが連通した状態に切り替え(
図1の四方弁26における実線部参照)、第1開閉弁30を開く。続いて、制御装置8は、
図2の暖房運転処理を開始する。本
参考例でも、制御装置8は、
図2の暖房運転処理と同様の処理を実行する。
【0047】
(冷房運転)
本
参考例の空調システム102が実行する冷房運転の内容も、基本的には第1実施例と共通するが、冷媒が流れる経路が、一部、第1実施例とは異なる。即ち、第1実施例では、バイパス路開閉弁34を閉じても、冷媒は熱交換器24を通るが、本
参考例ではバイパス路開閉弁34を閉じた状態では、冷媒は熱交換器24を通らない。
【0048】
以上、本
参考例の空調システム102の構成及び運転内容について説明した。本
参考例の空調システム102も、第1実施例の空調システム2と同様の作用効果を発揮することができる。
【0049】
以上
、実施例
及び参考例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0050】
(変形例1)上記
の実施例では、
図2のS18〜S24に示すように、制御装置8は、サーミスタ40の検出温度(即ち、熱交換器24で加熱された後の冷媒の温度)に基づいて、流量調整弁56の開度を調整している。これに限られず、制御装置8は、サーミスタ42の検出温度(即ち、圧縮機12で圧縮された後の冷媒の温度)に基づいて、流量調整弁56の開度を調整してもよい。また、制御装置8は、サーミスタ40の検出温度と、サーミスタ42の検出温度と、の双方に基づいて、流量調整弁56の開度を調整してもよい。この変形例においては、圧縮機12に供給される冷媒が気相状態である場合に限られず、圧縮機12に供給される冷媒が気液二相状態である場合が含まれてもよい。
【0051】
(変形例2)上記
の実施例では、制御装置8は、流量調整弁56の開度を調整することによって、第2循環路50内を循環する熱媒(即ち、熱交換器24を通過する熱媒)の単位時間当たりの流量を調整し、熱交換器24における熱媒と冷媒との単位時間当たりの熱交換量を調整している。これに加えて、制御装置8は、バーナ52の熱媒出口温度を調整することによって、バーナ52から熱媒に加えられる熱量を調整し、熱交換器24における熱媒と冷媒の単位時間当たりの熱交換量を調整してもよい。また、他の例では、制御装置8は、循環ポンプ54の回転数を調整することで、第2循環路50内を循環する熱媒(即ち、熱交換器24を通過する熱媒)の単位時間当たりの流量を調整し、熱交換器24における熱媒と冷媒との単位時間当たりの熱交換量を調整してもよい。
【0052】
(変形例3)上記
の実施例では、流量調整弁56は、第2循環路50のうち熱交換器24よりも下流側であって、バーナ52の上流側の部分に介装されている。これに限られず、流量調整弁56は、第2循環路50の任意の部分に介装されていてもよい。
【0053】
(変形例4)上記
の実施例では、外気温が第1の閾値Th1以下である場合(
図2のS12でYES)、制御装置8は、バイパス路開閉弁34を開き、第2開閉弁36を閉じて、バイパス路32(132)を冷媒が通過可能であり、かつ、室外空気熱交換器20に冷媒が供給されない状態に切り替えている。これによって、熱交換器24において熱媒から加えられる熱のみを熱源として暖房運転を行っている。これに限られず、外気温が第1の閾値Th1以下である場合に、制御装置8は、バイパス路開閉弁34と第2開閉弁36とを両方開き、室外空気熱交換器20と熱交換器24の双方に冷媒が供給されるようにしてもよい。その場合、空調システム2(102)は、外気温が第1の閾値Th1以下である場合に、熱交換器24において熱媒から加えられる熱と、室外空気熱交換器20において室外空気から吸熱した熱と、を熱源として暖房運転を行うことができる。
【0054】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。